JPH07278419A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

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JPH07278419A
JPH07278419A JP7067694A JP7067694A JPH07278419A JP H07278419 A JPH07278419 A JP H07278419A JP 7067694 A JP7067694 A JP 7067694A JP 7067694 A JP7067694 A JP 7067694A JP H07278419 A JPH07278419 A JP H07278419A
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寿 木村
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克二 田中
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 共重合成分を3〜25モル%含有する共重合
ポリエチレンテレフタレート60〜99重量%と、不飽
和カルボン酸ないしはその無水物でグラフトされた変性
ポリオレフィン1〜40重量%とを配合してなり、金属
原子含有量が0.1重量%以下であり、23℃の水に浸
漬しときの平衡含水率が1.0重量%以下であることを
特徴とするポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた
包装材料。 【要約】 本発明のポリエステル樹脂組成物は、保香性、ヒートシ
ール性、耐ピンホール性、耐衝撃性、柔軟性、延展性な
どに優れており、特に、高温下に保管された場合にもヒ
ートシール性が低下しない特徴を有し、特に保香性やヒ
ートシール性が要求される包装材料に好ましく用いるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、保香性、ヒートシール
性、耐ピンホール性、耐衝撃性、柔軟性、延展性などに
優れたポリエステル樹脂組成物に関する。詳しくは、特
に飲料、食品など香気成分を含有する内容物の包装材料
に好適なポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】中空容器、トレイおよび蓋、紙パック、
缶などの包装材料では、ジュース、水、酒などの飲料や
コンビニエンスフード、果物などの食品のように香気成
分を含む内容物と内面が直接接触することがあり、その
ためにその最内層を形成する材料に対して、保香性、ガ
スバリア性などが優れていることが要求されている。こ
のような背景から、これら包装材料の最内層として、ポ
リエチレンテレフタレートが注目されている。
【0003】例えば、ジュース、乳酸菌飲料、酒などの
飲料包装の分野においては、多層からなる紙パックが広
く使用されてきた。紙パックでは、その成形や充填の工
程においてヒートシールを行う都合上、ヒートシール性
樹脂層を最内層として紙に積層する必要がある。ヒート
シール性樹脂層としては、従来、ポリオレフィン、中で
もポリエチレンが多用されてきた。ポリオレフィンは、
ヒートシール性が優れるのみならず、柔軟性が優れてお
り、折り曲げ加工の際にピンホールが発生しないなどの
長所を有している。しかし、ポリオレフィンは香気成分
を吸着しやすいとともに、樹脂臭を伴うことがあり、内
容物の種類によっては味や香りが変化するという欠点を
有していた。
【0004】一方、ポリエチレンテレフタレートは保香
性、ガスバリア性には優れるものの、ヒートシール性能
が劣るとともに耐衝撃性が乏しく、紙パックのようにヒ
ートシールを必要とする包装材料の最内層への使用は困
難であった。また、イソフタル酸を少量共重合した結晶
性の共重合ポリエチレンテレフタレートでは、ヒートシ
ール性についてはポリエチレンテレフタレートに比較し
て若干優れてはいるものの、耐衝撃性や柔軟性の点で満
足できるものではなかった。さらに、PETGのごとき
シクロヘキサンジメタノールを約30モル%共重合させ
たポリエチレンテレフタレートでは、耐衝撃性はかなり
のレベルにあるものの、保香性や耐熱性で満足できるも
のではなかった。
【0005】そこで、このようなポリエチレンテレフタ
レート系樹脂の欠点を改良する方法として、特開平1−
127340号公報には、特定の結晶化度を有するポリ
エステル樹脂にランダム共重合体を分散させて用いる方
法が開示されている。この方法は、ポリエチレンテレフ
タレート系樹脂の欠点である耐衝撃性およびヒートシー
ル性を改良することを目的とするものであり、保香性と
耐熱性が不充分で、高温下でヒートシール性が低下する
という問題があった。
【0006】また、特開平2−277635号公報に
は、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートに
特定量のポリオレフィンを配合する方法が開示されてい
る。この方法も前記の特開平1−127340号公報同
様、ポリエチレンテレフタレート系樹脂の欠点である耐
衝撃性およびヒートシール性を改良することを目的とす
るものであり、耐熱性が不充分で、高温下でヒートシー
ル性が低下するという問題があった。
【0007】さらに、共重合ポリエチレンテレフタレー
トにエチレン/(メタ)アクリル酸エステル系共重合体
またはその金属イオン化物をブレンドして用いる方法
(特開平2−233372号公報、特開平3−3283
7号公報)などが提案されている。しかしながら、この
ような方法によって得られる包装材料においても、高温
下でヒートシール性が大幅に低下してしまうという欠点
が存在し、満足できるものではなかった。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、保
香性、耐衝撃性、柔軟性、延展性などに優れ、しかも高
