JP7383897B2 - 炭酸ガス調整積層体と包装体 - Google Patents

炭酸ガス調整積層体と包装体 Download PDF

Info

Publication number
JP7383897B2
JP7383897B2 JP2019067391A JP2019067391A JP7383897B2 JP 7383897 B2 JP7383897 B2 JP 7383897B2 JP 2019067391 A JP2019067391 A JP 2019067391A JP 2019067391 A JP2019067391 A JP 2019067391A JP 7383897 B2 JP7383897 B2 JP 7383897B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon dioxide
layer
regulating
resin
laminate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019067391A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020163747A (ja
Inventor
佳恵子 林
直也 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2019067391A priority Critical patent/JP7383897B2/ja
Publication of JP2020163747A publication Critical patent/JP2020163747A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7383897B2 publication Critical patent/JP7383897B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Packages (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、包装体に包装される内容物からの炭酸ガスの発生を抑え、且つ発生した炭酸ガスを吸収する包装材料用の積層体、および該積層体から作製された、包装材料、特に発酵食品用の包装材料、発酵食品用の包装体および包装袋に関する。
保管中に炭酸ガスが発生する内容物を充填した包装体においては、発生した炭酸ガスが包装体内部に充満して、包装体が膨れ上がってしまう現象が発生することから、これを防止する為に、予め包装体の容量に余裕をもった大きなものにしておくか、あるいは炭酸ガス吸収剤を同梱する必要があった。
包装材料中に炭酸ガス吸収能を有する化合物を含有させた包装材料が提案されている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、内容物からの炭酸ガス発生量が多い場合には、吸収容量が不充分であり、特に、ガス抜けバルブが装着されていない包装体が膨れ上がることを防止するには不十分であった。
包装材料中に炭酸ガス吸収能を有する化合物を含有させ、さらに、包装材料に通気性を持たせた包装材料が提案されている(特許文献3)。しかしながら、内容物の香気や風味が包装体外部に散逸したり、包装体外部から内容物への異成分の浸入が発生したりする虞があり、包装体としては用途が限定されるものであった。
特開2010-234525公報 特開2000-355079公報 特開平7-31829公報
本発明は、上述の問題を解決し、製造適正に優れ、包装体に包装される内容物が脱炭酸反応を進行することによって発生する炭酸ガスの量を低減し、炭酸ガスが包装体内に充満して包装体が膨れ上がることを防ぎ、長期間の優れた保管性を発揮する積層体、包装材料、特に発酵食品用の包装材料および包装体を提供することを課題とする。
本発明者らは、種々検討の結果、少なくとも、基材層とシーラント層とを有し、該シーラント層が、特定の炭酸ガス調整層とヒートシール層とを有する包装材料用の積層体が、上記の目的を達成することを見出した。
すなわち、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも、基材層とシーラント層とを有する炭酸ガス調整積層体であって、
該シーラント層は、炭酸ガス調整層とヒートシール層とを有し、
該炭酸ガス調整積層体の片側表面または両側表面は、該ヒートシール層であり、
該炭酸ガス調整層は、ポリオレフィン系樹脂と、炭酸ガス吸収剤とを含有し、
該ヒートシール層は、ポリオレフィン系樹脂を含有し、炭酸ガス吸収剤を含有せず、ヒートシール性を有することを特徴とする、
炭酸ガス調整積層体。
2.前記炭酸ガス吸収剤は、炭酸ガス吸収性アルカリ金属水酸化物および/または炭酸ガス吸収性アルカリ土類金属水酸化物からなることを特徴とする、
上記1に記載の、炭酸ガス調整積層体。
3.前記炭酸ガス調整層中の、前記炭酸ガス吸収剤の含有量が、0.1質量%以上、60質量%以下であることを特徴とする、
上記1または2に記載の、炭酸ガス調整積層体。
4.前記炭酸ガス調整層が、吸放湿剤および/または炭酸ガス吸収促進剤を、さらに含有し、
前記ヒートシール層は、吸放湿剤および/または炭酸ガス吸収促進剤を含有しない
ことを特徴とする、
上記1~3の何れか1項2に記載の、炭酸ガス調整積層体。
5.前記吸放湿剤は、吸収した水分の再放出が可能であり、高吸放湿性樹脂、潮解性化合物、親水性ゼオライト、シリカゲル、グリセリン、ヨウ化カリウム、塩化ストロンチウム、塩化ナトリウム、硝酸カリウム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、塩化バリウムからなる群から選ばれる1種または2種以上を含み、
前記炭酸ガス吸収促進剤は、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムからなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする、
上記4に記載の、炭酸ガス調整積層体。
6.前記炭酸ガス調整層中の、前記吸放湿剤の含有量が、0.5質量%以上、35質量%以下であることを特徴とする、
上記4または5に記載の、炭酸ガス調整積層体。
7.前記炭酸ガス調整層中の、前記炭酸ガス吸収促進剤の含有量が、0.1質量%以上、20質量%以下であることを特徴とする、
上記4~6の何れかに記載の、炭酸ガス調整積層体。
8.基材層と、シーラント層との間に、さらに、バリア層を有し、
