JP4737649B2 - 酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器及び多層成形用シート並びに多層成形用シートの製造方法 - Google Patents

酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器及び多層成形用シート並びに多層成形用シートの製造方法 Download PDF

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本発明は、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器及び多層成形用シート並びに多層成形用シートの製造方法に関し、詳しくは、食品や医薬品などの内容物保存性に優れた多層成形プラスチック容器において、酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層を均一に形成せしめた多層成形容器及びその多層成形容器を深絞り成形にて製造するための厚肉の多層シート材料、並びに積層方法に特徴を有する多層成形用シートの製造方法、更には酸素吸収剤の配合されたシートサイドトリム屑とスケルトン屑の有効利用に係るものである。
容器は日常生活や産業分野などにおいて欠かせないものであるが、最近では金属やガラスよりも、軽量性や耐衝撃性及び成形性や経済性などの観点からプラスチック容器が汎用され、特に、プラスチック容器は食品や医薬品などの用途において重用され必需品となっている。そして、プラスチック容器においては、優れた物性や簡易かつ安価に製造できるなどの理由により、熱可塑性樹脂のプラスチック容器が最も多用されている。
しかし、従前の金属缶やガラス瓶などに比して、一般にプラスチックは微量のガス透過性を有するので、プラスチック容器の場合には器壁を通しての酸素の透過が無視し得ない量で生じ、酸素が食品や医薬品などの内容品を化学変化せしめて、或いは、容器内において酸素が食品の腐敗をもたらす微生物の発育を促進せしめて、収納品の保存性の点で重要な問題となっている。
この問題を解決する手法として、プラスチック容器の器壁を通しての酸素の透過を防止するために、容器壁を多層構造とし、その少なくとも一層に、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの酸素遮蔽性を有する樹脂を用いることが行われ、また、容器内の酸素を除去するために、脱酸素剤を使用して、容器壁中に存在する脱酸素剤により容器内の酸素を吸収せしめて容器内を高度の無酸素状態に保持することなどが行われている。
これらの改良技術の代表的な例としては、酸素透過性を有する樹脂に還元性物質を主剤とする脱酸素剤を配合して成る層と、酸素ガス遮断性を有する層とを積層して、外部からの酸素の遮蔽と内部の酸素の吸収を行う、画期的な多層構造の容器が知られている(特許文献1を参照)。
そして、このようなプラスチック容器は、外部から器壁を通しての酸素透過を防ぎ、容器内部の酸素を吸収脱酸素して内容物の保存性を高める非常に優れた容器であるので、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器において、更にその機能を高めるために、器壁の層構造や層を形成する樹脂材料或いは酸素吸収剤などにおいて、多くの改良がなされ続けている。
一方、食品や医薬品などの保存用容器として非常に優れた、酸素の吸収性と遮蔽性に富む多層成形容器において、新たな観点から、多層成形容器を成形するための多層シート材料を製造する際に発生するシートサイドトリム屑やスケルトン屑を有効に再利用して、製造コストを下げる課題や、酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層や酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料を厚肉にして深絞り多層成形容器を製造する要望などが生じている。
多層容器を成形するための多層シート材料の製造時に、酸素吸収剤配合の樹脂層が均一に層形成し難いために、高価な酸素吸収性樹脂層を含むシートサイドトリムロスが多量に発生して多層容器の生産コストを低下できないという、新たな観点からの問題に関しては、今までに具体的で有効な解決手段は開示されていない。
酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層や酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料を厚肉にして深絞り多層成形容器を製造するための具体的な提案も見出せないが、酸素吸収性熱可塑性樹脂層や酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料において、厚みが100〜200μm程度の多少厚肉の多層シートは既に知られている(特許文献2を参照)。しかしこの技術は、多層シート厚み200μm程度で、深絞り成形に必要な1,000μm(1mm)程度に満たないし、より厚みを薄くしても酸素吸収剤の粒子が表面に突出しないことを目的とするもので、より厚肉にして深絞り成形を目指すものではなく、厚肉多層シートにおいて酸素吸収性樹脂層の均一形成を図るものでもない。
また、酸素遮蔽性樹脂層を有す厚肉の多層容器に工程再粉砕物を使用する提案も開示されているが(特許文献3を参照)、シートの深絞り成形を目指すものではなく、多層シートにおいて酸素吸収性樹脂層の均一形成や高価なシートサイドトリム屑の再利用を図るものでもない。
特公昭62−1824号公報(特許請求の範囲の請求項1を参照) 特許第2967740号公報(特許請求の範囲の請求項12を参照) 特開2000−335635号公報(要約を参照)
