JP3573091B2 - 易剥離性フィルムおよびこれを用いた医療用包装容器 - Google Patents

易剥離性フィルムおよびこれを用いた医療用包装容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、優れた易剥離性を示すフィルム、およびこれを用いた医療用包装容器に関する。
なお、本明細書において、易剥離性とは二つの部材を相対的に高温で熱溶着することによる実質的に剥離開封できない強熱溶着部と、二つの部材を相対的に低温で熱溶着することによる(以下低温溶着という)容易に剥離できる弱熱溶着部とを、一種類の材料から選択的に形成できる性質をいう。
【0002】
【従来の技術】
従来、低温溶着により容易に剥離できる接着面を形成することで開封を容易にした蓋材および包装材や、容易に剥離できる隔壁によって区画された医療用複室容器が採用されている。
医療用複室容器は、混合した状態では変質などにより保存性が悪くなる薬剤や薬液を、使用直前に無菌混合するなどの用途に使われている。これは、容易に剥離可能な隔壁によって区画される複数の室に内容物を別々に保存しておき、使用直前に容器を手で圧縮して隔壁を剥離させ、複数の室を連通させて内容物を無菌混合させるというものである。
この複室容器は易剥離性を有する単層フィルム、あるいは易剥離性を有するフィルムを積層した多層フィルムから形成される。まず、フィルムの縁部を相対的に高温で強固に熱溶着し、形成された容器の外側から加熱金型で相対的に低温で熱溶着して、容易に剥離可能な隔壁を形成することにより複数の室に区画する。なお、複室容器が易剥離性を有しない樹脂から形成された容器の場合、複室容器内の隔壁は易剥離性フィルム(通常、容器を形成しているフィルムに使われている樹脂と、これと非相溶である樹脂との混合物から形成されたものが採用される)を隔壁部に挿入して熱溶着することによって形成することができる。
【0003】
医療用容器に用いられる易剥離性フィルムは医療安全性、廃棄性に加え、耐熱性、透明性、柔軟性、耐衝撃性をも満足し得るものでなければならず、これまでに数多くの提案がなされている。
例えば、ポリプロピレン系ポリマーとエチレン・α−オレフィン系エラストマーとの混合物からなる易剥離性フィルム(特開平7−136234号公報、特開平8−131515号公報)や、主成分であるポリプロピレン系ポリマーやポリエチレン系ポリマーと、スチレン系エラストマーとの混合物からなるフィルム(特開平8−229099号公報、特開平8−229100号公報)が公知である。しかし、これらのフィルムはα−オレフィン含有量またはエラストマー含有量が多いため、耐熱性が悪く、形成された隔壁の剥離強度の変化やばらつきが増大し、115℃以下でしか高圧蒸気滅菌を行うことが出来ない。
一方、ポリオレフィン系樹脂と耐熱性に優れたポリメチルペンテン系樹脂などの非相溶性樹脂との樹脂組成物から形成された易剥離性フィルム(特公平7−96283号公報)は、非相溶性樹脂の配合量が多いため、透明性、柔軟性が悪く、医療用容器としては不適切となる。
【0004】
さらに、プロピレンの均質相コポリマーを内壁に用いたバッグ(特開平10−314275号公報)も公知である。該プロピレンの均質相コポリマーとしては、融点が150〜160℃であって、エチレン成分を約3重量%含むものが良いとされているが、このコポリマーからなるバッグは、耐熱性には優れるが、剥離可能な隔壁を形成できる低温溶着の温度範囲が137.5±1℃と狭く、該隔壁の形成が困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性、柔軟性、透明性に優れ、さらに剥離可能な隔壁を形成できる低温溶着の温度範囲の広い、易剥離性フィルムおよびこれを用いた医療用包装容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために種々鋭意検討したところ、融点の異なる2種以上のプロピレン系重合体の混合物を用いることにより、所期の目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明はプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)と、該共重合体(A)とα−オレフィン含有率の異なるプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)および/またはプロピレン単独重合体(C)の混合物からなる易剥離性フィルムである。
