JP2000037823A - シート状積層材料及びこれを用いる容器 - Google Patents

シート状積層材料及びこれを用いる容器

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JP2000037823A
JP2000037823A JP21058698A JP21058698A JP2000037823A JP 2000037823 A JP2000037823 A JP 2000037823A JP 21058698 A JP21058698 A JP 21058698A JP 21058698 A JP21058698 A JP 21058698A JP 2000037823 A JP2000037823 A JP 2000037823A
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JP21058698A
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Toru Ikeda
徹 池田
Yoshihiro Kobayashi
義浩 小林
Eigo Tsuchiya
栄吾 土屋
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】外部からは酸素バリア性を有し、容器内部の酸
素を吸収する酸素吸収剤を有する電子レンジ加熱が可能
で、食品の香気成分の変質・消失がなく、耐久性に優れ
長期保存が可能なレトルト食品包装用シート状積層材
料。 【解決手段】酸素バリア層としてポリ(メタ)アクリル
酸系ポリマーと、多価アルコール化合物を、該カルボキ
シル基と該アルコール基が4:1乃至1:4の比率の混
合物として耐熱性樹脂フィルムの表面に焼き付け積層し
た合成樹脂層を外層とし、ポリオレフィンに微細な鉄粉
およびハロゲン化金属塩を分散してなる耐熱性を有する
脱酸素層、および酸素透過性,耐熱性,熱シール性を有
するポリオレフィン系内層からなるシート状積層材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は調理食品包装用積層材料
および容器に関する。さらに詳しくは、食品を充填・密
封したのち加熱・殺菌処理が可能で、該処理中に内容物
に含まれる酸素をほぼ完全に吸収するかあるいは窒素ガ
ス等の不活性ガスと共に充填することで、常温で長期間
にわたり内容物を無酸素状態に保持し内容物が変質を防
止すると共に、包装食品をマイクロウェーブを利用した
電子レンジ加熱処理することが可能な調理食品包装用シ
ート状積層材料並びに該シートを成形した容器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】調理食品包装用シート状積層材料はトレ
ー・カップ等、種々の形に成型され、調理食品の包装材
料として広く用いられており、食品を充填・密封後に加
熱・殺菌し、また食品を無酸素状態に保持する食品包装
用途においては耐熱性,耐熱水性,長期保存を可能とす
る酸素バリア性が必要とされている。
【0003】これらの性質を満足するために酸素バリア
性素材としてアルミニウム箔あるいは導電性を有しない
無機ガラス材料、例えば酸化ケイ素,酸化アルミニウム
の蒸着フィルムを選んだ場合には、該素材を中間に積層
した耐熱性樹脂積層材料はシート成形時に酸素バリア性
が著しく損なわれるため、実用性がない。
【0004】また、耐熱性,耐熱水性,酸素バリア性を
兼備した素材としてポリ塩化ビニリデンを選んだ場合に
は、十分なガスバリア性を発揮するにはポリ塩化ビニリ
デンを10μを超える厚さで積層することが望ましく、
ポリ塩化ビニリデンの塩素含量が高いため、使用済みの
包装材料を廃棄焼却処分する際に焼却炉を損傷する、あ
るいは有害な排煙ガスもしくはダイオキシンのような猛
毒の物質を発生する恐れが指摘されている。
【0005】同様に、耐熱性,耐熱水性,酸素バリア性
を兼備した合成樹脂素材として、エチレン酢酸ビニル共
重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)が該シート状
積層材への適用が検討されているが、EVOHが吸湿性
の樹脂であり、EVOHの酸素バリア性が吸湿状態で大
幅に低下するため、加熱・殺菌処理中に酸素バリア性を
失う、あるいは内容食品に多く含まれる水分がEVOH
中に移行して、期待した酸素バリア性を十分には発揮し
得えず、長期保存を可能とする酸素バリア性が得られな
い問題がある。
【0006】芳香族ナイロンの一種であるポリメタキシ
リレンジアミンアジペート(MXDナイロン)も酸素バ
リア性を有し、耐熱性,耐熱水性に優れる合成樹脂材料
ではあるが、酸素バリア性は長期保存を可能とする点で
十分とは言えない。
【0007】一方、電子レンジが簡便かつ短時間に食品
を加熱できる特長を有し、広く普及している現在、包装
された殺菌済み調理食品を包装容器のまま電子レンジ加
熱が可能であれば、消費者の利便性増し極めて有用な包
装材料となる。
【0008】上述のように、電子レンジ加熱が可能な加
熱・殺菌食品包装用積層材料であって長期保存を可能と
する十分な酸素バリア性を有する包装材料がないのが現
状である。
【0009】一方、加熱・殺菌食品の品質に目を向ける
と、食品中の香気成分には食品中に含まれる空気中の酸
素と反応して香気を失うものがあるため、酸素を含む空
気と共に包装された場合、レトルト処理中に高温にさら
され急激に、また長期保存中には徐々に香気を失い、香
気成分のバランスを欠くことになり、結果として加熱・
殺菌処理を行った食品は、同一の材料で調製した通常の
食品と比較して、香りが悪くなる傾向がある。この問題
は香気の薄い食品で特に顕著であり、「ほのかな香り」
を楽しむ食品は加熱・殺菌処理で長期保存させることは
