JP4737649B2 - 酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器及び多層成形用シート並びに多層成形用シートの製造方法 - Google Patents
酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器及び多層成形用シート並びに多層成形用シートの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4737649B2 JP4737649B2 JP2008145206A JP2008145206A JP4737649B2 JP 4737649 B2 JP4737649 B2 JP 4737649B2 JP 2008145206 A JP2008145206 A JP 2008145206A JP 2008145206 A JP2008145206 A JP 2008145206A JP 4737649 B2 JP4737649 B2 JP 4737649B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oxygen
- layer
- thermoplastic resin
- shielding
- multilayer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
- Wrappers (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
しかし、従前の金属缶やガラス瓶などに比して、一般にプラスチックは微量のガス透過性を有するので、プラスチック容器の場合には器壁を通しての酸素の透過が無視し得ない量で生じ、酸素が食品や医薬品などの内容品を化学変化せしめて、或いは、容器内において酸素が食品の腐敗をもたらす微生物の発育を促進せしめて、収納品の保存性の点で重要な問題となっている。
これらの改良技術の代表的な例としては、酸素透過性を有する樹脂に還元性物質を主剤とする脱酸素剤を配合して成る層と、酸素ガス遮断性を有する層とを積層して、外部からの酸素の遮蔽と内部の酸素の吸収を行う、画期的な多層構造の容器が知られている(特許文献1を参照)。
そして、このようなプラスチック容器は、外部から器壁を通しての酸素透過を防ぎ、容器内部の酸素を吸収脱酸素して内容物の保存性を高める非常に優れた容器であるので、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器において、更にその機能を高めるために、器壁の層構造や層を形成する樹脂材料或いは酸素吸収剤などにおいて、多くの改良がなされ続けている。
酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層や酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料を厚肉にして深絞り多層成形容器を製造するための具体的な提案も見出せないが、酸素吸収性熱可塑性樹脂層や酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料において、厚みが100〜200μm程度の多少厚肉の多層シートは既に知られている(特許文献2を参照)。しかしこの技術は、多層シート厚み200μm程度で、深絞り成形に必要な1,000μm(1mm)程度に満たないし、より厚みを薄くしても酸素吸収剤の粒子が表面に突出しないことを目的とするもので、より厚肉にして深絞り成形を目指すものではなく、厚肉多層シートにおいて酸素吸収性樹脂層の均一形成を図るものでもない。
また、酸素遮蔽性樹脂層を有す厚肉の多層容器に工程再粉砕物を使用する提案も開示されているが(特許文献3を参照)、シートの深絞り成形を目指すものではなく、多層シートにおいて酸素吸収性樹脂層の均一形成や高価なシートサイドトリム屑の再利用を図るものでもない。
一方、先ず熱可塑性樹脂層と酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層からなる内部層を押出し成形などにより積層成形し、次いで熱可塑性樹脂層と酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層からなる外部層を押出し成形などにより積層することによって、厚肉に多層積層成形すると酸素吸収性熱可塑性樹脂層がさほど乱れず、サイドトリムの発生が低減されることが判明した。
この理由は未だ明確ではないが、酸素吸収剤が配合された酸素吸収性樹脂における酸素吸収剤が鉄系材料で他層に比較して重量があり層乱れの原因となるが、サイドトリム屑を混入した樹脂層を酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層の外層側に設けると、サイドトリム屑にも多量の鉄系酸素吸収剤が混入されているから、酸素吸収剤が配合された酸素吸収性樹脂層とサイドトリム屑を混入した樹脂層とが層バランスを取りシート成形安定性が増すからではないかと推測される。
そして、本発明においては、サイドトリム屑及びスケルトン屑(厚肉の多層積層シートを多数個取りにて深絞り成形して打ち抜いた後の残余のシート屑)を各層に混入し或いは新たな層として再利用をも図ることをも特徴としている。
なお、特開2000−37823号公報においては、保護層−酸素バリア層−基材層−脱酸素層−シーラント(シール)層からなる、酸素吸収性と遮蔽性を備えた五層の積層材料が開示され(その特許請求の範囲の請求項1,3)、層構成が本発明の多層成形用シートと見掛け上近似し、積層材料全体が250乃至1500μ程度の厚肉であることも記載され(その段落0043)、本発明の厚肉と同程度である。しかし、本発明においては、(i)多層成形シートを深絞りして多層容器を成形するものであり、(ii)その多層成形シートは、先ず熱可塑性樹脂層と酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層からなる内部層を押出し成形などにより積層成形し、次いで熱可塑性樹脂層と酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層からなる外部層を押出し成形などにより積層することによって、(iii)厚肉に多層積層成形しても酸素吸収性熱可塑性樹脂層がさほど乱れず、サイドトリムの発生が低減されることを特徴とするが、かかる本発明の特異的な構成の要件(i及びii)と格別の作用効果(iii)は、上記の公報には記載も示唆もされていず、当公報の記載から本発明を当業者が窺うこともできない。
