JP5467074B2 - 医療容器用多層体および医療容器 - Google Patents

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Description

本発明は、医療容器用多層体と、この医療容器用多層体から形成された薬液の収容部を有する医療容器に関する。
医療分野で使用される樹脂製の医療容器としては、アンプル、バイアル、シリンジ容器、フィルムからなる輸液バッグなどがある。また、樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、スチレン系エラストマー、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、環状ポリオレフィンなどが用いられている。
これらの樹脂のうちポリエチレンは、衛生性が高く柔軟であり、焼却処分される際に有毒なガスを発生しないことなどから医療容器に多用されているが、その一方で、医療容器における薬液との接液部にポリエチレンを使用すると、薬液中のポリエチレンが脂溶性ビタミンなどの特定の薬剤を吸着してしまい、保存中にその特定の薬剤の濃度が低下する場合があることも知られている。
そこで、特定の薬剤の吸着や吸収に起因した薬剤の力価低下が抑制され、透明性、耐熱性、衛生性などに優れ、さらに水蒸気透過率が低いなどの高いバリア性を有する環状ポリオレフィンが、医療容器の材料として広く使用されるようになってきている。環状ポリオレフィンを使用した医療容器としては、事前に薬剤をシリンジ容器に充填したプレフィルドシリンジが普及している。
また、特許文献1には、熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマーからなる環状ポリオレフィン層に、合成樹脂層やバリア層などを組み合わせた多層構造の医療容器が開示されている。
特許文献2には、表層、柔軟層、バリア層、シール層を備えた多層フィルムからなり、バリア層には環状ポリオレフィンとエチレン−α−オレフィン共重合体とが使用され、その他の層には主成分としてエチレン−α−オレフィン共重合体が使用された医療容器が開示されている。
特許文献3には、環状ポリオレフィンなどの樹脂からなるA層の片方または両方に、特定の融点とビカット軟化点を備えた直鎖状低密度ポリエチレンからなるB層が積層された積層フィルムと、これを使用した医療容器が開示されている。
さらに特許文献4には、特定の融点のポリオレフィン系樹脂を主成分として含む基材層に、特定のガラス転移温度の環状ポリオレフィン系樹脂を主成分として含むシーラント層が積層した積層フィルムを用いた医療容器が記載されている。
特許第3227709号公報 国際公開第03/097355号パンフレット 特開2004−167800号公報 特開2005−254508号公報
しかしながら、特許文献1の段落0027や特許文献2の段落0004にも記載されているように、環状ポリオレフィンは接着性が乏しいという欠点を有している。そのため、特許文献1の多層フィルムを製造する際には、環状ポリオレフィン層と他の層との積層に際して、接着剤を使用せざるを得ないという事情があった。ところが、接着剤が使用された多層フィルムでは、接着剤由来の成分がブリードアウトする可能性がある。よって、このような多層フィルムを医療容器に使用すること、特に薬液に近い内側の方に使用することは、衛生性の点から好適ではない。
特許文献2の技術においては、環状ポリオレフィンの接着性を改善するために、環状ポリオレフィンにエチレン−α−オレフィン共重合体を混合して、バリア層を形成している。ところが、エチレン−α−オレフィン共重合体を混合すると、バリア層のバリア性が低下し、バリア層に隣接する層にまで薬剤が吸収されるおそれがある。また、バリア性の低下を改善しようとしてバリア層を厚くすると、その分、柔軟性が低下するという問題が生じる。
また、特許文献3や4に記載の医療容器は耐熱性が十分ではなく、高圧蒸気などで滅菌される必要のある医療容器の材質としては、満足できるものではない。また、特許文献3や4に開示の積層フィルムは耐ブロッキング性にも劣るという欠点もあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、接着剤を使用することなく、環状ポリオレフィンからなる最内層が他の層と良好に接着していて、耐熱性にも優れ、フィルムである場合には耐ブロッキング性も良好な医療容器用多層体と、この医療容器用多層体から形成され、高圧蒸気などで滅菌されても透明性や剥離強度などの特性劣化が少ない医療容器を提供することを課題とする。
本発明の医療容器用多層体は、医療容器の形成に使用される医療容器用多層体であって、ガラス転移温度が102℃を超えて140℃以下の環状ポリオレフィンからなる最内層と、該最内層に隣接するように形成され、シングルサイト系触媒を使用して製造された密度が0.904〜0.917g/cmである直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする中間層と、高密度ポリエチレンを含有する最外層とからなり、総厚みが100〜600μmであることを特徴とする。
前記最外層は、前記高密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンとの混合物であることが好ましい。
前記最内層は、環状ポリオレフィンの混合物からなることが好ましい。
