JP3674643B2 - 医療用液体バッグ - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液、薬液又は血液用バッグ等の医療用液体バッグに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
輸液、薬液、血液用バッグ等の医療用液体容器は、強度が高く、安全性等に優れることを必要とするのは勿論であるが、内容液を容器の外から肉眼でチェックできることが要求されるので、透明度の高いという特性は医療用液体容器において大きな利点となる。従来より、このような医療用液体容器としては、ガラスビン、ポリエチレンやポリプロピレン等のブロー成形ビン、ポリエチレンやポリ塩化ビニル製バッグ又はエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを形成材料とした容器などが使用されているが、これらの医療用液体容器には、以下のような様々な問題がある。
【0003】
即ち、ガラスビンは、破損し易いために取り扱いを慎重にする必要があり、また、使用時に空気流入孔が必要なために異物や雑菌等が混入する可能性があるのでそれに対する配慮も必要となる上に、ガラスビンの使用方法によってはガラス中に含まれるアルカリ物質が内容液中へ溶出する場合もあるので使用方法が制限されたり、更に硬質であるために廃棄しにくい等の問題がある。また、ブロー成形ビン、ポリエチレンやポリ塩化ビニル製バッグ及びエチレン−酢酸ビニル共重合体製容器は、透明性が不足すると共に、レトルト殺菌等の高温殺菌に対する耐性に乏しく、更に可塑剤、酸化防止剤、安定剤や残留塩化ビニルモノマー等の低分子量成分を含有するために、容器の使用方法によってはこれらの成分が内容液中に溶出して衛生上の問題となるので使用方法が制限される。更にエチレン−酢酸ビニル共重合体の場合は電子線等で架橋させて、その耐熱性をよくする等の処理をしなければならないという問題があり、その上、燃焼により有害ガスを発生するので通常の廃棄を行うことができない等の環境面での問題も生じている。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、透明性に優れ、且つ内容液中への溶出物も少なく、更に医療用液体容器が必要とするその他の特性、すなわち熱接着性、レトルト殺菌(例えば121℃処理)等の高温殺菌に対する耐熱性、低温時における柔軟性及び耐衝撃性等を兼備した医療用液体バッグを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、以下の医療用液体バッグを提供する。
請求項1:
透明な基材フィルムの少なくとも一方の面に、シンジオタクチックポリプロピレンと、エチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレンと、オレフィン系エラストマーとを配合してなるポリプロピレン系フィルムを積層したプラスチックフィルムの前記ポリプロピレン系フィルムを最内層に有する医療用液体バッグであって、
前記ポリプロピレン系フィルムがシンジオタクチックポリプロピレンを40〜90重量%、エチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレンを5〜30重量%、及びオレフィン系エラストマーを5〜30重量%配合してなることを特徴とする医療用液体バッグ。
請求項2:
前記オレフィン系エラストマーがエチレン系エラストマー及び/又はプロピレン系エラストマーである請求項1記載の医療用液体バッグ。
請求項3:
透明な基材フィルムの少なくとも一方の面に、シンジオタクチックポリプロピレンと、エチレン系エラストマー及びプロピレン系エラストマーとを配合してなるポリプロピレン系フィルムを積層したプラスチックフィルムの前記ポリプロピレン系フィルムを最内層に有することを特徴とする医療用液体バッグ。
請求項4:
前記ポリプロピレン系フィルムがシンジオタクチックポリプロピレンを60〜95重量%、エチレン系エラストマー及びプロピレン系エラストマーを合計で5〜40重量%含有してなる請求項3記載の医療用液体バッグ。
請求項5:
前記エチレン系エラストマーがエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、前記プロピレン系エラストマーがプロピレンとα−オレフィンとの共重合体である請求項2乃至4のいずれか1項に記載の医療用液体バッグ。
請求項6:
前記基材フィルムがポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及びエチレン−ポリビニルアルコール共重合体フィルムよりなる群から選択された1種又は2種以上のフィルムである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医療用液体バッグ。
請求項7:
