JPH11334000A - 調理食品包装用積層材料 - Google Patents

調理食品包装用積層材料

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JPH11334000A
JPH11334000A JP10141099A JP14109998A JPH11334000A JP H11334000 A JPH11334000 A JP H11334000A JP 10141099 A JP10141099 A JP 10141099A JP 14109998 A JP14109998 A JP 14109998A JP H11334000 A JPH11334000 A JP H11334000A
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JP
Japan
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layer
weight
polypropylene
polyolefin
film
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JP10141099A
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English (en)
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Toru Ikeda
徹 池田
Yoshihiro Kobayashi
義浩 小林
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】電子レンジ加熱が可能で、レトルト処理時に容
器内食品及びヘッドスペース中の酸素ガスを急速に吸収
することによって香気成分の変質・消失がなく、耐久性
に優れ長期保存が可能なレトルト食品包装用フィルム状
積層材料の提供。 【解決手段】酸素バリア層としてポリ(メタ)アクリル
酸及びその部分中和物から選ばれるポリ(メタ)アクリ
ル酸系ポリマーと、糖類及びポリビニルアルコールから
選ばれる多価アルコール化合物を、該カルボキシル基と
該アルコール基が4:1乃至1:4の比率の混合物をビ
カット軟化点が180℃以上の耐熱性樹脂フィルムの表
面に焼き付け積層した層が耐熱性,耐熱水性,酸素バリ
ア性を兼備した合成樹脂層であり、該合成樹脂層を外層
とし、ポリオレフィンに微細な鉄粉及びハロゲン化金属
塩を分散してなる耐熱性を有する脱酸素層、及び酸素透
過性,耐熱性,熱シール性を有するポリオレフィン系内
層からなるフィルム状積層材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は調理食品包装用積層材料
に関する。さらに詳しくは、レトルト処理などの加熱・
調理・殺菌処理が可能で、食品などを包装し加熱・調理
・殺菌処理する間に内容物に含まれる酸素をほぼ完全に
吸収し、常温で長期間にわたり内容物を無酸素状態に保
持することによって内容物が変質せずに保たれ、包装食
品をマイクロウェーブを利用した電子レンジ加熱処理す
ることが可能な調理食品包装用フィルム状積層材料に関
する。
【0002】
【従来の技術】調理食品包装用フィルム乃状積層材料
は、袋,チューブ等、種々の形に成型され、あるいは蓋
材等の封止用素材として、調理食品の包装材料として広
く用いられており、食品を包装した後に高温で殺菌・調
理するレトルト食品分野においては耐熱性,耐熱水性,
長期保存を可能とする酸素バリア性が必要とされてい
る。
【0003】これらの性質を満足する包装用フィルム積
層材料としては、アルミニウム箔を中間に積層した耐熱
性樹脂積層材料が広く用いられている。しかし、電子レ
ンジが簡便かつ短時間に食品を加熱できる特長を有し、
広く普及している現在、アルミニウム箔を中間に積層し
た積層材料の場合、包装されたレトルト食品を包装容器
のまま電子レンジ加熱ができない問題があり、電子レン
ジ加熱が可能なレトルト食品包装用フィルム状積層材料
が求められている。
【0004】耐熱性,酸素バリア性を兼備した素材とし
て、導電性を有しない無機ガラス材料、例えば酸化ケイ
素,酸化アルミニウムを蒸着した耐熱性フィルムを積層
したフィルムが開発され、電子レンジ加熱が可能なレト
ルト食品包装用フィルム状積層材への適用が検討されて
いるが、該無機ガラス材料が被蒸着フィルムと剛性,熱
膨張率などの物理的性質が極端に異なるため、積層・製
造当初は十分なガスバリア性を示すものの、包装・レト
ルト処理後あるいはフィルムを揉むあるいは折り畳むな
どの変形処理を行うとガスバリア性が大幅に低下する問
題があり、レトルト食品包装材料としては実用的な耐久
性に乏しい。
【0005】また、耐熱性,耐熱水性,酸素バリア性を
兼備した合成樹脂素材として、塩化ビニリデンを積層し
たフィルムが開発され、電子レンジ加熱が可能なレトル
ト食品包装用フィルム状積層材への適用が検討されてい
るが、十分なガスバリア性を発揮するには塩化ビニリデ
ンを10μmを超える厚さで積層することが望ましく、
塩化ビニリデンの塩素含量が高いため、使用済みの包装
材料を廃棄焼却処分する際に焼却炉を損傷する、あるい
は有害な排煙ガスもしくはダイオキシンのような猛毒の
物質を発生する恐れがある。
【0006】同様に、耐熱性,耐熱水性,酸素バリア性