本発明の医療容器は、薬液を収容する収容部を備えた医療容器であって、少なくとも前記収容部は、前記医療容器用多層体からなることを特徴とする。
本発明によれば、接着剤を使用することなく、環状ポリオレフィンからなる最内層が他の層と良好に接着していて、耐熱性にも優れ、フィルムである場合には耐ブロッキング性も良好な医療容器用多層体と、この医療容器用多層体から形成され、高圧蒸気などで滅菌されても透明性や剥離強度などの特性劣化が少ない医療容器を提供できる。
本発明の多層体の一例を示す断面図である。 (A)本発明の医療容器の一例を示す平面図と、(B)(A)のI−I’線に沿う断面図である。 (A)本発明の医療容器の他の一例を示す平面図と、(B)ポート部の他の一例を示す平面図である。 図3の医療容器を製造する際に使用されるフィルム成形品の(A)正面図と、(B)側面図である。 本発明の医療容器のさらに他の一例を示す平面図である。 本発明の医療容器の一例である複室医療容器を示す平面図である。 実施例の剥離試験を説明する(A)模式図と、(B)(A)で使用するサンプルの作製法を説明する平面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の医療容器用多層体は、医療容器の形成に使用され、特に医療容器のうち薬液を収容する収容部の形成に好適に使用される医療容器用多層体であって、環状ポリオレフィンからなる最内層と、この最内層に隣接するように形成され、シングルサイト系触媒を使用して製造された直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする中間層と、高密度ポリエチレンを含有する最外層とを少なくとも有するものである。
図1は、本発明の一例である医療容器用多層体(以下、多層体という。)10を示すものである。
この例の多層体10は、環状ポリオレフィンからなる最内層11と、シングルサイト系触媒を使用して製造された直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする中間層12と、高密度ポリエチレンを含有する最外層13とが順次積層した3層からなり、空冷または水冷の多層インフレーション成形法、多層T−ダイ成形法などにより、フィルムに形成されたものである。なお、本発明では、フィルムおよびシートのことをまとめてフィルムという。
最内層11は、この多層体10から医療容器を形成した際に内側となり、医療容器に収容される薬液などと直に接する層であって、環状ポリオレフィンから形成されている。
環状ポリオレフィンは、薬剤の吸着や吸収が少ないため、環状ポリオレフィンからなる層を最内層11とした多層体10で医療容器を形成することにより、収容する薬液の力価低下を抑制することができる。また、環状ポリオレフィンは水蒸気透過率が低いなどの高いバリア性を有しているとともに、不純物の溶出が極めて少なく、衛生性に優れる点からも、最内層11として好適である。さらに、環状ポリオレフィンは、耐熱性や透明性を有しているため、高圧蒸気などで滅菌される必要があり、内容物を外側から目視できることが望まれる医療容器への使用にも適している。
環状ポリオレフィンとしては、環状オレフィンモノマーの開環重合体及び該開環重合体の水素添加物、さらには環状オレフィンモノマーの付加重合体及び環状オレフィンモノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、環状オレフィンモノマーの開環重合体の水素添加物が好ましい。また、低吸着性の重合体が得られることから、炭化水素のみからなる環状オレフィンモノマーが好ましい。
環状オレフィンモノマーとしては、特に限定されるものではないが、ノルボルネン系モノマー及び単環式環状オレフィンモノマーなどが挙げられる。ノルボルネン系モノマーは、モノマー構造中にノルボルネン構造に由来する単位を有するモノマーであり、具体的には例えば、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(慣用名ノルボルネン)、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン)及びテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)などが挙げられる。また、これらノルボルネン系モノマーは炭素数1〜3の炭化水素基を有していてもよい。単環式環状オレフィンモノマーとしては、具体的に、シクロヘキセン、シクロヘプテン及びシクロオクテンなどが挙げられる。これら環状オレフィンモノマーは、単独でまたは2種以上を用いることができる。
環状オレフィンモノマーの開環重合体は、環状オレフィンモノマーを、公知の開環重合触媒の存在下でメタセシス反応により重合して得られるものである。また、環状オレフィンモノマーの開環重合体の水素添加物は、開環重合体を公知の水素化触媒により水素化することにより得られるものである。
また、環状オレフィンモノマーと付加共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられる。これらα−オレフィンは1種または2種以上使用することができる。
環状オレフィンモノマーの付加(共)重合体は、公知のチタン、ジルコニウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて重合することにより得ることが出来る。