前記ポリプロピレン系フィルムのフィルム厚さが20〜200μmである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医療用液体バッグ。
【0006】
本発明における液体容器用プラスチックフィルムは、そのフィルム形成材料として、透明な基材フィルムと、シンジオタクチックポリプロピレンに高分子系改質剤としてエチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレン及び/又はオレフィン系エラストマーを配合したポリプロピレン系フィルムとを用い、これらを押出ラミネート、ドライラミネート又は共押出製膜加工等の手段によって積層して得られる多層構成体フィルムであり、このような多層構成によって、透明性に優れるのみならず、耐熱性、柔軟性及び耐衝撃性等を兼備するプラスチックフィルムを得るものである。なお、上記高分子系改質剤は、主として低温耐衝撃性を改善することを目的として配合されるものである。
【0007】
ここで、上記基材フィルムのフィルム材料として、透明性に優れ、且つ比較的機械的強度の大きいプラスチックフィルムであるポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン及びエチレン−ポリビニルアルコール共重合体フィルムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上のフィルムを使用すると、フィルム作成が容易で、且つこれらのプラスチックのフィルム特性を兼備するより優れた液体容器用プラスチックフィルムが得られる。
【0008】
また、オレフィン系エラストマーとして、エチレン系エラストマー及び/又はプロピレン系エラストマー、特に、それぞれエチレン又はプロピレンとα−オレフィンとを共重合してなるエラストマーを使用すると、ポリプロピレン系フィルムの低温耐衝撃性、透明性等のフィルム特性がより向上する。
【0009】
そして、ポリプロピレン系フィルムが高分子系改質剤としてエチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレン又はオレフィン系エラストマーを使用する場合は、シンジオタクチックポリプロピレン60〜95重量%に対し、エチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレン又はオレフィン系エラストマーを5〜40重量%、一方、高分子系改質剤としてエチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレン及びオレフィン系エラストマーを使用する場合には、シンジオタクチックポリプロピレンを40〜90重量%に対し、エチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレンを5〜30重量%、オレフィン系エラストマーを5〜30重量%配合すると、より効果的である。
【0010】
本発明における液体容器用プラスチックフィルムは、上記ポリプロピレン系フィルムが液体容器の最内層となるように使用すれば、多層構成体フィルムにおける上記ポリプロピレン系フィルムの特性をより有効に利用することができる。
【0011】
なお、ポリプロピレン系フィルムのフィルム厚さを20〜200μmとすると、ポリプロピレン系フィルムのフィルム特性がより好適に発揮された液体容器用プラスチックフィルムが得られる。
【0012】
本発明における液体容器用プラスチックフィルムは、透明性に優れ、有機物の溶出もほとんどなく、かつフィルム強度が高い等の優れたフィルム特性を有するので、フィルム強度に優れると共に、内容液中に有機物溶出がほとんどないことが要求されるのみならず、透明性にも優れることが要求される医療用液体容器の形成材料として特に有用である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本発明における液体容器用プラスチックフィルムAの縦断面図である。このプラスチックフィルムAは、ポリプロピレン系フィルム層1及び基材層(基材フィルム)2からなる多層構成フィルムである。
【0015】
ポリプロピレン系フィルム層1は、シンジオタクチックポリプロピレンに、高分子系改質剤としてエチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレン及び/又はオレフィン系エラストマーを配合したものを製膜したものであり、その層厚(フィルム厚さ)は、特に制限されるものではないが、好ましくは20〜200μm、より好ましくは50〜100μmとすると好適である。20μm未満では、例えば医療用の液体容器の形成材料として使用する場合、必要な機械的強度が得られない場合があり、200μmを超えるとプラスチックフィルムAのフィルム厚さが厚くなり過ぎ、透明性にやや欠ける場合がある。
【0016】