本発明は、次の発明単位群から構成されるものであって、第一発明及び第二発明更には第九発明と第十発明を基本的発明とし、それら以外の発明は、基本的発明を具体化ないしは実施態様化するものである。
第二発明: 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を設けることにより成形した多層成形用シートを深絞り成形したことを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第三発明: 厚肉の多層成形用シートの深絞り成形によることを特徴とする、第一発明又は第二発明における酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第四発明: 酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層の両側層に接着剤層が設けられたことを特徴とする、第一発明〜第三発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第五発明: 第1層〜第4層の熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体であり、酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする、第一発明〜第三発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第六発明: 酸素吸収剤が鉄系脱酸素剤であることを特徴とする、第一発明〜第五発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第七発明: 酸素遮蔽性熱可塑性樹脂からなる中間層の外層側に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入された層をさらに設けたことを特徴とする、第一発明又は第二発明における酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第八発明: 酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入されたことを特徴とする、第一発明又は第二発明における酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
第九発明: 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層、及び、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層とからなり、酸素遮蔽性熱可塑性樹脂からなる中間層の外層側に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入された層を更に設ける、又は酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入されることを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形用シート。
第十発明: 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を積層成形することを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形用シートの製造方法。
更に、トリム屑とスケルトン屑の層材料としての再利用によって他層の材料の使用量が軽減され、トリム屑とスケルトン屑の再使用による高価な酸素吸収剤の回収使用からのコストダウンへの寄与が大きくなっている。
本発明は、基本的に、深絞り成形による、酸素の吸収性と遮蔽性に優れ食品或いは医薬品などの内容物保存性の高い多層成形容器に関し、更に、かかる多層成形プラスチック容器において、酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層を均一に形成せしめた多層成形容器及びその多層成形容器を製造するための多層シート材料、並びにそれらの製造方法に係るものであり、また、シートサイドトリム屑とスケルトン屑の再使用による高価な酸素吸収剤の回収使用からのコストダウンへの寄与を行うものである。
そして、具体的に、(1)酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層及び酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料を深絞り成形して多層成形容器を製造し、(2)多層容器を成形するための多層厚肉シート材料の製造時に、特定の積層方法(段落0021に記載)の採用により、酸素吸収剤配合の樹脂層を均一に層形成して、高価な酸素吸収性樹脂層を含むトリムロスの発生を抑制し、(3)更に、トリム屑とスケルトン屑を層中に混合或いは他層として使用して多層容器の生産コストを低減することを特徴とするものである。
段落0003の背景技術において前述したように、以前から、酸素透過性を有する樹脂に還元性物質を主剤とする脱酸素剤を配合してなる層と、酸素ガス遮断性を有する層とを積層して、外部からの酸素の透過阻止と内部の酸素の吸収を行う、画期的な多層構造容器が知られている。
しかし、酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層及び酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料を使用して、複雑な形状や構造の容器を成形するには、全体の厚みが大略1mm(1,000μm)以上の多層シート材料を形成して、深絞り成形する必要があるが、従来では、酸素吸収剤配合の酸素吸収性熱可塑性樹脂層及び酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層を有する多層シート材料において、そのような厚肉の材料による深絞り成形は試みられていない。
なお、本明細書での深絞り成形とは、容器における高さ/口径の比が0.8以上となる成形をいう。
熱可塑性樹脂からなる第1層〜第4層は、11と13と14と17であり、内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層は12であり、外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層は16であり、その両側の接着剤層は15である。