温下に長期間保管された後にも優れたヒートシール性を
有するポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、特定のポリエステ
ル樹脂組成物を見いだし、本発明に到達した。即ち、本
発明の要旨は、共重合成分を3〜25モル%含有する共
重合ポリエチレンテレフタレート60〜99重量%と、
不飽和カルボン酸ないしはその無水物でグラフトされた
変性ポリオレフィン1〜40重量%とを配合してなり、
金属原子含有量が0.1重量%以下であり、23℃の水
に浸漬しときの平衡含水率が1.0重量%以下であるこ
とを特徴とするポリエステル樹脂組成物、およびそれを
用いた包装材料に関する。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
ポリエステル樹脂組成物は、共重合ポリエチレンテレフ
タレートと変性ポリオレフィンからなる。本発明のポリ
エステル樹脂組成物中、共重合ポリエチレンテレフタレ
ートの比率は60〜99重量%、好ましくは70〜98
重量%、さらに好ましくは75〜97重量%の範囲であ
り、変性ポリオレフィンの比率は1〜40重量%、好ま
しくは2〜30重量%、さらに好ましくは3〜25重量
%の範囲である。変性ポリオレフィンの比率が1重量%
未満の場合には、柔軟性に欠け、耐衝撃性が低いのみな
らず、ヒートシール性、耐ピンホール性も乏しいために
好ましくない。一方、変性ポリオレフィンの比率が40
重量%を越える場合には、保香性、ガスバリア性、耐熱
性などの低下が顕著であり好ましくない。
【0011】本発明のポリエステル樹脂組成物は、金属
原子含有量が0.1重量%以下、好ましくは0.05重
量%以下、より好ましくは0.02重量%以下、さらに
好ましくは0.01重量%以下である。ここで金属原子
とは、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウ
ム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガンを指し、金
属原子含有量とはこれら金属原子の総和である。金属原
子含有量の測定には、蛍光X線測定法、原子吸光法、発
光分光法などの、従来から公知の方法を用いることがで
きる。本発明のポリエステル樹脂組成物を得るには、金
属原子を上記範囲でしか含まない共重合ポリエチレンテ
レフタレートと変性ポリオレフィンとを用いればよい。
金属原子を大量に含む共重合ポリエチレンテレフタレー
ト、例えば、重合触媒として上記金属原子を大量に用い
た共重合ポリエチレンテレフタレートや、ジエチレング
リコールの生成を抑制するため炭酸カリウムなどの塩基
性化合物を添加した共重合ポリエチレンテレフタレート
や、5−ソディオスルホイソフタル酸のような金属原子
を含有する成分を共重合した共重合ポリエチレンテレフ
タレートなどや、金属原子を大量に含む変性ポリオレフ
ィン、例えば、エチレン・メタクリル酸共重合体の亜鉛
化物やナトリウム化物(アイオノマー樹脂)などを用い
て、得られるポリエステル樹脂組成物の金属原子含有量
が0.2重量%より多い場合には、ポリエステル樹脂組
成物の熱安定性の低下が顕著であり、好ましくない。特
に、金属原子がナトリウム、カリウム、亜鉛などである
場合には、高温下で長期間保管された場合にヒートシー
ル性の大幅な低下も生じるので好ましくない。
【0012】本発明のポリエステル樹脂組成物は、23
℃の水に浸漬したときの平衡含水率が1.0重量%以
下、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.
7重量%以下、さらに好ましくは0.6重量%以下であ
る。このようなポリエステル樹脂組成物を得るには、平
衡含水率が上記範囲の共重合ポリエチレンテレフタレー
トと変性ポリオレフィンとを用いればよい。平衡含水率
が大きい共重合ポリエチレンテレフタレート、例えば、
5−ソディオスルホイソフタル酸のような金属原子を含
有する成分を共重合した共重合ポリエチレンテレフタレ
ートなどや、平衡含水率が大きい変性ポリオレフィン、
例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合体やアイオ
ノマー樹脂などを用いて、得られるポリエステル樹脂組
成物の平衡含水率が1.0重量%より多い場合は、長期
間保管された場合に吸湿することによる、熱安定性の低
下や結晶化速度が速くなることによるヒートシール性の
低下を生じるので好ましくない。なお、平衡含水率の測
定は、23℃の水に20日間浸漬した後、カールフィッ
シャー法により行う。
【0013】本発明のポリエステル樹脂組成物の熱特性
は、通常、示差走査型熱量計(以下、「DSC」とい
う)にて測定した主たる吸熱ピーク温度と発熱ピーク温
度との差が30〜110℃であるが、主たる吸熱ピーク
温度と発熱ピーク温度との差が95℃以下、好ましくは
85℃以下、より好ましくは75℃以下、さらに好まし
くは65℃以下であることが望ましい。吸熱ピーク温度
および発熱ピーク温度の測定は、室温から昇温速度20
℃/分で300℃まで昇温し、300℃で3分間保持し
た後、液体窒素にて急冷処理した試料5mgを、DSC
にて室温から昇温速度20℃/分で300℃まで昇温し
て測定する。主たる吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度と
の差が上記の範囲にある本発明のポリエステル樹脂組成
物は、ヒートシール性や加工性が一層良好である。
【0014】ここで、主たる吸熱ピーク温度と発熱ピー
ク温度とは共重合ポリエチレンテレフタレート成分由来
のピークであって、共重合ポリエチレンテレフタレート
の共重合成分および変性ポリオレフィンの種類や比率に
よって変化する。本発明のポリエステル樹脂組成物に用
いる共重合ポリエチレンテレフタレートに関しては、実
質的にジカルボン酸成分とジオール成分とからなる共重
合ポリエチレンテレフタレートであって、共重合成分の
