JP2002283520A - 積層フィルム及びそれから作製された医療用容器 - Google Patents
積層フィルム及びそれから作製された医療用容器Info
- Publication number
- JP2002283520A JP2002283520A JP2001087064A JP2001087064A JP2002283520A JP 2002283520 A JP2002283520 A JP 2002283520A JP 2001087064 A JP2001087064 A JP 2001087064A JP 2001087064 A JP2001087064 A JP 2001087064A JP 2002283520 A JP2002283520 A JP 2002283520A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- outer layer
- laminated film
- intermediate layer
- layer
- melting point
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Package Specialized In Special Use (AREA)
- Bag Frames (AREA)
- Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 医療用容器の材質として好適な透明性・柔軟
性・耐熱性の全ての特性を備えた積層フィルム、及び安
全性が高く、取扱いに優れた医療用容器を提供する。 【解決手段】 積層フィルム1の基本的な態様は、中間
層3と、それを挟む第1外層2及び第2外層3の少なく
とも3層からなる積層フィルムであって、上記中間層が
実質的に無定形のプロピレン系ポリマーからなり、第1
外層及び第2外層が実質的に定形のプロピレン系ポリマ
ー、好ましくはポリプロピレン−エチレンランダム共重
合体からなる。好適には、上記中間層が、融点が165
℃以下であり、かつ190℃における溶融粘度が20
0,000mPa・s以上の実質的に無定形のプロピレ
ン系ポリマーからなり、第1外層及び第2外層が実質的
に定形のポリプロピレン−エチレンランダム共重合体か
らなる。この積層フィルムの第2外層を、内容物と接す
る内面側に配して成形してなる医療用容器も提供され
る。
性・耐熱性の全ての特性を備えた積層フィルム、及び安
全性が高く、取扱いに優れた医療用容器を提供する。 【解決手段】 積層フィルム1の基本的な態様は、中間
層3と、それを挟む第1外層2及び第2外層3の少なく
とも3層からなる積層フィルムであって、上記中間層が
実質的に無定形のプロピレン系ポリマーからなり、第1
外層及び第2外層が実質的に定形のプロピレン系ポリマ
ー、好ましくはポリプロピレン−エチレンランダム共重
合体からなる。好適には、上記中間層が、融点が165
℃以下であり、かつ190℃における溶融粘度が20
0,000mPa・s以上の実質的に無定形のプロピレ
ン系ポリマーからなり、第1外層及び第2外層が実質的
に定形のポリプロピレン−エチレンランダム共重合体か
らなる。この積層フィルムの第2外層を、内容物と接す
る内面側に配して成形してなる医療用容器も提供され
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、柔軟性及
び耐熱性を併せ有する積層フィルム並びにそれから作製
された医療用容器、特に医療用バッグに関する。
び耐熱性を併せ有する積層フィルム並びにそれから作製
された医療用容器、特に医療用バッグに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、点滴用あるいは輸血用等の医療用
容器の分野においては、長期間に亘り塩化ビニル材質の
容器が使用されてきた。塩化ビニル樹脂は、透明性・柔
軟性に優れ、121℃以上の高温での滅菌処理に耐え得
るため、医療用容器の材質として好適であった。しか
し、塩化ビニル樹脂は、廃棄物として焼却する際にダイ
オキシンの発生源になり易いという欠点があり、近年は
あらゆる分野で使用が控えられるようになっている。そ
のため、医療用容器においても、最近は塩化ビニル樹脂
に替わる材質としてポリオレフィン系の材質が開発さ
れ、広く使われている。
容器の分野においては、長期間に亘り塩化ビニル材質の
容器が使用されてきた。塩化ビニル樹脂は、透明性・柔
軟性に優れ、121℃以上の高温での滅菌処理に耐え得
るため、医療用容器の材質として好適であった。しか
し、塩化ビニル樹脂は、廃棄物として焼却する際にダイ
オキシンの発生源になり易いという欠点があり、近年は
あらゆる分野で使用が控えられるようになっている。そ
のため、医療用容器においても、最近は塩化ビニル樹脂
に替わる材質としてポリオレフィン系の材質が開発さ
れ、広く使われている。
【0003】例えば、特開平5−293168号にはポ
リプロピレンを主体とした医療容器用基材が記載されて
いるが、柔軟性あるいは耐熱性に乏しいという問題があ
る。また、特開平8−131515号には、ポリプロピ
レン系ポリマーとエチレン−α−オレフィンコポリマー
系エラストマーとの重合体組成物を用いる医療用容器が
記載されており、特開平9−75444号には、プロピ
レンを主成分とするランダムコポリマーとプロピレン以
外のα−オレフィンを主成分とするポリマーとのブロッ
クコポリマーを用いる医療用容器基材が記載されている
が、いずれも耐熱性に乏しいという問題がある。さら
に、特表平8−511216号には、複合チャンバの医
療用バッグのための多層ポリマーフィルムとして、多く
の樹脂の組み合わせが記載されている。しかし、これら
の組み合わせは全て、柔軟性あるいは耐熱性において不
充分なものである。すなわち、柔軟性があるものは耐熱
性に乏しく、耐熱性があるものは柔軟性に乏しい。
リプロピレンを主体とした医療容器用基材が記載されて
いるが、柔軟性あるいは耐熱性に乏しいという問題があ
る。また、特開平8−131515号には、ポリプロピ
レン系ポリマーとエチレン−α−オレフィンコポリマー
系エラストマーとの重合体組成物を用いる医療用容器が
記載されており、特開平9−75444号には、プロピ
レンを主成分とするランダムコポリマーとプロピレン以
外のα−オレフィンを主成分とするポリマーとのブロッ
クコポリマーを用いる医療用容器基材が記載されている
が、いずれも耐熱性に乏しいという問題がある。さら
に、特表平8−511216号には、複合チャンバの医
療用バッグのための多層ポリマーフィルムとして、多く
の樹脂の組み合わせが記載されている。しかし、これら
の組み合わせは全て、柔軟性あるいは耐熱性において不
充分なものである。すなわち、柔軟性があるものは耐熱
性に乏しく、耐熱性があるものは柔軟性に乏しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来、
医療用容器の材質として種々のポリオレフィン系材料が
開発されているが、医療用容器の材質として必要な「安
全性」、「透明性」、「柔軟性」、「耐熱性」の全てを
