JP2023148790A - 積層体及びプラスチック容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた層間接着強度を有することができる積層体を提供する。【解決手段】本発明に係る積層体は、環状オレフィン系樹脂層と、ポリプロピレン系樹脂層と、前記環状オレフィン系樹脂層と前記ポリプロピレン系樹脂層とを接合する接着層と、を備え、前記ポリプロピレン系樹脂層は、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを10質量%~50質量%含み、前記接着層は、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを40質量%~80質量%含む。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体及びプラスチック容器に関する。
医療分野、食料分野、化粧分野等の様々な分野において、医薬品、食料品、化粧品等が充填されるプラスチック容器の容器材料として、複数の樹脂層が積層されたフィルム状の積層体がある。積層体を用いて形成したプラスチック容器は、取扱い易く、廃棄が容易であるため、例えば、輸液等の薬液を収容する薬液バッグとして使用されている。
薬液バッグ等のプラスチック容器に成形される積層体として、例えば、ポリプロピレンからなるシール層と、ポリプロピレンを含む最外層との間に、環状ポリオレフィンポリマー又は環状ポリオレフィンコポリマーからなる環状ポリオレフィン層と、プロピレン系重合体とスチレン系エラストマーとのブレンド物からなる樹脂組成物層を含む多層フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2009/066752号
しかしながら、特許文献1の多層フィルムでは、環状ポリオレフィン層に含まれる環状ポリオレフィンポリマー等の環状オレフィン系樹脂は樹脂組成物層との接着強度が得られ難いため、環状ポリオレフィン層と最外層との間の層間接着強度が低く、これらの層間で剥離が生じ易いという、問題があった。
本発明の一態様は、優れた層間接着強度を有することができる積層体を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、環状オレフィン系樹脂層と、ポリプロピレン系樹脂層と、前記環状オレフィン系樹脂層と前記ポリプロピレン系樹脂層とを接合する接着層と、を備え、前記ポリプロピレン系樹脂層は、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを10質量%~50質量%含み、前記接着層は、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを40質量%~80質量%含む積層体を提供する。
本発明の一態様は、優れた層間接着強度を有することができる積層体を提供することができる。
本発明の実施形態に係る積層体の構成を示す概略断面図である。 プラスチック容器の一例を示す側面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
<積層体>
本発明の実施形態に係る積層体について説明する。図1は、本実施形態に係る積層体の構成を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る積層体1は、環状オレフィン系樹脂層10、接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30を、この順に積層して備え、シート(フィルム)状に形成されている。
本願発明者は、環状オレフィン系樹脂層10、接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30がこの順に積層された積層体1において、接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30の柔軟性が環状オレフィン系樹脂層10とポリプロピレン系樹脂層30との間の層間接着強度に影響することに着目した。そして、本願発明者は、接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30に曲げ弾性率が高めのオレフィン系熱可塑性エラストマーをそれぞれ所定量含めることで、接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30の柔軟性が高められ、環状オレフィン系樹脂層10とポリプロピレン系樹脂層30との間の層間接着強度を向上させることができることを見出した。
なお、層間接着強度とは、接着層20を介して環状オレフィン系樹脂層10とポリプロピレン系樹脂層30との間に生じる接着強度をいう。層間接着強度の測定方法は、環状オレフィン系樹脂層10とポリプロピレン系樹脂層30との間の接着強度を測定できる方法であれば特に限定されない。例えば、積層体1を所定の大きさに切り取り、切り取った積層体1の一端から層間の一部を分離させる。そして、引張試験機等を用いて、所定の大きさに切り取った積層体1の環状オレフィン系樹脂層10とポリプロピレン系樹脂層30とを所定の引張速度(例えば、5mm/min)で引張荷重を付与して所定の長さ(例えば、30mm)を層間剥離させる。この剥離に要する荷重(単位:N/15mm)を層間接着強度として測定してよい。層間接着強度は、複数の積層体を用いて測定した時の荷重の平均荷重でもよい。