本発明は、酸素吸収及び遮蔽による収納内容物保存性を有する多層成形容器における、上述の従来の技術の状況において、新たな観点からの課題として、(1)酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層及び酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料を厚肉にして深絞り多層成形容器を製造し、(2)多層容器を成形するための多層厚肉シート材料の製造時に、酸素吸収剤配合の樹脂層を均一に層形成して、高価な酸素吸収性樹脂層を含むトリムロスの発生を抑制し、また、(3)酸素吸収剤が配合されたトリム屑やスケルトン屑の再利用を図り、多層容器の生産コストを低減する、ことを目指すものである。
本発明者は、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器において、多層シート材料を厚肉にして深絞り多層成形容器を製造し、その際に、酸素吸収剤配合の樹脂層を均一に層形成して、高価な酸素吸収性樹脂層を含むトリムロスの発生を抑制し、また、酸素吸収剤が配合されたトリム屑やスケルトン屑の再利用を図り、多層容器の生産コストを低減する、という課題の解決を目指して、現在汎用されており重要な多層成形容器のひとつである、熱可塑性樹脂からなる内層及び外層と、内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる第1の中間層と、外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる第2の中間層とを備えた多層成形容器において、有効な課題解決手段を各材料の選定や各層構成の相関の検討或いは積層成形法や深絞り成形性などの種々の観点から、考察勘案し試行実証を行った。
そして、考察実証する過程において、酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層及び酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料を、深絞り成形して多層容器にするために必要な全体の厚肉(大略1mm[1,000μm]以上)にするために、通常の手法に沿って、熱可塑性樹脂層及び酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層と酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料とを、厚肉の厚みを持たせるように共押出しにより同時一体成形を行うと、内層側の酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層が乱れ均一な層とならず、その結果シートの両端に大量のサイドトリム(多層シートを積層成形する際に生じ、層状態が不適正なために切断除去される、シートの両端の屑)が生じてしまい(図1における例示を参照)、多量のトリム屑によりコスト上昇が避けられないことを知見し得た。
一方、先ず熱可塑性樹脂層と酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層からなる内部層を押出し成形などにより積層成形し、次いで熱可塑性樹脂層と酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層からなる外部層を押出し成形などにより積層することによって、厚肉に多層積層成形すると酸素吸収性熱可塑性樹脂層がさほど乱れず、サイドトリムの発生が低減されることが判明した。
驚くべきことに、多層シート材料を押出成形する際に、サイドトリム屑(及びスケルトン屑)を混入した樹脂層を酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層の外層側に設けると、酸素吸収性熱可塑性樹脂層がよりいっそう乱れず均一な層となり、サイドトリムの発生が大幅に低減されることも判明した。
この理由は未だ明確ではないが、酸素吸収剤が配合された酸素吸収性樹脂における酸素吸収剤が鉄系材料で他層に比較して重量があり層乱れの原因となるが、サイドトリム屑を混入した樹脂層を酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層の外層側に設けると、サイドトリム屑にも多量の鉄系酸素吸収剤が混入されているから、酸素吸収剤が配合された酸素吸収性樹脂層とサイドトリム屑を混入した樹脂層とが層バランスを取りシート成形安定性が増すからではないかと推測される。
そして、本発明においては、サイドトリム屑及びスケルトン屑(厚肉の多層積層シートを多数個取りにて深絞り成形して打ち抜いた後の残余のシート屑)を各層に混入し或いは新たな層として再利用をも図ることをも特徴としている。
かくして、本発明は第一の基本発明として、「熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層、及び、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層とからなることを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた、深絞り成形による多層成形容器。」を構築し、また、第二の基本発明として、「熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を設けることにより成形した多層成形用シートを深絞り成形したことを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。」を構築するものである。
ところで、背景技術における先の特許文献及びその他の特許文献を精査しても、上述の本発明の特異的な構成及び格別の特徴は窺うことができない。
