JPH0872941A - 脱酸素性多層構造体及びこれよりなる包装体 - Google Patents

脱酸素性多層構造体及びこれよりなる包装体

Info

Publication number
JPH0872941A
JPH0872941A JP7158159A JP15815995A JPH0872941A JP H0872941 A JPH0872941 A JP H0872941A JP 7158159 A JP7158159 A JP 7158159A JP 15815995 A JP15815995 A JP 15815995A JP H0872941 A JPH0872941 A JP H0872941A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
oxygen
resin
multilayer structure
deoxidizing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7158159A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3166817B2 (ja
Inventor
Hidetoshi Hatakeyama
秀利 畠山
Yoshiki Ito
芳樹 伊東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP15815995A priority Critical patent/JP3166817B2/ja
Publication of JPH0872941A publication Critical patent/JPH0872941A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3166817B2 publication Critical patent/JP3166817B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸素吸収性能を有し、加熱処理等、特別な処
理をすることなく従来の脱酸素剤組成物入り小袋と同様
に、酸素を積極的に効率よく吸収できる多層構造体を提
供する。 【構成】 酸素透過度が、100cc/m2・day・atm(23
℃、100%RH)未満であるガスバリア性を備えた第1の
層1と、酸素透過係数が、200cc・0.1mm/m 2・day・
atm(23℃、100%RH)以上である樹脂と、これに分散さ
れかつ水分の供給を受けて脱酸素反応を生じる脱酸素剤
組成物を含有する粒状の脱酸素剤と、を備えるとともに
前記第1の層1に積層されかつ脱酸素性を備えた第2の
層2と、酸素透過度が、100cc/m2・day・atm(23
℃、100%RH)以上であるとともに、前記第2の層2に
積層されかつ通気性を備えた第3の層と3、を備えた多
層構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂成形加工の可能な
脱酸素性多層構造体及びこれよりなる包装体に関する。
詳しくは、酸素吸収性能およびガスバリア性に優れ、食
品、薬品等の包装容器に容易に成形加工することのでき
る脱酸素性多層構造体これよりなる包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食品、医薬品等の被保存物の包装
体内の酸素を除去し、被保存物の酸化劣化、変色、カビ
・好気性菌繁殖等による変質、虫害等を防止する技術と
して、ガスバリア性袋内に被保存物と共に脱酸素剤を収
納する方法が広く行われている。この方法には、通常、
粉末又は粒状の脱酸素剤組成物を通気性を備えた小袋に
収納した小袋入り脱酸素剤(以下単に小袋ということも
ある)が用いられる。しかし、小袋入り脱酸素剤が被保
存物中に混在すると、誤って被保存物と共に調理された
り、食されたりする恐れがあり、また、使用者に異物感
や抵抗感を与えることにもなる。さらには、取扱いを誤
って小袋を破り、こぼれ出た脱酸素剤組成物が非保存物
を汚染する恐れもある。このため、上記のような問題の
ない脱酸素包装技術として、近年、脱酸素性能を備えた
包装材料で包装容器を構成することが考えられ、容器自
体に脱酸素機能を備える包装容器が開発されている。
【0003】このような例として、例えば、特公昭62
−1824号公報、特開昭57−146651号公報、
特開平4−45152号公報、特開平4−90848号
公報等に開示されているように、脱酸素剤組成物を樹脂
に分散させた層を含む多層構造のフィルムやシート等が
存在する。さらに、特公平4−60826号公報には、
ガスバリア性熱可塑性樹脂内に市販の脱酸素剤組成物を
含んだ包装容器が開示されている。また、特公平4−6
2858号公報には、レトルト処理時の高温、高水蒸気
圧によって初めて酸素捕捉機能を発現する材料を含む容
器が開示されている。これら特公平4−60826号公
報および特公平4−62858号公報には、レトルト処
理時にガスバリア性樹脂の酸素バリア性が低下すること
を抑制して、容器外部から酸素が漏れ込むことを防止す
る技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
包装容器自身に酸素吸収性能を付与する従来例は、小袋
入り脱酸素剤を被保存物と共に包装体内に収納する従来
例に比べ、酸素吸収性能が著しく低く、包装体内に存在
する酸素を短期間に効率よく除去することができないと
いう実用上の問題がある。殊に前記多層構造体の脱酸素
剤組成物を樹脂に分散させた層では、小袋入り脱酸素剤
の脱酸素剤組成物を単に樹脂中に練り込んだだけでは、
樹脂中に分散した脱酸素剤組成物の各成分間に樹脂が介
在して成分同士の直接接触が極めて困難であるばかりで
なく、酸素、水等は介在する樹脂分子内を透過して分散
した脱酸素剤成分に到達しなければならない。これは、
酸素吸収反応の進行に極めて大きな阻害要素となり、十
分な酸素吸収反応速度が得られないという問題となる。
このような問題を解消するために、樹脂に対する脱酸素
剤組成物の配合量を増やすことも考えられるが、これは