環状ポリオレフィンとして市販されているもののうち、環状オレフィンモノマーの付加(共)重合体としては、三井化学株式会社製アペル(登録商標)、TICONA社製TOPAS(登録商標)などが挙げられ、環状オレフィンモノマーの開環重合体の水素添加物としては、日本ゼオン株式会社製のゼオノア(登録商標)およびゼオネックス(登録商標)などが挙げられる。
環状ポリオレフィンとしては、ガラス転移温度(以下、Tgという場合もある。)が70℃〜180℃であることが好ましく、100℃〜140がより好ましい。Tgが70℃未満では、多層体10から形成された医療容器の耐熱性が低下し、高圧蒸気などによる滅菌に適さない場合がある。一方、Tgが140℃を超えると、多層体の成形性やヒートシール性が低下するおそれがある。なお、ここでガラス転移温度は、JIS K 7121に準拠して、示差走査熱量計(以下、DSCという。)で測定される値であり、製造会社のカタログ、技術資料に記載された値である。
環状ポリオレフィンのTgは、複数種の環状ポリオレフィンうち、相溶性のよいものを適当な比率で混合する方法などで任意に調整できる。環状ポリオレフィンの混合物の相溶性の程度は、DSCにより混合物のTgを測定することにより知ることができる。相溶性が良い混合物の場合、1つのTgだけが観測されるのに対して、相溶性が良いと言えない場合には複数のTgが観測される。相溶性が良い混合物であると、目的とする高圧蒸気滅菌温度に耐える耐熱性と、成形性の両立をはかることができるため好ましい。
なお、最内層11は環状ポリオレフィンからなっているが、本発明の効果を損なわない範囲において、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、防曇剤、紫外線吸収剤及び中和剤など、樹脂の分野で一般に使用される各種添加剤を通常の使用範囲で含有していてもよい。
中間層12は、上述した最内層11に隣接するように形成された層であって、メタロセン触媒に代表されるシングルサイト系触媒を使用して製造され、密度が0.860g/cm以上0.940g/cm未満の直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEという場合もある。)を主成分とする。なお、ここで主成分とは、含有量が50質量%以上であることを指す。
シングルサイト系触媒を使用して製造されたこのようなLLDPEは、環状ポリオレフィンとの接着性が優れているとともに、高圧蒸気滅菌により高温高湿条件に晒された場合でも接着性の低下が少ない。よって、環状ポリオレフィンからなる最内層11に、このようなLLDPEを主成分とした中間層12を隣接して設けることにより、この中間層12を介して、さらに他の層を良好かつ安定に接着させることができる。また、シングルサイト系触媒を使用して製造されたLLDPEは透明性にも優れ、高温高湿条件に晒された場合でもその劣化が少ない。これらの点から、このような中間層12を備えた多層体10は、高圧蒸気により滅菌される必要のある医療容器の形成に好適である。
LLDPEとしては、シングルサイト系触媒を使用して製造された密度0.860g/cm以上0.940g/cm未満のものであれば好適に使用できるが、これらのなかでも密度が0.900〜0.917g/cmのものを使用すると、耐熱性のより優れた多層体10や医療容器が得られ、121℃の高圧蒸気により滅菌された場合でも、何ら支障を生じず、多層体10から形成された医療容器を高圧蒸気で滅菌した後の中間層12と最内層11との剥離強度の低下が抑制される。ここでLLDPEの密度が0.860g/cm未満では、耐熱性が低下するおそれがある。一方、LLDPEの密度が0.940g/cm以上では、容器としての透明性や耐衝撃性が低下するおそれがある。
また、シングルサイト系触媒を使用して製造されたLLDPEとして、密度などの異なる複数種のものを併用してもよい。
また、シングルサイト系触媒により製造されたLLDPEのうち、組成分析により測定されるエチレンとα−オレフィンの組成分布が広いものは、加工性や耐衝撃性に優れるため好ましい。このような特性を備えた市販のものとしては、日本ポリエチレン株式会社製のハーモレックス(登録商標)、宇部興産株式会社製のユメリット(登録商標)、株式会社プライムポリマー製エボリュー(登録商標)などが好適に使用できる。
なお、中間層12は、シングルサイト系触媒により製造されたLLDPEを主成分、すなわち50質量%以上含有し、柔軟性の観点から好ましくは65質量%以上、より好ましくは80質量%以上含むものであるが、最内層11との接着性を阻害しない範囲で、他のポリエチレンや環状ポリオレフィンを含んでいてもよい。特に、シングルサイト系触媒により製造されたLLDPEよりも密度の高い高密度ポリエチレンを好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下の範囲で併用すると、耐熱性が向上し、高圧蒸気滅菌による中間層12の接着性の低下がより抑制される。また、このように他のポリエチレンや環状ポリオレフィンをLLDPEと併用すると、外観の優れた多層体10が得られやすいという利点もある。
また、中間層12も、本発明の効果を損なわない範囲において、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、防曇剤、紫外線吸収剤及び中和剤など、樹脂の分野で一般に使用される各種添加剤を通常の使用範囲で含有していてもよい。
最外層13は、この多層体10から医療容器を形成した際に最も外側となる層であって、高密度ポリエチレン(以下、HDPEと言う場合もある。)を含有して形成されている。