積層体1は、環状オレフィン系樹脂層10、接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30の各層を2層以上有してもよいし、環状オレフィン系樹脂層10、接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30以外の他の層を有してもよい。
(環状オレフィン系樹脂層)
環状オレフィン系樹脂層10は、環状オレフィン系樹脂を主として含む。環状オレフィン系樹脂層10に含まれる環状オレフィン系樹脂は、1種以上のオレフィンモノマーからなる重合体又はその二重結合が水素化された重合体であり、かつ、オレフィンモノマーのうち少なくとも1種は環状炭化水素骨格を有する環状オレフィンモノマーである。環状オレフィンモノマーとしては、例えばノルボルネン化合物等が挙げられる。なお、以下の説明で、単に「環状オレフィン系樹脂」というのは、環状オレフィン系樹脂層10に含まれる環状オレフィン系樹脂を指す。
環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン化合物の開環メタセシス重合の後、残った二重結合を水素化した重合体、2種以上の環状オレフィンモノマーからなる付加重合体、環状オレフィンモノマーと非環状オレフィンモノマーとを共重合した付加重合体等を包含する。ただし、環状オレフィンモノマー1種のみの単独付加重合体は好ましくない。環状オレフィン系樹脂の製造方法としては、ノルボルネン化合物の開環メタセシス重合体を水素化する方法、2種以上の環状オレフィンモノマーの共重合反応による方法、環状オレフィンモノマーとα-オレフィンの共重合反応による方法が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂のうち、ノルボルネン化合物の開環メタセシス重合体を水素化した重合体の基本構造としては、例えば、下記式(I)が挙げられる。即ち、下記式(I)の重合体は、環状骨格とエチレン骨格が交互配置されたポリマーとして記述される。下記式(1)の環状骨格は、1,3-シクロペンチレン骨格である。但し、ノルボルネン化合物の開環メタセシス重合体自体は、共重合体である必要はない。
Figure 2023148790000002
式(I)において、nは1以上の整数であり、R及びRは水素原子又はアルキル基を示す。R及びRは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。R及びRは、互いに結合して環を形成していてもよい。
上記の式(I)に示す構造は、n個の1,3-シクロペンチレン骨格の有する置換基R及びRが互いに同一で、ノルボルネン化合物の開環メタセシス重合体が単独重合体(ホモポリマー)である場合に限られない。
上記の式(I)に示す構造は、2種以上のノルボルネン化合物の開環メタセシス重合体を水素化したポリマーでもよい。そのようなポリマーとして、例えば、下記式(II)が挙げられる。
Figure 2023148790000003
式(II)において、m及びnは1以上の整数であり、R及びRは水素原子又はアルキル基を示す。m及びnは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。R及びRは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。R及びRは、互いに結合して環を形成していてもよい。
ノルボルネン化合物の開環メタセシス重合体を水素化した重合体の具体例としては、例えば、日本ゼオン株式会社製の「ZEONEX(登録商標)690R」、「ZEONOR(登録商標)1020R」等が挙げられる。
また、環状オレフィンモノマーと非環状オレフィンモノマーとを共重合した付加重合体としては、下記式(III)が挙げられる。下記式(III)の付加重合体は、環状骨格とエチレン骨格がランダム配置されたポリマーとして記述される。下記式(I1I)の環状骨格は、2,3-ノルボルナニレン骨格である。
Figure 2023148790000004
式(III)において、m及びnは1以上の整数であり、R、R及びRは水素原子又はアルキル基を示す。m及びnは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。R、R及びRは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。R及びRは、互いに結合して環を形成していてもよい。
、R及びRが何れも水素原子であるポリマーとしては、例えば、ポリプラスチック株式会社製「TOPAS(登録商標)」等が挙げられる。また、R及びRがアルキル基であり、Rが水素原子であるポリマーとしては、例えば、三井化学株式会社製「アペル(登録商標)」等が挙げられる。
これらの環状オレフィン系樹脂は、水蒸気バリア性に優れ、入手も容易である。上述のよう、本実施形態に係る積層体1は、環状オレフィン系樹脂層10の主成分として、これらの環状オレフィン系樹脂を使用することができる。環状オレフィン系樹脂層10は、1種の環状オレフィン系樹脂を含んでもよく、2種以上の環状オレフィン系樹脂を含んでもよい。
ここで、2種以上の環状オレフィン系樹脂とは、上記の式(I)~(III)のうちの何れか1つの式に該当する2種以上の環状オレフィン系樹脂でもよいし、式(I)~(III)のうちの2つ以上の式について各々1種以上の環状オレフィン系樹脂でもよい。2種以上の環状オレフィン系樹脂とは、更に上記の式(I)~(III)に該当しない環状オレフィン系樹脂を含んでもよい。
