JP2017095626A - インジケーター機能を有するフィルム - Google Patents

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盛昭 新崎
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Abstract

【課題】本発明は、水に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることにより変色するフィルムを提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂を含む層をX層としたときに、X層を有し、かつ水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることによりb値が2以上変化することを特徴とする、フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることにより変色する機能を有するフィルムに関するものである。
近年、複数の機能を有するフィルムが要求されており、例えば、医療ならびに衛生分野においては、体内から発生した汗、排泄物等による水蒸気は通すが降雨、排泄物による水滴は透さないという、透湿性と防水性とを兼ね備えた透湿防水性布帛が使用されており、透湿防水性布帛は、透湿性を有するフィルムが布帛等に積層された構造を有している。
また、使い捨ておむつ、生理用ナプキンなどの吸収性物品の外装シート材にはムレやカブレを防止する観点から、尿などの液体状の排泄物を捕捉する役割を持つ吸収体の外側に透湿性、防水性を有するシート(バックシート)が使用されている(特許文献1〜4参照)。他方、使い捨ておむつについては、尿や便などの液体状又は液体を含有する固体状の排泄物と接触して変色することにより、排泄があったことを外部から視認可能にする機能を備えた使い捨て紙おむつが知られている(特許文献1〜4参照)。特許文献1〜4では、吸収体とバックシートの間に、pH指示薬等を印刷または塗工している。また、特許文献5には、酸素に応答して変色する機能を有する物質を熱可塑性樹脂に含有させたフィルムが記載されている。
特開2009−254596号公報 特開2009−254597号公報 特開2014−193232号公報 特開2013−74983号公報 特開2005−105200号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載のシート自体には尿や便などの液体状又は液体を含有する固体状の排泄物と接触して変色することにより、排泄があったことを外部から視認可能にする機能はなく、このような機能を付与して紙おむつ等に使用するためには、フィルムを製造する工程とは別にpH指示薬等を印刷または塗工する工程が必要となる。また、特許文献5に記載のフィルムは、酸素によって変色するものの水分、酸性成分、塩基性成分によっては変色しない。
そこで、本発明は、上記の従来技術の背景に鑑み、水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることによる変色を視覚的に認識しやすいフィルムを提供することをその課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。
(1) 熱可塑性樹脂を含む層をX層としたときに、X層を有し、かつ水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることによりb値が2以上変化することを特徴とする、フィルム。
(2) 前記X層が、食品添加剤を含むことを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) 前記X層が、親水性樹脂を含むことを特徴とする、(1)または(2)に記載のフィルム。
(4) KES法に従い測定されるせん断かたさが、0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム。
(5) 前記X層を構成する全成分を100質量%としたときに、X層中の充填剤の含有量が10質量%以上70質量%以下であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルム。
(6) さらに、以下の条件1または2を満たす層(Y層)を有することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルム。
条件1:充填剤を含まない。
条件2:層を構成する全成分を100質量%としたときに、層中の充填剤の含有量が0質量%より大きく30質量%以下であり、かつX層中の充填剤の含有量よりも小さい。
(7) 透湿度が500g/(m・day)以上であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルム。
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載のフィルムと不織布との積層体。
本発明によれば、水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることにより変色するフィルムを得ることができる。さらに本発明のフィルムは、透湿性、防水性を必要とする用途に好ましく用いることができる。具体的には、例えば、ベッド用シート、枕カバー、生理用ナプキンや紙おむつ等の吸収性物品のバックシート等の医療・衛生材料、ゴミ袋、堆肥袋および野菜や果物等の食品包装材料、および各種工業製品の袋などの包装材料、ビル、住宅、化粧板といった建材、鉄道車両、船舶、航空機といった輸送機内での内装材料などに好ましく用いることができる。
