JPH06125751A - 食品包装用多孔質シート - Google Patents

食品包装用多孔質シート

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Publication number
JPH06125751A
JPH06125751A JP2800791A JP2800791A JPH06125751A JP H06125751 A JPH06125751 A JP H06125751A JP 2800791 A JP2800791 A JP 2800791A JP 2800791 A JP2800791 A JP 2800791A JP H06125751 A JPH06125751 A JP H06125751A
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JP
Japan
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porous sheet
food
sheet
softening agent
food packaging
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Application number
JP2800791A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuo Iimura
満男 飯村
Hiroshi Nagami
永海  洋
Kenji Ikehara
健治 池原
Tatsuhiko One
達彦 大根
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Publication date
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 [目的] 食品を包装することにより、当該食品中への
外部からの異物の混入を防止して食品の安全性を向上さ
せたり、食品の風味や香りの低下を防止し、且つ、軟化
剤による異臭の食品への付着を防ぐようにした食品包装
用多孔質シートを提供するものである。 [構成] 食品を包装するための熱可塑性樹脂製の多孔
質シートであって、該多孔質シートには多数の微細孔が
設けられており、且つこのシートの軟化剤が食品衛生法
第20号による、50℃のn−ヘプタン抽出後の溶出量
が30ppm以下のものであることを特徴とするものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【 産業上の利用分野】本発明は食品用の包装材として
好適に利用される食品包装用多孔質シートに関するもの
である。
【0002】
【 従来の技術】食品は広域流通段階やスーパーマッケ
ト更に外食産業等の分野で包装され、販売されている。
このような情況の中で、食品は「安心して食せるもの」を
前提にし、新鮮で美味しく、しかも外観が美しいものが
喜ばれるので、新加工技術、品質の向上、鮮度保持技
術、流通過程での保存技術などが開発され、利用される
傾向にある。
【0003】このような情況下において、食品の包装が
益々重要になっている。
【0004】ところで、食品の包装は、食品に外部から
異物が混入することを防ぎ、また食品の蒸れや結露更に
乾燥、香味のロスなどによる食品自身の変質、変敗を抑
え、しかも直接手に触れることがなくなるので衛生的に
取扱うことができるなどの利点がある。又、食品は包装
することにより、外観を良くして商品価値を高めるだけ
でなく、内容物の製造年月日等の表示が可能になり、消
費者が食品を選択し易くなるなどの理由により、包装は
極めて重要なものとなっている。
【0005】特に、最近は外食産業の発達により、ハン
バーグ等の焼きたて、製造直後の食品をその場で包装
し、販売したり、レトルト食品を包装したまま熱湯或い
は電子レンジ等で加熱することにより簡単、且つ手軽に
調理ができるようになってきた。このように包装技術の
発達により、従来不可能であったものも可能となりつつ
ある。
【0006】この食品の包装形態には瓶、缶或いは箱等
の成形容器に詰める方法が挙げられるが、このような成
形容器に比較して、シート状(以下、本発明ではフィル
ムも含む意味である。)のものが、使用される樹脂量が
少ないので化石燃料の無駄が無い上、嵩張らないのであ
り、しかも形状がフレキシブルで食品を包装し易いなど
の理由により、大量に用いられている。
【0007】このシート状の包装材として熱可塑性樹脂
製のシートやフィルムが挙げられる。
【0008】この熱可塑性樹脂としてはポリエチレンや
ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル又はポリアミドなど
が挙げられるが、これらのうち特にポリオレフィンで形
成されたフィルムやシートが透明性が優れる上、弾性が
あり、印刷も容易であるだけでなく、化学的安定性に優
れ、且つヒートシールが簡単にでき、生鮮食品の包装に
広く用いられており、特に、中密度ポリエチレンは耐寒
性が優れているので、冷凍食品や低温流通の生鮮食品に
多用されている。
【0009】従来、この種、包装用の多孔質シート(フ
ィルム)の製造方法としては以下のものが挙げられる。
【0010】即ち、 線状低密度ポリエチレン樹脂に
充填剤と液状又はワックス状の炭化水素重合体を配合し
てなる組成物を溶融成形して得たフィルム又はシートを
