JP6551668B2 - 多層容器 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば各種薬液等が充填される多層容器に関するものであり、特に、環状ポリオレフィン樹脂を含む層とエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む層とを接着する接着層の改良に関するものである。
各種薬液が充填される医療用の容器として、例えばプラスチックをブロー成形したブロー成形ボトルやブロー成形バッグ等が用いられている。ブロー成形によれば効率的に容器を製造することが可能であり、近年では、バイアルと称される医療用の容器もブロー成形技術により製造されるようになってきている。
ただし、前記医療用の容器においては、耐薬剤性や耐薬剤吸着性、ガスバリア性、耐水蒸気滅菌性等、一般の容器に比べて性能に関する要求が厳しく、特に前記バイアルでは、前記性能と併せて機械的強度等も要求される。そこで、これら要求に応えるべく、いわゆる多層バイアルも提案されており、各層に使用するプラスチック材料や層構成等について、様々な検討がなされている。
例えば、材質について言えば、薬剤吸着性の観点等から、ポリプロピレン等に代わり環状ポリオレフィン系樹脂を用いることが検討されている(特許文献1等参照)。特許文献1には、環状オレフィン系化合物又は架橋多環式炭化水素系化合物を重合体成分とする樹脂を含有する材料からなる衛生品用容器(医薬品、食品その他の衛生品を保存するための容器)が開示されており、内容物の品質を長期にわたり安定して保持し、各種の公定書に規定する試験に合格できる非常に衛生性の高い容器を提供することができるとしている。
一方、ガスバリア性については、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を用いることが検討されており、例えば特許文献2には、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を中間層とするプラスチック製バイアルが開示されている。
特開平5−293159号公報 特開2013−74928号公報
ところで、前述の多層バイアルにおいては、各層の性能のみならず、接着層の性能も重要になる。例えば、前記環状ポリオレフィン系樹脂は接着し難く、接着剤の選定が難しいという問題がある。バイアルに求められる機能を考えると、例えば環状ポリオレフィン系樹脂を含む層とエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む層とを組み合わせた多層構成でバイアルを作製することが望ましいと考えられるが、これら環状ポリオレフィン系樹脂を含む層とエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む層の間に介在する接着層には、両者に対して十分な接着力を発揮することが望まれる。
しかしながら、例えばポリプロピレン系の接着剤は、透明性に優れ融点も高いが、環状ポリオレフィン系樹脂に対する接着力が不足する。水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)を加えたポリエチレン系接着剤は、透明性を担保するためには、融点を100℃以下とせざるを得ず、オートクレーブ滅菌時に溶け出してしまったり、事前乾燥の際にひずみが緩和して気泡が発生するという問題がある。また、環状ポリオレフィン系樹脂と成形温度が大きく乖離しているため、ドローダウン等により安定に成形することができないという問題もある。
本発明は、前述の従来の実情に鑑みて提案されたものであり、透明性、ガスバリア性、耐薬品吸着性、耐水蒸気滅菌性等、バイアルに求められる性能を有し、しかも優れた接着性能を有する信頼性の高い多層容器を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の多層容器は、少なくとも環状ポリオレフィン系樹脂を含む層と、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む層とを有する多層容器であって、前記環状ポリオレフィン系樹脂を含む層とエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む層は、間に介在する接着層により接着され、前記接着層は、無水マレイン酸をグラフト重合させた環状ポリオレフィン系樹脂及び酸化防止剤を含むことを特徴とする
環状ポリオレフィン系樹脂対する接着力を確保するためには、接着剤にも環状ポリオレフィン系樹脂を用いることが有効であり、さらに、接着層に用いる環状ポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸を導入すれば、化学反応によりエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)に対する接着力も向上するものと考えられる。
しかしながら、このような接着剤を用いたとしても、例えば樹脂劣化による変性(非極性材料が極性を持つようになること)には対応できず、接着力が低下するという現象が起こることがわかってきた。特に、環状ポリオレフィン系樹脂は、成形時に加わる熱によって酸化劣化を起こし、表面の疎水度が低下して接着力が低下する傾向にある。
本発明者らは、このような接着力の低下を解消するべく、種々の検討を重ねてきた。その結果、酸化防止剤を添加することにより、接着力が向上し、樹脂劣化による接着力の低下を抑えることができるとの知見を得るに至った。その理由について、詳細は不明であるが、樹脂の極性変化が抑えられ、疎水性を維持することができるためではないかと推測される。
本発明によれば、透明性、ガスバリア性、耐薬品吸着性、耐水蒸気滅菌性等、バイアルに求められる性能を有し、しかも優れた接着性能を有する信頼性の高い多層容器を提供することが可能である。
本発明の実施形態にかかる多層容器を示す図であり、(a)は一部破断して示す側面図、(b)は層構成を拡大して示す概略断面図である。
以下、本発明を適用した多層容器の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、多層容器の層構成について説明する。多層容器1は、例えば図1(a)に示すように、容器本体(胴部)2の上部にネック部3が形成されてなるものであり、ネック部3の上端開口部4には、例えばバイアルとして用いる場合、ゴム栓等の蓋体が装着される。多層容器1は、例えばブロー成形により形成されるものであり、本例の場合、容器本体2は、真円形状とされている。勿論、形状については任意であり、用途等に応じて種々の形状とすることができる。なお、本実施形態の多層容器1は、医療用容器としての用途を想定しており、いずれかの過程で蒸気滅菌が施されるが、勿論、これに限らない。
