JP2004050530A - 透明バリアレトルト処理用積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、酸化防止剤を添加して製膜された二軸延伸ポリアミドフィルムからなる最外層、片面に無機酸化物の蒸着膜を設けた二軸延伸ポリエステルフィルムからなる中間層、未延伸ポリオレフィンフィルムからなるヒートシール層の順に積層され、ウレタン系接着剤層を介してドライラミネートされる積層体であって、前記の蒸着膜がヒートシール層側に設けた透明バリアレトルト処理用積層体を特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明バリアレトルト処理用積層体に関するものである。
さらに詳しくは、アルミニウム箔を用いることなく、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、内容物の味覚、品質等の変質を起こさない官能的に極めて優れ、耐熱性、耐圧性、ヒートシール性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、耐寒衝撃性、印刷適性にも優れ、更に、使用後の容器の廃棄処理適性に優れた透明バリアレトルト処理用積層体に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、種々の物品を充填包装するために、プラスチック基材、紙基材、あるいは金属箔、その他等を使用し、これらを任意に積層して、種々の包装用材料が開発され、提案されている。
而して、これらの包装用材料は、通常、その最内層にヒ−トシ−ル層を設け、該ヒ−トシ−ル層を対向させて重ね合わせ、その周辺端部をヒ−トシ−ルして、種々の形態の包装用容器を製造し、而して、該包装用容器の開口部から、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、洗剤、化学品、雑貨品、その他等の種々の内容物を充填包装して、各種の包装製品を製造しているものである。
特に食品を長期間保存しておく包装製品として、レトルトパウチ食品が広く知られている。
レトルトパウチは、一般に下ごしらえをした材料を充填した容器の口を、できるだけ空気を抜くようにしながら閉じ、口の部分を熱してプラスチックを溶かしながら密封して、密閉包装体を製造し、次いで、該密閉包装体を、例えば、通常のレトルト釜を使用し、例えば、温度、110℃〜140℃位、好ましくは、120℃前後位、圧力、1〜3Kgf/cm2 位、好ましくは、2.1Kgf/cm2 前後位、時間、20〜60分間位、好ましくは、30分間前後位で加熱加圧処理する方法により、レトルト処理して、レトルト処理した包装製品を製造することができるものである。
【0003】
また、従来より、レトルトパウチとしては、耐熱性、衝撃吸収、アルミ箔の腐食防止、光沢や印刷効果を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、耐衝撃性や自立性(起立性)を有する二軸延伸ナイロンフィルム、光、酸素、水蒸気を遮断するアルミニウム箔(アルミニウム金属をごく薄くのばしたものである。)、未延伸ポリオレフィン樹脂フィルムからなるヒートシール性フィルムとを、反応硬化型の耐熱接着剤層を介して積層した積層体から成形した容器を使用している。
このため、レトルトパウチとしては、常温流通で長期にわたり、内容物の品質を保持し、味覚の劣化を起さず、且つ、耐熱性、耐寒衝撃性、バリア性、ヒートシール性、衛生性等が要求される。
【0004】
従来のレトルトパウチは、中間層に高い酸素バリア層を有するアルミ箔を有する層構成、例えば、二軸延伸ポリエステルフィルム/二軸延伸ポリアミドフィルム/アルミニウム箔/ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム/アルミニウム箔/二軸延伸ポリアミドフィルム/ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム/アルミニウム箔/ポリプロピレンフィルムのような仕様のものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アルミニウム箔をバリア層とする従来のレトルト包装用フィルムは、内容物が見えないため販売促進効果が乏しいという問題点があった。
また、電子レンジで使用するような場合、アルミニウム箔の利用を避けなければならないという問題点がある。
また、アルミニウム箔は、包装材料の環境問題から環境破壊の元凶の一つであるとされ、その使用が避けられているものである。
また、アルミニウム箔を使用した包装材は、シール不良の確認や金属探知機を使用した異物の検査を行うことができないという問題点もある。
【0006】
そこで、内容物が見えるようにするため、上記のような仕様の層構成から不透明なアルミニウム箔を除き、バリア性の高いアルミニウム箔に代替可能な素材及び加工法が求められている。
例えば、基材フィルムの上に、酸化アルミニウムや、酸化珪素等の無機酸化物からなる蒸着膜を設ける構成からなる透明バリアフィルムを用いて種々の透明レトルトパウチが提案され、使用されている。
