JP2004099142A - 透明性を有する食品包装用フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイナスイオンを発生すると共に、遠赤外線を放射する天然石の粉体を、合成樹脂に配合した組成物を成形してなる透明性を有する食品包装用フィルムである。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイナスイオン及び遠赤外線を発する天然石の粉体を使用した生鮮食品の鮮度保持に有用な食品包装用フィルム、特には透明性を有する家庭用食品包装用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、野菜や果実などの生鮮食品の包装に使用される食品包装用フィルム、特には家庭用食品包装用フィルムとしては、主にポリオレフィン系樹脂などを素材として、これに必要に応じて各種の添加剤を配合して成形してなるものが知られている。
ところで、近年、食中毒などが社会的問題となっており、衛生面の対策が考慮されているが、食品包装において鮮度を充分に保つことが望まれており、食品の鮮度の保持の観点から、鮮度保持の重要性が極めて高まってきている。
このような鮮度保持機能を有するものとして、樹脂製の複合材に、セラミックス材料を添加混入してなる複合材が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−87476号公報(第2頁〜第19頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鮮度保持を向上させるためには、上記のように、樹脂にセラミックス材料を添加混入させて用いる方法や、あるいは生鮮食品を低温に保ったり、酸素に曝されない密封状態にしたりすることにより、鮮度保持が行なわれていたが、従来の食品包装用フィルムでは、鮮度保持を必ずしも充分に満足するものはなく、このような現状に対応できる食品包装用フィルムは、未だに開発されていない。
このようなことから、ポリオレフィン系樹脂を用いた鮮度保持を向上させることができる食品包装用フィルムが求められていた。
【0005】
そこで、本発明は、生鮮食品の鮮度保持を向上させると共に、保温効果を有し、生鮮食品及び油物のいたみを防止することができる優れた食品包装用フィルムを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、マイナスイオン及び遠赤外線が鮮度保持に有効であるという知見に基づき、マイナスイオンを発生し、遠赤外線を放射する特殊な天然石の粉体を用いて、これを合成樹脂に配合した組成物を成形して食品包装用フィルムとすることにより、実用上極めて望ましい食品包装用フィルムを提供できることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、マイナスイオンを発生すると共に、遠赤外線を放射する天然石の粉体を、合成樹脂に配合した組成物を成形してなる透明性を有する食品包装用フィルムである。
また、前記合成樹脂100重量部に対し、天然石の粉体を0.1〜5重量部の範囲内で添加配合してなるものが好ましく、更に前記天然石の粉体が、粒径0.5〜5μmの範囲内で調製されたものが好ましい。
また、前記天然石が、石英片岩であることがマイナスイオン及び遠赤外線の発する量の点で好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の食品包装用フィルムについて、更に詳細に説明する。
本発明の食品包装用フィルムに用いられる天然石は、マイナスイオン及び遠赤外線を発するものであることが重要であって、このような天然石としては、石英片岩、貴陽石、医王石、角閃石、生光石などが挙げられるが、マイナスイオン及び遠赤外線を発する天然石であれば、これら以外のいずれのものでもよく、鮮度保持の観点から用途及び使用形態に応じて適宜選択することができる。
これら例示した天然石の中では、マイナスイオン及び遠赤外線の発する量並びに経済性から最も有効な石英片岩が好ましい。
また、石英片岩としては、約2,000万年前、二つの海洋プレートがぶつかり合って起きた大規模な地殻変動により、10,000気圧の超高圧と超高温で生成されたと推定される愛知県北設楽郡の一部に産出されるものが、特に好ましく採用される。
【0009】
マイナスイオンは、鮮度保持に有効であるが、このマイナスイオンの発生量は、例えば、マイナスイオン測定器[神戸電波社製]を用いて、天然石の粉体の振動による数値で測定することができ、この値が好ましくは700(個/cm3)以上、より好ましくは1,500(個/cm3)以上の範囲である。
また、遠赤外線は、殺菌効果と鮮度保持効果を有するため、生鮮食品の鮮度向上に有効である。この遠赤外線の波長は、通常、4.0〜1,000μmの範囲内である。
【0010】
本発明に用いられる天然石は、粉砕して粉体として使用されるが、その粉体の粒径は、通常、10μm以下、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは0.8〜1.5μmの範囲内である。この粒径が、10μmを超えると、得られるフィルムの透明性に劣ると共に、成形性に問題が起こり易い。
【0011】
本発明に用いられる天然石の粉体は、合成樹脂に添加配合されるが、前記合成樹脂100重量部に対し、好ましくは0.1〜5重量部の範囲、より好ましくは0.3〜1.0重量部の範囲内で添加配合される。
この天然石の粉体の添加量が、0.1重量部未満であると、マイナスイオン及び遠赤外線の発する量が少なく鮮度保持が不十分であり、逆に5.0重量部を超えると、透明性に劣ると共に、フィルムとしての成形性に問題が起こり易くなる。
【0012】
