JP2020055598A - 防臭袋 - Google Patents
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Abstract
Description
また、一般的に、防臭袋を開封し易くするためには、内層中に、前記界面活性剤を含ませる必要があるところ、本発明者は、防臭袋の内層中に界面活性剤が含まれていないか、または内層に含ませる界面活性剤を内層の樹脂の質量に対して所定値以下の割合としたとしても、前記内層の内表面の表面粗さRaを所定値以上にすることにより、または、前記内層の内表面同士を接触させた際の静摩擦係数μSを所定値以下とすることにより、袋が開封し易くなることを見出した。
前記内層は、樹脂と水酸化カルシウム粒子とを含み、かつ界面活性剤を含んでいないか、または前記樹脂の質量に対して1000ppm以下の界面活性剤を含み、
前記内層の内表面の表面粗さRaが、2μm以上である。
特に、袋内部で生成される臭気成分が酸性を示すものである場合には、このような臭気成分を水酸化カルシウム粒子で中和することにより比較的臭気が少ない成分に変換することができる。その結果、袋内部における臭気成分の量を少なくすることができる。
さらに、前記内層の内表面の表面粗さが2μm以上であるので、袋が閉じられた状態において内層の内表面同士の接触面積を少なくすることができる。そのため、内層の内表面同士の接触部分に作用するファンデルワールス力を小さくすることができる。その結果、防臭袋を比較的容易に開封することができる。
前記内層は、樹脂と水酸化カルシウム粒子とを含み、かつ界面活性剤を含んでいないか、または前記樹脂の質量に対して1000ppm以下の界面活性剤を含み、
前記内層の内表面同士を接触させた際の静摩擦係数μSが、0.3以下である。
また、前記内層の内表面同士を接触させた際の静摩擦係数μSが0.3以下であるので、袋が閉じられた状態において前記内層の内表面同士の接触部分を滑り易くすることができる。そのため、前記内層の樹脂同士の接触部分に作用するファンデルワールス力を小さくすることができる。その結果、防臭袋を比較的容易に開封することができる。
なお、樹脂フィルム10が単層フィルムである場合には、単層フィルムそのものが内層10aとなる。
なお、内層10aの厚さとは、内層10aの突出部分10aaを含む厚さを意味する。内層10aの厚さは、電子顕微鏡を用いて測定することができる。具体的には、500倍の倍率で樹脂フィルム10の断面を観察し、内層10aにおいてランダムに選んだ任意の5点の厚さを測定し、これらの測定値を算術平均することにより求めることができる。
以下の表1〜12に示した原料を用いて、試験例1〜12に係る防臭袋を作製した。各例に係る防臭袋は、上記の実施形態において説明したように、上吹き空冷インフレーション成形装置を用いてボトムシール法にて作製した。また、各例に係る防臭袋は、ガゼットタイプの袋として作製した。各例に係る防臭袋を構成する樹脂フィルムの厚さは30μmであった。また、各例に係る防臭袋は、幅(ガゼット加工された両端部間の距離)が230mmであり、長さ(ガゼット加工された両端部が延びる方向に沿った方向)が350mmであった。上記樹脂フィルムの各層の厚さは、電子顕微鏡を用いて測定した。具体的には、500倍の倍率で樹脂フィルムの断面を観察し、各層においてランダムに選んだ任意の5点の厚さを測定し、これらの測定値を算術平均することにより求めた。
なお、以下の表中において、水酸化カルシウム粒子の質量割合は、配合時における、LLDPEの質量を100に対する水酸化カルシウム粒子の質量割合を意味し、界面活性剤の質量割合は、配合時における、LDPEの質量に対する内層中に含ませる界面活性剤の合計質量の割合を意味する。
また、以下の各試験例において、外層中における、LLDPEの質量に対するAB剤の質量割合は600ppmであった。
試験例1、4、5及び12係る内層の原料としては、平均粒子径が3.6μmの水酸化カルシウム粒子(ナチュラルジャパン社製、製品名オホーツクカルシウム)を樹脂としてのLLDPEの質量に対して20重量%の割合で添加して作製したマスターバッチペレット(以下、第1水酸化カルシウムペレットという)と、内層における上記LLDPEの質量に対する水酸化カルシウム粒子の質量割合を調整するための上記LLDPEのナチュラペレット(以下、LLDPEペレットという)と、を用いた。