また、本発明は、該フィルムを少なくとも一方の表面層として用いた易剥離性積層フィルムである。
さらに、本発明は、前記易剥離性フィルムまたは易剥離性積層フィルムを用いた医療用包装容器である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は、融点が110〜130℃であり、好ましくは115〜125℃である。一方、本発明のプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)は、融点が130〜170℃であり、好ましくは135〜155℃である。また、プロピレン単独重合体(C)は、融点が130〜170℃であり、好ましくは161〜170℃である。(A)の融点が110℃より低い場合や、(B)または(C)の融点が130℃より低い場合は、成形後のフィルムや包装容器の耐熱性が悪く、高圧蒸気滅菌後の透明性の低下や容器の変形が起こるおそれがある。また、(A)の融点が130℃より高い場合は、(B)または(C)との融点の差が小さくなり、易剥離性の隔壁の形成が困難になる。
さらに、(A)の融点と(B)または(C)の融点の差は、少なくとも5℃であることが好ましく、より好ましくは7℃以上である。融点の差が5℃より小さいと、強熱溶着部と弱熱溶着部とを選択的に形成することは困難になる。
ここで言う融点とは、該共重合体または単独重合体のペレットのDSC(示差走査熱量)測定を行った結果、融解による吸熱ピークが最大であった温度のことである。
【0009】
本発明のプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)のα−オレフィン含有率は5〜20モル%、好ましくは7〜15モル%である。また、本発明のプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)のα−オレフィン含有率は8モル%以下、好ましくは7モル%以下である。α−オレフィン含有率が20モル%よりも多いプロピレン・α−オレフィン共重合体を使用した場合、該共重合体を含む混合物から成形されたフィルムは、耐熱性や透明性が悪くなるだけでなく、易剥離性の隔壁を作製した場合、その剥離強度が高くなり、該隔壁を手で剥離させることが困難になる。
【0010】
本発明の易剥離性フィルムを形成する混合物は、プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)とプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)、およびプロピレン単独重合体(C)の3種の混合物であってもよいが、(A)と(B)、または(A)と(C)の2種の混合物であってもよい。また、(A)が110〜130℃の融点を持つ2種以上のプロピレン・α−オレフィン共重合体から成るものであったり、(B)が130〜170℃の融点を持つ2種以上のプロピレン・α−オレフィン共重合体から成るものであったり、あるいは(C)が130〜170℃の融点を持つ2種以上のプロピレン単独重合体から成るものであってもよい。
【0011】
本発明のプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)のα−オレフィンとしては、炭素数2または4〜8のα−オレフィン、具体的にはエチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、またはこれらの2種以上が用いられる。すなわち、本発明のプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)の具体例としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体等の2元共重合体の他、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体等の3元共重合体であってもよい。
また、本発明のプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)のα−オレフィンも、前記共重合体(A)と同様のものが使用できる。本発明の易剥離性フィルムを形成する混合物が、(A)と(B)の両方を含むものである場合は、(A)と(B)のα−オレフィンは、その含量が異なっていれば、同じものであっても異なるものであっても差し支えない。
本発明では、前記(A)または(B)のα−オレフィンがエチレンであることが好ましく、前記(A)および(B)のα−オレフィンが両方ともエチレンであることがより好ましい。