樹脂成形加工上問題が多い。
【0005】また、樹脂に分散させる脱酸素剤組成物に
水分が含まれていると、前記多層構造体の製造及びこの
多層構造体から包装容器への熱成形加工に際し、樹脂が
発泡して表面に凹凸が生じるという樹脂成形加工上の問
題が生じる。さらに配合する脱酸素剤組成物に応じ適切
な樹脂よりなる部材で多層構造体を構成しないと成形加
工時に支障をきたすとという問題がある。
【0006】本発明は、上述した問題点を解決課題とす
るものであり、従来の小袋入り脱酸素剤と同様に、酸素
を積極的に効率よく吸収する機能を備えた多層構造体を
提供することを目的とする。さらに上記に加え、多層構
造体の製造及びこれから構成される包装容器への成形加
工に際し、樹脂成形加工性に優れる多層構造体を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、樹脂に配
合する脱酸素剤組成物の形態として、水分の供給を受け
て脱酸素反応を生起する脱酸素剤組成物の全成分を1粒
の粒子中に含有するものとすることにより、酸素吸収反
応を障害なく進行させ、実用的な酸素吸収速度を得るこ
とに成功した。加えて上記のように樹脂に配合する脱酸
素剤を実質的に水分を含まないものとしたために、多層
構造体の製造時の発泡等の樹脂成形加工性の問題を解決
することができ、その上、水分が添加されるまで酸素吸
収を起こさないため、保管取扱い性に優れるものとする
ことができることを見だした。さらに、特殊な熱成形条
件下での成形性を樹脂の軟化状態を制御することにより
改善できることを見いだし、前述した従来技術の問題点
を解決するに至った。
【0008】すなわち、本発明の脱酸素性多層構造体
は、ガスバリア性を備える第1の層と、前記第1の層に
積層された脱酸素性を備えた第2の層と、前記第2の層
に積層された通気性を備える第3の層とからなる積層体
であって、前記第1の層が酸素透過度100cc/m2・da
y ・atm (23℃、100%RH)未満である樹脂層か
らなり、前記第2の層が酸素透過係数が200cc・0.1m
m /m2・day ・atm (23℃、100%RH)以上であ
る樹脂に水分の供給を受けて脱酸素反応を生起する脱酸
素剤組成物を粒状にして分散してなる樹脂層からなり、
前記第3の層が、その酸素透過度が100cc/m2・day
・atm (23℃、100%RH)以上である樹脂層から
なることを特徴とする。さらに本発明の脱酸素性多層構
造体は、上記の脱酸素性多層構造体において、粒状にし
てなる脱酸素剤組成物が水分含有量0.2重量%以下で
あることを特徴とする。
【0009】本発明の脱酸素性多層構造体において、第
2の層は水分の供給を受けて脱酸素反応を生じる粒状の
脱酸素剤組成物を樹脂層に含み、第3の層を透過してく
る酸素を水分の供給を受けて吸収する層である。第2の
層を構成する樹脂は、酸素を効率よく脱酸素剤組成物に
到達させるために、それ自身に酸素透過性(酸素透過係
数;200cc・0.1mm/m2・day・atm(23℃、100%RH)
以上)を備えていることが必要である。
【0010】さらに第1の層は、本発明の多層構造体を
成形して容器や袋等の包装体とした際に最外層となる層
であり、この層は外部からの酸素の侵入を防止する性能
が必要となる。また、前記包装体の内側となる第3の層
は、第2の層が被保存物と直接接触するのを防ぐと共
に、迅速かつ効率のよい酸素透過を行う性能が必要とな
る。
【0011】このため、第1の層は、酸素透過度ができ
るだけ小さい(酸素透過度;100cc/m2・day・atm
(23℃、100%RH)未満)ことが要求され、第3の層
は、酸素透過度ができるだけ大きい(酸素透過度;10
0cc/m2・day・atm(23℃、100%RH)以上)ことが要
求される。なお、第1の層および第3の層は、単層に限
らず、例えば、接着層等を含めた多層としてもよい。ま
た、包装体の内側にさらに内袋を設ける場合や、包装体
の外側をさらにフィルムやケースで包装する場合には、
第1の層および第3の層の酸素透過度は、これらを考慮
して決定する必要がある。
【0012】上記構成の本発明の多層構造体は、従来の
脱酸素剤組成物入り小袋を用いた場合と同様、十分な酸
素吸収機能を備え、かつ高温処理等の特別な処理をしな
くてもその機能を発揮することができる。もちろん、こ
の多層構造体から形成された包装体に被保存物を収容し
た後に、加熱殺菌、レトルト処理、被保存物の高温充填
(ホットバック)等を行ってもなんら支障がない。この
ように環境温度が上がれば、第3の層および第2の層の
酸素透過度が向上し、かつ酸素吸収の反応速度も早くな
るため、より迅速な酸素吸収が行われることになる。
【0013】以下に、本発明の多層構造体について詳し
く説明する。第1の層は多層構造体を成形して容器や袋
等の包装体とした際に最外層となる層であり、この層は
外部からの酸素の侵入を防止する性能が必要となる。第
1の層は、1層以上からなり、各層の膜厚や接着剤等の
有無にかかわらず、その酸素透過度が、100cc/m2
day・atm(23℃、100%RH)未満であることが必要であ
り、より好ましくは、その酸素透過度が50cc/m2・da
y・atm(23℃、100%RH)以下であることが望ましい。
第1の層の酸素透過度は、加工工程、コスト等が許す範
囲において、なるべく小さくすることが好ましい。この
ようにすることで、本発明に係る多層構造体を用いて包
装体を製造した際に、包装体の外部から侵入する酸素量
を少なくすることができ、脱酸素剤組成物の使用量を低
減することができる。また、前記包装体の保存性をより
優れたものにすることができる。
【0014】第1の層を構成する樹脂としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、および
これらの変性物、ポリエチレンテレフタレート等のポリ
エステル、ナイロン6、ナイロン66、MXナイロン等
のポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂等が
好適に用いられる。第1の層は、単層または前述した樹
脂からなる層を組み合わせて多層としてもよい。また、