HDPEを含有する層を最外層13に設けることにより、得られる多層体10の耐熱性が向上し、高圧蒸気での滅菌によって医療容器の表面の変形などの特性劣化の少ない医療容器を形成することができる。また、図1の例のようなフィルム状の多層体10は、巻き回されてロール状とされて保管されたり取り扱われたりする場合が多いが、HDPEを含有する層を最外層13に備えることで、多層体10の耐ブロッキング性も優れる。
HDPEとしては、密度が0.940〜0.970g/cmのものであれば好適に使用できるが、これらのなかでも密度が0.945〜0.970g/cmのものを使用すると、より耐熱性、耐ブロッキング性に優れた多層体10が得られる。また、密度などの異なる複数種のHDPEを併用してもよい。
なお、最外層13におけるHDPEの好適な含有量はHDPEの密度により異なるが、例えば、密度が0.945〜0.970g/cmのHDPEの場合には、最外層13中20質量%以上であれば、121℃の高圧蒸気による滅菌によっても特性劣化の少ない、十分な耐熱性の医療容器を形成できる。しかしながら、より安定した耐熱性、耐ブロッキング性を発現させるためには、最外層13中のHDPEの含有量は30質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
ただし、成形安定性を高める目的のために、最外層13には他の樹脂が併用されることもあり、その場合には適宜HDPEの含有量を決定すればよい。このような他の樹脂としては、HDPE以外のポリオレフィンが挙げられ、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂が好ましく使用できる。これらのなかでも、高圧法低密度ポリエチレンをHDPEとともに使用すると、最外層13の成形安定性をより一層高めることができる。高圧法低密度ポリエチレンは、その密度が0.910〜0.935g/cmであるものが好ましく、より好ましくは0.920〜0.935g/cmである。
また、最外層13も、本発明の効果を損なわない範囲において、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、防曇剤、紫外線吸収剤及び中和剤など、樹脂分野で一般に使用される各種添加剤を通常の使用範囲で含有していてもよい。また、最外層13は、電子線による架橋などの変性を施し、耐熱性を向上させたものでもよい。
多層体10の総厚みには特に制限はないが、通常60〜1000μmであり、多層体10の柔軟性や強度などを考慮すると100〜600μmが好ましく、100〜400μmがより好ましい。
各層の厚みには特に制限はないが、最内層11が5〜100μmで、最外層13が5〜100μmであることが好ましい。最内層11の厚みが5μm未満では、収容する薬剤を吸着しやすくなる可能性があり、100μmを超えると、多層体10の柔軟性や、多層体10から医療容器を形成する際のヒートシール性が低下するおそれがある。また、最外層13の厚みが5μm未満では、多層体10の耐熱性が低下するおそれがあり、100μmを超えると、透明性が低下するおそれがある。
従って、3層からなる多層体10の場合には、総厚みを60〜1000μmとし、最内層11を5〜100μm、最外層を5〜100μmとし、残りを中間層12とすることが好ましい。
なお、3層からなる多層体10がフィルムの場合には、最内層11を5〜100μm、中間層12を50〜300μm、最外層を5〜100μmとすることが好ましい。
図1の多層体10は、上述のように、環状ポリオレフィンからなる最内層11とHDPEを含有する最外層13とが、中間層12を介して良好に接着した3層からなるものであって、医療容器用の多層体10として十分な特性を備えているが、さらに他の特性を付与することなどを目的として、中間層12と最外層13との間に他の層を1層以上設け、4層以上としてもよい。このような層としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のガスバリア性樹脂層、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の接着性樹脂層、酸化鉄を含有したポリオレフィン樹脂等の紫外線遮蔽層、キシリレンジアミンとアジピン酸などのα,ω−直鎖脂肪族二塩基酸とから得られるMXDナイロンなどのポリアミド樹脂とコバルト塩からなる酸素吸収層などが挙げられる。
また、多層体の形態としては、図1のようにフィルムに形成された多層体10だけでなく、詳しくは後述するように、多層ブロー成形法(多層中空成形法)で成形されたブロー成形体など立体形状の多層体でもよい。
本発明の医療容器は、薬液を収容する収容部を備えた医療容器であって、少なくとも収容部が上述の多層体からなるものである。その際、最内層が収容部の内側となり、最外層が外側となるように配置される。また、医療容器には、通常、収容部の他に、薬液の注出入口となるポート部が形成されている。
以下、本発明の医療容器の具体例について、図面を用いて説明する。
図2は、収容部21とポート部22とが多層ブロー成形法で一体に成形された医療容器20である。この医療容器20の上部は、吊り穴が形成された吊り下げ部23であり、下部のポート部22は、注射針を刺通可能な円柱状のゴム材の側面外周部に、最内層11と溶着可能な合成樹脂を射出成形法で設けたゴム栓体22aが装着されることで密封されるようになっている。