水酸化カルシウム粒子の平均粒子径は、配合前に、測定装置としてレーザ回折式粒度分布測定装置(セイシン企業社製、型式LMS−2000e)を用いて測定した。具体的な測定方法としては、散乱式の測定モードを採用し、測定試料(水酸化カルシウム粒子)が分散する分散液が循環する湿式セルにレーザ光を照射し、測定試料からの散乱光分布を得た。そして、散乱光分布を対数正規分布により近似し、その粒度分布(横軸、σ)において最小値を0.020μm、最大値を2000μmに設定した範囲の中で累積度50%(D50)にあたる粒子径を平均粒子径とした。
試験例2、3、9及び10に係る内層の原料としては、上記第1水酸化カルシウムペレットと、LLDPEの質量に対して所定の質量割合でスリップ剤を添加して作製したマスターバッチペレット(以下、スリップ剤ペレットという)と、LLDPEの質量に対して所定の質量割合で分散剤を添加して作製したマスターバッチペレット(以下、分散剤ペレットという)と、上記LLDPEペレットとを用いた。各試験例において、上記スリップ剤ペレットにおける上記LLDPEの質量に対するスリップ剤の質量割合、及び、上記分散剤ペレットにおける上記LLDPEの質量に対する分散剤の質量割合は、上記LLDPEペレットで希釈した後に、界面活性剤としての質量割合が各表中に記載した値となるように調節した。
試験例6に係る内層の原料としては、上記第1水酸化カルシウムペレットそのものを用いた。
試験例7に係る内層の原料としては、上記水酸化カルシウム粒子を上記LLDPEの質量に対して40重量%の割合で添加して作製したマスターバッチペレット(以下、第2水酸化カルシウムペレットという)と、上記LLDPEペレットとを用いた。
なお、図3に示したように、実施例1に係る防臭袋では、水酸化カルシウム粒子の外表面は、内層の内表面から露出していなかった。また、他の実施例に係る防臭袋についても同様であった。
試験例8に係る内層の原料としては、平均粒子径が3μmのAB剤(合成珪酸塩粒子)を上記LLDPEの質量に対して20質量%の割合で添加して作製したマスターバッチペレット(以下、AB剤ペレットという)と、上記スリップ剤ペレットと、上記分散剤ペレットと、上記LLDPEペレットとを用いた。
試験例11に係る内層の原料としては、上記スリップ剤ペレットと、上記分散剤ペレットと、上記LLDPEペレットとを用いた。
各例に係る外層の原料としては、上記AB剤ペレットと、上記スリップ剤ペレットと、上記分散剤ペレットと、白色顔料(酸化チタン)を上記LLDPEの質量に対して所定の質量割合で添加して作製したマスターバッチペレット(以下、顔料ペレットという)と、上記LLDPEペレットとを用いた。
各例に係る第1接着層及び第2接着層の原料としては、変性ポリオレフィンのナチュラルペレットを用いた。
試験例1〜10及び12に係る防臭バリア層の原料としては、エチレン含有率が32mol%のEVOHのナチュラルペレットを用いた。
試験例11に係る中間層の原料としては、上記LLDPEペレットと、上記分散剤ペレットとを用いた。
以下の表13に、試験例1、4〜7、及び10〜12に係る防臭袋の内層の内表面について、生菌数及び抗菌活性を評価した結果と、上記各防臭袋の生産性を評価した結果とを示した。生菌数及び抗菌活性値は、JIS Z2801 5に準拠して求めた。供試菌としては、大腸菌(Escherichia coli)を用いた。また、生菌数及び抗菌活性の評価に際して、上記各防臭袋の内層の内表面は、アルコール拭きしなかった。なお、以下の表13の生産性の項目において、〇は、5層構造の防臭袋の製造において、内層の製膜を極めて安定して行えることを意味し、△は、内層の製膜が比較的安定して行える(製膜中に袋が破れない)ことを意味し、×は、内層の製膜が極めて不安定である(製膜中に袋が破れる)ことを意味している。
また、表13より、樹脂の質量に対する水酸化カルシウム粒子の質量の割合を20質量%以下とすれば、内層の製膜を比較的安定して行うことができること、すなわち、効率良く製造を行うことができることが分かった。
