JP4549011B2 - 樹脂組成物および多層構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下,EVOHと略記する)および光活性酸化チタンを含有する樹脂組成物およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、EVOHは、透明性、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れており、かかる特性を生かして、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等のフィルムやシート、或いはボトル等の容器などに成形されて利用されており、特に食品包装用途においては、透明性やガスバリア性もさることながら、保香性も重要な要求性能となっている。
かかる保香性の改善方法としては、EVOHに酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の各種充填材を配合することが試みられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−192011号公報
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】
しかしながら、上記の特許文献に記載の充填材では、ある程度の保香性は保てるものの、高温時においてはその保香性が低下する傾向にあることが判明した。
また、容器内から漏れ出てくるわずかな香気成分による臭い移りについては十分な考慮がなされていない。
すなわち、液体食品等をEVOH組成物の包装袋に充填して、電子レンジ等で加熱処理を行ったときにはその保香性に低下が見られる場合があることが判明した。特に該液体食品が弁当等に付属しているマヨネーズ、ソース、ドレッシング等の調味料の場合には、内容物の臭いが外部に漏れ、弁当内の白飯や惣菜に臭い移りが発生することがある。そして、かかる調味料は味付けのための酢酸を含む場合が多く、かかる酢酸の臭い移りを防ぐことは食品の風味を保つ上で大変重要なことである。
つまり、酢酸を含むドレッシング、ソース、マヨネーズ等の調味料を他の食品と共に保存した場合や、他の食品と接する状態で電子レンジ等で加熱処理したときに、他の食品に臭い移りが発生して、他の食品の風味が損なわれる心配があり、その対策が望まれるところである。
【0005】
【問題点を解決するための手段】
そこで、本発明者は上記の事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、エチレン含有量が5〜60モル%で、ケン化度が90モル%以上であるEVOH(A)および、平均粒子径が0.1〜10μmであり、かつ比表面積(m/g)と平均粒子径(μm)の積が10〜300である多孔質の光活性酸化チタン(B)を含有してなり、光活性酸化チタン(B)の含有量がエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)100重量部に対して0.1〜10重量部である樹脂組成物が上記の課題を解決することができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるEVOH(A)としては、エチレン含有量が5〜60モル%であり、更には10〜60モル%、特には20〜55モル%、殊に25〜50モル%が好ましく、かかるエチレン含有量が5モル%未満では包装材としたときに耐水性が不充分となり、逆に60モル%を越えると内容物の鮮度を保つためのガスバリア性が低下して好ましくない。
【0007】
また、酢酸ビニル成分のケン化度は90モル%以上であり、更には95モル%以上、特には99モル%以上、殊に99.5モル%以上が好ましく、かかるケン化度が90モル%未満では上記のガスバリア性や包装材としたときの耐熱性が不充分となって好ましくない。
【0008】
上記のEVOH(A)は、本発明の効果を阻害しない範囲(10モル%程度以下)で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。又、本発明の趣旨を損なわない範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化等、後変性されても差し支えない。また、EVOH(A)として、例えば特開昭60−144304号公報に記載の如きケイ素を含有したEVOHを用いることも可能である。
【0009】
また、該EVOH(A)のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は、0.5〜50g/10分(さらには1〜35g/10分、特には、3〜20g/10分)が好ましく、該メルトフローレートが該範囲よりも小さい場合には、フィルム等の成形時に押出機内が高トルク状態となって押出加工が困難となることがあり、また該範囲よりも大きい場合には、得られる成形物の機械的強度が低下することがあり好ましくない。
【0010】