【0012】
本発明のプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は、曲げ弾性率2,000〜10,000kg/cmを有するものが好ましく、より好ましくは3,000〜6,000kg/cmである。また、本発明のプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)は曲げ弾性率3,000〜17,000kg/cmを有するものが好ましく、より好ましくは4,000〜7,000kg/cmである。また、プロピレン単独重合体(C)は、曲げ弾性率3,000〜17,000kg/cmを有するものが好ましく、より好ましくは3,000〜15,000kg/cmである。前記(A)の曲げ弾性率が2,000kg/cmより小さい場合や、(B)または(C)の曲げ弾性率が3,000kg/cmより小さい場合は、共重合体(A)と共重合体(B)および/または単独重合体(C)の混合物から作製したフィルムの強度が不足し、べたつきが生じるおそれがある。また、前記(A)の曲げ弾性率が10,000kg/cmより大きい場合や、(B)または(C)の曲げ弾性率が17,000kg/cmより大きい場合は、共重合体(A)と共重合体(B)および/または単独重合体(C)の混合物から作製したフィルムの柔軟性が不足する可能性がある。
【0013】
本発明のプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)と、プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)および/またはプロピレン単独重合体(C)の重量混合比率は15〜85:85〜15であるのが好ましく、より好ましくは20〜70:80〜30であり、最も好ましくは30〜50:70〜50である。(A)が15重量%より少なく、(B)および/または(C)が85重量%より多くなると、作製したフィルムによって易剥離性の隔壁を形成したとき、該隔壁の剥離強度が低すぎたり、該隔壁を形成するときの溶着温度の範囲が狭くなる。また(A)が85重量%より多く、(B)および/または(C)が15重量%より少なくなると、逆に該隔壁の剥離強度が高すぎたり、該フィルムにべたつきが生じるおそれがある。
【0014】
本発明の易剥離性フィルムは、前記プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)と、プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)および/またはプロピレン単独重合体(C)の混合物から常法に従い作製される。該混合物の混合方法は特に限定されないが、あらかじめ樹脂ペレットをドライブレンドする方法や、2軸押出機を用いて溶融ブレンドする方法が好ましく用いられる。
本発明の混合物は、易剥離性フィルムに成形加工する上で、従来公知の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加しても差し支えなく、好ましい添加量は前記混合物に対して0.001〜10重量%である。本発明の条件範囲内であれば、相溶化剤等の熱可塑性樹脂、滑剤、耐ブロッキング剤、帯電防止剤、顔料、抗菌剤等を添加してもよい。また、オゾン処理、コロナ処理、蒸着処理などの公知の表面処理を施してもよい。
【0015】
本発明の易剥離性フィルムは、ガスバリヤー性、易剥離性、力学的性質等の向上のため、該フィルムを少なくとも一方の表面層とし、他の樹脂の層を積層させた易剥離性積層フィルムであってもよい。前記他の樹脂および他の樹脂の層の数は、用途により好ましいものが選択されて使用される。具体的には、他の樹脂とは、ポリプロピレン系樹脂、プロピレン・α−オレフィン共重合体、ポリエチレン系樹脂、エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリブテン等のα−オレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂の他、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂、またはこれらの樹脂の混合物等である。本発明の易剥離性積層フィルムは、例えば、容器の蓋剤や輸液バッグ用ゴム栓キャップの密封フィルムなどに使用する場合は、本発明の易剥離性フィルムをシーラント層として、ポリエチレンテレフタレートあるいはナイロンからなる基材を積層させた、易剥離性積層フィルムが好ましく用いられる。また、易剥離性の隔壁を有する複室容器や易剥離性の隔壁を口部に有する容器などに使用する場合は、本発明の易剥離性フィルムを内層として、ポリプロピレン・α−オレフィン共重合体とエラストマーからなる中間層、およびポリプロピレン・α−オレフィン共重合体からなる外層を積層させた、易剥離性積層フィルムが好ましく用いられる。
