JPH06328556A - 電子レンジ加熱を目的とした食品用包装材料 - Google Patents

電子レンジ加熱を目的とした食品用包装材料

Info

Publication number
JPH06328556A
JPH06328556A JP5115518A JP11551893A JPH06328556A JP H06328556 A JPH06328556 A JP H06328556A JP 5115518 A JP5115518 A JP 5115518A JP 11551893 A JP11551893 A JP 11551893A JP H06328556 A JPH06328556 A JP H06328556A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
food
molecular weight
container
microwave oven
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP5115518A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Yagi
和雄 八木
Akinao Hashimoto
暁直 橋本
Hitoshi Mantoku
均 萬徳
Yoshinori Akana
義徳 赤名
Masaru Nakano
中野  勝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Petrochemical Industries Ltd filed Critical Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority to JP5115518A priority Critical patent/JPH06328556A/ja
Publication of JPH06328556A publication Critical patent/JPH06328556A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65DCONTAINERS FOR STORAGE OR TRANSPORT OF ARTICLES OR MATERIALS, e.g. BAGS, BARRELS, BOTTLES, BOXES, CANS, CARTONS, CRATES, DRUMS, JARS, TANKS, HOPPERS, FORWARDING CONTAINERS; ACCESSORIES, CLOSURES, OR FITTINGS THEREFOR; PACKAGING ELEMENTS; PACKAGES
    • B65D81/00Containers, packaging elements, or packages, for contents presenting particular transport or storage problems, or adapted to be used for non-packaging purposes after removal of contents
    • B65D81/34Containers, packaging elements, or packages, for contents presenting particular transport or storage problems, or adapted to be used for non-packaging purposes after removal of contents for packaging foodstuffs or other articles intended to be cooked or heated within the package
    • B65D81/3446Containers, packaging elements, or packages, for contents presenting particular transport or storage problems, or adapted to be used for non-packaging purposes after removal of contents for packaging foodstuffs or other articles intended to be cooked or heated within the package specially adapted to be heated by microwaves
    • B65D81/3461Flexible containers, e.g. bags, pouches, envelopes

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Package Specialized In Special Use (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 透気性と引張強度がともに大きく、電子レン
ジでの加熱・調理が可能な食品包装用軸配向フィルム、
およびそれを少なくとも一部に用いた食品用容器を提供
する。 【構成】 極限粘度[η]が5デシリットル/グラム以
上の高分子量ポリエチレンからなり、透気性(ガーレー
秒)が10秒以下であり、かつ引張強度が全方向で10
00Kg/cm2 以上であることを特徴とする電子レン
ジ加熱を目的とした食品包装用二軸配向フィルム。この
二軸配向フィルムを少なくとも容器の一部の構成素材と
して使用することにより、容器や包装材料内部の温度を
調節する機能、煮汁やスープ等の吹きこぼれを防止する
機能、食品の温度上昇にともない浸出する過剰の水分、
油分を吸収する機能および食品材料の風味の低下を防止
する機能を備えた電子レンジ加熱を目的とした食品用容
器が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工食品、冷凍食品を
含む食品などを電子レンジで加熱するに当たって、容器
や包装材料内部の温度を調節する機能、煮汁やスープ等
の吹きこぼれを防止する機能、食品の温度上昇にともな
い浸出する過剰の水分、油分を吸収する機能および食品