本発明のフィルムは、熱可塑性樹脂を含む層をX層としたときに、X層を有し、かつ水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることによりb値が2以上変化することを特徴とする。なお、水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることにより変色する機能をインジケーター機能ということがある。
(インジケーター機能)
本発明のフィルムは、フィルムにインジケーター機能を付与する観点から、水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることによりb値が2以上変化することが重要である。このような態様とすることにより、フィルムはインジケーター機能を備えたものとなる。
ここで水分とは、水蒸気、水、又は氷を指す。酸性成分とは、水溶液としたときにpHが7.0未満となる成分をいい、例えば、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)、硝酸(HNO)、及び酢酸(CHCOOH)等が挙げられる。塩基性成分とは、水溶液としたときにpHが7.0を超える成分をいい、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、及びアンモニア(NH)等が挙げられる。
水分に触れるとは、水分とフィルムが接触することをいい、具体的には、水そのものとフィルムが直接接触することや、水を含んだ布やスポンジ等を介して水とフィルムが接触することをいう。酸性成分に触れるとは、酸性成分とフィルムが接触することをいい、具体的には、液相にある酸性成分そのものとフィルムが直接接触すること、酸性成分の水溶液とフィルムが直接接触すること、及び液相にある酸性成分又は酸性成分の水溶液を含んだ布やスポンジ等を介してこれらとフィルムが接触することをいう。塩基性成分に触れるについても同様である。
水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることによりb値が2以上変化するとは、水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れる前のb値とこれらに触れた後におけるb値の差の絶対値(Δb値)が2以上であることをいう。ここでb値とは、UVカットなし、メイン光源を昼光(色温度 6504k)、サブ光源を昼光(色温度 6774k)、観察視野を10°、測定待ち時間を0.0秒として分光測色計にて測定して得られるb値をいう。
フィルムを、水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることによりb値が2以上変化するものとする手段としては、フィルムを、水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることによりb値が変化する成分(以下、成分Aということがある。)を含むものとすることが挙げられる。成分Aは、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、シリカゲル、塩化コバルト、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、アリザンS、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、ブロモクレゾールパープル、レザズリン等の印刷の色素、及び後述する食品添加剤等を用いることができる。フィルムを食品包装材料や衛生材料用途に用いる場合は、安全性の観点から、成分Aとして後述の食品添加剤を用いることが好ましい。なお、本発明のフィルムにおいて、成分Aは1種類であっても複数種類を混合したものであってもよい。
(X層)
本発明のフィルムは、ハンドリング性や賦形性を維持する観点から、熱可塑性樹脂を含む層をX層としたときに、X層を有することが重要である。このような態様とすることにより、フィルムはハンドリング性や賦形性を備えたものとなる。ここで熱可塑性樹脂とは、加熱により軟化して可塑性を持ち、冷却すると固化する特徴を有する樹脂をいう。
本発明のフィルムにおいて、熱可塑性樹脂は、加熱により軟化して可塑性を持ち、冷却すると固化する特徴を有する樹脂であれば特に限定されないが、フィルムに布のような静音性、せん断変形性、曲げ柔らかさ、及び透湿性などを付与する観点から、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、及びポリエステル系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも一つの樹脂であることが好ましい。ここで、エラストマーとは、25℃でゴム弾性を有する高分子量体をいう。
上記観点に加え、経済性、入手容易性、及び製膜安定性も考慮すると、熱可塑性樹脂は、エチレン−メチルメタクリレート共重合体であることがより好ましい。また、フィルムに透湿性を付与することも考慮すると、熱可塑性樹脂は、ポリウレタンもしくはポリエステル系エラストマーであることがより好ましい。
上記の点をすべて考慮すると、熱可塑性樹脂は、エチレン−メチルメタクリレート共重合体とポリウレタン、もしくはエチレン−メチルメタクリレート共重合体とポリエステル系エラストマーを組み合わせたものであることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の含有量は、X層全体を100質量%としたときに、25〜90質量%であることが好ましく、40〜90質量%であることがより好ましく、50〜90質量%であることがさらに好ましい。なお、本発明のフィルムにおいて、熱可塑性樹脂がX層中に複数種存在する場合、熱可塑性樹脂の含有量は、全ての熱可塑性樹脂を合計して算出するものとする。