注目されるべきことに、熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層を予め設ければ、中間層が層構成において対称的となり、酸素吸収性熱可塑性樹脂層(第1の中間層)のシート中央部の層部分の垂れ下りが抑制され、その結果として酸素吸収剤が熱可塑性樹脂層中に、大略均一に配合され存在することになり、シートの中央部と両端部におけるシートの層構成が大略均一となる。
そして、先ず、熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を設けることにより、酸素吸収性樹脂層と酸素遮蔽性樹脂層及び他の熱可塑性樹脂層の各層が大略均一に層形成されることになる。
図中の上側が容器の外部で、図中の下側が容器の内部側に相当する。熱可塑性樹脂からなる内層及び外層(図中の白色部分)と、外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる第2の中間層(図中の黒色部分)と、その両側の接着剤層(図示せず)と、内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる第1の中間層(図中のビーズ模様部分)が各々図示されている。Aはシートの1次成形幅を、Bはシートの容器製品となる幅を、Cは酸素のバリア効果(酸素遮蔽ないし吸収効果)の有効幅を、Dはトリムロス幅(シートの両端屑の幅)を各々表わす。縦軸はシートの厚み(単位mm)を、横軸はシート中央部からの幅長さ(単位mm)を示す。図中にA〜Cのシート幅の1例がmm単位で示されている。
そして、シートの中間の各層が垂れ下がることにより、シート層の構成が内外部において非対称となりシート層分布の成形安定性も悪くなってしまい、多層シート材料の積層成形における生産安定性が悪化しがちである。
更に、トリムロス中の酸素吸収剤は他の原料に比して高価なために、コストアップになってしまう問題も避けられない。
多層成形容器の材料となる多層成形シートの製造の際に、廃棄されるシートサイドトリム屑、及び容器成形時に生じるスケルトン屑を再利用の原料として、層形成の材料の一部とすれば、成形屑の再利用を実現できて、それにより多層容器の生産コストを低下できるばかりではなく、他層に比べて高価な酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂層屑の再利用により、生産コストをより有効に改善できる。また、回収された酸素吸収剤によって、酸素の吸収性と遮蔽性がより高められることも判明した。
そして驚くべきことに、多層シート材料を押出成形する際に、サイドトリム屑を混入した樹脂層を酸素遮蔽性熱可塑性樹脂層の外層側に設けると、酸素吸収性熱可塑性樹脂層がよりいっそう乱れず均一な層となり、サイドトリムの発生が大幅に低減されることも判明した。
廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑を、酸素吸収性の中間層(オキシガード層)に混入して再使用することによって、内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる第1の中間層と、外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる第2の中間層との成形安定性が向上して、シート中央部の層部分が垂れ下がってしまうことが解消されて、シートの中央部と両端部におけるシートの層構成が均一となり、シート両端のトリムロスの幅が大幅に減少し、さらにシート生産安定性も高まる。
以上において詳しく述べた各々の基本的発明に対する実施の態様として、第四発明〜第六発明の、「酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層の両側層に接着剤層が設けられたことを特徴とする、第一発明〜第三発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器」、「第1層〜第4層の熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体であり、酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする、第一発明〜第三発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器」、及び「酸素吸収剤が鉄系脱酸素剤であることを特徴とする、第一発明〜第五発明のいずれかにおける酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器」がある。
その他の接着剤の適当な例は、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミドなどの1種又は2種以上の組み合わせである。これらの接着剤樹脂は、同時押出或いはサンドイッチラミネーションなどによる積層に有用である。
ポリプロピレン系樹脂は、その耐衝撃性などの機械的物性や耐薬品性などの化学的物性に優れており、成形性や経済性も卓越で、酸素遮蔽性も備えているから、内層及び外層の熱可塑性樹脂として汎用される。なお、最内層の樹脂としては容器内部の酸素吸収のためにある程度の酸素透過性を有するポリオレフィン系樹脂がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、具体的に、アイソタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、及びこれらのブレンド物が使用される。これらのポリプロピレン系樹脂は、通常、第1の中間層に配合されている鉄系脱酸素剤の黒色を隠蔽するために、酸化チタンなどの白色顔料を配合した組成物の形で使用に供される。
第2の中間層の酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂としてのエチレン−ビニルアルコール共重合体も、その優れた酸素遮蔽性により汎用され、エチレン−ビニルアルコール共重合体の具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。
鉄系脱酸素剤は、その優れた還元性(周囲物質からの脱酸素性)により強力な酸素吸収作用をもたらす。