なお、特開2000−37823号公報においては、保護層−酸素バリア層−基材層−脱酸素層−シーラント(シール)層からなる、酸素吸収性と遮蔽性を備えた五層の積層材料が開示され(その特許請求の範囲の請求項1,3)、層構成が本発明の多層成形用シートと見掛け上近似し、積層材料全体が250乃至1500μ程度の厚肉であることも記載され(その段落0043)、本発明の厚肉と同程度である。しかし、本発明においては、(i)多層成形シートを深絞りして多層容器を成形するものであり、(ii)その多層成形シートは、先ず熱可塑性樹脂層と酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層からなる内部層を押出し成形などにより積層成形し、次いで熱可塑性樹脂層と酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層からなる外部層を押出し成形などにより積層することによって、(iii)厚肉に多層積層成形しても酸素吸収性熱可塑性樹脂層がさほど乱れず、サイドトリムの発生が低減されることを特徴とするが、かかる本発明の特異的な構成の要件(i及びii)と格別の作用効果(iii)は、上記の公報には記載も示唆もされていず、当公報の記載から本発明を当業者が窺うこともできない。
本発明においては、以上のような認識を基礎として基本発明が構築され、基本発明を展開して更に多種の発明群が形成された。そして、発明の課題を解決する手段を、本発明が創作される経緯及び本発明の基本的な構成と特徴に沿って概述したので、ここでその発明の全体を明確にするために、本発明の全体を俯瞰する。
本発明は、次の発明単位群から構成されるものであって、第一発明及び第二発明更には第九発明と第十発明を基本的発明とし、それら以外の発明は、基本的発明を具体化ないしは実施態様化するものである。
第一発明: 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層、及び、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層とからなることを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた、深絞り成形による多層成形容器。
第二発明: 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を設けることにより成形した多層成形用シートを深絞り成形したことを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第三発明: 厚肉の多層成形用シートの深絞り成形によることを特徴とする、第一発明又は第二発明における酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第四発明: 酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層の両側層に接着剤層が設けられたことを特徴とする、第一発明〜第三発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第五発明: 第1層〜第4層の熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体であり、酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする、第一発明〜第三発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第六発明: 酸素吸収剤が鉄系脱酸素剤であることを特徴とする、第一発明〜第五発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第七発明: 酸素遮蔽性熱可塑性樹脂からなる中間層の外層側に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入された層をさらに設けたことを特徴とする、第一発明又は第二発明における酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第八発明: 酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入されたことを特徴とする、第一発明又は第二発明における酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第九発明: 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層、及び、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層とからなり、酸素遮蔽性熱可塑性樹脂からなる中間層の外層側に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入された層を更に設ける、又は酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入されることを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形用シート。
第十発明: 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を積層成形することを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形用シートの製造方法。
本発明においては、深絞り成形による、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器の製造が可能となり、また、多層成形シート材料において、シートサイドトリム率が大幅に減少し、多層成形シート材料の中間層の垂れ下がりも発生せず、それにより厚肉シートであっても、多層シート材料の生産安定性が向上する。
更に、トリム屑とスケルトン屑の層材料としての再利用によって他層の材料の使用量が軽減され、トリム屑とスケルトン屑の再使用による高価な酸素吸収剤の回収使用からのコストダウンへの寄与が大きくなっている。
本発明については、課題を解決するための手段として、本発明の基本的な構成と特徴を前述したが、以下においては、前述した本発明群の発明(本発明群の発明を「本発明」と略記することがある)の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に詳しく説明する。
1.基本的な構成と特徴
