JP3724526B2 - 米飯の保存方法及び包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は米飯の保存方法及び米飯の包装体に関する。詳しくは脱酸素剤組成物を配合してなる酸素吸収樹脂層を中間層としポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドの混合樹脂からなるガスバリア性の外層と酸素透過性樹脂からなる酸素透過性の内層とを備えた脱酸素性多層体容器を用いて米飯を保存する方法及び該脱酸素性多層体容器に米飯を密閉した包装体に関するものであり、米飯を長期間にわたり酸化による風味劣化なく保存することができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、脱酸素包装技術の一つとして、脱酸素剤組成物を配合した脱酸素性樹脂層を配した多層材料で容器を構成し、容器のガスバリア性の向上を図ると共に、容器自体に脱酸素機能を付与した包装容器の開発が行われている。脱酸素機能を備えた包装容器は、通常、脱酸素剤組成物を配合した脱酸素性樹脂層を中間層とし、外側にガスバリア性の外層と内側に酸素透過性の内層とを備えた脱酸素性多層体で構成され、シート状またはフィルム状の脱酸素性多層体が、袋、カップ、トレイ、ボトル等の容器に成形加工の容易な多層樹脂積層構造体として開発されている。
【0003】
脱酸素性多層体としては、例えば、特開昭57−146651号公報、特開平2−72851号公報、特開平4−90848号公報等に開示される脱酸素剤組成物を樹脂中に分散させた層を含む多層フィルムやシートが知られている。また特開平7−309323号公報には、特定の融点、軟化点を有するプロピレン系樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合体を用い、容器成形を改良した脱酸素性多層成形容器が開示されている。また、特開平8−72941号公報には樹脂の酸素透過度を規定し、酸素吸収性能を向上した技術が提案されている。
【0004】
一方、市販加工米飯はレトルト米飯が主流であったが、この製法では通常の炊飯条件と異なる条件で加熱殺菌を行うため、味が悪いという問題があった。そこで、無菌環境において通常の炊飯方法で米飯を加工する無菌米飯の商品化がなされている。
特開平8−133345号公報では、この無菌米飯を上記酸素吸収機能を有する多層体で包装する技術が開示されている。また、特開平7−39329号公報では、米と水を脱酸素性多層容器内に充填し、容器内の酸素を置換後密封、加熱炊飯する炊飯米の製造法が開示されている。
【0005】
これら脱酸素性多層容器の外層のガスバリア性樹脂層には、一般に、酸素バリア性に優れるエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOHと称する)が用いられていた。しかし、従来の脱酸素性多層容器に米飯のような高水分食品を充填して保存したり、また、米及び水を充填し加熱炊飯した米飯を保存した場合、ガスバリア層であるEVOHが高温多湿条件下に曝されるため、酸素バリア性の低下が著しい。特に、無菌米飯は賞味期限3〜6ヶ月と長期にわたって保存されるため、保存中にEVOHの酸素バリア性が低下し、米飯を充填した脱酸素性多層容器内の酸素濃度が上昇し、米飯の酸化が進み、米飯の風味が低下するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の脱酸素性多層体による米飯保存における前記問題点を解決し、炊飯した無菌米飯及び容器内に米と水を充填し加熱炊飯した無菌米飯を長期に保存しても容器内を脱酸素状態、すなわち酸素濃度0.1%以下に保持し、米飯の香味、風味等を良好に保存する、脱酸素性多層体を用いた米飯の保存方法及び米飯の包装体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、脱酸素剤組成物を配合してなる酸素吸収樹脂層を中間層としポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドの混合樹脂からなるガスバリア性の外層と酸素透過性樹脂からなる酸素透過性の内層とを備えた脱酸素性多層体容器を用いて米飯を保存することにより、無菌米飯の風味が長期にわたって良好に保持されることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は脱酸素剤組成物を配合してなる酸素吸収樹脂層を中間層としポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドの混合樹脂からなるガスバリア性の外層と酸素透過性樹脂からなる酸素透過性の内層とを備えた脱酸素性多層体容器を用いて米飯を保存する方法及び該脱酸素性多層体容器に米飯を密閉した包装体に関する。