なお、鉄系脱酸素剤としては、従来この種の用途に使用されているものは全て使用することができ、例えば還元性鉄、酸化第一鉄、四三酸化鉄、炭化鉄、ケイ素鉄、鉄カルボニル、水酸化鉄などを例示できる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。粒径や密度も通常のものが好適である。あまり平均粒径が大きいものを使用すると、多層シートへの成形に際してフィッシュアイなどが発生し、容器の外観が損なわれることがある。
鉄系脱酸素剤は、一般に樹脂当り1〜200重量%、特に10〜100重量%の量とすることが好適である。鉄系脱酸素剤の量が上記範囲よりも少ないと、容器内の酸素濃度を微生物の成育に適した濃度以下に抑制することが困難となり、一方上記範囲よりも多量に用いたとしても、酸素濃度低下の点で格別の効果がないばかりか、成形性や価格の点で不利となる傾向がある。
〔実施例〕
本実施例は、基本的発明である第一発明を対象とするものであり、『熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層、及び、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層とからなることを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた、深絞り成形による多層成形容器』に係るものである。
実施例に関わる多層成形容器及び多層厚肉シート材料の層構成の実例が、図2に図示されている。
なお、前述のとおり、図中の上側が容器の外部で、図中の下側が容器の内部側に相当する。熱可塑性樹脂からなる第1層〜第4層は、11と13と14と17であり、内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層は12であり、外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層は16であり、その両側の接着剤層は15である。
第1層〜第4層の熱可塑性樹脂として、プロピレン−エチレンブロック共重合体、第1の中間層として、プロピレン−エチレンランダム共重合体とその樹脂100重量部当たり37重量部の鉄系脱酸素剤を含有する組成物を使用し、第2の中間層として、エチレン−ビニルアルコール共重合体をそれぞれ使用し、先ず共押し出しによって、内部層を成形してから外部層を積層して、多層シート材料を成形した。なお、エチレン−ビニルアルコール共重合体とこれに隣接する層との間には接着剤樹脂層が形成されるようにして多層同時共押出を行った。
通常の真空圧空成形機で、多数個取り金型を用いて深絞り成形を行い、口外径75mm・高さ94mm・内容量225mlの多層深絞り容器を成形した。
第2の中間層の垂れ下がりは殆ど生じず、シートの中央部と両端部におけるシートの層構成が大略均一となった。
実施例において全層を共押出しにより同時押出成形した以外は、実施例と全く同様にして多層厚肉シート材料及び多層容器の製造を行った。
多層厚肉シート材料においては、図1に示される以上に、第2の中間層の垂れ下がりが生じ、シートの中央部と両端部におけるシートの層構成が乱れ不均一となり、多層容器の成形には不適当なものであった。実施例と比較例の結果を表1に掲示する。
以上の実施例及び比較例を対照することにより、本発明では、多層厚肉シート材料において、シートサイドトリム量が従前(比較例)に比べて大幅に減少し、多層シート材料の中間層の垂れ下がりも発生せず、酸素吸収剤配合の中間層の均一形成によるシートサイドトリム料の僅少によって、コストダウンへの寄与が大きくなっている。そして、本発明では、多層成形容器において、酸素遮蔽性及び吸収性が高く、内容物保存容器として食品の保存が味と香りにおいて非常に優れていることが明らかにされている。
したがって、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術への卓越性が明らかにされている。
C: 酸素のバリア効果の有効幅 D: トリムロス幅
11:熱可塑性樹脂からなる第1層
12:内層側に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層
13:熱可塑性樹脂からなる第2層
14:熱可塑性樹脂からなる第3層
15:接着剤層
16:外層側に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層
17:熱可塑性樹脂からなる第4層
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を設けることにより成形した多層成形用シートを深絞り成形したことを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
- 厚肉の多層成形用シートの深絞り成形によることを特徴とする、請求項1に記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
- 酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層の両側層に接着剤層が設けられたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
- 第1層〜第4層の熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体であり、酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
- 酸素吸収剤が鉄系脱酸素剤であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
- 酸素遮蔽性熱可塑性樹脂からなる中間層の外層側に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入された層をさらに設けたことを特徴とする、請求項1に記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
- 酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入されたことを特徴とする、請求項1に記載された酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器。
- 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層、及び、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層とからなり、酸素遮蔽性熱可塑性樹脂からなる中間層の外層側に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入された層を更に設ける、又は酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層に、廃棄されるシートサイドトリム屑及びスケルトン屑が混入されることを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形用シート。