該バリア層は、バリア性樹脂塗膜、金属箔、金属蒸着層付き樹脂フィルム、金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルムからなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、
上記1~7の何れかに記載の、炭酸ガス調整積層体。
9.上記1~8の何れかに記載された炭酸ガス調整積層体から作製された、炭酸ガス調整包装材料。
10.上記1~8の何れかに記載された炭酸ガス調整積層体から作製された、発酵食品用の炭酸ガス調整包装材料。
11.上記10に記載された発酵食品用の炭酸ガス調整包装材料から作製された、発酵食品用の炭酸ガス調整包装体。
12.ガス抜けバルブを有していないことを特徴とする、上記11に記載の、炭酸ガス調整包装体。
13.上記10に記載された発酵食品用の炭酸ガス調整包装材料から作製された、発酵食品用の炭酸ガス調整包装袋。
14.ガス抜けバルブを有していないことを特徴とする、上記13に記載の、炭酸ガス調整包装袋。
15.上記10に記載された発酵食品用の炭酸ガス調整包装材料から作製された、発酵食品用の炭酸ガス調整パウチ袋。
16.ガス抜けバルブを有していないことを特徴とする、上記15に記載の、炭酸ガス調整パウチ袋。
本発明の炭酸ガス調整積層体および炭酸ガス調整包装材料は、製造適正に優れ、包装される内容物が脱炭酸反応を進行することによって発生する炭酸ガスの量を低減し、炭酸ガスが包装体内に充満して包装体が膨れ上がることを防ぎ、長期間の優れた保管性を発揮する包装体を得ることができる。さらには、包装体をバルブレスにすることもできる。
本発明の炭酸ガス調整包装材料、包装体は、特に発酵食品や焙煎済み珈琲豆用の包装材料として優れた上記効果を発揮することができる。
本発明の炭酸ガス調整積層体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の炭酸ガス調整積層体の層構成について、その別態様の一例を示す概略的断面図である。 本発明の炭酸ガス調整積層体の層構成について、さらに別態様の一例を示す概略的断面図である。
各図においては、解り易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
更に、各図において、凹凸部は明確な角を有するパターンとして例示されているが、角が丸まった形状でもよい。
本発明の炭酸ガス調整積層体、炭酸ガス調整包装材料および炭酸ガス調整包装体について、以下に更に詳しく説明する。具体例を示しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明において、炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤、炭酸ガス吸収促進剤の平均粒子径は、用途に応じて、任意の平均粒子径のものを適宜選択することができるが、平均粒子径0.01μm~25μmのものが好ましい。ここで、平均粒子径は、動的光散乱法により測定された値である。
平均粒子径が上記範囲よりも小さい場合には炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤、炭酸ガス吸収促進剤に凝集が生じ易く、分散性が低下する傾向にある。平均粒子径が上記範囲よりも大きい場合には、表面積が減少する為に、十分な炭酸ガス吸収効果や吸湿・放湿効果が得られない可能性が生じる。また、製膜性が劣り易くなり、炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤、炭酸ガス吸収促進剤を多くは添加し難い傾向になり、十分な炭酸ガス吸収効果や吸湿・放湿効果が得られない可能性が高まる。
<<炭酸ガス調整積層体>>
本発明の炭酸ガス調整積層体は、図1と図2に示したように、少なくとも、基材層と、シーラント層とを有し、シーラント層は炭酸ガス調整層とヒートシール層から構成されている。
ヒートシール層は炭酸ガス調整積層体の表面層であり、これによって炭酸ガス調整積層体は優れたヒートシール性を発揮することができる。
また、炭酸ガス調整積層体は、種々の機能を備えた機能層を、更に含むこともできる。
炭酸ガス調整積層体は、必要に応じて、図3に示したように、基材層とシーラント層との間に、さらにバリア層を有することもできる。
また、各層内または各層との間には、接着性を向上させるために、接着剤層を設けたり、各層の表面に、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けたりすることができる。
例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスまたは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いたる酸化処理等の前処理を任意に施して、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
或いは、表面に、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、蒸着アンカーコート剤層等の各種コート剤層を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の各種コート剤層には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンもしくはポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂またはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を用いることができる。
<基材層>
基材層には、樹脂フィルムを用いることが好ましく、1層で構成されていてもよく、組成が同一または異なる樹脂フィルムを2層以上含む多層構成であってもよい。
基材層の厚さは、素材にもよるが、樹脂フィルムの場合には、好ましくは5~30μm、より好ましくは10~30μmである。
基材層に用いられる樹脂フィルムには、熱可塑性樹脂をフィルム化したものを用いることができ、化学的または物理的強度に優れ、金属酸化物の蒸着膜を形成する条件に耐え、それら金属酸化物の蒸着膜の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができる熱可塑性樹脂であることが好ましい。
このような樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフイン系樹脂、環状ポリオレフイン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種の樹脂が挙げられる。