また、フィルムにインジケーター機能を付与する観点から、X層が、前述の成分Aを含むことが好ましい。X層が成分Aを含む場合、成分Aの含有量は、X層全成分100質量%中0.05〜5.0質量%であることが好ましく、0.1〜3.0質量%であることがより好ましく、0.3〜2.0質量%であることがさらに好ましい。成分Aの含有量がX層全成分100質量%中0.05質量%以上であることにより、十分にインジケーター機能を発現させることができ、また、5.0質量%以下であることにより、溶融させた原料の溶融粘度の低下を抑えることができるため安定して製膜することが可能となる。
なお、成分Aに該当する成分がX層中に複数種存在する場合、成分Aの含有量は、全ての成分Aを合計して算出するものとする。
(食品添加剤)
本発明のフィルムにおいては、安全性の観点から、X層が、食品添加剤を含むことが好ましい。食品添加剤とは、日本国の食品衛生法第4条第2項に定める添加物、すなわち、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。食品添加剤は通常、食品と共に人間が摂取するものであり、人体に対する安全性に優れる。そのため、X層が食品添加剤を含むことにより、フィルムが人体と接触した際の安全性を確保することができる。
本発明のフィルムに用いることができる食品添加剤としては、例えば、ベニコウジ色素、クチナシ赤色素、コチニール色素、ラック色素、ビートレット、アントシアニン色素、ベニバナ赤色素、トウガラシ色素、ヘマトコッカス藻色素、アナトー色素、バーム油カロテン、マリーゴールド色素、ベニバナ黄色素、ウコン色素、クチナシ黄色素、ベニコウジ色素、クチナシ青色素、カラメル色素などが挙げられる。また、変色の度合いの観点から、本発明のフィルムにおいては、食品添加剤がベニコウジ色素及び/又はアントシアニン色素であることが好ましい。また、フィルム色の観点から色素を複数に混ぜ合わせてもかまわない。
(親水性樹脂)
本発明のフィルムは、成分Aにより発現するインジケーター機能を強化する観点から、X層が、親水性樹脂を含むことが好ましい。フィルムが親水性樹脂を含むことにより、フィルムがより水分を吸収しやすくなるため、水に触れた際に成分Aにより発現されるインジケーター機能が強化される。
ここで、親水性樹脂とは水に溶解するまたは水との接触により膨張する高分子化合物のことである。本発明のフィルムにおける親水性樹脂としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリスルホン酸塩系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリアスパラギン酸塩系樹脂、ポリグルタミン酸塩系樹脂、ポリアルギン酸塩系樹脂、デンプン系樹脂、及びセルロース系樹脂などを用いることができる。中でも、分散性に優れることや食品添加剤への影響が小さいことから、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムを用いることが好ましい。
また、耐ブリードアウト性、フィルムの耐熱性、及び耐ブロッキング性の観点から、本発明のフィルムにおける親水性樹脂は、例えば数平均分子量が1,000以上のポリエチレングリコールなど、常温(20℃±15℃)で固体状であることが好ましい。
本発明のフィルムのX層における親水性樹脂の含有量は、水により発現するインジケーター機能と製膜安定性を両立させる観点から、X層の全成分100質量%中1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。親水性樹脂の含有量がX層全成分100質量%中1質量%以上であることにより、水により発現するインジケーター機能を十分に確保することができ、30質量%以下であることにより、溶融させた原料の溶融粘度の低下を抑えることができるため、安定して製膜することが可能となる。
(充填剤)
本発明のフィルムにおけるX層は、フィルムの透湿性と溶融成形性の観点から、充填剤を含むことが好ましい。ここで充填剤とは、諸性質を改善するために加えられる物質、あるいは増量、増容、製品のコスト低減などを目的として添加する不活性物質であって、前述の成分Aに該当しないものをいう。
本発明のフィルムのX層においては、X層を構成する全成分を100質量%としたときに、X層中の充填剤の含有量が10質量%以上70質量%以下であることが好ましく、15質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。X層を構成する全成分を100質量%としたときに、X層中の充填剤の含有量が10質量%以上であることにより、X層の空孔率を10%以上として透湿性を付与することが容易となる。また、X層中の充填剤の含有量が70質量%以下であることにより、X層中に充填剤を均一分散させることができ、フィルムに安定した溶融成形性を付与することが容易となる。
本発明のフィルムにおける充填剤は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、無機充填剤、有機充填剤共に用いることが可能である。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の金属硫酸塩;酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、及びアルミナなどの金属酸化物;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;珪酸塩鉱物、ヒドロキシアパタイト、マイカ、タルク、カオリン、クレー、モンモリロナイト、及びゼオライト等の複合酸化物;リン酸リチウム、リン酸カルシウム、及びリン酸マグネシウム等の金属リン酸塩;塩化リチウム、フッ化リチウム等の金属ハロゲン化物、酸化ケイ素(シリカ)、及び卵殻カルシウムなどを使用することができる。