比率が3〜25モル%、好ましくは5〜20モル%、さ
らに好ましくは7〜15モル%の範囲にあるものであ
る。共重合成分の比率が3モル%未満の場合には、得ら
れるポリエステル樹脂組成物はヒートシール性が乏し
く、柔軟性、耐衝撃性も低いために好ましくない。一
方、共重合成分の比率が25モル%を越える場合には、
得られるポリエステル樹脂組成物は保香性やガスバリア
性が低く、耐熱性も低下する傾向にあるために好ましく
ない。
【0015】ここで、共重合成分の比率とは、全ジカル
ボン酸成分に対するテレフタル酸以外のジカルボン酸成
分の比率と、全ジオール成分に対するエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール以外のジオール成分の比率と
を足し合わせたものである。共重合ポリエチレンテレフ
タレートに用いられるジカルボン酸成分としては、イソ
フタル酸、フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−
ビフェニルジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバ
シン酸などの成分を挙げることができる。さらに、本発
明においては、ヒドロキシ安息香酸、グリコール酸など
のオキシカルボン酸成分やトリメリット酸、トリメシン
酸、ピロメリット酸などの三官能以上のカルボン酸成分
などもジカルボン酸成分として扱い、用いることができ
る。
【0016】また、ジオール成分としては、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、
1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなど
が挙げられる。さらに、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、ペンタエリスルトールなどの三官能
以上のヒドロキシ成分もジオール成分として扱い、用い
ることができる。
【0017】これら共重合成分は、1種のみが用いられ
ていてもよいし、2種以上が併せて使用されていてもよ
い。これらのうち、好ましくは1,4−シクロヘキサン
ジメタノールおよび/またはイソフタル酸、さらに好ま
しくは1,4−シクロヘキサンジメタノールである。な
お、上記の三官能以上の成分に関しては、通常1モル%
以下、好ましくは0.7モル%以下の範囲で用いるの
が、ゲル化防止の面から望ましい。
【0018】特に、ジエチレングリコール成分の共重合
量に関しては、共重合ポリエチレンテレフタレートの熱
安定性の面から、全ジオール成分に対する比率として5
モル%以下、好ましくは4モル%以下であることが望ま
しい。ジエチレングリコールは重合反応中にエチレング
リコールより一部副生してくるため、ジエチレングリコ
ールまたはそのエステル形成誘導体の所定量を重合原料
として用いる場合のほか、反応条件、添加剤などを適宜
選択することのみでジエチレングリコール成分量を制御
できる。反応条件によってジエチレングリコール生成量
を制御する方法としては、従来からポリエチレンテレフ
タレートの重合において行われている公知の方法、例え
ば、反応の温度、時間、圧力、直接エステル化法の場合
に原料として用いるエチレングリコールとテレフタル酸
の仕込み比などによって制御する方法が挙げられる。ま
た、添加剤として、例えば、トリエチルアミン、トリ−
n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3
級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テ
トラブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルア
ンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウムおよび炭酸
リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリ
ウムなどの塩基性化合物を少量添加し、ジエチレングリ
コールの生成を抑制する方法もある。一方、硫酸などの
無機酸を重合原料中に少量添加して、ジエチレングリコ
ールの生成を促進し、含有量を増加させる方法もある。
【0019】本発明のポリエステル樹脂組成物に用いら
れる共重合ポリエチレンテレフタレートの極限粘度につ
いては、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエ
タン(重量比=1/1)の混合溶媒中、30℃で測定し
た場合に0.5〜1.5dl/g、好ましくは0.6〜
1.0dl/gの範囲にあることが望ましい。共重合ポ
リエチレンテレフタレートの極限粘度がこの範囲にある
場合には、本発明のポリエステル樹脂組成物の成形性が
より良好であり、さらにそれを成形してなる成形体の強
度がより高くなるために好ましい。
【0020】一方、本発明のポリエステル樹脂組成物に
用いる変性ポリオレフィンは、不飽和カルボン酸ないし
はその無水物でグラフト変性されたポリオレフィンであ
る。ポリオレフィンに対する不飽和カルボン酸ないしは
その無水物のグラフト率は、通常0.05〜2.0重量
%、好ましくは0.1〜1.0重量%、より好ましくは
0.2〜0.8重量%、さらに好ましくは0.3〜0.
6重量%の範囲にあることが望ましい。不飽和カルボン
酸ないしはその無水物の比率がこの範囲にある場合に
は、変性ポリオレフィンの共重合ポリエチレンテレフタ
レートへの分散性がよく、得られるポリエステル樹脂組
成物の柔軟性、耐衝撃性、ヒートシール強度などが向上
する傾向にあるため一層好ましい。上記の変性ポリオレ
フィンは、上記比率で全量変性して製造されたものであ
ってもよいし、一旦上記比率以上に変性したポリオレフ
ィンに未変性ポリオレフィンをブレンドして上記比率に
調整されたものであってもよい。さらには、これらの二