延伸加工したものを用いてもよい。
【0015】また、第1の層には、充填剤、着色剤、帯
電防止剤、安定剤等の添加剤を配合することもできる。
特に、第1の層や第3の層を構成する樹脂に、染料や顔
料等の着色剤を配合することは、第2の層を隠蔽して包
装体の美観を整えることになり、包装体に商品価値を付
与する上で重要である。第1の層の形成は、共押し出
し、ラミネート、熱収縮包装、ラップ包装、外装袋包装
等により行うことができる。共押し出しの際には、第2
の層と共に共押し出ししてもよく、また、必要があれ
ば、第1の層と第2の層とを接着剤層を介して接着して
もよい。
【0016】第2の層を構成する樹脂には、水分の供給
を受けて脱酸素反応を生起する、所謂、水分依存型であ
る脱酸素剤組成物が粒状にして分散される。第2の層の
樹脂に分散される脱酸素剤組成物としては、脱酸素反応
の主剤となる還元性物質に粒状物を選び粒状の主剤の表
面に触媒や助剤等の主剤以外の脱酸素剤組成物をコーテ
ィングしたもの、または主剤の還元性物質他、全ての脱
酸素剤組成物を混合後造粒したものが好適に用いられ
る。
【0017】第2の層に配合される脱酸素剤組成物とし
ては、鉄粉、アルミニウム粉および珪素粉等の金属粉
や、第1鉄塩および亜二チオン酸塩等の無機塩類や、ア
スコルビン酸およびその塩類や、カテコールおよびグリ
セリン等の還元性物質を主剤とするものが好ましい。こ
の主剤は、脱酸素剤組成物として他の成分と共に粒状物
にして用いられる。この中でも特に、金属粉に、特許第
1088514号に開示される方法等で、ハロゲン化金
属を表面に付着させたもの、金属粉とハロゲン化金属、
必要であればその他の添加物をバインダーを用いて造粒
したものが好適に用いられる。
【0018】前記金属粉として鉄粉が好ましく、金属鉄
としては、前述した脱酸素反応を起こすことができ、熱
可塑性樹脂中に分散可能なものであれば、純度等に特に
制限はなく、一部が既に酸化していても、他金属との合
金であってもよい。好適な例としては、還元鉄粉、噴霧
鉄粉、電解鉄粉等に代表される鉄粉や、鋳鉄製造時に飛
び散った鉄粉(ダライ粉)、鋳鉄、鋼材等の各種鉄製品
の粉砕物や、研削品等、微粒子状あるいは繊維状のもの
が好ましい。また、粒子状の金属鉄の場合には、これを
熱可塑性樹脂中に分散させ、第2の層を構成するにあた
り、その膜厚を薄くし、表面を平滑にすることから、粒
子の大きさは小さい方がよい。具体的には、平均粒径が
200μm以下のものが好ましく、50μm以下が特に
好ましい。繊維状の金属鉄の場合にも、同様の理由か
ら、その径はできるだけ小さい方がよい。
【0019】ハロゲン化金属は、熱可塑性樹脂中で金属
鉄の酸素吸収反応に触媒的に作用するものであり、金属
としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、銅、亜
鉛、アルミニウム、スズ、鉄、コバルトおよびニッケル
からなる群から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
特に、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、バリウム、鉄が好ましい。また、ハロ
ゲン化物としては、塩素化物、臭素化物、ヨウ素化物が
挙げられ、特に塩素化物が好ましい。
【0020】ハロゲン化金属の量は、金属鉄100重量
部あたり、0.1〜20重量部が好ましい。ハロゲン化
金属の実質的に全量が金属鉄に付着して、熱可塑性樹脂
中に遊離しているハロゲン化金属が殆どなく、ハロゲン
化金属が有効に作用する際には、0.1〜5重量部で十
分である。
【0021】上記ハロゲン化金属は、熱可塑性樹脂中で
金属鉄と容易に分離しない方法で添加することが好まし
い。例えば、ボールミル、スピードミル等を用いて、粉
砕かつ混合し、金属鉄表面の凹部にハロゲン化金属微粒
子を埋め込む方法や、バインダーを用いて金属鉄表面に
ハロゲン化金属微粒子を付着させる方法や、ハロゲン化
金属水溶液と金属鉄とを混合乾燥して金属鉄表面にハロ
ゲン化金属微粒子を付着させる方法等が特に好ましい。
前記熱可塑性樹脂中で金属鉄とハロゲン化金属が分離し
ていないことを確認するには、電子線マイクロアナライ
ザーによる分析が好適である。この電子線マイクロアナ
ライザーでとらえた金属鉄粒子内に鉄とハロゲン化金属
の構成元素がともに電子線像として存在すれば、目的は
達成されたことになる。
【0022】第2の層を構成する樹脂に分散される粒子
状の脱酸素剤組成物は、その当初の水分含有量は、好ま
しくは0.2重量%以下、さらに好ましくは0.1重量
%以下であることが望まれる。また、粒径としては、平
均粒径が5〜200μmであることが好ましく、5〜5
0μmであることがさらに好ましい。
【0023】粒状の脱酸素剤組成物を分散して第2の層
を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等の
ポリオレフィン類、およびこれらの変性物、あるいは、
シリコン樹脂とのグラフト重合物、アイオノマー、エラ
ストマー、ポリカーボネート、ポリウレタン等の熱可塑
性樹脂が好ましく、これらの混合樹脂であってもよい。
【0024】第2の層における脱酸素剤組成物の配合率
は、2〜93重量%であることが好ましく、10〜70
重量%であることがより好ましい。配合率が低すぎる
と、酸素吸収性能が低下し、また高すぎると加工性が低
下する。第2の層の膜厚は、1000μm以下、さらに
好ましくは、500μm以下であることが望ましい。
【0025】上記第2の層には、脱酸素剤組成物の他に
も、必要に応じて有機染料や無機染料や顔料等の着色
剤、シラン系、チタネート系などの分散剤、ポリアクリ
ル酸系化合物等の吸水剤、クレー、マイカ、シリカ、デ
ンプン等の充填剤、ゼオライト、活性炭等のガス吸収剤
等を添加することもできる。
【0026】第3の層は、多層構造体を用いて包装体を
製造する際に、包装体の内側となる層である。この第3
の層は、1層以上からなり、各層の膜厚や接着剤等の有
無にかかわらず、その酸素透過度が、100cc/m2・da
y・atm(23℃、100%RH)以上であることが必要であ