以下の表14〜16に、試験例1、8及び11に係る防臭袋について、長期防臭性能を調べた結果を示した。臭気成分としては、イソ吉草酸(酸性ガス)、アンモニア(塩基性ガス)、及びメチルメルカプタン(酸性ガス)を用い、袋中での臭気成分の初発濃度は100ppmmとした。長期防臭性能は、以下の手順に従って調べた。
(1)上記各例に係る防臭袋中に上記各臭気成分をそれぞれ初発濃度100ppmとなるように注入する。
(2)上記各例に係る防臭袋のトップ側を封止(ヒートシール)した後、封止した各例に係る防臭袋を密封チャック付きのアルミラミネート袋中に入れて、密閉チャックにてアルミラミネートバックを密閉する。
(3)経過時間ごと(1時間、24時間、48時間、72時間及び168時間)に、アルミラミネート袋中の臭いを確認する。
なお、上記長期防臭性能の評価は、パネラー3名による官能試験にて行った。以下の表14〜16において、〇はアルミラミネート袋中に臭気を感じないことを意味し、△は、アルミラミネート袋中にやや臭気を感じることを意味し、×は、アルミラミネート袋中に強い臭気を感じることを意味している。
また、臭気バリア層を備えているが、内層に水酸化カルシウム粒子を全く含有していない試験例8に係る防臭袋では、アルミラミネート袋中の臭気が経時的に強くなる傾向が認められた。特に、臭気成分が、酸性ガスであるイソ吉草酸及びメチルメルカプタンの場合には、48時間経過後から、アルミラミネート袋中に臭気が感じられるようになり、168時間経過後には、強い臭気が感じられるようになることが分かった。
これに対し、試験例1に係る防臭袋では、いずれの臭気成分についても、168時間経過後でもアルミラミネート袋中に臭気は感じられなかった。
これらの結果から、内層に水酸化カルシウム粒子を含有することにより、長期防臭性能が向上することが分かった。特に、アルミラミネート袋中への臭気成分の漏れ出しがより顕著な酸性ガス(イソ吉草酸及びメチルメルカプタン)の場合に、優れた防臭性能が得られることが分かった。これは、水酸化カルシウム粒子によって酸性ガスが中和されることにより、臭気成分の漏れ出しがより顕著に抑制されたことによるものであると考えられる。
試験例1〜3、9及び10に係る防臭袋について、界面活性剤が防臭袋中の臭気に及ぼす影響を調べた。その結果を表17に示した。なお、臭気成分としては、イソ吉草酸を用い、袋中での臭気成分の初発濃度は100ppmとした。界面活性剤が臭気に及ぼす影響は、以下の手順に従って調べた。
(1)上記各例に係る防臭袋中にイソ吉草酸をそれぞれ初発濃度100ppmとなるように注入する。
(2)上記各例に係る防臭袋のトップ側を封止(ヒートシール)し、経過時間ごと(1時間、24時間、48時間、72時間及び168時間)に、防臭袋のトップ側を開封して防臭袋中の臭いを確認する。トップ側を開封した防臭袋は、臭いを確認した後に、再度トップ側を封止(ヒートシール)する。
なお、界面活性剤が臭気に及ぼす影響は、パネラー3名による官能試験にて行った。以下の表17において、〇は防臭袋中に臭気を感じないことを意味し、△は、防臭袋中にやや臭気を感じることを意味し、×は、防臭袋中に強い臭気を感じることを意味している。
この結果から、樹脂の質量に対する界面活性剤の質量の割合が1000ppm以下であれば、防臭袋中の臭気を十分に抑制できることが分かった。
実施例1、4、10及び12に係る防臭袋について、樹脂の質量に対する界面活性剤及び水酸化カルシウム粒子の質量割合が防臭袋の長期防臭性能に及ぼす影響について調べた。その結果を表18に示した。なお、臭気成分としては、犬の糞を用いた。
なお、臭気成分として犬の糞を用いた以外は、上記の長期防臭性能の評価の項に記載したのと同様にして、評価を行った。
また、試験例1、4、及び12を比べると、樹脂の質量に対する水酸化カルシウム粒子の質量割合が減少するにつれて、経時的に、アルミラミネート袋中の臭気が強くなる傾向が認められた。
これらの結果から、内層中の界面活性剤が検出限界未満の防臭袋の方が、長期防臭性能を維持できることが分かった。また、内層中において、樹脂の質量に対する水酸化カルシウム粒子の質量割合が高いほど、長期防臭性能を維持できることが分かった。
試験例1、4、11及び12に係る防臭袋について、樹脂の質量に対する水酸化カルシウム粒子の質量割合が防臭袋の開封性に及ぼす影響について調べた。その結果を表19に示した。
