JP2017030842A - 食品用包装材 - Google Patents

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恭世 渡邉
Yasuyo Watanabe
恭世 渡邉
真吾 花咲
Shingo Hanasaki
真吾 花咲
茂明 丸尾
Shigeaki Maruo
茂明 丸尾
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Abstract

【課題】 野菜等の生鮮食品やおにぎり等の調理済食品用の包装材における鮮度保持性を改良する。【解決手段】 熱可塑性樹脂を主体とする厚さ5μm〜1mmのフィルムまたはシートからなり、貝殻を高温焼成し、水和して得られた水酸化カルシウムを主体とする平均粒子径0.5〜10μmの抗菌性粉末を、層全量に対して3.0質量%以上含有する抗菌層を有することを特徴とする食品用包装材。【選択図】 図1

Description

本発明は抗菌効果を有する食品用包装材、特に野菜等の生鮮食品やおにぎり等の調理済食品用の包装材における鮮度保持性の改良に関する。
従来、プラスチック製品に対して様々な方法で抗菌性を付与する取り組みがなされており、有機系抗菌剤、無機系抗菌剤、天然系抗菌剤といった各種抗菌剤を樹脂表面に噴霧又は塗布、あるいは樹脂中に練り込んだ抗菌性の樹脂製品が提案されている。有機系抗菌剤は、一般に抗菌活性は高いものの、溶出速度が速いため抗菌効果の持続性に乏しく、また、有効な菌種の範囲が限られたり、人体に対する安全性に問題がある場合がある。
銀イオンや亜鉛イオンを用いた無機系抗菌剤は、有機系抗菌剤と比べて安全性が高く、広範囲の細菌に有効であることから、抗菌性の樹脂製品に広く用いられている。しかし、これら無機系抗菌剤を樹脂中に練り込むと、透明性の低下や変色、さらには樹脂の劣化が生じてしまうことがあり、加えて抗菌剤自体が高価であるという問題がある(例えば、特許文献1,2参照)。
また、キトサン等の天然成分を利用する天然系抗菌剤は、安全性が高く、安価であるという利点があるものの、有機系抗菌剤や無機系抗菌剤と比較すると抗菌効果に劣る場合が多い。近年、廃棄物系バイオマスであるホタテ貝等の貝殻を焼成・水和して得られた水酸化カルシウムを用いた粉末抗菌剤が開発されており、この粉末抗菌剤を樹脂中に配合したまな板等の調理用器具、パソコンのキーボードやリモコン等の電気機器類といった各種樹脂成型品が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
他方、食品用の包装材に抗菌性を付与して雑菌による発酵・腐敗を防ぐことで、鮮度を長期間保持することも広く行われており、これら食品用の包装材では、他の日用品等と比較してより高い安全性及び抗菌性が要求される。また、包装袋内の食品の状態を視認するために高い透明性が要求される場合もある。さらに、野菜等の生鮮食品は包装袋内でも呼吸を続けており、包装袋内の酸素が減って二酸化炭素が増えると嫌気呼吸を始め、この嫌気呼吸(発酵)が異味・異臭の原因となるため、鮮度保持期間を延ばすためには包装袋内の二酸化炭素量を制御することが望まれる。
特開平6−80528号公報 特開平8−284352号公報 特許第5515106号
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであって、その解決すべき課題は、野菜等の生鮮食品やおにぎり等の調理済食品用の包装材における鮮度保持性を改良することにある。
上記課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討を行なった結果、熱可塑性樹脂を主体とするフィルムまたはシートに、貝殻を原料とする水酸化カルシウムを主体とする平均粒子径0.5〜10μmの抗菌性粉末を層全量に対して3.0質量%以上含む抗菌層を有するフィルム又はシートの表面において、良好な抗菌活性を示し、且つ二酸化炭素を吸収してその濃度を低減することができるため、このフィルム又はシートを食品用包装材として用いることによって、優れた鮮度保持性が得られることを見出した。また、前記抗菌層を有する多層のフィルム又はシートとし、抗菌性粉末の含有量をフィルムまたはシート全量に対して0.5質量%以上とすることによって、優れた抗菌効果が得られるとともに、透明性も改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる食品用包装材は、熱可塑性樹脂を主体とする厚さ5μm〜1mmのフィルムまたはシートからなり、貝殻を高温焼成し、水和して得られた水酸化カルシウムを主体とする平均粒子径0.5〜10μmの抗菌性粉末を、層全量に対して3.0質量%以上含む抗菌層を有することを特徴とするものである。