本発明に用いられる光活性酸化チタン(B)としては、光活性を有する酸化チタンで、特に光活性が大きいアナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタンが好ましく、市販品としては、富士チタン社製の「TAF−1500J」等を挙げることができる。
【0011】
本発明で用いる光活性酸化チタン(B)は、上記の市販品のように通常粉末状で入手することができるが、本発明においては、平均粒子径が0.1〜10μmであり、さらには0.2〜5μm、特には0.3〜3μmのものを用いることが好ましく、かかる粒子径が0.1μm未満では二次凝集をおこして分散が難しくなり、本発明の作用効果を十分に発揮できないことがあり、逆に10μmを越えると該光活性酸化チタン(B)がピンホールの原因となって各種のバリア性能が低下する恐れがあり好ましくない。
また、本発明においては、多孔質の光活性酸化チタンを用いることが必要である。かかる多孔質とは、光活性酸化チタンの表面形状が多孔質であればよく、酸化チタン自身が多孔質のものでも、また多孔質の化合物に光活性酸化チタンがコーティングされているものでもよい。
かかる多孔質の度合いを比表面積(m/g)と平均粒径(μm)の積で表したとき、その積は10〜300(さらには20〜200、特には30〜150)であり、かかる積が10未満では多孔質の度合いが小さく保香性が不十分となり、逆に300を超えるとEVOHとの接触面積が大きくなりすぎる為かEVOH(組成物)の熱安定が悪くなり好ましくない。
このような多孔質の光活性酸化チタンの市販品としては、武田薬品工業社製の「セブントールN−PC」シリーズ等を挙げることができる。
【0012】
本発明の樹脂組成物は、上記のEVOH(A)及び光活性酸化チタン(B)を含有するもので、EVOH(A)100重量部に対して光活性酸化チタン(B)を0.1〜10重量部(さらには0.2〜8重量部、特には0.5〜5重量部)含有させることが必要で、かかる含有割合が0.1重量部未満では、本発明の作用効果を十分に発揮できない恐れがあり、逆に10重量部を越えるとピンホールの原因となって各種のバリア性能が低下する恐れがあり、また、透明性が低下する恐れもあり好ましくない。
【0013】
かかる樹脂組成物を製造するにあたっては特に制限はなく、EVOH(A)と光活性酸化チタン(B)をブレンドすればよく、かかるブレンドの方法も特に限定されないが、EVOH(A)と光活性酸化チタン(B)をドライブレンドした後、溶融混練することが好ましく、かかる溶融混練は、単軸あるいは二軸押出機で行うことが好ましい。
また、EVOH(A)の水/プロピルアルコール溶液に光活性酸化チタン(B)を添加して、混合の後、溶媒を揮発させ、該樹脂組成物を得ることもできる。
【0014】
かくして、EVOH(A)及び光活性酸化チタン(B)を含有した本発明の樹脂組成物が得られるのであるが、本発明においては、該樹脂組成物に本発明の目的を逸脱しない範囲において、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機塩(例えばハイドロタルサイト等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸素吸収剤[例えば無機系酸素吸収剤として、還元鉄粉類、さらにこれに吸水性物質や電解質等を加えたもの、アルミニウム粉、亜硫酸カリウム等が、有機化合物系酸素吸収剤として、アスコルビン酸、さらにその脂肪酸エステルや金属塩等、ハイドロキノン、没食子酸、水酸基含有フェノールアルデヒド樹脂等の多価フェノール類、ビス−サリチルアルデヒド−イミンコバルト、テトラエチレンペンタミンコバルト、コバルト−シッフ塩基錯体、ポルフィリン類、大環状ポリアミン錯体、ポリエチレンイミン−コバルト錯体等の含窒素化合物と遷移金属との配位結合体、テルペン化合物、アミノ酸類とヒドロキシル基含有還元性物質の反応物、トリフェニルメチル化合物等が、高分子系酸素吸収剤として、窒素含有樹脂と遷移金属との配位結合体(例えばMXDナイロンとコバルトの組合せ)、三級水素含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例えばポリプロピレンとコバルトの組合せ)、炭素−炭素不飽和結合含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例えばポリブタジエンとコバルトの組合せ)、光酸化崩壊性樹脂(例えばポリケトン等)、アントラキノン重合体(例えばポリビニルアントラキノン)等や、更にこれらの配合物に光開始剤(例えばベンゾフェノン等)や過酸化物補足剤(例えば市販の酸化防止剤等)を添加したものなど]、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤(例えばタルク微粒子等)、スリップ剤(例えば無定形シリカ等)、充填材(例えば無機フィラー等)、他樹脂(例えばポリオレフィン、ポリエステル等)などを配合しても良い。
【0015】
