JP3716878B2 - 医療用液体容器用プラスチックフィルム - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液又は薬液用バッグ等の医療用液体容器の形成材料として特に好適に使用される医療用液体容器用プラスチックフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
輸液、薬液、血液用バッグ等の医療用液体容器は、強度が高く、安全性等に優れていることを必要とするのは勿論であるが、内容液を容器の外から肉眼でチェックできることが要求されるので、透明度が高いという特性は医療用液体容器において大きな利点となる。従来より、このような医療用液体容器としては、ガラスビン、ポリエチレンやポリプロピレン等のブロー成形ビン、例えばポリエチレンホモポリマーの単層フィルム製のフレキシブルバッグのようなポリエチレンやポリ塩化ビニル製バッグなどが使用されているが、これらの医療用液体容器には、以下のような様々な問題がある。
【0003】
即ち、ガラスビンは、破損し易いために取り扱いを慎重にする必要があり、また、使用時に空気流入孔が必要なために異物や雑菌等が混入する可能性があるのでそれに対する配慮も必要となる上に、ガラスビンの使用方法によってはガラス中に含まれるアルカリ物質が内容液中へ溶出する場合もあるので使用方法が制限されたり、更に硬質であるために廃棄しにくい等の問題がある。また、ブロー成形ビン、ポリエチレンやポリ塩化ビニル製バッグ等は、透明性が不足すると共に、レトルト殺菌等の高温殺菌に対する耐性に乏しく、更に可塑剤、酸化防止剤、安定剤や残留塩化ビニルモノマー等の低分子量成分を含有するものは、容器の使用方法によってはこれらの成分が内容液中に溶出して衛生上の問題となるので使用方法が制限される。また、廃棄時に有害ガスを発生する等の環境面での問題も生じている。
【0004】
そこで、医療用液体容器用プラスチックフィルムとしての特性を満足することが困難な単層フィルムに代えて、種々の特性を兼備し得る多層フィルムが種々提案されているが、いずれも医療用液体容器が必要とする特性を満足するには至っていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、医療用液体容器が必要とする特性、即ち透明性に優れ、内容液中への溶出物も少ない等の特性を兼備するのみならず、特にレトルト殺菌(例えば121℃処理)等の高温殺菌に対する耐熱性を備えており、医療用液体容器の形成材料として有用な医療用液体容器用プラスチックフィルムを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、密度0.941g/cm3以上の高密度ポリエチレンと密度0.900〜0.940g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンとを混合してなり、これらの混合比率が異なる少なくとも2種類の混合フィルム層を、接着剤を介在させることなく直接積層してなるシーラント層を備えたことを特徴とする医療用液体容器用プラスチックフィルムを提供する。この場合、特に上記シーラント層を高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合比率が10/0〜8/2である第一フィルム層と、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合比率が5/5〜1/9である第二フィルム層とを積層してなるものとし、このようなシーラント層をその高密度ポリエチレンの混合比率が低い方の混合フィルム層側が透明フィルム層に接着されるように透明フィルム層の上下面にそれぞれ接着剤層を介在させて積層した医療用液体容器用プラスチックフィルムとすると、より好適である。
【0007】