また、前記食品用包装材の少なくとも一方の表面において、pHが11.5以上、抗菌活性値が3.0以上であることが望ましい。
なお、前記食品用包装材は、前記抗菌層のみからなる単層のフィルムまたはシート、あるいは前記抗菌層と抗菌性粉末を含まない樹脂層とからなる多層のフィルムまたはシートである。
また、前記多層フィルム又はシートからなる食品用包装材において、前記抗菌性粉末の含有量がフィルムまたはシート全量に対して0.5質量%以上であることが望ましい。
また、前記食品用包装材において、内側表面から順に、抗菌層、抗菌性粉末を含まない樹脂層からなり、抗菌層の厚さが全層の3〜97%であることが望ましい。
また、前記食品用包装材において、前記抗菌層、前記抗菌性粉末を含まない樹脂層が、いずれもポリオレフィン樹脂を主体とすることが望ましい。
本発明によれば、熱可塑性樹脂を主体とするフィルムまたはシートに、貝殻を原料とする水酸化カルシウムを主体とする平均粒子径0.5〜10μmの抗菌性粉末を層全量に対して3.0質量%以上含む抗菌層を有するフィルム又はシートを食品用包装材として用いることによって、優れた鮮度保持性が得られる。また、前記抗菌層を有する多層のフィルム又はシートとし、抗菌性粉末の含有量をフィルムまたはシート全量に対して0.5質量%以上とすることによって、より優れた抗菌効果が得られ、透明性も改善される。
本発明の一実施形態にかかる食品用包装材10(単層フィルム)の断面図である。 本発明の一実施形態にかかる食品用包装材20(多層フィルム)の断面図である。 実施例1,2及び比較例1の食品用包装材における経時での大腸菌群数変化を示すグラフである。 実施例1,2及び比較例1の食品用包装材における経時での二酸化炭素濃度変化を示すグラフである
以下、図面を参照して、本発明の構成について詳しく説明する。
まず最初に単層フィルムの場合について説明する。図1に、本発明の一実施例にかかる食品用包装材10(単層フィルム)の断面図を示す。図1に示すように、食品用包装材10は、抗菌性粉末12bを含有する熱可塑性樹脂12aからなる抗菌層12の単層フィルムである。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、従来フィルム材料として用いられているものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、変性オレフィン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、特にポリオレフィン樹脂を好適に用いることができる。なお、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂は、抗菌性粉末の水酸化カルシウムによって加水分解されるおそれがあるため、あまり望ましくない。これらの熱可塑性樹脂の融点は、特に限定されるものではないが、通常、300℃以下、好ましくは50〜250℃である。
本発明に用いられる抗菌性粉末は、貝殻を高温焼成し、水和することによって得られる水酸化カルシウムを主体とする粉末である。カルシウム源となる貝殻は、ホタテ貝殻、アワビ貝殻、サザエ貝殻、ホッキ貝殻、ウニ貝殻等が挙げられ、これらは天然であっても養殖であってもよい。これらのうち、貝殻組成が均一であり、供給量も多いことから、ホタテ貝殻を特に好適に用いることができる。
貝殻は、粉砕して貝殻粉末あるいは粒状物とした後、800〜1500℃、好ましくは850〜1200℃で高温焼成し、貝殻に含まれる炭酸カルシウムを酸化カルシウムに変換する。焼成は、空気中で行ってもよいし、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。焼成時間は焼成温度等によって適宜設定されるが、通常、雰囲気温度が所定の焼成温度に到達した後、さらに10〜120分、好ましくは15〜190分間焼成を行なう。こうした焼成処理によって、不要な有機物を熱分解により除去する。つづいて、焼成後の酸化カルシウムを、さらに水和反応させて水酸化カルシウムを得る。