【0009】
また本発明は、前記ガスバリア性の外層がポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドの混合樹脂である脱酸素性多層体容器を用いて米飯を保存する方法及び該脱酸素性多層体容器に米飯を密閉した包装体に関する。
また本発明は、前記混合樹脂におけるポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドの混合比率が80:20〜30:70(重量比)である脱酸素性多層体容器を用いて米飯を保存する方法及び該脱酸素性多層体容器に米飯を密閉した包装体に関する。
【0010】
本発明における脱酸素性多層体は、炊飯された無菌米飯を充填し保存する場合や米と水を充填し、密封、加熱炊飯し保存する場合において、ガスバリア層の酸素バリア性の低下がなく、容器内を長期間に渡り脱酸素状態、すなわち容器内酸素が0.1%以下を保持するため、無菌米飯の風味等を低下させることなく、良好に保持できるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における脱酸素性多層体の層構成の具体例として、例えば、図1のごとく、内層10(酸素透過層)/中間層20(酸素吸収層)/接着層31/外層30(ガスバリア層)/接着層32/保護層33なる層構成で示される。この多層体は、主たる層である内層、中間層及び外層のみから構成されるとは限らず、各層のいずれも必要に応じて更に他の層を付加することができ、上記具体例は外層30(ガスバリア層)の両側に1ないし複数の他の層を付加した場合を示すものである。
上記多層体を使用して成形した本発明の脱酸素性多層体容器の主たる層である外層、中間層および内層の各層の機能について説明すると、外層30はガスバリア層であり、外部からの酸素の侵入を阻止する役割を果たし、中間層20は酸素吸収層であり、外層では完全には阻止し得なくて侵入する酸素は勿論のこと、容器内の酸素を内層を介して吸収する役割を果たし、内層10は酸素透過層であり、中間層の酸素吸収層と容器内の収納物との直接接触を防ぐ隔離層としての役割に加え、酸素吸収層がその酸素吸収機能を充分に発揮できるように容器内の酸素を迅速かつ効率よく透過させる役割をも果たしている。
【0012】
本発明における脱酸素性多層体容器は、例えば、図2のごとく、脱酸素性多層体の内層を容器内方に配した包装容器であり、容器内に米飯を充填後ガスバリア性のフイルム等で蓋をして米飯の包装体とする。
【0013】
以下、本発明における脱酸素性多層体について説明する。
内層の酸素透過性樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン類、およびこれらの変性物または、シリコン樹脂とのグラフト重合物、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、アイオノマー、エラストマー等が用いられる。100℃以上に加熱殺菌処理するための耐熱性の面から、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
また、内層の酸素透過性樹脂は中間層の酸素吸収性樹脂と相溶性のある樹脂を選ぶことにより、内層及び中間層の各樹脂を共押出しして積層接着することが可能となる。また、内層の樹脂層は、包装容器の最内層としてシーラント層の役割を果たすことが多く、ヒートシール可能な樹脂を選択することが好ましいが、内面側に更にヒートシール性の層を設けてもよい。尚、該内層またはヒートシール性の層の樹脂には、必要に応じて顔料等の着色剤、充填剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤を配合することができる。
【0014】
上記内層は、前述のごとく容器内収納物と酸素吸収層との隔離層の役割を果たすと共に、酸素を迅速かつ効率よく透過する機能が必要であり、前記ヒートシール性の層等、他の層の存在の有無や内層自体の厚みにかかわらず、内層の酸素透過度は少なくとも100cc/m2 ・day・atm(23℃、100%RH)以上である必要がある。このため、内層の膜厚は、強度、加工性、コスト等が許す範囲でなるべく薄くし、酸素透過性を大きくすることが好ましい。また内層は前記役割から明らかなように、必ずしも無孔の樹脂層とは限らず、前記熱可塑性樹脂からなる微多孔膜や不織布であってもよい。
【0015】