本発明においては、樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフイン系樹脂が好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリプロピレン(PP)が好ましい。
本発明において、基材層に用いられる熱可塑性樹脂は、公知公用の各種製膜法でフィルム化することができる。
例えば、1種の樹脂を使用して、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて製膜する方法、2種以上の樹脂を使用して多層共押し出し製膜する方法、2種以上の樹脂を製膜する前に混合して上記製膜法で製膜する方法、等が挙げられる。さらに、テンター方式やチューブラマ方式等を利用して1軸または2軸方向に延伸したフィルムとすることができる。
または、他の樹脂フィルム上に、1種または2種以上の樹脂を、塗布及び乾燥してコーティングしたり、Tダイ法等によって溶融した樹脂を積層したりすることもできる。
本発明においては、樹脂フィルムとしては、二軸延伸PETフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸PPフィルムまたはシートが好ましく用いられる。
ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフイン系樹脂が好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリプロピレン(PP)が好ましい。
なお、樹脂フィルムには、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等を使用することができる。
<シーラント層>
シーラント層は、加熱によって接着(ヒートシール)することができる層であり、ヒートシールする為に、炭酸ガス調整積層体の最表面に積層されていることが好ましい。
シーラント層は炭酸ガス調整層とヒートシール層を含み、ヒートシール層が、炭酸ガス調整層の、少なくとも片面に積層されていることが好ましく、両面に積層されていることもできる。
また、シーラント層は、種々の機能を備えた機能層や、接着剤層を、更に含むこともできる。
<炭酸ガス調整層>
炭酸ガス調整層は、ポリオレフィン系樹脂と炭酸ガス吸収剤とを含有する。ポリオレフィン系樹脂を含有していることによって、炭酸ガス吸収剤を分散させて保持することができ、ヒートシール層や他層との良好な接着性を発揮することができるが、炭酸ガス調整層は良好なヒートシール性を有していなくともよい。
炭酸ガス調整層は、吸放湿剤や、炭酸ガス吸収促進剤を、さらに含有することができる。吸放湿剤および/または炭酸ガス吸収促進剤をさらに含有することによって、炭酸ガス発生の反応をさらにコントロールすることができる。
炭酸ガス調整層は、1層で構成されていてもよく、炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤や炭酸ガス吸収促進剤等の種類や濃度の異なる多層で構成されていてもよい。
炭酸ガス調整層は、さらに、滑剤、酸化防止剤、アンチブロック剤、その他の添加剤を含むことができる。
炭酸ガス調整層の厚さは、5μm以上、100μm以下が好ましく、10μm以上、80μm以下がより好ましい。上記範囲よりも薄いと、充分な炭酸ガス調整効果を発揮し難くなり易く、上記範囲より厚くても、炭酸ガス調整効果があまり変わらず、炭酸ガス調整層の形成性が低下し、コストが増大する。
<ヒートシール層>
ヒートシール層は、ポリオレフィン系樹脂を含有するが、優れたヒートシール性を有する為に、炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤、炭酸ガス吸収促進剤の何れも含有しないことが好ましい。
ヒートシール層は、さらに、滑剤、酸化防止剤、アンチブロック剤、その他の添加剤を含むことができる。
ヒートシール層は、1層で構成されていてもよく、組成の異なる多層で構成されていてもよい。
ヒートシール層の厚さは、3μm以上、50μm以下が好ましく、5μm以上、40μm以下がより好ましい。上記範囲よりも薄いと、充分なヒートシール性を発揮し難くなり易く、上記範囲より厚くても、ヒートシール性があまり変わらず、ヒートシール層の形成性が低下し、コストが増大する。
[炭酸ガス吸収剤]
炭酸ガス吸収剤は、炭酸ガス吸収性アルカリ金属化合物および/または炭酸ガス吸収性アルカリ土類金属化合物を含有することが好ましい。
炭酸ガス調整層中の炭酸ガス吸収剤の含有量は、0.1質量%以上、60質量%以下が好ましく、0.5質量%以上、50質量%以下がより好ましい。上記範囲よりも少ないと、充分な炭酸ガス吸収効果を発揮し難くなり易く、上記範囲より多いと、含有量が多い割
には炭酸ガス調整効果が向上せず、炭酸ガス調整層の形成性が低下し、コストが増大する。
(炭酸ガス吸収性アルカリ金属化合物)
炭酸ガス吸収性アルカリ金属化合物は、炭酸ガス吸収性を有するアルカリ金属化合物であり、例えば、アルカリ金属水酸化物等が挙げられ、具体的な化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
例えば、アルカリ金属水酸化物は、炭酸ガスと化学反応することで炭酸ガスを低減することができる。
(炭酸ガス吸収性アルカリ土類金属化合物)
炭酸ガス吸収性アルカリ土類金属化合物は、炭酸ガス吸収性を有するアルカリ土類金属化合物であり、例えば、アルカリ土類金属水酸化物等が挙げられ、具体的な化合物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。
例えば、アルカリ土類金属水酸化物は、炭酸ガスと化学反応することで炭酸ガスを低減することができる。
[ポリオレフィン系樹脂]
炭酸ガス調整層に含有されるポリオレフィン系樹脂は、炭酸ガス吸収剤を分散して、炭酸ガス調整層を形成し得るものであれば特に制限は無く、公知公用のポリオレフィン系樹脂を用いることができる。
炭酸ガス調整層がヒートシール性を有する場合には、炭酸ガス調整層に含有されるポリオレフィン系樹脂はヒートシール性が良好なポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は、良好なヒートシール性と良好な炭酸ガス吸収剤の分散性の両方を容易に達成することができる。