本発明は、基本的に、深絞り成形による、酸素の吸収性と遮蔽性に優れ食品或いは医薬品などの内容物保存性の高い多層成形容器に関し、更に、かかる多層成形プラスチック容器において、酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層を均一に形成せしめた多層成形容器及びその多層成形容器を製造するための多層シート材料、並びにそれらの製造方法に係るものであり、また、シートサイドトリム屑とスケルトン屑の再使用による高価な酸素吸収剤の回収使用からのコストダウンへの寄与を行うものである。
そして、具体的に、(1)酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層及び酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料を深絞り成形して多層成形容器を製造し、(2)多層容器を成形するための多層厚肉シート材料の製造時に、特定の積層方法(段落0021に記載)の採用により、酸素吸収剤配合の樹脂層を均一に層形成して、高価な酸素吸収性樹脂層を含むトリムロスの発生を抑制し、(3)更に、トリム屑とスケルトン屑を層中に混合或いは他層として使用して多層容器の生産コストを低減することを特徴とするものである。
2.酸素の吸収性と遮蔽性に優れた、深絞り多層成形容器
段落0003の背景技術において前述したように、以前から、酸素透過性を有する樹脂に還元性物質を主剤とする脱酸素剤を配合してなる層と、酸素ガス遮断性を有する層とを積層して、外部からの酸素の透過阻止と内部の酸素の吸収を行う、画期的な多層構造容器が知られている。
しかし、酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層及び酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料を使用して、複雑な形状や構造の容器を成形するには、全体の厚みが大略1mm(1,000μm)以上の多層シート材料を形成して、深絞り成形する必要があるが、従来では、酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層及び酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料において、そのような厚肉の材料による深絞り成形は試みられていない。
本発明は、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層容器において、大略の厚みが、好ましくは1mm以上の多層容器成形用の厚肉多層シート材料を形成して、それを深絞り成形し多層容器となしたものであって、「熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層、及び、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層」の層構成により、1mm以上の厚みシートの形成がなされ、それを深絞り成形することにより、本発明における基本発明のひとつである、第一発明における、「熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層、及び、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層とからなることを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた、深絞り成形による多層成形容器」が構築される。
なお、本明細書での深絞り成形とは、容器における高さ/口径の比が0.8以上となる成形をいう。
ここで、多層成形容器の一例としての、層構成が図2に図示されている。図中の上側が容器の外部で、図中の下側が容器の内部側に相当する。
熱可塑性樹脂からなる第1層〜第4層は、11と13と14と17であり、内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層は12であり、外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層は16であり、その両側の接着剤層は15である。
ここで、シート材料を厚肉にするために、熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層に、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を組み合わせ積層して、積層構造全体として、好ましくは大略1,000μm以上(1mm以上)の厚肉に成形する。
3.酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂層の均一形成
注目されるべきことに、熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層を予め設ければ、中間層が層構成において対称的となり、酸素吸収性熱可塑性樹脂層(第1の中間層)のシート中央部の層部分の垂れ下りが抑制され、その結果として酸素吸収剤が熱可塑性樹脂層中に、大略均一に配合され存在することになり、シートの中央部と両端部におけるシートの層構成が大略均一となる。
そして、先ず、熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を設けることにより、酸素吸収性樹脂層と酸素遮蔽性樹脂層及び他の熱可塑性樹脂層の各層が大略均一に層形成されることになる。
しかして、第二発明の「熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を設けることにより成形した多層成形用シートを深絞り成形したことを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。」、及び第十発明の「熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を積層成形することを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形用シートの製造方法」の各発明が構築される。