なお、各例に係る防臭袋について、内層の内表面の表面粗さRaを測定したので、その結果についても表19に示した。内層の内表面の表面粗さRaは、JIS B0601(2013年)で定義された算術平均粗さである。表面粗さRaは、測定装置としてレーザマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、型式VK−100)を用いて測定した。具体的には、測定速度0.5mm/秒にて、2点間距離が500μmの範囲において、任意の6点の表面粗さRaの値を測定し、6点の測定値を算術平均することにより測定した。
また、防臭袋の開封性の評価は、パネラー3名による防臭袋の開封し易さを調べることにより行った。以下の表19の開封性の項において、〇は、防臭袋の内層同士の付着が弱く、防臭袋を容易に開封できることを意味し、△は、防臭袋の内層同士の付着が比較的弱く、爪などで隙間から比較的容易に防臭袋を開封できることを意味し、×は、防臭袋の内層同士の付着が強く、ブロッキングしており、防臭袋の開封が困難であることを意味している。
また、内層に界面活性剤を含んでいない例に係る防臭袋、すなわち、試験例1に係る防臭袋、試験例4に係る防臭袋、及び試験例12に係る防臭袋の開封性を比較すると、内層の内表面の表面粗さRaの値が大きくなるにつれて、開封性が良好となることが分かった。さらに、表面粗さRaが2以上であれば、比較的容易に袋を開封できるようになることも分かった。
また、内層の内表面の表面粗さRaを2以上とすることにより、内層に界面活性剤を含有していない防臭袋であったとしても、内層に界面活性剤を含有している試験例11に係る防臭袋と同程度の開封性が得られることが分かった。
内層中の水酸化カルシウム粒子の平均粒子径が防臭袋の開封性に及ぼす影響を調べるために、内層中に、平均粒子径が異なる水酸化カルシウム粒子が含有された5個の防臭袋を作製した(試験例13〜17に係る防臭袋)。防臭袋の開封性の評価は、パネラー3名による防臭袋の開封のし易さを調べることにより行った。上記各例に係る防臭袋において、内層中に含有させる水酸化カルシウム粒子の平均粒子径は、それぞれ、0.3μm(試験例13)、0.5μm(試験例14)、3.6μm(試験例15)、20μm(試験例16)、及び25μm(試験例17)とした。水酸化カルシウム粒子の平均粒子径は、上記方法により測定した。各例において、内層中において、樹脂であるLLDPEの質量に対する水酸化カルシウムの質量の割合は、5質量%とした。内層の原料には、各平均粒子径の水酸化カルシウムをLLDPEの質量に対して40質量%含むマスターバッチ、及び上記LLDPEペレットを用いた。各例に係る防臭袋の外層、第1接着層、第2接着層、及び臭気バリア層の原料には、試験例1に示したものと同じものを用いた。また、各例に係る防臭袋は、試験例1等に係る防臭袋と同様に、上吹き空冷インフレーション成形装置を用いてボトムシール法にて、試験例1等に係る防臭袋と同寸法となるように作製した。
また、各例に係る防臭袋の生産性についても調べた。生産性は、上記インフレーション成形装置での各例に係る防臭袋の作製中に、押出機のスクリュとダイとの間に設置されたスクリーンメッシュに目詰まりが生じるか否かによって判断した。
各例に係る防臭袋の開封性及び生産性を評価した結果を以下の表20に示した。表20の開封性の項において、〇は、防臭袋の内層同士の付着が弱く、防臭袋を容易に開封できることを意味し、△は、防臭袋の内層同士の付着が比較的弱く、爪などで隙間から比較的容易に防臭袋を開封できることを意味し、×は、防臭袋の内層同士の付着が強く、ブロッキングしており、防臭袋の開封が困難であることを意味している。また、表20の生産性の項において、〇は、防臭袋の作製中にスクリーンメッシュに目詰まりが生じず生産を良好に行えることを意味し、×は、防臭袋の作製中にスクリーンメッシュに目詰まりが生じて生産が不良となることを意味している。
また、表20より、試験例13に係る防臭袋及び試験例17に係る防臭袋は、袋を作製するときの生産性が不良となる、すなわち、防臭袋を効率良く製造することが困難となることが分かった。試験例17に係る防臭袋の生産性が不良となる原因は、水酸化カルシウム粒子の平均粒子径が大きいことによるものだと考えられる。また、試験例13に係る防臭袋の生産性が不良となる原因は、水酸化カルシウム粒子が凝集して粗大化することにより、スクリーンメッシュの詰まりが生じたことによるものだと考えられる。