種以上をブレンドしたものであってもよい。これらの変
性ポリオレフィンのうち、上記比率で全量変性されたも
のが共重合ポリエチレンテレフタレートへの分散性が最
もよく、好ましく用いられる。
【0021】変性ポリオレフィンに用いられる不飽和カ
ルボン酸ないしはその無水物としては、アクリル酸、メ
タクリル酸、フマル酸、ナジック酸、無水マレイン酸、
無水イタコン酸、無水ナジック酸などを挙げることがで
きるが、これらのうち、無水マレイン酸が最も好まし
い。変性ポリオレフィンに用いられる原料ポリオレフィ
ンとしては、高密度または低密度のポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体などの
非極性ポリオレフィンや、さらには、これら非極性ポリ
オレフィン中にビニルアルコール成分や酢酸ビニル成分
などの極性成分を共重合した、例えば、エチレン・ビニ
ルアルコール共重合体やエチレン・酢酸ビニル共重合体
などの極性ポリオレフィンが挙げられる。なお、エチレ
ン・α−オレフィン共重合体については、主要量のエチ
レンと炭素数3〜12程度のα−オレフィン、例えばプ
ロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、
1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル
−1−ペンテンなどとの二元共重合体ないしは三元以上
の多元共重合体である。これらのポリオレフィンは、単
独ないしは二種以上をブレンドして、変性ポリオレフィ
ンの製造に用いられる。これらのうち、好ましくは非極
性ポリオレフィンであり、さらに好ましくはエチレン・
α−オレフィン共重合体であり、中でも1−ブテン共重
合ポリエチレンが最も好ましい。
【0022】本発明のポリエステル樹脂組成物に用いる
変性ポリオレフィンのメルトフローレートは、荷重21
60g、温度190℃で測定した場合に0.1〜100
g/10分、好ましくは0.3〜50g/10分、さら
に好ましくは0.5〜20g/10分の範囲にあること
が望ましい。変性ポリオレフィンのメルトフローレート
がこの範囲にある場合には、得られる本発明のポリエス
テル樹脂組成物の成形性、耐衝撃性、柔軟性などがより
良好となる。
【0023】変性ポリオレフィンの熱特性については、
DSCにより測定した吸熱ピーク温度が50〜150
℃、好ましくは55〜130℃、さらに好ましくは60
〜100℃の範囲にあることが望ましい。変性ポリオレ
フィンの吸熱ピーク温度の測定は、測定前の熱処理を行
わない以外は、前述の本発明のポリエステル樹脂組成物
の場合と同様である。変性ポリオレフィンの吸熱ピーク
温度がこの範囲にある場合には、本発明のポリエステル
樹脂組成物の柔軟性、耐衝撃性、ヒートシール性などが
より良好である。
【0024】以下、本発明のポリエステル樹脂組成物の
製造方法について詳細に説明する。まず、本発明のポリ
エステル樹脂組成物の製造に際し、原料となる共重合ポ
リエチレンテレフタレートおよび変性ポリオレフィンに
ついては、従来から公知の方法により製造されたものを
使用すればよい。公知の製造法としては、共重合ポリエ
チレンテレフタレートについては、例えば、溶融重合な
いしはそれに引き続く固相重合などの方法が挙げられ
る。固相重合により製造された共重合ポリエチレンテレ
フタレートを用いることで、アセトアルデヒドの含有量
のより少ないポリエステル樹脂組成物を得ることができ
る。
【0025】また、変性ポリオレフィンについては、例
えば、高圧ラジカル重合や配位アニオン重合、さらには
無水マレイン酸などとの溶融混練などの方法や臭気成分
除去のための水洗浄などの処理法が挙げられる。臭気成
分除去処理が施された変性ポリオレフィンを用いること
で、極めて臭気に敏感な内容物にも適したポリエステル
樹脂組成物を得ることができる。
【0026】本発明のポリエステル樹脂組成物は、共重
合ポリエチレンテレフタレートと変性ポリオレフィンと
を最終重量比であらかじめ溶融混練して製造してもよい
し、溶融成形に際してチップブレンドで成形機に供給し
溶融成形して得てもよい。さらには、変性ポリオレフィ
ンを最終重量比以上の比率で含むポリエステル樹脂組成
物(マスターバッチ)を溶融混練により一旦製造し、そ
れをさらに共重合ポリエチレンテレフタレートで希釈し
て使用することにより本発明のポリエステル樹脂組成物
とすることもできる。溶融混練操作を行うことで、本発
明のポリエステル樹脂組成物中の変性ポリオレフィンの
分散をより向上させることができる。
【0027】溶融混練は、従来から公知のいかなる方法
を用いてもよいが、単軸型ないしは二軸型の押出機によ
り生産性良く行うことができる。押出機による溶融混練
の場合、通常、温度は200〜300℃、好ましくは2
20〜280℃に設定して実施される。溶融成形法に関
しては、従来よりポリエチレンテレフタレートやポリオ
レフィンで一般的に用いられている押出成形、射出成
形、プレス成形などの溶融成形法を用いることができ
る。これら溶融成形を行う場合、通常、温度は200〜
300℃、好ましくは220〜280℃に設定して実施
される。
【0028】本発明のポリエステル樹脂組成物の製造に
際しては、イルガノックス1010やイルガノックス1
076などの商品名で知られているヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤やスリップ剤、アンチブロッキング剤、
着色剤などを適宜配合することができる。これらは、溶
融混練や溶融成形の際に添加してもよいし、あらかじめ
原料樹脂中に添加しておいてもよい。
【0029】上記のようにして得られた本発明のポリエ
ステル樹脂組成物は、紙パック内装材、金属缶コート
材、中空ボトル、トレーおよび蓋などの包装材料に好ま
しく用いることができる。また、多層包装材料の内装材
として他のプラスチック材料や金属箔などと積層されて
用いたり、単層の包装材料としてバッグインボックスな