延伸処理する方法が提案されている(特公昭62−15
090号公報)。
【0011】又、 ポリオレフィン樹脂に充填剤と液
状ゴムを配合してなる組成物を溶融成形して得たシート
を延伸して多孔質シートを得ることが提案されている
(特開昭57−47334号公報)。
【0012】
【 発明が解決しようとする課題】しかしながら、この
ようなポリオレフィン系の樹脂で形成したシート(フィ
ルム)を食品の包装材として用いた場合、このポリオレ
フィン系の樹脂中の軟化剤や充填剤が、食品中の液体
(だし汁等)によって抽出されないことや、食品或いは食
品中の液体(だし汁等)に化学的に安定であることが要求
されるが、従来、多孔質シートの軟化剤として、液状又
はワックス状の炭化水素重合体或いは液状ゴムが用いら
れており、これらの軟化剤は無孔のシートの場合、さほ
ど抽出されないが、シートを多孔質にすることにより抽
出され易くなって食品中の液体(だし汁)により抽出され
る場合があり、人体への影響や食品の風味等の低下に直
結する等、種々の課題が生じる。
【0013】本発明は、上記技術的課題に鑑み完成され
たものであって、食品を包装するための熱可塑性樹脂製
の多孔質シートであって、該多孔質シートに軟化剤を用
いている場合、その軟化剤が食品衛生法第20号によ
る、50℃のn−ヘプタン抽出後の溶出量が30ppm以下
のものであることより、安全性を向上させる上、食品の
風味や香りの低下を防止し、又、軟化剤による異臭の発
生を防ぐようにした食品包装用多孔質シートを提供する
ことを目的とする。
【0014】
【 課題を解決するための手段】本発明の食品包装用多
孔質シートは、上記目的を達成するために、以下の技術
的手段を講じたものである。
【0015】即ち、本発明の食品包装用多孔質シート
は、食品を包装するための熱可塑性樹脂製の多孔質シー
トであって、該多孔質シートには多数の微細孔が設けら
れており、且つこのシートの軟化剤が食品衛生法第20
号による、50℃のn−ヘプタン抽出後の溶出量が30p
pm以下のものであることを特徴とするものである。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられる熱可塑性樹脂製の多孔質シートとしては食品
の包装に用いられるものであれば特に限定されるもので
はない。
【0017】具体的な代表例としては、低密度ポリエチ
レン、リニア低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオ
レフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ン、ポリブタジエン、セロファン、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
ビニルアルコール、ポバール、エチレン・酢酸ビニル共
重合体又はエチレンビニルアルコール共重合体等が挙げ
られるのであり、これらは単独或いは2種以上の積層シ
ートでも良いのである。
【0018】本発明においては、これらの樹脂を用い、
多孔質シート(フィルムも含む。以下同じ)が形成される
が、その方法としては特に限定されるものではなく、例
えばシートを形成した後、延伸により多孔質にしたり又
は機械穿孔等によって多孔質にしても良いが、特に延伸
による方法が均一な多孔質シートを容易に且つ経済的に
得られるから望ましい。
【0019】本発明においては、上記多孔質シートに軟
化剤を用いている場合、その軟化剤が食品衛生法第20
号による、50℃のn−ヘプタン抽出後の溶出量が30p
pm以下のものであることを要する。
【0020】即ち、多孔質シートで食品を包装した場
合、食品中のだし汁等によって軟化剤が抽出されると、
人体に対する影響が懸念される上、食品の風味や香りが
低下したり、軟化剤による異臭が発生する等、食品の商
品価値を著しく低下させるのである。
【0021】上記軟化剤としては、用いられる熱可塑性
樹脂と相溶性があるものであり、しかも当該熱可塑性樹
脂によって選択、使用されるが、具体的には、各樹脂に
より適宜、熱可塑性樹脂より低分子量の樹脂などが挙げ
られる。
【0022】又、本発明においては、上記食品包装用の
多孔質シート中に種々の充填剤が配合される場合がある
が、この充填剤としては酸と反応しない物質であること
を要し、無機質の充填剤としては食品衛生法の酢酸抽出
試験をクリヤーするものであり、この点より、酸性充填
剤が好ましく、例えばシリカ粉末(SiO2)、クレー等が
挙げられるのであり、有機質の充填剤としてはポリエス
テル微粉末、ポリアミド微粉末、シリコン微粉末、フッ
素樹脂微粉末等が挙げられる。
【0023】即ち、無機質の充填剤を用いる場合、その
充填剤が食品や食品のだし汁に対して安定であることを
要するが、だし汁が酸性であり、酸と反応する充填剤、
例えば炭酸カルシウムはだし汁と反応して食品の風味等
を低下させるので不適である。
【0024】本発明の食品包装用多孔質シートの厚さは
食品を包装する際に破損しない程度の強度を有すれば特
に限定されるものではないが、一般に15〜1000μ
m、特に30〜500μmの範囲とするのが望ましく、
厚さが、15μm未満になると食品を包装する際に破損
する恐れがあり、一方、1000μmを超えると厚くな
り過ぎて強度が大となるので食品の包装がしずらくなる
だけでなく、不経済である。
【0025】本発明の食品包装用多孔質シートにおいて
は、上記熱可塑性樹脂製の多孔質シートのうち、特に多
孔質シートがポリオレフィン系多孔質シートであり、且