満足するものは未だ得られていない。ここで、これらの
要件の重要性についてまとめれば以下のとおりである。 (1)安全性:医療用容器は、直接人体に注入する薬液
等を収納する容器なので、容器材料からの樹脂成分また
は金属イオン等の溶出が無い(あるいは極めて少ない)
という安全性の確保は重要課題である。 (2)透明性:医療用容器においては、医療事故を防ぐ
ため、薬液の濁りや薬液中のゴミ等の不良品があった場
合には、使用前に必ず発見しなければならない。そのた
め、容器の透明性の確保は重要課題である。
医療用容器の材質として種々のポリオレフィン系材料が
開発されているが、医療用容器の材質として必要な「安
全性」、「透明性」、「柔軟性」、「耐熱性」の全てを
満足するものは未だ得られていない。ここで、これらの
要件の重要性についてまとめれば以下のとおりである。 (1)安全性:医療用容器は、直接人体に注入する薬液
等を収納する容器なので、容器材料からの樹脂成分また
は金属イオン等の溶出が無い(あるいは極めて少ない)
という安全性の確保は重要課題である。 (2)透明性:医療用容器においては、医療事故を防ぐ
ため、薬液の濁りや薬液中のゴミ等の不良品があった場
合には、使用前に必ず発見しなければならない。そのた
め、容器の透明性の確保は重要課題である。
【0005】(3)柔軟性:医療用容器においては、例
えば点滴等を行なうに際して、容器内の薬液を一定速度
で完全に排出できることが必要である。容器壁が硬い
と、薬液の排出に伴って容器内に陰圧が生じ、薬液の排
出が途中で止まったり、薬液が逆流したりして、医療事
故の原因となる。また、容器壁が硬いと落下に対する強
度が低い。したがって、容器材質の柔軟性の確保は重要
問題である。 (4)耐熱性:医療用容器においては、充填した薬液を
完全に殺菌しておく必要がある。そのためには、121
℃以上の温度条件下で高温高圧殺菌を施すことが望まし
い。容器材質が121℃の高温高圧殺菌に耐え得ること
は重要課題である。この点に関して、前掲した各特許文
献には110〜115℃での滅菌条件が採用されてお
り、これでは安全性や衛生面において不充分であり、換
言すれば、この程度の滅菌条件を採用せざるを得ない程
度の耐熱性しか有しないことを意味している。
えば点滴等を行なうに際して、容器内の薬液を一定速度
で完全に排出できることが必要である。容器壁が硬い
と、薬液の排出に伴って容器内に陰圧が生じ、薬液の排
出が途中で止まったり、薬液が逆流したりして、医療事
故の原因となる。また、容器壁が硬いと落下に対する強
度が低い。したがって、容器材質の柔軟性の確保は重要
問題である。 (4)耐熱性:医療用容器においては、充填した薬液を
完全に殺菌しておく必要がある。そのためには、121
℃以上の温度条件下で高温高圧殺菌を施すことが望まし
い。容器材質が121℃の高温高圧殺菌に耐え得ること
は重要課題である。この点に関して、前掲した各特許文
献には110〜115℃での滅菌条件が採用されてお
り、これでは安全性や衛生面において不充分であり、換
言すれば、この程度の滅菌条件を採用せざるを得ない程
度の耐熱性しか有しないことを意味している。
【0006】前記したように、従来の医療用容器の材質
として前記した要件を全て満足するものは未だ得られて
いないのが現状である。したがって、本発明の目的は、
医療用容器の材質として好適な、透明性・柔軟性・耐熱
性の全ての特性を備えた積層フィルムを提供することに
ある。本発明の他の目的は、このような積層フィルムを
用いた、安全性が高く、取扱いに優れた医療用容器、特
に医療用バッグを提供することにある。
として前記した要件を全て満足するものは未だ得られて
いないのが現状である。したがって、本発明の目的は、
医療用容器の材質として好適な、透明性・柔軟性・耐熱
性の全ての特性を備えた積層フィルムを提供することに
ある。本発明の他の目的は、このような積層フィルムを
用いた、安全性が高く、取扱いに優れた医療用容器、特
に医療用バッグを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の第一の側面によれば、前記した諸特性に優
れた積層フィルムが提供され、その基本的な第一の態様
は、中間層と、それを挟む第1外層及び第2外層の少な
くとも3層からなる積層フィルムであって、上記中間層
が実質的に無定形のプロピレン系ポリマーからなり、第
1外層及び第2外層が実質的に定形のプロピレン系ポリ
マー、好ましくはポリプロピレン−エチレンランダム共
重合体からなることを特徴としている。より具体的な第
二の態様は、上記構成の積層フィルムであって、上記中
間層が、融点が165℃以下であり、かつ190℃にお
ける溶融粘度が200,000mPa・s以上の実質的
に無定形のプロピレン系ポリマーからなり、第1外層及
び第2外層が実質的に定形のポリプロピレン−エチレン
ランダム共重合体からなることを特徴としている。ここ
で、「実質的に無定形」とは、弱い力を加えるだけで容
易に伸縮変形させることができるが、通常の取扱いの範
囲では定形を保てる程度の強度(柔軟性)を有する性状
をいい、例えばゴム状乃至餅状の状態をいう。また、
「実質的に定形」とは、柔軟性を有しつつも、実質的に
無定形である中間層の変形を抑制し、フィルムに機械適
性を付与する程度の定形性を有する性状をいう。
に、本発明の第一の側面によれば、前記した諸特性に優
れた積層フィルムが提供され、その基本的な第一の態様
は、中間層と、それを挟む第1外層及び第2外層の少な
くとも3層からなる積層フィルムであって、上記中間層
が実質的に無定形のプロピレン系ポリマーからなり、第
1外層及び第2外層が実質的に定形のプロピレン系ポリ
マー、好ましくはポリプロピレン−エチレンランダム共
重合体からなることを特徴としている。より具体的な第
二の態様は、上記構成の積層フィルムであって、上記中
間層が、融点が165℃以下であり、かつ190℃にお
ける溶融粘度が200,000mPa・s以上の実質的
に無定形のプロピレン系ポリマーからなり、第1外層及
び第2外層が実質的に定形のポリプロピレン−エチレン
ランダム共重合体からなることを特徴としている。ここ
で、「実質的に無定形」とは、弱い力を加えるだけで容
易に伸縮変形させることができるが、通常の取扱いの範
囲では定形を保てる程度の強度(柔軟性)を有する性状
をいい、例えばゴム状乃至餅状の状態をいう。また、
「実質的に定形」とは、柔軟性を有しつつも、実質的に
無定形である中間層の変形を抑制し、フィルムに機械適
性を付与する程度の定形性を有する性状をいう。
【0008】好適な態様においては、前記中間層は、
(a)実質的に無定形の弾性高分子量プロピレンホモポ
リマー及び(b)実質的に無定形の弾性高分子量プロピ
レンホモポリマーにコモノマーとしてエチレンを含有さ
せたポリプロピレン−エチレンランダム共重合体(エチ
レン含量:20モル%以下)よりなる群から選ばれた少
なくとも1種の低結晶性ポリプロピレンからなる。一
方、第1外層と第2外層は、プロピレンポリマーにコモ
ノマーとしてエチレンを含有させた実質的に定形のポリ
プロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン含