る。また、より好ましくは、その酸素透過度が200cc
/m2・day・atm(23℃、100%RH)以上であることが望
まれる。すなわち、第3の層の酸素透過度は、加工工
程、コスト等が許す範囲において、なるべく大きくする
ことが好ましい。このように第3の層を構成することに
より、本発明の多層構造体からなる包装体に被保存物を
収容した際に、包装体の内部に存在する酸素および水分
を、第3の層を通して第2の層に迅速に到達させること
ができ、第2の層に酸素を効率よく速やかに吸収させる
ことができる。
【0027】第3の層を構成する樹脂としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチル
ペンテン等のポリオレフィン類、およびこれらの変性物
または、シリコン樹脂とのグラフト重合物、ポリエチレ
ンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイ
ロン66等のポリアミド、アイオノマー、エラストマー
等の合成樹脂等が好適に用いられる。
【0028】上記第3の層は、単層または前述した樹脂
からなる層を組み合わせて多層としてもよい。また、こ
れらの樹脂を混合した混合樹脂層であってもよい。さら
にまた、これらの樹脂に微細孔を形成した微多孔膜や、
不織布であってもよい。また、第3の層は、本発明に係
る多層構造体により形成した包装体の内壁となるため、
この包装体内に収容される被保存物と第2の層とを確実
に隔離し、かつ高い通気性を有する必要がある。このた
めには、第3の層を構成する材料が、第2の層を構成す
る材料と共押し出し可能な接着性を有し、かつ第3の層
が膜厚の小さな単層であることが望ましい。
【0029】第3の層の膜厚は、薄いほど通気性が向上
するが、成形加工性、隠蔽性、第2の層と被保存物との
隔離性が低下するため、好ましくは、10〜100μm
程度とすることが望まれる。なお、第3の層には、例え
ば、隠蔽や着色等のための染料や顔料、ヒートシール性
等を向上するための各種添加剤等を添加することが可能
である。さらに第3の層には、充填剤、帯電防止剤、安
定剤等の添加剤を配合することもできる。
【0030】第3の層の形成は、共押し出し、ラミネー
ト、内袋等により行うことができる。共押し出しの際に
は、第2の層と共に共押し出ししてもよく、また、必要
があれば、第3の層と第2の層とを接着剤層を介して接
着してもよい。
【0031】本発明に係る多層構造体は、これに熱成形
を施して、トレイ、カップ等の包装体を製造する場合、
成形機の加熱方法によっては、成形サイクルの向上や、
外観、透明性の保持、その他の目的で成形時の加熱温度
を低く抑えると、包装体の内側となる第3の層に微少な
凹凸が発生することがある。これは、第2の層には、樹
脂中に熱伝導性の大きな脱酸素剤組成物が多量に分散し
ているため、この脱酸素剤組成物の近傍に存在する樹脂
が早く熱せられ、同一層内で樹脂の軟化性に差異が生じ
るために第2の層に凹凸が形成され、すでに十分に軟化
している第3の層が、第2の層の凹凸に追従するからで
ある。特に第3の層は、通気性を良好なものとするた
め、第1の層に比べその膜厚を薄くする場合が多く、こ
のため前記凹凸の発生の影響が大きく顕在化し易い。
【0032】本発明では、前記第2の層を構成する樹脂
を、前記第3の層を構成する樹脂より速く軟化するよう
にすることにより、この現象が生じることを防止するこ
とができる。このためには、第2の層の樹脂は、その軟
化点が第3の層を構成する樹脂の軟化点と等しいかまた
は低い樹脂が好ましい。例えば、第3の層さらには第1
の層をポリプロピレンを主体とするものにした場合、第
2の層にエチレン−プロピレンランダムコポリマーを用
いるのが好ましい。
【0033】本発明に係る多層包装体は、本発明に係る
多層構造体を一旦形成した後、さらに包装体に成形する
こともできるし、多層構造体からなる包装体を直接形成
することもできる。どちらの場合であっても、包装体の
形成には、公知の方法が適用でき、従来の樹脂加工、容
器加工に用いられている種々の手段を適用することが可
能である。
【0034】例えば、Tダイ、サーキュラーダイ等を用
いる押し出し成形、射出成形等、ダイレクトブロー、延
伸ブロー等の公知の樹脂成形加工技術により直接包装体
を形成することができる。また、これらの方法で得られ
たシート、チューブ、パリソンを用い、真空成形、圧空
成形、プラグアシスト成形、張出成形、ブロー成形等に
より、包装体を形成することもできる。さらに、主要部
分を成形後、他の成形品と組み合わせたり、熱ラミネー
ト、ドライラミネート、エクストルージョンラミネー
ト、ホットメルトラミネート等の各種ラミネートや、コ
ーティング等の積層加工を行うこともできる。また、シ
ュリンク包装、シュリンクラベル包装、ケース、袋等に
よる外包装や内包装が適用できる。
【0035】これらの方法により形成される包装体とし
ては、例えば、トレイ、カップ、チューブ、ボトル、ケ
ースおよび袋等が挙げられる。また、トレイ、カップ等
のガスバリア性容器に本発明に係る多層構造体からなる
シートをトップフィルムとする形態をとることもでき
る。多層包装体の使用形態では、包装体外部からの酸素
の侵入を防ぐために、最終的には包装体を密閉する必要
がある。この密閉方法としては、クロージャー類、トッ
プフィルム、外装包装体、その他従来の技術が適用でき
る。
【0036】
【実施例】次に、本発明に係る実施例について、図面を
参照しながら説明する。なお、本実施例は本発明の様態
例を示すものであり、本発明はこれらによって拘束され
るものではない。 〔実施例1〕50重量%径35μmの鉄粉を加熱ジャケ
ット付き真空混合乾燥機中に入れ、130℃、10mmH
gの減圧下で加熱乾燥しつつ、鉄粉100重量部に対
し、塩化カルシウム:塩化ナトリウム:水=0.5:
0.5:2.5(重量部)の割合で混合した混合水溶液
を噴霧し、塩化カルシウムと塩化ナトリウムとを鉄粉表
面に付着させた粒状の脱酸素剤組成物を得る。次に、4
5mmΦの同方向回転二軸押し出し機にてポリプロピレン
と前記脱酸素剤組成物とを、ポリプロピレン:脱酸素剤