ここで、熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートは、押出成形や共押出或いはサンドイッチラミネーションなどの通常の各種ラミネート法(積層法)により成形され、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層も、押出成形や共押出或いはサンドイッチラミネーションなどの通常の各種ラミネート法(積層法)により成形される。
なお、従前の技術として、熱可塑性樹脂からなる内層及び外層と、内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる第1の中間層と、外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる第2の中間層とを備えた多層成形容器における、多層シート成形材料の層構造の断面図が、図1に例示されている。
図中の上側が容器の外部で、図中の下側が容器の内部側に相当する。熱可塑性樹脂からなる内層及び外層(図中の白色部分)と、外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる第2の中間層(図中の黒色部分)と、その両側の接着剤層(図示せず)と、内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる第1の中間層(図中のビーズ模様部分)が各々図示されている。Aはシートの1次成形幅を、Bはシートの容器製品となる幅を、Cは酸素のバリア効果(酸素遮蔽ないし吸収効果)の有効幅を、Dはトリムロス幅(シートの両端屑の幅)を各々表わす。縦軸はシートの厚み(単位mm)を、横軸はシート中央部からの幅長さ(単位mm)を示す。図中にA〜Cのシート幅の1例がmm単位で示されている。
このような多層成形容器における多層シート材料においては、同時多層押出し積層法などにより、多層シート材料を積層成形する際に、内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる第1の中間層において、鉄粉系などの酸素吸収剤の重量によってか、或いは、シートの層構成の対称性が乏しいためか、第1の中間層のシート中央部の層部分が図1に図示されるように垂れ下がってしまい、それに引かれて第2の中間層も垂れ下がり、そのためにシートの中間の各層がシートの中央部に引き寄せられ、酸素遮蔽層(第2の中間層)と酸素吸収層(第1の中間層)の層厚みが少ないか殆どなくて耐酸素性の機能が働かない部分がシートの両端にトリムロス(図中のD)として生じてしまう。また、そのためにバリア効果の有効幅(図中のC)も狭くなる。
そして、シートの中間の各層が垂れ下がることにより、シート層の構成が内外部において非対称となりシート層分布の成形安定性も悪くなってしまい、多層シート材料の積層成形における生産安定性が悪化しがちである。
更に、トリムロス中の酸素吸収剤は他の原料に比して高価なために、コストアップになってしまう問題も避けられない。
4.シートサイドトリム屑及びスケルトン屑の有効再利用
多層成形容器の材料となる多層成形シートの製造の際に、廃棄されるシートサイドトリム屑、及び容器成形時に生じるスケルトン屑を再利用の原料として、層形成の材料の一部とすれば、成形屑の再利用を実現できて、それにより多層容器の生産コストを低下できるばかりではなく、他層に比べて高価な酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂層屑の再利用により、生産コストをより有効に改善できる。また、回収された酸素吸収剤によって、酸素の吸収性と遮蔽性がより高められることも判明した。
そして驚くべきことに、多層シート材料を押出成形する際に、サイドトリム屑を混入した樹脂層を酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層の外層側に設けると、酸素吸収性熱可塑性樹脂層がよりいっそう乱れず均一な層となり、サイドトリムの発生が大幅に低減されることも判明した。
なお、上記の酸素吸収性熱可塑性樹脂層形成における新しい知見の応用として、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑を他層に混入してもよい。
廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑を、酸素吸収性の中間層(オキシガード層)に混入して再使用することによって、内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる第1の中間層と、外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる第2の中間層との成形安定性が向上して、シート中央部の層部分が垂れ下がってしまうことが解消されて、シートの中央部と両端部におけるシートの層構成が均一となり、シート両端のトリムロスの幅が大幅に減少し、さらにシート生産安定性も高まる。
このような、酸素吸収性熱可塑性樹脂層形成における新しい知見が、多層成形容器において利用され、第九発明の「熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層、及び、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層とからなり、酸素遮蔽性熱可塑性樹脂からなる中間層の外層側に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入された層を更に設ける、又は酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入されることを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形用シート。」の発明を構築している。
5.実施の態様としての発明
