JP7089659B2 - 凍結乾燥用容器 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば薬液等の内容物を容器内で凍結乾燥することが可能な凍結乾燥用容器に関するものである。
凍結乾燥薬剤は、バイアルと称される容器内に凍結乾燥用の薬液を除菌フィルタを通して無菌室或いはクリーンルームで無菌的に充填し、これを凍結乾燥器内で容器底部から熱を伝導させて容器を冷却することで凍結処理される。その後、バイアルを半打栓状態にして減圧乾燥し、乾燥後に完全打栓をして凍結乾燥薬剤入りバイアルを得ている。
凍結乾燥ラインを使用して薬液を凍結乾燥するための底部平面容器としては、例えば特許文献1には、栓体が半打栓可能に取り付けられる開口部が形成された上部半体と、上記薬液が貯留されて凍結乾燥される下部半体とが分離可能に設けられている凍結乾燥用容器について記載されている。
抗生物質や蛋白質製剤等の凍結乾燥薬剤を収容する容器として、従来はガラス製のバイアル容器やアンプル容器が用いられてきたが、前記特許文献1に記載される凍結乾燥用容器では、栓体が半打栓可能に取り付けられる開口部が形成された上部半体と、薬液が貯留されて凍結乾燥される下部半体とを分離可能に設けることで、ガラス以外の材質を使用可能とし、また、凍結乾燥物を簡単且つ無菌的に医療用容器内に移し換えることができるようにしている。
特開平10-328270号公報
ところで、各種薬液が充填される医療用の容器として、例えばプラスチックをブロー成形したブロー成形ボトルやブロー成形バッグ等が用いられるようになってきており、近年では、前記バイアルと称される医療用の容器もブロー成形技術により製造されるようになってきている。ブロー成形によれば効率的に容器を製造することが可能であり、バイアルの製造コストを大幅に削減できるものと期待される。
ただし、前記医療用の容器においては、耐薬剤性や耐薬剤吸着性、ガスバリア性、耐水蒸気滅菌性等、一般の容器に比べて性能に関する要求が厳しく、前記バイアルでは、前記性能と併せて機械的強度等も要求される。
また、特に前記凍結乾燥に用いるバイアルの場合、これら要求に加えて、内容物に対する熱伝導性に優れ、バイアルの内容物が速やかに冷却されること、冷却に際してバイアルが変形することがないこと、等も要求される。
このような状況から、ブロー成形された容器を凍結乾燥用の容器として用いることは、難しいものと考えられてきた。例えば、ブロー成形ボトルは、ピンチオフ部を容器外側に向けて出っ張らせなければならないために、ボトル底面の形状が凹ませた形状とせざるを得ず、底面の接地部分が外周部分だけでありことから接地面積が小さく、底面から冷却する凍結乾燥ラインでの冷却時の効率が悪いからである。
本発明は、前述の従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ブロー成形技術で成形することが可能でありながら、冷却効率に優れ、冷却時に変形することがない凍結乾燥用容器を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明者らは、長期に亘り種々検討を重ねてきた。その結果、使用する材質、層構成、底部の形状、寸法等を最適化することで、ガラス製のバイアルと遜色のない凍結乾燥用容器を実現することができる、との知見を得るに至った。
本発明の凍結乾燥用容器は、このような知見に基づいて案出されたものであり、少なくとも環状ポリオレフィン系樹脂を含む内層と、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む中間層とを有し、ブロー成形により成形されピンチオフ部を有する凍結乾燥用容器であって、底面に内方に向かって窪んだ円形の凹部が形成され、その中央部には成形時に金型で喰い切られて形成される直線状のピンチオフ部が底部から突出する形で形成され、前記円形の凹部の曲率半径は10mm以上100mm以下であり、前記ピンチオフ部の長さ寸法をD、底面の凹部の直径をEとしたときに、0.5E<D<Eであり、底面に形成される前記ピンチオフ部の高さ寸法Aが0.5mm≦A≦1.5mm、前記ピンチオフ部における底部の肉厚Bが0.5mm≦B≦1.5mm、且つ1.0mm≦A+B≦2.2mmであり、前記凹部の設置面からの高さをCとしたときにA<Cであり、前記中間層の厚さGが10μm≦G≦220μmであることを特徴とする。
本発明によれば、ブロー成形することが可能であり、冷却効率に優れ、冷却時に変形することがない凍結乾燥用容器を提供することが可能である。
凍結乾燥機を模式的に示す図である。 本発明の実施形態にかかる凍結乾燥用容器を示す概略正面図である。 図2に示す凍結乾燥用容器の概略断面図である。 図1に示す凍結乾燥用容器の底面の形状を示す底面図である。 図1に示す凍結乾燥用容器の底面近傍の拡大断面図である。