量:2〜30モル%)からなることが好ましく、また、
第2外層の材料の融点は130℃以上であり、かつ第1
外層の材料の融点よりも低く、好ましくは3℃以上低い
ことが望ましい。
(a)実質的に無定形の弾性高分子量プロピレンホモポ
リマー及び(b)実質的に無定形の弾性高分子量プロピ
レンホモポリマーにコモノマーとしてエチレンを含有さ
せたポリプロピレン−エチレンランダム共重合体(エチ
レン含量:20モル%以下)よりなる群から選ばれた少
なくとも1種の低結晶性ポリプロピレンからなる。一
方、第1外層と第2外層は、プロピレンポリマーにコモ
ノマーとしてエチレンを含有させた実質的に定形のポリ
プロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン含
量:2〜30モル%)からなることが好ましく、また、
第2外層の材料の融点は130℃以上であり、かつ第1
外層の材料の融点よりも低く、好ましくは3℃以上低い
ことが望ましい。
【0009】さらに本発明の第二の側面によれば、前記
積層フィルムの第2外層を、内容物と接する内面側に配
して成形してなることを特徴とする医療用容器が提供さ
れる。好適な態様においては、容器の対向する内面の一
部に、完全には熱溶着されていない剥離可能な弱シール
部を設けることにより、容器内が複数の室に区割されて
いる。より具体的な好適な態様によれば、一端部に薬液
充填用のポートを有し、他端部に薬液充填口を有し、か
つ、剥離可能な弱シール部によって一端部側の室と他端
部側の室に区割されている医療用バッグであって、上記
ポートがポリプロピレン製であり、バッグ本体が前記し
た積層フィルムの第2外層を内面側に配して成形された
ものであることを特徴とする医療用バッグが提供され
る。
積層フィルムの第2外層を、内容物と接する内面側に配
して成形してなることを特徴とする医療用容器が提供さ
れる。好適な態様においては、容器の対向する内面の一
部に、完全には熱溶着されていない剥離可能な弱シール
部を設けることにより、容器内が複数の室に区割されて
いる。より具体的な好適な態様によれば、一端部に薬液
充填用のポートを有し、他端部に薬液充填口を有し、か
つ、剥離可能な弱シール部によって一端部側の室と他端
部側の室に区割されている医療用バッグであって、上記
ポートがポリプロピレン製であり、バッグ本体が前記し
た積層フィルムの第2外層を内面側に配して成形された
ものであることを特徴とする医療用バッグが提供され
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る積層フィルムは、基
本的に、中間層として極めて柔軟性と透明性に富む実質
的に無定形のプロピレン系ポリマーを用い、それを挟む
第1外層及び第2外層として耐熱性、耐薬品性、機械的
強度、成形性等に優れた実質的に定形のプロピレン系ポ
リマー、好ましくはポリプロピレン−エチレンランダム
共重合体を用いることを特徴としている。従来、医療用
容器の基材としては、高剛性、高硬度のポリプロピレン
に柔軟性を付与するために、前掲特許文献にも記載され
ているように、他の柔軟性のあるポリマーのブレンド
化、他のモノマー成分との共重合化、及び他の柔軟
性のあるポリマーシートの積層化の方策が採用されてい
る。しかしながら、このような方法では、充分な柔軟性
を付与した場合にはポリプロピレンが本来有する耐熱
性、耐薬品性、成形性等の特性が損なわれてしまう。
本的に、中間層として極めて柔軟性と透明性に富む実質
的に無定形のプロピレン系ポリマーを用い、それを挟む
第1外層及び第2外層として耐熱性、耐薬品性、機械的
強度、成形性等に優れた実質的に定形のプロピレン系ポ
リマー、好ましくはポリプロピレン−エチレンランダム
共重合体を用いることを特徴としている。従来、医療用
容器の基材としては、高剛性、高硬度のポリプロピレン
に柔軟性を付与するために、前掲特許文献にも記載され
ているように、他の柔軟性のあるポリマーのブレンド
化、他のモノマー成分との共重合化、及び他の柔軟
性のあるポリマーシートの積層化の方策が採用されてい
る。しかしながら、このような方法では、充分な柔軟性
を付与した場合にはポリプロピレンが本来有する耐熱
性、耐薬品性、成形性等の特性が損なわれてしまう。
【0011】本発明は、このような従来の解決方法とは
全く異なり、実質的に無定形の中間層を実質的に定形の
両外層で挟む構成とすることにより、両外層に用いるプ
ロピレン系ポリマーの特性をそのまま保持すると共に、
それを損なうことなく無定性中間層の柔軟性をそのまま
利用するという全く斬新な知見に基づきなされたもので
ある。すなわち、本発明の積層フィルムは、実質的に無
定形の低結晶性ポリプロピレンからなる中間層を、実質
的に定形のプロピレン系ポリマーからなる第1外層及び
第2外層で挟み込んで成形してあるので、各々の樹脂の
欠点を補い合い、また優れた特性を喪失することなく、
医療用容器として必要な安全性・透明性・柔軟性・耐熱
性の全てを満足する積層フィルムとすることができたも
のである。
全く異なり、実質的に無定形の中間層を実質的に定形の
両外層で挟む構成とすることにより、両外層に用いるプ
ロピレン系ポリマーの特性をそのまま保持すると共に、
それを損なうことなく無定性中間層の柔軟性をそのまま
利用するという全く斬新な知見に基づきなされたもので
ある。すなわち、本発明の積層フィルムは、実質的に無
定形の低結晶性ポリプロピレンからなる中間層を、実質
的に定形のプロピレン系ポリマーからなる第1外層及び
第2外層で挟み込んで成形してあるので、各々の樹脂の
欠点を補い合い、また優れた特性を喪失することなく、
医療用容器として必要な安全性・透明性・柔軟性・耐熱
性の全てを満足する積層フィルムとすることができたも
のである。
【0012】以下、本発明の積層フィルムの層構成につ
いて詳しく説明する。まず、中間層に用いる実質的に無
定形のプロピレン系ポリマーは、低結晶性ポリプロピレ
ンであり、実質的に無定形の弾性高分子量プロピレンホ
モポリマーや、これにコモノマーとしてエチレンを含有
させたポリプロピレン−エチレンランダム共重合体(エ
チレン含有量は20%モル以下)を好適に用いることが
できる。
いて詳しく説明する。まず、中間層に用いる実質的に無
定形のプロピレン系ポリマーは、低結晶性ポリプロピレ
ンであり、実質的に無定形の弾性高分子量プロピレンホ
モポリマーや、これにコモノマーとしてエチレンを含有
させたポリプロピレン−エチレンランダム共重合体(エ
チレン含有量は20%モル以下)を好適に用いることが
できる。
【0013】上記実質的に無定形の弾性高分子量プロピ
レンホモポリマーとしては、例えば特許第291248
3号に記載されている弾性高分子量プロピレンホモポリ
マーを好適に用いることができる。ここで「高分子量」
ポリマーとは、190℃における溶融粘度が200,0
00mPa・s以上であるか、又はMFRが230℃で
80g/10分以下(一般に4〜80g/10分)であ
るポリマーを表わす。この弾性高分子量プロピレンホモ
ポリマーは、アイソタクチックな結晶性を示さず、固有
粘度が1.0dl/g以下であるジエチルエーテル可溶
性画分を含む(一般に35〜55%)。