つ軟化剤がポリオレフィン系軟化剤であるものが、生産
性が優れる上、弾性があり、印刷も容易であるだけでな
く、化学的に安定であり、ヒートシールが簡単にでき、
生鮮食品の包装に好適であり、特に、中密度ポリエチレ
ンは耐寒性が優れているので、冷凍食品や低温流通の生
鮮食品の包装材として優れるので有益である。
【0026】上記ポリオレフィン系軟化剤は、用いられ
るポリオレフィンと相溶性があり、上述の条件下、nー
ペプタンで抽出され難いものであり、用いられるポリオ
レフィンによって選択、使用される。
【0027】本発明に用いられるポリオレフィン系多孔
質シートとしてはポリオレフィン系樹脂で形成された多
孔質シートであれば特に限定されるものではなく、具体
的には、ポリオレフィン系樹脂でシートを形成し、該シ
ートに機械的に微細孔を形成してもよく、或いは一軸延
伸又は二軸延伸などの延伸により多孔質シートを形成し
ても良いのであり、特にこれらのうち、延伸により得た
多孔質シートは微細孔がシート全体に亙って均一に形成
されるので望ましい。
【0028】そして、この延伸率において、一軸延伸の
場合にはその延伸率が100〜400%、2軸延伸の場
合にはその延伸率が10〜200%とするのが、多孔質
シートの強度や微細孔の大きさ、つまり通気性や透湿性
等の観点より好ましいのである。
【0029】そして、一軸延伸の場合、延伸率が、10
0%未満では延伸された部分と未延伸部が混在して延伸
が不均一となり、一方、400%を超えると延伸中に破
断するばあいがあるから好ましくない。
【0030】又、二軸延伸の場合、延伸率が、10%未
満では延伸された部分と未延伸部が混在して延伸が不均
一となり、一方、200%を超えると延伸中に破断する
ばあいがあるから好ましくない。
【0031】なお、本明細書において、延伸率とは、下
記式1により求めた値である。
【0032】
【式1】延伸率(%)=(延伸後の寸法−延伸前の寸
法)/延伸前の寸法×100
【0033】上記ポリオレフィン系多孔質シートは、ポ
リエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィ
ン系樹脂で形成された多孔質シートが挙げられる。
【0034】本発明において、上記ポリオレフィン系樹
脂とポリオレフィン系軟化剤に、更に所望により、充填
剤が配合される場合には、その各々の配合割合は、ポリ
オレフィン系樹脂100重量部に対し、ポリオレフィン
系軟化剤5〜200重量部、充填剤50〜300重量部
とすることにより、機械的強度、食品の包装材として優
れたものが得られるから望ましい。
【0035】そして、本発明の食品包装用多孔質シート
においては、ポリオレフィン系多孔質シートがポリエチ
レン製多孔質シートであり、且つ軟化剤が分子量10,
000〜200,000のポリエチレン系軟化剤である
ものが有益である。
【0036】上記ポリエチレン系軟化剤はポリエチレン
との相溶性が良く、軟化剤として優れた機能を発揮する
ものである。
【0037】ポリエチレン系軟化剤の分子量が、10,
000未満であると、50℃のnーヘプタンに抽出さ
れ、軟化剤の抽出量が30ppmを超えて食品の風味や香
りを低下させたり、食品に軟化剤の異臭が付着する恐れ
があり、一方、200,000を超えると軟化剤として
の機能を充分に果たすことができなくなるので、いずれ
も望ましくない。
【0038】ここにおいて、分子量は:ゲルパミレーシ
ョンクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量
である。
【0039】上記ポリエチレン系軟化剤において、軟化
剤としての機能や成形加工性、得られた多孔質シートの
品質、耐油性等の観点より、分子量が150,000〜
180,000で、比重0.90〜0.92、MI 0.5
〜15、特に2〜8のものが望ましい。
【0040】上記ポリエチレン系多孔質シートにおい
て、特に線状低密度ポリエチレン樹脂製多孔質シートを
用いたものがシートの生産・加工性に優れ生産コストが
安価であり、しかも、得られた多孔質シートの機械的強
度が大きいことより最も好ましい。
【0041】上記線状低密度ポリエチレン樹脂製多孔質
シートとしては線状低密度ポリエチレン樹脂で形成され
たシート状のものであれば特に限定されるものではな
い。上記線状低密度ポリエチレン樹脂は、エチレンとα
−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンとし
ては、ブテン、ヘキセン、オクテン等が挙げられる。
【0042】上記線状低密度ポリエチレン樹脂製多孔質
シートには、所望により、充填剤が配合されたものも含
まれるが、かかる充填剤としては安全で、且つ酸に溶解
しないものであれば特に限定されるものではなく、クレ
ー、シリカ、硫酸バリウム、ガラス粉末、有機粉末とし
てポリエステル微粉末、ポリアミド微粉末、シリコン粉
末、フッ素樹脂粉末、アクリル樹脂粉末、ポリカーボネ
ート粉末等が挙げられる。
【0043】この充填剤の平均粒径は30μm以下のも
のが用いられ、好ましくは0.1〜10μmの範囲のも
のが望ましい。
【0044】粒径が大き過ぎると微細孔が大きくなり、
逆に小さ過ぎると凝集が起こり分散性が劣るから好まし
くない。
【0045】本発明において、上記ポリエチレン多孔質
シートには、所望により、無機質の充填剤が配合される
が、この充填剤としてはシリカ(SiO2)やクレー等
が挙げられるのであり、その配合割合は全体の30〜8