以下、本発明を適用した凍結乾燥用容器(バイアル)の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、本実施形態のバイアルに適用される凍結乾燥について説明する。図1に示すように、凍結乾燥機50は、凍結乾燥庫(真空室)51と冷却加熱装置52と排気装置53と冷却装置54と真空ポンプ55とで構成されている。凍結乾燥庫51は、凍結乾燥する凍結乾燥用容器(バイアル)1を載せて冷却加熱するための冷却加熱棚57を備えている。また排気装置53は、昇華してくる水蒸気を付着凝固するコールドトラップ58を備えている。
前記凍結乾燥機50を用いた薬剤の凍結乾燥工程について説明すると、先ず、薬剤の入った凍結乾燥用容器1を常温(20℃)で凍結乾燥機50にセットし、予備凍結で薬液をよく凍らせる(例えば医薬品などの場合は-45℃程度まで冷却し、3時間程度保冷する)。次に、一次乾燥として昇華乾燥を行う。これは凍結した薬液を真空中で乾燥する工程である。ここではゆっくりした速度で昇華が進んでいく。最後に、二次乾燥として結合水の除去を行う。これは氷として水を昇華させた後、乾燥の仕上げとして結合水を除去する工程である。ここでは薬剤の許容温度まで加熱し、真空を良くして薬剤の乾燥度を高める。以上が凍結乾燥の基本的な工程であり、凍結乾燥容器1は冷却加熱棚57から熱伝導率の高い底部の接触面を介して熱を奪われる。
本発明の凍結乾燥用容器1は、前述のような凍結乾燥に用いられるものであり、凍結乾燥に適した形態を有する。以下、本実施形態の凍結乾燥用容器1の構成について説明する。
本実施形態の凍結乾燥用容器1は、図2及び図3に示すように、胴部2の上方に口部3を有する形態を有し、口部3の周囲には円環状の鍔部4が形成されている。口部3には、バイアルとして用いる場合、例えばゴム栓等の蓋体が装着される。また、凍結乾燥用容器1は、例えばブロー成形により形成されるものであり、底部5は内方に向かって窪んだ凹形状を呈しており、その中央部には成形時に金型で喰い切られて形成される直線状のピンチオフ部6が底部5から突出する形で形成されている。
前記凍結乾燥容器1は、多層構成を有しており、本例の場合、内層、バリア層(中間層)、外層の3層が積層されるとともに、各層間に接着のための接着層が設けられており、全部で5層構成とされている。層構成としては、これに限られるものではなく、より多くの層が積層される構成であってもよいし、より少ない層数の積層構成であってもよい。
前記積層構造において、内層については、環状ポリオレフィン系樹脂により形成する。環状ポリオレフィン系樹脂は薬剤吸着性が低く、内層に環状ポリオレフィン系樹脂を用いることで、凍結乾燥用容器1内に充填される薬液に含まれる薬剤の吸着を最小限に抑えることができる。また、環状ポリオレフィン系樹脂は透明性が高いので、これを内層と外層に用いれば、凍結乾燥用容器1全体の透明性を確保することもできる。
内層に用いられる環状ポリオレフィン系樹脂は、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンを少なくとも重合成分とする樹脂であり、重合成分である環状オレフィンは、単環式オレフィンであってもよく、多環式オレフィンであってもよい。
前記環状オレフィンとしては、公知のものがいずれも使用可能であるが、代表的なものとしては、ノルボルネン類、シクロペンタジエン類、ジシクロペンタジエン類、さらにはノルボルネン類とシクロペンタジエンとの縮合により得られる多環式オレフィン等を例示することができる。
また、前記環状ポリオレフィン系樹脂は、1種類の環状オレフィンの単独重合体であってもよいし、種類の異なる環状ポリオレフィンの共重合体(例えば、単環式オレフィンと多環式オレフィンとの共重合体等)であってもよい。あるいは、環状オレフィンと他の共重合性単量体との共重合体であってもよい。この場合、他の共重合性単量体としては、例えば、エチレンやプロピレン等の鎖状オレフィン、(メタ)アクリル系単量体、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体、重合性ニトリル化合物、ビニルエステル類、共役ジエン類等を挙げることができる。
ただし、内層の環状ポリオレフィン系樹脂に関して言えば、薬剤低吸着性の観点から、1種類の環状オレフィンの単独重合体や、種類の異なる環状ポリオレフィンの共重合体のような、環状ポリオレフィンのみからなるホモポリマーであることが好ましい。環状ポリオレフィンのホモポリマーは、他の共重合性単量体との共重合体に比べて薬剤の吸着性が低い。また、良好な耐衝撃性を備える上でも好ましい。