上記の透明レトルトパウチは、従来のアルミニウム箔や、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層をコーティングしたフィルムを用いたレトルトパウチと比較して、透明性に優れ、且つ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性、保香性、使用後の容器の廃棄処理適性に優れた包装容器を製造することであり、今後、その需要が大いに期待されるものである。
例えば、透明バリアレトルト処理用積層体の層構成としては、例えば、二軸延伸ポリエステルフィルム(無機酸化物の蒸着面)/二軸延伸ポリアミドフィルム/未延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム/(無機酸化物の蒸着面)二軸延伸ポリアミドフィルム/未延伸ポリプロピレンフィルムのような仕様のものがある。
【0007】
しかしながら、上記仕様の透明バリアレトルト処理用積層体において、無機酸化物の蒸着膜からなるバリア層より、二軸延伸ポリアミドフィルム層、接着剤層、未延伸ポリプロピレンフィルムの方が、内容物に接する面側にあるため、金属従来のアルミニウム箔をバリア層として使用する積層体からなるレトルトパウチと比較して、レトルト処理後に二軸延伸ポリアミドフィルム層、接着剤層、未延伸ポリプロピレンフィルムより、モノマーや添加剤等の低分子量成分が内容物に接する面に移行するため、香味等のバリア性に劣るという問題点がある。
【0008】
このため、上記課題を解決すべく、以下の透明バリアレトルト処理用積層体の層構成について検討を行った。
しかしながら、例えば、二軸延伸ポリエステルフィルム(無機酸化物の蒸着面)/未延伸ポリプロピレンフィルムの積層体を使用してレトルト用包装材料とすると、ピンホールの発生、耐寒衝撃性に劣る等の強度不足の問題点がある。
また、他の層構成として、二軸延伸ポリアミドフィルム(無機酸化物の蒸着面)/未延伸ポリプロピレンフィルムの積層体を使用してレトルト用包装材料とすると、レトルト処理を施すことでナイロンフィルム層の吸湿、乾燥により、ナイロンフィルム層に伸縮が生じ、バリア性が低下するという問題点がある。
また、更に別の層構成として、二軸延伸ポリエステルフィルム/二軸延伸ポリアミドフィルム(無機酸化物の蒸着面)/未延伸ポリプロピレンフィルムの積層体を使用してレトルト用包装材料とすると、最外層の二軸延伸ポリエステルフィルムの保香性が高いため、レトルト処理を施すことで、二軸延伸ポリアミドフィルムより、モノマーや添加剤等の低分子量成分が内容物に接する面に移行してしまい、内容物よりフィルム臭が僅かに発生し、なお満足なレベルに至っていない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意研究の結果、本発明は、少なくとも、酸化防止剤を添加して製膜された二軸延伸ポリアミドフィルムからなる最外層、片面に無機酸化物の蒸着膜を設けた二軸延伸ポリエステルフィルムからなる中間層、未延伸ポリオレフィンフィルムからなるヒートシール層の順に積層され、ウレタン系接着剤層を介してドライラミネートされる積層体であって、前記の蒸着膜がヒートシール層側に設けられていることを特徴とする透明バリアレトルト処理用積層体を製造し、更に、該積層体を使用し、これをヒートシールして製袋し透明バリアレトルト処理容器を製造し、次いで、その開口部から内容物を充填し、更に、開口部を密閉して包装半製品を製造し、次いで、該包装半製品を、温度、110℃〜130℃位、圧力、1〜3Kgf/cm2・G位で20〜60分間程度、加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理を施してレトルト処理包装体を製造したところ、従来バリア層として用いられていた不透明なアルミニウム箔を使用することなく、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、内容物の味覚、品質等の変質を起こさない官能的に極めて優れ、耐熱性、耐圧性、ヒートシール性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、印刷適性にも優れ、更に、使用後の容器の廃棄処理適性に優れた透明バリアレトルト処理用積層体を製造し得ることができることを確認し、本発明を完成したものである。
また、上記において、本発明によれば、前記の無機酸化物の蒸着膜が、酸化アルミニウム蒸着膜、および/または、酸化ケイ素蒸着膜からなることを特徴とする透明バリアレトルト処理用積層体を提供することができる。
また、前記の二軸延伸ポリアミドフィルムが、一方の面に、酸化アルミニウム蒸着膜、酸化ケイ素蒸着膜、および/または、バリア樹脂からなるコーティング層を設けることを特徴とする透明バリアレトルト処理用積層体を提供することができる。
また、前記の二軸延伸ポリアミドフィルムが、MXDナイロンフィルム、または、ナイロン樹脂層とMXDナイロン樹脂層とナイロン樹脂層とからなる多層積層フィルムからなることを特徴とする透明バリアレトルト処理用積層体を提供することができる。
また、前記の未延伸ポリオレフィンフィルムが、ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明バリアレトルト処理用積層体を提供することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