0の範囲、特に40〜70の範囲とするのが望ましい。
【0046】この充填剤の配合割合が30未満になると
得られた多孔質シートの孔径が小さく、孔の占める割合
すなわち気孔率が低くなり、一方、80を超えると延伸
時の延伸切れが大きく製造が困難となり、いずれの場合
も望ましくない。
【0047】又、本発明の食品包装用多孔質シートに
は、所望により他の添加剤を配合することができるが、
この添加剤としては着色用の顔料、香料、酸化防止剤、
劣化防止剤等が挙げられるのであり、又、その配合割合
は全体の0.01〜10重量%の範囲、特に0.1〜5
重量%の範囲とするのが望ましい。
【0048】この添加剤の配合割合が0.01重量%未
満になると所望の効果が得られず、一方、10重量%を
超えるとブルーミング等の加工上の問題や食品への移行
が起こり、衛生上問題となり、いずれの場合も望ましく
ない。
【0049】そして、本発明の食品包装用多孔質シート
においては、ポリオレフィン系多孔質シートがポリプロ
ピレン製多孔質シートであり、且つ軟化剤が分子量1
0,000〜250,000のポリプロピレン系軟化剤
であるものが有益である。
【0050】上記ポリプロピレン系軟化剤はポリプロピ
レンとの相溶性が良く、軟化剤として優れた機能を発揮
するものである。
【0051】ポリプロピレン系軟化剤の分子量が、1
0,000未満であると、50℃のnーヘプタンに抽出
され、軟化剤の抽出量が30ppmを超えて食品の風味や
香りを低下させたり、食品に軟化剤の異臭が付着する恐
れがあり、一方、250,000を超えると軟化剤とし
ての機能を充分に果たすことができなくなるので、いず
れも望ましくない。
【0052】ここにおいて、分子量はゲルパミレーショ
ンクロマトグラフィーで測定したものである。
【0053】上記ポリプロピレン系軟化剤において、軟
化剤としての機能や成形加工性、得られた多孔質シート
の品質、耐油性等の観点より、分子量が10,000〜
200,000で、比重0.905〜0.915、MI
0.5〜15、特に2〜8のものが望ましい。
【0054】上記ポリプロピレン製多孔質シートには、
所望により、無機質の充填剤が配合されたものも含まれ
るが、かかる充填剤としては上述のものが挙げられるの
であり、又、その配合割合もポリエチレン製多孔質シー
トの場合と同様である。
【0055】又、本発明の食品包装用多孔質シートに
は、所望により他の添加剤を配合することができるが、
この添加剤としては上述の場合と同様なので省略する。
【0056】本発明において、ポリプロピレンとポリプ
ロピレン系軟化剤に無機質の充填剤が配合される場合が
あるが、その各々の配合割合はポリプロピレン100重
量部に対し、ポリプロピレン系軟化剤5〜200重量
部、充填剤50〜250重量部とするのが望ましく、か
かる配合割合とすることにより、食品の包装材として優
れたものが得られる上、機械的強度の優れたものが得ら
れるから望ましい。
【0057】本発明の食品包装用多孔質シートにおいて
は、上述の食品包装用多孔質シートにおいて、その多孔
質シートの片面に熱接着性多孔質シートが積層されてい
るものが有益である。
【0058】本発明に用いられる熱接着性多孔質シート
としては、多孔質であって加熱により接着性が発現する
ものであれば特に限定されるものではない。
【0059】このように、多孔質シートの片面に熱接着
性多孔質シートを積層すると、食品包装用多孔質シート
全体の強度が向上する上、このシートを用い袋等の食品
の包装材を一層容易に製造することができるだけでな
く、この袋等が破損し難いので望ましい。
【0060】この熱接着性多孔質シートの厚さとして
は、加熱により所望の接着力が得られるものであれば特
に限定されるものではないが、一般に、5〜500μ
m、特に5〜300μmの範囲とするのが望ましく、厚
さが、5μm未満では所望の接着力が得られない場合が
あり、一方、500μmを超えると意味が無いだけでな
く食品包装用多孔質シート全体の厚さが大となって取扱
い性が低下するので望ましくない。
【0061】又、この熱接着性多孔質シートとしては後
述する通気性基材との接着が良好であり、しかも食品衛
生法によるn−ヘプタン抽出量が30ppm以下であること
を要する。
【0062】そして、この熱接着性多孔質シートとして
は、用いられる熱可塑性の多孔質シートや後述する補強
用基材の融点より低融点のもの、好ましくはその融点よ
り5℃以上低い融点のものを選択して使用するのが、多
孔質シートや補強用基材を熱劣化させないから望まし
い。
【0063】本発明においては、上記熱接着性多孔質シ
ートがホットメルト系樹脂で形成されたものが他の多孔
質シートとの熱接着性が良好であり、しかも接着性が優
れる等、品質が安定し、信頼性の高い食品包装用多孔質
シートが得られるから好ましいのである。
【0064】本発明においては、ホトメルト系多孔質シ
ートがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、変性ポリオ
レフィン樹脂又はエチレン−アクリル酸エステル共重合
体樹脂で形成されているものが、食品衛生法によるn−
ヘプタン抽出量が30ppm以下のものが得やすい上、熱
可塑性樹脂製の多孔質シート及び通気性基材との接着性
が良好であり、しかも安価で、且つ生産・加工性が優れ
るので望ましい。
【0065】上記エチレン系ホットメルト樹脂におい
て、酢酸ビニル含有量が8〜40重量%、メルトインデ
ックス(MI)が0.9〜20の範囲であって融点が40