レンホモポリマーとしては、例えば特許第291248
3号に記載されている弾性高分子量プロピレンホモポリ
マーを好適に用いることができる。ここで「高分子量」
ポリマーとは、190℃における溶融粘度が200,0
00mPa・s以上であるか、又はMFRが230℃で
80g/10分以下(一般に4〜80g/10分)であ
るポリマーを表わす。この弾性高分子量プロピレンホモ
ポリマーは、アイソタクチックな結晶性を示さず、固有
粘度が1.0dl/g以下であるジエチルエーテル可溶
性画分を含む(一般に35〜55%)。
【0014】この弾性高子分量プロピレンホモポリマー
で作製したフィルムは、透明性と柔軟性を有する点で大
変優れているが、伸縮性が大きいため定形の容器等を成
形し難く、また、フィルム表面に粘着性があるために重
ね合わせによってブロッキング(自己接着)現象が生じ
易く、加工成形の際の機械適性が極めて悪い。さらに、
非結晶性の成分を含むため耐熱性に乏しく、有機溶剤等
に溶け易いという欠点がある。これらの数々の欠点によ
り、未だ医療用容器の材料として採用された例はない。
本発明者らは、この弾性高分子量プロピレンホモポリマ
ーの優れた特性(透明性・柔軟性)に着目し、鋭意研究
を行なった結果、耐熱性や機械適性、耐薬品性等に優れ
るプロピレン系ポリマーからなる両外層で挟み込むこと
によりその欠点を取り除くことに成功し、医療用容器の
材料として好適な積層フィルムを得ることができた。
で作製したフィルムは、透明性と柔軟性を有する点で大
変優れているが、伸縮性が大きいため定形の容器等を成
形し難く、また、フィルム表面に粘着性があるために重
ね合わせによってブロッキング(自己接着)現象が生じ
易く、加工成形の際の機械適性が極めて悪い。さらに、
非結晶性の成分を含むため耐熱性に乏しく、有機溶剤等
に溶け易いという欠点がある。これらの数々の欠点によ
り、未だ医療用容器の材料として採用された例はない。
本発明者らは、この弾性高分子量プロピレンホモポリマ
ーの優れた特性(透明性・柔軟性)に着目し、鋭意研究
を行なった結果、耐熱性や機械適性、耐薬品性等に優れ
るプロピレン系ポリマーからなる両外層で挟み込むこと
によりその欠点を取り除くことに成功し、医療用容器の
材料として好適な積層フィルムを得ることができた。
【0015】また、前記弾性高分子量プロピレンホモポ
リマーにエチレンを含有させたランダム共重合体とする
ことにより、柔軟性が向上し、融点が低下する。したが
って、必要に応じてエチレンの含有量を調整することに
より、フィルムの柔軟性と融点の調整が可能である。但
し、エチレン含有量が20モル%を超えると、フィルム
の透明性が低下し、容器を作製した際に内容物が透視で
き難くなるため好ましくない。
リマーにエチレンを含有させたランダム共重合体とする
ことにより、柔軟性が向上し、融点が低下する。したが
って、必要に応じてエチレンの含有量を調整することに
より、フィルムの柔軟性と融点の調整が可能である。但
し、エチレン含有量が20モル%を超えると、フィルム
の透明性が低下し、容器を作製した際に内容物が透視で
き難くなるため好ましくない。
【0016】低結晶性ポリプロピレンの融点と柔軟性に
は一般に相関関係があり、融点が低いほど柔軟性が高
く、融点が高いほど柔軟性が低い。本発明の積層フィル
ムにおいて、中間層は柔軟であるほど良いが、121℃
の高温高圧殺菌に耐え得る医療用容器を作製するために
は、融点は130℃以上であることが好ましい。また、
融点が165℃を超えるものは柔軟性に欠け好ましくな
い。本明細書において、融点とは、JIS K6301
(プラスチックの性能評価試験方法)に準拠し、DSC
(示差熱分析)法によって得られるエンタルピー−温度
グラフでのピークが最大となる温度をいう。また、上記
低結晶性ポリプロピレンは、190℃における溶融粘度
が200,000mPa・s以上であることが望まし
い。200,000mPa・sより低い場合、樹脂の伸
縮性が極端に高くなり、フィルム成形が困難となる。
尚、溶融粘度は二重円筒粘度計による測定値である。
は一般に相関関係があり、融点が低いほど柔軟性が高
く、融点が高いほど柔軟性が低い。本発明の積層フィル
ムにおいて、中間層は柔軟であるほど良いが、121℃
の高温高圧殺菌に耐え得る医療用容器を作製するために
は、融点は130℃以上であることが好ましい。また、
融点が165℃を超えるものは柔軟性に欠け好ましくな
い。本明細書において、融点とは、JIS K6301
(プラスチックの性能評価試験方法)に準拠し、DSC
(示差熱分析)法によって得られるエンタルピー−温度
グラフでのピークが最大となる温度をいう。また、上記
低結晶性ポリプロピレンは、190℃における溶融粘度
が200,000mPa・s以上であることが望まし
い。200,000mPa・sより低い場合、樹脂の伸
縮性が極端に高くなり、フィルム成形が困難となる。
尚、溶融粘度は二重円筒粘度計による測定値である。
【0017】また、前記中間層の低結晶性ポリプロピレ
ンには、その特性を阻害しない範囲において高結晶性オ
レフィン系樹脂あるいは熱可塑性エラストマー等を添加
してもよい。その添加量は、低結晶性ポリプロピレンの
性質が失われないように、低結晶性ポリプロピレンに対
して50質量%以下であることが好ましい。ここで高結
晶性オレフィン系樹脂としては、汎用のポリプロピレ
ン、ポリエチレン等のポリオレフィン、あるいはアイオ
ノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体等の変性エチレン系樹脂等が挙
げられる。また、熱可塑性エラストマーとしては、エチ
レン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジ
エン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、スチレン系
水添ブロック共重合体等が挙げられる。
ンには、その特性を阻害しない範囲において高結晶性オ
レフィン系樹脂あるいは熱可塑性エラストマー等を添加
してもよい。その添加量は、低結晶性ポリプロピレンの
性質が失われないように、低結晶性ポリプロピレンに対
して50質量%以下であることが好ましい。ここで高結
晶性オレフィン系樹脂としては、汎用のポリプロピレ
ン、ポリエチレン等のポリオレフィン、あるいはアイオ
ノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体等の変性エチレン系樹脂等が挙
げられる。また、熱可塑性エラストマーとしては、エチ
レン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジ
エン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、スチレン系
水添ブロック共重合体等が挙げられる。
【0018】次に、第1外層及び第2外層の材質として
は、プロピレンポリマーにコモノマーとしてエチレンを
含有させた実質的に定形のポリプロピレン−エチレンラ
ンダム共重合体であることが好ましい。プロピレンポリ
マーは、結晶性、非結晶性またはこれらの中間的な結晶