中間層の酸素吸収性樹脂組成物は、樹脂に脱酸素剤組成物を混練、分散した樹脂組成物である。ここに脱酸素剤組成物は特に限定されず、公知の脱酸素剤組成物を用いることができ、例えば、鉄粉等の金属粉、鉄化合物などの還元性無機物質、多価フェノール類、多価アルコール類、アスコルビン酸又はその塩などの還元性有機物質または金属錯体等を酸素吸収反応の主剤とする脱酸素剤組成物が用いられる。これらの中でも、脱酸素性多層体を脱酸素性能に優れたものとするためには、鉄粉を主剤とする脱酸素剤組成物が好ましく、特に鉄粉とハロゲン化金属からなる脱酸素組成物が優れる。殊にハロゲン化金属で表面を被覆した鉄粉が好適に用いられる。
【0016】
脱酸素剤組成物に用いられる鉄粉としては、熱可塑性樹脂中に分散可能で脱酸素反応を起こすことができるものであれば特に制限はなく、通常脱酸素剤として用いられる鉄粉が使用できる。鉄粉は平均粒径で200μm 以下が好ましく、50μm 以下が特に好ましい。平滑な酸素吸収層を形成するためには、鉄粉粒子の大きさは膜厚を越えることなく細かい方が好ましい。
【0017】
ハロゲン化金属としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物が用いられ、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等の塩化物が好ましく用いられる。ハロゲン化金属の配合量は、金属100重量部当たり好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。特にハロゲン化金属を鉄粉に付着させることによってハロゲン化金属の配合量を少なくすることができる。
【0018】
鉄粉を主剤とする脱酸素剤組成物は水分含有量を少なくすることが好ましく、水分含有量は0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下である。該脱酸素剤組成物は、本発明の多層体を包装材料として使用するに際し、水分を得て酸素吸収機能を発揮する。また鉄粉主剤の脱酸素剤組成物は粒状物として用いられ、その大きさは平均粒径で5〜200μm が好ましく、5〜50μm がより好ましい。
【0019】
脱酸素剤組成物を配合する樹脂は、ビカット軟化点が110℃〜130℃の熱可塑性樹脂が好ましい。軟化点が上記範囲の熱可塑性樹脂を使用することにより、多層体の熱成形加工に際し、樹脂中の鉄粉周辺の局部的な加熱を防ぐことができ外観の良好な容器に成形することが可能となる。熱可塑性樹脂として具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン類、エラストマーおよびこれらの変性物、あるいはこれらの混合樹脂が用いられる。好ましくは、ポリエチレンとポリプロピレンの混合物、プロピレンーエチレンランダム共重合体又はこれらの混合物が用いられる。
【0020】
酸素吸収性樹脂組成物における脱酸素剤組成物の配合率は2〜93重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましい。上記配合率が2重量%未満では、脱酸素性能が著しく低下し、また93重量%を越えると、脱酸素性多層体又はそれを使用した包装容器の成形加工性が悪くなるので好ましくない。また脱酸素剤組成物を配合した酸素吸収性樹脂組成物には、必要に応じて、有機系又は無機系の染料や顔料等の着色剤、シラン系、チタネート系等の分散剤、ポリアクリル酸系の吸水剤、アルカリ土類金属酸化物等の発泡防止剤、シリカ、クレー等の充填剤、ゼオライト、活性炭等のガス吸着剤等を添加することができる。酸素吸収性組成物からなる酸素吸収層の層厚みは10〜1000μm が好ましく、50〜500μm がより好ましい。
【0021】
外層のガスバリア性樹脂は、ポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドのそれぞれ単独又は両者の混合物が用いられるが、多層体のガスバリア性能と成形性をともに良好に保持するためには、両者の混合物が好ましく、ポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドの混合比率が80:20〜30:70(重量比)である混合樹脂がより好ましく、その混合比率が80:20〜40:60(重量比)である混合樹脂が特に好ましい。
【0022】
上記ポリメタキシリレンアジパミドは、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合体であり、ナイロンMXD6とも呼ばれ、上記重縮合体にはメタキシリレンジアミン以外のジアミンまたはアジピン酸以外のジカルボン酸を含んでもよい。