ポリプロピレン系フィルム層1は、単一構成からなる単層フィルムである必要はなく、例えばシンジオタクチックポリプロピレンにオレフィン系エラストマーを配合してなるフィルムをA、Aと同成分からなり、それらの配合割合が異なるフィルムをA´、シンジオタクチックポリプロピレンにエチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレンを配合してなるフィルムをB、Bと同成分からなり、それらの配合割合が異なるフィルムをB´、シンジオタクチックポリプロピレンにエチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレンとオレフィン系エラストマーとを配合してなるフィルムをC、Cと同成分からなり、それらの配合割合が異なるフィルムをC´とした場合、その目的、用途により、例えばA/B/A、A/C/A、A/B、A/C、A/A´/A、B/B´/B、C/C´/CというようにA〜C´の各フィルムを適宜組み合わせて多層積層した複層フィルムとすることもできる。
【0017】
基材層2は、透明なフィルムであれば、その材質や層厚さは特に制限されるものではないが、延伸又は二軸延伸ポリアミドフィルムやポリエチレンフタレート、ポリプロピレン、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体から得られる透明性に優れ、且つ比較的強度の大きいフィルムにより形成されていることが好ましく、その層厚は10〜50μmであることが好ましく、より好ましくは12〜30μmである。10μm未満では、例えば医療用の液体容器の形成材料として使用する場合、必要な強度が得られない場合があり、50μmを超えると医療用の液体容器の形成材料として望ましい柔軟性や透明性が得られなくなる場合がある。なお、基材層2は、上記のプラスチックフィルムを適宜組み合わせて積層したものであってもよい。
【0018】
上記構成のプラスチックフィルムAは、以下のようにして製造することができる。
【0019】
まず、使用するシンジオタクチックポリプロピレンとしては、その物性が特に制限されるものではないが、13C−NMRで測定したシンジオタクチックペンタッド分率が0.7以上、特に0.77〜0.99であり、また、230℃で測定したメルトフローインデックスが0.01〜100g/10分、特に0.1〜20g/10分程度であることが好ましい。上記範囲以外では目的とする物性が十分に得られない場合がある。また、その密度が0.88〜0.9であることが好ましく、上記範囲以外では十分な透明性が得られない場合がある。
【0020】
高分子系改質剤として使用されるオレフィン系エラストマーとしては、エチレン系エラストマーやプロピレン系エラストマーが好ましく、より好ましくはエチレン又はプロピレンにα−オレフィンを共重合して得られるエラストマーである。この場合、エチレン又はプロピレン70〜85重量%に対してα−オレフィンを15〜30重量%の割合で配合すると、ポリプロピレン系フィルムの透明性はさらに優れたものとなる。また、α−オレフィンとしては例えば1−ブテン、1−ヘキセン、プロピレン等を挙げることができるが、これらの中でも1−ブテン又は1−ヘキセンが好適に用いられる。なお、本発明におけるオレフィン系エラストマーは、エチレン系エラストマー及びプロピレン系エラストマーをそれぞれ単独で、又は組み合わせて使用することができる。なお、本発明におけるオレフィン系エラストマーとしては、190℃で測定したメルトフローインデックスが0.1〜50g/10分、特に1〜20g/10分程度であることが好ましく、この範囲以外では目的とする物性が十分に得られない場合がある。
【0021】
また、高分子系改質剤として使用されるエチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレンとしては、1〜6重量%のエチレンを含むランダム共重合体やブロック共重合体が好適である。エチレンが1重量%未満では、エチレンとの共重合体とした効果が十分に得られない場合があり、6重量%を超えると、得られるポリプロピレン系フィルムの融点が低くなって、使用性が悪くなる場合がある。なお、ランダム共重合体としては、190℃で測定したメルトフローインデックスが0.1〜50g/10分、特に1〜20g/10分程度のものが好適に使用される。
【0022】
本発明における液体容器用プラスチックフィルムAは、高分子系改質剤としてエチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレン又はオレフィン系エラストマーのいずれか一方を配合する場合、シンジオタクチックポリプロピレンを60〜95重量%、特に70〜80重量%、高分子系改質剤を5〜40重量%、特に20〜30重量%とすることが好ましい。上記範囲以外では、本発明の目的とするフィルム特性を十分に得るのが困難な場合がある。また、高分子系改質剤としてエチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレン及びオレフィン系エラストマーの両方を配合する場合、上記と同様の理由により、シンジオタクチックポリプロピレンを40〜90重量%、特に60〜80重量%、エチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレン及びオレフィン系エラストマーを各々5〜30重量%、特に10〜20重量%とすると好適である。