ヒートシール層に含有されるポリオレフィン系樹脂は、ヒートシール層が良好なヒートシール性を有する為に、良好なヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂が好ましい。
炭酸ガス調整層とヒートシール層が良好な層間接着強度を有する為には、炭酸ガス調整層に含有されるポリオレフィン系樹脂と、ヒートシール層に含有されるポリオレフィン系とが同種の主骨格を有する同系の樹脂であることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等の低溶出化されたもの及びそれらの樹脂の混合物が挙げられる。
上記の中でも、ポリエチレン系の樹脂が好ましく、ポリエチレン系の樹脂の中でも、LLDPEがより好ましい。
[吸放湿剤]
炭酸ガスは水に溶解し易く、放出された水分に溶解して弱酸性の炭酸を生成し、弱塩基性の炭酸ガス吸収剤で中和される。
炭酸ガス調整層において、吸放湿剤は、吸水または吸湿した水分を再放出することによって、発生した炭酸ガスが溶解する為の水分を供給し、炭酸ガス吸収剤が炭酸ガスと化学反応することで炭酸ガスを低減することができる。
吸放湿剤は、必要に応じて炭酸ガス調整層に含有されるものであり、含まれる場合には、吸放湿剤としては、高吸放湿性樹脂、潮解性化合物、親水性ゼオライト、シリカゲル、
グリセリン、ヨウ化カリウム、塩化ストロンチウム、塩化ナトリウム、硝酸カリウム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、塩化バリウム、クエン酸、塩化カルシウムからなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことが好ましい。
炭酸ガス調整層が吸放湿剤を含有する場合の、炭酸ガス調整層中の吸放湿剤の含有量は、0.5質量%以上、35質量%以下が好ましく、5質量%以上、33質量%以下がより好ましく、7質量%以上、30質量%以下がさらに好ましい。上記範囲よりも少ないと、充分な吸放湿効果を発揮し難くなり易く、上記範囲より多いと、含有量が多い割には吸放湿効果が向上せず、炭酸ガス調整層の形成性が低下し、コストが増大する。
(高吸放湿性樹脂)
高吸放湿性樹脂は、通常は高吸水性樹脂と称されるものの中の、吸湿性と放湿性の両方に優れたものであり、このような性質を有するものであれば、特に制限無く用いることができる。
高吸放湿性樹脂としては、例えば、カルボキシメチルセルロース系等のセルロース系高吸水性ポリマー、ポリビニルアルコール系高吸水性ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系高吸水性ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム架橋物等の(メタ)アクリル酸塩系高吸水性ポリマー、等を挙げることができる。
(潮解性化合物)
潮解性化合物とは、水分子を取り込んで、自身の水溶液を生成し、且つ放湿性に優れた化合物である。
具体的な化合物としては、クエン酸、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、水酸化リチウム、等が挙げられる。これらの中でも、衛生面からは、塩化マグネシウム、塩化カルシウムが使い易く、好ましい。
(親水性ゼオライト)
親水性ゼオライトは、SiO2/Al23モル比が、1/1~20/1であることが好ましく、1.5/1~19/1であることがさらに好ましい。
本発明においては、吸湿・放湿性能と入手し易さのバランスから、上記範囲のモル比の親水性ゼオライトが好ましく用いられる。
また、親水性ゼオライトは耐熱性が高く、230℃以上の高温に晒されても、吸湿・放湿効果を維持することができ、エクストルージョンによる230℃以上の高温積層に用いることもできる。
親水性ゼオライトの形状は、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、樹脂中に分散させた際の、均一な分散性や混練特性、製膜性等の観点から、粉体状が好ましい。
(シリカゲル)
シリカゲルは、ケイ酸ゲルを脱水・乾燥して得られる物質であり、シラノール基と多孔質構造を持ち、表面積が広い。これによって、シリカゲルは、化学的吸着(シラノール基による吸着)と、物理的吸着(毛細管現象による吸着)によって、水分を一旦吸着する作用を有し、放湿も可能である。
シリカゲルは、表面積が大きく、主にシラノール基による水の化学吸着によって吸着するA型と、表面積がA型よりも小さく、主に毛細管現象による水の物理吸着によって吸着するB型とがあるが、本発明においては、どちらを用いてもよく、両者を併用してもよい。
[炭酸ガス吸収促進剤]
炭酸ガス調整層に含有される炭酸ガス吸収促進剤は、炭酸ガス吸収剤による炭酸ガスの吸収を促進する作用を有するものである。
例えば、炭酸ガス吸収剤として、炭酸ガス吸収性アルカリ土類金属化合物であるアルカリ土類金属水酸化物は、アルカリ土類金属炭酸化物を生成することによって炭酸ガスを吸収するが、
この反応は、通常は常温常圧高湿度条件下の方が、常温常圧常湿度条件下よりも活性が高い。
しかしながら、本発明における炭酸ガス吸収促進剤を用いることによって、該反応の活性化エネルギーを下げて、常温常圧常湿度条件下においても活性を高くすることができる。
炭酸ガス吸収促進剤の具体的な化合物としては、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等が挙げられ、これらからなる群から選ばれる、1種または2種以上を含むことが好ましい。これらの中でも、塩化リチウムがより好ましく用いられる。
炭酸ガス調整層に炭酸ガス吸収促進剤が含有される場合の、炭酸ガス調整層中の炭酸ガス吸収促進剤の含有量は、0.1質量%以上、20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上、10質量%以下がより好ましい。上記範囲よりも少ないと、充分な反応促進効果を発揮し難くなり易く、上記範囲より多いと、含有量が多い割には反応促進効果が向上せず、炭酸ガス調整層の形成性が低下し、コストが増大する。
(炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤、炭酸ガス吸収促進剤の分散方法)
炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤、炭酸ガス吸収促進剤等を炭酸ガス調整層中に分散させる方法としては、公知または慣用の混練方法を適用することができる。
炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤、炭酸ガス吸収促進剤を直接、ポリオレフィン系樹脂と混合して混練することも可能である。