本発明の樹脂組成物は、各種の包装材用途等に有用で、そのまま溶融成形に供して、かかる用途に用いることも可能であるが、溶融成形時の作業性や吐出安定性を考慮すれば、一度溶融状態で混練後冷却固化させてペレット状等にすることが好ましい。かかる手段としては、たとえば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ブラストミルなどの公知の混練装置を用いて行うことができるが、通常は、単軸または二軸押出機を用いることが工業的に好ましく、また、必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。特に、水分や副生成物(熱分解低分子量物等)を除去するために、押出機に1個以上のベント孔を設けて減圧下に吸引したり、押出機中への酸素の混入を防止するためにホッパー内に窒素等の不活性ガスを連続的に供給したりすることにより、熱着色や熱劣化が軽減された品質に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0016】
かかる樹脂組成物は、溶融成形により、フィルム、シート、容器、繊維、棒、管、その他各種成形品に成形され、また、これらの粉砕品(回収品を再使用する時など)を再び溶融成形に供することもできる。溶融成形方法としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)や射出成形法が主として採用され、溶融温度としては、150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
かかる成形品としては、勿論単層として各種用途に用いることは可能であるが、積層体(多層構造体)としても有用で、特に該樹脂組成物からなる層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層してなる積層体として用いることが好ましく、耐水性、機械的特性、ヒートシール性等が付与された実用に適した積層体が得られる。
【0017】
以下、かかる積層体について説明する。
該積層体を製造するに当たっては、本発明の樹脂組成物の片面又は両面に、他の基材(熱可塑性樹脂等)を積層するのであるが、積層方法としては、例えば本発明の樹脂組成物の成形フィルムや成形シート等に他の基材を溶融押出ラミネートする方法、逆に他の基材に該樹脂組成物を溶融押出ラミネートする方法、該樹脂組成物と他の基材とを共押出する方法、該樹脂組成物の成形フィルムや成形シートと他の基材とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられる。上記の溶融押出し時の溶融成形温度は、150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
【0018】
かかる他の基材としては、熱可塑性樹脂が有用で、具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものなどの広義のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類、更には他のEVOH等が挙げられるが、積層体の特性(特に強度と外観)等の実用性の点から、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、ポリアミド、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましく用いられ、特に延伸性、透明性、柔軟性に優れたポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、ポリエチレン、ポリアミドが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の樹脂組成物のフィルムやシート等の成形物に他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、かかる基材としては、前記の熱可塑性樹脂以外に任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシートおよびその無機物蒸着物、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
【0020】
積層体の層構成は、本発明の樹脂組成物の層をa(a1、a2、・・・)、他の基材、例えば熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)とするとき、フィルム、シート、ボトル状であれば、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組合せが可能であり、さらには、少なくとも樹脂組成物と熱可塑性樹脂の混合物からなるリグラインド層をRとするとき、b/R/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能であり、フィラメント状ではa、bがバイメタル型、芯(a)−鞘(b)型、芯(b)−鞘(a)型、或いは偏心芯鞘型等任意の組合せが可能である。
【0021】