以上において詳しく述べた各々の基本的発明に対する実施の態様として、第四発明〜第六発明の、「酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層の両側層に接着剤層が設けられたことを特徴とする、第一発明〜第三発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器」、「第1層〜第4層の熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体であり、酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする、第一発明〜第三発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器」、及び「酸素吸収剤が鉄系脱酸素剤であることを特徴とする、第一発明〜第五発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器」がある。
第四発明は、酸素遮蔽性の第2の中間層の両側層に接着剤層が設けられることを特徴とするもので、接着剤は任意使用であり、第一の中間層と両側層との接合性が悪い場合に使用される。通常は、第2の中間層の酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂にエチレン−ビニルアルコール共重合体が使用され、両側層に汎用されるポリプロピレン系樹脂との接着性がよくないので、汎用接着剤であるエチレン−アクリル酸エステル共重合体などの熱可塑性樹脂接着剤が用いられる。
その他の接着剤の適当な例は、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミドなどの1種又は2種以上の組み合わせである。これらの接着剤樹脂は、同時押出或いはサンドイッチラミネーションなどによる積層に有用である。
第五発明は、使用される樹脂の具体例を示すもので、第1層〜第4層の熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、第1の中間層の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であって、第2の中間層の酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
ポリプロピレン系樹脂は、その耐衝撃性などの機械的物性や耐薬品性などの化学的物性に優れており、成形性や経済性も卓越で、酸素遮蔽性も備えているから、内層及び外層の熱可塑性樹脂として汎用される。なお、最内層の樹脂としては容器内部の酸素吸収のためにある程度の酸素透過性を有するポリオレフィン系樹脂がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、具体的に、アイソタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、及びこれらのブレンド物が使用される。これらのポリプロピレン系樹脂は、通常、第1の中間層に配合されている鉄系脱酸素剤の黒色を隠蔽するために、酸化チタンなどの白色顔料を配合した組成物の形で使用に供される。
第1の中間層の熱可塑性樹脂としては、容器内部の酸素吸収のためにある程度の酸素透過性を有するポリオレフィン系樹脂が汎用される。また、ポリプロピレン系樹脂からなる内層及び外層は、水分の透過を抑制し、エチレン−ビニルアルコール共重合体の吸湿による酸素遮蔽性の低下を抑制する。
第2の中間層の酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂としてのエチレン−ビニルアルコール共重合体も、その優れた酸素遮蔽性により汎用され、エチレン−ビニルアルコール共重合体の具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。
第六発明は、酸素吸収剤が鉄系脱酸素剤であることを特徴とするもので、酸素吸収性と経済性に優れた代表的な酸素吸収剤(脱酸素剤)を例示している。
鉄系脱酸素剤は、その優れた還元性(周囲物質からの脱酸素性)により強力な酸素吸収作用をもたらす。
なお、鉄系脱酸素剤としては、従来この種の用途に使用されているものは全て使用することができ、例えば還元性鉄、酸化第一鉄、四三酸化鉄、炭化鉄、ケイ素鉄、鉄カルボニル、水酸化鉄などを例示できる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。粒径や密度も通常のものが好適である。あまり平均粒径が大きいものを使用すると、多層シートへの成形に際してフィッシュアイなどが発生し、容器の外観が損なわれることがある。
鉄系脱酸素剤は、一般に樹脂当り1〜200重量%、特に10〜100重量%の量とすることが好適である。鉄系脱酸素剤の量が上記範囲よりも少ないと、容器内の酸素濃度を微生物の成育に適した濃度以下に抑制することが困難となり、一方上記範囲よりも多量に用いたとしても、酸素濃度低下の点で格別の効果がないばかりか、成形性や価格の点で不利となる傾向がある。
以下において、実施例により本発明をより具体的に提示して、比較例との対照により、本発明の構成の合理性と有意性を実証する。
〔実施例〕
本実施例は、基本的発明である第一発明を対象とするものであり、『熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層、及び、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層とからなることを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた、深絞り成形による多層成形容器』に係るものである。
[図による例示]
実施例に関わる多層成形容器及び多層厚肉シート材料の層構成の実例が、図2に図示されている。
なお、前述のとおり、図中の上側が容器の外部で、図中の下側が容器の内部側に相当する。熱可塑性樹脂からなる第1層〜第4層は、11と13と14と17であり、内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層は12であり、外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層は16であり、その両側の接着剤層は15である。