或いは、上記成分の何れかを、高濃度で熱可塑性樹脂と混合した後に溶融混練(メルトブレンド)してマスターバッチを作製し、これを、目標含有率に応じた比率で、ポリオレフィン系樹脂と混合、溶融混練する、いわゆるマスターバッチ方式によっても可能である。
マスターバッチは、炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤、炭酸ガス吸収促進剤の1種のみを含有するものであってもよく、2種以上を含有するものであってもよい。
マスターバッチ方式の場合には、凝集が発生し易い上記成分とポリオレフィン系樹脂の組み合わせであっても、効率的に、均質に分散させることができる。
マスターバッチ中の、上記成分各々の含有率は、0.5質量%以上、65質量%以下が好ましく、1質量%以上、60質量%以下がより好ましい。
マスターバッチに用いる熱可塑性樹脂としては、汎用のポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー、酸変性ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、及びこれらの樹脂の混合物等が挙げられるが、これらの樹脂に限定されない。
この際、マスターバッチ中の熱可塑性樹脂は、炭酸ガス調整層に含有されるポリオレフィン系樹脂と同一であっても、異なっていてもよく、目的に応じて異なる種類の樹脂を大きな悪影響を与えない範囲内で組み合わせることが可能である。
例えば、炭酸ガス調整層に含有されるポリオレフィン系樹脂と同一のポリオレフィン系樹脂をマスターバッチに用いていれば、炭酸ガス調整層は均質になり易く、良好な、製膜性、層間接着強度、炭酸ガス調整性を、効率的に得ることが可能である。
[シーラント層の形成方法]
本発明において、シーラント層を構成する炭酸ガス調整層および/またはヒートシール層の製膜、積層方法は特に限定されず、公知または慣用の製膜方法、積層方法を適用する
ことができる。
炭酸ガス調整層および/またはヒートシール層を、押出しまたは共押出しで、他の層上に、エクストルージョンコート法で積層したり、インフレーション法やキャスト法による製膜後に接着層を介して積層してシーラント層を作成することもできる。エクストルージョンコート法の場合でも、必要に応じて接着層を介して、積層してもよい。
または、予め製膜されたシーラント層用のフィルムを、エクストルージョンコート法、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法等により積層された接着層を介して積層、接着してもよい。
エクストルージョンコート法により積層する場合においては、まず、炭酸ガス調整層および/またはヒートシール層を形成する樹脂組成物を加熱して溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に(共)押出し、該溶融樹脂を被積層面上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、シーラント層の形成と、被積層面への積層および接着や、シーラント層を構成する各層間の積層および接着等を、同時に行うことができる。
エクストルージョンコート法により積層する場合の、シーラント層に含まれる樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は、0.2~50g/10分が好ましく、0.5~30g/10分がより好ましい。なお、本明細書において、MFRとはJIS K7210に準拠した手法から測定された値である。
MFRが0.2g/分未満、又は50g/分よりも大きいと、加工適正が劣り易い。
インフレーション法を用いる場合の、炭酸ガス調整層に含まれる樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は、0.2~10g/10分が好ましく、0.2~9.5g/10分がより好ましい。
MFRが0.2g/10分未満、又は10g/10分よりも大きいと、加工適正が劣り易い。
<バリア層>
バリア層は、酸素、水、光等に対するバリア性を有する層である。包装体内に外部からこれらが浸入することを抑制する層であり、内容物からの炭酸ガスの発生や、その他の劣化を抑制することができる。
バリア層には、バリア性樹脂塗膜、金属箔、金属蒸着層付き樹脂フィルム、金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルムからなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
バリア性樹脂塗膜としては、金属アルコキシドと水溶性高分子とから形成されたゾルゲル法加水分解重縮合物を含有する塗膜が好ましく、金属箔としてはアルミニウム箔が好ましく、金属蒸着層付き樹脂フィルムとしてはアルミニウム蒸着膜付き樹脂フィルムが好ましく、金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルムとしては酸化アルミニウム蒸着膜付き樹脂フィルムが好ましい。
商業的にも入手可能な酸化アルミニウム蒸着膜付き樹脂フィルムとしては、例えば、PVD法によりアルミナを片面に蒸着したPETフィルムである、大日本印刷株式会社製のアルミナ蒸着IB-PET-PIR(厚さ12μm)、シリカ蒸着IB-ON-UB(厚さ15μm)が挙げられる。
バリア層用の金属箔、金属蒸着層付き樹脂フィルム、または金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルムは、ドライラミネート接着剤を用いて、他の層と接着することができる。
あるいは、金属蒸着層付き樹脂フィルムまたは金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルムの樹脂フィルムに、基材層用の樹脂フィルムを用いて、基材層への積層を省略することもできる。
<<炭酸ガス調整包装材料>>
本発明の炭酸ガス調整包装材料は、本発明の炭酸ガス調整積層体から作製される包装材料であり、用途や必要に応じて、炭酸ガス吸収積層体に様々な層を積層して作製することもできる。
本発明の炭酸ガス調整包装材料は、発酵食品用の包装材料として、特に優れた性能を発揮する。
<<発酵食品用の炭酸ガス調整包装体>>
本発明の発酵食品用の炭酸ガス調整包装体は、本発明の炭酸ガス調整包装材料から作製される包装体であり、発酵食品用の包装体である。