を兼備した合成樹脂素材として、エチレン酢酸ビニル共
重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)が電子レンジ
加熱が可能なレトルト食品包装用フィルム状積層材への
適用が検討されているが、EVOHが吸湿性の樹脂であ
り、EVOHの酸素バリア性が吸湿状態で大幅に低下す
るため、レトルト処理中から処理後にかけて酸素バリア
性を失う、あるいは内容食品に多く含まれる水分がEV
OH中に移行して、包装材料として期待した酸素バリア
性を十分には発揮し得えず、長期保存を可能とする酸素
バリア性が得られない問題がある。
【0007】芳香族ナイロンの一種であるポリメタキシ
リレンジアミンアジペート(MXDナイロン)も酸素バ
リア性を有し、耐熱性,耐熱水性に優れる合成樹脂材料
ではあるが、長期保存を可能とする酸素バリア性の点で
は十分とは言えない。
【0008】上述のように、電子レンジ加熱が可能なレ
トルト食品包装用フィルム状積層材料として長期保存を
可能とする十分な酸素バリア性を有する包装材料がない
のが現状である。
【0009】一方、レトルト包装食品内容物の品質に目
を向けると、食品中の香気成分には食品中に含まれる空
気中の酸素と反応して香気を失うものがあるため、酸素
を含む空気と共に包装された場合、レトルト処理中に高
温にさらされ急激に、また長期保存中には徐々に香気を
失い、香気成分のバランスを欠くことになり、結果とし
てレトルト処理を行った食品は、同一の材料で調製した
通常の食品と比較して、香りが悪くなる傾向がある。こ
の問題は香気の薄い食品で特に顕著であり、「ほのかな
香り」を楽しむ食品はレトルト処理で長期保存させるこ
とは全く不可能な現状にある。
【0010】このような問題を解決すべく、レトルト食
品を製造するにあたって、内容物を包装する際に窒素ガ
スなどの不活性ガスと共に充填する方法も提案されてい
る。しかし、このような充填方法は特殊な装置を必要と
し経済的に不利であるのみならず、食品中に溶解して残
留した酸素がレトルト処理中に香気成分と反応して香気
バランスが悪くなる問題を解決するのは難しい。
【0011】特開平7ー205379号公報及び特開平
7ー251485号公報は耐水性で高温度条件下におい
ても優れた酸素バリアー性を有する積層体として、ポリ
(メタ)アクリル酸及びポリ(メタ)アクリル酸の部分
中和物から選ばれるポリ(メタ)アクリル酸ポリマーと
糖類及びポリビニルアルコールから選ばれる多価アルコ
ール化合物を該カルボキシル基と該アルコール基が4:
1乃至1:4の比率の混合物をビカット軟化点が180
度C以上の耐熱性樹脂フィルムの表面焼き付け積層した
積層体を開示し、電子レンジ加熱可能なガスバリアー素
材としているものの、高湿度環境下やレトルト処理ある
いは物理的変形処理に対して満足するガスバリアー性を
示さない。
【0012】
【本発明が解決しようとする課題】本発明が解決しよう
とする課題は電子レンジ加熱が可能で、レトルト処理時
に香気成分の変質がなく、長期保存が可能なレトルト食
品包装用フィルム状積層材料を提供することにある。
【0013】本発明者らはこの課題を解決すべく鋭意検
討を行った結果、酸素バリア層としてポリ(メタ)アク
リル酸及びポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物から選
ばれるポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、糖類及び
ポリビニルアルコールから選ばれる多価アルコール化合
物を、該カルボキシル基と該アルコール基が4:1乃至
1:4の比率の混合物をビカット軟化点が180℃以上
の耐熱性樹脂フィルムの表面に焼き付け積層した層が耐
熱性,耐熱水性,酸素バリア性を兼備した合成樹脂層で
あり、該合成樹脂層を外層とし、耐熱性を有する脱酸素
層、および酸素透過性,耐熱性,熱シール性を有する内
層からなるフィルム状積層材料が電子レンジ加熱が可能
で、レトルト処理時に容器内食品およびヘッドスペース
中の酸素ガスを急速に吸収することによって香気成分の
変質・消失がなく、耐久性に優れ長期保存が可能なレト
ルト食品包装用フィルム状積層材料であることを見いだ
し、本発明を完成させた。
【0014】本発明は外側から、A)酸素バリア層,
B)脱酸素層,C)ポリオレフィン層よりなる積層体を
最少の構成要素としてなる積層材料であって、 A)該酸素バリア層がビカット軟化点180℃以上の耐
熱性樹脂フィルム及びその表面に焼き付けられた焼付層
よりなり、該焼付層がポリ(メタ)アクリル酸及び/又
はポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物から選ばれるポ
リ(メタ)アクリル酸系ポリマーのカルボキシル基と糖
類又はポリビニルアルコールから選ばれる多価アルコー
ル化合物のアルコール基とが4:1乃至1:4の比率の
反応生成物であり、 B)該脱酸素層が微細な鉄粉および食塩,塩化マグネシ
ウム,塩化カルシウムから選ばれるハロゲン化金属塩を
分散した、ポリエチレン、ポリエチレンと酢酸ビニル,
ビニルアルコール,アクリル酸エステル,アクリル酸及
びアクリル酸塩から選ばれるビニル化合物とのエチレン
含量が70重量%を越える共重合体、ポリプロピレン並
びにプロピレン含量が70重量%を超えるポリプロピレ