全く不可能な現状にある。
【0010】このような問題を解決すべく、加熱・殺菌
食品を製造するにあたって、内容物を包装する際に窒素
ガスなどの不活性ガスと共に充填する方法も提案されて
いるが、このような充填方法は特殊な装置を必要とし経
済的に不利であり、より簡便な方法が求められている。
包装材料自体が加熱・殺菌処理中に容器内や食品中の酸
素ガスを完全に吸収すれば特殊な充填方法を必要としな
い点で理想的である。
【0011】近年、特開平6ー220221、特開平7ー102083、
特開平7ー165942及び特開平7ー205379に酸素バリア層とし
てポリ(メタ)アクリル酸及びポリ(メタ)アクリル酸
の部分中和物から選ばれるポリ(メタ)アクリル酸系ポ
リマーと、糖類及びポリビニルアルコールから選ばれる
多価アルコール化合物の混合物をビカット軟化点が18
0度C以上の耐熱性樹脂フィルムの表面に焼き付け積層
したものが提案され、該積層物が耐熱性、耐熱水性、酸
素バリア性を兼備した積層フィルム包装材料として提案
されている。該材料はフィルム材であり、容器成形が可
能なシート材は知られていない。
【0012】
【本発明が解決しようとする課題】本発明が解決しよう
とする課題は電子レンジ加熱が可能で、加熱・殺菌処理
時に香気成分の変質がなく、内容物を無酸素状態に保つ
ことにより長期保存が可能な加熱・殺菌食品包装用シー
ト状積層材料並びに該シートを成形した容器を提供する
ことにある。
【0013】本発明者らはこの課題を解決すべく鋭意検
討を行った結果、酸素バリア層としてはポリ(メタ)ア
クリル酸及びポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物から
選ばれるポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、糖類及
びポリビニルアルコールから選ばれる多価アルコール化
合物を、該カルボキシル基と該アルコール基が4:1乃
至1:4の比率の混合物をビカット軟化点が180℃以
上の耐熱性樹脂フィルムの表面に焼き付け積層した層が
耐熱性,耐熱水性,酸素バリア性を兼備した合成樹脂層
であり、最外層として耐熱性樹脂の保護層を配し、内側
に該合成樹脂層を酸素バリア層、さらにポリエステル樹
脂からなる基材層、および耐熱性・熱シール性を有する
最内層としてシーラント層を順次積層したシート状積層
材料が十分な酸素バリア性と耐熱性を兼備し、電子レン
ジ加熱が可能かつ不活性ガス充填の適用により加熱・殺
菌時に香気成分の変質・消失が少ない積層材料であるこ
とを見いだし、さらに、該基材層−該シーラント層間に
脱酸素層を挟んで積層したシート状積層材料が電子レン
ジ加熱が可能かつ加熱・殺菌処理時に食品およびヘッド
スペース中の酸素ガスを急速に吸収することによって香
気成分の変質・消失がなく、耐久性に優れ長期保存が可
能な加熱・殺菌食品包装用積層材料であることを見いだ
し、該積層材料を成形した容器がこれらの適性を有する
ことを見いだして本発明を完成させた。
【0014】すなわち、本発明の要旨は、外側から、
A)保護層,B)酸素バリア層,C)基材層,D)シー
ラント層よりなる積層体を最少の構成要素としてなる積
層材料であって、 A)保護層がポリエステル樹脂,ナイロン,またはポリ
プロピレン,プロピレン含量が70重量%を超えるポリ
プロピレン共重合体から選ばれる耐熱性樹脂からなる層
であり、 B)該酸素バリア層がポリ(メタ)アクリル酸及びポリ
(メタ)アクリル酸の部分中和物から選ばれるポリ(メ
タ)アクリル酸系ポリマーと、糖類及びポリビニルアル
コールから選ばれる多価アルコール化合物を、該カルボ
キシル基と該アルコール基が4:1乃至1:4の比率の
混合物をビカット軟化点が180℃以上の耐熱性樹脂フ
ィルムの表面に焼き付け積層した層であり、 C)該基材層が結晶化ポリエステル樹脂および/または
非結晶性ポリエステル樹脂の単層または多層の樹脂層で
あり、 D)該シーラント層がポリプロピレンおよびポリプロピ
レン含量が70重量%を越える共重合体から選ばれる厚
さ15μ以上の層であるシート状包装用積層材料、 お
よび/または C)該基材層とD)該シーラント層の間にE)該脱酸素
層としてポリプロピレンおよびポリプロピレン含量が7
0重量%を越える共重合体から選ばれるポリオレフィン
に、微細な鉄粉およびハロゲン化金属塩を分散してなる
層を挟んで積層したシート状包装用積層材料、さらに
は、該シート状包装用積層材料を真空成形,圧空成形,
真空圧空成形,熱プレス成形から選ばれるシート熱成型
法、あるいは該シート状積層材料を展開状に打ち抜いた
後、接着部を熱接着する方法で成形した容器である。以
下に本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明における酸素バリア層はポリ(メ
タ)アクリル酸及びポリ(メタ)アクリル酸の部分中和
物から選ばれるポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、
糖類及びポリビニルアルコールから選ばれる多価アルコ
ール化合物を、該カルボキシル基と該アルコール基が
4:1乃至1:4の比率の混合物をビカット軟化点が1
80℃以上の耐熱性樹脂フィルムの表面に焼き付け積層
した層である。
【0016】酸素バリア層を構成する耐熱性樹脂フィル
ムはそのビカット軟化点が180℃以上の合成樹脂であ
れば特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレ
フタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレ
ンナフタレート,芳香族ポリステルなどのポリエステル
樹脂、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン46,ナイ