多層容器1は、多層構成を有しており、本例の場合、図1(b)に示すように、内層5、バリア層6、外層7の3層が積層されるとともに、各層間に接着のための接着層8、9が設けられており、全部で5層構成とされている。層構成としては、これに限られるものではなく、より多くの層が積層される構成であってもよいし、より少ない層数の積層構成であってもよい。
各層の材質は任意であるが、例えば、前記積層構造において、内層5については、環状ポリオレフィン系樹脂により形成する。環状ポリオレフィン系樹脂は薬剤吸着性が低く、内層5に環状ポリオレフィン系樹脂を用いることで、多層容器1内に充填される薬液に含まれる薬剤の吸着を最小限に抑えることができる。また、環状ポリオレフィン系樹脂は透明性が高いので、これを内層5と外層7に用いれば、多層容器1全体の透明性を確保することもできる。
内層5に用いられる環状ポリオレフィン系樹脂は、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンを少なくとも重合成分とする樹脂であり、重合成分である環状オレフィンは、単環式オレフィンであってもよく、多環式オレフィンであってもよい。
前記環状オレフィンとしては、公知のものがいずれも使用可能であるが、代表的なものとしては、ノルボルネン類、シクロペンタジエン類、ジシクロペンタジエン類、さらにはノルボルネン類とシクロペンタジエンとの縮合により得られる多環式オレフィン等を例示することができる。
また、前記環状ポリオレフィン系樹脂は、1種類の環状オレフィンの単独重合体であってもよいし、種類の異なる環状ポリオレフィンの共重合体(例えば、単環式オレフィンと多環式オレフィンとの共重合体等)であってもよい。あるいは、環状オレフィンと他の共重合性単量体との共重合体であってもよい。この場合、他の共重合性単量体としては、例えば、エチレンやプロピレン等の鎖状オレフィン、(メタ)アクリル系単量体、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体、重合性ニトリル化合物、ビニルエステル類、共役ジエン類等を挙げることができる。
ただし、内層5の環状ポリオレフィン系樹脂に関して言えば、薬剤低吸着性の観点から、1種類の環状オレフィンの単独重合体や、種類の異なる環状ポリオレフィンの共重合体のような、環状ポリオレフィンのみからなるホモポリマーであることが好ましい。環状ポリオレフィンのホモポリマーは、他の共重合性単量体との共重合体に比べて薬剤の吸着性が低い。また、良好な耐衝撃性を備える上でも好ましい。
外層7は、内層5と同様、環状ポリオレフィン系樹脂であってもよいし、他の樹脂であってもよい。外層7にも環状ポリオレフィン系樹脂を用いることで、多層容器1全体の透明性を確保することができる。外層7に用いる他の樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、商品名ナイロン等のポリアミド系樹脂等を挙げることができる。
一方、前記バリア層6は、高いガスバリア性を有する樹脂で形成される。ガスバリア性樹脂としては、例えばエチレン− ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられるが、中でも、エチレン− ビニルアルコール共重合体樹脂を用いることが好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなるものであり、公知のものがいずれも使用可能である。エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂において、好ましくは、エチレン含有量が20〜70モル%、酢酸ビニルのけん化度が95モル%以上であり、より好ましくは、エチレン含有量が25〜50モル%、酢酸ビニルのけん化度が98モル%以上である。 けん化度が低いとガスバリア性が低下するおそれがある。
前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、前記エチレン等と共重合し得る第3のモノマー成分を含んでもよい。共重合し得る第3のモノマー成分としては、プロピレン等のα−オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和酸が挙げられる。これらの共重合モノマーの割合は、5モル%以下であることが好ましい。
次に、前記内層5とバリア層6、あるいは前記バリア層6と外層7の接着に用いる接着剤(すなわち接着層8、9を構成する接着剤)であるが、環状ポリオレフィン系樹脂を含む層とエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む層の間に介在する接着剤(例えば環状ポリオレフィン系樹脂により形成される内層5とエチレン−ビニルアルコール共重合体により形成されるバリア層6の間の接着層8)には、無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンを主成分とする接着剤を用いることが好ましい。無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンは、環状ポリオレフィンに無水マレイン酸をグラフト重合したものであり、同種の樹脂材料であるため内層5の環状ポリオレフィン系樹脂に対して良好な親和性を有し、十分な接着力を発揮する。また、無水マレイン酸が導入されているので、化学反応によりエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)に対する接着力も確保される。
前記無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンにおいて、無水マレイン酸をグラフト重合する環状ポリオレフィンとしては、内層5に用いる環状ポリオレフィンと同様のものが使用可能であるが、そのガラス転移点(Tg)は130℃以上であることが好ましい。ガラス転移点が130℃未満であると、耐熱性が不足するおそれがある。また、無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンにおける無水マレイン化率は、0.5〜1.5%であることが好ましい。