ン共重合体から選ばれるポリオレフィンであり、 C)該ポリオレフィン層がポリエチレン、ポリエチレン
と酢酸ビニル,ビニルアルコール,アクリル酸エステ
ル,アクリル酸及びアクリル酸塩から選ばれるビニル化
合物とのエチレン含量が70重量%を越える共重合体、
ポリプロピレン並びにプロピレン含量が70重量%を超
えるプロピレン共重合体から選ばれるポリオレフィンよ
りなることを特徴とする調理食品包装用積層材料であ
る。
【0015】及び、外側から、A)酸素バリア層,B)
脱酸素層,C)ポリオレフィン層よりなる積層体を最少
の構成要素としてなる積層材料であって、 A)該酸素バリア層がビカット軟化点180℃以上の耐
熱性樹脂フィルム及びその表面に焼き付けられた焼付層
よりなり、該焼付層がポリ(メタ)アクリル酸及び/又
はポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物から選ばれるポ
リ(メタ)アクリル酸系ポリマーのカルボキシル基と糖
類又はポリビニルアルコールから選ばれる多価アルコー
ル化合物のアルコール基とが4:1乃至1:4の比率の
反応生成物であり、 B)該脱酸素層が微細な鉄粉および食塩および/又は塩
化カルシウムを分散したポリプロピレン又はプロピレン
含量が70重量%を超えるプロピレン共重合体から選ば
れるポリオレフィンであり、 C)該ポリオレフィン層がポリプロピレン又はプロピレ
ン含量が70重量%を超えるポリプロピレン共重合体で
あることを特徴とする請求項1記載の調理食品包装用積
層材料であり、以下に本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明における酸素バリア層を構成する耐
熱性樹脂フィルムはそのビカット軟化点が180℃以上
の合成樹脂であれば特に限定されるものではないが、ポ
リエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレー
ト,ポリエチレンナフタレート,芳香族ポリステルなど
のポリエステル樹脂、ナイロン6,ナイロン66,ナイ
ロン46,ナイロン6−10,MXDナイロンなどのナ
イロン樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテ
ルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、およびポリ
エーテルイミドなどの熱可塑性樹脂が用いられ、特にポ
リエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレー
トおよびポリエチレンナフタレートが好適に用いられ
る。
【0017】本発明における酸素バリア層を構成する焼
付層の原料となるポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー
は、ポリアクリル酸,ポリメタクリル酸,ポリアクリル
酸部分中和物,ポリメタアクリル酸部分中和物が用いら
れ、部分中和物はナトリウム,カリウム,アンモニウム
などの1価の塩が好適であり,中和度は3乃至15%の
ものが好適に選ばれる。ポリ(メタ)アクリル酸系ポリ
マーの分子量は2000乃至250000の範囲が好ま
しい。
【0018】本発明における酸素バリア層を構成する焼
付層の原料となる多価アルコール化合物は水溶性の糖類
が好ましく選ばれる。すなわち、グルコース,ガラクト
ースなどの単糖類、ソルビトール,マンニトール,キシ
リトール,エリスリトール,グリセリンなどの糖アルコ
ール、蔗糖,乳糖,マルトース,トレハロースなどのオ
リゴ糖類、該オリゴ糖の還元物、デンプン,デキストラ
ン,キトサンなどの天然多糖類、および該天然多糖類お
よびセルロースのカルボキシメチル化物,メチル化物,
ヒドロキシエチル化物,硫酸エステル,リン酸エステル
化物などの誘導体が好ましい多価アルコール化合物であ
る。
【0019】本発明における酸素バリア層を構成する焼
付層の原料となる多価アルコール化合物として水溶性ポ
リビニルアルコールも好ましく選ばれる。けん化度が9
5%以上、より好ましくは98%以上であり、平均重合
度が300乃至2500、より好ましくは300乃至1
500のものが選ばれる。
【0020】本発明における酸素バリア層を構成する焼
付層の原料となるポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと
多価アルコール化合物の使用比率は該カルボキシル基と
該アルコール基の比率で4:1乃至1:4が好ましく、
該カルボキシル基と該アルコール基の比率で2:1乃至
1:2がさらに好ましい。
【0021】本発明における酸素バリア層を構成する焼
付層の原料となるポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと
多価アルコール化合物の混合物を耐熱性樹脂フィルムの
表面に焼き付ける方法は特に限定はないが、ポリ(メ
タ)アクリル酸系ポリマーと多価アルコール化合物を水
溶液混合物とし、溶液流延法、グラビアコーター,リバ
ースコーターなどによる転写法、ダイコーターによる押
し出し法などの方法で所望の厚さに該耐熱性樹脂フィル
ムに塗布した後、乾燥・加熱焼き付けを行う方法が好ま
しく選ばれる。乾燥・加熱焼き付けの方法としてはアー
チドライヤー,ストレートバスドライヤー,ドラムドラ
イヤーなどの装置を用いて、熱風の吹き付け,赤外線照