ロン6−10,MXDナイロンなどのナイロン樹脂、ポ
リフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルホン、ポ
リエーテルエーテルケトン、およびポリエーテルイミド
などの熱可塑性樹脂が用いられ、特にポリエチレンテレ
フタレート,ポリブチレンテレフタレートおよびポリエ
チレンナフタレートが好適に用いられる。
【0017】酸素バリア層を構成するポリ(メタ)アク
リル酸系ポリマーは、ポリアクリル酸,ポリメタクリル
酸,ポリアクリル酸部分中和物,ポリメタアクリル酸部
分中和物が用いられ、部分中和物はナトリウム,カリウ
ム,アンモニウムなどの1価の塩が好適であり,中和度
は3乃至15%のものが好適に選ばれる。ポリ(メタ)
アクリル酸系ポリマーの分子量は2000乃至2500
00の範囲が好ましい。
【0018】酸素バリア層を構成する多価アルコール化
合物は水溶性の糖類が好ましく選ばれる。すなわち、グ
ルコース,ガラクトースなどの単糖類、ソルビトール,
マンニトール,キシリトール,エリスリトール,グリセ
リンなどの糖アルコール、蔗糖,乳糖,マルトース,ト
レハロースなどのオリゴ糖類、該オリゴ糖の還元物、デ
ンプン,デキストラン,キトサンなどの天然多糖類、お
よび該天然多糖類およびセルロースのカルボキシメチル
化物,メチル化物,ヒドロキシエチル化物,硫酸エステ
ル,リン酸エステル化物などの誘導体が好ましい多価ア
ルコール化合物である。
【0019】酸素バリア層を構成する多価アルコール化
合物として水溶性ポリビニルアルコールも好ましく選ば
れる。けん化度が95%以上、より好ましくは98%以
上であり、平均重合度が300乃至2500、より好ま
しくは300乃至1500のものが選ばれる。
【0020】酸素バリア層を構成するポリ(メタ)アク
リル酸系ポリマーと多価アルコール化合物の使用比率は
該カルボキシル基と該アルコール基の比率で4:1乃至
1:4が好ましく、該カルボキシル基と該アルコール基
の比率で2:1乃至1:2がさらに好ましい。
【0021】酸素バリア層を構成するポリ(メタ)アク
リル酸系ポリマーと多価アルコール化合物の混合物を耐
熱性樹脂フィルムの表面に焼き付ける方法は特に限定は
ないが、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと多価アル
コール化合物を水溶液混合物とし、溶液流延法、グラビ
アコーター,リバースコーターなどによる転写法、ダイ
コーターによる押し出し法などの方法で所望の厚さに該
耐熱性樹脂フィルムに塗布した後、乾燥・加熱焼き付け
を行う方法が好ましく選ばれる。
【0022】乾燥・加熱焼き付けの方法としてはアーチ
ドライヤー,ストレートバスドライヤー,ドラムドライ
ヤーなどの装置を用いて、熱風の吹き付け,赤外線照
射,あるいは熱ドラムからの伝熱などにより水分を蒸発
・乾燥すると同時に加熱・焼き付けを行う方法が例示さ
れる。
【0023】該加熱・焼き付け工程において、原料のポ
リ(メタ)アクリル酸系ポリマーと多価アルコール化合
物の混合物は脱水重合反応によってエステル結合を生
じ、水不溶性のポリエステル系高分子となって、耐熱性
樹脂フィルムの表面に強固な膜を形成する。耐熱性樹脂
フィルムがポリエチレンテレフタレート,ポリブチレン
テレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選
ばれるポリエステル樹脂である場合は、該エステル結合
がポリエステル樹脂を構成するテレフタル酸残基および
エチレングリコレート残基との間にも生じることによっ
て、耐熱性樹脂フィルムと焼き付け工程で生じたポリエ
ステル系高分子膜の密着性が増してさらに強固な膜が形
成される。
【0024】酸素バリア層の厚さは特に限定はないが、
ビカット軟化点が180℃以上の耐熱性樹脂フィルムの
厚さは10乃至30μ、より好ましくは12乃至25μ
の市販の耐熱性樹脂フィルムが選ばれ、焼き付けられた
該ポリエステル系高分子膜の厚さは1乃至10μ、より
好ましくは1乃至5μが選ばれる。
【0025】本発明における積層材料は最外層に耐水性
の良好なビカット軟化点が130℃を超える耐熱性樹脂
層を保護層として積層する。ポリプロピレン,ポリプロ
ピレン共重合体,ポリエステル,ナイロンが良好な樹脂
の例であり、軟化点が高いポリエステルおよびナイロン
を積層したシート状積層材料は真空成形,圧空成形,真
空圧空成形,熱プレス成形から選ばれるシート熱成型法
を用いてトレー成形する用途に適し、軟化点が低く熱シ
ール性のあるポリプロピレンおよびポリプロピレン共重
合体を積層したシート状積層材料はトレーを展開した形
状に打ち抜いた後、接着部を熱接着する方法でトレー成
形する用途に適するが、これに限定されるものではな
い。
【0026】保護層の厚さは特に限定はないが、10乃
至100μが好ましく、軟化点が高いポリエステルおよ
びナイロンを積層する場合は10乃至30μがより好ま
しく選ばれ、熱シール性のあるポリプロピレンおよびポ
リプロピレン共重合体を積層する場合は20乃至80μ
がより好ましく選ばれる。保護層は市販のフィルムをド
ライラミネーション法で貼合・積層しても良く、押し出
しラミネーション法で積層しても良い。また、積層にあ
たり、該酸素バリア層の焼き付け面を保護層側に配して
も良く、逆にを配しても良い。保護層として市販のフィ
ルムを貼合・積層する場合、ナイロンなどで強度延伸し
たフィルムを用いるよりも、延伸の弱いフィルムあるい
は熱セットによって熱収縮性を軽減したフィルムを用い
ることが好ましい。
【0027】本発明における基材層として用いられるポ
リエステルはポリエチレンテレフタレート,ポリブチレ
ンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが例