この医療容器20は、多層ブロー成形機を用いた通常の多層ブロー成形法により製造できる。すなわち、多層パリソンを押出し、金型で多層パリソンを挟み込んだ後、多層パリソン中に清浄エアーを吹き込めばよい。ここで金型として、収容部21とポート部22とを一体成形できるようなものを使用することにより、中空状のブロー成形体からなる図2の医療容器20を形成できる。また、多層パリソンを金型で挟み込む際、あらかじめ清浄エアーでプリブローしておくとともに、金型を閉じた後に、金型に形成された真空孔を通じて金型内を負圧とすることにより、金型の転写精度を向上させることができる。
なお、ポート部の形成法としては、このように収容部とともに多層ブロー成形法で一体に形成する方法の他、例えば後述の図3の例のように、別途用意した筒部材を、収容部にヒートシールする方法や、筒部材をインサートしたインサートブロー成形により成形と同時に一体化する方法などが挙げられる。なお、これら筒部材を用いる場合には、筒部材にゴム栓体22aを装着して密封する形態の他、詳しくは後に図3(B)を示して説明するが、ゴム栓を筒部材に装填した後、さらにリング状の蓋部材でゴム栓の周縁部を抑えるようにして蓋部材と筒部材とを超音波などにより溶着する方法で密封する形態としてもよい。
図3(A)は、熱板成形により形成された収容部31と、筒部材からなり、ゴム栓体32aがヒートシールされることで密封可能なポート部32とを備えた医療容器30を示したものである。この医療容器30の収容部31は、図4に示すフィルム成形品10’が2枚重ね合わされ、周縁部33がヒートシールされることで形成されている。
すなわち、この医療容器30を製造する場合には、まず、真空成形または圧空成形などの熱板成形により、図1のようなフィルム状の多層体10の中央部に収容部31の内形に沿う凹部を形成し、図4に示すようなフィルム成形品10’を得る。ついで、このフィルム成形品10’を2枚用意し、凹部同士が対向するように重ね合わせる。そして、所定の位置に筒部材を配置しつつ、2枚のフィルム成形品10’の周縁部をヒートシールする。
ヒートシール温度としては、多層体10の総厚みにもよるため、特に限定されるものではないが、およそ150〜280℃が好ましい。また、ヒートシール後には、必要に応じて周縁部をトリミングしてもよい。このような方法によれば、収容部31の形成と、筒部材のヒートシールによるポート部32の形成とを同時に行い、図3(A)の医療容器30を製造することができる。
なお、収容部31の形成とポート部32の形成とは別工程で行ってもよい。
ポート部32を形成する筒部材の材質としては、収容部31とのヒートシール性が良好であることから、多層体10の最内層11と同じ環状ポリオレフィンが好適であるが、収容部31と液密にヒートシール可能なものであれば、環状ポリオレフィンに限定されず、シングルサイト系触媒により製造されたLLDPE、中間層12と同一の組成物なども使用できる。また、ヒートシール可能な樹脂を筒部材のヒートシール面に用いた多層のものであってもよい。なお、ここでポート部32を、筒部材とゴム栓体32aから形成する代わりに、図3(B)に示すように、ゴム栓32bを筒部材に装填した後、リング状の蓋部材32cでゴム栓32bの周縁部を押さえるようにして、蓋部材32cと筒部材とを超音波などにより溶着して形成してもよい。
図5は、図1のようなフィルム状の多層体10が袋状に形成された収容部41と、筒部材からなるポート部42とを備えた、いわゆるフィルムバッグ型の医療容器40である。
この例の医療容器40は、多層インフレーション法などで筒状に形成された多層体を使用し、その両端部をヒートシールして収容部41を形成するとともに、その一端の所定の位置に筒部材をヒートシールしてポート部42とし、他端に吊り下げ部を形成する方法で製造できる。両端部のヒートシールと、筒部材のヒートシールとは、同時に行っても、別工程で行ってもよい。また、筒状の多層体を使用する代わりに、図1のような多層体10を2枚使用し、これらを重ね合わせた後、周縁部をヒートシールする方法で収容部を形成してもよい。
また、この例においてポート部42は、環状ポリオレフィンやシングルサイト系触媒により製造されたLLDPEなどで形成される筒部材と、注射針を刺通可能なゴム栓42aと、ゴム栓42aの周縁部を押さえるリング状の蓋部材42bとにより閉塞されている。
以上説明した医療容器によれば、少なくとも収容部が、環状ポリオレフィンからなる最内層と、シングルサイト系触媒を使用して製造された直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする中間層と、高密度ポリエチレンを含有する最外層とを備えた多層体から形成されているので、各層が良好に接着していて、衛生性を有し、さらに耐熱性に優れていて高圧蒸気滅菌した場合にも透明性、剥離強度などの特性劣化が少ない。
なお、医療容器の形態としては、収容部を1つ備えた形態に限定されず、例えば図6に示すように、連通可能な隔壁シール部52により収容部51が複数に区切られ、複数種の薬液を別々に収容できる複室医療容器50であってもよい。
図6の複室医療容器50は、袋状に形成された収容部51の幅方向に沿って隔壁シール部52が設けられ、収容部51が第1収容部51aと第2収容部51bとに分割されたものである。隔壁シール部52は、複室医療容器50の使用に際して、使用者が第1収容部51aまたは第2収容部51bを外部から押圧することで剥離し、第1収容部51a内の薬液と第2収容部51b内の薬液とが混合される。