射,あるいは熱ドラムからの伝熱などにより水分を蒸発
・乾燥すると同時に加熱・焼き付けを行う方法が例示さ
れる。。
【0022】加熱・焼き付けの温度および時間は160
乃至230℃で3乃至480分が好ましい範囲であり、
より好ましくは180℃で15乃至120分、200℃
で5乃至60分が例示できる。
【0023】該加熱・焼き付け工程において、原料のポ
リ(メタ)アクリル酸系ポリマーと多価アルコール化合
物の混合物は脱水重合反応によってエステル結合を生
じ、水不溶性のポリエステル系高分子となって、耐熱性
樹脂フィルムの表面に強固な膜を形成する。耐熱性樹脂
フィルムがポリエチレンテレフタレート,ポリブチレン
テレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選
ばれるポリエステル樹脂である場合は、該エステル結合
がポリエステル樹脂を構成するテレフタル酸残基および
エチレングリコレート残基との間にも生じることによっ
て、耐熱性樹脂フィルムと焼き付け工程で生じたポリエ
ステル系高分子膜の密着性が増してさらに強固な膜が形
成される。
【0024】本発明における酸素バリア層の厚さは特に
限定はないが、ビカット軟化点が180℃以上の耐熱性
樹脂フィルムの厚さは10乃至30μm、より好ましく
は12乃至20μmの市販の耐熱性樹脂フィルムが選ば
れ、焼き付けられた該ポリエステル系高分子膜の厚さは
0.3乃至5μm、より好ましくは0.5乃至3μmが
選ばれる。
【0025】本発明における脱酸素層はポリエチレン、
ポリエチレンと酢酸ビニル,ビニルアルコール,アクリ
ル酸エステル,アクリル酸及びアクリル酸塩から選ばれ
るビニル化合物とのエチレン含量が70重量%を越える
共重合体、ポリプロピレン並びにプロピレン含量が70
重量%を越えるポリプロピレン共重合体から選ばれるポ
リオレフィンに、微細な鉄粉および食塩,塩化マグネシ
ウム,塩化カルシウムから選ばれるハロゲン化金属塩を
分散してなる層である。
【0026】本発明における脱酸素層を構成するポリオ
レフィンとしては、118℃以下の低温レトルト用途に
用いる包材とする場合には、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、プロピレン含量が70重量%を超えるポリプロピ
レン共重合体、およびエチレンと酢酸ビニル,ビニルア
ルコール,アクリル酸エステル,アクリル酸,アクリル
酸塩から選ばれる1種類以上の官能基を有するビニル化
合物とのエチレン含量が70重量%を越える共重合体が
使用でき、120℃以上の高温レトルト用途に用いる包
材とする場合には、ポリプロピレンまたはプロピレン含
量が70重量%を超えるポリプロピレン共重合体が好ま
しく選ばれる。
【0027】本発明における脱酸素層を構成する鉄粉は
その主成分が金属鉄であって粒径の細かいものであれば
特に制限無く使用できる。金属鉄粒をさらに粉砕した鉄
粉、金属鉄を溶融・噴霧して粒子化した鉄粉、酸化鉄粉
を還元雰囲気下で加熱・還元した還元鉄粉、およびこれ
らの鉄粉をさらに粉砕した鉄粉が好ましく例示される。
【0028】本発明における鉄粉の粒径はレトルト用途
に用いるフィルム包材に用いることから粒径の細かいも
のが選ばれ、平均粒径が30μm以下のものが好まし
く、平均粒径が2μm未満の超微粉の場合には反応性が
強く取り扱いに注意を要するため、より好ましくは平均
粒径が2乃至15μmのものが選ばれる。該鉄粉の使用
量はポリオレフィン100重量部に対して5乃至100
重量部が好ましい。鉄粉使用量が5重量部未満の場合は
脱酸素能力が不足し、100重量部を超える場合は脱酸
素層の電導度が高くなり電子レンジ加熱の際にスパーク
等の不都合を生じる恐れがあり、より好ましくは5乃至
50重量部が選ばれる。
【0029】本発明における脱酸素層には鉄粉の他に酸
化反応を促進する目的でハロゲン化金属塩が用いられ
る。ハロゲン化金属塩としては安全性の高い食塩,塩化
マグネシウム,塩化カルシウムが好ましく選ばれる。該
ハロゲン化金属塩は単独で用いても良いが混合して用い
ることもできる。該ハロゲン化金属塩の使用量はポリオ
レフィン100重量部に対して0.5乃至10重量部が
好ましく、鉄粉100重量部に対して5乃至20重量部
が好ましい。
【0030】本発明における脱酸素層の鉄粉及びハロゲ
ン化金属塩のポリオレフィン層への分散方法には特に制
限がないが、鉄粉を粉砕する工程でハロゲン化金属塩を
投入して鉄粉にハロゲン化金属塩を混合・被覆した混合
物を混練・押出機を用いてポリオレフィン樹脂に混合・
分散する方法、微細な鉄粉とハロゲン化金属塩の水溶液
を混合した後に乾燥した被覆混合物を混練・押出機を用
いてポリオレフィン樹脂に混合・分散する方法が好まし
い方法として例示される。また、脱酸素層を積層する工
程と同時に混合・分散させる方法も例示され、例えば二
軸混練・押出機を用いて微細な鉄粉と微細なハロゲン化
金属塩粉末をポリオレフィン樹脂に混合しながら押し出
し積層する方法が好ましい方法として例示される。
【0031】本発明における脱酸素層中に鉄粉およびハ
ロゲン化金属塩の他に充填剤や脱臭剤を分散することは
何ら差し支えがない。好ましい充填剤や脱臭剤としては
多孔質の鉱物性微粉や微粉状活性炭が例示される。
【0032】本発明における脱酸素層の厚さは脱酸素層
に含有される脱酸素剤の含量が内容食品の酸化防止のた