環状オレフィン系樹脂層10は、積層体1における最内層とし、シーラント層として用いてよい。
環状オレフィン系樹脂の市販品としては、上記と一部重複するが、例えば、ZEONEX(登録商標)(日本ゼオン株式会社製、ノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合体の水素化ポリマー)、ZEONOR(登録商標)(日本ゼオン株式会社製、ジシクロペンタジエンとテトラシクロペンタドデセンとの開環重合に基づくコポリマー)、TOPAS(登録商標)(ポリプラスチックス株式会社製、ノルボルネンとエチレンとのコポリマー)、アペル(登録商標)(三井化学株式会社製、エチレンとテトラシクロドデセンとのコポリマー)、アートン(登録商標)(JSR株式会社製、ジシクロペンタジエン及びメタクリル酸エステルを原料とする極性基を含む環状オレフィン樹脂)等を挙げることができる。
環状オレフィン系樹脂層10は、環状オレフィン系樹脂以外に、他の樹脂成分を含有してもよい。他の樹脂成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、スチレン系樹脂、シラン系樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。これらのうち、スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン系エラストマー等が挙げられる。中でも、特に、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、これらの水素添加物(例えば、SEBS、SEPS等)、スチレンブタジエンランダム共重合体等の1種又は2種以上の成分が0.05質量%~20質量%の範囲で環状オレフィン系樹脂層10に含有されることが好ましい。
環状オレフィン系樹脂層10は、他の樹脂成分を含有することで、プラスチック容器の低温での耐衝撃性及び高圧蒸気滅菌処理直後の透明性の維持、柔軟性の向上等、プラスチック容器として所望の性能を向上させることができる。
環状オレフィン系樹脂層10は、環状オレフィン系樹脂のみを樹脂成分とすること(樹脂でない添加剤を含んでもよい)が好ましく、環状オレフィン系樹脂を100質量%含有してもよい(他に添加剤も含まない)。上記の他の樹脂成分を含む場合、環状オレフィン系樹脂層が環状オレフィン系樹脂を主成分とすることが好ましい。即ち、環状オレフィン系樹脂層10は、1種の環状オレフィン系樹脂又は2種以上の環状オレフィン系樹脂の合計で50質量%以上含有することが好ましく、特に70質量%以上含有することが好ましい。環状オレフィン系樹脂の組成比率が低い場合、微量成分やプラスチックと親和性の高い薬剤成分が吸着され、収容される薬剤成分の保存安定性が不十分となるおそれがある。
(接着層)
接着層20は、環状オレフィン系樹脂層10とポリプロピレン系樹脂層30とを接合するための中間層である。接着層20は、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)を含み、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びスチレン系エラストマーを含んでよい。接着層20は、実質的に、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマー、直鎖状低密度ポリエチレン及びスチレン系エラストマーで構成されてもよい。接着層20は、上記の樹脂成分以外に、添加剤成分を含んでもよい。
接着層20に含まれる、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、分子拘束成分(ハードセグメント)として、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)等のオレフィン系ポリマー(樹脂成分)を有し、ゴム弾性を示す柔軟性成分(ソフトセグメント)として、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)やエチレンプロピレンゴム(EPR)等のオレフィン系ゴム成分を有する共重合体が挙げられる。
接着層20に含まれるオレフィン系熱可塑性エラストマーの曲げ弾性率は、50MPa~200MPaであり、100MPa~180MPaであることが好ましく、110MPa~160MPaであることがさらに好ましい。曲げ弾性率が50MPa未満では、接着層20の柔軟性が不十分となるおそれがある。曲げ弾性率が200MPaを超えると、環状オレフィン系樹脂層10との接合が十分得られないおそれがある。なお、曲げ弾性率は、JIS K 7171:2008(ISO 178:2001)に準拠する方法によって測定できる。
接着層20は、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有することにより、環状オレフィン系樹脂層10との接着力を高めると共に、落下等の外力が加わった際の破損リスクを低減することができる。接着層20に含まれる曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量は、40質量%~80質量%であり、50質量%~70質量%が好ましく、55質量%~65質量%がより好ましい。接着層20に含まれる曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量が40質量%未満の場合には、接着層20の柔軟性が不十分となるおそれがある。接着層20に含まれる曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量が80質量%を超えると、環状オレフィン系樹脂層10との接合が十分得られないおそれがある。
曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、引張強度が15MPa~40MPaであることが好ましく、18MPa~30MPaであることがより好ましく、20MPa~26MPaであることがさらに好ましい。引張強度が15MPa~40MPaであれば、接着層20は、十分な柔軟性を有することができると共に、環状オレフィン系樹脂層10との接着力を十分有することができる。なお、引張強度は、JIS K 7161-1:2014(ISO 527-1:2012)に準拠する方法によって測定できる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、三菱ケミカル(株)製のゼラス(登録商標)MC119、MC123、MC638、MC743、サーモラン(登録商標)等が挙げられる。中でも、ゼラス(登録商標)MC743が好ましい。
接着層20に用いられる直鎖状低密度ポリエチレンは、通常、炭素数4以上のα-オレフィンを共重合させ、短鎖の分岐を導入することで、長鎖の分岐が少なく、直鎖状の分子構造を有する。直鎖状低密度ポリエチレンに共重合されるα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等が挙げられる。
接着層20に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの種類としては、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合された樹脂、シングルサイト系触媒を用いて重合された樹脂等が挙げられる。シングルサイト系触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンは、分子量分布が狭く、機械的特性に優れるので好ましい。シングルサイト系触媒としては、メタロセン系触媒が挙げられる。メタロセン系触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含み、金属がジルコニウム、ハフニウム等であるメタロセン化合物を含む触媒が挙げられる。
接着層20に含まれるスチレン系エラストマーは、例えば、相溶化剤として機能できる。接着層20に含まれるスチレン系エラストマーとしては、スチレンと脂肪族オレフィンとの共重合体が挙げられる。スチレンを含むブロックがハードブロックを構成し、脂肪族オレフィンを含むブロックがソフトブロックを構成する。分子中のスチレン含有量が高いほど強固な接着強度を発現することができる。しかし、スチレン含有量が高すぎると、柔軟性が損なわれるため、スチレン系エラストマーにおけるスチレン含有量は、10質量%~50質量%が好ましく、12質量%~30質量%がより好ましく、15質量%~20質量%が更に好ましい。
スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン-エチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)、水添スチレン-ブタジエンゴム(HSBR)、等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、SEBS、SEPS、SEBC、HSBRから選択される1種以上が好ましく、特にSEBSが好ましい。なお、SEBSは、一般的には、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加(水添)で、ブタジエンユニットをエチレンユニット2つ又はブチレンユニットに変換して得られるものであるが、変性や選択的水素添加等がなされたものでもよい。
接着層20を構成する樹脂成分のうち、オレフィン系熱可塑性エラストマーと直鎖状低密度ポリエチレンとスチレン系エラストマーとの割合としては、例えば、樹脂成分100質量部に対して、オレフィン系熱可塑性エラストマーが30質量部~65質量部、直鎖状低密度ポリエチレンが34質量部~50質量部、スチレン系エラストマーが1質量部~20質量部の割合であることが好ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの割合が45質量部~55質量部であることがより好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンの割合が35質量部~45質量部であることがより好ましく、スチレン系エラストマーの割合は5質量部~15質量部であることがより好ましい。
接着層20において、オレフィン系熱可塑性エラストマー、直鎖状低密度ポリエチレン及びスチレン系エラストマーの3成分の含有量の合計は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%でもよい。接着層20は、上記の3成分以外の樹脂成分又は添加剤成分を含んでもよいが、その割合は、接着層全体の10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
(ポリプロピレン系樹脂層)