即ち、本発明は、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合比率が異なる混合フィルム層を積層し、これをシーラント層として使用することにより、例えば100〜125℃程度の加熱処理にも耐え、医療用液体(内容液)充填後に熱殺菌処理を行うことが可能な医療用液体容器用プラスチックフィルムを得るものである。より詳細には、上述したように、従来より、医療用液体容器用プラスチックフィルムとしてポリエチレンホモポリマーの単層フィルムが使用されているが、ポリエチレンの中でも高密度ポリエチレン(HDPE)は、特に耐熱性が優れており、上記のような熱殺菌処理を施す医療用液体容器用プラスチックフィルムとして使用するのに好適であるが、このHDPEは耐衝撃性が小さいため、例えば透明で耐衝撃性に優れるポリアミドフィルムを積層しても、ポリアミドフィルムのみではHDPEの耐衝撃性の小ささをカバーすることができず、積層フィルム全体としての衝撃強度が欠けたものとなってしまう。また、HDPEの単一フィルムの場合、その透明性が医療用包材としては不十分である。そこで、HDPEとの相溶性が良く、透明性に優れ、HDPEの衝撃強度等を補うことができる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とHDPEとを混合することによって、透明性、耐衝撃性等にも優れる混合フィルムを得ることができる。
【0008】
このような混合フィルムにおいて、HDPEとLLDPEとの混合比率を変えることによって、その特性が異なる混合フィルムを得ることができ、HDPEの混合比率が高い混合フィルム層、例えばHDPEとLLDPEとの混合比率が10/0〜8/2である第一フィルム層は、耐熱性に優れ、防湿性、耐薬品性、耐ブロッキング性、スリップ性等にも優れたフィルムとなり、LLDPEの混合比率が高い混合フィルム層、例えば5/5〜1/9である第二フィルム層は、透明性、耐衝撃性に優れたものとなる。この場合、第一フィルム層と第二フィルム層とのフィルム厚さ比率を1/9〜4/6とすると、透明性、耐衝撃性等のバランスに特に優れるシーラント層を得ることができる。
【0009】
ここで、このようなシーラント層からなる医療用液体容器用プラスチックフィルムを使用するに当たり、透明フィルム層の両面にこれらを積層することによって、このシーラント層の透明性を損なうことなく医療用液体容器用プラスチックフィルムに透明フィルム層の特性を付与することができる。この場合、接着剤層を介在させることによって、シーラント層と透明フィルム層との層間接着性を十分に確保することができ、例えば100〜125℃程度の加熱殺菌処理に耐えることができる医療用液体容器用プラスチックフィルムを得ることが可能となる。ここで、透明フィルム層をポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート又はポリエステルにより形成すれば、特に透明性、耐衝撃性等に優れる医療用液体容器用プラスチックフィルムを得ることができる。
【0010】
そして、透明フィルム層の両面にシーラント層を積層することにより、医療用液体容器用プラスチックフィルムの最外層及び最内層がポリエチレンの混合フィルムからなるシーラント層となるので、容器製造時のシール性が良好なものとなるのみならず、特に容器外側に内容液取り出し口としてクロージャーを取り付けることが多い医療用液体容器の場合、クロージャーの取り付け性が良好なものとなる。更に、シーラント層のHDPEの混合比率が低い方の混合フィルム層(第二フィルム層)側と透明フィルム層とを接着することによって、耐熱性に優れるHDPEの混合比率が高い方の混合フィルム層(第一フィルム層)を内容液に接する医療用液体容器の最内面とすることができ、このような容器を加熱処理するに当たり、第一フィルム層の耐熱性を発揮させて加熱処理に伴う容器の収縮を少なくするという点で特に効果的であり、透明フィルム層の両面においてシーラント層をそれぞれ上記のように積層することによって、フィルム構造が上下対称となり、フィルムのカールが生じ難くなる。また、このような多層構造体とすることによって、フィルムの機械的強度が大きくなり、容器の運搬・保存時の実用強度が増す。
【0011】
以上説明したように、本発明の医療用液体容器用プラスチックフィルムは、HDPE及びLLDPEのプラスチック特性を兼備した複数種の混合フィルム層を積層することによって、単層フィルムでは十分に満足することができないフィルム特性を兼備することができるという多層ラミネートフィルムとしての特性を持ち、上記のように100〜125℃の加熱処理によっても層間の剥離も認められず、低分子量成分の溶出も少ない。このようなプラスチックフィルムにより形成された医療用液体容器は、医療用液体容器としての要求特性、例えば強度に優れ、廃棄に場所をとらず、廃棄時の焼却に際して有毒ガスの発生もなく、衛生性に優れ、また水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れている等の要求特性を兼備するのみならず、透明性、耐熱性にも優れ、上記のような加熱処理によっても医療用液体容器として収縮が少ないので、特に内容液充填後に熱殺菌処理が採用されることが多い、輸液又は薬液用バッグ等の液体容器として好適なものである。