めに十分となる厚さを有することが必要であるが、脱酸
素剤の充填率を必要なレベルに保つのであれば特に限定
されるものではない。一方で、脱酸素剤として用いる鉄
粉の粒径から、該鉄粉の平均粒径の1.5倍以上が好ま
しく、50乃至20μmが好ましい厚さである。
【0033】本発明における積層材料の最内層は熱シー
ルが可能なポリオレフィンが選ばれる。該ポリオレフィ
ンとしては118℃以下の低温レトルト用途に用いる包
材とする場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、プ
ロピレン含量が70重量%を超えるポリプロピレン共重
合体、およびエチレンと酢酸ビニル,ビニルアルコー
ル,アクリル酸エステル,アクリル酸,アクリル酸塩か
ら選ばれる1種類以上の官能基を有するビニル化合物と
のエチレン含量が70重量%を越える共重合体が使用で
き、120℃以上の高温レトルト用途に用いる包材とす
る場合には、ポリプロピレンまたはプロピレン含量が7
0重量%を超えるポリプロピレン共重合体が好ましく選
ばれる。
【0034】本発明における積層材料の最内層は脱酸素
層を被覆し内容食品との接触を断ち、同時に熱シールに
よって積層材料を袋状または容器のふた材として密封可
能にすることを目的として設けられる。このために必要
な厚さは15μm以上であるが、厚さが大きい場合には
酸素透過および水分透過が妨げられ脱酸素進行が遅くな
り、20乃至60μmが好ましい範囲である。該最内層
に脱酸素層を隠蔽し美麗な内層外観とする目的でチタン
白等の白色顔料を充填したポリオレフィン層とすること
は何ら問題はない。
【0035】本発明における積層材料は保護を目的とし
て最外層に耐熱性樹脂フィルムを積層することができ
る。該耐熱性樹脂としては耐水性の良好なビカット軟化
点が130℃を超える耐熱性樹脂が選ばれる。ポリプロ
ピレン,ポリプロピレン共重合体,ポリエステル,ナイ
ロンが良好な樹脂の例であり、単層で用いるか該耐熱性
樹脂からなる積層体として用いることができる。最外層
は酸素バリア層とドライラミネーションで貼合する方法
が好ましい。
【0036】該保護層の厚さは特に限定はないが、10
乃至30μmより好ましくは12乃至20μmの市販耐
熱性樹脂フィルムが選ばれ、あらかじめ透明な該フィル
ムの内側となる面に印刷を施して貼合すると印刷面も保
護されて美麗な包装材料となり好ましい。
【0037】本発明における積層材料は少なくとも外側
から酸素バリア層,脱酸素層,ポリオレフィン層よりな
る積層体であるが、酸素バリア層と脱酸素層の間に積層
材料の強度向上や積層材料の製造を容易にする目的で適
当な樹脂層を挟むことは何ら差し支えがない。耐突き刺
し性改善の目的でナイロンフィルムを挟んで積層する方
法および脱酸素層の押し出しラミネーションを容易にす
る目的でポリオレフィン層を差し挟んで積層する方法が
例示できる。
【0038】本発明における積層材料の製造方法には通
常用いられる積層材料の製造方法が制限無く使用でき
る。構成する各層をフィルム状に成形したのち接着剤を
用いてドライラミネーションを施す方法、ポリオレフィ
ンからなる最内層と脱酸素層を酸素バリア層の内面に適
当な接着樹脂と共に押出しラミネーションして積層する
方法、最外層の保護層と酸素バリア層をあらかじめドラ
イラミネーションで積層しておき2層のポリオレフィン
フィルムの間に脱酸素層をサンドウィッチ・押出しラミ
ネーションして得られる三層フィルムを適当な接着剤で
ドライラミネーションする方法が好ましい例として挙げ
られる。
【0039】本発明における積層材料構成例を以下の図
に例示する。本発明における積層材料は少なくとも外側
から酸素バリア層,脱酸素層,ポリオレフィン層よりな
る積層体であり、図示された例に限定されるものではな
い。
【0040】本発明における積層材料をレトルト用の包
装材料として用いた場合、レトルト処理の間に容器内の
食品およびヘッドスペース中の酸素ガスが速やかに吸収
され、該食品中の香気成分の酸素による変質あるいは消
失を防止し、ほのかな香りを活かしたレトルト食品が得
られた。また、該積層材料が酸素バリア層が耐摩耗性・
耐屈曲性に優れ、酸素バリア性に優れるため、長期間の
保存においても安定である。
【0041】以下、実施例によって本発明の内容を説明
・例示するが本発明の内容は実施例に制限されるもので
はない。
【0042】
【実施例1】厚さ12μmの延伸ポリエチレンテレフタ
レート・フィルムの表面にポリビニルアルコール(ケン
化度99%,平均重合度500)とポリアクリル酸部分
Na塩(平均分子量150000,中和度10%)の重
量比3:7混合物の濃度10%水溶液を厚さ20μmに
塗布した後、水分を乾燥しさらに200℃で15分間加
熱・焼き付けして酸素バリア・フィルムを調製した。平
均粒径12μmの還元鉄粉20重量部および塩化ナトリ
ウム粉末2重量部をあらかじめボールミルで混合・粉砕
した混合物を2軸エクストルーダーを用いて汎用の低密
度ポリエチレン100重量部に混合・分散したヘ゜レット
を調製した。厚さ30μmの低密度ポリエチレン・フィ
ルムの上に該樹脂ヘ゜レットを30μmの厚さで押出しラ
ミネートして積層フィルムを調製した。厚さ12μmの
延伸ポリエチレンテレフタレート・フィルムに白色印刷
を施し印刷面を接着面側にして、焼き付け面を接着面側
にした該酸素バリア・フィルムへ脂肪族ウレタン系接着
剤を用いてドライラミネートし、反対側に該低密度ポリ