焼成又は水和の過程で、必要に応じてさらに粉砕処理を行ない、最終的には平均粒子径0.1μm〜5mm、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは0.5〜40μm、最も好ましくは0.5〜10μmの微粉末とする。粒径をより細かくすることで、抗菌性粉末として熱可塑性樹脂に添加混合する際、均一に分散させることができ、抗菌性能をムラなく付与することができる。
得られた水酸化カルシウム主体の微粉末に、必要により、例えば粉末中のホウ素濃度が低い場合において、酸化ホウ素等のホウ素を含有する微粉末を配合し、十分に混合して均一化させ、抗菌性粉末を得る。こうして得られた抗菌性粉末は、水酸化カルシウムを主体としてホウ素を必須成分として含有するものであり、ホウ素含有量は、抗菌性粉末の全量に対して0.05質量%以上、好ましくは0.2質量%以上である。また、抗菌性粉末において、鉄の含有はなるべく避けた方がよく、鉄含有量は、抗菌性粉末の全量に対して0.8質量%未満、好ましくは0.4質量%未満である。
図1に示す食品用包装材は、以上で得られる抗菌性粉末を含む抗菌層からなる単層フィルム/シートである。抗菌性粉末は、抗菌層の全量に対して3.0質量%以上含まれている必要がある。3.0質量%未満であると、十分な抗菌活性が得られない。より好ましくは、抗菌層の全量に対して3.0〜60.0質量%である。抗菌性粉末の量が少なすぎると抗菌効果が十分でなく、多すぎると経済的でない上、機械特性に劣るためフィルム又はシートに成形し難くなったり、表面外観が悪化する場合がある。
また、抗菌性粉末のほか、必要に応じて、公知の各種添加剤、例えば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、防曇剤、蛍光増白剤、防炎剤、帯電防止剤、粘度調整剤等を熱可塑性樹脂中に適当量含有していてもよい。
抗菌性粉末やその他各種添加剤は、予め熱可塑性樹脂中に適当量充填したマスターバッチとしておき、フィルム/シートの主材として用いる熱可塑性樹脂と混合することによって、これら抗菌性粉末や各種添加剤を熱可塑性樹脂中に容易に高分散することができる。マスターバッチに使用する熱可塑性樹脂は、フィルム/シート主材の熱可塑性樹脂と同一又は類似構造のものを使用することで、より高分散し易くなる。
フィルムまたはシートの厚さは5〜1,000μmである。なお、一般に、厚さ250μm未満のものをフィルム、厚さ250μm以上のものをシートという。
また、本発明の食品用包装材は、以上に示した単層フィルム/シートだけでなく、多層フィルム/シートとすることもできる。図2に、本発明の一実施例にかかる食品用包装材20(多層フィルム)の断面図を示す。図2に示すように、食品用包装材20は、抗菌性粉末22bを含有する熱可塑性樹脂22aからなる抗菌層22と、基材層24とからなる多層のフィルムである。
多層フィルム/シートの抗菌層に用いられる熱可塑性樹脂及び抗菌性粉末は、前記単層フィルム/シートの場合と同一である。抗菌性粉末は、抗菌層の全量に対して3.0質量%以上含まれている。
基材層は、熱可塑性樹脂を主体とし、抗菌性粉末を含まない層であって、抗菌層に用いられるものと同様の熱可塑性樹脂を使用することができる。また、必要に応じて顔料又は染料を用いて、基材層の表面に印刷処理が施されていてもよい。顔料及び染料については、各種公知のものを適宜用いることができる。
また、多層フィルム/シートは、図2に示した二層のフィルム/シートに限られず、必要に応じ、抗菌性粉末を含まない樹脂層として、さらにその他の樹脂層が積層されていてもよい。例えば、抗菌層/第一樹脂層/第二樹脂層の三層フィルムとして、第一樹脂層と第二樹脂層に互いに異なる添加剤を含んでいてもよい。あるいは、抗菌層/第一樹脂層/第二樹脂層/第三樹脂層/第四樹脂層の五層フィルムとして、第一樹脂層〜第四樹脂層が、それぞれ異なる種類の熱可塑性樹脂によって構成されていてもよく、また、それら熱可塑性樹脂がそれぞれ異なる添加剤を含んでいてもよい。
また、抗菌層、基材層、その他の樹脂層のいずれにおいても、必要に応じて、公知の各種添加剤、例えば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、防曇剤、蛍光増白剤、防炎剤、帯電防止剤、粘度調整剤等を適当量含有していてもよい。