【0012】
【発明の実施の形態及び実施例】
以下、本発明を図面を参照して、更に詳細に説明する。
図1は、本発明の医療用液体容器用プラスチックフィルム1を示している。この医療用液体容器用プラスチックフィルム1は、それぞれHDPEとLLDPEとの混合比率が異なる第一フィルム層2aと第二フィルム層2b、第一フィルム層3aと第二フィルム層3bとをそれぞれ積層してなる上下2層のシーラント層2,3と、これらのシーラント層2,3の間にそれぞれ接着剤層4,4を介して積層された透明フィルム層5とからなるものである。
【0013】
第一フィルム層2aと第二フィルム層2b、第一フィルム層3aと第二フィルム層3bとにおけるHDPEとLLDPEとの混合比率は、それぞれの第一、第二フィルム層の間で異なっていれば特に限定されるものではないが、HDPEの混合割合が第一フィルム層2a,3aの方が第二フィルム層2b,3bよりも大きいことが好ましく、特に第一フィルム層2a,3aのHDPE/LLDPE=10/0〜8/2、特に85/15程度、且つ第二フィルム層2b,3bのHDPE/LLDPE=5/5〜1/9、特に2/8程度とするとより好適である。第一、第二フィルム層におけるHDPEとLLDPEとの混合割合が上記範囲にあるフィルムを積層した場合、医療用液体容器用プラスチックフィルム1のシーラント層2,3として好適な耐熱性、耐衝撃性、透明性等を得ることができる。
【0014】
また、第一フィルム層2aと第二フィルム層2b、第一フィルム層3aと第二フィルム層3bとのフィルム厚さの比率は、医療用液体容器用プラスチックフィルムに必要な上記特性を付与することができる限り、特に限定されるものではなく、第一、第二フィルム層におけるHDPEとLLDPEとの混合割合により種々選定することができるが、例えば上記混合割合でなる第一フィルム層2a,3aと第二フィルム層2b,3bとを積層する場合、第一フィルム層/第二フィルム層=1/9〜4/6、特に1/9〜2/8とすると好適である。なお、層厚さとしては、例えば第一フィルム層2a,3aをそれぞれ10〜30μm程度、第二フィルム層2b,3bをそれぞれ40〜100μm程度とすると好適である。上記範囲以外では、十分な耐熱性が得られない場合や必要な透明性や耐衝撃性が得られない場合がある。
【0015】
そして、第一フィルム層2aと第二フィルム層2b、第一フィルム層3aと第二フィルム層3bとを積層してシーラント層2,3を得る場合、接着剤を介在させることなく積層することが必要であり、そのため共押出成膜法が好適であり、共押出水冷インフレーション法又はTダイ法のいずれも採用することができる。なお、シーラント層2,3の厚さは、医療用液体容器用プラスチックフィルムの大きさや内容液の種類等によって適宜選定することができるが、それぞれ通常50〜130μm程度とすると好適である。シーラント層の厚さが薄すぎると医療用液体容器の形成材料として必要な強度等が得られない場合があり、厚すぎると医療用液体容器用プラスチックフィルムに良好な可撓性が得られない場合がある。
【0016】
そして、透明フィルム層5とシーラント層2,3との間に介在される接着剤層4,4を形成する接着剤としては、安全性に優れているものが使用されるが、具体的には、例えばFDA.CFR.§177.1390,(c),(2),(iv),(a)及び(b)に記載されている脂肪族イソシアネートを用いたポリエステルウレタン系接着剤等を使用することができる。なお、接着剤の塗布量は、2〜6g/m2程度とすることが望ましい。塗布量が少なすぎると十分な接着性が得られない場合があり、多すぎると接着剤の使用量を減らすことによる本発明の効果が十分に得られない場合がある。
【0017】
シーラント層2,3の間に積層される透明フィルム層5を形成する材料は、医療用液体容器用プラスチックフィルム1が最終的に医療用包材としての透明性の規格値を満たすものとなる限り、特に限定されず、例えばポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリエステル等が好適に使用されるが、これらの中でも耐衝撃性に優れるポリアミドを透明フィルム層5として使用すれば、医療用液体容器の運搬・保存時等の落下強度が強くなり、破袋による液漏れが生じなくなるので特に好適である。ポリアミドとしては、延伸、無延伸のナイロンを使用することができ、具体的には6ナイロン、6,6ナイロン、6−6,6ナイロン共重合体等を挙げることができる。