【0023】
ポリプロピレン系フィルム層1及び基材層2が各々単一構成の単層フィルムである場合、上記の割合で配合したフィルム材料を例えば基材層2のフィルム材料であるポリアミドと共に共押出製膜加工することにより、ポリプロピレン系フィルム層1と基材層2とを一体に製膜して得られる。なお、上記プラスチックフィルムAの製膜方法は、共押出製膜加工のみならず、例えばポリプロピレン系フィルム層1及び基材層2をそれぞれ単層フィルムとして予め製膜しておき、本発明の目的を妨げることのない適当な接着性樹脂やアンカー剤を用いてこれらを積層する方法、基材層2を予め単層フィルムとして製膜しておき、その上にポリプロピレン系フィルム層1を溶融接着させる押出ラミネート方法等を採用することもできる。また、ポリプロピレン系フィルム層1及び基材層2が各々複層フィルムである場合も、上記方法と同様にして製造することができ、ポリプロピレン系フィルム層1や基材層2を予め各々製膜しておき、その後にこれらを積層して液体容器用プラスチックフィルムAを製造してもよく、ポリプロピレン系フィルム層1と基材層2とを一体製膜して液体容器用プラスチックフィルムAを製造してもよい。
【0024】
なお、本発明における液体容器用プラスチックフィルムAは、ポリプロピレン系フィルム層1と基材層2とからなる2層構成に限られるものではなく、図2に示すように、基材層2の両面にそれぞれポリプロピレン系フィルム層1,1を積層してもよい。この場合、ポリプロピレン系フィルム層1,1は、同一の構成のポリプロピレン系フィルムからなるものであってもよく、互いに異なった構成のポリプロピレン系フィルムからなるものであってもよい。
【0025】
このようにして得られたポリプロピレン系フィルムは、JIS−K−7105により測定された透明度が80%以上であることが好ましく、特に90%以上であるとより好適である。
【0026】
液体容器用プラスチックフィルムAは、これを形成材料として、例えば輸液用バッグを作成することができる。この場合、例えばプラスチックフィルムAを適宜大きさに裁断し、ポリプロピレン系フィルム層1が容器最内層となるように重ね合わせた後、内容液(ここでは輸液)用のキャップ付きなどの注入部を設け、その注入部が開口している以外は四周が密閉された偏平の長方形袋状やスタンディング形状となるようにインパルスシール、溶断シール又は熱板シール等の手段によりバッグを作成し、輸液を上記注入部から注入してキャップを締めることなどの手段により輸液をバッグ内に密閉収納し、これを例えば105〜125℃で0.5〜2時間加熱する熱殺菌処理を施して、輸液の保存、運搬に使用することができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例と比較例とに基づいて説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0028】
[実施例1〜4、比較例1〜3]
表1に示す構成でTダイキャスト法により厚さが100μmとなるように実施例1〜4、比較例1〜3のポリプロピレン系フィルムを製膜し、各ポリプロピレン系フィルムについてJIS−K−7105に従って透明度を測定した。結果を表1に併記する。また、各フィルムをウレタン系接着剤を使用して厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムの両面に積層し、総厚さが約220μmの液体容器用プラスチックフィルムを作製し、各フィルムにより作製した袋について下記の落下衝撃強度試験を行った。結果を表1に併記する。なお、シンジオタクチックポリプロピレンはSPH−0401[商品名:三井東圧化学(株)製:135℃のテトラリン溶液で測定した極限粘度が1.28dl/g、125℃の1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で、67.5MHz、13C−NMRで測定したシンジオタクチックペンタッド分率が0.793、135℃の1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が2.4、230℃で測定したメルトフローインデックスが4.4g/10分]、高分子系改質剤はプロピレン系エラストマーであるタフマーXR−110T[商品名:三井石油化学工業(株)製]、エチレン系エラストマーであるタフマーA−4085[商品名:三井石油化学工業(株)製]、エチレンを共重合したアイソタクチックポリピロピレンは三井ノーブレンEFL560[商品名:三井東圧化学(株)製]、二軸延伸ポリアミドフィルムは二軸延伸ナイロン6フィルムであるエンブレム[商品名:ユニチカ(株)製]を使用した。