どに用いることもできる。さらに、スタンディングパウ
チなどのレトルト用包装材料などにも用いることができ
る。特に、本発明のポリエステル樹脂組成物は、多層包
装材料のヒートシール層ないしは香気成分を含有する内
容物、例えば果汁飲料、乳酸菌飲料、酒、フルーツなど
との接触層に好ましく用いることができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。なお、本実施例中、
「部」は「重量部」を意味する。また、本実施例で用い
た種々の試験法を以下に示す。なお、金属原子含有量の
測定は蛍光X線測定法により、平衡含水率の測定法、発
熱および吸熱ピーク温度の測定法、極限粘度の測定法、
およびメルトフローレートの測定法は前述の通りであ
る。
【0031】(1)ヒートシール試験 まず、フィルムを温度23℃、相対湿度50%にて5日
間放置した後、そのフィルムを二つに折り、両面から厚
さ100μmのテフロンシートではさんだ状態で、バー
シーラーにて温度140℃ないしは170℃、圧力5K
g/cm2 、時間1秒間の条件にてヒートシールし
た。ついで、テフロンシートを取り外してから、ヒート
シール部分の幅が15mmとなるように、短冊状のT字
型剥離強度測定用サンプルを切り出した。T字型剥離強
度は温度23℃、相対湿度50%の環境下で、引張試験
機を用いてチャック間距離100mm、引張速度300
mm/分の条件にて測定した。なお、この測定は、フィ
ルムの縦方向および横方向についてそれぞれ各5点を測
定し、その平均値をもって剥離強度とした。
【0032】(2)フィルム保管試験 本試験は、ヒートシール前のフィルムを高温条件下に保
存した後にヒートシールを実施した場合、十分なヒート
シール性が保持されているかどうかを確認するための試
験である。試験は、温度40℃のオーブン中にフィルム
を所定期間放置した後、上記のヒートシール試験と同様
にして140℃でヒートシールを行い、剥離強度を測定
することにより行った。
【0033】(3)d−リモネン吸着試験 対象となるフィルムを4cm角の正方形の形状に切り出
し、フィルムの重量を測定した後、香気成分であるd−
リモネン100%液に浸漬し、温度23℃の環境下に保
存した。所定時間経過後、すばやくフィルムを取り出す
と同時にフィルムを濾紙で拭いて、フィルム表面に付着
したd−リモネンを除去してからフィルムの重量を測定
した。d−リモネン浸漬前後のフィルムの重量変化か
ら、フィルムへのd−リモネン吸着量(重量%)を算出
した。
【0034】〔実施例1〕共重合ポリエチレンテレフタ
レートとして、ジカルボン酸成分がすべてテレフタル酸
からなり、ジオール成分がエチレングリコール88モル
%、1,4−シクロヘキサンジメタノール10モル%、
ジエチレングリコール2モル%からなる、金属原子含有
量が0.005重量%、平衡含水率が0.59重量%、
極限粘度が0.71dl/gである共重合ポリエチレン
テレフタレート80部を用い、また、変性ポリオレフィ
ンとして、金属原子含有量が0.002重量%、平衡含
水率が0.001重量%、メルトフローレートが2.0
g/10分、密度が0.88g/cm3 、吸熱ピーク
温度が74℃である、無水マレイン酸0.4重量%でグ
ラフト変性された1−ブテン20モル%共重合ポリエチ
レン20部を用い、それぞれ充分真空乾燥した後、ペレ
ットブレンドし、日本製鋼所製TEX30型二軸混練押
出機にて260℃で溶融混練してから造粒し、ペレット
状のポリエステル樹脂組成物を得た。このポリエステル
樹脂組成物の金属原子含有量は0.004重量%、平衡
含水率は0.46重量%、吸熱ピーク温度は224℃、
発熱ピーク温度は181℃で、吸熱ピーク温度と発熱ピ
ーク温度との差は43℃であった。
【0035】次に、このポリエステル樹脂組成物を再度
乾燥した後、40mmφのキャストフィルム成形機にて
樹脂温度265℃、キャスティングロール表面温度40
℃で成膜し、厚さ30μmのフィルムを得た。このフィ
ルムは、しなやかな手触りで柔軟性に富むものであり、
金属原子含有量は0.004重量%、平衡含水率は0.
48重量%、吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度の差は4
4℃あった。
【0036】このフィルムに関して、JIS Z170
7の方法により測定した抗張力および破断点伸度の結
果、およびJIS P8134の方法により測定した衝
撃強度の結果を表−1に示す。なお、抗張力とは、降伏
点強度と破断点強度のうち高い方の値を指す。また、こ
のフィルムに関するヒートシール試験の結果を表−2
に、フィルム保管試験の結果を表−3に示す。さらに、
このフィルムに関するd−リモネン吸着試験の結果を表
−4に示す。
【0037】〔実施例2〕実施例1で用いた共重合ポリ
エチレンテレフタレート40部と、実施例1で製造した
ポリエステル樹脂組成物60部とをペレットブレンドし
てフィルム成形に用いた以外は、実施例1と同様にフィ
ルム成形を行い、厚さ30μmのフィルムを得た。この
フィルムも実施例1のフィルム同様、しなやかな手触り
で柔軟性に富むものであり、金属原子含有量は0.00
5重量%、平衡含水率は0.50重量%、吸熱ピーク温
度と発熱ピーク温度の差は40℃あった。
【0038】このフィルムに関して、実施例1と同様に
行った抗張力、破断点伸度、衝撃強度の測定の結果を表
−1に示す。また、このフィルムに関するヒートシール
試験の結果を表−2に、フィルム保管試験の結果を表3
に示す。さらに、このフィルムに関するd−リモネン吸
着試験の結果を表−4に示す。
【0039】〔実施例3〕実施例1で用いた共重合ポリ
エチレンテレフタレート70部と、実施例1で製造した
ポリエステル樹脂組成物30部とをペレットブレンドし
てフィルム成形に用いた以外は、実施例1と同様にフィ
ルム成形を行い、厚さ30μmのフィルムを得た。この
フィルムも実施例1のフィルム同様、しなやかな手触り
で柔軟性に富むものであり、金属原子含有量は0.00