従来の炭酸ガスを多量に発生させる内容物を収容する為の包装体は、包装体内部に高圧に充満した炭酸ガスを排気する為のガス抜けバルブを有しているが、本発明の発酵食品用の炭酸ガス調整包装体は、ガス抜けバルブを有さないこともできる。
ガス抜けバルブには、例えば、シール型アウターバルブやボタン型インナーバルブがある。
これらのガス抜けバルブは、内容物から発生した炭酸ガスによって、包装体内部が包装体外部よりも高圧になった時に、弁として機能して、包装体内部に充満した炭酸ガスを含む高圧空気を外部に排出して、包装袋内部の気圧を外部と同等になるように調節する働きをする。
本発明の発酵食品用の炭酸ガス調整包装体は、内容物である発酵食品からの炭酸ガスの発生を抑制し、且つ発生した炭酸ガスを吸収することによって、包装体内の炭酸ガス充満量を低減することができ、包装体が膨れ上がったり、包装体内部が包装体外部よりも高圧になったりすることを抑制できる為、ガス抜けバルブを必要としないことができる。
包装体がガス抜けバルブを有さないことによって、内容物である発酵食品の香気や風味が、ガス抜けバルブを通過して包装袋外部に流出および散逸することを防止でき、また、包装体外部から酸素や水分やその他異物がガス抜けバルブを逆流して浸入する虞が無く、さらには、包装材料および/または包装体の構成を簡素化でき、原材料の削減、製造工程の簡略化、コスト削減が可能になる。
そして、本発明の発酵食品用の炭酸ガス調整包装体は、包装材料が吸放湿剤および/または炭酸ガス吸収促進剤を含有していることによって、内容物の発酵食品から発生した炭酸ガスの吸収を調節することができ、通常の包装袋の場合よりも、包装体の膨らみ度合いを小さくすることができる。
<<発酵食品用の炭酸ガス調整包装袋>>
本発明の発酵食品用の炭酸ガス調整包装袋は、本発明の発酵食品用の炭酸ガス調整包装体の一形態として、袋状に製袋されたものであり、同様に、ガス抜けバルブを有さないこともできる。
製袋方法としては、例えば、包装材料を、シーラント層同士を対向させて重ね合わせ、その周辺端部を例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールすることにより作製することができる。
ヒートシールの方法としては、例えばバーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知方法を適用することができる。
<<発酵食品用の炭酸ガス調整パウチ袋>>
本発明の発酵食品用の炭酸ガス吸収パウチ袋は、本発明の発酵食品用の炭酸ガス調整包
装袋の一形態として、パウチ袋状に製袋されたものであり、発酵食品用の炭酸ガス調整包装袋と同様に、ガス抜けバルブを有さないこともできる。
<原材料>
本実施例で用いた主な原材料は下記の通り。
[炭酸ガス吸収剤]
・炭酸ガス吸収性アルカリ土類金属化合物1:井上満吉商店(株)社製、水酸化カルシウム。平均粒子径3μm。
・炭酸ガス吸収性アルカリ土類金属化合物2:神島化学工業(株)社製、水酸化マグネシウム。平均粒子径5μm。
・炭酸ガス吸収性アルカリ土類金属化合物3:和光純薬工業(株)社製、水酸化バリウム。平均粒子径5μm以下
[吸放湿剤]
・高吸放湿性樹脂1:日本触媒(株)社製、アクアリックFH。ポリアクリル酸ナトリウム、pH:9.5(0.1%aq)、平均粒子径20μm以下。
・高吸放湿性樹脂2:日本触媒(株)社製、アクアリックAS58。ポリアクリル酸、pH:3.0(0.2%aq)、平均粒子径20μm以下。
・潮解性化合物1:仁尾興産(株)社製、塩化マグネシウム。平均粒子径20μm以下。
[炭酸ガス吸収促進剤]
・炭酸ガス吸収促進剤1:和光純薬工業(株)社製、塩化リチウム。平均粒子径20μm以下。
[その他]
・LLDPE1:株式会社プライムポリマー製LLDPE、エボリューSP2020。
・PETフィルム1:東洋紡(株)社製2軸延伸PETフィルム、E5100。12μm厚。
・アルミニウム箔1:東洋アルミニウム(株)社製アルミニウム箔、1N30。7μm厚。
・DL接着剤1:ロックペイント(株)社製ドライラミネート用接着剤、RU-77T。
<マスターバッチの調製>
[マスターバッチ1(MB1)の調整]
LLDPE1と、炭酸ガス吸収性アルカリ土類金属化合物1とを下記の割合でメルトブレンドし、冷却後に粉砕し、ステンレス篩(100メッシュ、目開き150μm)に通して、マスターバッチ1(MB1)を得た。
水酸化カルシウム 40質量部
LLDPE1 60質量部
[マスターバッチ2~8(MB2~8)の調整]
表1に記載された配合に従って、マスターバッチ1と同様に操作して、メルトブレンドし、マスターバッチ2~8(MB2~8)を得た。
Figure 0007383897000001
<実施例と比較例>
[実施例1]
上記で得たマスターバッチ1とマスターバッチ4とマスターバッチ9とを下記の割合でドライブレンドして、炭酸ガス調整層用樹脂組成物を調製した。
マスターバッチ1 46.5質量部
マスターバッチ5 46.5質量部
マスターバッチ8 7質量部
そして、上記で得た炭酸ガス調整樹脂組成物と、ヒートシール層用のLLDPE1とを、180℃でインフレーション製膜によって積層して、下記3層構成の炭酸ガス調整シーラントフィルムを作製した。
ヒートシール層(15μm)/炭酸ガス調整層(40μm)/ヒートシール層(15μm)
次いで、PETフィルム1と、アルミニウム箔1と、上記で得たシーラントフィルムとを、DL接着剤1を介してドライラミネート法により積層して、下記層構成の炭酸ガス調整積層体を作製した。
得られた炭酸ガス調整積層体を炭酸ガス調整包装材料として用いて、製膜性、シール強度、吸収効果について評価した。
PETフィルム1(12μm)/DL接着剤1(3g/m2)/アルミニウム箔1(7μm)/DL接着剤1(3g/m2)/[ヒートシール層(15μm)/炭酸ガス調整層(40μm)/ヒートシール層(15μm)]
[実施例2~14、16~20]
表2~5の記載に従って、マスターバッチ、炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤を選択して、実施例1と同様に操作して、炭酸ガス調整層用樹脂組成物を得て、シーラントフィルム、炭酸ガス調整積層体、炭酸ガス調整包装材料を作製し、同様に評価した。
[実施例15]
表の記載に従って、マスターバッチ、炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤を選択して、実施例1と同様に操作して、炭酸ガス調整層用樹脂組成物を得て、下記3層構成の炭酸ガス調整シーラントフィルムを作製し、同様に評価した。
ヒートシール層(40μm)/炭酸ガス調整層(80μm)/ヒートシール層(40μm)