外層は、内層と同様、環状ポリオレフィン系樹脂であってもよいし、他の樹脂であってもよい。外層にも環状ポリオレフィン系樹脂を用いることで、多層容器1全体の透明性を確保することができる。外層に用いる他の樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、商品名ナイロン等のポリアミド系樹脂等を挙げることができる。
一方、前記バリア層は、高いガスバリア性を有する樹脂で形成される。ガスバリア性樹脂としては、例えばエチレン- ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられるが、中でも、エチレン- ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)を用いることが好ましい。エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂は、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物からなるものであり、公知のものがいずれも使用可能である。エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂において、好ましくは、エチレン含有量が20~70モル%、酢酸ビニルのけん化度が95モル%以上であり、より好ましくは、エチレン含有量が25~50モル%、酢酸ビニルのけん化度が98モル%以上である。 けん化度が低いとガスバリア性が低下するおそれがある。
前記のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、前記エチレン等と共重合し得る第3のモノマー成分を含んでもよい。共重合し得る第3のモノマー成分としては、プロピレン等のα-オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和酸が挙げられる。これらの共重合モノマーの割合は、5モル%以下であることが好ましい。
次に、前記内層とバリア層、あるいは前記バリア層と外層の接着に用いる接着剤(すなわち接着層を構成する接着剤)であるが、環状ポリオレフィン系樹脂を含む層とエチレン-ビニルアルコール共重合体を含む層の間に介在する接着剤(例えば環状ポリオレフィン系樹脂により形成される内層5とエチレン-ビニルアルコール共重合体により形成されるバリア層の間の接着層)には、無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンを主成分とする接着剤を用いることが好ましい。無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンは、環状ポリオレフィンに無水マレイン酸をグラフト重合したものであり、同種の樹脂材料であるため内層の環状ポリオレフィン系樹脂に対して良好な親和性を有し、十分な接着力を発揮する。また、無水マレイン酸が導入されているので、化学反応によりエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)に対する接着力も確保される。
前記無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンにおいて、無水マレイン酸をグラフト重合する環状ポリオレフィンとしては、内層に用いる環状ポリオレフィンと同様のものが使用可能であるが、そのガラス転移点(Tg)は130℃以上であることが好ましい。ガラス転移点が130℃未満であると、耐熱性が不足するおそれがある。また、無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンにおける無水マレイン化率は、0.5~1.5%であることが好ましい。
接着層には、前記無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンの他、酸化防止剤を添加する。酸化防止剤を添加することで、樹脂劣化による変性等が原因で生ずる接着力の低下等を効果的に抑えることができる。また、炭化物の発生も抑えることができる。
酸化防止剤としては、リン系の酸化防止剤やフェノール系の酸化防止剤等を挙げることができ、これらを単独若しくは混合して使用することができる。また、リン系の酸化防止剤やフェノール系の酸化防止剤としては、公知のものがいずれも使用可能である。例えば、リン系の酸化防止剤には、高分子量リン系酸化防止剤や低分子量リン系酸化防止剤があるが、いずれを用いても良い。
具体的化合物としては、高分子量リン系酸化防止剤の例として、トリス(2,4-分岐C3-8アルキル-ブチルフェニル)ホスファイト[トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等]や、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンホスファイト等のテトラキス(2,4-ジ-分岐C3-8アルキルフェニル)-4,4’-C2-4アルキレンホスファイト等を挙げることができる。市販のものとしては、チバ・ジャパン社製、商品名「Irgafos168」等がある。