材料の風味の低下を防止する機能を有する透気性フィル
ム、及び少なくとも一部を該フィルムによって構成され
た電子レンジ加熱を目的とした食品用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】電子レンジの調理機能の向上に伴って、
電子レンジでの加熱によって調理される食品が急速に増
えている。また電子レンジの能力も大容量化している。
電子レンジ加熱とは、水分子を誘電加熱するマイクロ波
を水分を含有する食品に照射することにより、食品を加
熱・調理する方法である。最近、マイクロ波の照射に不
活性で幅広い温度の使用に耐え得る材料を、容器、とく
に使い捨てを前提とした容器として用いる技術が開発さ
れている。通常、電子レンジでの加熱を目的とする食品
は、生もの、冷凍食品、密閉された容器に保存された食
品に大きく分けれるが、最近は電子レンジ加熱を前提と
した食品が増えている。これらの食品は乾燥状態におい
ても酸素により変性を防ぐためや、不衛生物質の混入を
防止するために密閉状態で収納される。とくに水分を多
量に含む食品の場合は、レトルト包装容器や金属容器
(缶詰)に収納されて流通している。従って、これらの
食品への電子レンジでのマイクロ波照射に当たっては、
容器を開口し、他の容器へ移し替えることが必要であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】電子レンジ加熱
は、短時間で加熱・調理ができることが特徴である。こ
の特徴をさらに生かすために、近年、電子レンジの大容
量化(大照射エネルギー量化)傾向が目ざましいが、照
射エネルギーを増大させたときには、時として次のよう
な現象が起こり快適な電子レンジによる加熱・調理がで
きにくいという問題点がある。すなわち、 食品が部分的に過度に加熱されることが避けられな
い。 煮汁やスープ等が吹きこぼれる。 食品の急激な温度上昇にともない、過剰の水分、油
分が食品表面ににじみでて、風味を損なったり、またト
レー上に流れ出て、事後の処理が容易でない。 急激な温度の上昇により、開口部から風味が逸散す
る。
【0004】一方、このような問題を解決するために、
さまざまな技術が提案されている。例えば、特開平3-20
0575号公報には、密閉している開口部の内側に不織布を
貼り、電子レンジで調理の際に密閉部分の包装だけを開
封し、煮汁が吹きこぼれることを防止した容器が提案さ
れているが、不織布は強度が弱く、リントが脱落して食
品に混入するために、はなはだ不衛生である。また不織
布は耐水性が悪く、水に濡れたときの強度低下を防止す
るため、ある程度の厚みを確保する必要があり、これが
透気性を阻害するため、透気性と強度とを両立させるこ
とが難しい。
【0005】ところが、従来の多孔性フィルムは透気性
のレベルが不織布に比較すると劣るものであり、これを
解決するために、不織布並に透気性を向上させようと、
空孔率、孔径などを大きくすることもできるが、今度は
水蒸気ばかりでなく水の透過も起こすようになり、引張
強度の低下が免れないという新たな問題が生じてしま
う。
【0006】従って、従来、多孔質フィルムではこれら
の問題点の解決には不十分とされているが、リントフリ
ー特性、耐水性などは多孔質フィルムが優れるため、強
度が有り、水分や油分(特に油分)を吸収する透気性フ
ィルムの出現が電子レンジ加熱・調理を目的とする容器
においては望まれている。
【0007】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、容器や包装材
料内部の温度を調節する機能、煮汁やスープ等の吹きこ
ぼれを防止する機能、食品の温度上昇にともない浸出す
る過剰の水分、油分を吸収する機能および食品材料の風
味の低下を防止する機能を有する透気性フィルム、及び
少なくとも一部を該フィルムによって構成された電子レ
ンジ加熱を目的とした食品用容器を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために提案されたものであり、特定の構造を有す
る高分子量ポリエチレンの透気性二軸配向フィルムを包
装材料、容器やその一部に用いることによって、上記目
的が達成されるという本発明者らによって得られた知見
を元に完成されたものである。すなわち、本発明によれ
ば、極限粘度[η]が5デシリットル/グラム以上の高
分子量ポリエチレンからなり、透気性(ガーレー秒)が
10秒以下であり、かつ引張強度が全方向で1000K
g/cm2 以上であることを特徴とする電子レンジ加熱
を目的とした食品包装用二軸配向フィルムが提供され
る。また、本発明によれば、前記二軸配向フィルムを、
少なくとも一部に使用した食品用容器が提供される。
【0009】
【発明の具体的説明】この二軸配向フィルムを、容器の
少なくとも一部の構成材料として用いることによって、
電子レンジ加熱をするに当たって照射エネルギー量を増
大させても、 食品が部分的に過度に加熱されることが少なく、 煮汁やスープ等の吹きこぼれることがなく、 食品の急激な温度上昇にともない、過剰の水分、油
分が食品表面ににじみでても、それらを吸収し、 急激な温度の上昇により、開口部から風味が逸散す
ることの少ない、包装材料や容器の提供が可能となる。
【0010】本発明において用いるフィルムは、透気性
と引張強度がともに大きいことが重要な特徴であり、通
常、前述の不織布ではこれらの性質は背反する性質であ
り、不織布の目を細かくしても基本的には上記透気性と
引張強度がともに大きいものを得ることはできない。
【0011】以下に本発明において用いる高分子量ポリ
エチレン二軸延伸フィルムの特性と製法について説明す
る。 <フィルムの特性>本発明の高分子量ポリエチレンの二
軸配向フィルムの特徴は、平均細孔径が0.1ないし1
0μ、空孔率が25ないし70%、引張強度が1,00
0Kg/cm2 以上で、葉脈状の開孔構造を有する点に
ある。このフィルムは、開孔を有するにもかかわらず、
従来のフィルムに比べてもフィルムの機械物性に著しく
優れるものであり、この特性の優位性は、不織布を基材
とする場合には、マイクロ波で加熱する際、蒸気の内圧
により破損することがしばしば起こるのに対して、本発
明のフィルムを使用した場合には、このような不都合が
全く生じないことからも理解されるであろう。
【0012】本発明において用いる高分子量ポリエチレ