【0018】
上記透明フィルム層5の層厚さは、医療用液体容器用プラスチックフィルムの大きさや内容液の種類等によって適宜選定することができるが、通常10〜50μm程度とすると好適である。層厚さが薄すぎると医療用液体容器の形成材料として必要な強度等が得られない場合があり、厚すぎると医療用液体容器用プラスチックフィルムに良好な可撓性が得られない場合がある。
【0019】
上記医療用液体容器用プラスチックフィルム1の製造方法は、上記構成のフィルムが十分な層間接着性を持って積層されるのであれば、その製法は特に限定されるものではないが、製造効率等を考慮すれば、共押出製膜法により得られたシーラント層2,3の各第二フィルム層2b,3b側にその両面に接着剤が塗布された透明フィルム層5をサンドイッチラミネートするドライラミネート法が好適である。
【0020】
なお、このようにして得られた医療用液体容器用プラスチックフィルム1は、JIS−K−7105により測定された透明度が80%以上であることが好ましく、特に90%以上であるとより好適である。
【0021】
上記医療用液体容器用プラスチックフィルム1は、これを形成材料として、例えば輸液用バッグを作成することができる。この場合、例えばプラスチックフィルム1を適宜大きさに裁断し、第一フィルム層2aが容器外側となるように重ね合わせた後、内容液(ここでは輸液)用のキャップ付きなどの注入部(クロージャー)を設け、その注入部が開口している以外は四周が密閉された偏平の長方形袋状、三方体袋、ガセット袋、自立袋等となるようにインパルスシール又は熱板シール等の手段によりバッグを作成し、輸液を上記注入部から注入してキャップを締めることなどの手段により輸液をバッグ内に密閉収納し、これを100〜125℃で10分〜2時間加熱する熱殺菌処理を施して、輸液の保存、運搬に使用することができる。
【0022】
なお、本発明の医療用液体容器用プラスチックフィルムは、上記構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更して差し支えない。
【0023】
[実施例1、2、比較例1、2]
次に、上記医療用液体容器用プラスチックフィルムを表1に示す構成で作製して、実施例1、2、比較例1、2のプラスチックフィルムを製膜し、各プラスチックフィルムを121℃で30分間加熱したものについてJIS−K−7105に準拠した透明度試験を行った。結果を表1に併記する。また、各プラスチックフィルムについて日本薬局方第13改正に記載された「輸液用プラスチック容器試験法」に準拠した溶出物試験を行った。また、実用強度を評価するために各フィルムにより作製した袋について下記の落下衝撃強度試験を行った。結果を表1に併記する。
JIS−K−7105:全光線透過率(透明度)試験
加熱処理後のプラスチックフィルムを50×50mmに裁断して試験片とした。試験片は各プラスチックフィルムについて3枚ずつ用意した。積分球式光線透過率測定装置であるNDH−Σ80(日本電色工業株式会社製)に各試験片を取り付けて全光線透過光量(透明度)を測定した。
溶出物試験
プラスチックフィルムにより内容面積が約1200cm2となるように袋を作製し、水で洗った後、室温で乾燥した。この袋の中に水200mlを正確に加えて密封した後、高圧蒸気滅菌器を用いて121℃で1時間加熱し、その後、滅菌器から袋を取り出して室温になるまで放置し、この内容液を試験液とした。
【0024】
別の水につき、同様の方法で空試験液を調製した。試験液及び空試験液につき、次の試験を行った。
<過マンガン酸カリウム還元性物質>
試験液20mlを共栓三角フラスコに採り、0.01N過マンガン酸カリウム液20.0ml及び希硫酸1mlを加え、3分間煮沸し、冷後、これにヨウ化カリウム0.10gを加えて密栓し、振り混ぜて10分間放置した後、0.01Nチオ硫酸ナトリウム液で滴定した(指示薬:デンプン試液5滴)。別に空試験液20.0mlを用い、同様に操作し、試験液と空試験液との0.01N過マンガン酸カリウム液の消費量の差を求めた。
<蒸発残留物>
試験液20mlを水浴上で蒸発乾固し、残留物を105℃で1時間乾燥し、その量を測定した。
<紫外吸収スペクトル>
試験液につき、空試験液を対照とし、吸光度測定法により波長200nm以上241nm未満における吸光度及び波長241nm以上350nm以下における吸光度を測定した。
落下衝撃強度試験