示でき、厚さ150μ以上の樹脂層が好ましく用いられ
る。
【0028】基材層としては結晶化ポリエステルおよび
/または非結晶性ポリエステルからなる単層または多層
の樹脂層が好ましい。高耐熱性の結晶化ポリエステルあ
るいは耐寒衝撃性あるいは熱変形性を加味した非結晶性
ポリエステルはそれぞれ単独で用いることができるが、
該2種の樹脂層を積層して用いることはさらに望まし
い。
【0029】また基材層としてポリエステル樹脂の発泡
体を用いることもできる。ポリエステル樹脂に適当な発
泡剤を分散せしめた組成物を押し出してシート状に加工
する方法、ポリエステル樹脂にを押出してシート状に加
工する際に適当なガスを圧入し発泡押出しする方法が例
示される。
【0030】本発明における積層材料の最内層は熱シー
ルが可能な耐熱性樹脂層が選ばれる。該シーラント樹脂
としてはポリプロピレンまたはプロピレン含量が70重
量%を超えるポリプロピレン共重合体が好ましく使用で
きる。
【0031】本発明におけるシーラント層は外側の樹脂
層を被覆して内容食品との接触を断ち、同時にふた材を
熱シールすることによって容器を密封することを目的と
して設けられる。このために必要な厚さは少なくとも1
5μ以上であり、好ましくは15乃至80μである。
【0032】本発明においてシーラント層と基材層の中
間に脱酸素層を設けることができる。脱酸素層を設けた
場合には、包装内容物からシーラント層を経て酸素を吸
収することによって内容物中の酸素濃度を極めて低いレ
ベルに保つことができると同時に、外側に配された酸素
バリア層を通して僅かずつ侵入する微量の酸素を吸収す
ることによって内容物中の酸素濃度を長期間極めて低い
レベルに保ち、内容物を長期間保護することが可能にな
る。
【0033】本発明における脱酸素層は脱酸素成分を分
散した耐熱性樹脂組成物が好ましい。樹脂としては容易
に積層物が得られることから、ポリプロピレンまたはプ
ロピレン含量が70重量%を越える共重合体が好ましく
選ばれ、脱酸素成分としては安全性が高いことから、微
細な鉄粉および食塩,塩化マグネシウム,塩化カルシウ
ムから選ばれるハロゲン化金属塩が好ましく選ばれる。
【0034】鉄粉はその主成分が金属鉄であって粒径の
細かいものであれば特に制限無く使用できる。金属鉄粒
をさらに粉砕した鉄粉、金属鉄を溶融・噴霧して粒子化
した鉄粉、酸化鉄粉を還元雰囲気下で加熱・還元した還
元鉄粉、およびこれらの鉄粉をさらに粉砕した鉄粉が好
ましく例示される。
【0035】鉄粉の粒径は平均粒径が30μ以下のもの
が好ましく、平均粒径が2μ未満の超微粉の場合には反
応性が強く取り扱いに注意を要するため、より好ましく
は平均粒径が2乃至15μのものが選ばれる。該鉄粉の
使用量は耐熱性樹脂100重量部に対して5乃至100
重量部が好ましい。鉄粉使用量が5重量部未満の場合は
脱酸素能力が不足し、100重量部を超える場合は脱酸
素層の電導度が高くなり電子レンジ加熱の際にスパーク
等の不都合を生じる恐れがあり、より好ましくは5乃至
50重量部が選ばれる。
【0036】ハロゲン化金属塩としては安全性の高い食
塩,塩化マグネシウム,塩化カルシウムが好ましく、単
独で用いても良いが混合して用いることもできる。ハロ
ゲン化金属塩の使用量は耐熱性樹脂100重量部に対し
て0.5乃至10重量部が好ましく、鉄粉100重量部
に対して5乃至20重量部が好ましい。
【0037】鉄粉及びハロゲン化金属塩の耐熱性樹脂へ
の分散方法には特に制限がないが、鉄粉を粉砕する工程
でハロゲン化金属塩を投入して鉄粉にハロゲン化金属塩
を混合・被覆した混合物を混練・押出機を用いて耐熱性
樹脂に混合・分散する方法、微細な鉄粉とハロゲン化金
属塩の水溶液を混合した後に乾燥した被覆混合物を混練
・押出機を用いて耐熱性樹脂に混合・分散する方法が好
ましい方法として例示される。また、脱酸素層を積層す
る工程と同時に混合・分散させる方法も例示され、例え
ば二軸混練・押出機を用いて微細な鉄粉と微細なハロゲ
ン化金属塩粉末を耐熱性樹脂に混合しながら押し出し積
層する方法が好ましい方法として例示される。
【0038】脱酸素層中に鉄粉およびハロゲン化金属塩
の他に充填剤や脱臭剤を分散することは何ら差し支えが
ない。好ましい充填剤や脱臭剤としては鉱物性微粉の
他、多孔質の鉱物性微粉や微粉状活性炭が例示される。
該充填剤や該脱臭剤は鉄粉およびハロゲン化金属塩に混
合した後にポリプロピレン樹脂等に混練することができ
るが、鉄粉およびハロゲン化金属塩をポリプロピレン樹
脂等に混練した後にさらに該充填剤や該脱臭剤を混練す
ることもできる。
【0039】脱酸素層の厚さは脱酸素層に含有される脱
酸素剤の含量が内容物の酸化防止のために十分となる厚
さを有することが必要であるが、脱酸素剤の充填率を必
要なレベルに保つのであれば特に限定されるものではな
い。一方で、脱酸素剤として用いる鉄粉の粒径から、該
鉄粉の平均粒径の1.5倍以上が好ましく、20乃至6
0μが好ましい厚さである。
【0040】シーラント層の外側に脱酸素層が設けられ
る場合、シーラント層の厚さが大きいと酸素透過および
水分透過が妨げられ脱酸素進行が遅くなり、シーラント
層の厚さは20乃至60μが好ましい範囲である。シー
ラント層に脱酸素層を隠蔽し美麗な内層外観とする目的
でチタン白等の白色顔料を充填した樹脂層とすることは
好ましい例である。
【0041】本発明における積層材料は少なくとも外側
から保護層,酸素バリア層,基材層,シーラント層より
なる積層体であるが、前述の脱酸素層以外に、積層材料
の製造を容易にする目的で適当な樹脂層を挟むことは何
ら差し支えがない。脱酸素層の押し出しラミネーション
を容易にする目的でポリオレフィン系樹脂層を基材層と
の間に差し挟んで積層する方法、素材層発泡ポリエステ
ルの押出し成形と同時にサンドイッチ・ラミネーション
行う目的でシーラント層または脱酸素層の側に予めポリ