【0016】
本発明の易剥離性フィルムはTダイ成形、インフレーション成形等、一般の熱可塑性樹脂に用いられる成型方法と同様の方法で製造できる。また、易剥離性積層フィルムは、共押出し成形、ドライラミネート、押出しコーティングなどの方法で作製できる。
上記の方法で得られる本発明の易剥離性フィルムは、肉厚が5〜500μm程度であることが好ましく、20〜400μmであることがより好ましい。5μmより薄いとフィルムの強度が不十分であったり、優れた易剥離性を示す隔壁を形成することが困難になる。また、500μmより厚いとフィルムの柔軟性が低下し、フィルムの溶着も困難になる。
また、本発明の易剥離性積層フィルムは、肉厚が10〜500μm、好ましくは20〜400μmである。該フィルム中、易剥離性を有するフィルムが占める割合は、フィルム全体の厚さの5%以上、好ましくは10%以上である。5%より少ないと、該フィルムから形成された易剥離性の隔壁の剥離強度が低下する。
【0017】
次に、本発明の具体例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の易剥離性積層フィルムを用いた蓋剤を有する容器を示す図であり、図2は、本発明の易剥離性積層フィルムを用いた密封フィルムを有する輸液バッグ用ゴム栓キャップを示す図である。また、図3は、本発明の易剥離性積層フィルムを用いた、口部に易剥離性の隔壁を有する容器を示す図であり、図4は、本発明の易剥離性積層フィルムを用いた、易剥離性の隔壁を有する複室容器を示す図である。図5および図6は、図3および図4に示す容器の、易剥離性の隔壁部分2の断面図である。本発明の易剥離性フィルム、または易剥離性フィルムからなる層11と他の樹脂からなる層12、13とを有する易剥離性積層フィルムは、図1に示すように易剥離可能な容器の蓋材(ブリスターパックなど)や、図2に示すように輸液バッグ用ゴム栓キャップの密封フィルムなどに用いても良いし、図3または図4に示すように易剥離性の隔壁2を有する医療用包装容器に成形することもできる。該包装容器は、上記フィルムを熱溶着することにより成形できるが、上記混合物から直接、ブロー成形、真空成形等の方法で製造することもできる。本発明の易剥離性積層フィルムを用いる場合は、上記用途に使用する際、図1、図2および図5に示すように、易剥離性フィルムからなる層11が最内層になるように用いる。
【0018】
本発明の医療用包装容器のうち、例えば図4に示す複室容器は、インフレーション成形によって得られた前記フィルムの中央を低温溶着することにより易剥離性の隔壁2を形成して、内容物を充填した後、該フィルムの縁部を強固に熱溶着して得られる。また、前記易剥離性の隔壁を形成した後、内容物を充填するための口部材をフィルムの縁部に挿入した状態で該縁部を強固に熱溶着して前記容器を得ることもできる。さらに、図6に示すように易剥離性のないフィルム14から形成された可撓性容器の隔壁形成部分に、本発明の易剥離性フィルム11または易剥離性積層フィルムを挿入し、該容器の外側から熱溶着することにより易剥離性の隔壁を形成することもできる。
【0019】
本発明の易剥離性フィルムまたは易剥離性積層フィルムを用いて易剥離性の隔壁を形成するには、易剥離性フィルムまたは易剥離性積層フィルム中の易剥離性を有するフィルムを形成している混合物のうち、最も低い融点を持つ重合体の融点より高い温度で、且つ最も高い融点を持つ重合体の融点より低い温度で熱溶着する。具体的には(用いる樹脂の成分や溶着機の仕様、及び溶着条件にもよるが)130〜150℃程度で低温溶着するのが好ましい。従来の低温溶着が137.5±1℃のような狭い温度範囲で行われていたのに比べ、本発明のフィルムを用いて易剥離性の隔壁を形成する場合は、その温度範囲が広いため、易剥離性の隔壁の成形不良が起こりにくい。この条件で低温溶着することにより、T字剥離強度(張り合わせた短冊状試験片を用い、引き剥がす角度を180°になるようにしてインストロン型万能試験機等を用いて測定したもの)が0.2〜0.6kg/15mm(引張速度300mm/分)の易剥離性の隔壁が得られる。該隔壁を有する複室容器は、該容器を手などで圧縮して該隔壁を剥離させて、容易に複数の室を連通させることができる。一方、該複室容器の強固に熱溶着された縁部を形成するには、最も高い融点を持つ共重合体の融点より高い温度で熱溶着する。具体的には150〜220℃で熱溶着することが好ましい。