エチレン積層フィルムを脱酸素層を接着面側にし脂肪族
ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートした。得ら
れた積層材料の構成は図1に例示したものに相当する。
【0043】
【実施例2】実施例1で調製した積層材料2枚を内層ポ
リエチレン・フィルム側を内側にして3辺を熱シールし
て袋状容器を作り、コーンポタージュ・スープ200m
lを充填して開口部を熱シールした。112℃で30分
間レトルト処理を行い、容器内のヘッドスヘ゜ースのガス組
成をガスクロマトグラフィーで測定したところ、酸素濃
度は0%であった。また、袋の一部をハサミで切り取っ
たのち、出力500Wの家庭用電子レンジで2分間加熱
したところ、熱いスープが得られた。
【0044】
【比較例1】実施例1の酸素バリア・フィルムの代わり
に厚さ10μmのアルミニウム箔を用い、外側には厚さ
12μmの延伸ポリエチレンテレフタレート・フィルム
に白色印刷を施し印刷面を接着面側にし、また内側には
厚さ30μmの低密度ポリエチレン・フィルムをそれぞ
れドライラミネートして積層フィルムを調製し、実施例
2と同様にして袋状容器を作り、中にコーンポタージュ
・スープ200mlを入れて開口部を熱シールした。1
12℃で30分間レトルト処理を行い、容器内のヘッド
スヘ゜ースのガス組成をガスクロマトグラフィーで測定した
ところ、酸素濃度は21%であった。また、袋の一部を
ハサミで切り取ったのち、家庭用電子レンジで加熱した
ところ、電子レンジ内でスパークが起こりスープは冷た
いままであった。
【0045】
【実施例3】実施例2の方法で充填・レトルト処理を行
ったコーンポタージュ・スープ、実施例2の方法で充填
・レトルト処理後1年間室温保存したコーンポタージュ
・スープ、比較として、同じ調製方法・組成の出来立て
のコーンポタージュ・スープ,比較例1の方法で充填・
レトルト処理を行ったコーンポタージュ・スープ,およ
び該方法で充填・レトルト処理後1年間室温保存したコ
ーンポタージュ・スープの5点につき、10人のパネル
を用いてスープの味および風味について官能評価を行っ
た。スープは実施例2の2点は袋状容器のまま電子レン
ジ加熱を行い、比較の3点はカップに入れて電子レンジ
加熱を行い、各サンプルの量および温度は同一となるよ
うに調製して供試した。官能評価の結果を表1に示し
た。
【0046】
【表1】
【0047】
【実施例4】実施例1と同様にして酸素バリア・フィル
ムを調製し、焼き付け面上に白色印刷を施し、さらに厚
さ15μmの6−ナイロン・フィルムを脂肪族ウレタン
系接着剤を用いてドライラミネートして酸素バリア積層
物を調製した。平均粒径11μmの還元鉄粉20重量部
および塩化カルシウム粉末1重量部をあらかじめボール
ミルで混合・粉砕した混合物を2軸エクストルーダーを
用いて低臭グレードのポリプロピレン100重量部に混
合・分散した脱酸素樹脂混合物ヘ゜レットを調製した。厚
さ25μmの低臭グレードのポリプロピレン・フィルム
2枚の間に該脱酸素樹脂混合物を30μmの厚さでサン
ドウィッチ・押出しラミネーションして三層よりなる脱
酸素樹脂積層物を調製した。該酸素バリア積層物と該脱
酸素樹脂積層物を脂肪族ウレタン系接着剤を用いてドラ
イラミネートし、図2構成の積層材料を調製した。
【0048】
【実施例5】実施例4で調製した積層材料3枚を内層ポ
リプロピレン・フィルム側を内側に熱シールしてスタン
ディングパウチ容器を作り、中に水225mlと良く洗
った白米25gを入れて開口部を熱シールした。125
℃で10分間レトルト処理を行い、容器内のヘッドスヘ゜ー
スのガス組成をガスクロマトグラフィーで測定したとこ
ろ、酸素濃度は0%であった。また、袋の一部をハサミ
で切り取ったのち、出力500Wの家庭用電子レンジで
2分30秒間加熱したところ、熱いおかゆとなった。
【0049】
【比較例2】実施例4の酸素バリア・フィルムの代わり
に厚さ20μmのEVOHフィルムを用い白色印刷を施
し、さらに厚さ15μmの6−ナイロン・フィルムを脂
肪族ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートして酸
素バリア積層物を調製した。実施例4と同様の脱酸素樹
脂積層物を調製し、同様に酸素バリア積層物とドライラ
ミネートして積層材料を調製した。実施例5と同様にス
タンディングパウチ容器容器を作り、中に水225ml
と良く洗った白米25gを入れて開口部を熱シールし
た。125℃で10分間レトルト処理を行い、容器内の
ヘッドスヘ゜ースのガス組成をガスクロマトグラフィーで測
定したところ、酸素濃度は8%であった。また、実施例
5と同様に袋の一部をハサミで切り取ったのち、家庭用
電子レンジで加熱したところ、熱いおかゆとなった。
【0050】
【実施例6】実施例5の方法で充填・レトルト処理を行
ったおかゆ、実施例5の方法で充填・レトルト処理後1
年間室温保存したおかゆ、比較として、同じ組成で土鍋
を使って調製したおかゆ,比較例2の方法で充填・レト
ルト処理を行ったおかゆ,および該方法で充填・レトル
ト処理後1年間室温保存したおかゆの5点につき、10
人のパネルを用いておかゆの味および風味について官能
評価を行った。おかゆは実施例5および比較例2の4点
は袋状容器のまま電子レンジ加熱を行い、土鍋を使った
おかゆはカップに入れて電子レンジ加熱を行い、各サン