エステルフィルム層を積層する方法が例示できる。
【0042】本発明における積層材料の製造方法には通
常用いられる積層材料の製造方法が制限無く使用でき
る。構成する各層をフィルムまたはシート状に成形した
のち接着剤を用いてドライラミネーションを施す方法、
シーラント層と脱酸素層を基材層の内面に適当な接着樹
脂と共に押出しラミネーションして積層する方法、最外
層の保護層と酸素バリア層をあらかじめドライラミネー
ションで積層しておき基材層を押出しラミネーションし
て得られるシートに適当な接着剤でシーラント層フィル
ムまたはシーラント層および脱酸素層を最小構成とする
積層フィルムをドライラミネーションする方法が好まし
い例として挙げられる。
【0043】本発明における積層材料はシート状包装用
積層材料であって、厚さは少なくとも250μ以上であ
り、素材層が通常のポリエステル樹脂層の場合、好まし
くは250乃至1500μであり、素材層が発泡ポリエ
ステル樹脂層の場合、700乃至4000μの厚さが好
ましい。
【0044】本発明における積層材料は容器に成形して
使用できる。シート状積層材料を真空成形,圧空成形,
真空圧空成形,熱プレス成形から選ばれるシート熱成型
法が適用してトレー状容器に成形できる他、シート状積
層材料を容器の展開状に打ち抜いた後、接着部を熱接着
する方法が適用できる。
【0045】本発明におけるトレー状容器成形におい
て、保護層は物理的外力に弱い酸素バリア層の保護に効
果を示す。すなわち、酸素バリア層のバリア性を担う層
はポリ(メタ)アクリル酸及びポリ(メタ)アクリル酸
の部分中和物から選ばれるポリ(メタ)アクリル酸系ポ
リマーと、糖類及びポリビニルアルコールから選ばれる
多価アルコール化合物を、該カルボキシル基と該アルコ
ール基が4:1乃至1:4の比率の混合物の焼付け層で
あって、該焼付け層が1乃至10μと極めて薄いため、
該焼付け層が積層体表面にある場合には成型時の基材樹
脂の伸びに追随せずにクラック等を生じて酸素バリア性
が低下することがあるが、保護層が積層されている場合
には、保護層と基材樹脂に挟まれて周囲の樹脂の伸びに
従って成形が行われるので、クラックを生じることがほ
とんどないのである。この結果、本発明の積層体シート
は、トレー成型時にも酸素バリア性が大きく損なわれる
ことがない。
【0046】本発明におけるトレー状容器は各層が耐熱
性樹脂からなる積層体であり、トレー自体の耐熱性に優
れ、トレー単体で内容物を電子レンジ加熱しても熱変形
の恐れは全くない上、200℃程度のオーブン加熱も可
能である。
【0047】また、本発明の積層体シートを容器の展開
状に打ち抜いた後、接着部を熱接着する方法で成形した
容器も例示できる。すなわち、周囲の接着部を付けた展
開状にシートを打ち抜いた後、接着部のみを熱接着した
トレー状の容器、および缶状容器の胴部を展開した長方
形部と上下底部に接着部を付けてそれぞれ打ち抜いた
後、胴部は接着部を熱シールして円筒状に加工し、底部
は真空成形,圧空成形,真空圧空成形,熱プレス成形か
ら選ばれる方法で周囲の接着部を折り曲げた後、円筒部
の内側に底部をはめ込み周囲を熱シールする方法で成形
した円柱の缶状容器等が好ましい例として挙げられる。
【0048】さらに、最内層に耐熱性シーラント層を配
しているため、本発明による積層シート材をふた材とす
るか、あるいは同様の耐熱性シーラントを最内層とする
耐熱性構成の酸素バリア性ふた材を併用して、内容物を
充填後熱シールすることによって、レトルト処理可能な
容器とすることができる。該容器構成において、内容物
の窒素置換充填を行うか、あるいは本発明による積層シ
ート材を脱酸素層を配した構成とすることによって、内
容物の酸素ガスによる変質を防止し長期間の保存を可能
とするのである。
【0049】該容器構成におけるふた材の構成は耐熱性
シーラントを最内層とし耐熱性構成で酸素バリア性を有
するものであれば特に制限は無いが、本発明の積層シー
ト材の他、本発明で使用される酸素バリア層を用いたフ
ィルム状積層体が好ましいふた材として用いられる。こ
れらのふた材は電子レンジ加熱に際して障碍となること
はなく、ふた材の一部を剥がしてまたはふた材を付けた
ままで電子レンジ加熱が可能であり、特に好ましい例で
ある。
【0050】本発明における積層材料構成例を以下の図
に例示する。本発明における積層材料は少なくとも外側
から保護層,酸素バリア層,基材層,シーラント層より
なる積層体であり、脱酸素層を基材層とシーラント層の
中間に積層した積層体を含むが、図示された例に限定さ
れるものではない。
【0051】図1は外側から、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)層〔保護層〕,ドライラミネート接着剤
層,ポリアクリル酸(塩)+ポリビニルアルコール焼付
PET層〔酸素バリア層〕,結晶化PET層〔基材
層〕,非結晶性PET層〔基材層〕,結晶化PET層
〔基材層〕,ポリプロピレン(PP)層〔シーラント
層〕の構成例である。
【0052】図2は外側から、PET層〔保護層〕,ド
ライラミネート接着剤層,ポリアクリル酸(塩)+ポリ
ビニルアルコール焼付ポリエチレンテレフタレート層
〔酸素バリア層〕,発泡ポリエステル層〔基材層〕,ポ
リエステル層〔接着層〕,ドライラミネート接着剤層,
鉄粉+塩化カルシウム分散ポリプロピレン層〔脱酸素
層〕,ポリプロピレン層〔シーラント層〕の構成例であ
る。
【0053】図3はポリプロピレン層〔保護層〕,ドラ
イラミネート接着剤層,内面側に焼付けしたポリアクリ
ル酸(塩)+ポリビニルアルコール焼付ポリエチレンテ
レフタレート層〔酸素バリア層〕,結晶化ポリエステル
層〔基材層〕,ポリエステル層〔接着層〕,ドライラミ
ネート接着剤層,ポリプロピレン層〔スペース層〕,鉄
粉+塩化カルシウム分散ポリプロピレン層〔脱酸素