構造を有するあらゆるプロピレンポリマーを広く採用す
ることができ、ホモポリマーであってもコポリマーであ
ってもよい。性状としては、伸縮性が小さく実質的に定
形を保ち得るものであるが、所望の耐熱性を有する限
り、なるべく柔軟性の高いものであることが望ましい。
は、プロピレンポリマーにコモノマーとしてエチレンを
含有させた実質的に定形のポリプロピレン−エチレンラ
ンダム共重合体であることが好ましい。プロピレンポリ
マーは、結晶性、非結晶性またはこれらの中間的な結晶
構造を有するあらゆるプロピレンポリマーを広く採用す
ることができ、ホモポリマーであってもコポリマーであ
ってもよい。性状としては、伸縮性が小さく実質的に定
形を保ち得るものであるが、所望の耐熱性を有する限
り、なるべく柔軟性の高いものであることが望ましい。
【0019】プロピレンポリマーにエチレンを含有させ
て共重合体とすることにより、一般に柔軟性が向上し、
融点が低下する。したがって、必要に応じてエチレンの
含有量を調整することにより柔軟性と融点の調整が可能
である。但し、エチレン含有量が30モル%を超える
と、フィルムを作製した際の透明性が低下し、容器に充
填した内容物を透視でき難くなるので好ましくない。ま
た反対に、エチレン含有量が2モル%に満たない場合
は、フィルムを作製した際の柔軟性に欠けるので好まし
くない。
て共重合体とすることにより、一般に柔軟性が向上し、
融点が低下する。したがって、必要に応じてエチレンの
含有量を調整することにより柔軟性と融点の調整が可能
である。但し、エチレン含有量が30モル%を超える
と、フィルムを作製した際の透明性が低下し、容器に充
填した内容物を透視でき難くなるので好ましくない。ま
た反対に、エチレン含有量が2モル%に満たない場合
は、フィルムを作製した際の柔軟性に欠けるので好まし
くない。
【0020】第1外層及び第2外層に用いる前記のよう
なプロピレンポリマーは、伸縮性が小さく、実質的な定
形性を有するものであり、フィルム・容器等への成形加
工が容易である。また、ブロッキング現象が生じ難い。
さらに、中間層の低結晶性ポリプロピレンに比べて有機
溶剤等に対する耐性に優れており、医療用容器に使用し
た際に、樹脂成分や金属イオン等の溶出がきわめて少な
く安全性が高い。
なプロピレンポリマーは、伸縮性が小さく、実質的な定
形性を有するものであり、フィルム・容器等への成形加
工が容易である。また、ブロッキング現象が生じ難い。
さらに、中間層の低結晶性ポリプロピレンに比べて有機
溶剤等に対する耐性に優れており、医療用容器に使用し
た際に、樹脂成分や金属イオン等の溶出がきわめて少な
く安全性が高い。
【0021】本発明の積層フィルムは、医療用容器の分
野に限られず、柔軟性や耐熱性、透明性が要求される種
々の分野に用いることができるが、医療用容器の基材と
して用いる場合、両外層のうちの容器の内面側に配され
るいずれか一方の外層(説明の便宜上、本明細書におい
ては第2外層とする)の材料の融点を、他方の外層(第
1外層)の材料の融点よりも低くなるように設定する。
これは、医療用容器の成形加工方法としては、2枚の積
層フィルムを、それらの第2外層を内容物と接する内面
側に向かい合わせに配し、第1外層の外側から加熱金型
で積層フィルムの周縁部をヒートシールして容器を作製
する方法が一般的であるが、そのヒートシールの際、第
1外層は溶融しないが第2外層は溶融するシール温度を
選択することにより、確実かつきれいなヒートシールを
行なうことが可能となるからである。
野に限られず、柔軟性や耐熱性、透明性が要求される種
々の分野に用いることができるが、医療用容器の基材と
して用いる場合、両外層のうちの容器の内面側に配され
るいずれか一方の外層(説明の便宜上、本明細書におい
ては第2外層とする)の材料の融点を、他方の外層(第
1外層)の材料の融点よりも低くなるように設定する。
これは、医療用容器の成形加工方法としては、2枚の積
層フィルムを、それらの第2外層を内容物と接する内面
側に向かい合わせに配し、第1外層の外側から加熱金型
で積層フィルムの周縁部をヒートシールして容器を作製
する方法が一般的であるが、そのヒートシールの際、第
1外層は溶融しないが第2外層は溶融するシール温度を
選択することにより、確実かつきれいなヒートシールを
行なうことが可能となるからである。
【0022】上記の点から、第2外層の材料の融点を、
第1外層の材料の融点よりも3℃以上低くしておくこと
が好ましい。これによって、容器成形の際、ヒートシー
ル温度の管理が容易となる。すなわち、ヒートシール装
置の加熱金型の温度が多少変動しても、確実かつきれい
なヒートシールを行なうことが可能となる。また、本発
明の積層フィルムを、121℃の加熱殺菌に耐え得るもの
とするためには、第2外層の材料の融点は130℃以上
である必要がある。
第1外層の材料の融点よりも3℃以上低くしておくこと
が好ましい。これによって、容器成形の際、ヒートシー
ル温度の管理が容易となる。すなわち、ヒートシール装
置の加熱金型の温度が多少変動しても、確実かつきれい
なヒートシールを行なうことが可能となる。また、本発
明の積層フィルムを、121℃の加熱殺菌に耐え得るもの
とするためには、第2外層の材料の融点は130℃以上
である必要がある。
【0023】本発明の積層フィルムの層構成は、基本的
には、前記した中間層と各外層からなる第1外層/中間
層/第2外層の構造を有するが、その特性を阻害しない
限度において、4層化、5層化等さらに多層化すること
ができる。例えば、第1外層と中間層との間及び/又は
第2外層と中間層との間、あるいはまた中間層自体を2
層以上に構成してそれらの間に、所望の特性を有する他
の層を介在させることもできる。
には、前記した中間層と各外層からなる第1外層/中間
層/第2外層の構造を有するが、その特性を阻害しない
限度において、4層化、5層化等さらに多層化すること
ができる。例えば、第1外層と中間層との間及び/又は
第2外層と中間層との間、あるいはまた中間層自体を2
層以上に構成してそれらの間に、所望の特性を有する他
の層を介在させることもできる。
【0024】また、医療用容器として充分な強度を付与
するためには、積層フィルムの全体の肉厚は150μm
以上であることが好ましい。しかし、300μmを超え
ると、容器成形の際のヒートシールが困難となるので好
ましくない。さらに、中間層の肉厚は第1外層及び第2
外層の各々の肉厚の3〜4倍にしておくと、実質的な定
形性を有しながらも充分に柔軟な積層フィルムを得るこ
とができるので好ましい。このようなことから、3層構
造の場合、第1外層:中間層:第2外層=1:3:1〜
1:4:1の厚さ関係が好ましく、また第1外層と第2
外層については、内面側の第2外層の肉厚が第1外層の
肉厚と等しいか又は厚いことが好ましい。
するためには、積層フィルムの全体の肉厚は150μm
以上であることが好ましい。しかし、300μmを超え
ると、容器成形の際のヒートシールが困難となるので好
ましくない。さらに、中間層の肉厚は第1外層及び第2
外層の各々の肉厚の3〜4倍にしておくと、実質的な定
形性を有しながらも充分に柔軟な積層フィルムを得るこ
とができるので好ましい。このようなことから、3層構