〜100℃のものが良好な加工性や接着力が得られるの
で好ましい。
【0066】本発明においては、上記熱接着性多孔質シ
ートが架橋されたものが有益である。
【0067】このように架橋することにより、食品衛生
法によるn−ヘプタン抽出量が至極低下したり、キシレ
ンによる抽出量が著しく低下して食品の安全性や風味、
香り等を長期に亙って保持しうるので望ましい。
【0068】本発明において、上記熱接着性多孔質シー
トを架橋するにあたり、電子線や放射線を用いて架橋し
たり、或いは化学的架橋剤を用いて架橋する等、種々の
方法を採用できる。
【0069】この化学的架橋剤としては公知のものが挙
げられるが、具体的には、例えばジクミル・パーオキサ
イド、第三ブチル・クミル・パーオキサイド、1,3−
ビス(第三ブチル・パーオキシ・イソプロピル)ベンゼ
ン等が挙げられる。
【0070】この場合、化学的架橋剤の配合割合は、熱
接着性樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量
部、特に0.1〜5重量部とするのが望ましく、0.0
1重量部未満では所望の架橋効果が得られずその意味が
ないのであり、一方、10重量部を超えると接着性が低
下したり、ブルーミング等の加工上の問題があり食品へ
の移行が起こり、食品衛生上問題となるので望ましくな
い。
【0071】本発明の食品包装用多孔質シートにおいて
は、上述の食品包装用多孔質シートにおいて、熱接着性
多孔質シートの露出面に通気性基材を積層してなるもの
が、食品包装用多孔質シートの強度が著しく高くなって
多種の食品の包装に用いることができたり、或いはこの
シートで食品を包装し、そのまま輸送できるので至極有
益である。
【0072】又、本発明で用いられる通気性基材として
は、シート全体の強度を向上させるものであり、しかも
食品衛生法によるn−ヘプタン抽出量やキシレンによる
抽出量が低く食品の安全性や風味、香り等を長期に亙っ
て保持しうるのが望ましい。しかし、この場合におい
て、多孔質シート側を内側にして食品を包装するから、
食品衛生法によるn−ヘプタン抽出量等を厳格にする必
要がないのである。
【0073】本発明に用いられる通気性基材の具体的な
代表例としては、例えば、有機質繊維で形成した布や不
織布、或いはパンティングフィルム等の多孔質プラスチ
ックフィルム、ガラス繊維や金属繊維で形成した織布或
いは不織布等が挙げられる。
【0074】そして、本発明において、上述の食品包装
用多孔質シートにおいて、熱接着性多孔質シートの露出
面に通気性基材を積層して三層構造の食品包装用多孔質
シートが得られるが、この場合、部分的に接合されたも
のが挙げられるが、この接合部の面積はシート面積の1
%以上、好ましくは1〜90%、より好ましくは5〜8
0%の範囲に亘って全面に略均一に且つ好ましくは連続
して形成されたものが望ましい。
【0075】接合部の面積が、1%未満ではシートと補
強用基材の接合面積が小さ過ぎて層間剥離が部分的に生
じ、この結果、得られたシートの機械的強度が不充分と
なる場合があるから好ましくない。
【0076】また、逆に90%を超えると微細孔をつぶ
したり、孔径が小さくなって、通気性や透湿性が低下す
る場合があり、いずれの場合も好ましくないのであり、
特に、これらの観点より、接合部の面積が5〜80%の
範囲とするのが最も望ましい。
【0077】本発明において、上述の食品包装用多孔質
シートにおいて、熱可塑性樹脂製の多孔質シート及び/
又は熱接着性多孔質シートにおける微細孔箇所にクラッ
クが形成されているものが、以下に述べる理由より、有
益である。
【0078】即ち、多孔質シートにおける微細孔箇所に
クラックを形成すると通気性や透湿性が著しく向上し、
ハンバーグやてんぷら等、店頭で焼きたて、あげたての
食品を直ちに包装しても蒸れや結露によって風味、香り
等が低下しないのである。又、このようにクラックを形
成することにより、熱可塑性樹脂製の多孔質シートと熱
接着性多孔質シート或いは更にこの熱接着性多孔質シー
トの露出面に補強用基材を積層し、この各積層シートを
上述のように、部分的に接合して接合部を形成しても当
該クラックによってシート全体は充分な通気性や透湿性
を有するのである。
【0079】上記の熱可塑性樹脂製の多孔質シート及び
/又は熱接着性多孔質シートには多数の微細なクラック
を発生させるために充填剤が配合されたものが用いられ
るが、該充填剤の種類や粒径、更に配合割合は、上述の
場合と同様である。
【0080】ところで、上記の熱可塑性樹脂製の多孔質
シート及び/又は熱接着性多孔質シートに多数の微細な
クラックを形成するには、充填剤を分散させてなる多孔
質シートをその融点以下で延伸して充填剤の近傍に歪を
発生させ、更に、このシートをその融点以上、好ましく
は50〜115℃で熱処理すればよい。
【0081】この場合、充填剤を核とした微細なクラッ
クはその長さが10〜1500μm程度のものである。
【0082】次に、本発明の補強型多孔質シートの好適
な製造方法について詳細に説明する。先ず、熱可塑性樹
脂及び/又は熱接着性樹脂に酸化硅素(シリカ)等の充填
剤や、所望により適当な添加剤等を適量配合し、これを
成形してシートを形成し、該シートをその樹脂の融点以
下で一軸延伸または二軸延伸して充填剤の近傍にそれを
核とする歪を発生させる。
【0083】かくして得られたシートをその樹脂の融点
以上で熱処理することにより歪箇所に応力が発生して長