有機充填剤としては、シュウ酸カルシウム等のシュウ酸塩;テレフタル酸カルシウム、テレフタル酸バリウム、テレフタル酸亜鉛、テレフタル酸マンガン、及びテレフタル酸マグネシウム等のテレフタル酸塩;ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、及びメタクリル酸等のビニル系モノマーの単独または共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、及び熱硬化性フェノール樹脂などの樹脂;木粉、パルプ粉等のセルロース系成分;綿繊維、麻繊維、竹繊維、木材繊維、ケナフ繊維、ジュート繊維、バナナ繊維、及びココナツ繊維等の植物繊維;絹、羊毛、アンゴラ、カシミヤ、キャメル等の動物繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、及びアクリル繊維等の合成繊維;籾殻、木材チップ、おから、古紙粉砕材、及び衣料粉砕材などが挙げられる。
これらの充填剤のなかでも、透湿性向上、強度や伸度などフィルムの機械特性の維持、および低コスト化の観点から、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、クレー、モンモリロナイトを用いることが好ましく、炭酸カルシウムを用いることがより好ましい。
X層に用いる充填剤の平均粒径は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、充填剤をフィルムに高充填することと防水性の確保を両立させる観点から、0.01〜4μmであることが好ましく、0.1〜3μmであることがより好ましく、0.5〜2μmであることが特に好ましい。平均粒径が0.01μm以上であることにより、充填剤をフィルム中に高充填することが可能となる。また、充填剤の平均粒径が4μm以下であることにより、X層中に過度に大きな空孔が形成されることが回避され、フィルムの防水性低下を抑制できる。なお、ここでいう平均粒径とは、レーザー回折散乱式の方法で測定される累積の体積分布50%平均粒径とする。
(Y層)
本発明のフィルムは、製膜安定性の観点から、さらに、以下の条件1または2を満たす層(Y層)を有することが好ましい。
条件1:充填剤を含まない。
条件2:層を構成する全成分を100質量%としたときに、層中の充填剤の含有量が0質量%より大きく30質量%以下であり、かつX層中の充填剤の含有量よりも小さい。
フィルムがY層を有することにより、X層単層の場合よりも製膜安定性を向上させることができる。
本発明のフィルムにおけるY層は、製膜安定性の観点から、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。なお、Y層における熱可塑性樹脂については、以後X層の熱可塑性樹脂と区別するために、熱可塑性樹脂Yと記載する。
本発明のフィルムにおける熱可塑性樹脂Yは、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、超低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、および高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン・ブチレンブロック共重合体、水素添加等のポリスチレン系樹脂;硬質ポリ塩化ビニル、軟質ポリ塩化ビニル等のポリ塩化ビニル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂等、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、およびポリブチレンサクシネートアジペート等を用いることができる。
本発明のフィルムにおけるY層は、インジケーター機能を確保する観点から、充填剤を含まない、又は層を構成する全成分を100質量%としたときに、層中の充填剤の含有量が0質量%より大きく30質量%以下であり、かつX層中の充填剤の含有量よりも小さいことが好ましい。このような態様とすることにより、フィルムの透明性が低下することによりインジケーター機能が損なわれるのを抑制することができる。Y層が充填剤を含む場合においては、層を構成する全成分を100質量%としたときに、層中の充填剤の含有量が0質量%より大きく20質量%以下であり、かつX層中の充填剤の含有量よりも小さいことが好より好ましい。なお、Y層においても、前述した充填剤を使用することが可能であり、フィルムの透湿性と製膜安定性の観点から、X層と同じ充填剤を使用することが好ましい。
(フィルムの積層構成)
本発明のフィルムは、本発明の効果を損なわない限り、その積層構成は特に限定されない。本発明のフィルムが積層構成を有する例として、X層/Y層の2種2層構成、X層/Y層/X層、Y層/X層/Y層の2種3層構成等が挙げられるが、必要性に応じてX層、Y層の他に接着層などの別の機能を有する層を有していてもよい。
本発明のフィルムが積層構成を有する場合、インジケーター機能を損なわずに製造プロセスを効率化する観点から、X層が少なくとも一方の最表面に位置する態様が好ましく、X層/Y層の2種2層構成又はX層/Y層/X層の2種3層構成であることがより好ましく、X層/Y層の2種2層構成であることがさらに好ましい。
また、Y層の厚みは、インジケーター機能を損なわずに製膜安定性を確保する観点から、0.1〜10.0μmであることが好ましく、1.0〜7.0μmであることがより好ましく、1.0〜5.0μmであることが特に好ましい。