また、非晶性ポリアミドは、非晶性ナイロン、あるいは透明ナイロンとも呼ばれるものであり、ナイロン6、ナイロン66のような直鎖脂肪族ナイロンとは異なり、ポリマーの結晶化がほとんど起こらないか、あるいは結晶化速度が非常に小さい特殊ナイロンである。例えば、テレフタル酸とトリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、2,2ービス(P−アミノシクロヘキシル)プロパンとアジピン酸およびアゼライン酸との共重縮合体、ビス(3−メチルー4−アミノシクロヘキシル)メタンとイソフタル酸およびωーアミノドデカン酸との共重縮合体、ジフェニルメタンジイソシアネートとアジピン酸、アゼライン酸およびイソフタル酸の混合物との共重縮合体、並びにテレフタル酸およびイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとの共重縮合体、等が好ましく用いられる。
【0023】
上記非晶性ポリアミドとしては、ASTM D1238に準拠する試験条件;温度230℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレート(MFR)が8g/10分以下のものが好ましく、特に6g/10分以下のものが好ましい。MFRが8g/10分をこえる非晶性ポリアミドを用いると、脱酸素性多層体のシート成形に際してガスバリア性樹脂の粘度が低くなりすぎるために、安定した厚みの多層シートが得られなくなる。
【0024】
さらに、脱酸素性多層体の熱成形加工性を良好なものとするために使用される上記非晶性ポリアミドは、ガラス転移点が80〜150℃のものが好ましい。上記ガラス転移点の非晶性ポリアミドを使用することによって、多層体の容器への成形に際し、樹脂の結晶化による伸びムラや厚みムラが防止され、広い範囲の加熱成形条件で良好な容器の成形が可能となる。例えば、熱成形におけるシート表面温度が高い場合や低い場合、あるいは加熱時間が長い場合や短い場合でも、伸びムラや厚みムラが起こらなくなる。
【0025】
ガスバリア性樹脂からなるガスバリア層の厚みは必ずしも限定されないが、多層体をさらに成形加工して延伸する場合、その厚みが延伸によって薄くなることを考慮し、成形加工前のガスバリア性樹脂の層厚みは、延伸加工によってガスバリア性が損なわれない程度の厚みが必要である。
【0026】
外層はガスバリア性樹脂からなるガスバリア層であるが、必要に応じて該ガスバリア層の内外面に他の機能を有する樹脂又は樹脂以外の材料を積層し多層化して、ガスバリア層の機能を一層効果的なものにすることができる。例えば、前記ガスバリア性樹脂の層を保護するために、ガスバリア層の外側に他の樹脂からなる保護層が設けられる。ここにいう他の樹脂層には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、これらの混合物若しくは変性樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等が用いられ、この保護層には、必要に応じて、顔料等の着色剤、充填剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤を適宜配合してもよい。また外層のガスバリア層と、上記他の樹脂からなる保護層又は中間層との接着性向上のために、それぞれ接着剤層を設けることもできる。
【0027】
上記の各層は、各層材料の性状、加工目的、加工工程等に応じて、共押出し法、各種ラミネート法、各種コーティング法などの公知の方法を適宜組み合わせて積層することができる。例えば、脱酸素性多層体が樹脂積層体の場合には、各層に対応する押出機で樹脂を溶融混練した後、T−ダイ、サーキュラーダイ等の多層多重ダイスを通して同時溶融押出することによって多層フィルム又はシートを製造することができる。また射出機を用い、溶融した樹脂を多層多重ダイスを通して射出金型中に共射出または逐次射出することによって所定の形状の多層容器に一挙に成形することができる。
また、本発明に係る脱酸素性多層体は、上記の各種方法で得られたフラット状又は管状のシート又はフィルム(チューブ、パリソン等を含む)であるが、これらの材料を用い、真空成形、圧空成形、プラグアシスト成形等の成形方法により、所定の形状の容器に成形することができる。
【0028】
本発明における米飯としては、例えば、無菌環境下に炊飯された無菌米飯、あるいは脱酸素性多層体容器に米と水を充填密封し加圧加熱釜で加熱炊飯された無菌米飯等があげられる。風味を保持するため、110℃以下の加熱温度で炊飯された米飯を本発明に係る脱酸素性多層体容器に充填し密閉するが、充填時に窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスで容器内を置換し酸素濃度を低下させてもよい。本発明によれば、無菌米飯を長期間保存しても風味等の劣化がなく良好に保存でき、商品価値の高い米飯包装体を提供できる。