[比較例1]
シーラントフィルムに炭酸ガス調整層を形成せず、70μm厚のLLDPE1のみで形成したこと以外は、実施例1と同様に実施して、積層体、包装材料を得て、同様に評価した。
[比較例2]
シーラントフィルムにヒートシール層を形成せず、70μm厚の炭酸ガス調整層のみで形成したこと以外は、実施例1と同様に実施して、積層体、包装材料を得て、同様に評価した。
<評価結果まとめ>
実施例1~17の積層体は、良好な製膜性、ヒートシール性、製袋性と、低い炭酸ガス発生量を示した。
シーラント層に炭酸ガス調整層を有さず、炭酸ガス吸収剤、吸放湿剤、反応促進剤を含有していない比較例1の積層体は、高い炭酸ガス発生量を示した。
シーラント層にヒートシール層を有していない比較例2の積層体は、劣ったヒートシール性、製袋性を示した。
<評価方法>
[マスターバッチ作製時の作業性]
マスターバッチ作製に用いる原料について、ふるい(100メッシュ、目開き150μm)にかけた際の作業性を、下記評価基準で評価した。
〇:メッシュ詰まりが発生せず、マスターバッチ化が容易。
×:メッシュ詰まりが発生して、マスターバッチ化が困難。
[製膜性]
積層体の外観を肉眼で観察し、不良の有無を下記評価基準で評価した。
○:積層体に皺やぶつが無かった。
×:積層体に皺やぶつが有った。
[ヒートシール性]
積層体を10cm×10cmに切り分け、半分に折ってシーラント面を重ね合せ、ヒートシールテスター(テスター産業社製:TP-701-A)を用いて、端部はヒートシールせずに二股に分かれている状態に残るように、1cm×10cmの領域を下記条件でヒートシールし、さらに、15mm幅で短冊状に切断して、試験片を作製した。
そして、試験片の二股に分かれている各端部を引張試験機に装着して、下記条件で引張強度(N/15mm)を測定し、下記合否判定基準で評価した。
ヒートシール条件
温度:180℃
圧力:1kgf/cm2
時間:1秒
引張強度試験条件:100N

合否判定
○:引張強度が25N/15mm以上であり、合格。
×:引張強度が25N/15mm未満であり、不合格。
[製袋性]
積層体から下記条件でシール巾10mmで四方シールして150mm×210mmサイ
ズのパウチ袋を作製し、下記合否判定基準で評価した。
ヒートシール条件
温度:180℃
圧力:1kgf/cm2
時間:1秒
合否判定
○:問題無く製袋できた。
×:製袋できなかった。
[炭酸ガス発生量]
積層体から下記条件でシール巾10mmで四方シールして150mm×210mmサイズのパウチ袋を作製し、パウチ袋中にキムチ100gをヘッドスペースが無いように封入をした。
そして、10℃環境下で30日間保存し、炭酸ガス発生量を測定した。
ヒートシール条件
温度:180℃
圧力:1kgf/cm2
時間:1秒
Figure 0007383897000002
Figure 0007383897000003
Figure 0007383897000004
Figure 0007383897000005
1 炭酸ガス吸収積層体、炭酸ガス吸収包装材料
2 基材層
3 シーラント層
4 炭酸ガス調整層
5 ヒートシール層
6 バリア層

Claims (10)

  1. 少なくとも、基材層とシーラント層とを有する炭酸ガス調整積層体であって、
    該シーラント層は、炭酸ガス調整層とヒートシール層とを有し、
    該炭酸ガス調整積層体の片側表面または両側表面は、該ヒートシール層であり、
    該炭酸ガス調整層は、ポリオレフィン系樹脂と、炭酸ガス吸収剤とを含有し、
    該炭酸ガス調整層中の炭酸ガス吸収剤の含有量は、0.1質量%以上、60質量%以下であり、
    該炭酸ガス吸収剤は、炭酸ガス吸収性アルカリ金属水酸化物および/または炭酸ガス吸収性アルカリ土類金属水酸化物からなり、
    該炭酸ガス調整層が、吸放湿剤および炭酸ガス吸収促進剤を、さらに含有し、
    該炭酸ガス調整層中の吸放湿剤の含有量は、0.5質量%以上、35質量%以下であり、
    該炭酸ガス調整層中の炭酸ガス吸収促進剤の含有量は、0.1質量%以上、20質量%以下であり、
    該ヒートシール層は、吸放湿剤および/または炭酸ガス吸収促進剤を含有せず、
    該吸放湿剤は、吸収した水分の再放出が可能であり、高吸放湿性樹脂、潮解性化合物、親水性ゼオライト、シリカゲル、グリセリン、ヨウ化カリウム、塩化ストロンチウム、塩化ナトリウム、硝酸カリウム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、塩化バリウムからなる群から選ばれる1種または2種以上を含み、
    該高吸放湿性樹脂は、セルロース系高吸水性ポリマー、ポリビニルアルコール系高吸水性ポリマー、(メタ)アクリル酸系高吸水性ポリマー、(メタ)アクリル酸塩系高吸水性ポリマーからなる群から選ばれる1種または2種以上であり、
    該潮解性化合物は、塩化マグネシウムまたは塩化カルシウムであり、
    該炭酸ガス吸収促進剤は、塩化リチウムであり、
    該ヒートシール層は、ポリオレフィン系樹脂を含有し、炭酸ガス吸収剤を含有せず、ヒートシール性を有することを特徴とする、
    炭酸ガス調整積層体。
  2. 基材層と、シーラント層との間に、さらに、バリア層を有し、
    該バリア層は、バリア性樹脂塗膜、金属箔、金属蒸着層付き樹脂フィルム、金属酸化物
    蒸着層付き樹脂フィルムからなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、
    請求項1に記載の、炭酸ガス調整積層体。
  3. 請求項1または2に記載された炭酸ガス調整積層体から作製された、炭酸ガス調整包装材料。
  4. 請求項1または2に記載された炭酸ガス調整積層体から作製された、発酵食品用の炭酸ガス調整包装材料。
  5. 請求項4に記載された発酵食品用の炭酸ガス調整包装材料から作製された、発酵食品用の炭酸ガス調整包装体。
  6. ガス抜けバルブを有していないことを特徴とする、請求項5に記載の、炭酸ガス調整包装体。
  7. 請求項4に記載された発酵食品用の炭酸ガス調整包装材料から作製された、発酵食品用の炭酸ガス調整包装袋。
  8. ガス抜けバルブを有していないことを特徴とする、請求項7に記載の、炭酸ガス調整包装袋。
  9. 請求項4に記載された発酵食品用の炭酸ガス調整包装材料から作製された、発酵食品用の炭酸ガス調整パウチ袋。
  10. ガス抜けバルブを有していないことを特徴とする、請求項8に記載の、炭酸ガス調整パウチ袋。