(せん断かたさ)
本発明のフィルムは、布のようなせん断変形性を付与する観点から、KES法に従い測定されるせん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下であることが好ましい。せん断変形とは、経糸と緯糸とが交差することにより構成されている布がもっとも容易に受ける変形様式であり、2次元の布が3次元の曲面を容易にカバーすることができるのはこのせん断変形に大きく依存し、せん断変形が大きい、つまり、せん断かたさが小さい布の方が人体のような曲面によりフィットし易く、着用感がよいものとなる。
KES法に従い測定されるせん断かたさとは、Kawabata Evaluation Systemに従い測定される機械方向及び幅方向のせん断応力より算出するせん断かたさをいう。機械方向とはフィルム製造時にフィルムが進行する方向を指し、幅方向とはフィルムの搬送面に平行であり、機械方向と直交する方向を指す。より具体的には、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点における、機械方向及び幅方向のせん断応力をKES法により測定し(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある)、機械方向及び幅方向について、式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、式G2用いて負方向のせん断かたさ(G(−))を算出し、機械方向及び幅方向のG(+)及びG(−)を平均して得られるせん断かたさをいう。なお、せん断応力の測定時の条件は、室温23℃、相対湿度65%、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/sec、及び試料のせん断変形範囲−8°〜8°である。なお、以後、KES法に従い測定されるせん断かたさのことを、単にせん断かたさと記すことがある。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
フィルムに布のようなせん断変形性を付与する観点から、せん断かたさは、0.1gf/(cm・deg)以上5.0gf/(cm・deg)以下であることがより好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上4.0gf/(cm・deg)以下であることがより好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上3.0gf/(cm・deg)以下であることがより好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上2.0gf/(cm・deg)以下であることがより好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上1.0gf/(cm・deg)以下であることがより好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上0.8gf/(cm・deg)以下であることがさらに好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上0.6gf/(cm・deg)以下であることが特に好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上0.4gf/(cm・deg)以下であることが最も好ましい。
本発明のフィルムのせん断かたさを0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下、または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、後述の製法によりフィルムを製造し、後述の好ましいロール温度、線圧、ロール速度でエンボス加工する方法、後述する熱可塑性樹脂を用いてせん断変形に要する応力を最小限に抑えるために極薄フィルムとする方法、後述する相対的に高い空孔率を有し空間自由度に優れた層と相対的に低い空孔率を有する層の積層構成とし、せん断変形に要する応力を最小限に抑えるために層を極薄化する方法などを挙げることができる。
(透湿度)
本発明のフィルムは、衛生材料などの透湿性が要求される用途に使用する観点から、透湿度が500g/(m・day)以上であることが好ましく、1,000g/(m・day)以上であることがより好ましい。また、フィルムの透湿度は大きいほど好ましく上限は特にないが、衛生材料に適用するとの観点からすると、上限は8,000g/(m・day)程度あれば十分と考えられる。なお、ここで透湿度とは、25℃、90%RHに設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法により測定するフィルムの透湿度をいう。
フィルムの透湿度を高める方法としては、例えば、熱可塑性樹脂として、ポリウレタン、ポリエステル系エラストマーを用いる方法が挙げられる。
(フィルムの厚み)
本発明のフィルムの厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、取り扱い性と生産性の観点から、3μm以上200μm以下であることが好ましい。厚みを3μm以上とすることで、フィルムとした際のコシが強くなり、取り扱い性に優れ、また、ロール巻姿や巻出し性が良好となる。厚みを200μm以下とすることで、特にインフレーション製膜法において、フィルムを効率的に冷却することができバブルが安定化する。上記観点から本発明のフィルムの厚みは、7μm以上150μm以下がより好ましく、10μm以上100μm以下がさらに好ましく、12μm以上50μmが特に好ましい。なお、フィルムの厚みは、走査型電子顕微鏡でフィルムの断面を観察する方法により測定する。