ポリプロピレン系樹脂層30は、ポリプロピレン(PP)系樹脂と、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)を含む。
ポリプロピレン系樹脂層30に含まれるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体であってもよいし、エチレン又は炭素数4~8のα-オレフィンの少なくとも1種以上との共重合体であってもよい。ポリプロピレン系樹脂層30に含まれるPP系樹脂が共重合体である場合、その共重合体は、ランダム共重合体でもよいし、ブロック共重合体でもよい。ポリプロピレン系樹脂層30は、1種のポリプロピレン系樹脂を含有してもよく、2種以上のポリプロピレン系樹脂層を含有してもよい。
また、ポリプロピレン系樹脂は、熱可塑性エラストマーを含んでよい。熱可塑性エラストマーは、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーとは異なる曲げ弾性率を有することが好ましい。熱可塑性エラストマーの曲げ弾性率は、例えば、240MPa~650MPaであることが好ましい。
即ち、ポリプロピレン系樹脂が熱可塑性エラストマーである場合、ポリプロピレン系樹脂層30は、曲げ弾性率が異なる2種類以上の熱可塑性エラストマーを含み、そのうちの1種類は、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを含む。
ポリプロピレン系樹脂層30に含まれる、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、接着層20に含まれる、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーと同様である。そのため、接着層20に含まれる、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーの詳細は省略する。
ポリプロピレン系樹脂層30は、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有することにより、落下等の外力が加わった際の破損リスクを低減することができる。ポリプロピレン系樹脂層30に含まれる曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量は、10質量%~50質量%であり、15質量%~45質量%が好ましく、25質量%~35質量%がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂層30に含まれる曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量は、10質量%未満の場合には、ポリプロピレン系樹脂層30の柔軟性が不十分となるおそれがある。ポリプロピレン系樹脂層30に含まれる曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量が50質量%を超えると、接着層20との接合が十分得られないおそれがある。
ポリプロピレン系樹脂層30は、ポリプロピレン樹脂と、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーとを、質量比で、90:10~60:40で含み、80:20~65:35で含むことが好ましく、75:25~70:30で含むことがより好ましい。
積層体1を構成する各層、即ち、環状オレフィン系樹脂層10、接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30等を構成する材料には、容器外観の向上や品質の安定化、その他必要とされる性能を付与するために、安全性及び衛生性を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等の各種添加剤等を含有してもよい。
環状オレフィン系樹脂層10、接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30の各層の厚みは、積層体1を用いて成形される容器の用途等に適宜設計される。例えば、環状オレフィン系樹脂層10の厚みは、95μm~170μmであり、接着層20の厚みは、45μm~65μmであり、ポリプロピレン系樹脂層30の厚みは、20μm~30μmとしてよい。
積層体1を構成する各層を成形する方法は、特に限定されないが、Tダイ成形法、インフレーション成形法等を用いることができる。Tダイ成形法を用いる場合、Tダイ成形後に、積層体1を構成する各層をフィルム(シート)等とした後、冷却ロールで急冷してもよい。積層体1を構成する各層のフィルム等を連続的に成形する場合には、成形後に、積層体1を構成する各層のフィルム等の長尺成形体を巻き取ると、生産性に優れるため、好ましい。
積層体1は、シーラント層及び基材等、必要に応じて他の層を積層してもよい。即ち、各層間には接着剤層又はアンカー剤層を介してもよいし、層間が直接接するように積層されていてもよい。他の層としては、補強層、ガスバリア層、遮光層、印刷層等、適宜、一層又は複数層を選択することができる。シーラント層とは、ヒートシールに用いられる層であり、包装材料としては内容品に接する最内層に配置される。ヒートシールは、シーラント層を溶融させることにより接着させる方法であるが、シール方法は特に限定されず、熱板シール、超音波シール、高周波シール、インパルスシール等が挙げられる。基材は、積層体のうちシーラント層とは反対側である他方の最表面であってもよいし、他方の最表面より内側に積層されてもよい。