JP2019067391A 2019-03-29 2019-03-29 炭酸ガス調整積層体と包装体 Active JP7383897B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019067391A JP7383897B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 炭酸ガス調整積層体と包装体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019067391A JP7383897B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 炭酸ガス調整積層体と包装体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020163747A JP2020163747A (ja) 2020-10-08
JP7383897B2 true JP7383897B2 (ja) 2023-11-21

Family

ID=72715045

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019067391A Active JP7383897B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 炭酸ガス調整積層体と包装体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7383897B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000355079A (ja) 1999-06-16 2000-12-26 Ajinomoto Co Inc 炭酸ガス吸収積層体、これを用いた容器及び食品類の保存方法
JP2003088344A (ja) 2001-09-17 2003-03-25 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 酸素吸収及び炭酸ガス吸収多層体
JP2008110278A (ja) 2006-10-27 2008-05-15 Yahashi Kogyo Kk 炭酸ガス吸収剤の製造方法
JP2017030842A (ja) 2015-08-05 2017-02-09 大和製罐株式会社 食品用包装材
JP2019005996A (ja) 2017-06-23 2019-01-17 大日本印刷株式会社 積層体およびそれを備える包装袋

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000355079A (ja) 1999-06-16 2000-12-26 Ajinomoto Co Inc 炭酸ガス吸収積層体、これを用いた容器及び食品類の保存方法
JP2003088344A (ja) 2001-09-17 2003-03-25 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 酸素吸収及び炭酸ガス吸収多層体
JP2008110278A (ja) 2006-10-27 2008-05-15 Yahashi Kogyo Kk 炭酸ガス吸収剤の製造方法
JP2017030842A (ja) 2015-08-05 2017-02-09 大和製罐株式会社 食品用包装材
JP2019005996A (ja) 2017-06-23 2019-01-17 大日本印刷株式会社 積層体およびそれを備える包装袋

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020163747A (ja) 2020-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2016063987A1 (ja) ブリスターパック用積層体、それを用いたブリスターパック、及びブリスターパック包装体、並びにその積層体の製造方法
JP6573607B2 (ja) 易カット性の吸収性積層体、及びそれを用いた包装袋
JP6604947B2 (ja) イージーピール性の包装袋
JP7143614B2 (ja) 臭気吸着積層体及び臭気吸着性包装材料
JP7155667B2 (ja) 消臭包装材料及び消臭包装体
JP7127265B2 (ja) 液体内容物包装用の積層体、及び液体内容物用包装材料、液体内容物用包装体
JP7383897B2 (ja) 炭酸ガス調整積層体と包装体
JP7155665B2 (ja) 液体内容物用消臭積層体及び液体内容物用消臭包装体
JP7155666B2 (ja) 消臭包装材料及び消臭包装体
JP7371341B2 (ja) 炭酸ガス吸収積層体とバルブレス包装体
JP7283178B2 (ja) 炭酸ガス吸収積層体とバルブレス包装体
JP7419664B2 (ja) 消臭ptp包装体
JP7255278B2 (ja) 消臭積層体
JP6950288B2 (ja) 殺菌、滅菌処理用積層体と、該積層体を用いた包装材料、及び包装体
JP2020000512A (ja) 消臭シーラントフィルム及び消臭包装材料
JP7383896B2 (ja) 炭酸ガス調整シーラントフィルム
JP2020158140A (ja) 消臭包装体
JP2002052655A (ja) 酸素吸収性多層体及びこれを用いた低水分含有物品の保存方法
JP2019064633A (ja) 液体内容物包装用の積層体、及び液体内容物用包装材料、液体内容物用包装体
JP4085218B2 (ja) 脱酸素剤組成物及び保存方法
JP2020082624A (ja) ガス吸収フィルム
JP2019064634A (ja) 液体内容物包装用のシーラントフィルム、及び液体内容物用包装材料、液体内容物用包装体
JP2019177919A (ja) 臭気吸着シーラントフィルムと、該臭気吸着シーラントフィルムから作製された包装材料及び包装袋
JP7331406B2 (ja) 液体紙容器用の消臭積層体
JP7255279B2 (ja) 消臭積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231010

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231023

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7383897

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150