各プラスチックフィルムを使用して、ヒートシール条件を180〜210℃、2kg/cm2、1〜2秒間とし、150×200(mm)の三方シール袋を作製し、各袋に精製水500mlを充填した後、121℃の温度条件下で60秒間の熱殺菌処理を施し、その後、高さ1.2mより自由落下させた。各実施例及び比較例につき、各5枚の三方シール袋を作製し(n=5)、各袋をそれぞれ連続10回自由落下させ、その結果を平均した。
【0025】
【表1】
Figure 0003716878
* イソシアネート系接着剤(武田薬品工業(株)製)
【0026】
なお、実施例1、2及び比較例1のフィルムは上記溶出物試験における加熱処理によってもフィルムの収縮は少なかったが、比較例2のフィルムには収縮が認められた。
【0027】
上記の結果によれば、本発明の医療用液体容器用プラスチックフィルムは透明度に優れるのみならず、熱殺菌処理によるフィルムの収縮が少ない上に低分子量成分の溶出も少なく、そのフィルム強度にも優れているので医療用液体容器の形成材料として特に有用であることが認められる。それに対して、HDPE単一フィルムをシーラント層としたプラスチックフィルム(比較例1)は、熱殺菌処理による溶出物はほとんどないが、落下衝撃強度が著しく劣っており、医療用液体容器用プラスチックフィルムとして使用した場合、実用上の物流強度に耐えることができない。一方、1種のみのHDPEとLLDPEとの混合フィルムをシーラント層としたプラスチックフィルム(比較例2)の場合、落下衝撃強度には優れるが、熱殺菌処理による溶出物が規格値を超えてしまい、比較例1、2のフィルムはいずれも内容液充填後に熱殺菌処理を施す医療用液体容器の形成材料としては不適格であることが認められる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の医療用液体容器用プラスチックフィルムによれば、HDPEとLLDPEとの混合割合の異なる混合フィルム層を接着剤を介在させることなく直接積層し、好ましくは透明フィルム層の両面に接着剤層を介在させて上記シーラント層を積層するので、これらの特性を兼備した医療用液体容器用プラスチックフィルムを得ることができるのみならず、その層間の接着強度も強く、100〜125℃の加熱によってもフィルムの収縮が少ないので、内容液を充填してから熱殺菌処理を施す輸液又は薬液用バッグ等の液体容器の形成材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用液体容器用プラスチックフィルムの構成例を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
1 医療用液体容器用プラスチックフィルム
2,3 シーラント層
2a,3a 第一フィルム層
2b,3b 第二フィルム層
4 接着剤層
5 透明フィルム層

Claims (5)

  1. 密度0.941g/cm3以上の高密度ポリエチレンと密度0.900〜0.940g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンとを混合してなり、これらの混合比率が異なる少なくとも2種類の混合フィルム層を、接着剤を介在させることなく直接積層してなるシーラント層を備えたことを特徴とする医療用液体容器用プラスチックフィルム。
  2. 上記シーラント層が、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合比率が10/0〜8/2である第一フィルム層と、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合比率が5/5〜1/9である第二フィルム層とを積層してなる請求項1記載の医療用液体容器用プラスチックフィルム。
  3. 上記第一フィルム層と第二フィルム層とのフィルム厚さ比率が、1/9〜4/6である請求項2記載の医療用液体容器用プラスチックフィルム。
  4. 上記シーラント層をその高密度ポリエチレンの混合比率が低い方の混合フィルム層側が透明フィルム層に接着されるように透明フィルム層の上下面にそれぞれ接着剤層を介在させて積層してなる請求項1、2又は3記載の医療用液体容器用プラスチックフィルム。
  5. 透明フィルム層がポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート又はポリエステルにより形成されてなる請求項4記載の医療用液体容器用プラスチックフィルム。
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