積層体1の総厚みは、適宜設計可能であり、必要とされる性能(透明性、柔軟性)及びコスト(生産性、材料費)とのバランスの観点から、例えば、150μm~300μmが好ましく、190μm~250μmでより好ましい。
本実施形態に係る積層体1の製造方法としては、特に限定されることなく、押出ラミネート工法、ドライラミネート工法、共押出工法、又はこれらのうち2以上の工法の併用により、積層体1を構成する各層を適宜積層すればよい。シーラント層の厚みは、積層体1を用いて成形される容器の用途等に適宜設計され、特に限定されないが、例えば、5μm~150μmとしてよく、好ましくは15μm~100μmである。
積層体1の製造時に、環状オレフィン系樹脂層10、接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30の3層を共押出工法で積層すると、これら3層の間が接着剤層又はアンカー剤層を介せず積層される。
積層体1は、環状オレフィン系樹脂層10、接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30の3層を有しているが、上述の通り、これらの層の何れかを複数備えてもよい。例えば、積層体1は、環状オレフィン系樹脂層10、接着層20、ポリプロピレン系樹脂層30、接着層20及び環状オレフィン系樹脂層10をこの順に積層した5層を含んでもよい。
本実施形態に係る積層体1は、環状オレフィン系樹脂層10と、接着層20と、ポリプロピレン系樹脂層30とを備え、接着層20は曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを40質量%~80質量%含み、ポリプロピレン系樹脂層30は曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを10質量%~50質量%含む。接着層20及びポリプロピレン系樹脂層30は、高い柔軟性を有すると共に環状オレフィン系樹脂層10との接着性を高めることができるため、環状オレフィン系樹脂層10と接着層20の間の接着力を高めることができる。よって、積層体1は、環状オレフィン系樹脂層10とポリプロピレン系樹脂層30との間に優れた層間接着強度を有することができる。
また、積層体1は、接着層20に曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを40質量%~80質量%含み、ポリプロピレン系樹脂層30に曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを10質量%~50質量%含むことで、高い耐熱性を有することができる。積層体1は、120℃を超える高温に対しても耐熱性を有することができるため、高圧蒸気滅菌を行なうことができると共に、高圧蒸気滅菌を実施しても層間接着強度の低下を抑えることができる。
積層体1は、環状オレフィン系樹脂層10と接着層20との層間接着強度を25N/15mm以上にできる。これにより、積層体1は、プラスチック容器の容器材料として有効に用いることができる。また、積層体1は、滅菌処理しても、滅菌前後において、使用に要求される層間接着強度を維持できるため、高圧蒸気滅菌が必要な薬液バッグ等の容器材料として有効に用いることができる。
積層体1では、接着層20が直鎖状低密度ポリエチレン及びスチレン系エラストマーを含むことができる。これにより、接着層20は、より柔軟性を有することができる。よって、積層体1は、環状オレフィン系樹脂層10及びポリプロピレン系樹脂層30との接着状態を維持し易くすることができる。
積層体1は、接着層20がスチレン系エラストマーとしてSEBSを含むことができる。これにより、接着層20は、より確実に柔軟性を有することができる。よって、積層体1は、環状オレフィン系樹脂層10及びポリプロピレン系樹脂層30との接着が維持された状態をより確実に高めることができる。
積層体1は、上述の通り、優れた層間接着強度を有するため、プラスチック容器等の容器材料として用いれば、プラスチック容器等の耐久性を高めることができるため、プラスチック容器に好適に用いることができる。
<プラスチック容器>
次に、本実施形態に係る積層体1を用いて形成したプラスチック容器について説明する。プラスチック容器は、内容物を保存するための収容部を有し、収容部は、積層体1の環状オレフィン系樹脂層10同士が対向するように重ね合わせて、その周縁を接合して密封することで形成できる。
プラスチック容器は、包装袋(パウチ)、チューブ包装等として用いることができる。包装袋に注出口を設ける場合、注出口としては、包装袋を構成する積層体1のシーラント層である環状オレフィン系樹脂層10と接合して密封性が確保できれば好適に使用できる。積層体1の環状オレフィン系樹脂層10とヒートシール可能な樹脂からなる注出口を用いて、積層体1と注出口とはヒートシールによって接合することが好ましい。積層体1と注出口をヒートシールする場合、環状オレフィン系樹脂層10を内側として積層体1を重ね合わせた間に注出口を挿入してヒートシールしてもよいし、注出口の一端にフランジ部や舟形形状の融着基部を設け、このフランジ部や融着基部を積層体1に設けた穴の周縁や包装袋の開口部内面の環状オレフィン系樹脂層10とヒートシールしてもよい。