低分子量リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト;トリ-2,4-ジメチルフェニルホスフィン、トリ-2,4,6-トリメチルフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリ-o-アニシルホスフィン、トリ-p-アニシルホスフィン等のホスフィン化合物等を挙げることができる。
フェノール系の酸化防止剤についても、高分子量フェノール系酸化防止剤や低分子量フェノール系酸化防止剤があるが、いずれを用いても良い。
高分子量フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン等のトリス(2-アルキル-4-ヒドロキシ-5-分岐C3-8アルキルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のトリス(3,5-ジ-分岐C3-8アルキル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリメチル-2,4,6,-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン等の1,3,5-トリアルキル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-分岐C3-8アルキル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のテトラキス[アルキレン-3-(3,5-ジ-分岐C3-8アルキル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]C1-4アルカン、ペンタエリスリチルテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のペンタエリスリチルテトラキス[3-(3,5-ジ-分岐C3-8アルキル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等である。市販のものとしては、チバ・ジャパン社製、商品名「Irganox1010」等がある。
低分子量フェノール系酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2-メチル-4,6-ジ-ノニルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、スチレン化フェノール、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニル等のモノフェノール系化合物、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、1,1’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチルジフェニルメタン等のビスフェノール系化合物、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,5-ジ-(第3アミル)ヒドロキノン等のヒドロキノン系化合物、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェノール)プロピオネート等のヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。また、低分子量フェノール系酸化防止剤には、ヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン化合物{N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン等}等の金属不活性剤等も含まれる。
前記酸化防止剤の添加量は任意であるが、例えば300ppm~3000ppmとすることが好ましい。
外層とバリア層の間の接着層に関しては、内層と同様、外層が環状ポリオレフィン系を含むものである場合には、前記接着層と同様、無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンに酸化防止剤を添加したものを用いることが好ましい。
外層が環状ポリオレフィン系樹脂を含むものでない場合、接着層は必ずしも無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンに酸化防止剤を添加したものでなくてもよい。例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレンや無水マレイン酸ポリエチレン等を接着剤として用いることができる。この場合、酸化防止剤は添加しなくてもよい。また、スチレン系エラストマー等を添加してもよい。