【0029】
【実施例】
本発明を実施例に沿ってさらに詳しく説明する。なお、本発明は実施例に必ずしも限定されない。
〔実施例1〕
鉄粉(平均粒径35μm 、最大粒子径80μm )を加熱ジャケット付き真空混合乾燥機中に入れ、130℃、10mmHgの減圧下で加熱乾燥しつつ、鉄粉100重量部に対し、塩化カルシウム:水=1:1の割合で混合した混合水溶液3重量部を、噴霧して、塩化カルシウムを鉄粉表面に付着させた粒状の脱酸素剤組成物を調整した。次に45mmφの同方向回転二軸押出機にてプロピレンーエチレンランダム共重合体(住友化学(株)製、商品名;住友ノーブレンS131、MFR;1.2g/10分(230℃・2.16kgf、ASTM D1238)、ビカット軟化点;119℃(JIS K6758))と前記脱酸素剤組成物とを混合比3:2(重量比)で混練、押し出して、ブロワ付きネットベルトで冷却後ペレタイザーを経て、酸素吸収性樹脂組成物からなるペレットを得た。
【0030】
次いで、第1〜第4押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロールおよびシート引取機からなる4種6層多層シート成形装置を用い、各押出機から、第1押出機;酸化チタン14重量%含有プロピレンーエチレンブロック共重合体(住友化学(株)製、商品名;FH1015M、MFR;0.5g/10分(230℃・2.16kgf、ASTM D1238))、第2押出機;前記酸素吸収性樹脂組成物、第3押出機;ポリメタキシリレンアジパミド(三菱ガス化学(株)製、商品名;MXナイロン6007)と非結晶性ポリアミド(三井デュポンポリケミカル(株)製、テレフタル酸およびイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとの共重縮合体、商品名;シーラPA3426、MFR;3.5g/10分(230℃・2.16kgf、ASTM1238))との1:1の混合樹脂および第4押出機;無水マレイン酸変性ポリプロピレン、を押し出し、表1に示す多層構成のシートを得た。多層シートの層構成は、酸素透過層(内層)/酸素吸収層(中間層)/接着層/ガスバリア層(外層)/接着層/保護層(最外層)からなり、酸素透過層および保護層には、酸素吸収層を隠蔽するために、白色顔料の酸化チタンを加えたプロピレンーエチレンブロック共重合体を用いた。 共押出しによる多層シートは厚みムラ等のない外観良好な多層シートであった。
【0031】
【表1】
【0032】
次に真空成形機を用いて、上記多層シートについて、内層を容器内側にし、成型時の加熱温度165℃、170℃及び180℃にてプラグアシスト成形を行いトレイ状容器(内容積350cc、表面積200cm2 )に熱成形加工した。いずれの成形温度においても、厚みムラのない外観良好な多層容器が得られた。 これらのなかで180℃で成形したトレイ状容器を紫外線(UV)殺菌により殺菌し、その容器に炊飯直後の無菌米飯200gを入れ、容器内酸素を窒素ガスにて置換して酸素濃度を0.2%とした後、トップフィルムとして容器同様紫外線殺菌したガスバリアー性フィルム(ポリ塩化ビニリデン被覆ポリプロピレン延伸フィルム(15μm )/無延伸ポリプロピレンフィルム(60μm 、ヒートシール側)のラミネートフィルム)で密封した。無菌米飯を充填した包装体容器を25℃・RH50%の条件下に保存し、1ヶ月目、3ヶ月目及び6ヶ月目の容器内酸素濃度を測定後に開封し、炊飯米の風味を調べた。結果を表2に示す。
【0033】
〔比較例1〕
ガスバリア性樹脂をエチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ製、エバールFPT101)とした以外は実施例1と同様にして脱酸素性多層シートを得た。次いで内層を容器内側とし、成型温度が165℃、175℃及び185℃にてプラグアシスト成形を行い、トレイ状容器(内容積350cc、表面積200cm2 )に熱成形加工した。成形温度165, 170℃においては、加熱不足によるバリア層の伸びムラが観察されたが、成形温度180℃で一応外観の及第する容器が得られた。
180℃で成形したトレイ状容器を用いて、実施例1と同様にして無菌米飯の保存試験を実施した。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
〔実施例2〕