組成物=2:3の重量比で混練し、ブロワ付きネットベ
ルトで冷却後ペレタイザーを経て、脱酸素剤組成物配合
ペレットを得る。
【0037】次いで、第1および第4押し出し機、フィ
ードブロック、Tダイ、冷却ロールおよびシート引き取
り機からなる4種6層多層シート成形装置を用い、第1
の押し出し機に白色顔料添加ポリプロピレンを、第2の
押し出し機に前記脱酸素剤組成物配合ペレットを、第3
の押し出し機にエチレンビニルアルコール共重合体を、
第4の押し出し機に無水マレイン酸変性ポリプロピレン
を用い、これらを各々の押し出し機から押し出し、図1
に示すような多層構造体を得る。この多層構造体は、白
色顔料添加ポリプロピレンからなる第3の層3と、第3
の層3上に積層されかつ前記脱酸素剤ペレットからなる
第2の層2と、第2の層2上に積層された無水マレイン
酸変性ポリプロピレンからなる層13、層13上に積層
されかつエチレンビニルアルコール共重合体からなる層
14、層14上に積層されかつ無水マレイン酸変性ポリ
プロピレンからなる層15および層15上に積層され白
色顔料添加ポリプロピレンからなる層16から構成され
る第1の層1と、を備えている。 なお、本実施例で
は、第3の層の膜厚を100μm、第2の層の膜厚を1
00μm、層13の膜厚を15μm、層14の膜厚を2
0μm、層15の膜厚を15μm、層16の膜厚を25
0μmに設定した。
【0038】次に、この多層構造体の第3の層3を内側
にして真空成形機を用い、約180℃でプラグアシスト
成形し、図2に示すトレイ状容器(縦150mm×横10
0mm×深さ30mm、内容積約350cc)を得る。
【0039】次に、本実施例で得たトレイ状容器に、ゆ
でパスタ200gを入れ、窒素ブロー装置付きカップシ
ーラーを用い、トレイ状容器内の酸素濃度が約5%にな
るように窒素置換した状態で、図3に示すようにトップ
フィルム10をヒートシールし、このトレイ状容器を密
封する。なお、このトップフィルム10は、特に図示し
ないが、膜厚が50μmのポリプロピレンからなる層
と、この層上に積層されかつ膜厚が5μmの無水マレイ
ン酸変性ポリプロピレンからなる層と、この層上に積層
されかつ膜厚が10μmのエチレン−ビニルアルコール
共重合体からなる層と、この層上に積層されかつ膜厚が
5μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる層
と、この層上に積層されかつ膜厚が20μmのナイロン
からなる層とから構成される5層構造を備えている。
【0040】次に、ゆでパスタを入れ密封されたトレイ
状容器を室温で保存し、ガスクロマトグラフィにて経時
的にトレイ状容器内の酸素濃度を測定しながらパスタの
保存状況を調べた。また、このトレイ状容器を30日間
保存した後、トップフィルム10に小穴を開け、電子レ
ンジ(三菱電機製、500W)にて5分間加熱し、マイ
クロ波耐性を調べた。この結果を表1に示す。
【0041】一方では、前述の製造方法により、第1の
層1に相当するシート、および第3の層3に相当するシ
ートをそれぞれ別途に作成し、二つのシートを前記と同
様に各々トレイ状容器に成形する。次に、得られた二つ
のトレイ状容器について、23℃、100%RHにおけ
る酸素透過度を測定した。この結果、第1の層1に相当
するシートの酸素透過度は10cc/m2・day・atm以下で
あり、第3の層3に相当するシートの酸素透過度は90
0cc/m2・day・atm以上であった。
【0042】〔比較例1〕次に、比較例1として、50
重量%径35μmの鉄粉100重量部と、塩化カルシウ
ム:塩化ナトリウム=1:1の割合で混合した混合物1
重量部とを、ヘンシェルミキサーにて混合し、脱酸素剤
組成物を得る。次いで、実施例1で得た脱酸素剤組成物
の代わりにこの脱酸素剤組成物を用い、実施例1と同様
の方法で、脱酸素剤組成物配合ペレットの製造、シート
成形およびトレイ状容器の成形を行い、トレイ状容器
(比較品1)を得る。次に、このトレイ状容器(比較品
1)に、実施例1と同様の方法でゆでパスタを収容、密
閉し、実施例1と同様の保存性試験およびマイクロ波耐
性試験を行った。この結果を表1に示す。
【0043】〔比較例2〕次に、比較例2として、実施
例1に係る第2の層2を設けない以外は、実施例1で得
た多層構造体と同様のシートを得る。次に、実施例1と
同様の方法で、シート成形およびトレイ状容器の成形を
行い、トレイ状容器(比較品2)を得る。次いで、この
トレイ状容器(比較品2)に、実施例1と同様の方法で
ゆでパスタを収容、密閉し、実施例1と同様の保存性試
験およびマイクロ波耐性試験を行った。この結果を表1
に示す。
【0044】〔比較例3〕次に、比較例3として、比較
品2を使用し、この中に実施例1と同様のゆでパスタ
と、脱酸素剤組成物入り小袋(三菱ガス化学製、「エー
ジレスFX」)を収容し、実施例1と同様の方法で密閉
し、実施例1と同様の保存性試験およびマイクロ波耐性
試験を行った。この結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1から、実施例1および比較例1〜3
は、開始時のトレイ状容器内酸素濃度がほぼ同じであっ
たが、7日後には、実施例1および比較例3は、容器内
酸素濃度が0.1%以下まで低下したことが分かる。こ
れは、実施例1は、トレイ状容器の構成要素である脱酸
素剤組成物が、トレイ状容器内の酸素を効率よく吸収で
きたためである。また、実施例1および比較例3は、3
0日保存した後であっても、カビの発生もなく、良好な
風味を保持していたことも判る。そしてまた、実施例1
は、脱酸素剤組成物入り小袋を収容した比較例3と同様
な酸素吸収性能を有していることも確認された。さら
に、実施例1は、マイクロ波耐性に優れていることも確
認された。一方、比較例1および2は、7日後の容器内
酸素濃度が殆ど変化しないことが判る。また、比較例1
および2は、30日後には、カビおよび変敗臭が発生し
ていることが確認された。ここで、比較例1および2
は、30日後の容器内酸素濃度が0.1以下に低下して
いるが、これは、発生したカビにより酸素が消費された
ためである。このように、本発明に係る多層構造体から