隔壁シール部52の形成方法には制限はなく、例えば、収容部51の形成に際してヒートシールが実施される場合には、それと同時にヒートシールして形成してもよい。また、ヒートシールの他、インパルスシールなどの公知のシール方法で別途行ってもよい。さらに、収容部51をブロー成形で製造する場合には、ブロー成形時に使用する金型に隔壁シール部52を形成するための機構を設けて、ブロー成形と同時に隔壁シール部52を形成できるようにしてもよい。
さらに、図示は略すが、本発明の医療容器には、その外側、特に収容部の外側には、必要に応じて薬液を保護するための遮光層を設けてもよい。遮光層に好適な材料としては、例えば、アルミニウム箔などの金属箔、アルミニウム蒸着フィルム、金属箔と合成樹脂フィルムのラミネートフィルム、顔料を含有する合成樹脂フィルムなどが例示できる。これらの遮光層の中でも、アルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルムなどは、遮光性のみならず、防湿性、耐油性、非吸水性などを有しており、医療容器に収容する薬液の長期保存性を高める点などから好ましい。また、このような遮光層を医療容器から剥離可能に設けて、医療容器の使用時には薬液を外側から目視できるようにしてもよい。
以上、本発明の医療容器に収容される薬剤として薬液を例として説明したが、薬液だけで無く抗生物質など粉剤からなる薬剤であっても構わない。また、具体的な薬液としては、生理用食塩水、循環器系薬剤、造影剤及び抗菌剤など注射剤として用いられる薬液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
100mlの水が充填された図2の医療容器20を以下のようにして製造した。
まず、多層ブロー成形機を使用した多層ブロー成形法により、厚さ30μmの最内層と、厚さ250μmの中間層と、厚さ20μmの最外層が順次積層した3層構造のブロー成形体からなる収容部21とポート部22とを一体成形した。ついで、ポート部22から収容部21内に水100mlを充填した後、ゴム栓体22aをポート部22にヒートシールして医療容器20を密封した。ゴム栓体22aとしては、外周部にISO 1133に準拠し、280℃におけるメルトフローレート(以下「MFR」という。また、実施例、比較例においてMFR測定時の荷重は全て21.18Nである。)が17g/10分、ガラス転移温度が136℃である環状ポリオレフィン「ゼオネックス(日本ゼオン株式会社製)」(以下、「COP1」という。)からなる層が射出成形法で設けられたものを使用した。
なお、最内層には、COP1と、ISO 1133に準拠し、280℃におけるMFRが20g/10分、ガラス転移温度が102℃である環状ポリオレフィン「ゼオノア1020R(日本ゼオン株式会社製)」(以下、「COP2」という。)とを1:1の質量比でブレンドした環状ポリオレフィンの混合物を使用した。この混合された環状ポリオレフィンのTgは、1つだけ観測され、119℃であった。
中間層には、シングルサイト系触媒により製造されたLLDPE(以下、シングルサイト系LLDPEという場合もある。)であって、190℃におけるMFRが1g/10分、密度が0.906g/cmである「ハーモレックス(日本ポリエチレン株式会社製)」と、190℃におけるMFRが3.5g/10分、密度が0.956g/cmであるHDPE「ノバテック(日本ポリエチレン株式会社製)」を8:2の質量比でブレンドしたものを使用した。
最外層には、190℃におけるMFRが3.5g/10分、密度が0.955g/cmであるHDPE「ノバテック(日本ポリエチレン株式会社製)」を用いた。
こうして得られた水が充填された図2の医療容器20について、スプレー式高圧蒸気滅菌により、121℃、30分で高圧蒸気滅菌処理し、その前後の特性を以下のように評価した。評価結果を表に示す。
なお、実施例及び比較例において、耐ブロッキング性及び成形安定性の評価は、フィルムから成形し、収容部を形成した例の場合にのみ行い、実施例1のごとく多層ブロー成形から収容部を形成した場合には行っていない。
(評価方法)
(1)耐ブロッキング性
10cm×10cmの2枚の多層体を、その最外層同士が接するように重ね合わせ、この上に98N/100cmの荷重を加えて60℃、24時間保持した。その後、室温まで放冷し荷重除去した後に、2枚のフィルムを剥離した。この際の剥離の状態について、以下の2段階で評価した。
○;容易に剥がれる。
×;剥がすのに抵抗がある。
(2)剥離強度
高圧蒸気滅菌前後の医療容器から幅15mmの短冊状のサンプルSを切り出し、図7(A)に模式的に示すようにして、最内層11と中間層12との間のJIS K6854−3に準拠したT形剥離強度を引張速度300mm/分で測定した。試験は引張り試験機により行った。図中符号Pは、引張り試験機のチャックを示す。
なお、図7(A)に示すように、サンプルSをその最内層11のみが破断部Vで破断した状態とするには、まず、図7(B)の平面図に示すように、医療容器から切り出したサンプルSの幅方向の両端部に、互いに対向する2箇所に切り込みCを入れ、図7(B)中の矢印で示すように、サンプルSを長さ方向に引張る。すると、切り込みCの部分において最内層11のみが完全に破断し、他の層は破断していない状態のものを得ることができる。よって、これを引張り試験機にセットすることによって、図7(A)のように、最内層11と中間層12との間の界面の剥離強度を測定できる。
(3)透明性
高圧蒸気滅菌前後のヘイズを JIS K 7136に準拠して測定した。