なお、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、種々のものを使用することもでき、bの樹脂の種類によって異なり一概に言えないが、不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体(上述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られたカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。このときの、熱可塑性樹脂に含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、0.001〜3重量%が好ましく、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、接着性が不充分となることがあり、逆に多いと架橋反応を起こし、成形性が悪くなることがあり好ましくない。またこれらの接着性樹脂には、本発明の樹脂組成物や他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、更にはb層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
【0022】
積層体の各層の厚みは、層構成、bの種類、用途や容器形態、要求される物性などにより一概に言えないが、通常は、a層は5〜500μm(さらには10〜200μm)、b層は10〜5000μm(さらには30〜1000μm)、接着性樹脂層は5〜400μm(さらには10〜150μm)程度の範囲から選択される。a層が5μm未満ではガスバリア性が不足し、またその厚み制御が不安定となり、逆に500μmを越えると耐衝撃性等が劣り、かつ経済的でなく好ましくなく、またb層が10μm未満では剛性が不足し、逆に5000μmを越えると重量が大きくなり、かつ経済的でなく好ましくなく、接着性樹脂層が5μm未満では層間接着性が不足し、またその厚み制御が不安定となり、逆に400μmを越えると重量が大きくなり、かつ経済的でなく好ましくない。
【0023】
該積層体は、そのまま各種形状のものに使用されるが、さらに該積層体の物性を改善したり目的とする任意の容器形状に成形するためには加熱延伸処理を施すことも好ましい。ここで加熱延伸処理とは、熱的に均一に加熱されたフィルム、シート、パリソン状の積層体をチャック、プラグ、真空力、圧空力、ブローなどにより、カップ、トレイ、チューブ、ボトル、フィルム状に均一に成形する操作を意味し、かかる延伸については、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、できるだけ高倍率の延伸を行ったほうが物性的に良好で、延伸時にピンホールやクラック、延伸ムラや偏肉、デラミ等の生じない、ガスバリア性に優れた延伸成形物が得られる。
【0024】
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は60〜170℃、好ましくは80〜160℃程度の範囲から選ばれる。
【0025】
延伸が終了した後、次いで熱固定を行うことも好ましい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら80〜170℃、好ましくは100〜160℃で2〜600秒間程度熱処理を行う。
また、生肉、加工肉、チーズ等の熱収縮包装用途に用いる場合には、延伸後の熱固定は行わずに製品フィルムとし、上記の生肉、加工肉、チーズ等を該フィルムに収納した後、50〜130℃、好ましくは70〜120℃で、2〜300秒程度の熱処理を行って、該フィルムを熱収縮させて密着包装をする。
【0026】
かくして得られた積層体の形状としては任意のものであってよく、フィルム、シート、テープ、カップ、トレイ、チューブ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等が例示される。又、得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
【0027】
上記の如く得られたカップ、トレイ、チューブ、ボトル、パウチ、袋等からなる容器や延伸フィルムからなる袋や蓋材は一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬、燃料等各種の容器として有用であるが、本発明の積層体は、特に、柑橘系果汁ジュース、プリン、ヨーグルト、マヨネーズ、味噌等の半固形状食品や水性食品・調味料用のカップ状容器や、生肉、畜肉加工品(ハム、ベーコン、ウインナー等)用のトレイ状容器等の加熱延伸成形容器用途に有用であるばかりでなく、防臭効果に優れるため、オストミーバッグやゴミ袋等の用途にも有用である。特に酢酸のバリア性能が優れていることから、マヨネーズ、ソース、ドレッシング等の酢酸を含有する調味料や食材の包装材として有用である。
【0028】
なお、本発明の樹脂組成物を用いた単層あるいは多層のフィルムやシートは、保香性が良好で、特に包装袋としたときの内容物の臭いバリア性能に優れており、しかも高温時においてもその効果が維持されるため、コンビニエンスストア等で販売される弁当の調味料等の包装用途に大変有用である。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準を示す。
【0030】
実施例1