ン二軸配向フィルムは、不透明で光沢のある白色を呈し
ている。走査型電子顕微鏡による観察では、フィブリル
を構成単位とする、あたかも、広葉樹の葉を薬液処理し
て得られる葉脈状の構造からなることが確認できる。厚
さは用途によって適宜選択され得るが、通常150μ以
下、10μ以上、好ましくは100以下ないし20μの
範囲である。強度は上述のように、1,000Kg/c
2 以上、好ましくは1500Kg/cm2 以上である
が、強度が向上すればフィルムを薄くして包装材料とし
て、または容器の一部もしくは全部に供することができ
るため好ましい。このことは言い換えると、不織布とは
異なり、開孔を有するフィルムでは耐水度は厚みに関係
せずに開孔の度合で決まるため、耐水度を確保したまま
で、透気性を向上させることが可能となることを意味す
る。引張破断時のフィルム伸びは5%以上、好ましくは
10%以上、更に好ましくは20%以上である。
【0013】一般的に高分子量ポリエチレンの分子量が
増加すると引張強度に優れて、かつ特に引張破断時の伸
びに優れたフィルムが得られることが分かった。これら
の引張強度や引張弾性率はフィルム全方向にわたって上
述の値が保持されなければならない。これらの引張特性
の試験は、オリエンテック社製引張試験機テンシロン
(型式RTM100型)で室温(23℃)で行った。試
料形状はJIS1号ダンベルであり、クランプ間距離は
80mmで引張速度は20mm/分である。引張強度は
破断点強度である。計算に必要な試料断面積は試料幅と
実測試料厚みとから求める。
【0014】透気性、すなわちガーレー秒数は10秒以
下、好ましくは5秒以下である。透気性が10秒以上の
場合はマイクロ波の照射により容器内部で発生した水蒸
気を速やかに通気することができないため、包装材料や
容器の内圧が上がりすぎて、破損の虞がある。逆に、
0.1秒を下回るものは加熱蒸気により、容器内部を飽
和状態に保つことができないために大容量、短時間の加
熱では調理材料の局所的な加熱を避けられない場合があ
る。
【0015】本発明で定義する透気性、すなわちガーレ
ー秒は「紙の空気通過抵抗の標準試験法(ASTM D
−726−58、方法B)」で報告されているガーレー
(Gurley)秒であり、試験するフィルム試料の平
方インチ当たり10ミリリットルの空気が通過するのに
かかる時間を表すものである。空気がフィルム試料を通
して働く力は600ミリメートルの水柱に相当する圧力
勾配である。試験はガーレー秒値0.1秒から90秒の
範囲となる試料に適用され、ここでは90秒以上は閉塞
と見なす。
【0016】空孔率は20ないし90%であること、さ
らには30ないし80%が好ましい。空孔率が20%以
下の場合には調理材料の表面に滲みでた水分、油分を吸
着することが困難であり、90%を超えるとフィルムの
強度が著しく低下し、本発明の包装材料としては好まし
くない。空孔率は、フィルムの実際の厚みからフィルム
重量より計算で求めた緻密膜としての厚みを引き、さら
にこれをフィルムの実際の厚みで割ることにより求め
た。
【0017】本発明において用いる二軸配向ポリエチレ
ンフィルムの構造は、前述したように比較的平均細孔径
の限定された葉脈状の開孔部からなる微孔性構造を有し
ている。この葉脈状の開孔部からなる微孔性構造をさら
に詳しく説明すると、前述したように、まさに広葉樹の
葉脈見本状の構造を示す。すなわち、葉脈の分類中で羽
状毛状もしくは掌状葉脈状にきわめて類似している。こ
れらの葉脈組織は中心骨格を形成する中央脈とその中心
骨格中を網目状に錯綜する、いわゆる脈とに分類され
る。すなわち中心骨格の中に脈が網目状構造を構成し、
中心骨格によって構造的には保護されている。数千万年
かけて、進化してきた天然界のきわめて合理的な構造と
言える。
【0018】ポリエチレンの一軸延伸物は、分子鎖を最
小単位として結晶と非晶とから構成されるマイクロフィ
ブリルとそのマイクロフィブリルの集合体であるフィブ
リルとから構成されることは、ピーターリン(A. Peter
lin, Collid and Polymer Science, Vol.253, Page 809
-823(1975))によってあきらかにされている。マイクロ
フィブリルは100から300オングストローム(0.
01から0.03μ)程度の幅の繊維状組織であり、フ
ィブリルはマイクロフィブリルが集合して構成される幅
1000から30000オングストローム(0.1から
0.3μ)のさらに大きな繊維状組織である。
【0019】すなわち、本発明によるフィルムはフィブ
リルが円弧状の主骨格すなわち中央脈を形成し、その開
口部の中をさらにマイクロフィブリルが網目状に脈を形
成していることが分かっている。フィブリルより形成さ
れる円弧状の開口の径は約3から10μである。またそ
の開口部の中のマイクロフィブリルよりなる網目状の平
均細孔径は約0.1から3μである。マイクロフィブリ
ルよりなる網目状組織の発達が不十分の場合にはフィブ
リルより形成される開口が平均細孔径となる。従って本
発明のフィルムの平均細孔径の分布は0.1ないし10
μである。
【0020】前述の特開平3-200575号公報に述べられて
いる様に、従来は多孔性フィルムではこの様な目的の包
装材料、または該フィルムを容器の一部に供することは
不適当であったものである。しかしながら、本明細書で
述べるように特定の構造を有する多孔性二軸配向ポリエ
チレンフィルムが開発されたことによって、はじめて、
電子レンジによる加熱・調理を目的とした包装体の素材
として、多孔性フィルムを用いることができるようにな
ったものである。
【0021】さて、本発明において用いるような、極限
粘度が5デシリットル/グラム以上の高分子量ポリエチ
レンからなる多孔性の二軸延伸フィルムはすでに知られ
ている。例えば本発明者らの発明にかかる特許出願であ
る特開昭59-227420 号公報には、炭化水素系可塑剤を利
用してシートを成形し、その後、炭化水素系可塑剤を含
んだ状態でそれを二軸延伸し、さらにフィルムより炭化
水素系可塑剤を抽出することにより、きわめて微細な開
孔を有するフィルムを得ることができることを開示し
た。
【0022】また、特開昭60-255415 号公報には粘度平
均分子量が40万以上のポリエチレンからなる二軸延伸フ
ィルムの記載があり、130℃以下の温度と50%/秒