5重量%、平衡含水率は0.51重量%、吸熱ピーク温
度と発熱ピーク温度の差は39℃あった。
【0040】このフィルムに関して、実施例1と同様に
行った抗張力、破断点伸度、衝撃強度の測定の結果を表
−1に示す。また、このフィルムに関するヒートシール
試験の結果を表−2に、フィルム保管試験の結果を表−
3に示す。さらに、このフィルムに関するd−リモネン
吸着試験の結果を表−4に示す。
【0041】〔実施例4〕共重合ポリエチレンテレフタ
レートとして、ジカルボン酸成分がテレフタル酸90モ
ル%とイソフタル酸10モル%からなり、ジオール成分
がエチレングリコール98モル%とジエチレングリコー
ル2モル%からなる、金属原子含有量が0.005重量
%、平衡含水率が0.62重量%、極限粘度が0.70
dl/gである共重合ポリエチレンテレフタレート88
部を用い、変性ポリオレフィンとして、実施例1の共重
合ポリエチレンを12部用いた以外は、実施例1と同様
にして、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。
このポリエステル樹脂組成物の金属原子含有量は0.0
05重量%、平衡含水率は0.53重量%、吸熱ピーク
温度は230℃、発熱ピーク温度は153℃で、吸熱ピ
ーク温度と発熱ピーク温度との差は77℃であった。こ
のポリエステル樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に
フィルム成形を行い、厚さ30μmのフィルムを得た。
このフィルムは、しなやかな手触りで柔軟性に富むもの
であり、吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度の差は77℃
あった。
【0042】このフィルムに関して、実施例1と同様に
行った抗張力、破断点伸度、衝撃強度の測定の結果を表
−1に示す。また、このフィルムに関するヒートシール
試験の結果を表−2に、フィルム保管試験の結果を表−
3に示す。さらに、このフィルムに関するd−リモネン
吸着試験の結果を表−4に示す。
【0043】〔実施例5〕実施例1で製造したポリエス
テル樹脂組成物70部と実施例4で製造したポリエステ
ル樹脂組成物30部とをペレットブレンドしてフィルム
成形に用いた以外は、実施例1と同様にフィルム成形を
行い、厚さ30μmのフィルムを得た。このフィルムは
しなやかな手触りで柔軟性に富むものであり、金属原子
含有量は0.005重量%、平衡含水率は0.50重量
%、吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度の差は67℃あっ
た。
【0044】このフィルムに関して、実施例1と同様に
行った抗張力、破断点伸度、衝撃強度の測定の結果を表
−1に示す。また、このフィルムに関するヒートシール
試験の結果を表−2に、フィルム保管試験の結果を表−
3に示す。さらに、このフィルムに関するd−リモネン
吸着試験の結果を表−4に示す。
【0045】〔実施例6〕共重合ポリエチレンテレフタ
レートとして、実施例1で用いた共重合ポリエチレンテ
レフタレート85部を用い、また、変性ポリオレフィン
として、金属原子含有量が0.002重量%、メルトフ
ローレートが2.5g/10分、密度が0.92g/c
m3 、吸熱ピーク温度が95℃である、無水マレイン
酸0.25重量%でグラフト変性されたエチレン・酢酸
ビニル共重合体15部を用いた以外は、実施例1と同様
にして、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。
このポリエステル樹脂組成物の金属原子含有量は0.0
05重量%、平衡含水率は0.62重量%、吸熱ピーク
温度は225℃、発熱ピーク温度は178℃で、吸熱ピ
ーク温度と発熱ピーク温度との差は47℃であった。さ
らに、このポリエステル樹脂組成物を用いて、実施例1
と同様にフィルム成形を行い、厚さ30μmのフィルム
を得た。このフィルムは、しなやかな手触りで柔軟性に
富むものであり、吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度の差
は47℃あった。
【0046】このフィルムに関して、実施例1と同様に
行った抗張力、破断点伸度、衝撃強度の測定の結果を表
−1に示す。また、このフィルムに関するヒートシール
試験の結果を表−2に、フィルム保管試験の結果を表−
3に示す。さらに、このフィルムに関するd−リモネン
吸着試験の結果を表−4に示す。
【0047】〔実施例7〕共重合ポリエチレンテレフタ
レートとして実施例1で用いた共重合ポリエチレンテレ
フタレート88部を用い、また、変性ポリオレフィンと
して、金属原子含有量が0.002重量%、メルトフロ
ーレートが2.2g/10分、密度が0.88g/cm
3 、吸熱ピーク温度が75℃である、無水マレイン酸
0.1重量%でグラフト変性された1−ブテン20モル
%共重合ポリエチレン12部を用いた以外は、実施例1
と同様にして、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を
得た。このポリエステル樹脂組成物の金属原子含有量は
0.005重量%、平衡含水率は0.49重量%、吸熱
ピーク温度は224℃、発熱ピーク温度は170℃で、
吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度の差は54℃であっ
た。
【0048】このポリエステル樹脂組成物を用いて、実
施例1と同様にフィルム成形を行い、厚さ30μmのフ
ィルムを得た。このフィルムは、しなやかな手触りで柔
軟性に富むものであり、吸熱ピーク温度と発熱ピーク温
度の差は55℃であった。このフィルムに関して、実施
例1と同様に行った抗張力、破断点伸度、衝撃強度の測
定の結果を表−1に示す。
【0049】また、このフィルムに関するヒートシール
試験の結果を表−2に、フィルム保管試験の結果を表−