プルの量および温度は同一となるように調製して供試し
た。官能評価の結果を表2に示した。
【0051】
【表2】
【0052】
【実施例7】実施例1と同様にして酸素バリア・フィル
ムを調製し、焼き付け面の反対側に白色印刷を施し、さ
らに厚さ15μmの6−ナイロン・フィルムを脂肪族ウ
レタン系接着剤を用いてドライラミネートして酸素バリ
ア積層物を調製した。実施例4と同様にして脱酸素樹脂
混合物を調製し、該酸素バリア積層物と厚さ30μmの
低臭グレードのポリプロピレン・フィルムとの間に、無
水マレイン酸変性ポリプロピレン8μmおよび該脱酸素
樹脂混合物30μmを2種2層押出しラミネートを行っ
て図3構成の積層材料を調製した。
【0053】
【実施例8】実施例7で調製した積層材料3枚を内層ポ
リプロピレン・フィルム側を内側に熱シールしてスタン
ディングパウチ容器を作り、クラムチャウダー・スープ
200gを充填して開口部を熱シールした。125℃で
7分間レトルト処理を行い、容器内のヘッドスヘ゜ースのガ
ス組成をガスクロマトグラフィーで測定したところ、酸
素濃度は0%であった。また、袋の一部をハサミで切り
取ったのち、出力500Wの家庭用電子レンジで2分3
0秒間加熱したところ、熱いスープとなった。
【0054】
【実施例9】実施例8と同様にしてクラムチャウダー・
スープを充填したスタンディングパウチ容器20個を小
型段ボール箱に詰め封をして、箱の各面を下にして1m
の高さから計6回落下させた後、取り出して125℃で
7分間レトルト処理を行った。各スタンディングパウチ
容器共に破れや漏れは見られなかった。容器内のヘッド
スヘ゜ースのガス組成をガスクロマトグラフィーで測定した
ところ、酸素濃度は0%であった。また、1年間室温保
存した後容器内のヘッドスヘ゜ースのガス組成を測定したと
ころ、酸素濃度は0%であった。
【0055】
【比較例3】実施例7の酸素バリア・フィルムの代わり
に厚さ12μmの延伸ポリエチレンテレフタレートに酸
化ケイ素を蒸着したフィルムを用い、蒸着面と反対側に
白色印刷を施し印刷面を接着面とし、厚さ15μmの6
−ナイロン・フィルムを脂肪族ウレタン系接着剤を用い
てドライラミネートして酸素バリア積層物を調製した。
実施例4と同様にして脱酸素樹脂混合物を調製し、該酸
素バリア積層物と厚さ30μmの低臭グレードのポリプ
ロピレン・フィルムとの間に、無水マレイン酸変性ポリ
プロピレン8μmおよび該脱酸素樹脂混合物30μmを
2種2層押出しラミネートを行って積層材料を調製し
た。実施例8と同様にしてスタンディングパウチ容器を
作り、クラムチャウダー・スープ200gを充填して開
口部を熱シールした。125℃で7分間レトルト処理を
行い、容器内のヘッドスヘ゜ースのガス組成をガスクロマト
グラフィーで測定したところ、酸素濃度は6%であっ
た。また、袋の一部をハサミで切り取ったのち、出力5
00Wの家庭用電子レンジで2分30秒間加熱したとこ
ろ、熱いスープとなった。
【0056】
【比較例4】比較例3と同様にしてクラムチャウダー・
スープを充填したスタンディングパウチ容器20個を小
型段ボール箱に詰め封をして、箱の各面を下にして1m
の高さから計6回落下させた後、取り出して125℃で
7分間レトルト処理を行った。各スタンディングパウチ
容器共に破れや漏れは見られなかった。容器内のヘッド
スヘ゜ースのガス組成をガスクロマトグラフィーで測定した
ところ、酸素濃度は8%であった。また、1年間室温保
存した後容器内のヘッドスヘ゜ースのガス組成を測定したと
ころ、酸素濃度は16%であった。
【0057】
【実施例10】実施例8の方法で充填・レトルト処理を
行ったクラムチャウダー・スープ、実施例9の方法で充
填・落下処理・レトルト処理後1年間室温保存したクラ
ムチャウダー・スープ、比較として、同じ調製方法・組
成の出来立てのクラムチャウダー・スープ,比較例3の
方法で充填・レトルト処理を行ったクラムチャウダー・
スープ,および比較例4の方法で充填・落下処理・レト
ルト処理後1年間室温保存したクラムチャウダー・スー
プの5点につき、10人のパネルを用いてスープの味お
よび風味について官能評価を行った。スープは実施例
8,実施例9,比較例3,および比較例4の4点はスタ
ンディングパウチ容器のまま電子レンジ加熱を行い、出
来立てのスープはカップに入れて電子レンジ加熱を行
い、各サンプルの量および温度は同一となるように調製
して供試した。官能評価の結果を表3に示した。
【0058】
【表3】
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、酸素バリア層とし
てポリ(メタ)アクリル酸及びポリ(メタ)アクリル酸
の部分中和物から選ばれるポリ(メタ)アクリル酸系ポ
リマーと、糖類及びポリビニルアルコールから選ばれる
多価アルコール化合物を、該カルボキシル基と該アルコ
ール基が4:1乃至1:4の比率の混合物をビカット軟
化点が180℃以上の耐熱性樹脂フィルムの表面に焼き
付け積層した層が耐熱性,耐熱水性,酸素バリア性を兼
備した合成樹脂層であり、該合成樹脂層を外層とし、ポ
リオレフィンに微細な鉄粉およびハロゲン化金属塩を分
散してなる耐熱性を有する脱酸素層、および酸素透過
性,耐熱性,熱シール性を有するポリオレフィン系内層
からなるフィルム状積層材料が電子レンジ加熱が可能
で、レトルト処理時に容器内食品およびヘッドスペース