(耐水圧)
本発明のフィルムは、防水性の観点から、耐水圧が500mm以上であることが好ましく、1,000mm以上であることがより好ましい。耐水圧を500mm以上とすることにより、本発明のフィルムに防水性を付与することが可能となる。耐水圧が500mm未満の場合、防水性が不十分であり、例えば紙おむつの防水シートとしてフィルムを使用した場合、おむつからの尿漏れが起こることがある。耐水圧の上限は、防水性の観点からは高いほど好ましいが、前述のせん断かたさを付与するためにフィルムに空間的自由度を付与する観点も考慮すると、5,000mm程度あれば十分である。ここで耐水圧とは、JIS L 1092(2009)、A法(低水圧法)に規定された方法に準拠し、フィルムとクランプの間に、パッキンで挟んだ金網を置いた状態で測定する耐水圧をいう。
フィルムの耐水圧を上記範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、少なくとも一軸方向に延伸して空孔を形成する方法が挙げられる。このとき、延伸倍率を大きくすることで空孔率を大きくすることができる。
(不織布との積層体)
本発明のフィルムは、不織布との積層体とすることで、例えば衛生材料、医療用材料、衣料用材料等の構成材料として用いることができる。
(フィルムの製造方法)
次に、本発明のフィルムを製造する方法について具体的に説明するが、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
本発明のフィルムを得るために用いる組成物、つまり、熱可塑性樹脂、親水性樹脂、充填剤、成分Aなどを含有する組成物を得るにあたっては、各成分を溶融混練することにより組成物を製造する溶融混練法が好ましい。溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸または二軸押出機などの公知の混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸または二軸押出機の使用が好ましい。
本発明のフィルムは、例えば上記した方法により得られた組成物を用いて、公知のインフレーション法、チューブラー法、Tダイキャスト法などの既存のフィルムの製造法により得ることができる。
さらに、機械特性、軽量化、及び透湿性向上を目的として、上述の方法で得られた未延伸フィルムを一軸又は二軸延伸してもよい。すなわち、本発明のフィルムは延伸されていても良い。
延伸にはロール法やテンター法などが用いられる。未延伸フィルムの延伸は、少なくとも一軸方向に、1.1倍以上に延伸することが好ましく、1.5倍以上8倍以下に延伸することがより好ましい。経済性及び生産性の観点からは、二軸方向ではなく、機械方向のみに1.1倍以上に一軸延伸することが好ましく、機械方向のみに1.5倍以上8倍以下に一軸延伸することがより好ましい。
フィルムを製膜した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられる。いずれの方法をも用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さからコロナ放電処理が最も好ましい。
本発明のフィルムは、良好な透湿性、防水性を有するため、例えば、ベッド用シート、枕カバー、生理用ナプキンや紙おむつ等の吸収性物品のバックシート等の医療・衛生材料、ゴミ袋、堆肥袋および野菜や果物等の食品包装材料、および各種工業製品の袋などの包装材料、ビル、住宅、化粧板といった建材、鉄道車両、船舶、航空機といった輸送機内での内装材料などに好ましく用いることができる。
次に、実施例に沿って本発明のフィルムについて説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。諸特性は、次の方法により測定した。
(1)水、酸性成分、及び塩基性成分による変色度合い
10cm(機械方向)×10cm(幅方向)のフィルムサンプルを試験台に取り付け、分光測色計CM−2500d(KONICA MINOLTA社製)を用いて、以下の条件によりフィルムサンプルのb値を測定した。次いで、スポイトを用いてフィルムサンプルに1mLの水(水道水)を滴下し、同様にフィルムサンプルのb値を測定した。測定は水滴下前後とも3回行い、その平均値をそれぞれ水滴下前のb値、水滴下後のb値として両者の差の絶対値(Δb値)を算出した。酸性成分(純度98%のギ酸を水で20倍希釈したもの)、塩基性成分(10W/V%のアンモニア水溶液を水で20倍希釈したもの)を滴下したときのフィルムの変色についても同様に評価した。なお、Δb値が大きいことは、変色の度合いが大きいことを意味し、Δb値が2以上であれば変色を視認することができる。
<測定条件>
UVカット:なし
メイン光源:昼光(色温度 6504k)
サブ光源:昼光(色温度 6774k)
観察視野:10°
測定待ち時間(測定ボタンを押してからの待ち時間):0.0秒
(2)フィルムの厚みおよび積層フィルムの各層の厚み比
フィルムの幅方向のセンター部からサンプルを切り出した後、ウルトラミクロトームを用いてサンプル片の機械方向−厚み方向断面を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製 S−3400N)を用いて倍率1,000倍(倍率は適宜調整可能)でフィルム断面の写真を撮影し、顕微鏡の測長機能を用いてフィルムの厚みおよび積層フィルムの各層の厚みを測定し、積層フィルムの各層の厚み比を算出した。観察箇所を10点変えて同じ測定を行い、得られた値の平均値をフィルムの厚み(μm)および積層フィルムの各層の厚み比とした。なお、フィルムの厚みは、小数第1位を四捨五入して得られた値とした。ここで、厚み方向とは、機械方向と幅方向のいずれにも直行する方向を指す。