【0020】
前記溶着の方法としては、熱金型による溶着、超音波溶着、高周波溶着など、通常のオレフィン系熱可塑性樹脂に用いられる方法と同様の方法が使用できる。上記方法により作成された複室容器は、内容物を充填して密封した後、通常110〜121℃で高圧蒸気滅菌される。該内容物は、人工腎臓用透析液、濾過型人工腎臓用置換液、輸液製剤の他、液体に限らず、粉体、固体などであってもよい。前記複室容器は、115℃以上の温度で滅菌を行っても、易剥離性の隔壁の剥離性や容器の透明性に変化が起こらない。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0022】
実施例で用いた樹脂を以下に示す。該樹脂はそれぞれ、ペレット状に加工したものを使用する。
Figure 0003573091
【0023】
(実施例1〜4)
PP−AおよびPP−Bを、重量混合比率2:1(実施例1)、1:1(実施例2)、1:2(実施例3)、またPP−AおよびPP−Cを重量混合比率2:1(実施例4)にてドライブレンドして混合物を作成した。
得られた混合物を、水冷インフレーションフィルム成形機を用いて、厚さ200μm、折り径(筒状フィルムを折りたたんだ時の幅)200mmの筒状フィルムに成形した。該筒状フィルムを長さ300mmに切断し、その中央を、130℃、140℃および150℃の3種の金型温度で、幅15mmに渡り、圧力5.0kg/cmで10秒間低温溶着して隔壁を形成した。該隔壁により形成された筒状フィルム内の各室に200mlの蒸留水を充填し、両端を180℃の金型温度で、幅10mmに渡り、圧力5kg/cmで10秒間強熱溶着して密封して、複室容器を作製した。
(実施例5)
内層としてPP−AおよびPP−Bを重量混合比率2:3でドライブレンドしたものを用い、中間層としてPP−BおよびPEを重量混合比率4:1でドライブレンドしたものを用い、さらに外層としてPP−Bを用いて、3種3層の水冷インフレーション共押出フィルム成形機により積層フィルムを成形した。該積層フィルムは、厚さ200μm、折り径200mmの筒状フィルムで、内層、中間層および外層の厚さの比は、2:3:5であった。該筒状フィルムを用いて、実施例1〜4と同様の操作により複室容器を作製した。
【0024】
(比較例1、2)
実施例1〜4と同様の操作により、PP−Aの単層フィルム(比較例1)、およびPP−Bの単層フィルム(比較例2)からなる複室容器を作製した。
【0025】
(易剥離性フィルムおよび複室容器の評価)
(a)医療安全性評価
上記実施例1〜5で得られたフィルムを、第13改正日本薬局方プラスチック製医薬品容器基準に基づいて、溶出物試験を行ったところ、いずれも合格し、医療用フィルムとして十分な安全性を持つことが確認できた。
【0026】
(b)引張弾性率評価
上記実施例1〜5および比較例1、2で得られたフィルムをダンベル片に切断し、オートグラフ(AG−500D、島津製作所社製)を使用して、引張弾性率(JIS−K7127)を測定した。その結果を表1に示す。
下記表1から明らかなように、本発明および比較例のいずれのフィルムも医療用包装容器に作製して使用するのに十分な弾性を有していることがわかる。
【0027】
(c)光線透過率評価
上記実施例1〜5および比較例1、2で得られた複室容器を、121℃で、1.5kg/cmの圧力で20分間高圧蒸気滅菌処理を行った後、分光光度計(U−3210、日立製作所社製)を使用し、第13改正日本薬局方「プラスチック製医薬品容器試験法」に従い、水中における波長450nmの光線透過率を測定し、フィルムの透明性を評価した。その結果を表1に示す。
下記表1から明らかなように、実施例1〜5のいずれの複室容器も高圧蒸気滅菌後の透明性が維持された。
【0028】
(d)T字剥離強度測定
前記の条件で高圧蒸気滅菌処理した実施例1〜5および比較例1、2で得られた複室容器の易剥離性の隔壁部分を、オートグラフ(AG−500D、島津製作所社製)を使用して、フィルム幅15mm、試験速度300mm/分の180°T字剥離試験によって剥離強度を測定した。その結果を表1に示す。
下記表1からも明らかなように、実施例1〜5の易剥離性フィルムを使用した複室容器は、130℃、140℃、150℃のいずれの金型温度で低温溶着したものも、高圧蒸気滅菌後に優れた剥離強度を得ることが示された。しかし、比較例1のフィルムを使用した複室容器は、いずれの金型温度で低温溶着しても剥離強度が高く、比較例2のフィルムを使用した複室容器も150℃で低温溶着した場合のみ優れた剥離強度をしめし、低温溶着可能な温度範囲が狭いことが示された。