紫外線殺菌した実施例1のトレイ状容器(成形温度170℃)に洗米110gと殺菌水90gを充填し、容器内を窒素ガス置換して酸素濃度を0.2%とした後、トップフィルムとして紫外線殺菌したガスバリアー性フィルム(ポリ塩化ビニリデン被覆ポリプロピレン延伸フィルム(15μm )/無延伸ポリプロピレンフィルム(60μm 、ヒートシール側)のラミネートフィルム)を用いて容器を密封した。この容器を加圧加熱釜に入れて105℃・30分加熱炊飯し、冷却後、25℃・RH50%の条件下に保存した。1ヶ月目、3ヶ月目及び6ヶ月目に容器内酸素濃度を測定し、開封後炊飯米の風味を調べた。結果を表3に示す。
【0036】
〔比較例2〕
比較例1のトレイ状容器(成形温度180℃)を使用した以外は実施例2と同様にして炊飯米の保存試験を実施した。結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
表2、表3から明らかなように、炊飯された米飯や多層体容器内で炊飯された米飯を脱酸素性多層体容器を用いて保存した場合、バリア性樹脂層をエチレン−ビニルアルコール共重合体とした比較例1、2では、炊飯米を長期に渡り保存すると、バリア性樹脂層の酸素バリア性が低下し、容器内酸素濃度が0.1%以上となり、保存が3ヶ月以上経過すると、炊飯米の風味を良好に保持することができなかった。一方、バリア性樹脂層としてポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドの混合物を用いた実施例1、2では、容器に成形する際の成形温度範囲が広く、炊飯米を長期に渡り保存しても、バリア性樹脂層の酸素バリア性の低下がなく、容器内酸素濃度が0.1%以下に保持されて、保存が3ヶ月以上経過しても、炊飯米の風味が良好に保持されていた。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、脱酸素剤組成物を配合してなる酸素吸収樹脂層を中間層としポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドのそれぞれ単独又は両者の混合樹脂からなるガスバリア性の外層と酸素透過性樹脂からなる酸素透過性の内層とを備えた脱酸素性多層体容器を用いて米飯を保存する方法及び該脱酸素性多層体容器に米飯を密閉した包装体に関するものである。
本発明によれば、無菌米飯を風味等の劣化がなく長期間にわたって良好に保存でき、商品価値の高い米飯包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における脱酸素性多層体の一例の断面図
【図2】本発明における脱酸素性多層体容器の一例の断面図
【符号の説明】
10 内層;酸素透過層
20 中間層;酸素吸収層
30 外層;ガスバリア層
31 接着層
32 接着層
33 保護層
1 脱酸素性多層体容器
2 ガスバリア性フイルム
3 食品
Claims (4)
- 脱酸素剤組成物を配合してなる酸素吸収樹脂層を中間層とし、ポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドの混合樹脂からなるガスバリア性の外層と酸素透過性樹脂からなる酸素透過性の内層とを備えてなる脱酸素性多層体容器を用いて、米飯を保存する方法。
- 前記混合樹脂におけるポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドの混合比率が80:20〜30:70(重量比)である請求項1記載の米飯を保存する方法。
- 脱酸素剤組成物を配合してなる酸素吸収樹脂層を中間層とし、ポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドの混合樹脂からなるガスバリア性の外層と酸素透過性樹脂からなる酸素透過性の内層とを備えてなる脱酸素性多層体容器に、米飯を密閉することを特徴とする米飯の包装体。
- 前記混合樹脂におけるポリメタキシリレンアジパミドと非晶性ポリアミドの混合比率が80:20〜30:70(重量比)である請求項3記載の米飯の包装体。
Priority Applications (1)
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JP06641297A JP3724526B2 (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 米飯の保存方法及び包装体 |
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JP06641297A JP3724526B2 (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 米飯の保存方法及び包装体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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