層〕,ポリプロピレン層〔シーラント層〕の構成例であ
る。
【0054】本発明における積層材料は耐熱性,耐摩耗
性,耐屈曲性に優れ、酸素バリア層がシート成形時の変
形に耐えることにより酸素バリア性に優れたトレー等の
容器に加工できる。本発明における積層材料からなるふ
た材または公知の耐熱性構成の酸素バリア性ふた材と組
み合わせてレトルト用の包装材料として用いることがで
きる。さらに、本発明に含まれる脱酸素層構成の積層材
料を用いた場合には、レトルト処理の間に容器内の食品
およびヘッドスペース中の酸素ガスが速やかに吸収さ
れ、該食品中の香気成分の酸素による変質あるいは消失
を防止し、風味の良いレトルト食品が得られ、酸素バリ
ア層と脱酸素層の相乗効果で、長期間の保存においても
内容物を容器外の酸素から保護するため、品質上の変化
が極めて少ないレトルト容器を提供することが可能とな
る。
【0055】以下、実施例によって本発明の内容を説明
・例示するが本発明の内容は実施例に制限されるもので
はない。
【0056】
【実施例1】厚さ12μの延伸ポリエチレンテレフタレ
ート・フィルムの表面にポリビニルアルコール(ケン化
度99%,平均重合度500)とポリアクリル酸部分N
a塩(平均分子量150000,中和度10%)の重量
比3:7混合物の濃度10%水溶液を厚さ20μに塗布
した後、水分を乾燥しさらに200℃で15分間加熱・
焼き付けして酸素バリア・フィルムを調製した。厚さ1
2μの延伸ポリエチレンテレフタレート・フィルムをあ
らかじめ200℃で15分間加熱処理した後、脂肪族ウ
レタン系接着剤を用いて焼き付け面を内側にしてドライ
ラミネートしてポリエチレンテレフタレート積層フィル
ムを調製した。該ポリエチレンテレフタレート積層フィ
ルムの酸素バリア・フィルム面上に結晶性ポリエチレン
テレフタレート、非結晶性ポリエチレンテレフタレート
および結晶性ポリエチレンテレフタレートをそれぞれ2
50μの厚さで多層押出しラミネートして積層シートを
調製した。さらに、厚さ60μの無延伸ポリプロピレン
・フィルムをコロナ処理面を接着面側にして、押し出し
面を接着面側にした該ポリエチレンテレフタレート・シ
ートへ脂肪族ウレタン系接着剤を用いてドライラミネー
トした。得られた積層シートの構成は図1に例示したも
のに相当する。
【0057】
【実施例2】実施例1で調製した積層シートをポリプロ
ピレン・シーラント層側を内側にして真空成型法を用い
てトレー状状容器を作り、エビグラタン250gを充填
した。実施例1で調製した積層シートをふた材としてポ
リプロピレン・シーラント層側を内側にしてかぶせ、ヘ
ッドスペースを窒素ガスで完全に置換しつつ周囲を熱シ
ールした。125℃で20分間レトルト処理を行い、直
後にトレー容器内のヘッドスペースのガス組成をガスク
ロマトグラフィーで測定したところ、酸素濃度は0.2
%であった。また、レトルト処理後1年間室温で暗所保
存した後、トレー容器内のヘッドスペースのガス組成を
測定したところ、酸素濃度は0.8%であった。
【0058】
【実施例3】実施例2の方法で充填・レトルト処理を行
ったエビグラタン、実施例2の方法で充填・レトルト処
理後1年間室温暗所保存したエビグラタン、比較とし
て、同じ調製方法・組成の出来立てのエビグラタン,窒
素ガス置換を行わない他は実施例1と全く同じ方法で充
填・レトルト処理を行ったエビグラタン,および該方法
で充填・レトルト処理後1年間室温暗所保存したエビグ
ラタンの5点につき、10人のパネルを用いてカレーの
味および風味について官能評価を行った。エビグラタン
は充填・レトルト処理を行った4点はふた材を外した状
態でトレー状容器のまま電子レンジ加熱を行い、出来立
ての1点は未使用のトレー容器に入れて電子レンジ加熱
を行い、各サンプルの量および温度は同一となるように
調製して供試した。官能評価の結果を表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
【実施例4】実施例1と同様にしてポリエチレンテレフ
タレート積層フィルムを調製した。平均粒径11μの還
元鉄粉20重量部および塩化カルシウム粉末1重量部を
あらかじめボールミルで混合・粉砕した混合物を2軸エ
クストルーダーを用いてポリプロピレン100重量部に
混合・分散した脱酸素樹脂混合物ヘ゜レットを調製した。
厚さ30μのポリプロピレン・フィルムの上に該脱酸素
樹脂混合物を30μの厚さでサンドウィッチ・押出しラ
ミネーションし、次いで脱酸素樹脂積層面をプラズマ処
理しつつ厚さ12μのポリエチレンテレフタレート・フ
ィルムと脂肪族ウレタン系接着剤を用いてドライラミネ
ートして脱酸素樹脂積層物を調製した。該ポリエチレン
テレフタレート積層フィルムの酸素バリア・フィルム面
と該脱酸素樹脂積層物のポリエチレンテレフタレート・
フィルム面の間に発泡ポリエチレンテレフタレート樹脂
を厚さ1000μに押し出しサンドイッチ・ラミネート
し、図2構成の積層シートを調製した。
【0061】
【実施例5】実施例4で調製した積層シートをポリプロ
ピレン・シーラント側を内側にして真空圧空成型法を用
いて内容量255mlの椀状容器を調製した。中に水2
25mlと良く洗った白米25gを入れて、実施例1で
調製した積層シートをふた材としてポリプロピレン・シ
ーラント層側を内側にしてかぶせ、開口部を熱シールし
た。125℃で10分間レトルト処理を行い、容器内の
ヘッドスペースのガス組成をガスクロマトグラフィーで
測定したところ、酸素濃度は0%であった。また、レト
ルト処理後1年間室温暗所保存した後に容器内のヘッド
スペースのガス組成を測定したところ、酸素濃度は0%
であった。さらに、レトルト処理後および1年間室温暗
所保存後にふた材の一部を剥がして出力500Wの家庭
用電子レンジで2分30秒間加熱したところ、いずれも
熱いおかゆとなり、ふた材を剥がして食したところ極め