中の酸素ガスを急速に吸収することによって香気成分の
変質・消失がなく、耐久性に優れ長期保存が可能なレト
ルト食品包装用フィルム状積層材料である点で産業上の
意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】外側から、内面印刷ポリエチレンテレフタレー
ト層〔保護層〕,ポリアクリル酸(塩)+ポリビニルア
ルコール焼付ポリエチレンテレフタレート層〔酸素バリ
ア層〕,鉄粉+塩化ナトリウム分散低密度ポリエチレン
層〔脱酸素層〕,低密度ポリエチレン層〔シーラント用
ポリオレフィン層〕の構成例であり、
【図2】外側から、ナイロン層〔保護層〕,外面に印刷
したポリアクリル酸(塩)+ポリビニルアルコール焼付
ポリエチレンテレフタレート層〔酸素バリア層〕,ポリ
プロピレン層〔スペース層〕,鉄粉+塩化カルシウム分
散ポリプロピレン層〔脱酸素層〕,ポリプロピレン層
〔シーラント用ポリオレフィン層〕の構成例であり、
【図3】外側から、内面に印刷したポリアクリル酸
(塩)+ポリビニルアルコール焼付ポリエチレンテレフ
タレート層〔酸素バリア層〕,ナイロン層〔強化層〕,
変性ポリプロピレン層〔接着層〕,鉄粉+塩化カルシウ
ム分散ポリプロピレン層〔脱酸素層〕,ポリプロピレン
層〔シーラント用ポリオレフィン層〕の構成例である。
【符号の説明】
1、7 ;保護層、 2、8、16;印刷層、 3、9、14;酸素バリアー層、 4、10、15;ポリエチレンテレフタレート、 5、12、19;脱酸素層、 6、13、20;シーラント用ポリオレフィン層、 11;スペース層、 17;強化層、 18;接着層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B65D 65/40 B65D 1/00 B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外側から、A)酸素バリア層,B)脱酸素
    層,C)ポリオレフィン層よりなる積層体を最少の構成
    要素としてなる積層材料であって、 A)該酸素バリア層がビカット軟化点180℃以上の耐
    熱性樹脂フィルム及びその表面に焼き付けられた焼付層
    よりなり、該焼付層がポリ(メタ)アクリル酸及び/又
    はポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物から選ばれるポ
    リ(メタ)アクリル酸系ポリマーのカルボキシル基と糖
    類又はポリビニルアルコールから選ばれる多価アルコー
    ル化合物のアルコール基とが4:1乃至1:4の比率の
    反応生成物であり、 B)該脱酸素層が微細な鉄粉および食塩,塩化マグネシ
    ウム,塩化カルシウムから選ばれるハロゲン化金属塩を
    分散した、ポリエチレン、ポリエチレンと酢酸ビニル,
    ビニルアルコール,アクリル酸エステル,アクリル酸及
    びアクリル酸塩から選ばれるビニル化合物とのエチレン
    含量が70重量%を越える共重合体、ポリプロピレン並
    びにプロピレン含量が70重量%を超えるポリプロピレ
    ン共重合体から選ばれるポリオレフィンであり、 C)該ポリオレフィン層がポリエチレン、ポリエチレン
    と酢酸ビニル,ビニルアルコール,アクリル酸エステ
    ル,アクリル酸及びアクリル酸塩から選ばれるビニル化
    合物とのエチレン含量が70重量%を越える共重合体、
    ポリプロピレン並びにプロピレン含量が70重量%を超
    えるプロピレン共重合体から選ばれるポリオレフィンよ
    りなることを特徴とする調理食品包装用積層材料。
  2. 【請求項2】B)該脱酸素層が微細な鉄粉および食塩お
    よび/又は塩化カルシウムを分散したポリプロピレン又
    はプロピレン含量が70重量%を超えるプロピレン共重
    合体から選ばれるポリオレフィンであり、 C)該ポリオレフィン層がポリプロピレン又はプロピレ
    ン含量が70重量%を超えるポリプロピレン共重合体で
    あることを特徴とする請求項1記載の調理食品包装用積
    層材料。
  3. 【請求項3】ビカット軟化点180℃以上の耐熱性樹脂
    がポリエステル又はナイロンであることを特徴とする請
    求項1乃至請求項2記載の調理食品包装用積層材料。
  4. 【請求項4】B)該脱酸素層がポリプロピレンまたはプ
    ロピレン含量が70重量%を超えるポリプロピレン共重
    合体から選ばれるポリオレフィン100重量部、平均粒
    径が2乃至15μmの微細な鉄粉5乃至50重量部、食
    塩および/又は塩化カルシウム0.5乃至10重量部の
    組成物である請求項1乃至請求項3記載の調理食品包装
    用積層材料。
  5. 【請求項5】さらに最外層に保護層として、ビカット軟
    化点が130℃を超える耐熱性のポリプロピレン,ポリ
    プロピレン共重合体,ポリエステル,ナイロンから選ば
    れるフィルムを積層することもできる請求項1乃至請求
    項4記載の調理食品包装用積層材料。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5記載の調理食品包装用積層
    材料を成型加工して得られる調理食品包装容器。
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