接着層8には、前記無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンの他、酸化防止剤を添加する。酸化防止剤を添加することで、樹脂劣化による変性等が原因で生ずる接着力の低下等を効果的に抑えることができる。また、炭化物の発生も抑えることができる。
酸化防止剤としては、リン系の酸化防止剤やフェノール系の酸化防止剤等を挙げることができ、これらを単独若しくは混合して使用することができる。また、リン系の酸化防止剤やフェノール系の酸化防止剤としては、公知のものがいずれも使用可能である。例えば、リン系の酸化防止剤には、高分子量リン系酸化防止剤や低分子量リン系酸化防止剤があるが、いずれを用いても良い。
具体的化合物としては、高分子量リン系酸化防止剤の例として、トリス(2,4−分岐C3−8アルキル−ブチルフェニル)ホスファイト[トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等]や、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスファイト等のテトラキス(2,4−ジ−分岐C3−8アルキルフェニル)−4,4’−C2−4アルキレンホスファイト等を挙げることができる。市販のものとしては、チバ・ジャパン社製、商品名「Irgafos168」等がある。
低分子量リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト;トリ−2,4−ジメチルフェニルホスフィン、トリ−2,4,6−トリメチルフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−o−アニシルホスフィン、トリ−p−アニシルホスフィン等のホスフィン化合物等を挙げることができる。
フェノール系の酸化防止剤についても、高分子量フェノール系酸化防止剤や低分子量フェノール系酸化防止剤があるが、いずれを用いても良い。
高分子量フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等のトリス(2−アルキル−4−ヒドロキシ−5−分岐C3−8アルキルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のトリス(3,5−ジ−分岐C3−8アルキル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,4,6,−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等の1,3,5−トリアルキル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−分岐C3−8アルキル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のテトラキス[アルキレン−3−(3,5−ジ−分岐C3−8アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]C1−4アルカン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3−8アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等である。市販のものとしては、チバ・ジャパン社製、商品名「Irganox1010」等がある。
低分子量フェノール系酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2−メチル−4,6−ジ−ノニルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、スチレン化フェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等のモノフェノール系化合物、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン等のビスフェノール系化合物、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,5−ジ−(第3アミル)ヒドロキノン等のヒドロキノン系化合物、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート等のヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。また、低分子量フェノール系酸化防止剤には、ヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン化合物{N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン等}等の金属不活性剤等も含まれる。
前記酸化防止剤の添加量は任意であるが、例えば300ppm〜3000ppmとすることが好ましい。
外層7とバリア層6の間の接着層9に関しては、内層5と同様、外層7が環状ポリオレフィン系を含むものである場合には、前記接着層8と同様、無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンに酸化防止剤を添加したものを用いることが好ましい。
外層7が環状ポリオレフィン系樹脂を含むものでない場合、接着層9は必ずしも無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンに酸化防止剤を添加したものでなくてもよい。例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレンや無水マレイン酸ポリエチレン等を接着剤として用いることができる。この場合、酸化防止剤は添加しなくてもよい。また、スチレン系エラストマー等を添加してもよい。
例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレンにスチレン系エラストマーを添加すると、融点が高くなり、蒸気滅菌を施しても接着層が白濁することがなくなる。また、スチレン系エラストマーが衝撃吸収の役割を果たし、大きな衝撃が加わっても界面剥離が生ずることもなくなる。
添加するスチレン系エラストマーは、熱可塑性のあるスチレン末端ブロックと弾性のある中間ブロックにより構成されるもので、スチレン系モノマーとエラストマー成分との共重合体により構成されている。ここで、スチレン系モノマーとしては、スチレンやα−メチルスチレン等を挙げることができ、エラストマー成分としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン等を挙げることができる。スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体等を挙げることができる。また。用いるスチレン系エラストマーは、無水マレイン酸変性したものであってもよい。