上記の本発明にかかる透明バリアレトルト処理用積層体について図面等を用いて本発明の実施の形態を以下に詳しく説明する。
図1は、本発明にかかる透明バリアレトルト処理用積層体の一例を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の積層体は、最外層として二軸延伸ポリアミドフィルムと、中間層として二軸延伸ポリエステルフィルムと、ヒートシール層として未延伸ポリオレフィンフィルムとを順次積層し、各層間をウレタン系接着剤層を介してドライラミネートして積層体であって、中間層がヒートシール層側の面に、酸化アルミニウム蒸着膜、および/または、酸化ケイ素蒸着膜等の無機酸化物の蒸着層を設けた構成とするものである。
【0011】
図2は、本発明の別態様の透明バリアレトルト処理用積層体の一例を示す断面図である。
図2に示すように、本発明の積層体は、最外層として二軸延伸ポリアミドフィルム、中間層として二軸延伸ポリエステルフィルム、ヒートシール層として未延伸ポリオレフィンフィルムとを順次積層し、各層間をウレタン系接着剤層を介してドライラミネートして積層体であって、基材層が中間層側の面に酸化アルミニウム蒸着膜、酸化ケイ素蒸着膜、および/または、バリア樹脂コーティング層からなるハイバリアコート層を設け、中間層がヒートシール層側の面に酸化アルミニウム蒸着膜、および/または、酸化ケイ素蒸着膜等の無機酸化物の蒸着層を設けた構成とするものである。
【0012】
上記の例示は、本発明にかかる透明バリアレトルト処理用積層体の例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
例えば、本発明において、必要に応じて、図示しないが、最外層のポリアミド樹脂フィルム層の表面若しくは裏面、または、ポリエチレン樹脂フィルムのポリアミド樹脂フィルム層側の面に、例えば、文字、記号、図形、絵柄、その他等からなる所望の印刷模様層を設けることができるものである。
【0013】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる積層体、該積層体を使用した包装用容器等を構成する材料、その製造法等について説明する。
まず、本発明において、本発明にかかる積層体の最外層を構成するポリアミド樹脂フィルムとしては、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性を有し、かつ、耐熱性、耐衝撃性、耐突き刺し性、耐寒衝撃性等に優れ、強靱性に富み、更に、印刷適性を有し、無機酸化物の蒸着膜、あるいはバリア樹脂等のコーティング膜を保持し得るポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トであればいずれのものでも使用することができる。
具体的には、例えば、MXDナイロン樹脂、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、その他等の各種のポリアミド系樹脂との単層、ないし、2層以上からなる多層積層フィルムを使用することができる。
中でも、MXDナイロン樹脂等の芳香族ポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂に比べ、耐熱性に優れるため、より好ましいものである。
【0014】
また、酸化防止剤を添加することにより、ボイル・レトルト処理を施してもポリアミド樹脂の酸化による劣化を防止するため、好ましいものである。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン、チオプロピオン酸誘導体、有機リン酸エステル、金属不活性化剤等を使用することができ、中でも、ポリアミド樹脂に通常使用される酸化防止剤として、具体的に、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル(チバガイギー社製、商品名「イルガノックス1222」)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(チバガイギー社製、商品名「イルガノックス1098」)、トリエチレングリコール−ビス 〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバガイギー社製、商品名「イルガノックス245」)ペンタエリスリチル・テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバガイギー社製、商品名「イルガノックス1010」)等が使用できる。
【0015】
なお、上記の多層積層フィルムにおいて、各層間には、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、その他等の接着性樹脂層を介して積層することができる。
而して、上記のMXDナイロン6フィルム、あるいは、多層積層フィルムは、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等の通常の2軸延伸方法で2軸方向に延伸加工した2軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを使用することが望ましく、また、その膜厚としては、10〜200μm位が好ましく、10〜50μm位がより望ましい。
【0016】