て美味であった。
【0062】
【比較例1】実施例4の脱酸素・酸素バリア容器の代わ
りに市販のレトルト・スタンディングパウチ容器(PE
T/Al箔/ナイロン/PPシーラント構成フィルム
製)の中に水225mlと良く洗った白米25gを入れ
てヘッドスペースを10mlとして開口部を熱シールし
た。125℃で10分間レトルト処理を行い、容器内の
ヘッドスペースのガス組成をガスクロマトグラフィーで
測定したところ、酸素濃度は18%であった。
【0063】
【実施例6】実施例5の方法で充填・レトルト処理を行
ったおかゆ、実施例5の方法で充填・レトルト処理後1
年間室温保存したおかゆ、比較として、同じ組成で土鍋
を使って調製したおかゆ,比較例2の方法で充填・レト
ルト処理直後,および充填・レトルト処理後1年間室温
保存したおかゆの5点につき、10人のパネルを用いて
おかゆの食感および風味について官能評価を行った。お
かゆは実施例5の2点は椀状容器に入ったままふた材の
一部を剥がして電子レンジ加熱を行い、比較例2および
土鍋を使ったおかゆは磁器椀に入れて電子レンジ加熱を
行い、各サンプルの量および温度は同一となるように調
製して供試した。官能評価の結果を表2に示した。
【0064】
【表2】
【0065】
【実施例7】実施例1と同様にして酸素バリア・フィル
ムを調製し、焼き付け面の反対側に厚さ60μのポリプ
ロピレン・フィルムを脂肪族ウレタン系接着剤を用いて
ドライラミネートして保護層付き酸素バリア積層物を調
製した。実施例4と同様にして脱酸素樹脂混合物を調製
し、2枚の厚さ30μのポリプロピレン・フィルムとの
間に該脱酸素樹脂混合物30μを押出しサンドイッチ・
ラミネートを行い、さらに厚さ12μのポリエチレンテ
レフタレート・フィルムを脂肪族ウレタン系接着剤を用
いてドライラミネートして脱酸素樹脂積層フィルムを調
製した。該保護層付き酸素バリア積層物の焼き付け面と
該脱酸素樹脂積層フィルムのポリエチレンテレフタレー
ト・フィルム面との間に、300μの厚さになるように
ポリエチレンテレフタレート樹脂を押し出しサンドイッ
チ・ラミネートを行い、図3構成の積層シートを調製し
た。
【0066】
【実施例8】実施例7で調製した積層シートを16.6
×13.5cmの長方形に切り抜き、内径5.25c
m,高さ13.5の円筒形に丸め、サイドの重なり部を
熱シールして円筒状に加工した。実施例7で調製した積
層シートを2枚の径7.0cmの円形に切り抜き、熱プ
レス成形によって脱酸素層側を外に向けた周囲をほぼ直
角に折り曲げた凹状の直径5.25cmの上下底材に加
工した。該円筒状加工物の内面に該凹状底材を脱酸素層
側が円筒の内側になるように挿入し、重なった部分を熱
シールして円筒状容器とした。窒素ガス置換した熱水で
抽出した煎茶250mlを該円筒状容器に入れ、該凹状
底材を脱酸素層脱酸素層側が内壁側になるように挿入し
開口部を熱シールした。125℃で7分間レトルト処理
を行い、容器内ヘッドスペースのガス組成をガスクロマ
トグラフィーで測定したところ、酸素濃度は0%であっ
た。レトルト処理後1年間室温暗所保存した後に容器内
のヘッドスペースのガス組成を測定したところ、酸素濃
度は0%であった。
【0067】
【比較例2】比較例1と同様の市販のレトルトパウチ容
器に実施例7と同様に煎茶250mlをヘッドスペース
を10mlとして充填した後125℃で7分間レトルト
処理を行った。レトルト処理直後および1年間室温暗所
保存後の容器内ヘッドスペースのガス組成をガスクロマ
トグラフィーで測定したところ、酸素濃度はそれぞれ1
2.7%,9.5%であった。
【0068】
【実施例9】実施例8の方法で充填・レトルト処理を行
った煎茶、レトルト処理後1年間室温保存した煎茶、比
較として、同じ調製方法・組成の抽出直後の煎茶,比較
例2の方法でレトルト処理を行った煎茶,およびレトル
ト処理後1年間室温保存した煎茶の5点につき、10人
のパネルを用いて煎茶の味,風味,および外観について
官能評価を行った。煎茶は実施例8のサンプルは容器の
上部に小孔を開けて電子レンジ加熱を行い、残りのサン
プルは所定のコップに入れ電子レンジ加熱を行い、各サ
ンプルの量および温度が同一となるように調製して供試
した。官能評価の結果を表3に示した。
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、酸素バリア層とし
てポリ(メタ)アクリル酸及びポリ(メタ)アクリル酸
の部分中和物から選ばれるポリ(メタ)アクリル酸系ポ
リマーと、糖類及びポリビニルアルコールから選ばれる
多価アルコール化合物を、該カルボキシル基と該アルコ
ール基が4:1乃至1:4の比率の混合物をビカット軟
化点が180℃以上の耐熱性樹脂フィルムの表面に焼き
付け積層した層が耐熱性,耐熱水性,酸素バリア性を兼
備した合成樹脂層であり、該合成樹脂層を酸素バリア層
とし、 外側から、A)保護層,B)酸素バリア層,
C)基材層,D)シーラント層よりなる積層体を最少の
構成要素としてなる積層材料であって、 A)保護層がポリエステル,ナイロン,ポリプロピレ
ン,またはプロピレン含量が70重量%を超えるポリプ
ロピレン共重合体から選ばれる耐熱性樹脂からなる層で
あり、 C)該基材層が結晶化ポリエステルおよび/または非結
晶性ポリエステルからなる単層または多層の樹脂層であ
り、 D)該シーラント層がポリプロピレンおよびポリプロピ
レン含量が70重量%を越える共重合体から選ばれる樹
脂層である シート状包装用積層材料、および該シート状包装用積層
材料のC),D)層の中間にポリプロピレンおよびポリ
プロピレン含量が70重量%を越える共重合体から選ば
れる樹脂に微細な鉄粉およびハロゲン化金属塩を分散し
てなる耐熱性を有する脱酸素層を挟んでなるシート状積
層材料が耐熱性・酸素バリア性・熱加工性に優れた材料
であって、電子レンジ加熱処理が可能であることから、