例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレンにスチレン系エラストマーを添加すると、融点が高くなり、蒸気滅菌を施しても接着層が白濁することがなくなる。また、スチレン系エラストマーが衝撃吸収の役割を果たし、大きな衝撃が加わっても界面剥離が生ずることもなくなる。
添加するスチレン系エラストマーは、熱可塑性のあるスチレン末端ブロックと弾性のある中間ブロックにより構成されるもので、スチレン系モノマーとエラストマー成分との共重合体により構成されている。ここで、スチレン系モノマーとしては、スチレンやα-メチルスチレン等を挙げることができ、エラストマー成分としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3-ペンタジエン等を挙げることができる。スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体等を挙げることができる。また。用いるスチレン系エラストマーは、無水マレイン酸変性したものであってもよい。
以上が凍結乾燥用容器1の層構成である。前述の多層構成を有する凍結乾燥用容器1においては、内層を薬剤低吸着性の環状ポリオレフィン系樹脂により形成しているので、薬剤の吸着を抑えることができ、また、内層及び外層を環状ポリオレフィン系樹脂により形成すれば、透明性の高い医療用容器を実現することができる。また、これらにエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等からなるバリア層を積層した層構成としているので、ガスバリア性も十分に確保することが可能である。
また、環状ポリオレフィン系樹脂を含む層とエチレン-ビニルアルコール共重合体を含む層の間に介在する接着層に無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンを用いるとともに、酸化防止剤を添加しているので、炭化物の発生を抑えることができ、樹脂劣化による変性等が原因で生ずる接着力の低下を効果的に抑えることができる。
凍結乾燥用容器1における各層の厚さは任意であるが、例えば、内層は200μm~500μm、外層は200μm~500μm、接着層はがそれぞれ5μm~50μmとすることが好ましい。特に、バリア層(中間層)に関しては、その厚さを10μm~220μmとすることが好ましく、これにより凍結乾燥用容器1は凍結乾燥に適した特性を示す。
凍結乾燥用容器1においては、前記層構成、厚さの他、底部5の形態も凍結乾燥適性を実現する上で重要である。
図4は凍結乾燥用容器1の底面図、図5は凍結乾燥用容器1の底部近傍の拡大断面図である。凍結乾燥用容器1は、ブロー成形で成形されるものであり、底部5は内方に向かって窪んだ凹形状を呈しており、その中央部には成形時に金型で喰い切られて形成される直線状のピンチオフ部6が底部5から突出する形で形成されている。
ここで、図5に示すように、ピンチオフ部6の高さ寸法(突出量)をA、ピンチオフ部6が形成される部分における底部5の肉厚をB、底面に形成される内方に向かって窪んだ円形の凹部の設置面からの高さをC、ピンチオフ部6の長さ寸法をD、底面の凹部の寸法(直径)をEとする。
本発明の凍結乾燥用容器1では、先ず、底面に形成されるピンチオフ部の高さ寸法Aが0.5mm≦A≦1.5mm、ピンチオフ部における底部の肉厚Bが0.5mm≦B≦1.5mm、且つ1.0mm≦A+B≦2.2mmであることが好ましい。また、A<Cであることが好ましい。ピンチオフ部の高さ寸法Aやピンチオフ部における底部の肉厚Bが小さすぎると、ピンチオフ強度が不足し、底ピンチ割れが生じたり、底部が膨らむ等、底部の形状に不都合が生ずるおそれがある。逆に、ピンチオフ部の高さ寸法Aやピンチオフ部における底部の肉厚Bが大きすぎると、熱伝導が不十分になり、凍結乾燥(冷却)に時間を要するようになり、生産性等の観点から好ましくない。
さらに、底面に形成される内方に向かって窪んだ円形の凹部の設置面における投影面積S1と、当該凹部の実際の表面積S2の比率(S2/S1)は、1.02以上1.10以下が好ましく、より好ましくは、1.04以上1.08以下である。底面に形成される内方に向かって窪んだ円形の凹部の曲率半径は10mm以上100mm以下、より好ましくは15mm以上50mm以下、更に好ましくは20mm以上30mm以下である。
また、ピンチオフ部6の長さ寸法Dと、底面の凹部の寸法(直径)Eについては、0.5E<D<Eとすることが好ましい。D≧Eとすると、ピンチオフ部6が底面から突出する形になり、安定な載置状態とすることが難しい。逆に、0.5E≧Dであると、成形自体が難しくなるおそれがある。