また、上記のMXDナイロンフィルム、あるいは、多層積層フィルムは、必要ならば、アンカ−コ−ト剤等をコ−ティングした表面平滑化処理、あるいは、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、火炎処理、オゾン処理等の任意の前処理等を施すこともできる。
【0017】
本発明において、上記の多層積層フィルムの製造法について説明すると、その製造法としては、例えば、Tダイ法、インフレ−ション法等がある。
具体的には、フィ−ドブロック法、マルチマニホ−ルド法等の多層Tダイキャスト成形法、あるいは、多層インフレ−ション成形法等の成形方法を使用して、例えば、ナイロン樹脂層/MXDナイロン樹脂層/ナイロン樹脂層等の2種3層からなる多層積層フィルム等を製造することができるものである。
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる多層積層フィルムを構成する各層の厚さとしては、例えば、ナイロン樹脂層の厚さとしては、約1〜200μm位が好ましくは、5〜50μm位がより好ましい。
また、MXDナイロン樹脂層としては、約1〜100μm位が好ましく、5〜50μm位がより好ましい。
【0018】
また、2軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの片面ないし両面に酸化アルミニウム蒸着膜、シリカ蒸着膜等の無機蒸着膜、塩化ビニリデン樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂等のバリア性のコーティング膜等を設けることによって、ボイル・レトルト処理による吸湿、乾燥によるポリアミド樹脂フィルムのバリア性能劣化、デラミネーションの劣化等を防止することができる。
【0019】
なお、本発明においては、上記のポリアミド樹脂には、酸化防止剤以外に、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、染料、顔料等を任意に添加して使用することができる。
【0020】
本発明において、本発明にかかる透明バリアレトルト積層体の中間層を構成する2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムとしては、透明性、保香性、耐熱性、耐水性(非吸収性)、機械的強度、寸法安定性などの加工適性等に優れ、更に、無機酸化物の蒸着膜を保持することができ、かつ、印刷適性を有するポリエステル樹脂のフィルムないしシ−トであればいずれのものでも使用することができる。
【0021】
次にまた、本発明において、本発明の中間層は2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの上に無機酸化物の蒸着膜を設けすことが好ましいものである。
必要に応じて、2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの上に塩化ビニリデン樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂のバリア性樹脂コーティング膜を使用することができる。
前記の無機酸化物の蒸着膜としては、基本的に金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を使用することができる。
而して、包装用材料等に適するものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を挙げることができる。
而して、上記の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX(ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、包装用材料としては、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜3000Å位が好ましく、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することがより好ましい。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の薄膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した積層体の状態でもよく、また、使用する金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の薄膜を構成することもできる。
【0022】
次に、本発明において、ポリエルテル樹脂フィルムの上に、無機酸化物の蒸着膜を形成する方法について説明すると、かかる方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
本発明において、無機酸化物の蒸着膜形成法について具体的に説明すると、上記のような金属の酸化物を原料とし、これを加熱してポリエルテル樹脂フィルム、の上に蒸着する真空蒸着法、または原料に金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させてポリエルテル樹脂フィルムの上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。