EVOH[エチレン含有量32モル%、ケン化度99.8モル%、MFR12g/10分(210℃、荷重2160g)](A)100部に光活性酸化チタン(B)[武田薬品工業社製「セブントールN−PC90」、アナターゼ型、平均粒子径2μm、比表面積と平均粒径の積70]1部をドライブレンドした後、二軸押出機にて以下の条件で溶融混練して、本発明の樹脂組成物(ペレット)を得た。
【0031】
Figure 0004549011
【0032】
上記で得られた樹脂組成物(a)、ポリプロピレン[日本ポリケム社製『モディックPP FA3DA』](b)及び接着性樹脂[三菱化学社製『モディック−AP P13V』、無水マレイン酸変性PP](c)を共押出多層製膜装置に供給して、(b)/(c)/(a)/(c)/(b)=20μm/5μm/20μm/5μm/20μmの層厚み構成を有する積層体を得て、得られた積層体を用いて、3cm×3cmのパウチを作製して、以下の評価を行った。
【0033】
(保香性)
上記のパウチの中に10%酢酸水溶液を1g入れて密封して、20℃、65%RHの雰囲気の空気を充填した内容量22mlのアンプル内にパウチを入れアンプルを密封し、20℃で7日間放置した後、アンプル内の気体の一部をガスクロマトグラフィー重量分析装置(GC−MS)で分析して気体中の酢酸濃度を測定した。なお、酢酸濃度は気体としての体積分率として算出した。
【0034】
(臭い移り)
3cm角に切った大根の上に上記パウチを置き600Wの家庭用電子レンジで2分間加熱し、大根に付着した酢酸臭の有無を10人のパネラーにより確認を行って、酢酸臭を感じるパネラーの人数を調べた。
【0035】
実施例2
実施例1において、光活性酸化チタン(B)の含有量を5部とした以外は同様に樹脂組成物を得て、同様に評価を行った。
【0036】
実施例3
実施例1において、光活性酸化チタン(B)を武田薬品工業社製の「セブントールN−PC50」[アナターゼ型、平均粒子径3μm、比表面積と平均粒径の積100]に変更した以外は同様に樹脂組成物を得て、同様に評価を行った。
【0037】
比較例4
実施例1において、光活性酸化チタン(B)として、平均粒径0.025μmの真球状光活性酸化チタン[富士チタン社製「TAF−1500J」、アナターゼ型、比表面積と平均粒径の積2]を用いた以外は同様に樹脂組成物を得て、同様に評価を行った。
【0038】
実施例
実施例1において、EVOH(A)として、エチレン含有量44モル%、ケン化度99.8モル%、MFR3g/10分(210℃、荷重2160g)のEVOHを用いた以外は同様に樹脂組成物を得て、同様に評価を行った。
【0039】
比較例1
実施例1において、光活性酸化チタン(B)を含有させなかった以外は同様にして評価を行った。
【0040】
比較例2
実施例1において、光活性酸化チタン(B)に変えて、シリカ[富士シリシア化学社製「サイリシア310」]を1部含有させた以外は同様に樹脂組成物を得て、同様に評価を行った。
【0041】
比較例3
実施例1において、光活性酸化チタン(B)を(a)層には含有させずに、(b)層の樹脂100部に対して1部ずつ含有させた以外は同様に積層体を得て、同様に評価を行った。
【0042】
実施例、比較例の評価結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004549011
*酢酸臭以外の異臭を伴った
【0044】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、EVOH(A)および光活性酸化チタン(B)を含有しているため、かかる樹脂組成物を包装袋等の用途に供したときには、内容物の保香性や臭い移り防止性能に優れ、かかる内容物が酢酸を含有する時には特にその性能を発揮することができ、かかる樹脂組成物は、カップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器やフィルムからなる袋や蓋材は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬、燃料等各種の容器に有用であり、特に、酢酸を含んでいるマヨネーズ、ソース、ドレッシング等の調味料用のパウチ、カップ状容器用途に有用で、殊に電子レンジで加熱処理される惣菜や弁当等の調味料用包装袋用途に有用である。

Claims (2)

  1. エチレン含有量が5〜60モル%で、ケン化度が90モル%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)および、平均粒子径が0.1〜10μmであり、かつ比表面積(m/g)と平均粒子径(μm)の積が10〜300である多孔質の光活性酸化チタン(B)を含有してなり、光活性酸化チタン(B)の含有量がエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)100重量部に対して0.1〜10重量部であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物の層を少なくとも1層含むことを特徴とする多層構造体。
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