【0029】
JIS−K−7105:全光線透過率(透明度)試験
プラスチックフィルムを50×50mmに裁断して試験片とする。試験片は各プラスチックフィルムについて3枚ずつ用意する。積分球式光線透過率測定装置であるNDH−Σ80(日本電色工業株式会社製)に試験片を取り付けて全光線透過光量(透明度)を測定する。
落下衝撃強度試験
プラスチックフィルムを使用して、ヒートシール条件を180〜210℃、2kg/cm2、1〜2秒間とし、150×200mmの三方シール袋に精製水500mlを充填した後、121℃の温度条件下で60秒間の熱殺菌処理を施し、その後、高さ1.2mより自由落下させた。各実施例及び比較例につき、各5枚の三方シール袋を作製し(n=5)、各袋をそれぞれ連続7回落下させ、その結果を平均した。
【0030】
【表1】
【0031】
表1の結果によれば、本発明の医療用液体バッグは透明度に優れるのみならず、低温耐衝撃性にも優れていることが認められる。それに対して、シンジオタクチックポリプロピレンのみからなるポリプロピレン系フィルムを用いたバッグの場合(比較例1)、透明性は優れているが低温耐衝撃性に劣り、一方、エチレン共重合ポリプロピレンブロックコポリマーのみからなるポリプロピレン系フィルムを用いたバッグ(比較例2)やエチレン系エラストマーとエチレンランダム共重合アイソタクチックポリプロピレンとからなるポリプロピレン系フィルムを用いたバッグ(比較例3)の場合、透明性に劣り、内容液を外側から肉眼で観察できることを必要とする医療用の液体バッグとしては不適格であるのみならず、低温耐衝撃性に劣ることが認められる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性に優れ、且つ内容液中への溶出物も少なく、更に医療用の液体容器が必要とするその他の特性、すなわち熱接着性、レトルト殺菌等の高温殺菌に対する耐熱性、低温時における柔軟性及び耐衝撃性等を兼備した医療用液体バッグを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における液体容器用プラスチックフィルムの一形態を示す縦断面図である。
【図2】 本発明における液体容器用プラスチックフィルムの他の形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
A 液体容器用プラスチックフィルム
1 ポリプロピレン系フィルム層
2 基材層(基材フィルム)
Claims (7)
- 透明な基材フィルムの少なくとも一方の面に、シンジオタクチックポリプロピレンと、エチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレンと、オレフィン系エラストマーとを配合してなるポリプロピレン系フィルムを積層したプラスチックフィルムの前記ポリプロピレン系フィルムを最内層に有する医療用液体バッグであって、
前記ポリプロピレン系フィルムがシンジオタクチックポリプロピレンを40〜90重量%、エチレンを共重合したアイソタクチックポリプロピレンを5〜30重量%、及びオレフィン系エラストマーを5〜30重量%配合してなることを特徴とする医療用液体バッグ。 - 前記オレフィン系エラストマーがエチレン系エラストマー及び/又はプロピレン系エラストマーである請求項1記載の医療用液体バッグ。
- 透明な基材フィルムの少なくとも一方の面に、シンジオタクチックポリプロピレンと、エチレン系エラストマー及びプロピレン系エラストマーとを配合してなるポリプロピレン系フィルムを積層したプラスチックフィルムの前記ポリプロピレン系フィルムを最内層に有することを特徴とする医療用液体バッグ。
- 前記ポリプロピレン系フィルムがシンジオタクチックポリプロピレンを60〜95重量%、エチレン系エラストマー及びプロピレン系エラストマーを合計で5〜40重量%含有してなる請求項3記載の医療用液体バッグ。
- 前記エチレン系エラストマーがエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、前記プロピレン系エラストマーがプロピレンとα−オレフィンとの共重合体である請求項2乃至4のいずれか1項に記載の医療用液体バッグ。
- 前記基材フィルムがポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及びエチレン−ポリビニルアルコール共重合体フィルムよりなる群から選択された1種又は2種以上のフィルムである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医療用液体バッグ。
- 前記ポリプロピレン系フィルムのフィルム厚さが20〜200μmである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医療用液体バッグ。
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