さ10〜1500μm 程度のクラックが発生し、この
ため、通気性や透湿性などの透過性が格段に向上したク
ラックを有する多孔質シートが得られる。
【0084】上記の多孔質シートは、公知の成形装置及
び成形方法を用いて形成した無孔シートを延伸すればよ
く、例えばインフレーション成形機、Tダイ成形機等に
より形成された合成樹脂製シートを一軸又は二軸に延伸
することにより得られる。この延伸には、公知の延伸装
置及び延伸方法を用いればよく、例えばロール延伸、同
時二軸延伸、逐次二軸延伸等の方法が採用される。
【0085】熱可塑性樹脂製或いは熱接着性樹脂製の無
孔シートの延伸処理においては、得られる多孔質シート
の強度や歪の発生、更にこの歪箇所を熱処理して形成す
るクラックの大きさ、つまり通気性や透湿性等の観点か
ら、延伸率(%)は、一軸延伸の場合には100〜500
%、二軸延伸の場合には10〜300%とすることが好
ましい。特に、一軸延伸の場合には、延伸率が100%
未満では得られた多孔質シートに未延伸部分が残されて
延伸が不均一になるので好ましくなく、一方、500%
を超えると延伸中に破断することがあるので好ましくな
い。
【0086】このようにして延伸して得られたシートを
樹脂の融点以上で熱処理をすることにより歪箇所に応力
が発生し、多数の微細なクラックが発生するのである。
【0087】かくして得られた多孔質シート同士をラミ
ネートするか、或いはこの多孔質シートにおける熱接着
性多孔質シートの露出面に補強用基材を積層してラミネ
ートすればよいのである。
【0088】又、多孔質シートの形成には通常の成形装
置および成形方法を用いればよく、インフレーション成
形機、Tダイ成形機などが好適に適用されるのであり、
かくして得られたシートは1軸又は2軸に延伸されて多
孔質シートが形成されるが、この延伸の方法も通常の延
伸装置を用いて常法で行えばよく、例えばロール延伸、
同時二軸延伸、逐次二軸延伸等が採用される。
【0089】そして、この延伸率は、多孔質シートの強
度や微細孔の大きさ、つまり通気性や透湿性等の観点よ
り、上述の範囲に調節するのが好ましい。
【0090】又、上記多孔質シートとしては、特に線状
低密度ポリエチレン樹脂が好ましく、該線状低密度ポリ
エチレン樹脂には充填剤及びエチレン−プロピレン系ポ
リマーまたは軟化剤が混合される場合があるが、この混
合には特殊な装置が要求されるものではなく、公知の混
合機が用いられる。
【0091】この混合機としては、例えばミキシングロ
ール、バンバリーミキサー、二軸型混練機、ヘンシェル
ミキサー等を用いるのが上述の素材を均一に混合してフ
ィルムの成形性を一層向上するうえで望ましい。次い
で、得られた積層シートを熱接合すればよいのである。
【0092】そして、本発明は、上記の二種以上の多孔
質シートを積層して成る積層シートが接合部によって接
着されているが、この接合部を形成する方法の一つとし
ては、通常、加熱することが可能な加熱ロールやエンボ
スロール等の加熱体を用いることができる。
【0093】即ち、例えば、加熱された加熱ロールや金
属製凹凸ロール間に上記積層シートを通過させると、当
該金属製凹凸ロールにおける凸部の頂点に積層シートが
接触し、この凸部箇所で熱接着性の多孔質シートが加熱
され、軟化して部分的に接合部が形成されるが、凹部箇
所では積層体と金属製凹凸ロールとの接触がないため当
該箇所において、積層シートには接合部が形成されない
のである。
【0094】この場合、加熱は多孔質シートの融点以
下、好ましくはその融点より5℃以上低い温度で行うこ
とが必要であり、温度が多孔質シートの融点以上になる
と当該多孔質シートも溶融し、基材用多孔質シートとラ
ミネートしたとき、この溶融部で破壊する場合があり、
実用上問題となる。
【0095】このように、接合部を形成するに当たり、
その圧力は1〜10kg/cm2 の条件下で行うのが望まし
いのである。
【0096】ところで、上記接合部の面積は、例えば金
属製凹凸ロールにおける凸部の占める割合によって極め
て容易に調節しうるのである。かくして本発明の食品包
装用多孔質シートが製造される。
【0097】次に、本発明の食品包装用多孔質シートの
他の好適な製造方法について詳細に説明する。
【0098】即ち、熱可塑性樹脂と熱接着性樹脂を二層
の押出し機により共押出しを行って積層シートを得、こ
れをロール延伸機により一軸延伸或いは二軸延伸法によ
り二軸延伸を行い、これによって、充填剤の近傍に歪を
有する熱可塑性樹脂製の多孔質シートと熱接着性の多孔
質シートからなる二層の積層シートを得る。この延伸方
法や延伸条件は上記方法と同様である。
【0099】この場合、熱接着性シートはある程度多孔
質となるが、弾性が大であるため伸縮、復元して十分な
多孔質体とはならないが、この延伸によって、充填剤を
核としてその近傍に歪が発生する。
【0100】次いで、この歪を有する熱接着性シートを
その樹脂の融点以上で熱処理すると、その歪部分に応力
が発生し、この部分に10〜1500μm 程度の多数
のクラックが発生し、これによって、通気性や透湿性が
著しく向上するのである。かくして得られた積層シート
をそのまま用いてもよく、更にこの積層シートにおいて
その熱接着性多孔質シートの露出面に補強用基材を積層
し、熱接合したものでも良いのである。
【0101】この熱接合の方法としては、上記方法と同
様の条件、同様の方法で行なわれる。つまり、多孔質シ
ートにおけるクラックの形成はその製造工程のどの段階
で行なわれても良いのであり、単層シートの状態である