3に示す。さらに、このフィルムに関するd−リモネン
吸着試験の結果を表−4に示す。 〔実施例8〕共重合ポリエチレンテレフタレートとし
て、エステル交換触媒として酢酸カルシウムを用いた共
重合ポリエチレンテレフタレートで、ジカルボン酸成分
がテレフタル酸90モル%とイソフタル酸10モル%か
らなり、ジオール成分がエチレングリコール98モル%
とジエチレングリコール2モル%からなる、金属原子含
有量が0.025重量%(カルシウム含有量0.2重量
%)、平衡含水率が0.59重量%、極限粘度が0.7
1dl/gである共重合ポリエチレンテレフタレート8
8部を用い、また、変性ポリオレフィンとして、実施例
1の共重合ポリエチレンを12部用いた以外は、実施例
1と同様にして、ペレット状のポリエステル樹脂組成物
を得た。このポリエステル樹脂組成物の金属原子含有量
は0.021重量%、平衡含水率は0.58重量%、吸
熱ピーク温度は230℃、発熱ピーク温度は143℃
で、吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度との差は87℃で
あった。このポリエステル樹脂組成物を用いて、実施例
1と同様にフィルム成形を行い、厚さ30μmのフィル
ムを得た。このフィルムは、しなやかな手触りで柔軟性
に富むものであり、吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度の
差は88℃あった。
【0050】このフィルムに関して、実施例1と同様に
行った抗張力、破断点伸度、衝撃強度の測定の結果を表
−1に示す。また、このフィルムに関するヒートシール
試験の結果を表−2に、フィルム保管試験の結果を表−
3に示す。さらに、このフィルムに関するd−リモネン
吸着試験の結果を表−4に示す。
【0051】〔比較例1〕共重合ポリエチレンテレフタ
レートとして、ジカルボン酸成分がすべてテレフタル酸
からなり、ジオール成分がエチレングリコール97モル
%、1,4−シクロヘキサンジメタノール1モル%、ジ
エチレングリコール2モル%からなる、極限粘度が0.
70dl/gである共重合ポリエチレンテレフタレート
88部を用い、また、変性ポリオレフィンとして実施例
1で用いた共重合ポリエチレン12部を用いた以外は、
実施例1と同様にして、ペレット状のポリエステル樹脂
組成物を得た。このポリエステル樹脂組成物の金属原子
含有量は0.005重量%、平衡含水率は0.49重量
%、吸熱ピーク温度は243℃、発熱ピーク温度は14
9℃で、吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度の差は94℃
であった。このポリエステル樹脂組成物を用いて、実施
例1と同様にフィルム成形を行い、厚さ30μmのフィ
ルムを得た。このフィルムの吸熱ピーク温度と発熱ピー
ク温度の差は93℃であった。
【0052】このフィルムに関するヒートシール試験の
結果を表−2に示す。 〔比較例2〕共重合ポリエチレンテレフタレートとし
て、ジカルボン酸成分がすべてテレフタル酸からなり、
ジオール成分がエチレングリコール67モル%、1,4
−シクロヘキサンジメタノール30モル%、ジエチレン
グリコール3モル%からなる、極限粘度が0.72dl
/gである共重合ポリエチレンテレフタレート88部を
用い、また、変性ポリオレフィンとして実施例1で用い
た共重合ポリエチレン12部を用いた以外は、実施例1
と同様にして、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を
得た。このポリエステル樹脂組成物の金属原子含有量は
0.004重量%、平衡含水率は0.46重量%であっ
たが、吸熱ピークと発熱ピークは観測されなかった。な
お、本比較例に用いた共重合ポリエチレンテレフタレー
トのペレットは、120℃で真空乾燥した時に激しく融
着を起こした。
【0053】このポリエステル樹脂組成物を用いて、実
施例1と同様にフィルム成形を行い、厚さ30μmのフ
ィルムを得た。このフィルムに関するd−リモネン吸着
試験の結果を表−4に示す。 〔比較例3〕変性ポリオレフィンを用いずに、実施例1
で用いた共重合ポリエチレンテレフタレートのみを用い
て、実施例1と同様にフィルム成形を行い、厚さ30μ
mのフィルムを得た。このフィルムに関するヒートシー
ル試験の結果を表−2に示す。
【0054】〔比較例4〕共重合ポリエチレンテレフタ
レートとして実施例1で用いた共重合ポリエチレンテレ
フタレート88部を用い、また、変性ポリオレフィンと
して、金属原子含有量が0.003重量%、メルトフロ
ーレートが2.6g/10分、密度が0.94g/cm
3 、吸熱ピーク温度が75℃である、無水マレイン酸
0.3重量%でグラフト変性されたエチレン・ビニルア
ルコール共重合体12部を用いた以外は、実施例1と同
様にして、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得
た。このポリエステル樹脂組成物の金属原子含有量は
0.005重量%、平衡含水率は1.3重量%、吸熱ピ
ーク温度は224℃、発熱ピーク温度は158℃で、吸
熱ピーク温度と発熱ピーク温度の差は66℃であった。
【0055】このポリエステル樹脂組成物を用いて、実
施例1と同様にフィルム成形を行い、厚さ30μmのフ
ィルムを得た。このフィルムの吸熱ピーク温度と発熱ピ
ーク温度の差は65℃であった。このフィルムに関する
ヒートシール試験の結果を表−2に、フィルム保管試験
の結果を表−3に示す。
【0056】〔比較例5〕実施例4で用いた共重合ポリ
エチレンテレフタレート90部と、エチレン・メタクリ
ル酸共重合体の亜鉛化物(亜鉛含有量が1.6重量%)
である三井デュポンポリケミカル社製アイオノマー樹脂
(グレード名はハイミランR 1650)10部を用い
た以外は、実施例1と同様にして、ペレット状のポリエ
ステル樹脂組成物を得た。このポリエステル樹脂組成物
の金属原子含有量は0.17重量%、平衡含水率は1.