造の場合、第1外層:中間層:第2外層=1:3:1〜
1:4:1の厚さ関係が好ましく、また第1外層と第2
外層については、内面側の第2外層の肉厚が第1外層の
肉厚と等しいか又は厚いことが好ましい。
【0025】尚、各層の積層方法としては、共押出し方
式、ラミネート方式等の任意の方法を採用することがで
きる。また、積層フィルムの成形方法としては、通常の
インフレーション方式、T−ダイ方式等任意の方法を採
用することができる。
式、ラミネート方式等の任意の方法を採用することがで
きる。また、積層フィルムの成形方法としては、通常の
インフレーション方式、T−ダイ方式等任意の方法を採
用することができる。
【0026】前記したような本発明の積層フィルムは、
医療用容器、特に医療用バッグの基材として最適であ
り、前記積層フィルムの第2外層を内容物と接する内面
側に配して医療用容器を成形することにより、安全性・
透明性・柔軟性・耐熱性の全てを満足する極めて優れた
医療用容器を得ることができる。また、容器の対向する
内面の一部に、完全には熱溶着していない剥離可能な弱
シール部を設けることにより、容器内が複数の室に区割
された医療用容器を得ることができる。このような容器
によれば、性質の異なる複数の薬液を別々の室に収容し
ておき、使用直前に容器に押圧力を加えるなどして弱シ
ール部を破壊することにより複数の室間を連通させ、複
数の薬液を容易に混合することができる。
医療用容器、特に医療用バッグの基材として最適であ
り、前記積層フィルムの第2外層を内容物と接する内面
側に配して医療用容器を成形することにより、安全性・
透明性・柔軟性・耐熱性の全てを満足する極めて優れた
医療用容器を得ることができる。また、容器の対向する
内面の一部に、完全には熱溶着していない剥離可能な弱
シール部を設けることにより、容器内が複数の室に区割
された医療用容器を得ることができる。このような容器
によれば、性質の異なる複数の薬液を別々の室に収容し
ておき、使用直前に容器に押圧力を加えるなどして弱シ
ール部を破壊することにより複数の室間を連通させ、複
数の薬液を容易に混合することができる。
【0027】また、本発明の積層フィルムの第2外層が
ポリプロピレン−エチレンランダム共重合体の場合、弱
シール部形成のためのヒートシール温度として、ポリプ
ロピレンの融点よりも低くポリエチレンの融点よりも高
い温度を選択し、ポリプロピレンは溶融させずポリエチ
レンのみ溶融させた状態でヒートシールすることによ
り、完全には熱溶着していない剥離可能な弱シール部を
容易に形成することができる。
ポリプロピレン−エチレンランダム共重合体の場合、弱
シール部形成のためのヒートシール温度として、ポリプ
ロピレンの融点よりも低くポリエチレンの融点よりも高
い温度を選択し、ポリプロピレンは溶融させずポリエチ
レンのみ溶融させた状態でヒートシールすることによ
り、完全には熱溶着していない剥離可能な弱シール部を
容易に形成することができる。
【0028】
【実施例】以下、添付図面を参照しながら本発明の効果
を確認した実施例を示し、本発明についてより具体的に
説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでな
いことはもとよりである。
を確認した実施例を示し、本発明についてより具体的に
説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでな
いことはもとよりである。
【0029】実施例1 第1外層、中間層及び第2外層の材料として以下に示す
ようなポリマーを用い、これら3層の接着及びフィルム
形成は一般的な共押出しインフレーション方式により行
ない、図1に示すように、中間層3を外側の第1外層2
と内側の第2外層4でサンドイッチした構造の積層フィ
ルム1をチューブ状に成形した。 第1外層(ポリプロピレン−エチレンランダム共重合
体):結晶性プロピレンポリマーにコモノマーとしてエ
チレンを含有させたポリプロピレン−エチレンランダム
共重合体(エチレン含有量はポリプロピレン−エチレン
ランダム共重合体全体に対して5モル%;融点は145
℃) 中間層(低結晶性ポリプロピレン):実質的に無定形の
弾性高分子量プロピレンホモポリマーにコモノマーとし
てエチレンを含有させたポリプロピレン−エチレンラン
ダム共重合体(エチレン含有量はポリプロピレン−エチ
レンランダム共重合体全体に対して4モル%;融点は1
45℃;190℃における溶融粘度は約250,000
mPa・s) このポリプロピレン−エチレンランダム共重合体は、固
有粘度が1.0dl/g以下のアイソタクチックな結晶
性を示さないジエチルエーテル可溶性画分を約45質量
%含み、また約50質量%のヘプタン可溶画分を含む。 第2外層(ポリプロピレン−エチレンランダム共重合
体) 結晶性プロピレンポリマーにコモノマーとしてエチレン
を含有させたポリプロピレン−エチレンランダム共重合
体(エチレン含有量はポリプロピレン−エチレンランダ
ム共重合体全体に対して9モル%;融点は135℃) 作製した積層フィルム(チューブ)の各層の厚さは、第
1外層は45μm、中間層は140μm、第2外層は4
5μmであり、またヘイズ値は15%であり、充分な透
明性を有していた。なお、フィルムの透明性を示すヘイ
ズ値(%)は、フィルムに入射した光量に対する透過し
た光量の比で表わされ(ヘイズ=0%が完全に透明、ヘ
イズ=100%が完全に不透明)、医療用フィルムとし
ては、ヘイズ値が低ければ低いほど良く、20%を超え
るものは好ましくない。
ようなポリマーを用い、これら3層の接着及びフィルム
形成は一般的な共押出しインフレーション方式により行
ない、図1に示すように、中間層3を外側の第1外層2
と内側の第2外層4でサンドイッチした構造の積層フィ
ルム1をチューブ状に成形した。 第1外層(ポリプロピレン−エチレンランダム共重合
体):結晶性プロピレンポリマーにコモノマーとしてエ
チレンを含有させたポリプロピレン−エチレンランダム
共重合体(エチレン含有量はポリプロピレン−エチレン
ランダム共重合体全体に対して5モル%;融点は145
℃) 中間層(低結晶性ポリプロピレン):実質的に無定形の
弾性高分子量プロピレンホモポリマーにコモノマーとし
てエチレンを含有させたポリプロピレン−エチレンラン
ダム共重合体(エチレン含有量はポリプロピレン−エチ
レンランダム共重合体全体に対して4モル%;融点は1
45℃;190℃における溶融粘度は約250,000
mPa・s) このポリプロピレン−エチレンランダム共重合体は、固
有粘度が1.0dl/g以下のアイソタクチックな結晶
性を示さないジエチルエーテル可溶性画分を約45質量
%含み、また約50質量%のヘプタン可溶画分を含む。 第2外層(ポリプロピレン−エチレンランダム共重合
体) 結晶性プロピレンポリマーにコモノマーとしてエチレン
を含有させたポリプロピレン−エチレンランダム共重合
体(エチレン含有量はポリプロピレン−エチレンランダ
ム共重合体全体に対して9モル%;融点は135℃) 作製した積層フィルム(チューブ)の各層の厚さは、第
1外層は45μm、中間層は140μm、第2外層は4
5μmであり、またヘイズ値は15%であり、充分な透