【0029】
【表1】
Figure 0003573091
【0030】
【発明の効果】
本発明の易剥離性フィルムは、プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)と該共重合体(A)とα−オレフィン含有率の異なるプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)および/またはプロピレン単独重合体(C)の混合物からなるフィルムを用い、その融点の差を利用して低温融着することにより、優れた易剥離性の隔壁を形成することができ、さらにその溶着温度の範囲は、従来の温度範囲に比べて広くなるため、易剥離性の隔壁の成形不良などが起こるおそれもない。また、115℃以上の高い温度で滅菌を行っても、透明性や易剥離性の隔壁の剥離強度が悪化することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の易剥離性積層フィルムを用いた蓋剤を有する容器を示す図である。
【図2】本発明の易剥離性積層フィルムを用いた密封フィルムを有する輸液バッグ用ゴム栓キャップを示す図である。
【図3】本発明の易剥離性積層フィルムを用いた、口部に易剥離性の隔壁を有する容器を示す図である。
【図4】本発明の易剥離性積層フィルムを用いた、易剥離性の隔壁を有する複室容器を示す図である。
【図5】図3および図4に示す容器の、易剥離性の隔壁部分の断面図である。
【図6】図3および図4に示す容器の、易剥離性の隔壁部分の断面図である。
【符号の説明】
11 易剥離性フィルムからなる層
12、13 他の樹脂からなる層
14 易剥離性のないフィルム
2 易剥離性の隔壁

Claims (7)

  1. α−オレフィン含有率が5〜20モル%であり、かつ、融点が110〜130℃であるプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)と、α−オレフィン含有率が該プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)のα−オレフィン含有率と異なり、かつ、融点が130〜170℃であって、プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)の融点との差が少なくとも5℃であるプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)および/または融点が161〜170℃であるプロピレン単独重合体(C)の混合物からなり、前記プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)と、プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)および/またはプロピレン単独重合体(C)との重量混合比が、15〜85:85〜15であり、前記オレフィン・α−共重合体(A)またはプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)のα−オレフィンが炭素数2または4〜8のα−オレフィンである易剥離性フィルム
  2. 前記プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)のα−オレフィンがエチレンである、請求項1記載の易剥離性フィルム。
  3. 前記プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)のα−オレフィンがエチレンである、請求項1〜記載の易剥離性フィルム。
  4. 前記混合物が、プロピレン・エチレン共重合体(A)とプロピレン・エチレン共重合体(B)の混合物である、請求項1〜記載の易剥離性フィルム。
  5. 前記混合物がプロピレン・エチレン共重合体(A)とプロピレン単独重合体(C)の混合物である、請求項1〜記載の易剥離性フィルム。
  6. 請求項1〜記載のフィルムを少なくとも一方の表面層として用いた積層フィルムである、易剥離性積層フィルム。
  7. 請求項1〜記載の易剥離性フィルムまたは易剥離性積層フィルムを用いた医療用包装容器。
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