また、本発明においては、酸化ケイ素の蒸着膜を形成する場合、オルガノシロキサンを原料とするプラズマ化学気相成長法を用いて蒸着膜を形成することができる。
【0023】
上記において、無機酸化物の蒸着膜としての酸化ケイ素の蒸着膜は、少なくとも珪素と酸素とを構成元素として有する珪素化合物からなり、更に、微量構成元素として、炭素または水素の一種以上の元素を含み、また、その膜厚が、100〜500Åの範囲内であることが好ましいものである。
而して、本発明において、上記のような酸化ケイ素の蒸着膜としては、有機珪素化合物を原料とし、低温プラズマ発生装置等を利用するプラズマ化学気相成長法を用いて形成した蒸着膜を使用することができる。
上記において、有機珪素化合物としては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された蒸着膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0024】
また、必要に応じて、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者等の表示、その他等の表示のために、文字、絵柄、図形、記号等の任意の印刷層を最外層の裏面、または、紙基材層の表面に設けるものが好ましいものである。かかる印刷層は、例えば、通常のインキ組成物を使用してオフセット印刷あるいはグラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷、その他等の通常の印刷法等によって形成することができる。
【0025】
次に、本発明において、ヒ−トシ−ル層について説明すると、かかる層としては、レトルト加工処理に耐え、更に熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよい。
具体的には、例えば、低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、線状低密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂フィルム、アイオノマ−樹脂フィルム、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂フィルム、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂フィルム、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、メチルペンテン樹脂フィルム、ポリブテン樹脂フィルム、酸変性ポリオレフィン系樹脂等の樹脂のフィルムを使用することができる。
そのフィルムの厚さとしては、10〜300μm、好ましくは、20〜100μm位が望ましい。
本発明においては、上記のようなヒ−トシ−ル性フィルムのなかでも、特に、ヒ−トシ−ル性を有するため、レトルト耐性に優れる無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを使用することが好ましい。
特に温度120℃以上のハイレトルト(HTST)には、融点が145〜165℃の無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを使用することが好ましい。
而して、本発明においては、上記のヒ−トシ−ル性を有する無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムのなかでも、具体的には、エチレン−プロピレンコポリマ−を主成分とし、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等の樹脂から製膜したフィルムを使用することが好ましい。
必要に応じ、これにオレフィン系ゴム成分を添加し、更に所望の添加剤を任意に添加し、充分に混練してなる組成物を、例えば、押し出し成形等によりフィルム化してなるヒ−トシ−ル性を有する無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを使用することが望ましい。
【0026】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して積層体を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ共押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、その他等で行うことができる。中でもドライラミネーション法が好ましい。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができる。
【0027】
前記のドライラミネートに用いる接着剤としては、ウレタン系接着剤が好ましい。
ウレタン系接着剤としては、レトルト用として使用されているタイプのものであればいずれも利用することが可能であり、たとえば、2液反応型ポリウレタン系接着剤としてポリエステルポリオールなどの水酸基を有するポリオール成分とジイソシアネートなどのイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分とからなり、水酸基とイソシアネート基の反応でウレタン結合を形成し硬化するもの等を用いることができる。