(3)フィルムのせん断かたさ
フィルムを20cm(機械方向)×20cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製のせん断試験機KES−FB1−Aを用いて、室温23℃、相対湿度65%、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/secの条件で、試料に−8°〜8°のせん断変形を与え、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である時点におけるせん断応力を測定した(以下、各時点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある)。HG0.5及びHG2.5より下記式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、HG−2.5及びHG−0.5より下記式G2を用いて負方向のせん断かたさ(G(−))をそれぞれ算出した。せん断応力の測定およびG(+)、G(−)の算出は、機械方向、幅方向ともに3回(合計6回)行い、そのすべてのG(+)、G(−)の値の平均値の小数第2位を四捨五入した値をそのフィルムのせん断かたさ(gf/(cm・deg))とした。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
なお、機械方向のせん断かたさを測定する場合は、フィルムの機械方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付け、幅方向のせん断かたさを測定する場合は、フィルムの幅方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付けた。
(4)フィルムの空孔率
フィルムを、30mm×40mmの大きさに切取り試料とした。電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気下で前記の試料の比重を測定した。この測定を3回行い、平均値をそのフィルムの比重(ρ)とした。次に、測定したフィルムを280℃の温度で5MPaの圧力で熱プレスを行い、その後、25℃の温度の水で急冷して無孔シート状物を作成した。このようにして得られた無孔シート状物の比重を、上記した方法で同様に測定し、平均値を樹脂の比重(d)とした。フィルムの比重(ρ)と樹脂の比重(d)から、次の式により空孔率(%)を算出した。
空孔率(%)=〔(d−ρ)/d〕×100
(5)フィルムの透湿度
25℃、90%RHに設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法に従って測定した。測定は3回行い、得られた値の平均値をフィルムの透湿度(g/(m・day))とし以下の基準で評価した。本項目については、A〜Cの評価のAとBを合格とした。
A:1,000g/(m・day)以上。
B:500g/(m・day)以上1,000g/(m・day)未満。
C:500g/(m・day)未満。
(6)フィルムの耐水性
JIS L 1092(2009)、A法(低水圧法)に規定された方法に準拠し、フィルムとクランプの間に、パッキンで挟んだ金網を置いた状態で、耐水圧(mm)を測定した。その耐水圧の値を用いて、以下の基準にて評価した。本項目については、A〜Cの評価のAとBを合格とした。
A:1,000mm以上。
B:500mm以上1,000mm未満。
C:500mm未満。
(7)フィルムの製膜安定性(インフレーション法)
インフレーション法で未延伸積層フィルムをバブル状に製膜する際、バブル幅の安定性を目視観察し、次の基準で評価した。本項目については、A〜Cの評価のAとBを合格とした。
A:バブル幅の変動が全くない。
B:変動幅が5mm以下のバブルの変動が生じる。
C:変動幅が5mmより大きいバブルの変動が生じる。
[熱可塑性樹脂]
・熱可塑性樹脂(A1)
ポリウレタン(商品名:OP85A10、BASFジャパン製)。使用前に回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
・熱可塑性樹脂(A2)
エチレン−メチルメタクリレート共重合体(商品名:“アクリフト”(登録商標)、WH307、住友化学工業社製)
・熱可塑性樹脂(A3)
低密度ポリエチレン(商品名:NUC8506、日本ユニカー社製)
[親水性樹脂]
・親水性樹脂(B1)
ポリエチレングリコール(商品名:PEG−6000、三洋化成工業社製)
・親水性樹脂(B2)
ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:“アクアパール”(登録商標)、三洋化成工業社製)
[食品添加剤]
・食品添加剤(C1)
ベニコウジ色素(商品名:アンカレットSP500、ヤエガキ醗酵技研社製)
・食品添加剤(C2)
アントシアニン色素(商品名:グレープカラーP、ヤエガキ醗酵技研社製)
[充填剤]
・充填剤(D1)
炭酸カルシウム(商品名:カルテックスR、丸尾カルシウム社製)
・充填剤(D2)
炭酸カルシウム(商品名:TOR2018、三共製粉社製)
(実施例1)