と、積層シートにしてからであるとを問わないのであ
る。
【0102】このような方法でも本発明の食品包装用多
孔質シートが製造されるのである。
【0103】本発明の食品包装用多孔質シートにおいて
は、充填剤が包装される食品に対し化学的に安定である
ものが、食品の風味や香りを低下させず更に異臭の付着
を防止して食品の商品価値を低下させないので、有益で
ある。
【0104】ここにおいて、食品に対し化学的に安定で
あるとは、食品の成分或いは食品のだし汁等に対し化学
的に安定で、食品の変質を防ぐものであり、具体的に
は、酸化硅素(シリカ)、クレー、硫酸バリウム、ガラス
粉末、有機粉末としてポリエステル微粉末、ポリアミド
微粉末、シリコン粉末、フッ素樹脂粉末、アクリル樹脂
粉末、ポリカーボネート粉末等が挙げられる。
【0105】
【作用】本発明の食品包装用多孔質シートは、上記構成
を有し、その軟化剤が食品衛生法第20号による、50
℃のnーヘプタン抽出後の溶質量30ppm以下のものであ
り、従って、食品に軟化剤が付着し難いので、食品の風
味や香りが低下しないだけでなく、安全で、しかも食品
に軟化剤に起因する異臭が付着しない作用を有するので
ある。
【0106】又、本発明の食品包装用多孔質シートにお
いて、その微細孔箇所にクラックを形成すると通気性や
透湿性が著しく向上し、ハンバーグやてんぷら等、店頭
で焼きたて、あげたての食品を直ちに包装しても蒸れや
結露によって風味、香り等が低下しないのであり、しか
も、このようにクラックを形成することにより、熱可塑
性樹脂製の多孔質シートと熱接着性多孔質シート或いは
更にこの熱接着性多孔質シートの露出面に補強用基材を
積層し、この各積層シートを部分的に接合して接合部を
形成しても当該クラック箇所によってシート全体は充分
な通気性や透湿性を有するのである。
【0107】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0108】実施例1 ポリオレフィン系樹脂として線状低密度ポリエチレン樹
脂(MI 2.0、密度0.93)100重量部、 軟化剤
としてポリエチレン系軟化剤(分子量150,000、
比重0.91、MI 5)80重量部、充填剤として酸化
硅素(平均粒径2μm、脂肪酸処理)200重量部、 滑
剤としてステアリン酸1.6重量部を、充分に撹拌混合
し、この混合物を2軸混練機 (TEM−50、東芝機械
社(製))により充分に混練して得た組成物を、常法によ
り造粒する。
【0109】この樹脂組成物の融点は122℃であっ
た。変成ポリエチレンとしてLDPEに官能基としてカ
ルボキシル基を導入した樹脂(三井石油化学工業製、ア
ドマーLF300商品名)100重量部、充填剤として
酸化硅素(平均粒径2μm)150重量部、滑剤として
ステアリン酸1.0重量部を充分に撹拌混合し、この混
合物を二軸混練機により充分混練して得た組成物を常法
により造粒する。
【0110】得られた2種の樹脂組成物を2層の押出し
機により共押出しを行い、2層の積層シートを得た。こ
のようにして得た積層シートの厚さは100μmであ
る。この積層シートを回転速度を変えられる2本のロー
ルに導いて、ロール速度比によって延伸を行う(一軸延
伸)。延伸速度6m/分の条件を採用し、延伸率200
%、延伸温度40℃にて行う。この延伸シートを95℃
の熱ヒートセットロールに導いてヒートセットすると同
時に変成ポリエチレン層に微細なクラックを発生させ
る。
【0111】かくして得られた食品包装用多孔質シート
の透湿度及び食品衛生法第20号による、50℃のnー
ヘプタン抽出後の溶質量を表2に示す。
【0112】実施例2 熱可塑性樹脂組成物として実施例1と同様の造粒した樹
脂組成物を用いた。
【0113】一方、熱接着性樹脂であるエチレン−酢酸
ビニル共重合樹脂(酢酸ビニル含有量25重量%、MI
2、密度0.95)100重量部と酸化硅素(平均粒径2
μm、脂肪酸処理)200重量部を充分に撹拌混合し、
この混合物を2軸混練機(TEM−50、東芝機械社
(株))により充分に混練して得た組成物を、常法により
造粒する。この樹脂組成物の融点は64℃であった。
【0114】上記2種の樹脂組成物を2層の押出し機に
より共押出しを行い、線状低密度ポリエチレン樹脂製シ
ートと熱接着性シートからなる積層シートを得た。この
ようにして得た積層シートの厚さは100μmである。
この積層シートを速度6m/分で、6Mrad/cm2
の電子線を照射して電子線架橋をする。延伸方向は回転
速度を変えられる2本のロールに導いて、ロール速度比
により延伸を行う(一軸延伸)。延伸条件は延伸温度4
0℃、延伸速度6m/分、延伸率200%にて行う。こ
の延伸シートは95℃の熱ヒートセットロールに導いて
ヒートセットすると同時に、エチレン−酢酸ビニル共重
合樹脂組成物層に微細なクラックを発生させる。
【0115】かくして得られた食品包装用多孔質シート
の透湿度及び食品衛生法第20号による、50℃のnー
ヘプタン抽出後の溶質量を表2に示す。
【0116】実施例3 ポリプロピレン樹脂として(MI 2.0、密度0.9
2)100重量部、ポリプロピレン系軟化剤として(M
I 6.0、密度0.91、分子量150,000)8
0重量部、充填剤としてシリコン微粉末(平均粒径1.
0μm)200重量部、滑剤としてステアリン酸2重量
部を充分に撹拌混合する。この混合物を2軸混練機によ
り、混練して得た組成物を常法により造粒する。ポリエ
チレン樹脂として線状ポリエチレン樹脂(MI 2.