内容物は、医薬品(薬剤)、飲食物、化粧品等が挙げられる。医薬品は、ニトログリセリン、アルブミン、ビタミン類、微量元素、ラジカル捕捉剤等、一般の樹脂に対する吸着性又は透過性が高い物質でもよいし、ピラゾロン誘導体であるエダラボン又はその薬学的に許容され得る塩を含有する水溶液でもよい。ピラゾロン誘導体は、ピラゾロンの炭素原子又は窒素原子にアルキル基、芳香族基、ハロゲン原子等の置換基を1以上有してもよい。ピラゾロン誘導体は、有機酸、無機酸等と塩類を形成していてもよい。
包装袋の形態は、特に限定されず、三方袋、四方袋、合掌貼り袋、ガゼット袋、自立袋等の小型の袋の他に、バッグインボックス用の内袋及びドラム缶内装袋等の大型の袋等に適用できる。包装袋は、例えば、輸液等を収容する薬液バッグ、ブロー容器等に用いることができる。
図2は、プラスチック容器の一例を示す側面図である。図2に示すように、プラスチック容器100は、内容物を保存するための収容部110と、内容物を排出するための口部120を有してよい。収容部110は、積層体1が対向するように重ね合わせるように配置されることで形成できる。
このように、プラスチック容器は、収容部を本実施形態に係る積層体1により形成されることで、高い耐久性を有することができる。そのため、プラスチック容器は、収容部内に内容物を長期間保存中に収容部を形成する積層体の層間接着強度が徐々に低下しても層間分離(デラミネーション)を抑制できるので、収容部に亀裂等が生じて、内容物が漏洩することを抑制できる。また、プラスチック容器は、滅菌処理後でも、収容部を形成する積層体の層間接着強度を高い状態で維持できる。そのため、プラスチック容器が、例えば、薬液バッグとして用いられる場合、薬液を長期間保存することができるので、信頼性の高い薬液バッグを提供することができる。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの例により限定されるものではない。例1及び例2は実施例であり、例3は比較例である。
<パウチの作製>
[例1]
積層体を構成する各層の作製に用いる、環状オレフィン系樹脂層形成用組成物、接着層形成用組成物及びポリプロピレン系樹脂層形成用組成物を作製した。
(環状オレフィン系樹脂層形成用組成物の作製)
環状オレフィン系ポリマー1(ZEONOR(登録商標)」1020R(日本ゼオン株式会社製、密度1.02g/cm、ガラス転移温度:136℃)と、環状オレフィン系ポリマー2(ZEONEX(登録商標)」1020R(日本ゼオン株式会社製、密度1.02g/cm、ガラス転移温度:136℃)とを、70質量%:30質量%となるように配合して、環状オレフィン系樹脂層形成用組成物を作製した。
(接着層形成用組成物の作製)
オレフィン系熱可塑性エラストマー(ゼラス(登録商標)MC743(三菱ケミカル社製)、MFR:1.7g/10min、密度:0.89g/cm、曲げ弾性率:110MPa、引張り強度:18MPa、引張り伸び:750%、融解ピーク温度:161℃)と、LLDPE(気相法メタロセン系ポリエチレン「ハーモレックス(登録商標)NF325N」(日本ポリエチレン株式会社製)、密度:0.908g/cm、融解ピーク温度:120℃)と、相溶化剤としてスチレン系エラストマー(SEBS「クレイトン(登録商標)G1657VS(クレイトン社製)」、MFR:22g/10min、スチレン含有量:12.3~14.3質量%)とを、50質量%:40質量%:10質量%となるように配合して、接着層用組成物を作製した。
(ポリプロピレン系樹脂層形成用組成物の作製)
ポリプロピレンをベースとする熱可塑性エラストマー(ゼラス(登録商標)7025(三菱ケミカル社製)、MFR:1.6g/10min、密度:0.89g/cm、曲げ弾性率:620MPa、引張り強度:43MPa、引張り伸び:680%、融解ピーク温度162℃)と、オレフィン系熱可塑性エラストマー(ゼラス(登録商標)MC743(三菱ケミカル社製)、MFR:1.7g/10min、密度:0.89g/cm、曲げ弾性率:110MPa、引張り強度:18MPa、引張り伸び:750%、融解ピーク温度161℃)とを、75質量%:25質量の割合で混合して、ポリプロピレン系樹脂層用組成物を作製した。
(積層体の作製)
Tダイ式多層製膜機を用いて、環状オレフィン系樹脂層形成用組成物、接着層形成用組成物及びポリプロピレン系樹脂層組成物を共押出工法により、環状オレフィン系樹脂層、接着層及びポリプロピレン系樹脂層がこの順に積層された積層体を作製した。環状オレフィン系樹脂層、接着層及びポリプロピレン系樹脂層の各層の厚みは、150μm、65μm及び25μmとした。
積層体を構成する、環状オレフィン系樹脂層、接着層及びポリプロピレン系樹脂層の各層の組成は、環状オレフィン系樹脂層形成用組成物、接着層形成用組成物及びポリプロピレン系樹脂層形成用組成物のそれぞれの組成に対応する。環状オレフィン系樹脂層、接着層及びポリプロピレン系樹脂層の組成を表1に示す。
(パウチの作製)
製造した積層体を用いて、最内層同士を重ね合わせ、充填口を除いて積層体の外周をヒートシールし、外寸が172mm×115mmとなる輸液バッグ形状のパウチを作製した。外周シール幅が5mmとなるようにトリミングし、パウチの内部に105mLの水を充填した後、充填口をヒートシールしてパウチを密封した。
[例2及び例3]
例1において、ポリプロピレン系樹脂層の組成を表1に示す組成に変更したこと以外は、例1と同様にして積層体及びパウチを作製した。環状オレフィン系樹脂層、接着層及びポリプロピレン系樹脂層の組成を表1に示す。
<積層体の評価>
[滅菌処理前]
作製したパウチの、滅菌処理前における、積層体の層間接着強度及び透明性を測定した。
(層間接着強度)