形成されたトレイ状容器は、酸素吸収性能に優れ、容器
外からの酸素の侵入を遮断できることが立証された。さ
らに、本発明に係る多層構造体は、加熱殺菌やレトルト
処理等の高温処理なしに、実用的な酸素吸収が可能であ
り、様々な食品、薬品等に適用できる。また、マイクロ
波耐性にも優れ、電子レンジの使用が可能となる。
【0047】〔実施例2〕本発明に係る実施例2につい
て図面を参照して説明する。平均粒径20μm以下の鉄
粉100重量部、塩化カルシウム1重量部、黄色酸化鉄
2重量部、粉末活性炭0.5重量部、および平均粒径1
0μm以下に粉砕したポリプロピレン3重量部を、ヘン
シェルミキサーにて混合後、ロータリー式打錠機にて、
直径9mmの錠剤に成形する。次に、この錠剤をスピード
ミルにて粉砕してふるい分けし、100〜250メッシ
ュに整粒した脱酸素剤組成物を得る。次いで、45mmΦ
の同方向回転二軸押し出し機にてポリプロピレンと前記
脱酸素剤組成物とを、ポリプロピレン:脱酸素剤組成物
=1:1の重量比で混練する。次に、この混練したもの
をストランドダイから押し出し、ブロワ付きネットベル
トで冷却後、ペレタイザーを経て脱酸素剤組成物が含有
されたペレットを得る。
【0048】次に、第1および第2押し出し機、多層サ
ーキュラーダイおよびブロー成形金型からなるブロー成
形装置を用い、図4に示すように、内側から順に、ポリ
エチレンからなる第3の層(膜厚50μm)、脱酸素剤
組成物が分散されたポリエチレンからなる第2の層(膜
厚200μm)およびポリエチレンからなる第3の層
(胴部の膜厚450μm)が積層された広口ボトル(口
径40mm、胴部直径60mm、高さ95mm、容量約180
ml)を形成する。
【0049】次に、この広口ボトル内に角切りベーコン
100gを入れ、ライニング付き金属ラグキャップ10
1で密閉したものを室温で保存し、ボトル内酸素濃度の
経時的測定およびベーコンの保存性を調べた。なお、ボ
トル内酸素の経時的測定は、ガスクロマトグラフィーで
行い、この経時的測定と保存性調査は、保存期間;7
日、30日、190日で行った。この結果を表2に示
す。
【0050】〔実施例3〕実施例2で得た広口ボトルと
同様の広口ボトルの胴部に、直径65mm、高さ80mmの
円筒形を備え、かつポリオレフィンとエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体の積層構造を持つバリアシュリンクフィル
ム(クライオバック製「BDF2001」)を被せ、熱
風で収縮密着させ、図5に示す広口ボトルを得る。すな
わち、本実施例では、第1の層は、膜厚450μmのポ
リエチレンとバリアシュリンクフィルムとから構成され
る。次に、このバリアシュリンクフィルムを被覆した広
口ボトル内に、実施例2と同様に角切りベーコンを密封
し、実施例2と同様の調査を行った。この結果を表2に
示す。
【0051】〔比較例4〕実施例2と同様のブロー成形
装置の押し出し機1台を使用して、ポリエチレンのみか
らなる同型の広口ボトル(胴部厚さ700μm)を成形
する。次に、この広口ボトルに、実施例2と同様に角切
りベーコンを密封し、実施例2と同様の調査を行った。
この結果を表2に示す。
【0052】〔比較例5〕平均粒径20μm以下の鉄粉
100重量部、塩化カルシウム1重量部、黄色酸化鉄2
重量部、粉末活性炭0.5重量部、および10μm以下
に粉砕したポリプロピレン3重量部をヘンシェルミキサ
ーにて混合し、脱酸素剤組成物を得る。次に、実施例2
で使用した脱酸素剤組成物の代わりにこの実施例で作成
した脱酸素剤組成物を使用し、実施例2と同様の方法で
広口ボトルを形成する。次いで、この広口ボトルに、実
施例2と同様に角切りベーコンを密封し、実施例2と同
様の調査を行った。この結果を表2に示す。
【0053】なお、実施例2および実施例3で形成した
広口ボトルにおける第2の層(実施例2については、膜
厚450μmのポリエチレンからなる層、実施例3につ
いては、膜厚450μmのポリエチレンとバリアシュリ
ンクフィルムとからなる層)および第3の層(両実施例
とも、膜厚50μmのポリエチレンからなる層)の酸素
透過度については、ポリエチレンからなる層は、実施例
と同原料を用いてTダイを有するシート成形装置で、同
じ膜厚のシートを別途形成してこのシートの酸素透過度
を測定した。また、バリアシュリンクフィルムは、熱収
縮前の状態で測定した。この結果を表2に示す。
【0054】表2から、実施例3は、広口ボトルの外側
にバリアシュリンクフィルムを被覆したため、第1の層
の酸素透過度が、20cc/m2・day・atm以下と極めて低
い値を示したことがわかる。また、実施例2および実施
例3は、保存7日後には、広口ボトル内酸素濃度が0.
1%以下まで低下したことがわかる。これは、広口ボト
ルの構成要素である脱酸素剤組成物が、広口ボトル内の
酸素を効率よく吸収できたためである。また、実施例2
および実施例3は、30日保存した後であっても、広口
ボトル内酸素濃度は、0.1%以下を保持しており、ベ
ーコンの性状も良好であったことが確認された。そして
また、実施例3は、190日保存した後であっても、ボ
トル内酸素濃およびベーコンの性状は、保持されてい
た。一方、比較例4および比較例5は、保存7日後のボ
トル内酸素濃度に減少は見られず、30日後にはベーコ
ンの性状に異常が認められた。また、190日保存した
後には、比較例4および比較例5ともに、変敗していた
ことが確認された。
【0055】
【表2】
【0056】〔実施例4〕実施例1と同様の方法で製造
した脱酸素剤組成物と、エチレン−プロピレンランダム
コポリマー(ビカット軟化温度;119℃)とを、脱酸
素剤組成物:エチレン−プロピレンランダムコポリマー
=3:2の重量比で混練し、脱酸素剤組成物ペレットを
得る。次に、実施例1で使用した脱酸素剤組成物に替え
て、この実施例で製造した脱酸素剤組成物配合ペレット
を使用し、実施例1で使用した白色顔料添加ポリプロピ
レンに替えてエチレン−プロピレンブロックコポリマー
(ビカット軟化温度144℃)を使用し、実施例1と同
様の方法で、実施例1と同様の膜厚の多層構造体を成形
する。