以上、本発明を適用した実施形態についてを説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限られるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、多様な変更または改良を加えることが可能である。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
凍結乾燥用容器の作製
表1に示す形態の凍結乾燥用容器(実施例1~実施例6、及び比較例1~比較例6)を作製した。作製した凍結乾燥用容器は、いわゆるバイアル形状であり、内容量は5mL、ピンチオフ部の幅(長さ寸法D)は11mm、底部に形成された凹部の内径(E)は17mm、底部の外形寸法(F)は23mmである。また、凍結乾燥用容器の層構成において、使用した材料は下記の通りである。
・内層:環状ポリオレフィン 日本ゼオン社製、商品名ZEONEX690R(Tg145℃)
・外層:環状ポリオレフィン 日本ゼオン社製、商品名ZEONEX1020R(Tg102℃)
・バリア層(中間層):EVOH 日本合成社製、商品名DC3203B
・接着層:無水マレイン酸変性環状ポリオレフィン
評価
作製した凍結乾燥用容器について、図1に示す凍結乾燥機にセットして、凍結乾燥を行い、評価した。凍結乾燥に際しては、先ず、常温(20℃)で凍結乾燥機にセットし、1時間かけて-45℃まで冷却した。次に、-45℃で3時間保冷し、完全に凍らせた。次いで、13.3Paまで減圧し、1時間かけて0℃まで昇温した。
前記凍結乾燥に際して、ガラス製のバイアルを基準として凍結乾燥が完了する時間を比較した。さらに、凍結乾燥後の凍結乾燥容器の底部の形状を観察し、評価した。底部形状については、凍結乾燥時の-45℃から0℃に昇温する際、氷の体積が膨張し、底ピンチ割れや底部が膨らむ。このような底面形状を呈したものが100個中1個でもあれば×とした。結果を表1に示す。
Figure 0007089659000001
表1から明らかなように、ピンチオフ部の高さ寸法Aやピンチオフ部における底部の肉厚Bが大きい比較例2,6では、凍結乾燥に長時間を要してしまっている。バリア層(中間層)の厚さが厚い比較例3も同様である。一方、ピンチオフ部の高さ寸法Aやピンチオフ部における底部の肉厚Bが小さい比較例1,4,5では、ピンチオフ強度が不足し、底ピンチ割れや底部の膨らみが生じている。
1 凍結乾燥用容器
2 胴部
3 口部
4 鍔部
5 底部
6 ピンチオフ部

Claims (3)

  1. 少なくとも環状ポリオレフィン系樹脂を含む内層と、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む中間層とを有し、ブロー成形により成形されピンチオフ部を有する凍結乾燥用容器であって、
    底面に内方に向かって窪んだ円形の凹部が形成され、その中央部には成形時に金型で喰い切られて形成される直線状のピンチオフ部が底部から突出する形で形成され、
    前記円形の凹部の曲率半径は10mm以上100mm以下であり、
    前記ピンチオフ部の長さ寸法をD、底面の凹部の直径をEとしたときに、0.5E<D<Eであり、
    底面に形成される前記ピンチオフ部の高さ寸法Aが0.5mm≦A≦1.5mm、前記ピンチオフ部における底部の肉厚Bが0.5mm≦B≦1.5mm、且つ1.0mm≦A+B≦2.2mmであり、
    前記凹部の設置面からの高さをCとしたときにA<Cであり、
    前記中間層の厚さGが10μm≦G≦220μmであることを特徴とする凍結乾燥用容器。
  2. 前記凍結乾燥用容器は、内層、中間層、外層の3層が積層されて構成されるとともに、各層間に接着のための接着層が設けられており、
    前記内層の厚さは200μm~500μm、外層の厚さは200μm~500μm、接着層の厚さは5μm~50μm、中間層の厚さは10μm~220μmであり、
    前記円形の凹部の設置面における投影面積S1と、当該凹部の実際の表面積S2の比率(S2/S1)は、1.02以上1.10以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の凍結乾燥用容器
  3. 前記中間層の外側に環状ポリオレフィン系樹脂を含む外層を有し、内層と中間層の間、及び外層と中間層の間は接着層により接着され、
    前記接着層は、無水マレイン酸をグラフト重合させた環状ポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2記載の凍結乾燥用容器。
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