- 熱可塑性樹脂からなる第1層及び第2層と、両層の中間に位置する酸素吸収剤配合の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた内部層シートを成形し、次いで、熱可塑性樹脂からなる第3層及び第4層と、両層の中間に位置する酸素遮蔽性の熱可塑性樹脂からなる中間層とを備えた外部層を積層成形することを特徴とする、酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形用シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008145206A JP4737649B2 (ja) | 2008-06-02 | 2008-06-02 | 酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器及び多層成形用シート並びに多層成形用シートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008145206A JP4737649B2 (ja) | 2008-06-02 | 2008-06-02 | 酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器及び多層成形用シート並びに多層成形用シートの製造方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002380666A Division JP4172012B2 (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器、多層成形用シート及び多層成形用シートの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008265881A JP2008265881A (ja) | 2008-11-06 |
JP4737649B2 true JP4737649B2 (ja) | 2011-08-03 |
Family
ID=40045933
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008145206A Expired - Lifetime JP4737649B2 (ja) | 2008-06-02 | 2008-06-02 | 酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器及び多層成形用シート並びに多層成形用シートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4737649B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ES2358707B1 (es) * | 2009-10-16 | 2012-04-09 | Repsol Ypf S.A. | Composición polimérica de polipropileno con capacidad absorbedora de ox�?geno. |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000037823A (ja) * | 1998-07-27 | 2000-02-08 | Ajinomoto Co Inc | シート状積層材料及びこれを用いる容器 |
JP2002036463A (ja) * | 2000-07-19 | 2002-02-05 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | 酸素吸収性積層体 |
JP2002145351A (ja) * | 2000-11-10 | 2002-05-22 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | 酸素吸収性プラスチック容器 |
Family Cites Families (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3006731B2 (ja) * | 1991-08-30 | 2000-02-07 | 東レ株式会社 | 容 器 |
JP3630706B2 (ja) * | 1993-09-01 | 2005-03-23 | 東洋製罐株式会社 | 内容物保存性に優れたプラスチック多層容器 |
JP2830739B2 (ja) * | 1994-05-17 | 1998-12-02 | 東洋製罐株式会社 | 内容物保存性に優れた多層成形容器 |
JPH08118551A (ja) * | 1994-10-20 | 1996-05-14 | Dainippon Printing Co Ltd | ガスバリヤー性包装材 |
JPH08132573A (ja) * | 1994-11-07 | 1996-05-28 | Toppan Printing Co Ltd | 酸素吸収積層体 |
JPH08197692A (ja) * | 1995-01-30 | 1996-08-06 | Dainippon Printing Co Ltd | ガスバリヤー積層材 |
JP3362756B2 (ja) * | 1995-12-22 | 2003-01-07 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 酸素吸収性樹脂組成物及び酸素吸収性積層体 |
JP3978542B2 (ja) * | 1995-12-27 | 2007-09-19 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 脱酸素性多層体及びこれよりなる包装容器 |
JP3019153B2 (ja) * | 1995-12-28 | 2000-03-13 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 酸素吸収多層フィルム |