6重量%、吸熱ピーク温度は236℃、発熱ピーク温度
は138℃で、吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度の差は
98℃であった。
【0057】このポリエステル樹脂組成物を用いて、実
施例1と同様にフィルム成形を行い、厚さ30μmのフ
ィルムを得た。このフィルムの吸熱ピーク温度と発熱ピ
ーク温度の差は98℃であった。このフィルムに関し
て、実施例1と同様に行った抗張力、破断点伸度、衝撃
強度の測定の結果を表−1に示す。また、このフィルム
に関するヒートシール試験の結果を表−2に、フィルム
保管試験の結果を表−3に示す。
【0058】〔比較例6〕共重合ポリエチレンテレフタ
レートとして、ジエチレングリコールの生成を抑制する
ため炭酸カリウムを0.3重量%添加して重合した共重
合ポリエチレンテレフタレートで、ジカルボン酸成分が
すべてテレフタル酸からなり、ジオール成分がエチレン
グリコール89モル%、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール10モル%、ジエチレングリコール1モル%から
なる、金属原子含有量が0.15重量%、平衡含水率が
0.63重量%、極限粘度が0.70dl/gである共
重合ポリエチレンテレフタレート88部を用い、また、
変性ポリオレフィンとして実施例1で用いた共重合ポリ
エチレン12部を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。この
ポリエステル樹脂組成物の金属原子含有量は0.12重
量%、平衡含水率は0.61重量%、吸熱ピーク温度は
243℃、発熱ピーク温度は134℃で、吸熱ピーク温
度と発熱ピーク温度の差は109℃であった。このポリ
エステル樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にフィル
ム成形を行い、厚さ30μmのフィルムを得た。このフ
ィルムの吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度の差は110
℃であった。
【0059】このフィルムに関するヒートシール試験の
結果を表−2に示す。 〔比較例7〕メルトフローレートが1.8g/10分、
密度が0.91g/cm3 、吸熱ピーク温度が107
℃である低密度ポリエチレンのみから成形された厚さ3
0μmのフィルムに関して、d−リモネン吸着試験を行
った。結果を表−4に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物は、保
香性、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐衝撃性、柔
軟性、延展性などに優れており、特に、高温下に保管さ
れた場合にもヒートシール性が低下しない特徴を有す
る。従って、本発明のポリエステル樹脂組成物は、特に
保香性やヒートシール性が要求される包装材料に好まし
く用いることができる。
【0065】例えば、本発明のポリエステル樹脂組成物
を紙パックの内装材に用いる場合には、保香性、ヒート
シール性、耐熱性などに優れているために、好適な大型
の飲料容器が提供できる。金属缶コート材に用いる場合
には、延展性に優れるために、絞り成形やしごき成形に
よっても密着性のよい内面保護皮膜を得ることができ、
さらに容器の加熱殺菌処理を行った場合にも良好な性能
を維持することができる。以上の点から、本発明のポリ
エステル樹脂組成物およびそれからなる包装材料は、そ
の工業的価値が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23:26)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共重合成分を3〜25モル%含有する共
    重合ポリエチレンテレフタレート60〜99重量%と、
    不飽和カルボン酸ないしはその無水物でグラフトされた
    変性ポリオレフィン1〜40重量%とを配合してなり、
    金属原子含有量が0.1重量%以下であり、23℃の水
    に浸漬したときの平衡含水率が1.0重量%以下である
    ことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度との差
    が95℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の
    ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 共重合ポリエチレンテレフタレートの極
    限粘度が0.5〜1.5dl/gであることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 変性ポリオレフィンの吸熱ピーク温度が
    50〜150℃であることを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 変性ポリオレフィンのメルトフローレー
    トが0.1〜100g/10分であることを特徴とする
    請求項1ないし4のいずれかに記載のポリエステル樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】 共重合成分が1、4−シクロヘキサンジ
    メタノールを含むことを特徴とする請求項1ないし5の
    いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 共重合成分がイソフタル酸を含むことを
    特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のポリエ
    ステル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 ポリオレフィンが1−ブテン共重合ポリ
    エチレンであることを特徴とする請求項1ないし7のい
    ずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 不飽和カルボン酸の無水物が無水マレイ
    ン酸であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれ
    かに記載のポリエステル樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 変性ポリオレフィンが0.2〜1.0
    重量%の無水マレイン酸でグラフトされていることを特
    徴とする請求項9に記載のポリエステル樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    のポリエステル樹脂組成物から形成されたことを特徴と
    するポリエステル樹脂製フィルムまたはシート。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    のポリエステル樹脂組成物から形成された層をヒートシ
    ール層として有することを特徴とする包装材料。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    のポリエステル樹脂組成物から形成された層を内容物に
    接する層として有することを特徴とする包装材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017030826A (ja) * 2015-08-04 2017-02-09 凸版印刷株式会社 フィルムの保管方法

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JP2003311907A (ja) * 2002-04-26 2003-11-06 Mitsubishi Polyester Film Copp ディスプレイ用ポリエステルフィルム
JP2017030826A (ja) * 2015-08-04 2017-02-09 凸版印刷株式会社 フィルムの保管方法

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