0、密度0.93)100重量部、軟化剤としてポリエ
チレン系軟化剤(分子量150,000、比重0.9
1、MI 5)80重量部、充填剤としてシリコン微粉
末(平均粒径1.0μm)、滑剤としてステアリン酸2
重量部を充分に撹拌混合し、この混合物を2軸混練機に
より充分に混練して得た組成物を常法により造粒する。
得られた2種の樹脂組成物を2層の押出機により共押出
しを行い、2層の積層シートを得た。得られた積層シー
トの厚さは100μmである。延伸方法はこの積層シー
トを回転速度を変えられる2本のロールに導いてロール
速度比によって延伸を行う(1軸延伸)。 延伸条件は延伸温度70℃、延伸速度6m/分、延伸率
200%にて行う。この延伸シートを95℃の熱ヒート
セットロールに導いてヒートセットすると同時にポリエ
チレン樹脂組成物層に微細なクラックを発生させる。
【0117】かくして得られた食品包装用多孔質シート
の透湿度及び食品衛生法第20号による、50℃のnー
ヘプタン抽出後の溶質量を表2に示す。
【0118】比較例1 実施例2において架橋を行わない以外は、実施例2と同
様にして形成したものを用いた。
【0119】かくして得られた食品包装用多孔質シート
の透湿度及び食品衛生法第20号による、50℃のnー
ヘプタン抽出後の溶質量を表2に示す。
【0120】比較例2 ポリエチレン樹脂として線状低密度ポリエチレン樹脂
(MI 2.0、密度0.93)100重量部、軟化剤
として液状ポリブテン10重量部を2軸混練機により充
分に撹拌、混合し、この組成物を常法により造粒した。
変成ポリエチレン組成物の成形法は実施例1と同様であ
る。得られた2種の樹脂組成物を2層の押出機により共
押出しを行い積層シートを得た(厚さ100μm)。 延伸方法、延伸条件等は実施例1と同様である。
【0121】かくして得られた食品包装用多孔質シート
の透湿度及び食品衛生法第20号による、50℃のnー
ヘプタン抽出後の溶質量を表2に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】注1) 表2に示す、透湿度はJIS L−
1099における透湿カップ法で測定した。 注2) 表2に示す、溶出量は食品衛生法第20号によ
る、50℃のnーヘプタン抽出後の量である。表2に示
す結果より、各実施例のものは、各比較例のものと比べ
て、軟化剤の溶出量が著しく低いことが認められる。
【0125】又、各実施例のものを用いて袋を形成し、
この袋内に焼きたてのハンバーグを入れ、24時間放置
後に再度加熱して食したところ、ハンバーグの風味、香
りは製造直後と変わらず、しかも異臭がないことが認め
られた。
【0126】これに対して、各比較例のもの、特に比較
例2のものは、ハンバーグの風味、香りは各実施例のも
のに比べて低下しており、しかも軟化剤に起因するもの
と解される異臭が認められた。
【0127】
【 発明の効果】本発明の食品包装用多孔質シートは、
上記構成を有し、その軟化剤が食品衛生法第20号によ
る、50℃のnーヘプタン抽出後の溶質量30ppm以下の
ものであり、従って、食品に軟化剤が付着し難いので、
食品の風味や香りが低下しないだけでなく、安全で、し
かも食品に軟化剤に起因する異臭が付着しないのであ
り、これらの結果、長期に亙って、食品の商品価値が低
下しないので有益である。
【0128】又、本発明の食品包装用多孔質シートにお
いて、その微細孔箇所にクラックを形成すると通気性や
透湿性が著しく向上し、ハンバーグやてんぷら等、店頭
で焼きたて、あげたての食品を直ちに包装しても蒸れや
結露によって風味、香り等が低下しないのであり、しか
も、このようにクラックを形成することにより、熱可塑
性樹脂製の多孔質シートと熱接着性多孔質シート或いは
更にこの熱接着性多孔質シートの露出面に補強用基材を
積層し、この各積層シートを部分的に接合して接合部を
形成しても当該クラック箇所によってシート全体は充分
な通気性や透湿性を有する結果、一層長期に亙って、食
品の商品価値が低下しないので至極有益である。
【0129】更に、本発明の食品包装用多孔質シート
は、食品を包装して加熱した時の食品の湿気を放出する
用途、発酵食品の発酵ガスの放出、野菜の鮮度を保持す
る包装材料等広く利用される。
【0130】ところで、本発明の食品包装用多孔質シー
トは、特殊な技術や装置を用いることなく、容易に得ら
れるのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 4F 9:00 4F (72)発明者 大根 達彦 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】食品を包装するための熱可塑性樹脂製の多
    孔質シートであって、該多孔質シートには多数の微細孔
    が設けられており、且つこのシートの軟化剤が食品衛生
    法第20号による、50℃のn−ヘプタン抽出後の溶出
    量が30ppm以下のものであることを特徴とする食品包
    装用多孔質シート。
  2. 【請求項2】多孔質シートがポリオレフィン系多孔質シ
    ートであり、且つ軟化剤がポリオレフィン系軟化剤であ
    る請求項1に記載の食品包装用多孔質シート。
  3. 【請求項3】ポリオレフィン系多孔質シートがポリエチ
    レン製多孔質シートであり、且つ軟化剤が分子量10,
    000〜200,000のポリエチレン系軟化剤である
    請求項1または2に記載の食品包装用多孔質シート。
  4. 【請求項4】ポリオレフィン系多孔質シートがポリプロ
    ピレン製多孔質シートであり、且つ軟化剤が分子量1
    0,000〜250,000のポリプロピレン系軟化剤
    である請求項1または2に記載の食品包装用多孔質シー
    ト。
  5. 【請求項5】多孔質シートの片面に熱接着性多孔質シー
    トが積層されている請求項1ないし4のいずれかに記載
    の食品包装用多孔質シート。
  6. 【請求項6】熱接着性多孔質シートがホトメルト系多孔
    質シートである請求項5に記載の食品包装用多孔質シー
    ト。
  7. 【請求項7】ホトメルト系多孔質シートがエチレン−酢
    酸ビニル共重合体樹脂、変性ポリオレフィン樹脂又はエ
    チレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂で形成されて
    いる請求項6に記載の食品包装用多孔質シート。
  8. 【請求項8】熱接着性多孔質シートが架橋されたもので
    ある請求項5ないし7のいずれかに記載の食品包装用多
    孔質シート。
  9. 【請求項9】請求項5ないし8のいずれかに記載の食品
    包装用多孔質シートにおいて、熱接着性多孔質シートの
    露出面に通気性基材を積層している食品包装用多孔質シ
    ート。
  10. 【請求項10】多孔質シートの微細孔箇所にクラックが
    形成されている請求項1ないし9のいずれかに記載の食
    品包装用多孔質シート。
  11. 【請求項11】充填剤が包装される食品に対し化学的に
    安定である請求項1ないし10のいずれかに記載の食品
    包装用多孔質シート。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10264279A (ja) * 1997-03-25 1998-10-06 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 片側吸収型脱酸素多層体とその製造方法
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