環状オレフィン系樹脂層とポリプロピレン系樹脂層との間の層間接着強度は、次の手順により測定した。まず、パウチのヒートシールされていないシートを15mm幅×150mm長に5個切り取り、酢酸エチルを用いてシートの一端から層間の一部を分離させた。層間が分離した長さが20mm以上となるまで展開し、層間が分離した両端部をそれぞれ引張試験機のつかみ部に取り付けた。次に、引張速度5mm/minで引張荷重を付与し、30mmの長さを層間剥離させ、平均荷重(単位:N/15mm)を測定した。切り取った5個のシートの平均荷重(単位:N/15mm)を、環状オレフィン系樹脂層とポリプロピレン系樹脂層との間の層間接着強度とした。包装製品の実績を参考にして、層間接着強度が25N/15mm以上である場合は層間接着強度は「良」であると評価し、層間接着強度の平均値が25N/15mm未満である場合は層間接着強度は「不良」であると評価した。
(透明性)
透明性は、次の手順により評価した。第十七改正日本薬局方(JP17)の7.02プラスチック製医薬品容器試験法に記述された透明性試験第1法に従い、積層体の検体をパウチ部から0.9cm×4cmの大きさに5個切り出し、水を満たした紫外線吸収スペクトル測定用セルに浸し、水だけを満たしたセルを対照として、紫外可視分光光度計により波長450nmの光線透過率を測定し記録した。同薬局方のプラスチック製水性注射剤容器の規格で光線透過率が55%以上でなければならないことを勘案して、5個の検体の光線透過率の測定値の平均値が65%以上である場合には透明性は「良」であると評価し、光線透過率の測定値の平均値が65%未満である場合には透明性は「不良」と評価した。
[滅菌処理後]
密封後のパウチを高圧蒸気滅菌器に入れて、121℃で20分間滅菌処理を行なった。滅菌処理後、パウチを高圧蒸気滅菌器から取り出して、冷却水によりパウチの温度を速やかに下げて、滅菌処理後における、積層体の層間接着強度及び透明性を上記と同様に測定した。なお、例1では、積層体の透明性は、滅菌処理の直後の透明性の他に、滅菌処理から1週間後の透明性を測定した。
各例のパウチの製造に用いた積層体の層間接着強度及び透明性の測定結果を表1に示す。
Figure 2023148790000005
表1より、例1では、積層体の滅菌前後での層間接着強度は大きく上昇し、滅菌前後において透明性の低下も抑えられ、プラスチック製水性注射剤容器の規格を満たしていた。例2では、積層体の滅菌前後での層間接着強度は低下したが、25N/15mm以上であり、使用条件を満たした。また、滅菌前後において透明性の低下も抑えられ、プラスチック製水性注射剤容器の規格を満たしていた。一方、例3では、積層体の滅菌前後での層間接着強度は大きく減少し、滅菌前後において透明性も低下し、プラスチック製水性注射剤容器の規格を満たさなかった。
よって、例1及び例2の積層体は、例3の積層体と異なり、接着層及びポリプロピレン系樹脂層に曲げ弾性率が110MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーをそれぞれ所定量含むことで、優れた層間接着強度を有することができるので、プラスチック容器に適用した際、耐久性を高めることができるといえる。プラスチック容器を薬液バッグとして用いる場合、薬液バッグを構成する積層体が滅菌処理後も高い層間接着強度を有すれば、薬液バッグに薬液を長期間保存中に層間接着強度が徐々に低下しても層間分離(デラミネーション)を抑制し、薬液バッグとしての機能を維持でき、好ましい。よって、例1及び例2の積層体を用いて成形した薬液バックは、薬液を長期間保存することができるといえる。
1 積層体
10 環状オレフィン系樹脂層
20 接着層
30 ポリプロピレン系樹脂層
100 プラスチック容器

Claims (7)

  1. 環状オレフィン系樹脂層と、
    ポリプロピレン系樹脂層と、
    前記環状オレフィン系樹脂層と前記ポリプロピレン系樹脂層とを接合する接着層と、
    を備え、
    前記ポリプロピレン系樹脂層は、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを10質量%~50質量%含み、
    前記接着層は、曲げ弾性率が50MPa~200MPaであるオレフィン系熱可塑性エラストマーを40質量%~80質量%含む積層体。
  2. 前記環状オレフィン系樹脂層と前記接着層との層間接着強度が、25N/15mm以上である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記接着層は、直鎖状低密度ポリエチレン及びスチレン系エラストマーを含む請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記スチレン系エラストマーが、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体を含む請求項3に記載の積層体。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載の積層体が対向するように重ね合わせるように配置された、内容物を保存するための収容部と、
    前記内容物を排出するための口部と、
    を備えたプラスチック容器。
  6. 前記内容物が医薬品である請求項5に記載のプラスチック容器。
  7. 前記プラスチック容器が、薬液バッグ又はブロー容器である、請求項5又は6に記載のプラスチック容器。
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