熱可塑性樹脂(A1)50質量%、充填剤(D1)50質量%の混合物をシリンダ−温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混錬し、均質化した後にペレット化して樹脂組成物Aを得た。この樹脂組成物A89質量%、親水性樹脂(B1)10質量%、食品添加剤(C1)1.0質量%の混合物をシリンダ温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混錬し、均質化した後にペレット化して樹脂組成物Bを得た。この樹脂組成物Bのペレットを回転式ドラム型除湿、真空乾燥機を用いて、温度90℃で5時間除湿乾燥し、樹脂組成物Bの乾燥ペレットを得た。乾燥したペレットを押出機シリンダ温度190℃のスクリュー径65mmの一軸押出機に供給し、ろ過精度100メッシュのフィルターを通過させた後、直径が250mmでリップクリアランスが1.0mmで温度が180℃のスパイラル型環状ダイスにより、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら引き取り、両端部をエッジカッターにて切断して2枚に切り開き、フィルムをワインダーにて巻き取った。吐出量の調整により最終厚みが20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
(実施例2)
実施例1に記載の方法により得られた樹脂組成物Bの乾燥ペレットを、X層用の組成物として1台目の一軸押出機に供給し、熱可塑性樹脂(A1)95質量%、充填剤(B1)5質量%を、Y層用の組成物として2台目の一軸押出機に供給した。次いで、供給部の温度を190℃としてそれぞれの組成物を溶解し、ろ過精度100メッシュのフィルターを通過させ、積層ダイを用いてX層/Y層の厚み比が3/1となるように積層した後、直径が250mmでリップクリアランスが1.0mmで温度が180℃のスパイラル型環状ダイスにより、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出した。その後、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら引き取り、両端部をエッジカッターにて切断して2枚に切り開き、フィルムをワインダーにて巻き取った。吐出量の調整により最終厚みが20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例3〜21)
熱可塑性樹脂、充填剤、親水性樹脂および食品添加剤を表1と2のように変更した以外は、実施例2と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの物性と評価結果を、表1〜3に示す。
(実施例22)
熱可塑性樹脂、充填剤、親水性樹脂および食品添加剤を表3のように変更し、積層ダイを用いてY層/X層/Y層の厚み比が1/2/1となるように積層した以外は実施例2と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
(実施例23,24)
熱可塑性樹脂、充填剤、親水性樹脂および食品添加剤を表3のように変更し、積層ダイを用いてX層/Y層/X層の厚み比が1/2/1となるように積層した以外は実施例2と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
(比較例1,2)
熱可塑性樹脂、充填剤、親水性樹脂および食品添加剤を表3のように変更した以外は、実施例2と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの物性と評価結果を、表3に示す。
Figure 2017095626
Figure 2017095626
Figure 2017095626
表1〜3におけるX層およびY層の各成分の「質量%」は、各層の全成分を100質量%としたときの値として算出した。
表3の実施例22における「フィルム厚みY層」はY層1つの厚みを、実施例23及び24における「フィルム厚みX層」はX層1つの厚みを意味する。

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂を含む層をX層としたときに、X層を有し、かつ水分に触れる、酸性成分に触れる、または塩基性成分に触れることによりb値が2以上変化することを特徴とする、フィルム。
  2. 前記X層が、食品添加剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記X層が、親水性樹脂を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のフィルム。
  4. KES法に従い測定されるせん断かたさが、0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 前記X層を構成する全成分を100質量%としたときに、X層中の充填剤の含有量が10質量%以上70質量%以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
  6. さらに、以下の条件1または2を満たす層(Y層)を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
    条件1:充填剤を含まない。
    条件2:層を構成する全成分を100質量%としたときに、層中の充填剤の含有量が0質量%より大きく30質量%以下であり、かつX層中の充填剤の含有量よりも小さい。
  7. 透湿度が500g/(m・day)以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のフィルムと不織布との積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113893092A (zh) * 2021-10-18 2022-01-07 雀氏(福建)实业发展有限公司 一种遇湿变色卫生用品的制备方法

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