【0057】次に、この多層構造体と、実施例1で得た
多層構造体の両者を、表3に示す2種の成形機で表3に
示すように加熱温度を変えて、トレイ状容器(縦150
mm×横100mm×深さ30mm、内容積約350cc)を、
第3の層が内側となるように成形し、その成形状況を調
査した。この結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】表3から、実施例4に係るトレイ状容器
は、成形時の加熱温度が165℃と低い条件であって
も、トレイ状容器の内面に凹凸の発生がなく、良好な成
形性が得られたことが判る。これは、実施例4に係るト
レイ状容器を構成する多層構造体の第2の層を構成する
樹脂の軟化温度を、第3の層を構成する樹脂の軟化温度
より低くしたため得られた効果である。
【0060】
【発明の効果】本発明の脱酸素性多層構造体より形成さ
れた包装容器は、従来の脱酸素剤を配合した容器に比べ
て酸素吸収性能が優れ、容器外からの侵入酸素を遮断で
き、かつ容器内の酸素を速やかに吸収できる。特に本発
明に係るこの包装容器は、従来の小袋状脱酸素剤を用い
る包装同様に、加熱殺菌、レトルト処理等の高温処理な
しに実用的な酸素吸収が可能であり、広範囲の食品、薬
品等に適用ができるのである。もちろん被保存物充填後
の高温処理や、被保温物のホットパック等、高温での取
扱いも可能である。また本発明の脱酸素性多層構造体
は、小袋状脱酸素剤を用いた場合のような異物感はな
く、他にも耐マイクロ波性に優れる等、従来にはない画
期的に優れた多層構造体である。本発明の脱酸素性多層
構造体による物品保存は、安全な保存方法として、単に
食品、医薬に限らず広い分野の製品の保存に有効に利用
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る多層構造体を示すの断面図であ
る。
【図2】 本発明に係る多層構造体からなる容器の断面
図である。
【図3】 本発明に係る容器に被保存物を収容し、これ
を密封した状態を示す断面図である。
【図4】 本発明に係る多層構造体からなる広口ボトル
の断面図である。
【図5】 本発明に係る多層構造体からなる他の広口ボ
トルの断面図である。
【図6】 本発明に係る多層構造体からなる蓋を容器に
被せた状態を示す断面図である。
【図7】 本発明に係る多層構造体からなる他の広口
ボトルの断面図である。
【符号の説明】
1 第1の層 2 第2の層 3 第3の層 13 無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる層 14 エチレンビニルアルコール共重合体からなる層 15 無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる層 16 白色顔料添加ポリプロピレンからなる層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B65D 65/40 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスバリア性を備える第1の層と、前記
    第1の層に積層された脱酸素性を備えた第2の層と、前
    記第2の層に積層された通気性を備える第3の層とから
    なる積層体であって、前記第1の層が酸素透過度100
    cc/m2・day・atm (23℃、100%RH)未満であ
    る樹脂層からなり、前記第2の層が酸素透過係数が20
    0cc・0.1mm /m2・day ・atm (23℃、100%R
    H)以上である樹脂に水分の供給を受けて脱酸素反応を
    生起する脱酸素剤組成物を粒状にして分散してなる樹脂
    層からなり、前記第3の層が、その酸素透過度が100
    cc/m2・day ・atm (23℃、100%RH)以上であ
    る樹脂層からなることを特徴とする脱酸素性多層構造
    体。
  2. 【請求項2】 粒状にしてなる脱酸素剤組成物が水分含
    有量0.2重量%以下である請求項1記載の脱酸素性多
    層構造体。
  3. 【請求項3】 ガスバリア性を備える第1の層と、前記
    第1の層に積層された脱酸素性を備えた第2の層と、前
    記第2の層に積層された通気性を備える第3の層とから
    なる積層体であって、前記第1の層が酸素透過度100
    cc/m2・day・atm (23℃、100%RH)未満であ
    る樹脂層からなり、前記第2の層が酸素透過係数が20
    0cc・0.1mm /m2・day ・atm (23℃、100%R
    H)以上である樹脂に水分の供給を受けて脱酸素反応を
    生起する脱酸素剤組成物を粒状にして分散してなる樹脂
    層からなり、前記第3の層が、その酸素透過度が100
    cc/m2・day ・atm (23℃、100%RH)以上であ
    る樹脂層からなる多層構造体からなり、前記第1の層が
    外側に望みかつ前記第3の層が内側に望む包装体。
JP15815995A 1994-06-24 1995-06-23 脱酸素性多層構造体及びこれよりなる包装体 Expired - Lifetime JP3166817B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15815995A JP3166817B2 (ja) 1994-06-24 1995-06-23 脱酸素性多層構造体及びこれよりなる包装体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-143391 1994-06-24
JP14339194 1994-06-24
JP15815995A JP3166817B2 (ja) 1994-06-24 1995-06-23 脱酸素性多層構造体及びこれよりなる包装体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0872941A true JPH0872941A (ja) 1996-03-19
JP3166817B2 JP3166817B2 (ja) 2001-05-14