以上の延伸速度で二軸延伸すると、強度は低下するが多
孔化したフィルムを得ることができることが開示されて
いる。
【0023】されに、特開昭63-39602号公報には分子量
が50万以上のポリエチレンにパラフィンオイルのよう
な不揮発性溶媒を用いて、ゲル状物を形成させ、延伸時
の溶媒量が80%から95%の範囲になるように調製し
て、これを120℃以下の温度で二軸延伸することによ
り、多孔化したフィルムが得られることが、開示されて
いる。
【0024】上述したように、これらのフィルムの構造
は、基本的にはフィブリルすなわち、中央脈の欠落し
た、マイクロフィブリルの脈のみで構成される、極めて
微細な紙漉き状の組織であった。したがってこれらのフ
ィルムは、本発明における必須の要件である引張強度は
満足できるが、到底透気性の限界のガーレー秒値10秒
以下の要件を満すことができない。ちなみに前述の特開
昭63−39602号公報において開示されるフィルム
はγ- グロブリンの阻止率が50%以上であることか
ら、その平均細孔径は極めて、小さいものであると言わ
ざるを得ない。ちなみにγ- グロブリンの粒子径は50
オングストロームである。
【0025】本発明において用いるポリエチレン二軸配
向フィルムは、印刷性・ヒートシール性にも優れてい
る。またこのフィルムは、高分子量であるために通常の
ポリオレフィン二軸延伸フィルムにおいて見られるよう
な引き裂き強度の弱さもなく、包装材料、容器材料の一
部に用いるには極めて好適な材料と言える。又、ポリエ
チレンは水を分子運動させるマイクロ波長には不活性で
ある。
【0026】<本発明に用いるフィルムの調製方法原料 本発明において用いる高分子量ポリエチレン二軸延伸フ
ィルムを成形するのに用いる高分子量ポリエチレン
(A)は、デカリン溶媒135℃における極限粘度
[η]が5デシリットル/グラム以上、好ましくは10
ないし30デシリットル/グラムの範囲のものである。
[η]が5デシリットル/グラム以上、9デシリットル
/グラム未満のものは、二軸延伸されたフィルムをいっ
たん60℃以下の温度に冷却し、この後、定長拘束下
で、80ないし150℃の範囲の温度で熱処理すること
により、前記特性を具有した高分子量ポリエチレン二軸
延伸フィルムとなり、また、極限粘度[η]が9デシリ
ットル/グラム以上の高分子量ポリエチレンは、前記条
件で、特定量の高分子量ポリエチレン(A) と、該高
分子量ポリエチレン(A)と均一な混合物を作り得る室
温で固体の炭化水素系可塑剤(B)からなる混合物を溶
融混練し、さらに冷却固化してシートを作成し、次い
で、該炭化水素系可塑剤(B)を溶解し得る溶剤(C)
を用いて、80℃以下の温度で該シートから該炭化水素
系可塑剤(B) を実質的に残存しない状態に抽出除去処理
した後、該シートを135℃未満の温度で縦横方向とも
に3倍以上に二軸延伸することによって、前記特定の物
性を有するフィブリルから構成される葉脈状の開孔を有
する高分子量ポリエチレンの二軸延伸フィルムが製造さ
れる。
【0027】一方、極限粘度[η]の上限は特に限定さ
れないが、30デシリットル/グラムを超えるものは、
詳しくは後述する炭化水素系可塑剤(B)を添加して
も、均一な混合物をつくるのが難しいばかりでなく、溶
融粘度が高くなり、シートを作る際の成形性に劣る。か
かる高分子量ポリエチレンとは、エチレンやエチレンと
少量のα−オレフィンを、いわゆるチーグラー触媒によ
り重合することにより得られるポリエチレンの中で、分
子量の高い範疇のものである。共重合の場合に用いられ
るα−オレフィンとは、プロピレン、1−ブテン、1−
ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、
1−オクテン等、その炭素数が3ないし9個の範囲にあ
るものであり、その含有量は最大で5重量%である。α
−オレフィンの中ではプロピレン、1−ブテンが好まし
い。
【0028】本発明において用いる高分子量ポリエチレ
ン二軸配向フィルムの調製において使用する炭化水素系
可塑剤(B)は、沸点が高分子量ポリエチレン(A)の
融点を超えるもので、好ましくは沸点が高分子量ポリエ
チレン(A)の融点+10度以上であり、また融点が一
般的に110℃以下のものであり、110℃以上の温度
で溶融混練することにより、容易に、高分子量ポリエチ
レン(A)と分散し、均一な混合物をつくる分子量20
00以下の室温固体の炭化水素系可塑剤であって、好ま
しくは、分散性の観点から、分子量400以上、100
0以下のパラフィン系ワックスを例示することができ
る。
【0029】パラフィン系ワックスとしては、具体的に
はドコサン、トリコサン、テトラコサン、トリアコンタ
ン等の炭素数22以上のn−アルカン、あるいはそれら
を主成分とした低級n−アルカン等の混合物、石油から
分離生成されたいわゆるパラフィンワックス、エチレン
およびエチレンと他のα−オレフィンとを重合して得ら
れる低分子量重合体である中・低圧法ポリエチレンワッ
クス、高圧法ポリエチレンワックス、エチレン共重合ワ
ックス、あるいは中・低圧法ポリエチレン、高圧法ポリ
エチレン等のポリエチレンを熱減成により分子量を低下
させたワックスおよびそれらワックスの酸化物あるいは
変性物等の酸化ワックスまたは変性ワックスが例示され
る。
【0030】本発明における融点は、ASTM D34
17により、示差走査型熱量計(DSC)により測定し
た値である。
【0031】以下にフィルムの調製法について各工程に
沿って、詳述する。 <原反シートの調製>本発明において用いる高分子量ポ
リエチレン二軸配向フィルムを調製するには、高分子量
ポリエチレン(A)と炭化水素系可塑剤(B)とを組成
比が高分子量ポリエチレン(A)20ないし75重量部
と炭化水素系可塑剤(B)80ないし25重量部とから
なるように配合し、溶融混合し、ついで冷却固化するこ
とにより、原反シートを得る。前記高分子量ポリエチレ
ン(A)と炭化水素系可塑剤(B)との組成比は、上述
の範囲にあれば特に限定されないが、好ましくは、高分
子量ポリエチレン(A)が20ないし50重量%(混合
物全体を100重量%とする)、特に好ましくは20な
いし40重量%の範囲にある。
【0032】前記高分子量ポリエチレン(A)と炭化水
素系可塑剤(B)との溶融混練は、例えば、ヘンシェル
ミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブ
ラーブレンダーで混合後、一軸押出機、二軸押出機等の
スクリュー押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等
で、通常、融点以上、300℃以下の温度で行い得る。
【0033】高分子量ポリエチレンの融点以下の混練は
混合物の粘度が高く、均一に混合できない虞がある。ま
た300℃以上の温度での溶融混練では高分子量ポリエ
チレンの熱劣化が起こるため好ましくない。特に好まし
い溶融混練温度は160ないし250℃の範囲である。
原反シートへの成形は、通常、T−ダイを装着した押出
機による押出成形が好ましく、生産性は劣るものの、圧
縮成形による方法でもよい。溶融混練は、シートの成形
に先だってあらかじめ行ってもよいし、スクリュー押出
機等で溶融混練しながら、ダイより原反シートを押し出
す連続法で行ってもよい。原反シートの厚みは二軸延伸
時にチャックで挟み操作するため、0.05mmないし
5mmの範囲にあることが好ましい。
【0034】<原反シートからの炭化水素系可塑剤
(B)の抽出>前記方法にて調製されたシートは、この
後、80℃以下の温度で、炭化水素系可塑剤(B)が実
質的に残存しないように抽出除去処理を施される。かか
る炭化水素系可塑剤(B)を抽出除去することの出来る
溶剤(C)としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、
n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカ
ンのような炭化水素系低分子量溶剤が適している。抽出
除去に当たっては、約50から60℃前後の温度下で行
うのも、処理速度を向上させるため好ましいことであ
る。
【0035】抽出除去処理温度の上限はポリエチレン原
反シートの軟化点であるが、これは炭化水素系可塑剤
(B)の種類、高分子量ポリエチレン(A)と炭化水素
系可塑剤(B)の組成によっても、多少異なるが、80
から85℃の範囲にある。シートの軟化点以上での長時
間による抽出除去処理は、炭化水素系可塑剤(B)との
共存下で高分子量ポリエチレンが結晶化することによっ
て形成された、二軸延伸性に優れた球晶構造からなる、
好適な構造を変化させるため好ましくない。原反シート
を非拘束状態(自由端)で抽出除去処理を行った場合、
原反シートは収縮するが、面積比で30%までの収縮で
あれば、続く二軸延伸工程での延伸特性を損なうもので
はないが、原反が反ったり、皺が入ることによりテンタ
ーに装着する際、操作上煩雑となる。したがって、原反
シートからの可塑剤の抽出除去は少なくとも一方向を拘
束状態(固定端)で行うことが好ましい。
【0036】抽出除去処理後の、シートへの炭化水素系
可塑剤(B)の残存の有無は炭化水素系可塑剤(B)が
結晶性であれば、示差走査型熱量計(DSC)により確
認することが出来るし、ソックスレー抽出器を用いて、
高分子量ポリエチレンを溶解しない、かつ炭化水素系可
塑剤(B)を溶解し得る適当な溶剤、例えば炭化水素系
可塑剤がパラフィンワックスであれば、例えば沸騰n−
ヘキサンのようなものを用いて原反シートを処理するこ
とにより、その重量の減少から確認することもできる。
実質的に炭化水素系可塑剤(B)が残存しない量とは、
炭化水素系可塑剤(B)の種類にもよるが目安は8重量
%以下である。
【0037】<二軸延伸>上述の方法で得られた実質的
に炭化水素系可塑剤(B)を抽出除去したシートは13
5℃未満の温度で二軸延伸される。延伸温度の下限は6
0℃である。60℃以下の温度での延伸では到達可能な
延伸倍率が低い値に留まるため、高強度を発現すること
が困難である。また延伸応力も大きく延伸操作上、不利
である。延伸温度が135℃以上の場合には微孔性構造
をとらず、緻密構造となるため、135℃未満が延伸温
度の上限である。
【0038】延伸開始に当たって、シートを加熱して延
伸温度に調製する前段階で、長時間、80℃以上の温度
に暴露することは好ましくない。延伸は原反シートを8
0℃以上に加熱して後、5分以内、好ましくは3分以内
に開始されるべきである。調製された原反シートを二軸
延伸する方法は、テンター法による同時もしくは逐次二
軸延伸、あるいは、ロール等により縦方向に延伸後、テ
ンターにより横方向に延伸する逐次二軸延伸法が挙げら
れる。延伸倍率が縦方向、横方向それぞれ6倍以上の場
合には多段延伸が好ましい。この時、延伸温度は、13
5℃に到達しない範囲で前段の延伸工程から後段の延伸
工程に向かって温度を上昇させていってもよい。押し出
された原反シートを延伸する際には、ダイより押し出さ
れた溶融状態のシートが冷却されて延伸温度に入ったと
きに、炭化水素系可塑剤(B)を抽出除去し、ついで、
延伸を行う方法もあるが、本発明においては、シート状
溶融混合物を、一旦、炭化水素系可塑剤(B)とともに
冷却固化した後、炭化水素系可塑剤(B)を抽出除去
し、再度加熱し、上記延伸温度内で延伸しなければなら
ない。
【0039】また二軸延伸する際の延伸倍率は、通常縦
方向が3倍以上、好ましくは4倍ないし20倍、横方向
が3倍以上、好ましくは4倍ないし20倍である。超薄
膜の作製を目的とするときには、縦方向、横方向ともに
20倍以上の延伸倍率が好ましい。延伸倍率が20倍を
超えると、延伸により作製される高分子量二軸延伸フィ
ルムの厚さは、空孔率、原反シートの組成にもよるが4
00分の1以下になるため超極薄フィルム(膜厚1μ以
下)の製作に適している。
【0040】本発明では高分子量ポリエチレンフィルム
の調製に先だって、高分子量ポリエチレン(A)には、
炭化水素系可塑剤(B)に加えて、耐熱安定剤、耐候安
定剤、滑剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、顔
料、染料、無機充填剤等、通常ポリオレフィンに添加し
て使用される各種添加剤を本発明の目的を損なわない範
囲で配合しておいてもよい。
【0041】<高分子量ポリエチレン二軸配向フィルム
の熱処理>得られる高分子量ポリエチレン二軸配向フィ
ルムは、用途によっては熱処理をすることによりさらに
高強度化することができる。とくに原料ポリエチレンと
して、極限粘度[η]が5デシリットル/グラム以上な
いし9デシリットル/グラム未満のものを使用した場合