明性を有していた。なお、フィルムの透明性を示すヘイ
ズ値(%)は、フィルムに入射した光量に対する透過し
た光量の比で表わされ(ヘイズ=0%が完全に透明、ヘ
イズ=100%が完全に不透明)、医療用フィルムとし
ては、ヘイズ値が低ければ低いほど良く、20%を超え
るものは好ましくない。
【0030】実施例2 前記実施例1で得られた積層フィルム(チューブ)を用
い、以下のような製袋手順により、図2に示すような医
療用容器(医療用バッグ)を製袋した。図2に示す医療
用バッグ10は、中間部より若干下方において両側の強
シール部12及びその間に位置する弱シール部17(完
全には熱溶着しておらず剥離可能、シール条件:金型温
度136℃、時間4秒)によって上方のA室と下方のB
室に区割されており、上端部の強シール部11にはA室
への薬液充填排出管15及び混注口16が接続された舟
形ポート14が熱溶着され、一方、下端部の強シール部
13にはB室への薬液充填口18が形成されている。 <製袋手順> 強シール部11、12、13を形成する(143℃の加
熱金型で4秒間挟む)。 弱シール部17を形成する(136℃の加熱金型で4
秒間挟む)。 積層フィルム1を裁断する(350mm毎)。 舟形ポート14(ポリプロピレン製)を上端部に挿入
し、強シールする。 こうして得られた医療用バッグ10のA室にブドウ糖溶
液1,400mlを、B室に重曹溶液600mlを充填
し、各薬液充填口を熱溶着により密封した後、レトルト
殺菌機(熱水スプレー式)を用い、121℃で60分間
の加熱加圧殺菌を行なった。その結果、樹脂成分や金属
イオン等の溶出もなく、充分な耐熱性を有していた。な
お、弱シール部の剥離強度を測定したところ、0.5k
gfであった。試験方法としては、2枚の積層フィルム
をヒートシールした後、幅10mmの帯状に切出した試
料を用い、引張り試験機にてヒートシール部を剥離させ
る際に要する力を測定した。弱シール部の剥離強度は、
一般には0.2〜0.9kgfが好ましい範囲であり、
0.2kgfよりも低いと、シール強度が弱過ぎて製品
の輸送中に振動等で剥がれてしまうことがあり、逆に
0.9kgfよりも高いと、シール強度が強過ぎて、製
品の使用時に弱シール部を容易に剥がすことができなく
なる。
い、以下のような製袋手順により、図2に示すような医
療用容器(医療用バッグ)を製袋した。図2に示す医療
用バッグ10は、中間部より若干下方において両側の強
シール部12及びその間に位置する弱シール部17(完
全には熱溶着しておらず剥離可能、シール条件:金型温
度136℃、時間4秒)によって上方のA室と下方のB
室に区割されており、上端部の強シール部11にはA室
への薬液充填排出管15及び混注口16が接続された舟
形ポート14が熱溶着され、一方、下端部の強シール部
13にはB室への薬液充填口18が形成されている。 <製袋手順> 強シール部11、12、13を形成する(143℃の加
熱金型で4秒間挟む)。 弱シール部17を形成する(136℃の加熱金型で4
秒間挟む)。 積層フィルム1を裁断する(350mm毎)。 舟形ポート14(ポリプロピレン製)を上端部に挿入
し、強シールする。 こうして得られた医療用バッグ10のA室にブドウ糖溶
液1,400mlを、B室に重曹溶液600mlを充填
し、各薬液充填口を熱溶着により密封した後、レトルト
殺菌機(熱水スプレー式)を用い、121℃で60分間
の加熱加圧殺菌を行なった。その結果、樹脂成分や金属
イオン等の溶出もなく、充分な耐熱性を有していた。な
お、弱シール部の剥離強度を測定したところ、0.5k
gfであった。試験方法としては、2枚の積層フィルム
をヒートシールした後、幅10mmの帯状に切出した試
料を用い、引張り試験機にてヒートシール部を剥離させ
る際に要する力を測定した。弱シール部の剥離強度は、
一般には0.2〜0.9kgfが好ましい範囲であり、
0.2kgfよりも低いと、シール強度が弱過ぎて製品
の輸送中に振動等で剥がれてしまうことがあり、逆に
0.9kgfよりも高いと、シール強度が強過ぎて、製
品の使用時に弱シール部を容易に剥がすことができなく
なる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、以上に説明したような
構成により、中間層の材質が本来有している優れた透明
性と柔軟性をほとんど失うことなく、実質的な定形性を
付与された、耐熱性があり、樹脂成分や金属イオン等の
溶出が極めて少なく、安全性の高い積層フィルムを得る
ことができる。また、積層フィルム両面はブロッキング
現象が生じ難く、容器等の成形加工の際に、確実かつき
れいにヒートシールができる等の機械適性の高い積層フ
ィルムを得ることができる。また、前記したような本発
明の積層フィルムを用いることにより、安全性・透明性
・柔軟性・耐熱性の全ての要件を満足し、取扱いに優れ
た医療用容器、特に医療用バッグが提供される。
構成により、中間層の材質が本来有している優れた透明
性と柔軟性をほとんど失うことなく、実質的な定形性を
付与された、耐熱性があり、樹脂成分や金属イオン等の
溶出が極めて少なく、安全性の高い積層フィルムを得る
ことができる。また、積層フィルム両面はブロッキング
現象が生じ難く、容器等の成形加工の際に、確実かつき
れいにヒートシールができる等の機械適性の高い積層フ
ィルムを得ることができる。また、前記したような本発
明の積層フィルムを用いることにより、安全性・透明性
・柔軟性・耐熱性の全ての要件を満足し、取扱いに優れ
た医療用容器、特に医療用バッグが提供される。
【図1】本発明の積層フィルムをチューブ状に形成した
実施例を示す断面図である。
実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の積層フィルムを用いて作製された医療
用容器(医療用バッグ)の実施例を示す縦断面図であ
る。
用容器(医療用バッグ)の実施例を示す縦断面図であ
る。
1 積層フィルム 2 第1外層 3 中間層 4 第2外層 10 医療用バッグ 11,12,13 強シール部 14 舟形ポート 15 薬液充填排出管 16 混注口 17 弱シール部 18 薬液充填口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61J 1/00 331C (72)発明者 西原 義夫 京都府京都市伏見区桃山町大島38−215 Fターム(参考) 3E064 AA01 BA30 BB03 BC01 BC13 BC18 BC20 EA30 FA04 GA06 HN05 HN65 HR01 HS04 HT07 4F100 AK04A AK04B AK04C AK07A AK07B AK07C AL03A AL03B AL03C BA03 BA07 BA16 BA26 EH20 GB16 JA04A JA04B JA04C JA06A JA07A JA12A JJ03 JK07A JN01 YY00A YY00B YY00C
Claims (10)
- 【請求項1】 中間層と、それを挟む第1外層及び第2
外層の少なくとも3層からなる積層フィルムであって、
上記中間層が実質的に無定形のプロピレン系ポリマーか
らなり、第1外層及び第2外層が実質的に定形のプロピ