上記の結果から、防臭袋の生産性、換言すれば、防臭袋を効率良く製造することまで考慮すると、内層中の水酸化カルシウムの平均粒子径は、0.5μm以上20μm以下とすることが適切であると考えられる。
試験例1、11及び12に係る防臭袋について、内層の内表面同士を接触させた際の静摩擦係数が防臭袋の開封性に及ぼす影響について調べた結果を、表21に示した。静摩擦係数μSは、測定装置として摩擦測定機を用いてJIS K7125(1999年)に準拠して測定した。具体的には、以下のように測定した。まず、摩擦測定機のテーブル上に、内層10a同士を接触させて重ね合わせた2枚の樹脂フィルム10を載置した。次に、重ね合わせた上記2枚の樹脂フィルム10上に、200gのスレッドを載置した。次に、摩擦測定機のテーブルの表面と接している一方の樹脂フィルム10を測定速度100mm/分にて引っ張り、該一方の樹脂フィルム10が動き出すときの摩擦係数を測定した。静摩擦係数μSの測定は各例について3回ずつ行った。
また、表21には、各例に係る防臭袋について、開封性を調べた結果についても示した。
試験例11に係る防臭袋の静摩擦係数μSの値が試験例12に係る防臭袋の静摩擦係数μSに比べて小さいのは、試験例11に係る防臭袋の内層中に界面活性剤(スリップ剤及び分散剤)が含まれていることが原因であると考えられる。
一方で、試験例1に係る防臭袋は、内層中に界面活性剤を含んでいないものであるにも関わらず、試験例1に係る防臭袋の静摩擦係数μSの値の方が、試験例12に係る防臭袋の静摩擦係数μSの値よりも小さくなっている。これは、内層中における、樹脂の質量に対する水酸化カルシウム粒子の質量の割合によるものであると考えられる。詳しくは、試験例1に係る防臭袋は、内層中に水酸化カルシウム粒子を5質量%含んでいるため、内層の内表面における水酸化カルシウム粒子の突出部分が比較的多くなり、内層の内表面同士の接触部分が少なくなっているのに対し、試験例12に係る防臭袋は、内層中含まれる水酸化カルシウム粒子が0.5質量%と少ないため、内表面における水酸化カルシウム粒子の突出部分が比較的少なくなり、内層の内表面同士の接触部分が多くなっていることが原因であると考えられる。
また、試験例1に係る防臭袋、試験例11に係る防臭袋、及び試験例12に係る防臭袋について開封性を調べた結果を見ると、試験例1に係る防臭袋及び試験例11に係る防臭袋は開封が容易なものであるのに対し、試験例12に係る防臭袋は開封が困難なものとなっていることが分かる。
これらの結果から、内層の内表面同士が接触する際の静摩擦係数μSの値を0.30以下とすれば、防臭袋を開封が容易なものとすることができると考えられる。
10a:内層、10b:外層、10c:臭気バリア層、10d:第1接着層、
10e:第2接着層、
10a1:水酸化カルシウム粒子。
Claims (5)
- 袋の内表面を構成する内層を有し、
前記内層は、樹脂と水酸化カルシウム粒子とを含み、かつ界面活性剤を含んでいないか、または前記樹脂の質量に対して1000ppm以下の界面活性剤を含み、
前記内層の内表面の表面粗さRaが、2μm以上である
防臭袋。 - 袋の内表面を構成する内層を有し、
前記内層は、樹脂と水酸化カルシウム粒子とを含み、かつ界面活性剤を含んでいないか、または前記樹脂の質量に対して1000ppm以下の界面活性剤を含み、
前記内層の内表面同士を接触させた際の静摩擦係数μSが、0.3以下である
防臭袋。 - 前記水酸化カルシウム粒子の平均粒子径は、0.5μm以上20μm以下である
請求項1または2に記載の防臭袋。 - 前記水酸化カルシウム粒子は、前記樹脂の質量に対して、1.0質量%以上20質量%以下の割合で含まれている
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防臭袋。 - 前記内層の外側に、前記内層よりもガスバリア性が高い材料からなる臭気バリア層を備える
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の防臭袋。
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