には、所望の延伸倍率の延伸操作を終了したフィルムを
一旦60℃以下の温度に冷却し、この後、定長拘束下で
80ないし150℃の範囲の温度で処理することが好ま
しい。
【0042】熱処理を行うための熱媒体は、空気、窒素
ガスなどの気体やポリエチレンを溶解、変性しない水、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコールのよう
な液体が用いられる。好適な処理温度は、140℃付近
であるが処理時間を選ぶことによりこの温度に制限され
ない。処理時間は熱媒体の種類にもよるが、150℃で
は1ないし5分間の範囲、140℃では2ないし10分
間の範囲、80℃では30分ないし2時間の範囲を目安
として、処理温度が低くなるにしたがって、長い処理時
間を必要とする。後述するように、上述の処理により、
空孔率は若干低下しフィルムは処理前に比べて、薄くな
る。しかしながらフィルムの強度はこの厚みの減少を相
殺しても熱処理前と比較して、約3割以上向上する。ま
たフィルムの調製条件によっては、フィルムの表面が剥
離することがあるが、その様な性質も熱処理によって改
善される。またフィルムに皺が入りにくくなる効果も見
い出されている。
【0043】<容器への応用>本フィルムを容器の一部
もしくは全部の構成素材として用いたとき、従来のポリ
エチレン材料に見られない以下に述べる大きな特徴を持
つ。まず第一の特徴は接着性に優れる点である。この性
質は恐らくはフィルムの空孔内に接着剤が入り込みアン
カー効果に基づくものと考えられる。通常のほとんどの
接着剤が有効であり、特に非水系の接着剤が好ましい。
従って容器本体が紙、ポリプロピレン等ポリエチレン以
外のものであれば公知の接着剤にて本フィルムを接着す
ることが出来るし、また本体がポリエチレンであれば、
前述したように従来から知られるヒートシールが有効で
あるし、本フィルム同士であれば接着剤を用いても良い
し、ヒートシールでも良い。
【0044】第2の特徴は印刷性に優れることである。
おそらくこの性質もフィルム空孔内にインクが入り込
み、その比表面積の大きなことからインクや顔料が吸着
されることによると考えられる。そしてこのフィルム
は、一旦印刷されると、インクが滲み出たり、色落ちた
りすることもなく、他の接触物に付着することもない。
従って、電子レンジにて調理する際のインストラクショ
ンなどを容易に印刷することが出来る。
【0045】
【発明の効果】本発明における上述のフィルムは、特定
の高分子量のポリエチレンを用いた葉脈状の微孔性構造
を有することに起因して、透気性と引張強度がともに大
きいという従来のフィルムには見られない特性を有する
ものであり、例えば、下記のような種々の形態の電子レ
ンジ加熱を目的とした包装材料や容器の部材に用いられ
る。 1.水分を余り含まない食品の場合、たとえばハンバー
ガー、フライドポテト、フライドチキン、ベーコン、焼
き飯、ピラフなど
【0046】(1) フィルム単体で食品をくるみ、電子レ
ンジで加熱を行なう。この場合、食品表面ににじみでる
水分・油分を吸着してトレーを汚さない。又、食品表面
で温度の水分・油分が付着していないため味、風味に優
れ、又、歯触りもよい。
【0047】(2) ヒートシール、接着等で袋状にして食
品を密封する。そして電子レンジで加熱を行なう。この
場合、(1) と同様な効果に加えて、密封系であるために
過度の水分の蒸発を防ぐという効果も達成される。また
適当に蒸気で内圧が保たれるため食品の加熱が均等であ
る。さらに、本フィルムで包装された食品は冷凍保管に
適しているため、冷凍食品の電子レンジによる加熱に好
適である。
【0048】2.水分を多く含む食品の場合、例えばシ
チュー、カレーなどの汁物 (3) 容器の密封シールの打ち張りに用い、電子レンジ加
熱の際には、密封シールをはがし、本フィルムでシール
して電子レンジで加熱する。この場合、汁分のふきこぼ
れの紡止と適当な内差による加熱の均一化効果が期待で
きる。
【0049】(4) 通常の電子レンジ用の耐熱容器に本フ
ィルムをかぶせて用いる。この場合汁分のふきこぼれ防
止と汁の表面のみの過度の乾燥防止効果が期待できる。
本発明に供するフィルムのさらに大きな特徴点は引張強
度や突き刺し強度に極めて優れる点にある。したがっ
て、耐水度の許容される範囲で通気性孔径や開口度、空
孔率を調節することにより、上述の(1) ないし(4) の場
合で例示した効果を調理食品の種々により加減すること
も可能であることも大きな特徴である。また、ヒートシ
ール性や印刷性にも優れているため、電子レンジ加熱に
供される食品用包装材料として好適である。
【0050】
【実施例】さらに本発明の実施態様を、実施例を挙げて
説明する。以下の実施例および比較例での部および%は
他に特定のない限り、すべて重量規準である。
【0051】<参考例1> (高分子量ポリエチレン二軸配向フィルムの作成)シートの作成 高分子量ポリエチレン(極限粘度[η]=16デシリッ
トル/グラム)とパラフィンワックス(融点=69℃、
分子量460)とを用いて以下のようにシートを調製し
た。高分子量ポリエチレンの粉末30部とパラフィンワ
ックスの粉末70部と、プロセス安定剤として、高分子
量ポリエチレンに対して0.5%の3,5−ジ−ターシ
ャリー−ブチル−4−ヒドロキシトルエンとを均一に混
合し、この粉末状混合物を二軸スクリュータイプのT−
ダイシート成形機(日本製鋼製テックス44)で230
℃の設定温度で可塑化混練し500mm幅のダイスより
50℃に温度設定したチルロール上に押し出して冷却
し、厚み約1mmのシートを得た。
【0052】シートからの可塑剤の除去 得られた高分子量ポリエチレンとパラフィンワックスの
混合物のシートを以下のように処理し、パラフィンワッ
クスを除去した。60℃に保たれたn−デカン槽内をシ
ートを連続的に通過させた。処理シートの約20倍量の
フレッシュn−デカンが槽のシート出口側から供給さ
れ、等量のn−デカンがシート入り口側の槽から回収さ
れた。シートの平均滞留時間は約30分間で、シートは
長手方向に張力を加え、収縮の起こらないように処理さ
れた。処理されたシートは60℃のエアーオーブンで連
続的に乾燥を行った。乾燥時間は平均で約30分間で、
このときもシートは長手方向に張力をかけて、収縮の起
こらないように処理した。処理された原反は厚みが約