Family

ID=26475140

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15815995A Expired - Lifetime JP3166817B2 (ja) 1994-06-24 1995-06-23 脱酸素性多層構造体及びこれよりなる包装体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3166817B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10248541A (ja) * 1997-03-13 1998-09-22 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 惣菜類の保存方法
JPH1158578A (ja) * 1997-06-12 1999-03-02 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 脱酸素性多層体、これを用いた包装容器、及び食品又は医薬品の保存方法
JP2000508592A (ja) * 1996-04-29 2000-07-11 テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム 多層、高バリヤー性積層物
US6503587B2 (en) 1998-03-12 2003-01-07 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Oxygen-absorbing multi-layer laminate, production method thereof and packaging container
JP2010523258A (ja) * 2007-04-11 2010-07-15 チョンウェ コーポレーション 医療用チューブ
JP2012091813A (ja) * 2010-10-26 2012-05-17 Sekisui Giken:Kk 食品用容器
JP2012522883A (ja) * 2009-04-06 2012-09-27 バイオスフィア・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー 有益な添加剤を含む環境に優しい組成物

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006341857A (ja) * 2005-06-07 2006-12-21 Tokan Kogyo Co Ltd レトルト対応ボトルの口部形状

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000508592A (ja) * 1996-04-29 2000-07-11 テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム 多層、高バリヤー性積層物
JPH10248541A (ja) * 1997-03-13 1998-09-22 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 惣菜類の保存方法
JPH1158578A (ja) * 1997-06-12 1999-03-02 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 脱酸素性多層体、これを用いた包装容器、及び食品又は医薬品の保存方法
US6503587B2 (en) 1998-03-12 2003-01-07 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Oxygen-absorbing multi-layer laminate, production method thereof and packaging container
JP2010523258A (ja) * 2007-04-11 2010-07-15 チョンウェ コーポレーション 医療用チューブ
JP2012522883A (ja) * 2009-04-06 2012-09-27 バイオスフィア・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー 有益な添加剤を含む環境に優しい組成物
JP2012091813A (ja) * 2010-10-26 2012-05-17 Sekisui Giken:Kk 食品用容器

Also Published As

Publication number Publication date
JP3166817B2 (ja) 2001-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5820956A (en) Multi-layer structural body
JP5288079B1 (ja) 酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収多層体、および酸素吸収中空容器
JPH0657319B2 (ja) 酸素吸収剤及び該酸素吸収剤を用いた樹脂組成物並びに樹脂組成物からなるフィルム又はシート,包装用容器
EP0818505B1 (en) Oxygen absorbing resin deoxidizing multi-layer structure using resin, and packaging container
JP3166817B2 (ja) 脱酸素性多層構造体及びこれよりなる包装体
JP3362756B2 (ja) 酸素吸収性樹脂組成物及び酸素吸収性積層体
JP2001354817A (ja) 酸素吸収性樹脂組成物
JP3978542B2 (ja) 脱酸素性多層体及びこれよりなる包装容器
JP3781062B2 (ja) 蓋用パッキング
JP2010013638A (ja) 酸素吸収樹脂組成物
JPH10114371A (ja) 保存性に優れた酸素吸収性多層プラスチック容器
JPH0490847A (ja) 酸素吸収剤及び該酸素吸収剤を用いた樹脂組成物並びに樹脂組成物からなるフィルム又はシート,包装用容器
JP4449120B2 (ja) 酸素吸収性樹脂組成物及び脱酸素性多層体
JP2002238521A (ja) 食品の保存方法
JP3962882B2 (ja) 脱酸素性樹脂組成物、これよりなるシート又はフィルム及び包装容器
JP3826975B2 (ja) 脱酸素性多層体、これよりなる包装容器及び食品または医薬品の保存方法
JP3376915B2 (ja) 脱酸素性多層体、これを用いた包装容器、及び食品又は医薬品の保存方法
JP3724526B2 (ja) 米飯の保存方法及び包装体
JP3844021B2 (ja) 脱酸素性多層構造体及び包装容器
JP4139924B2 (ja) 脱酸素性フィルム及びその製造方法
JP3424734B2 (ja) 脱酸素性包装袋
JP2011098567A (ja) 酸素吸収多層体および容器
JP3460801B2 (ja) 食品加熱用脱酸素性多層体または方法
JPH10235769A (ja) 脱酸素性多層体及びこれよりなる包装容器
JP2000318091A (ja) 脱酸素性多層シート及び容器

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080309

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090309

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100309

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100309

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110309

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120309

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120309

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130309

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140309

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term