前記のウレタン系接着剤のコート量は、乾燥重量として0.5〜5.0g/m2程度が好ましいものである。
【0028】
積層体の各層を形成する樹脂には、本発明の目的の達成を阻害しない範囲で、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤のような公知の添加剤を随時添加することができる。
公知のもので衛生的に支障のないものであればそれ以外の使用も可能である。
【0029】
次に、本発明において、積層体を使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造したレトルトパウチ用積層体を使用し、ヒ−トシ−ル性フィルムの食品に接する面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の積層体を、ヒ−トシ−ル性フィルムの食品に接する面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の積層体を使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
【0030】
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0031】
本発明において、上記のようにして製造した透明バリアレトルトパウチは、極めて広範にわたる食品を密封、及び、殺菌することができる。
上記の透明バリアレトルトパウチに充填し、密封するのに特に適する食品の例としては、カレー、シチューなどのレトルト食品、味噌等の調味料、こんにゃく、ちくわ、蒲鉾等の練り製品、ハム、ソーセージ等の燻製製品、ミートボール、ハンバーグ等の調理済み食品、水産加工製品、漬物、佃煮、嗜好品等の液状ないし粘体状の飲食品である。
【0032】
本発明において、上記のようにして製造した透明バリアレトルトパウチに、食品を充填包装した包装体を、例えば、レトルト釜に入れ、温度200℃、圧力2kg/cm2 で30分間レトルト処理して、過酷な殺菌処理を行っても、耐えることができ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、内容物の味覚、品質等の変質を起こさない官能的に極めて優れ、耐熱性、耐圧性、ヒートシール性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、耐寒衝撃性、印刷適性にも優れ、更に、使用後の容器の廃棄処理適性に優れた透明バリアレトルト包装製品を得ることができるものである。
【0033】
【実施例】
次に、具体的な実施例に従って本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)まず、酸化防止剤を添加して製膜された厚み15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(以下「ON」という。)の片面に文字、記号、図形等からなる所望の印刷絵柄をグラビア印刷した。
次に、前記のONフィルムの印刷面にポリウレタン系接着剤を3.5g/m2 (乾燥状態)塗布し、片面に酸化アルミニウム蒸着膜を形成する12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PET」という。)の蒸着なし面とをドライラミネーション法によりラミネートして積層フィルムを作製した。
次に、前記の積層フィルムの酸化アルミニウム蒸着膜の形成面に、ポリウレタン系接着剤を3.5g/m2 (乾燥状態)塗布し、厚さ70μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(以下「CPP」という。)とを順次ドライラミネーション法で積層して、層構成がON15μm/印刷層/接着剤層/PET12μm/酸化アルミニウム蒸着膜/接着剤層/CPP70μm(内面)の本発明にかかる実施例1の積層体を作製し、40℃×30分間エージングした。
以下に実施例1で用いた材料の種類を示す。
ONフィルム:商品名「エンブレムNX」(ユニチカ(株)製)
酸化アルミニウム蒸着PETフィルム:商品名「東メタ1031HGCR」(東洋メタライジング(株)製)
CPPフィルム:商品名「アロマーU」(昭和電工プラスチックプロダクツ(株)製)
印刷インキ:東洋インキ(株)製
接着剤:商品名「DIC LX703/KR90」(大日本インキ(株)製)、混合比;LX703/KR90=15/1
次いで、得られた積層体を用いて130mm×170mmの大きさに2枚切り取り、CPPを相対向するように配置し、縦2辺、横1辺を10mm幅で熱圧着(条件200℃、2kg/cm2、0.5秒)してレトルトパウチを得た。
次いで、水100gを充填し、プレスシ−ルを行い、半製品を製造した。
次いで、蒸気式のレトルト釜で、温度120℃、圧力2.1kgf/cm2・G、30分間のレトルト条件でレトルト殺菌を実施し、本発明にかかる透明バリアレトルト処理包装体を得た。
上記で製造した透明バリアレトルト処理包装体は、レトルト処理して、過酷な殺菌処理を行っても、耐えることができ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、内容物の味覚、品質等の変質を起こさない官能的に極めて優れ、耐熱性、耐圧性、ヒートシール性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、耐寒衝撃性、印刷適性にも優れ、更に、使用後の容器の廃棄処理適性に優れるものであった。