0.6mmでパラフィンワックスの残存量は約4%であ
った。
【0053】二軸延伸フィルムの調製 上述のようにして得られた原反を以下のようにして二軸
延伸し、フィルムとした。二軸延伸機(三菱重工業製二
軸延伸機:型番)を用いて二軸延伸を行った。まず、縦
ロール延伸を行った。このときの条件は予熱ロール温度
80℃で、延伸ロール温度100℃で、原反の繰り出し
速度は5m/分で、延伸倍率は設定値で5倍であった。
続いて、縦延伸後、冷却ロールで冷却された縦延伸シー
トはテンター槽に入れて、横延伸を行った。このときの
条件は予熱温度100℃、延伸温度120℃であり、横
延伸倍率は設定値で9倍であった。さらに続いて、テン
タークリップを一定長に保ち、140℃で熱処理を行っ
た後にドラムに巻き取り、所望の高分子量ポリエチレン
二軸延伸フィルムを得た。
【0054】得られたフィルムの基本物性は以下の通り
である。
【0055】シートからの可塑剤の除去 得られた高分子量ポリエチレンとパラフィンワックスの
混合物のシートを以下のように処理し、パラフィンワッ
クスを除去した。60℃に保たれたn−デカン槽内をシ
ートを連続的に通過させた。処理シートの約20倍量の
フレッシュn−デカンが槽のシート出口側から供給さ
れ、等量のn−デカンがシート入り口側の槽から回収さ
れた。シートの平均滞留時間は約30分間で、シートは
長手方向に張力を加え、収縮の起こらないように処理さ
れた。処理されたシートは60℃のエアーオーブンで連
続的に乾燥を行った。乾燥時間は平均で約30分間で、
このときもシートは長手方向に張力をかけて、収縮の起
こらないように処理した。処理された原反は厚みが約
0.6mmでパラフィンワックスの残存量は約4%であ
った。
【0056】二軸延伸フィルムの調製 上述のようにして得られた原反を以下のようにして二軸
延伸し、フィルムとした。二軸延伸機(三菱重工業製二
軸延伸機:型番)を用いて二軸延伸を行った。まず、縦
ロール延伸を行った。このときの条件は予熱ロール温度
80℃で、延伸ロール温度100℃で、原反の繰り出し
速度は5m/分で、延伸倍率は設定値で5倍であった。
続いて、縦延伸後、冷却ロールで冷却された縦延伸シー
トはテンター槽に入れて、横延伸を行った。このときの
条件は予熱温度100℃、延伸温度120℃であり、横
延伸倍率は設定値で9倍であった。さらに続いて、テン
タークリップを一定長に保ち、140℃で熱処理を行っ
た後にドラムに巻き取り、所望の高分子量ポリエチレン
二軸延伸フィルムを得た。
【0057】得られたフィルムの基本物性は以下の通り
である。
【0058】<参考例2> (高分子量ポリエチレン二軸配向フィルムの作成)高分
子量ポリエチレン(極限粘度[η]=8デシリットル/
グラム)とパラフィンワックス(融点=69℃、分子量
460)とを用いて以下のようにシートを調製した。高
分子量ポリエチレンの粉末40部とパラフィンワックス
の粉末60部と、プロセス安定剤として、高分子量ポリ
エチレンに対して0.5%の3,5−ジ−ターシャリー
−ブチル−4−ヒドロキシトルエンとを均一に混合し、
この粉末状混合物を用いて、参考例1と同様な方法でシ
ートを作成し、更にパラフィンワックスを除去し、二軸
延伸を行った。ただし二軸延伸時の縦延伸倍率の設定値
は6倍、横延伸倍率の設定値は10倍であった。得られ
たフィルムの基本物性を表2に示す。
【0059】
【0060】<参考例3> (高分子量ポリエチレン二軸配向フィルムの作成)高分
子量ポリエチレン(極限粘度[η]=16デシリットル
/グラム)とパラフィンワックス(融点=69℃、分子
量460)とを用いて以下のようにシートを調製した。
高分子量ポリエチレンの粉末25部とパラフィンワック
スの粉末75部と、プロセス安定剤として、高分子量ポ
リエチレンに対して0.5%の3,5−ジ−ターシャリ
ー−ブチル−4−ヒドロキシトルエンとを均一に混合
し、この粉末状混合物を用いて、参考例1と同様な方法
でシートを作成し、更にパラフィンワックスを除去し、
二軸延伸を行った。ただし二軸延伸時の縦延伸倍率の設
定値は6倍、横延伸倍率の設定値は10倍であった。ま
たヒートセット温度は125℃であった。得られたフィ
ルムの基本物性を表3に示す。
【0061】
【0062】<実施例1>市販のカップ入り即席麺(商
品名:サッポロ一番カップスター、(株)サンヨー食品
製)の蓋を取り除き、内部に所定の冷水を満たし、その
後、参考例1で得られたフィルムを蓋として、紙製の容
器に瞬間接着剤(商品名:ボンドアロンアルファ、東亜
合成化学製)で張り付けた。これを電子レンジ(商品
名:ナショナルオーブン電子レンジ、型番NE−A74
0、松下住設機器(株)製)に入れて、照射した。照射
後から4分後にフィルムは内圧で膨れて、蒸気が透過し
ているのが観察された。更に照射を続けて、5分後に取
り出し、フィルムを開けたところ、内部の麺は完全に加
熱されて、熱々の状態で仕上がっていた。
【0063】<実施例2>参考例3に記載されたフィル
ムで市販のベーコンをくるんで、ポリプロピレン製のト
レーにのせて、実施例1で用いた電子レンジで3分間照
射した。照射後、ベーコンを取り出すと、食べごろに仕
上がっており、滲み出た油はフィルムに吸着され、トレ
ーはほとんど汚れていなかった。同様に、フィルムにく
るむことなく、加熱したときは、油がベーコン表面に付
着し、見た目が悪いばかりか、油がトレーに飛散してい
た。
【0064】<実施例3>参考例2に記載したフィルム
を用いて、前述の瞬間接着剤を用いて、袋を作成した。
その袋の中に、市販の電子レンジ調理用のハンバーガー
を包装用紙から取り出し、作成した袋の中にいれて、さ
らに瞬間接着剤で密封した。これを前述の電子レンジに
て1.5分間照射した。照射後、ハンバーガーを袋から
取り出すと暖かく食べごろに仕上がっており、包装用紙
を用いて照射したときより、保湿感があり、おいしく感
じられた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 23:00 B29L 7:00 4F C08L 23:04 (72)発明者 赤名 義徳 山口県玖珂郡和木町和木6丁目1番2号 三井石油化 学工業株式会社内 (72)発明者 中野 勝 千葉県市原市千種海岸3番地 三井石油化 学工業株式 会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極限粘度[η]が5デシリットル/グラ