該シート状積層材料を展開状に打ち抜いた後、接着部を
熱接着する方法で成形した容器は食品を充填・密封した
のち加熱・殺菌処理が可能で、脱酸素層を挟んでなるシ
ートとした場合は該処理中に内容物に含まれる酸素をほ
ぼ完全に吸収するか、あるいは窒素ガス等の不活性ガス
と共に充填することで、常温で長期間にわたり内容物を
無酸素状態に保持し内容物が変質を防止すると共に、包
装食品をマイクロウェーブを利用した電子レンジ加熱処
理することが可能なレトルト食品包装用容器を提供でき
る点で産業上の意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な積層材料の構成図である。
【図2】本発明の酸素バリア層を含む積層材料の構成図
である。
【図3】本発明の酸素バリア層及びスペース層を含む積
層材料の構成図である。
【符合の説明】
11)ポリエチレンテレフタレート(PET)層〔保護
層〕, 12)ポリプロピレン層(保護層) 21)ポリアクリル酸(塩)+ポリビニルアルコール焼付
PET層〔酸素バリア層〕 , 22)内面側に焼付けしたポリアクリル酸(塩)+ポリビ
ニルアルコール焼付ポリエチレンテレフタレート層〔酸
素バリア層〕, 31)結晶化PET層〔基材層〕, 32)非結晶性PET層〔基材層〕, 33)発泡ポリエステル層〔基材層〕, 34)押出結晶化ポリエステル層〔基材層〕, 40)ポリプロピレン(PP)層〔シーラント層〕 51)ドライラミネート接着剤層, 52)ポリエステル層〔接着層〕, 60)鉄粉+塩化カルシウム分散ポリプロピレン層〔脱酸
素層〕, 70)ポリプロピレン層〔スペース層〕,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 1/09 B65D 81/34 U 81/34 B65D 1/00 B // B29K 23:00 67:00 B29L 9:00 22:00 Fターム(参考) 3E033 BA08 BA15 BA16 BA18 BA21 BA22 BA25 BB08 CA07 CA16 FA01 FA04 4F100 AA05E AA06E AB02E AJ00A AJ07B AK01B AK07A AK07D AK07E AK07J AK21B AK25B AK41A AK41C AK48A AK51G AL01A AL01D AL01E AR00A AR00E AT00C AT00D BA04 BA07 BA10A BA10D BA16 CB00 DE01E DJ01 EH461 EJ421 EJ551 GB15 GB23 JA04B JA11C JD02E JD03B JD20E JJ03A JJ03B JL01 YY00B YY00E 4F208 AA01 AA11E AA21 AA24 AA29 AD05 AD08 AD20 AG03 AG06 AH55 MA01 MB01 MB22 MG04 MG05 MG13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも外側から、A)保護層,B)
    酸素バリア層,C)基材層,D)シーラント層よりなる
    積層体を最少の構成要素としてなる積層材料であって、 A)保護層がポリエステル,ナイロン,ポリプロピレ
    ン,またはプロピレン含量が70重量%を超えるポリプ
    ロピレン共重合体から選ばれる耐熱性樹脂からなる層で
    あり、 B)該酸素バリア層がポリ(メタ)アクリル酸及びポリ
    (メタ)アクリル酸の部分中和物から選ばれるポリ(メ
    タ)アクリル酸系ポリマーと、糖類及びポリビニルアル
    コールから選ばれる多価アルコール化合物を、該カルボ
    キシル基と該アルコール基が4:1乃至1:4の比率の
    混合物をビカット軟化点が180℃以上の耐熱性樹脂フ
    ィルムの表面に焼き付け積層した層であり、 C)該基材層が結晶化ポリエステルおよび/または非結
    晶性ポリエステルからなる単層または多層の樹脂層であ
    り、 D)該シーラント層がポリプロピレンおよびポリプロピ
    レン含量が70重量%を越える共重合体から選ばれる樹
    脂層であるシート状積層材料。
  2. 【請求項2】B)該酸素バリア層を形成するビカット軟
    化点が180℃以上の耐熱性樹脂がポリエステルおよび
    ナイロンから選ばれる樹脂である請求項1記載のシート
    状積層材料。
  3. 【請求項3】 C)該基材層とD)該シーラント層の中
    間にE)脱酸素層を挟んで積層してなる請求項1及び請
    求項2記載のシート状積層材料
  4. 【請求項4】E)該脱酸素層がポリプロピレンまたはプ
    ロピレン含量が70重量%を超えるポリプロピレン共重
    合体に、微細な鉄粉およびハロゲン化金属塩を分散して
    なる厚さ80μ以下の層である請求項3のシート状積層
    材料。
  5. 【請求項5】E)該脱酸素層がポリプロピレンまたはプ
    ロピレン含量が70重量%を超えるポリプロピレン共重
    合体100重量部に、平均粒径が2乃至15μの微細な
    鉄粉5乃至50重量部、食塩および/又は塩化カルシウ
    ム0.5乃至10重量部を分散してなる層である請求項
    3及び請求項4記載のシート状包装用積層材料。
  6. 【請求項6】請求項1乃至請求項5記載のシート状積層
    材料を真空成形,圧空成形,真空圧空成形,熱プレス成
    形から選ばれるシート熱成型法で成形したトレー状容
    器。
  7. 【請求項7】請求項1乃至請求項5記載のシート状積層
    材料を容器の展開形状に加工後、接着部をヒートシール
    する方法で成形した容器。
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