(4)耐熱性
スプレー式高圧蒸気滅菌機で、丸穴の開いたパンチングメタルトレー上に載置された医療容器を高圧蒸気滅菌し、医療容器の外観を目視で評価した。
○;滅菌後に変形や収縮なし。
△;表面荒れなど若干の変形収縮ある。
×:変形や収縮が大きい、丸穴状のトレー跡などがある。
(5)成形安定性
インフレーション成形中のチューブ形状フィルムの形状安定性及びフィルムの皺の発生状況を評価した。
○:チューブ形状が一定している。フィルムに皺は見られなかった。
×:チューブ形状が不安定でチューブ径にバラツキがある。フィルムには部分的に皺が見られた。
[実施例2]
実施例1において、最外層の組成とポート部22の構成を変えた以外は同様にして医療容器20を得た。
最外層には、190℃におけるMFRが1.1g/10分、密度が0.927g/cmである高圧法低密度ポリエチレン「ノバテック(日本ポリエチレン株式会社製)」と、190℃におけるMFRが3.5g/10分、密度が0.956g/cmである高密度ポリエチレン「ノバテック(日本ポリエチレン株式会社製)」を7:3の質量比でドライブレンドしたものを使用した。
ポート部22は、射出成形により製造した環状ポリオレフィンからなる筒部材を、250℃に設定された予熱金型で加熱後、図2のブロー成形体からなる収容部21のポート部内22側に挿入し、220℃でヒートシールして装着することで構成した。また、水100mLを充填した後、ゴム栓を筒部材に装填し、その後さらに、リング状の蓋部材をゴム栓の周縁部を押さえつけるように配置し、筒部材と蓋部材とを超音波溶着した。なお、筒部材及び蓋部材には、COP1を使用した。そして実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。
参考例3
最内層の形成に、COP2のみを使用した以外は、実施例1と同様にして医療容器20を得て、同様に評価した。結果を表に示す。
なお、本例では、ゴム栓体22aとして、外周部に中間層で使用したLLDPEからなる層が射出成形法で設けられたものを使用した。
[参考例4]
中間層の形成に、190℃におけるMFRが3.5g/10分、密度が0.918g/cmであるシングルサイト系LLDPE「ハーモレックス(日本ポリエチレン株式会社製)」のみを使用した形成した以外は、参考例3と同様にして医療容器20を得て、同様に評価した。結果を表に示す。
なお、本例では、ゴム栓体22aとして、外周部に中間層で使用したLLDPEからなる層が射出成形法で設けられたものを使用した。
[参考例5]
中間層の形成に、190℃におけるMFRが4.0g/10分、密度が0.931g/cmであるシングルサイト系LLDPE「ユメリット(宇部興産株式会社製)」のみを使用した以外は、参考例3と同様にして医療容器20を得て、同様に評価した。結果を表に示す。
なお、本例では、ゴム栓体22aとして、外周部に中間層で使用したLLDPEからなる層が射出成形法で設けられたものを使用した。
[実施例6]
中間層の形成に、190℃におけるMFRが2.0g/10分、密度が0.904g/cmであるシングルサイト系LLDPE「ユメリット0520F(宇部興産株式会社製)」と、190℃におけるMFRが3.5g/10分、密度が0.956g/cmであるHDPE「ノバテック(日本ポリエチレン株式会社製)」を8:2の質量比でブレンドしたものを使用した以外は実施例1と同様に医療容器20を得て、同様に評価した。結果を表に示す。
なお、本実施例では、ゴム栓体22aとして、外周部にCOP1からなる層が射出成形法で設けられたものを使用した。
[実施例7]
100mlの水が充填された図3の医療容器30を以下のようにして製造した。
まず、多層インフレーションフィルム成形機を使用した多層インフレーション法により、厚さ10μmの最内層と、厚さ220μmの中間層と、厚さ20μmの最外層が順次積層した3層からなるインフレーションフィルムを製造した。
ついで、このインフレーションフィルムを切断して得たフィルム片を300℃に設定されたヒーターにより輻射加熱により軟化させ、常温の金型を用いて真空成形機で成形し、図4のフィルム成形品10’を得た。
そして、このフィルム成形品10’を凹部同士が向かい合うように2枚重ね合わせ、周縁部をヒートシールし、その後、環状ポリオレフィンの射出成形品である筒部材をヒートシールし、ポート部32を形成した。
ついで、ポート部32から収容部31内に水100mlを充填した後、図3(B)に示すように、ゴム栓32bを筒部材に装填し、その後さらにリング状の蓋部材32cをゴム栓32bの周縁部を押さえつけるように配置し、筒部材と蓋部材32cとを超音波溶着した。なお、筒部材及び蓋部材32cには、COP1を使用した。
なお、最内層、中間層、最外層には、いずれも実施例1と同じ樹脂を使用した。
そして、密封した医療容器30について評価した。結果を表に示す。
[実施例8]
100mlの水が充填された図5の医療容器40を以下のようにして製造した。
まず、実施例7と同様にして、3層構造のインフレーションフィルムを製造した。
ついで、このインフレーションフィルムの両端部をヒートシールして袋状にするとともに、その一端に、COP2の射出成形品である筒部材をヒートシールし、フィルムバッグ型の収容部41にポート部42を形成した。
ついで、ポート部42から収容部41内に水100mlを充填した後、ゴム栓42aを筒部材に装填し、その後さらにリング状の蓋部材42bをゴム栓42aの周縁部を押さえつけるように配置し、筒部材と蓋部材42bとを超音波溶着した。なお、筒部材及び蓋部材42bには、COP1を使用した。