なお、多層フィルム/シートの場合、抗菌層中に添加される抗菌性粉末の量は、フィルム/シートの全量に対して0.5質量%以上となるように調整することが望ましい。例えば、抗菌層と抗菌性粉末を含まない樹脂層との質量比が1:9であった場合、抗菌層の質量比はフィルム/シート全量の1/10となるため、抗菌性粉末の含量をフィルム/シート全量に対して0.5質量%以上とするには、抗菌層全量に対して5質量%以上含まれている必要がある。抗菌性粉末の含有量がこれよりも少ないと、十分な抗菌活性が得られない。
また、多層フィルム/シートの各層の厚さは特に限定されるものではないが、通常、それぞれ1〜300μm程度である。各層の厚さの比率としては、抗菌層の厚さが全層の3〜97%であることが望ましい。抗菌層の厚さが3%未満では抗菌成分の存在量が不十分で、抗菌効果を十分に得ることができず、また、抗菌層の厚さが97%を超えると、製造時に穴が開いてしまい、フィルム/シート化することができなかったり、あるいはフィルム/シート化することができたとしても、包装材として必要な物性が得られない場合がある。
なお、単層又は多層フィルム/シートのいずれの場合も、少なくとも一方の表面、すなわち抗菌性粉末が含まれる層の表面において、pHが11.5以上、抗菌活性値が3.0以上であることが望ましい。包装材中に抗菌性粉末を所定量含有させることによって、抗菌効果を必要とする表面のpHを11.5以上、抗菌活性値を3.0以上とすることができ、特に野菜等の生鮮食品やおにぎり等の調理済食品を包装した場合に、優れた鮮度保持性を発揮することができる。なお、抗菌活性値は、JIS Z 2801に記載の試験方法に基づいて測定される抗菌効果の程度を判定する指標の値であり、無加工品の24時間培養後菌数を抗菌加工品の24時間培養後菌数で除した数の対数値として表される。通常、抗菌活性値2.0以上(99%以上の死滅率)で抗菌効果があるとされている。
本発明の食品用包装材の成形方法は、特に限定されるものではなく、公知のフィルム又はシート成形法に基づいて行なうことができる。例えば、抗菌性粉末を熱可塑性樹脂中に配合し、押出機にて溶融混練した後、T−ダイへ導入して単層フィルムを得る方法(Tダイ法)、抗菌性粉末と熱可塑性樹脂を混合して、環状ダイからチューブ状に溶融押出し、エアを吹き込んでフィルム/シート化した後、冷却して巻き取り単層フィルム/シートを得る方法(インフレーション法)、あるいは抗菌性粉末を混練した熱可塑樹脂と、その他各層を形成する熱可塑性樹脂をそれぞれ別個の押出機にてTダイを通じて溶融押出し、多層フィルム/シートを得る方法(共押出法)や、予め成形した単層フィルム/シートの表面に別の熱可塑性樹脂を押出して多層フィルム/シートとする方法(押出ラミネート法)等が挙げられる。また、このようにして得られたフィルムの表面には、表面改質を目的としたコロナ放電処理等を行なってもよい。
以上のようにして得られる本発明の食品用包装材は、フィルム又はシート表面において水酸化カルシウムを主体とする抗菌性粉末が良好な抗菌活性を示し、且つ二酸化炭素を吸収してその濃度を低減することができるため、特に野菜等の生鮮食品やおにぎり等の調理済食品を包装した場合に、優れた鮮度保持性が得られる。また、抗菌性粉末に含まれる水酸化カルシウムによって、食品の洗浄殺菌剤として用いられる次亜塩素酸ナトリウムや、食品の腐敗によって生じる酸性の臭気を中和することができるため、これらの消臭効果も期待できる。
以下、実施例により、本発明についてさらに具体的に説明を行うが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<抗菌性粉末>
ホタテ貝の貝殻を粉砕した後、1000℃で1時間焼成した。焼成物に水を加えて水和させ、得られた水酸化カルシウムを粉砕機でさらに微粉砕して、平均粒径3μmの粉末を得た。この粉末に酸化ホウ素微粉末を適当量混合して、抗菌性粉末を得た。また、得られた抗菌性粉末と各種熱可塑性樹脂とを質量比4:6で溶融混合してペレット化し、抗菌性粉末のマスターバッチを作成した。
<実施例1>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、LLDPEを用いて作成した上記抗菌性粉末のマスターバッチとを、質量比7:1で混合し、次いで単層インフレーション製膜機(プラコー社製,L−40;ダイス径50mm,クリアランス2.0mm)を用い、厚さ30μmの単層インフレーションフィルム(厚さ30μm)を得た(フィルム全量に対する抗菌性粉末含有量:5質量%)。なお、得られた単層インフレーションフィルムの表面の抗菌活性値は6.0以上、pHは11.5であった。