【0034】(比較例1)
実施例1と同じ材料を使用して、片面に酸化アルミニウム蒸着膜を形成する12μmのPETフィルムの蒸着面に文字、記号、図形等からなる所望の印刷絵柄をグラビア印刷した。
次に、前記の酸化アルミニウム蒸着PETフィルムの印刷面にポリウレタン系接着剤を3.5g/m2 (乾燥状態)塗布し、15μmのONフィルムとをドライラミネーション法によりラミネートして積層フィルムを作製した。
次に、前記の積層フィルムのONフィルム面に、ポリウレタン系接着剤を3.5g/m2 (乾燥状態)塗布し、厚さ70μmのCPPフィルムとを順次ドライラミネーション法で積層して、層構成がPET12μm/酸化アルミニウム蒸着膜/印刷層/接着剤層/ON15μm/接着剤層/CPP70μm(内面)の比較例1の積層体を作製し、40℃×30分間エージングした。
以下に比較例1で用いた材料の種類を示す。
酸化アルミニウム蒸着PETフィルム:商品名「東メタ1011HGCR」(東洋メタライジング(株)製)
上記で製造した積層体を使用し、それ以外は、上記の実施例1と同様の方法で、レトルト処理容器、レトルト処理包装体を製造した。
【0035】(比較例2)
12μmのPETフィルムに文字、記号、図形等からなる所望の印刷絵柄をグラビア印刷した。
次に、前記のPETフィルムの印刷面にポリウレタン系接着剤を3.5g/m2 (乾燥状態)塗布し、片面に酸化ケイ素蒸着膜を形成する15μmのONフィルムの蒸着膜なし面とをドライラミネーション法によりラミネートして積層フィルムを作製した。
次に、前記の積層フィルムのONフィルムの蒸着面に、ポリウレタン系接着剤を3.5g/m2 (乾燥状態)塗布し、厚さ70μmのCPPフィルムとを順次ドライラミネーション法で積層して、層構成がPET12μm/印刷層/接着剤層/ON15μm/酸化ケイ素蒸着膜/接着剤層/CPP70μm(内面)の比較例2の積層体を作製し、40℃×30分間エージングした。
比較例2で用いた材料の種類を示す。
酸化ケイ素蒸着ONフィルム:商品名「テックバリア NRグレード」(三菱化学興人パックス(株)製)
PETフィルム:商品名「東レP60C」(東レ(株)製)
それ以外の材料は、実施例1と同じ材料を使用した。
上記で製造した積層体を使用し、それ以外は、上記の実施例1と同様の方法で、レトルト処理容器、レトルト処理包装体を製造した。
【0036】(比較例3)
実施例1と同じ材料を使用して、15μmのONフィルムの片面に文字、記号、図形等からなる所望の印刷絵柄をグラビア印刷した。
次に、前記のONフィルムの印刷面にポリウレタン系接着剤を3.5g/m2 (乾燥状態)塗布し、片面に酸化アルミニウム蒸着膜を形成する12μmのPETフィルムの蒸着面とをドライラミネーション法によりラミネートして積層フィルムを作製した。
次に、前記の積層フィルムのPETフィルム面に、ポリウレタン系接着剤を3.5g/m2 (乾燥状態)塗布し、厚さ70μmのCPPフィルムとを順次ドライラミネーション法で積層して、層構成がON15μm/印刷層/接着剤層/酸化アルミニウム蒸着膜/PET12μm/接着剤層/CPP70μm(内面)の本発明にかかる比較例3の積層体を作製し、40℃×30分間エージングした。
上記で製造した積層体を使用し、それ以外は、上記の実施例1と同様の方法で、レトルト処理容器、レトルト処理包装体を製造した。
【0037】(比較例4)
片面に酸化ケイ素蒸着膜を形成する12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PET」という。)の蒸着面に文字、記号、図形等からなる所望の印刷絵柄をグラビア印刷した。
次に、前記の積層フィルムの印刷面にポリウレタン系接着剤を3.5g/m2 (乾燥状態)塗布し、厚さ70μmのCPPフィルムとを順次ドライラミネーション法で積層して、層構成がPET12μm/酸化ケイ素蒸着膜/印刷層/接着剤層/CPP70μm(内面)の比較例4の積層体を作製し、40℃×30分間エージングした。
以下に比較例4で用いた材料の種類を示す。
酸化ケイ素蒸着PETフィルム:商品名「テックバリア Tグレード」(三菱化学興人パックス(株)製)
それ以外の材料は、実施例1と同じ材料を使用した。
上記で製造した積層体を使用し、それ以外は、上記の実施例1と同様の方法で、レトルト処理容器、レトルト処理包装体を製造した。
【0038】(実験1:官能試験)
実施例1および比較例1〜4で得られたレトルト処理包装体を使用して、内容物(ミネラルウォーター)へのポリアミドのモノマー成分等による臭気成分の影響に関する官能試験を行った。
パネラー15人により、上記レトルト処理済みの各試料について、別に用意したアルミニウム箔を使用した従来品のレトルト処理包装体のミネラルウォ−タ−との比較で、従来品の方を臭気成分が少ないと評価した人数を表1に示した。
【0039】(実験2:酸素透過度の測定)
実施例1および比較例1〜4で得られた積層体(レトルト処理前、及び、レトルト処理済み)を使用して、JIS K7126B法で、測定装置MODERNCONTROL INC.製OXTRANにて測定した。結果を表1に示す。