そして、密封した医療容器40について評価した。結果を表に示す。
[実施例9]
最外層に、190℃におけるMFRが1.1g/10分、密度が0.927g/cmである高圧法低密度ポリエチレン「ノバテック(日本ポリエチレン株式会社製)」と、190℃におけるMFRが3.5g/10分、密度が0.956g/cmである高密度ポリエチレン「ノバテック(日本ポリエチレン株式会社製)」を7:3の質量比でブレンドしたものを使用した以外は、実施例8と同様に医療用容器20を得て、同様に評価した。
結果を表に示す。
[実施例10]
最外層に、190℃におけるMFRが2.0g/10分、密度が0.936g/cmであるチーグラー触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン「ノバテック(日本ポリエチレン株式会社製)」と、190℃におけるMFRが3.5g/10分、密度が0.956g/cmである高密度ポリエチレン「ノバテック(日本ポリエチレン株式会社製)」を7:3の質量比でブレンドしたものを使用した以外は、実施例8と同様に医療用容器20を得て、同様に評価した。結果を表に示す。
[比較例1]
実施例1において、中間層の主成分として、シングルサイト系LLDPEの代わりに、190℃におけるMFRが1.1g/10分、密度が0.906g/cmであるチーグラー触媒を用いて製造されたLLDPE(日本ポリエチレン株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、医療容器の成形と評価を実施した。評価結果を表に示す。
[比較例2]
中間層の形成に、190℃におけるMFRが2.0g/10分、密度が0.920g/cmであるチーグラー触媒を用いて製造されたLLDPE「モアテック(株式会社プライムポリマー製)のみを使用した以外は実施例1と同様にして、医療容器の成形と評価を実施した。評価結果を表に示す。
[比較例3]
最外層を形成せず、最内層と中間層の2層構造とした以外は実施例1と同様にして、医療容器の成形と評価を実施した。評価結果を表に示す。
[比較例4]
最外層の形成に、HDPEの代わりに、190℃におけるMFRが2.0g/10分、密度が0.920g/cmであるチーグラー触媒を用いて製造されたLLDPE「モアテック(株式会社プライムポリマー製)」のみを使用した以外は実施例1と同様にして、医療容器の成形と評価を実施した。評価結果を表に示す。
[比較例5]
最外層の形成に、HDPEの代わりに、190℃におけるMFRが2.0g/10分、密度が0.920g/cmであるチーグラー触媒を用いて製造されたLLDPE「モアテック(株式会社プライムポリマー製)」を使用した以外は実施例8と同様にして、医療容器の成形と評価を実施した。評価結果を表に示す。
Figure 0005467074
Figure 0005467074
中間層の主成分としてシングルサイト系LLDPEを使用し、かつ、HDPEを併用した実施例1〜2および6〜10と、参考例3では、高圧蒸気滅菌による剥離強度や透明性の低下が抑制され、耐熱性にも優れた医療容器が得られた。一方、チーグラー系LLDPEをHDPEと併用した比較例1で得られた医療容器は、高圧蒸気滅菌による剥離強度や透明性の低下が大きかった。中間層にシングルサイト系LLDPEのみを使用した参考例4および5と、チーグラー系LLDPEのみを使用した比較例2とを比べても、同様の傾向が認められた。
最外層が設けられていない比較例3では、高圧蒸気滅菌による透明性の低下が大きいとともに、耐熱性も悪かった。最外層がHDPEを含んでいない比較例4および5でも、比較例3と同様の傾向が認められた。最外層の成分として、HDPEに高圧法低密度ポリエチレンを併用した実施例9および10では、最外層がHDPEのみの実施例7や8にくらべて成形安定性がより優れていた。
さらに、実施例8ではフィルムの耐ブロッキング性が良好であったが、比較例5では不良であった。
10 多層体
11 最内層
12 中間層
13 最外層
20、30、40 医療容器
50 複室医療容器

Claims (4)

  1. 医療容器の形成に使用される医療容器用多層体であって、
    ガラス転移温度が102℃を超えて140℃以下の環状ポリオレフィンからなる最内層と、
    該最内層に隣接するように形成され、シングルサイト系触媒を使用して製造された密度が0.904〜0.917g/cmである直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする中間層と、
    高密度ポリエチレンを含有する最外層とからなり、総厚みが100〜600μmであることを特徴とする医療容器用多層体。
  2. 前記最外層は、前記高密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンとの混合物である請求項1に記載の医療容器用多層体。
  3. 前記最内層は、環状ポリオレフィンの混合物からなる請求項1または2に記載の医療容器用多層体。
  4. 薬液を収容する収容部を備えた医療容器であって、
    少なくとも前記収容部は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療容器用多層体からなることを特徴とする医療容器。
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