[多層シート材料の製造]
第1層〜第4層の熱可塑性樹脂として、プロピレン−エチレンブロック共重合体、第1の中間層として、プロピレン−エチレンランダム共重合体とその樹脂100重量部当たり37重量部の鉄系脱酸素剤を含有する組成物を使用し、第2の中間層として、エチレン−ビニルアルコール共重合体をそれぞれ使用し、先ず共押し出しによって、内部層を成形してから外部層を積層して、多層シート材料を成形した。なお、エチレン−ビニルアルコール共重合体とこれに隣接する層との間には接着剤樹脂層が形成されるようにして多層同時共押出を行った。
[多層容器の製造]
通常の真空圧空成形機で、多数個取り金型を用いて深絞り成形を行い、口外径75mm・高さ94mm・内容量225mlの多層深絞り容器を成形した。
[結果]
第2の中間層の垂れ下がりは殆ど生じず、シートの中央部と両端部におけるシートの層構成が大略均一となった。
〔比較例〕
実施例において全層を共押出しにより同時押出成形した以外は、実施例と全く同様にして多層厚肉シート材料及び多層容器の製造を行った。
[結果]
多層厚肉シート材料においては、図1に示される以上に、第2の中間層の垂れ下がりが生じ、シートの中央部と両端部におけるシートの層構成が乱れ不均一となり、多層容器の成形には不適当なものであった。実施例と比較例の結果を表1に掲示する。
Figure 0004737649
[実施例と比較例の結果の考察]
以上の実施例及び比較例を対照することにより、本発明では、多層厚肉シート材料において、シートサイドトリム量が従前(比較例)に比べて大幅に減少し、多層シート材料の中間層の垂れ下がりも発生せず、酸素吸収剤配合の中間層の均一形成によるシートサイドトリム料の僅少によって、コストダウンへの寄与が大きくなっている。そして、本発明では、多層成形容器において、酸素遮蔽性及び吸収性が高く、内容物保存容器として食品の保存が味と香りにおいて非常に優れていることが明らかにされている。
したがって、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術への卓越性が明らかにされている。
従前の多層成形容器における多層シート材料の断面層構成を示す断面図である。 本発明に関わる多層成形容器及び多層厚肉シート材料の実施例における、断面層構成を示す模式断面図である。
符号の説明
A: シートの1次成形幅 B: シートの容器製品となる幅
C: 酸素のバリア効果の有効幅 D: トリムロス幅
11:熱可塑性樹脂からなる第1層
12:内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層
13:熱可塑性樹脂からなる第2層
14:熱可塑性樹脂からなる第3層
15:接着剤層
16:外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層
17:熱可塑性樹脂からなる第4層

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を設けることにより成形した多層成形用シートを深絞り成形したことを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
  2. 厚肉の多層成形用シートの深絞り成形によることを特徴とする、請求項1に記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
  3. 酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層の両側層に接着剤層が設けられたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
  4. 第1層〜第4層の熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体であり、酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
  5. 酸素吸収剤が鉄系脱酸素剤であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
  6. 酸素遮蔽性熱可塑性樹脂からなる中間層の外層側に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入された層をさらに設けたことを特徴とする、請求項1に記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
  7. 酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入されたことを特徴とする、請求項1に記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
  8. 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層、及び、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層とからなり、酸素遮蔽性熱可塑性樹脂からなる中間層の外層側に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入された層を更に設ける、又は酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入されることを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形用シート。
  9. 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を積層成形することを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形用シートの製造方法。
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