【0040】(実験3:水蒸気透過度の測定)
実施例1および比較例1〜4で得られた積層体(レトルト処理前、及び、レトルト処理済み)を使用して、JIS K7129B法で、測定装置MODERN
CONTROL INC.製PERMATRANにて測定した。
【0041】(実験4:突き刺し強度試験)
突き刺し強度は、厚生省告示20号に準じて、先端0.5R、直径1mmの針により速度50mm/分で積層体の突き刺し強度を測定した。単位はkgである。
【0042】(実験結果)
【表1】
【0043】
上記の表1に示すテスト結果から明らかなように、実施例1にかかるものは、従来品と比較して、レトルト処理後の内容物にフィルム臭の移行がなく、臭味に優れ、レトルト処理前後の酸素透過度、水蒸気透過度も3.0cc/m2・day以下で、優れたバリア性を有するものであり、また、突き刺し強度にも優れるものであった。
これに対し、比較例1において、レトルト処理後の内容物よりフィルム臭があり、また、比較例2において、レトルト処理後の内容物よりフィルム臭があり、、レトルト処理後の酸素透過度、3.0cc/m2・day以上となり、バリア性が劣化しており、好ましくなかった。
比較例3において、レトルト処理後の酸素透過度、3.0cc/m2・day以上となり、バリア性が極端に劣化しており、好ましくなかった。
比較例4において、レトルト処理後の内容物より印刷インキ臭があり、また、突き刺し強度に劣るものであった。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、少なくとも、酸化防止剤を添加して製膜された二軸延伸ポリアミドフィルムからなる最外層、片面に無機酸化物の蒸着膜を設けた二軸延伸ポリエステルフィルムからなる中間層、未延伸ポリオレフィンフィルムからなるヒートシール層の順に積層され、ウレタン系接着剤層を介してドライラミネートされる積層体であって、前記の蒸着膜がヒートシール層側に設けた透明バリアレトルト処理用積層体を製造し、更に、該積層体を使用し、これを製函してレトルト処理容器を製造し、次いで、その開口部から内容物を充填し、更に、その開口部を密閉して包装半製品を製造し、次いで、該包装半製品を、温度110℃〜130℃位、圧力1〜3kgf/cm2・G位で20〜60分間くらい加圧加熱殺菌等のレトルト処理を施してレトルト処理包装体を製造したところ、アルミニウム箔を用いることなく、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、内容物の味覚、品質等の変質を起こさない官能的に極めて優れ、耐熱性、耐圧性、ヒートシール性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、耐寒衝撃性、印刷適性にも優れ、更に、使用後の容器の廃棄処理適性に優れた透明バリアレトルト処理用積層体およびそれを使用したレトルト処理包装製品を製造し得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる透明バリアレトルト処理用積層体の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の別態様の透明バリアレトルト処理用積層体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 2軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層
2 2軸延伸ポリエステル樹脂フィルム層
3 無機酸化物の蒸着層
4 ポリオレフィン樹脂フィルム層
5 接着剤層
6 印刷層
7 ハイバリアコート層
10 透明バリアレトルト処理用積層体
Claims (5)
- 少なくとも、酸化防止剤を添加して製膜された二軸延伸ポリアミドフィルムからなる最外層、片面に無機酸化物の蒸着膜を設けた二軸延伸ポリエステルフィルムからなる中間層、未延伸ポリオレフィンフィルムからなるヒートシール層の順に積層され、ウレタン系接着剤層を介してドライラミネートされる積層体であって、前記の蒸着膜がヒートシール層側に設けられていることを特徴とする透明バリアレトルト処理用積層体。
- 前記の無機酸化物の蒸着膜が、酸化アルミニウム蒸着膜、および/または、酸化ケイ素蒸着膜からなることを特徴とする請求項1記載の透明バリアレトルト処理用積層体。
- 前記の二軸延伸ポリアミドフィルムが、一方の面に、酸化アルミニウム蒸着膜、酸化ケイ素蒸着膜、および/または、バリア樹脂からなるコーティング層を設けることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の透明バリアレトルト処理用積層体。
- 前記の二軸延伸ポリアミドフィルムが、MXDナイロンフィルム、または、ナイロン樹脂層とMXDナイロン樹脂層とナイロン樹脂層とからなる多層積層フィルムからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明バリアレトルト処理用積層体。
- 前記の未延伸ポリオレフィンフィルムが、ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明バリアレトルト処理用積層体。
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