<実施例2>
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン(PP)を用い、上記実施例1と同様にして、厚さ30μmの単層インフレーションフィルムを得た(フィルム全量に対する抗菌性粉末含量:5質量%)。なお、得られた単層インフレーションフィルムの表面の抗菌活性値は6.0以上、pHは11.5であった。
<比較例1>
市販の延伸ポリプロピレンフィルム(KF51:サン・トックス社製;厚さ30μm)を比較品として用いた。なお、このフィルムの表面の抗菌活性値は0、pHは7であった。
上記実施例及び比較例のフィルムを幅180mm、高さ225mmとなるように製袋加工し、市販のサラダ用キャベツ150gをヒートシールパックした。開始時から4日後の各時点において、内容物の大腸菌群数、二酸化炭素濃度及び異臭の有無について、下記方法にて測定した。
結果を下記表1〜3及び図3,4に示す。
[大腸菌群数]
各実施例及び比較例のパックの内容物25gを225mlのリン酸緩衝液に懸濁し、この懸濁液を段階希釈し、デゾキシコレート培地にて平板混釈した。35℃で24時間培養後、大腸菌のコロニー数を計測した。
[二酸化炭素濃度]
各実施例及び比較例のパックにゴムシールを貼り、シリンジで袋内のガスを採取して、O/CO分析計(PBI Dausensor社製)を用いて二酸化炭素濃度を測定した。
[異臭の有無]
各実施例及び比較例のパックを、サンプル名を伏せて一袋ずつパネラーに提供し、下記評価基準にて、袋の開封直後のにおいを評価してもらった。
◎:まったく異臭がしなかった。
〇:ほとんど異臭がしなかった。
△:わずかに異臭を感じた。
×:異臭を感じた。
Figure 2017030842
Figure 2017030842
Figure 2017030842
上記表1に示すように、ホタテ貝を焼成・水和して得られた水酸化カルシウムを主体とする抗菌性粉末を熱可塑性樹脂中に5質量%添加して得られた実施例1,2の単層フィルムは、生鮮食品であるキャベツの包装材として用いた場合、経時での大腸菌群数の減少が見られ、優れた抗菌効果が得られることが明らかとなった。また、上記表2,3より、実施例1,2では、比較例1と比べてキャベツの呼吸による二酸化炭素濃度の増加が小さいことから、嫌気呼吸による鮮度低下が妨げられており、さらに経時での異臭の発生が抑えられることも確認できた。
<実施例3〜5,比較例2,3>
抗菌性粉末の添加量を下記表4に示すとおりに変更したほかは、いずれも実施例1と同様にして、単層インフレーションフィルムを得た。得られた各種フィルムの表面について、抗菌活性値及びpHを測定した。
結果を下記表4に示す。
Figure 2017030842
上記表4に示すように、抗菌性粉末を3.0質量%以上添加した実施例3〜5の単層フィルムにおいては、抗菌活性値が6.0以上、pHが11.5〜12.2となり、優れた抗菌効果が得られることが明らかとなった。これに対して、抗菌性粉末含量の少ない比較例2,3では、十分な抗菌効果が得られているとは言えなかった。
<実施例6>
プロピレン−エチレンコポリマー(ランダムPP)と、ランダムPP及び抗菌性粉末を質量比6:4で溶融混合してペレット化したマスターバッチを、質量比(ランダムPP:マスターバッチ)7:1で混合し、抗菌層用の樹脂組成物とした。また、基材層としてポリプロピレン(ホモPP)を用いた。それぞれの樹脂組成物を、2台の2軸押出機を使用してマルチマニホールドを備えたTダイ金型を用いて280℃の温度で共押出し、冷却ロールで冷却しつつ、ロール間で両面コロナ処理を施し、厚さ30μmの2層キャストフィルムを作製した。各層の厚さは、抗菌層が7.5μm、基材層が22.5μmであった。また、抗菌層全量に対する抗菌性粉末の含有量は5.0質量%、フィルム全量に対する抗菌性粉末の含有量は1.25質量%であった。得られた多層キャストフィルムの表面の抗菌活性値は6.0以上、pHは11.5であった。
上記実施例6の多層キャストフィルムと実施例1の単層インフレーションフィルムを用い、下記試験方法にて透明性の評価を行なった。
結果を下記表5に示す。
[透明性]