レン系ポリマーからなることを特徴とする積層フィル
ム。 - 【請求項2】 中間層と、それを挟む第1外層及び第2
外層の少なくとも3層からなる積層フィルムであって、
上記中間層が、融点が165℃以下であり、かつ190
℃における溶融粘度が200,000mPa・s以上の
実質的に無定形のプロピレン系ポリマーからなり、第1
外層及び第2外層が実質的に定形のポリプロピレン−エ
チレンランダム共重合体からなることを特徴とする積層
フィルム。 - 【請求項3】 中間層が、(a)実質的に無定形の弾性
高分子量プロピレンホモポリマー及び(b)実質的に無
定形の弾性高分子量プロピレンホモポリマーにコモノマ
ーとしてエチレンを含有させたポリプロピレン−エチレ
ンランダム共重合体(エチレン含量:20モル%以下)
よりなる群から選ばれた少なくとも1種の低結晶性ポリ
プロピレンからなることを特徴とする請求項1又は2に
記載の積層フィルム。 - 【請求項4】 第1外層と第2外層が、プロピレンポリ
マーにコモノマーとしてエチレンを含有させた実質的に
定形のポリプロピレン−エチレンランダム共重合体(エ
チレン含量:2〜30モル%)からなることを特徴とす
る請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層フィル
ム。 - 【請求項5】 第2外層の材料の融点は130℃以上で
あり、かつ第1外層の材料の融点よりも低いことを特徴
とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層フィ
ルム。 - 【請求項6】 第2外層の材料の融点が第1外層の材料
の融点よりも3℃以上低いことを特徴とする請求項1乃
至5のいずれか一項に記載の積層フィルム。 - 【請求項7】 全体の肉厚が150〜300μmであ
り、中間層の肉厚が第1外層及び第2外層の各々の肉厚
の3〜4倍であることを特徴とする請求項1乃至6のい
ずれか一項に記載の積層フィルム。 - 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の
積層フィルムの第2外層を、内容物と接する内面側に配
して成形してなることを特徴とする医療用容器。 - 【請求項9】 容器の対向する内面の一部に、完全には
熱溶着されていない剥離可能な弱シール部を設けること
により、容器内が複数の室に区割されていることを特徴
とする請求項8に記載の医療用容器。 - 【請求項10】 一端部に薬液充填用のポートを有し、
他端部に薬液充填口を有し、かつ、剥離可能な弱シール
部によって一端部側の室と他端部側の室に区割されてい
る医療用バッグであって、上記ポートがポリプロピレン
製であり、バッグ本体が請求項1乃至7のいずれか一項
に記載の積層フィルムの第2外層を内面側に配して成形
されたものであることを特徴とする医療用バッグ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001087064A JP2002283520A (ja) | 2001-03-26 | 2001-03-26 | 積層フィルム及びそれから作製された医療用容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001087064A JP2002283520A (ja) | 2001-03-26 | 2001-03-26 | 積層フィルム及びそれから作製された医療用容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002283520A true JP2002283520A (ja) | 2002-10-03 |
Family
ID=18942357
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001087064A Pending JP2002283520A (ja) | 2001-03-26 | 2001-03-26 | 積層フィルム及びそれから作製された医療用容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002283520A (ja) |
-
2001
- 2001-03-26 JP JP2001087064A patent/JP2002283520A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1304218B1 (en) | Plastic film for medical liquid container | |
EP1711558B1 (en) | Syndiotatic polypropylene composition comprising a thermoplastic elastomer | |
EP2004745B1 (en) | Retortable composition | |
US9040132B2 (en) | Medical multilayer film and use thereof | |
KR101450368B1 (ko) | 약제 용기 및 다층 필름 | |
TW200927083A (en) | Multilayer body for medical container and medical container | |
PL201650B1 (pl) | Struktura wielowarstwowa oparta na polimerach termoplastycznych oraz sposób jej wytwarzania | |
JP4887343B2 (ja) | 多層フィルム及び該多層フィルムを用いた包装容器 | |
JP7240435B2 (ja) | 積層体及び容器 | |
EP2732972A1 (en) | Plastic film and infusion solution bag | |
WO2000051544A1 (en) | Multi-chamber medical container | |
JP3573091B2 (ja) | 易剥離性フィルムおよびこれを用いた医療用包装容器 | |
JP7184080B2 (ja) | 積層体、容器及び輸液バッグ | |
CN113677605B (zh) | 容器用多层膜及包含该容器用多层膜的容器 | |
JP3692516B2 (ja) | 樹脂組成物及びこれを用いて形成された易剥離性フィルム、可撓性容器 | |
JP2002283520A (ja) | 積層フィルム及びそれから作製された医療用容器 | |
JP2006027653A (ja) | ポリプロピレン系樹脂製複室袋 | |
JP4420195B2 (ja) | ヒートシール構造及び複室容器 | |
JP2017164297A (ja) | 新鮮凍結血漿製剤用血液バッグ | |
JP2023148790A (ja) | 積層体及びプラスチック容器 | |
JPH07164604A (ja) | 医療容器用基材 | |
JP2023066722A (ja) | 積層体及びプラスチック容器 | |
JP2004113680A (ja) | 医療用袋 |