本発明に用いられる合成樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂などが代表的に挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムポリマー、プロピレンブロックポリマー等のポリプロピレン;ポリブタジエン、ポリイソプレン並びにこれらの水素添加物等のジエン系エラストマー;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン三元共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体等のオレフィン系エラストマー;エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体等の変性オレフィン系樹脂;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体並びにこれらの水素添加物等のスチレン系エラストマー等が挙げられるが、中でもポリエチレンやポリプロピレンがより好適に採用される。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で使用しても良いが、2種類以上を併用しても良い。
【0013】
また、これら例示したポリオレフィン系樹脂は、通常、単層として使用されるが、好ましくは、ポリエチレン系樹脂を芯層として、その表面及び裏面に、ポリプロピレン系樹脂を被覆層として形成させる三層構造であることが強度的により好ましい。なお、この三層構造の場合には、上記した天然石の粉体は、少なくとも被覆層に添加配合されていればよい。
【0014】
次に、本発明の食品包装用フィルムの製造するには、合成樹脂としてポリオレフィン系樹脂を用いた場合、例えば、上記天然石の粉体を含めた上記各成分からなる組成物を、押出機に供給して溶融混練した後、Tダイ、インフレーション等により製膜する公知の製膜方法が挙げられる。また、フィルムの表面に、コロナ処理を施してもよい。具体的に1つの製造方法を挙げると、3台の押出機を使用して、芯層及び被覆層を構成する前記各溶融樹脂組成物を、3層Tダイスからそれぞれ所定の層厚が得られるように、180〜240℃で共押し出しし、この溶融樹脂フィルムを20〜50℃の冷却ロールで冷却しながらフィルムを成形する。
【0015】
上記のようにして得られた食品包装用フィルムは、通常用いられている厚さのものであれば特に制限はなく、一般的には、0.2mm以下、好ましくは8〜100μmの範囲、より好ましくは9〜15μmの範囲内であり、使用される用途に応じて適宜選択すればよく、種々の厚さのものを採用することができる。
【0016】
本発明の食品包装用フィルムは、透明性を有しており、包装された生鮮食品を外部から透視できる程度であればよく、好ましくは、ヘイズ[(散乱光線透過率/全光線透過率)×100]が、1〜5%、より好ましくは1〜2%の範囲内である。
【0017】
本発明の食品包装用フィルムは、生鮮食品の鮮度向上は、勿論のこと、脱臭効果も兼ね備えているため、包装された生鮮食品内で発生する匂いや外部からの匂いを脱臭することができるとともに、電子レンジ等で加熱されたときに発生する嫌な匂いの発生防止を可能にしている。また、保温効果を有するため、油物などのいたみを防止することができる。
さらに、本発明の食品包装用フィルムは、更に成形を行ない袋状として使用することもできる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の具体的態様を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例の記載にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
芯層として、ポリエチレン樹脂100重量部に対し、粉砕された粒径1μmの石英片岩1重量部を添加配合してなる組成物を用い、芯層の表面及び裏面を形成する被覆層として、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、粉砕された粒径1μmの石英片岩1重量部を添加配合してなる組成物を用いた。3台の押出機を使用して、芯層及び被膜層を構成する各溶融樹脂組成物を、インフレーション法でそれぞれ芯層6μm、被覆層各3μmが得られるように、230℃で共押出しし、この溶融樹脂フィルムを20〜50℃の冷却ロールで冷却しながら、巻き取り機にて、合計厚さ12μm、幅1,000mmの食品包装用フィルムを巻き取り、食品包装用フィルムを作製した。このときの食品包装用フィルムのヘイズは、2%であった。
【0019】
得られた食品包装用フィルムを用いて、生鮮食品であるレタス、キャベツ、イチゴをそれぞれ包装し、温度20℃、湿度30%の条件下で、包装された生鮮食品を放置し、その鮮度状態を経時的に観察した。
その結果、7日経過しても、鮮度を保つことができ、脱臭作用により、嫌な匂いもなく、食べられる状態であった。
【0020】
[比較例1]
石英片岩を使用しない以外は、実施例1と同様の樹脂組成物を用いて、同様の条件で、合計厚さ12μm、幅1,000mmの食品包装用フィルムを巻き取り、食品包装用フィルムを作製した。このときの食品包装用フィルムのヘイズは、1%であった。
【0021】
得られた食品包装用フィルムを用いて、生鮮食品であるレタス、キャベツ、イチゴをそれぞれ包装し、温度20℃、湿度30%の条件下で、包装された生鮮食品を放置し、その鮮度状態を経時的に観察した。
その結果、7日経過する以前でも、レタス、キャベツ、イチゴの鮮度が落ちてしまい、嫌な匂いが発生し、食べられる状態ではなかった。
【0022】
[評価の結果]
上記の結果からも明らかなように、本発明に係る食品包装用フィルムは、生鮮食品の鮮度保持を長期間維持することができたのに対し、従来の食品包装用フィルムでは、ある程度の鮮度保持は可能であるが、本発明のような長期間の鮮度保持は維持できなかった。
【0023】
【発明の効果】
本発明の食品包装用フィルムによれば、生鮮食品の鮮度保持を向上させると共に、保温効果を有し、脱臭効果を有することにより、生鮮食品及び油物のいたみを防止することができる優れた食品包装用フィルムを提供することでき、その実用的価値は極めて高い。
Claims (4)
- マイナスイオンを発生すると共に、遠赤外線を放射する天然石の粉体を、合成樹脂に配合した組成物を成形してなることを特徴とする透明性を有する食品包装用フィルム。
- 前記合成樹脂100重量部に対し、天然石の粉体を0.1〜5重量部の範囲内で添加配合してなる請求項1に記載の透明性を有する食品包装用フィルム。
- 前記天然石の粉体が、粒径0.5〜5μmの範囲内で調製された請求項1又は2に記載の透明性を有する食品包装用フィルム。
- 前記天然石が、石英片岩からなる請求項1〜3のいずれかに記載の透明性を有する食品包装用フィルム。
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