以上が多層容器1の構成であるが、多層容器1における各層の厚さも任意である。例えば、内層5が200μm〜500μm、バリア層6が10μm〜70μm、外層7が200μm〜500μm、接着層8,9がそれぞれ5μm〜50μmである。
前述の多層構成を有する多層容器1においては、内層5を薬剤低吸着性の環状ポリオレフィン系樹脂により形成しているので、薬剤の吸着を抑えることができ、また、内層5及び外層7を環状ポリオレフィン系樹脂により形成すれば、透明性の高い医療用容器を実現することができる。また、これらにエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂等からなるバリア層6を積層した層構成としているので、ガスバリア性も十分に確保することが可能である。
また、環状ポリオレフィン系樹脂を含む層とエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む層の間に介在する接着層に無水マレイン酸変性環状ポリオレフィンを用いるとともに、酸化防止剤を添加しているので、炭化物の発生を抑えることができ、樹脂劣化による変性等が原因で生ずる接着力の低下を効果的に抑えることができる。
以上、本発明を適用した実施形態についてを説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限られるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、多様な変更または改良を加えることが可能である。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
多層容器の作製
表1に示す層構成の多層容器1〜8を作製した。作製した多層容器は、いわゆるバイアル形状であり、内容量は5〜100mL、容器全体の平均肉厚は1mmである。また、層構成において、使用した材料(表中の各材料)は下記の通りである。
・COP1:環状ポリオレフィン 日本ゼオン社製、商品名ZEONEX690R(Tg145℃)
・COP2:環状ポリオレフィン 日本ゼオン社製、商品名ZEONEX1020R(Tg102℃)
・EVOH:日本合成社製、商品名DC3203B
・酸化防止剤:チバ・ジャパン社製、商品名Irganox1010+チバ・ジャパン社製、商品名Irgafos168(1:3)
・無水マレイン酸グラフトPE:三菱化学社製、商品名L522
・無水マレイン酸グラフトPP+SEBS:三菱化学社製、商品名MC721AP
評価
作製した多層容器について、炭化物発生割合、接着力、透明性、及び耐熱性を評価した。評価結果を表1に併せて示す。なお、各評価項目の評価方法は下記の通りである。
・炭化物発生割合:連続で6時間以上生産した際に含まれる0.2mm以上の炭化物の割合を測定し、3個以下である場合を○、4〜10個である場合を△、11個以上である場合を×とした。
・接着力:容器を破壊するほどの力を加えた際、層が剥離しない場合を○ 層が剥離する場合を×とした。
・透明性:肉厚が1mmの部分の透明性(λ=450nm時の光線透過率)を測定し、70%以上である場合を○、55%〜69%である場合を△、54%以下である場合を×とした。
・耐熱性:バイアル本来の使用用途に準じた内容量を注入し、ゴム栓アルミかしめ(バイアルとアルミ製の蓋を塑性加工して接合すること。部品をはめ合い嵌合して、延性を有する材料の部品を塑性変形させて結合する。)を実施し、容器変形なく30分処置できる蒸気滅菌温度を計測した。121℃〜125℃である場合を◎、116℃〜120℃である場合を○、111℃〜115℃である場合を△、110℃以下である場合を×とした。
Figure 0006551668
内層や外層に環状ポリオレフィンを用いた場合、環状ポリオレフィンベースの接着剤を用いることで接着力を維持することができるが、酸化防止剤を添加しないと、炭化物の発生や、樹脂劣化による変性に対応できず接着力が低下している(多層容器3,4)。
接着剤として無水マレイン酸変性ポリエチレンを用いた多層容器6は、酸化防止剤を添加しないと炭化物の発生が見られるばかりか、耐熱性が不足している。酸化防止剤を添加しても、耐熱性の不足は解消することができない(多層容器7)。
接着剤として無水マレイン酸変性ポリプロピレン+SEBSを用いた多層容器8は、接着力が足りず、実用の滅菌温度も低下してしまうという問題が発生している。外層が耐熱ポリエチレンテレフタレート(耐熱PET)である多層容器2では、強粘着タイプである無水マレイン酸変性ポリプロピレン+SEBSの効果が発揮され、性能が維持されている。
1 多層容器
2 容器本体
3 ネック部
4 開口部
5 内層
6 バリア層
7 外層
8,9 接着層

Claims (3)

  1. 少なくとも環状ポリオレフィン系樹脂を含む層と、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む層とを有する多層容器であって、
    前記環状ポリオレフィン系樹脂を含む層とエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む層は、間に介在する接着層により接着され、
    前記接着層は、無水マレイン酸をグラフト重合させた環状ポリオレフィン系樹脂及び酸化防止剤を含むことを特徴とする多層容器。
  2. 外側から順に外層、接着層、バリア層、接着層、内層が積層されてなり、前記バリア層がエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む層であり、前記内層が環状ポリオレフィン系樹脂を含む層であり、前記バリア層と内層の間の接着層が無水マレイン酸をグラフト重合させた環状ポリオレフィン系樹脂及び酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1記載の多層容器。
  3. 前記接着層の環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移点が130℃以上であることを特徴とする請求項1または2記載の多層容器。
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