各実施例及び比較例のフィルムの透明性(ヘイズ値)を、NDH4000型測定器(日本電色工業社製を用い、JIS Z7105「プラスチックの光学的特性試験方法(ヘイズ)」に準拠して測定した。
Figure 2017030842
上記表5に示すように、抗菌性粉末を含む層を有する多層キャストフィルムとした実施例6では、単層インフレーションフィルムからなる実施例1と比較して、透明性に優れていた。
<実施例7〜9,比較例4〜6>
共押出工程後、機械加工方向及びその直行方向に延伸を行なったほかは、概略実施例6と同様にして2層の二軸延伸フィルムを得た。なお、抗菌性粉末含有量は、下記表6に示す値となるように、抗菌性粉末添加量及び各層の厚さを適宜変更した。得られた各種フィルムの表面について、抗菌活性値及びpHを測定した。
結果を下記表6に示す。
Figure 2017030842
上記表6に示すように、抗菌性粉末を抗菌層に対して5〜20%、フィルム全量に対して0.5〜2.0%添加した実施例7〜9では、いずれも良好な抗菌効果が得られた。これに対して、フィルム全量に対する抗菌性粉末の含量が0.38%の比較例4では、抗菌層中の含量は10%と多いものの、抗菌効果は満足のいくものでなかった。他方、抗菌層中の抗菌性粉末含量が2.5%の比較例6は、フィルム中含量は0.6%であるものの、十分な抗菌効果が得られなかった。また、抗菌性粉末含量を、抗菌層中2.5%、フィルム全量中0.25%とした比較例6も、抗菌効果は劣っていた。以上の結果から、多層フィルムにおける抗菌性粉末含量は、抗菌層中3.0質量%以上、フィルム全量中0.5質量%以上とすることが望ましい。
<実施例10>
プロピレン−エチレンコポリマー(ランダムPP)と、ランダムPP及び抗菌性粉末を質量比6:4で溶融混合しペレット化したマスターバッチを、質量比(ランダムPP:マスターバッチ)3:1で混合し、さらに防曇剤を含むマスターバッチ(PAR−380:理研ビタミン社製)を5質量%添加したものを、抗菌層用の樹脂組成物とした。また、第一樹脂層として防曇剤を含むマスターバッチ(PAR−380:理研ビタミン社製)を5質量%添加したランダムPP、第二樹脂層としてランダムPPを用いた。3層それぞれの樹脂組成物を3台の2軸押出機を使用して3層マルチマニホールドを備えたTダイ金型を用いて280℃の温度で共押出し、冷却ロールで冷却しつつ、ロール間で両面コロナ処理を施し、厚さ37.5μmの3層キャストフィルムを作製した。各層の厚さは、抗菌層が15μm、第一樹脂層が7.5μm、第二樹脂層が15μmであった。抗菌層全量に対する抗菌性粉末の含有量は10.0質量%、フィルム全量に対する抗菌性粉末の含有量は2.5質量%であった。得られた多層キャストフィルムの表面の抗菌活性値は6.0以上、pHは12.1であった。
10 食品用包装材(単層フィルム)
12 抗菌層
20 食品用包装材(多層フィルム)
22 抗菌層
24 基材層

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂を主体とする厚さ5μm〜1mmのフィルムまたはシートからなり、
    貝殻を高温焼成し、水和して得られた水酸化カルシウムを主体とする平均粒子径0.5〜10μmの抗菌性粉末を、層全量に対して3.0質量%以上含有する抗菌層
    を有することを特徴とする食品用包装材。
  2. 少なくとも一方の表面において、pHが11.5以上、抗菌活性値が3.0以上であることを特徴とする請求項1記載の食品用包装材。
  3. 前記抗菌層のみからなる単層のフィルムまたはシートからなることを特徴とする請求項1又は2記載の食品用包装材。
  4. 前記抗菌層と抗菌性粉末を含まない樹脂層とからなる多層のフィルムまたはシートからなり、前記抗菌性粉末の含有量がフィルムまたはシート全量に対して0.5質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の食品用包装材。
  5. 内側表面から順に、抗菌層、抗菌性粉末を含まない樹脂層からなり、抗菌層の厚さが全層の3〜97%であることを特徴とする請求項4記載の食品用包装材。
  6. 前記抗菌層、前記抗菌性粉末を含まない樹脂層が、いずれもポリオレフィン樹脂を主体とすることを特徴とする請求項5記載の食品用包装材。
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