    ム以上の高分子量ポリエチレンからなり、透気性(ガー
    レー秒)が10秒以下であり、かつ引張強度が全方向で
    1000Kg/cm2 以上であることを特徴とする電子
    レンジ加熱を目的とした食品包装用二軸配向フィルム。
  2. 【請求項2】 容器の少なくとも一部が、請求項1に記
    載されたフィルムで構成された電子レンジ加熱を目的と
    する食品用容器。
JP5115518A 1993-05-18 1993-05-18 電子レンジ加熱を目的とした食品用包装材料 Withdrawn JPH06328556A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5115518A JPH06328556A (ja) 1993-05-18 1993-05-18 電子レンジ加熱を目的とした食品用包装材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5115518A JPH06328556A (ja) 1993-05-18 1993-05-18 電子レンジ加熱を目的とした食品用包装材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06328556A true JPH06328556A (ja) 1994-11-29

Family

ID=14664512

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5115518A Withdrawn JPH06328556A (ja) 1993-05-18 1993-05-18 電子レンジ加熱を目的とした食品用包装材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06328556A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1134196A (ja) * 1997-07-16 1999-02-09 Idemitsu Petrochem Co Ltd 積層シート及び電子レンジ調理用食品収納体
KR101512563B1 (ko) * 2013-09-11 2015-04-15 연세대학교 원주산학협력단 상변화 물질을 함유하는 포장재용 조성물 및 포장필름

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1134196A (ja) * 1997-07-16 1999-02-09 Idemitsu Petrochem Co Ltd 積層シート及び電子レンジ調理用食品収納体
KR101512563B1 (ko) * 2013-09-11 2015-04-15 연세대학교 원주산학협력단 상변화 물질을 함유하는 포장재용 조성물 및 포장필름

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2318452B1 (en) Heat sealable monoaxially-oriented propylene-based film with directional tear
US7208215B2 (en) Reusable air permeable packaging film
NO180640B (no) Overförbar, modifiseringsmiddelholdig film
AU779090B2 (en) Irradiated biaxially oriented film
US3415925A (en) Process for preparing permeable polyethylene film
FR2516017A1 (fr) Pellicule stratifiee retractable a chaud
JP2011225881A (ja) 吸収した液体を有するフィルム
CA2574327A1 (en) Additive delivery laminate, process for making and using same, and article employing such
JPH10504051A (ja) 高結晶化度ポリプロピレンおよびテルペン重合体を含有する高防湿性oppフィルム
US20060051465A1 (en) Additive delivery laminate and packaging article comprising same
US20120251749A1 (en) Heat sealable monoaxially oriented propylene-based film with directional tear
WO2013180710A1 (en) Heat sealable monoaxially oriented propylene-based film with directional tear
JP3410219B2 (ja) ラミネート用多層シーラントフィルム
JPH06328556A (ja) 電子レンジ加熱を目的とした食品用包装材料
JPH07165940A (ja) ストレッチフィルム
JP3808584B2 (ja) 物品の保存方法
JPH06125751A (ja) 食品包装用多孔質シート
US20090110787A1 (en) Additive delivery laminate containing styrene-ethylene/butylene-styrene copolymer
JPH06345147A (ja) 通気性包装体
JPH10152596A (ja) レトルト用シーラントフィルム
JPS62279944A (ja) 多層型積層体、およびレトルト操作が可能なバリヤ−付容器
JP2022185075A (ja) 多層フィルム、包装材及び包装体
JPH06345149A (ja) 殺菌可能な微孔性包装材料
JPH07278419A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JPH07224212A (ja) ポリエステル樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20000801