JP3844021B2 (ja) * | 1996-07-12 | 2006-11-08 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 脱酸素性多層構造体及び包装容器 |
JP3876938B2 (ja) * | 1997-03-13 | 2007-02-07 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 惣菜類の保存方法 |
JP3724526B2 (ja) * | 1997-03-19 | 2005-12-07 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 米飯の保存方法及び包装体 |
JP3826975B2 (ja) * | 1997-06-04 | 2006-09-27 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 脱酸素性多層体、これよりなる包装容器及び食品または医薬品の保存方法 |
JP4120712B2 (ja) * | 1997-08-06 | 2008-07-16 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 脱酸素性多層容器 |
JP3282567B2 (ja) * | 1997-11-21 | 2002-05-13 | 東洋製罐株式会社 | 活性化型酸素吸収剤を含む包装用積層体 |
JP4120723B2 (ja) * | 1998-08-13 | 2008-07-16 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 脱酸素性多層フィルム及びその製造方法 |
-
2008
- 2008-06-02 JP JP2008145206A patent/JP4737649B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000037823A (ja) * | 1998-07-27 | 2000-02-08 | Ajinomoto Co Inc | シート状積層材料及びこれを用いる容器 |
JP2002036463A (ja) * | 2000-07-19 | 2002-02-05 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | 酸素吸収性積層体 |
JP2002145351A (ja) * | 2000-11-10 | 2002-05-22 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | 酸素吸収性プラスチック容器 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008265881A (ja) | 2008-11-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI781086B (zh) | 層疊片材和成形容器 | |
EP1769908A1 (en) | Flexible packaging systems and process for their manufacture | |
EP3526037B1 (en) | Polymer barrier laminate tube for container | |
WO2008127674A2 (en) | Container constructions | |
JP5582181B2 (ja) | 多層容器 | |
US5164438A (en) | Resin composition having oxygen barrier quality | |
JP2018533506A (ja) | バリアフィルムを備えるラミネート包装材料及び該ラミネート包装材料から製造された包装容器 | |
JP5714934B2 (ja) | 深絞り成形用共押出積層フィルム、底材および深絞り成形容器 | |
JP4543538B2 (ja) | 酸素吸収性包装体 | |
CN112512805A (zh) | 具有经回收聚酰胺成分的包装膜 | |
JP3702503B2 (ja) | 油性食品用容器 | |
JP4737649B2 (ja) | 酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器及び多層成形用シート並びに多層成形用シートの製造方法 | |
KR101369566B1 (ko) | 다층 구조체 | |
JP6318737B2 (ja) | ボイル処理用食品包装フィルム、深絞り包装体用底材、および深絞り包装体 | |
JP4172012B2 (ja) | 酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器、多層成形用シート及び多層成形用シートの製造方法 | |
JP4168382B2 (ja) | 酸素の吸収性と遮蔽性に優れた多層成形容器 | |
JP5626205B2 (ja) | 包装体 | |
JP5527919B2 (ja) | 水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物 | |
JP2000264331A (ja) | 複合トレー容器 | |
JP6764440B2 (ja) | 容器およびその製造方法 | |
JP4377287B2 (ja) | 多層シート及び当該多層シートからなる包装体 | |
JP2018021115A (ja) | フィルムおよび包装体 | |
JP2002145351A (ja) | 酸素吸収性プラスチック容器 | |
JP5862988B2 (ja) | 積層フィルムおよび包装体 | |
JP2019182478A (ja) | 電子レンジ加熱用容器及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110114 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110315 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110408 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110421 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4737649 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |