JP3496427B2 - 脱酸素樹脂組成物及びこれを用いた包装材、多層包装材、包装体、又は包装方法 - Google Patents
脱酸素樹脂組成物及びこれを用いた包装材、多層包装材、包装体、又は包装方法Info
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Description
塑性樹脂とを含む脱酸素樹脂組成物に関する。また、こ
の発明は、この樹脂組成物から成る包装材に関する。さ
らに、この発明は、この包装材を利用して、水分含有量
が少ない乾燥状態にある内容物(主として乾燥食品)を
保存するための包装体及び包装方法に関するものであ
る。
剤は、従来から広く知られている。この脱酸素剤は、還
元性金属の他、還元性金属の酸化反応を促進する活性剤
として、ハロゲン化金属を備えている。
等を保存するために、食品等の被保存物とともに容器、
あるいは包装材中に投入されるか、あるいは、容器或い
はシート材中に脱酸素剤を入れ、これを用いて保存され
るべき食品等を包装することが行われている。
粉をハロゲン化金属で被覆した酸素吸収剤が開示されて
いる。還元性金属による脱酸素反応には、水分の存在を
必要とするために、この種の脱酸素剤は、被保存物から
蒸散する水分を利用できる高(多)含水食品の保存に使
用されている。
と水分活性(aw)が低い)乾燥食品等の保存には、脱
酸素剤中に、水分供与体を存在させて、酸素吸収反応に
必要な水分を補うようにしていた。この種の脱酸素剤
は、被包装物からの水分に頼らず酸素吸収を行える自力
反応型として知られている。
と混練してシート状或いはフィルム状にしたシート状包
装材を用いて被保存物を包装することが行われている。
しかしながら、含有水分の低い被保存物の保存に、水分
を保有する自力反応型の脱酸素剤を使用した場合に、保
水成分中の水分が被保存物に移行することが避けられ
ず、それにより、水分による被保存物の食味低下(湿
気)、性状変化(粉体の塊状化)、化学変化(加水分
解)、微生物の繁殖等を来す問題があった。場合によっ
ては、脱酸素剤から脱酸素に必要な水分が失われて酸素
吸収ができなくなる問題もある。
剤を樹脂と混練してシート化する際の加熱により、保水
成分中の水分が蒸発するばかりか、蒸発した水分によっ
て樹脂シートに気泡が樹脂内で発生し、シートの表面に
凹凸が発生して、シートの表面性が良好なものにならな
いという問題がある。
存型)を樹脂に混練してシート材を得ても脱酸素能を発
揮あるいは機能させるためには、あらためて水分をこの
脱酸素剤に保有させる処理が必要であるが、この樹脂シ
ートに水分を保有させると、この脱酸素樹脂シートは、
既述の自力反応型脱酸素剤の欠点をそのまま引き継ぐも
のにしかならなかった。
ト材は、それ自身が水分を含有せず、かつ酸素吸収反応
に必要な水分を含んだ多水分食品からその水分を得て酸
素吸収することができるものに限定され、通常は多くの
水分を含んだ食品にしか適用できなかった。
は、低水分な環境下でも脱酸素反応を達成することがで
きる脱酸素シートを実現することが困難であった。要す
るに、従来の脱酸素剤によっては、乾燥された食品、換
言すれば低水分な被保存物を低酸素下に良好に包装する
ことが困難であった。
るために、鋭意検討したところ、従来では、酸素吸収反
応の促進剤として、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等
の塩化物より劣っているとして、全く顧みられていなか
ったヨウ化物、臭化物が、驚くべきことに、保水成分の
介在をほぼ必要とすることなく、含有水分量が少ない低
水分被包装物(被保存物)の保存に十分値する酸素吸収
反応の促進剤として機能し得ることを見い出した。
酸素吸収反応の促進剤の一つとして、ヨウ化物及び臭化
物を掲げているものの、ヨウ素又は臭素の金属塩を主体
とする酸化促進剤を有し、水分活性が低い内容物の保存
にも適する脱酸素剤を開示していない。
基性陰イオン交換樹脂のハロゲン化物と鉄粉とよりな
り、水溶性物質の使用を必須としない脱酸素剤を開示す
るものの、低湿度雰囲気下、乾燥状態であっても機能し
得る酸化促進剤としてのハロゲン化物を提供することを
目的とするものではなく、事実、ヨウ素又は臭素の金属
塩が、乾燥状態において十分触媒機能を発揮し得ること
に配慮は無い。
いても十分な脱酸素機能を発揮することができる脱酸素
樹脂組成物を提供することを目的とするものである。本
発明はさらに、熱成形性の良好な脱酸素樹脂組成物を提
供することを目的とするものである。
下において十分な脱酸素機能を発揮することができるシ
ート状又はフィルム状の脱酸素体、包装材料、さらに包
装容器を提供することにある。
存条件を必要とする低水分含有物品を低酸素濃度雰囲気
下に保存する包装体を提供することにある。さらに他の
目的は、前記脱酸素樹脂組成物を利用して低水分含有物
品を低酸素濃度雰囲気下に保持することができる低水分
含有物品の保存方法を提供することにある。
と、ヨウ素或いは臭素の金属塩を主体とする促進剤とを
含む脱酸素剤を熱可塑性樹脂に混練或いは分散した脱酸
素樹脂組成物であることを特徴とする。この樹脂組成物
を成形加工して、水分含有量が1%以下であるシート状
やフィルム状の包装材(脱酸素体)や包装容器としての
トレー、カップ、チューブ、袋等、形状が制限されるこ
とがない成型体からなる包装材が得られる。
で被覆、包装して得られる。本発明は、また、脱酸素剤
組成物から成る中間層の大気側にガスバリア性の外層を
配し、また、内部の被包装物側に臨む通気性の内層を備
えた多層体であることを特徴とする。包装容器はこの多
層体から構成される。所望の効果を達成できるものであ
れば、容器の一部にこの多層体を備えさえすれば良い。
この多層包装材は、例えばシート状又はフィルム状に成
型される。本発明は、さらに、この包装材や包装容器を
用いて水分含有量が少なく、低水分活性の被保存物を低
湿度雰囲気下に密封して保存するための方法、並びに、
この脱酸素体を用いて乾燥状態の被保存物を低湿度かつ
低酸素濃度雰囲気下に密封して保存した包装体であるこ
とを特徴とする。
お、本発明の樹脂組成物のうち公知の成分及びその含有
量、並びに製造方法としては、公知の従来例が参考にさ
れる。例えば、本願出願人によって過去に出願された既
述の特公昭56−33980号公報を参考にすることが
できる。
酸素成分として、公知のものを使用することができる。
好ましくは金属鉄である。具体的には例えば、粒状の鉄
粉、銅粉、亜鉛粉等の金属粉であり、好ましくは鉄粉で
ある。これらは単独あるいは組み合わせて用いられる。
還元性金属は、酸素との接触を良好にするために、平均
粒径は、100μm以下、好ましくは50μm以下であ
る。金属粉としては、還元粉、電解粉、噴霧粉等が好ま
しい。
好ましい。その他、鋳鉄等の粉砕物または研削品等が用
いられる。金属粉の粒径はあまりに小さい粒径の金属粉
は取扱い上、発火等の問題があるため、また高価である
ことから、平均粒径としては、1ないし50μmのもの
が使用される。
は臭化物の金属塩としては、例えば、電解性金属塩、あ
るいはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、あるい
は、銅、亜鉛、アルミニウム、すず、鉄、コバルト、ニ
ッケル等の金属塩、又はこれらの一つ或いは複数の組み
合わせがある。例えば、臭化ナトリウム、臭化カリウ
ム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カドミ
ウム、ヨウ化水銀である。低湿度での酸素吸収性が優れ
ているという理由から、ヨウ化物が好ましい。一方、食
品に対する安全性の観点からは臭化物が好ましい。
から、好ましくは、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウ
ム、あるいはこれらの組み合わせである。臭化物として
は、臭化ナトリウム、臭化カリウムが好ましい。
物を主体とする。ここで、主体であるとは、相対的に規
定されるものであり、要するに、樹脂組成物が低水分下
においても、脱酸素反応を達成することを妨げない範囲
で、他のハロゲン化物等の介在を妨げるものではないこ
とを意味する。好ましい実施の形態では、反応促進剤中
のヨウ化物或いは臭化物の含有量は、90重量%以上で
ある。好ましくは、95%以上である。
合されても良いが、好ましくは、金属粉に被覆される。
脱酸素剤中に占める反応促進剤の含有量は、公知の範囲
で良く、例えば、反応促進成分の被覆量が、還元性金属
100重量部に対して、ヨウ化物或いは臭化物が0.1
ないし20重量部である。反応活性成分が金属の表面に
付着し、脱酸素剤が樹脂に配合された際に金属とヨウ化
物等が分離せず、その触媒反応が十分期待できる場合に
は、ヨウ化物等の0.1ないし10重量部でも良く、よ
り好ましくは0.5ないし6重量部である。
素透過性であれば特に限定されることがない。好ましく
は、酸素透過係数が200cc・0.1mm/m2・atm・
day(23°、100%RH)以上である。特に、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、各種エチレン共重合体、変
性ポリオレフィン、エラストマー類等の単独又はブレン
ド品である。このうち、後述のガスバリア性の外層や内
層との接着性を考慮して決定される。
が低い被保存物の保存に適するようにしているため、シ
ート状等に成形された際にそれ自身が実質的に保水成分
を含まず、好ましくは、熱成形加工に際して発泡等の不
都合を起こすことなく熱成形性が良好であるために、水
分含有量が1重量%以下、好ましくは、0.2%であ
り、かつ、この状態で十分脱酸素反応を達成することが
できるものである。
てシート状等に成形される際に加えられる熱(樹脂の溶
融温度以上の加熱)によって、通常はこの水分含有上限
値が達成される。
脱酸素剤の水分含有量は、熱可塑性樹脂と脱酸剤に対し
て1重量%、例えば0.1重量%以下である。脱酸素性
能を発揮するために必ずしもさらに水分を保有させる必
要はない。こうすることにより、樹脂組成物から樹脂シ
ートを作る際、シート内に水分が残存したり、気泡様の
性状不良がシートに発生するのを避けることができる。
に、アルカリ土類金属や、その他、吸水剤(珪藻土、パ
ルプ、吸水性高分子等)、臭気吸着剤(活性炭,モレキ
ュラーシーブ等)、着色用顔料(酸化チタン、酸化鉄、
カーボンブラック等)が含有されるのを妨げるものでは
ない。脱酸素剤を含む樹脂層は、樹脂中に脱酸素剤を分
散させた後、通気性の向上を目的として、延伸多孔化を
達成するようにしても良い。
の製法、用途等によって適宜決定する。すなわち、共押
し出しにより製造されるシート及びその成型体(トレ
イ、カップ)等においては、エチレンービニルアルコー
ル共重合体またはナイロンMXD6(三菱ガス化学製)
を外層を作るための共押し出し材料として用いるのが好
ましく、貼合(ラミネート)加工でフィルム等を得る場
合には上記樹脂のフィルム化品の他、ポリ塩化ビニリデ
ンをコートしたり、酸化アルミ、酸化珪素等の金属酸化
物を蒸着した、ポリエステルやナイロンのフィルム、ア
ルミニウム等の金属箔、金属シートを用いることが好ま
しい。特に、被保存物が低水分のものであることから、
水蒸気透過を極力避ける必要があることを考えると、金
属シート或いは金属箔を選択することも考えられる。
を成す樹脂の他、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、
エチレン−酢酸ビニル共重合体及びこれらの混合物を利
用できる。すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレン
ン、各種エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン酸
コポリマー、アイオノマー、ポリブテン、ポリメチルペ
ンテン等のポリオレフィン類を単独、複数をブレンドし
て使用することができる。また、市販のイージーピール
性を有するシーラント樹脂を用いることもできる。ま
た、これらの樹脂は、ペレットから押し出ししても、予
めフィルム状にしたものを貼合しても良い。
ーピール性を持たせるために多層構造になっているもの
もあるが、これを使用することも可能である。また、こ
の層の樹脂には、この層に期待される特性を損なわれな
い程度に着色用の顔料やフィラーを添加することができ
る。
層に対して酸素が到達するのを妨げないようにするため
に、接着剤層を設けることなく中間層と接着可能であ
り、また、製袋、封かんの際に適当なヒートシール性が
得られる材料が適宜選択される。
ィルム等の総厚みにより適宜選択されるが、容器の場
合、内層30ないし100μm、中間層50ないし20
0μm、ガスバリア層10ないし50μmに加え強度保
持の為のポリオレフィン層100ないし1000μmの
構成(フィルムの場合には、内層15ないし30μm、
中間層30ないし100μm、ガスバリア層5ないし5
0μmの構成)を例示できる。
しては、次のことを掲げることができる。内層、中間
層、及び外層からなる多層フィルムを熱シールして袋と
成し、この袋の中に被保存物を収容する。重包装を望む
場合は、クラフト紙、段ボール箱、フィバードラム、金
属缶を用いて包装体を外装しても良い。また、これらの
層からなる多層シートをフィルムよりも厚く、かつ剛性
に富んだ材から構成した多層容器(トレイ、カップ、ボ
トル等)内に被保存物を収容し、ガスバリア性の蓋でこ
れらを被覆して密封する。
は、水分含有量が低く放散する水分が少なく従来の自力
反応型脱酸素剤が適用できないようなもののことをい
い、水分活性(aw、「AW」と表示されることもあ
る。)が好ましくは0.2乃至0.7、より好ましく
は、0.2乃至0.5のもの、または、水分10%以
下、又は50%以下、好ましくは、RH50%以下、特
に好ましくは、RH30%以下のもので、をいう。換言
すれば、本発明の方法は、水分活性が低く、低湿度の乾
燥条件での保存が必要とされる物品に好適に適用され
る。低湿度の保存条件を必要とする低水分含有物品を保
存するためには、低水分含有物品を保存する雰囲気の相
対湿度(RH)が好ましくは20乃至70%、より好ま
しくは20乃至50%である。低水分含有物品の水分含
有は好ましくは50重量%以下、より好ましくは、10
重量%以下のものが全て該当するが、特に本発明を適用
できる低水分含有物品(被包装物)として粉末、顆粒食
品類:(粉末スープ、粉末飲料、粉末菓子、調味料、穀
物粉、栄養食品、健康食品、着色料、着香料、香辛
料)、粉末,顆粒薬品:(散薬類、粉石鹸、歯磨粉、工
業薬品)、これらのものの成形体(錠剤型)等水分の増
加を嫌い、異物の混入を避ける必要のある食品、薬品を
例示することができる。
である。なお、各略語は、次のことを意味する。
用いて平均粒径30μmの還元鉄粉(金属鉄含有量95
%以上)200kgに対し、ヨウ化カリウム5kgを水
溶液で添加混合した後、ジャケット内に蒸気を通じ、ミ
キサー内を真空ポンプで脱気しつつ乾燥して、金属鉄表
面にヨウ化カリウムを被覆し、酸素吸収組成物を得た。
脂組成物、ポリエチレン、白色顔料、酸化カルシウムを
重量比50対45対5対0.1の割合で混練、押し出し
た後、冷却、破砕して樹脂組成物1を得た。
レンフィルムにこの樹脂組成物1及び白色顔料10%含
有ポリエチレンをこの順に積層した後、更にポリエチレ
ンフィルム側にポリエチレンテレフタレート(PET)
とアルミ箔側をポリエチレン押し出しラミネートし、図
1に示すように、PET層(12μm)(1)/アルミ
箔層(外層:9μm)(2)/ポリエチレン層(20μ
m)(3)/脱酸素樹脂層(内層:60μm)(4)/
ポリエチレン(内層:25μm)(5)の多層フィルム
を得た。脱酸素樹脂層内には、表面にヨウ化カリウムが
被覆された鉄粒子が分散されている。
シール袋に製袋した。以下、この袋を「本発明包装袋」
と称する。ヨウ化カリウムの代わりに塩化ナトリウムの
同量を用いた以外は同様の操作によって、130mm×1
40mmの4方シールを袋を製袋した。以下、この袋を
「比較包装袋1」と称する。ヨウ化カリウムの代わりに
塩化カルシウムの同量を用いた以外は同様の操作によっ
て、130mm×140mmの4方シール袋を製袋した。以
下、この袋を「比較包装袋2」と称する。一方、市販の
PET/アルミ箔/ポリエチレン積層フィルムを用いて
同様に製袋した。以下、この袋を「ガスバリア袋」と称
する。
シャー法で測定したところ、500ppm以下であっ
た。本発明包装袋、比較用包装袋1、比較包装袋2、ガ
スバリア袋の水分量を同様な方法によって測定すると、
2000ないし3000ppmであった。
浸した珪藻土20gを入れ、空気40ccを封入後ヒー
トシールにより袋口を密閉した。これらを25℃以下に
保存し、経日後の袋内酸素濃度をガスクロマトグラフィ
を用いて分析した。結果を表1に示す。
ウムを用いた比較包装袋は、高水分、高湿度下では酸素
吸収速度が大きいものの、低水分湿度下では本発明の酸
素吸収能が圧倒的に優れていることが確認できた。
ーキミックス、アスコルビン酸粉末、窒化珪素の各50
gを空気30ccとともに充填、ヒートシールによって
密封し、常温下に保存した。図2は、本発明の包装袋内
にこれらの内容物が密閉されている状態の模式図を示
す。尚、従来のガスバリア袋には、A)比保存袋のみ、
B)水分依存型脱酸素剤(三菱ガス化学製エージレスF
X−20)同封、C)自力反応型脱酸素剤(同エージレ
スZ−20PT)同封の3種の方法によって包装した。
保存一か月後、袋内の酸素濃度をガスクロマトグラフィ
により分析した後、各包装品を開封して内容物の評価を
行った結果を表2に示す。
分、awが次の通りである、含有される水分量が少ない
乾燥食品あるいは粉体である。水分は、105℃×2時
間乾燥減量法、awは芝浦電気製awメーターによって
測定した。
物に対しても、良好に袋内の酸素に対する吸収能を発揮
した。比較包装袋1及び2では、脱酸素剤が水分供与体
を有しないために、低水分環境において酸素吸収反応を
触媒できずに、酸素吸収が十分行われていない。ガスバ
リア袋A)では、脱酸素剤を含まないので、当然のこと
ながら、袋内の酸素を除去することができない。ガスバ
リア袋B)の脱酸素剤は、外部から移行する水分によっ
て脱酸素反応を起こさせる他力反応型であるので、この
水分を期待できない乾燥された被保存物を内包する環境
では、脱酸素反応を好適に達成できない。したがって、
本発明の包装袋以外のものでは、内容物の風味低下や変
色等の酸素による劣化が生じる。
脱酸素剤を含むガスバリア袋C)では、保水成分からの
水分が食品に移行して、粉体の固化を起こさせてしま
う。また、セラミック材料である窒化珪素の場合では、
本発明の包装袋では酸化劣化、物性変化が防止されてい
るのに対し、酸素吸収が充分でないものでは酸化劣化に
より焼結後の強度低下が見られ、また、自力反応型脱酸
素剤を用いた物では、水分移行によると思われる物性変
化により成型性の低下が見られた。
低水分環境下においても、十分酸素吸収反応を達成する
ことができる脱酸素樹脂組成物が提供される。したがっ
て、この樹脂組成物から得られた包装材によれば、粉末
食品の如く、乾燥された食品等の被保存物を低酸素環境
にして品質低下や性状低下を来すことなく、確実に保存
することができる。しかも、包装材からの水分が被保存
物に移行することも無いために、例えば、被保存物が固
化すること等の劣化が生じることを避けることができ
る。また、本発明の樹脂組成物は、水分保持体の共存を
必要としない、新規な自力反応型の脱酸素樹脂組成物で
ある。
断面図である。
状態を示す模式図である。
Claims (10)
- 【請求項1】脱酸素剤が熱可塑性樹脂に混練されてなる
脱酸素樹脂組成物において、この脱酸素剤は、還元性金
属と、金属のヨウ化物及び金属の臭化物の少なくとも一
つを主体とする反応促進剤と、を含み、相対湿度(R
H)50%以下の乾燥雰囲気において酸素を吸収するこ
とができ、その水分含有量が1重量%以下であることを
特徴とする脱酸素樹脂組成物。 - 【請求項2】前記反応促進剤の量が、還元性金属100
重量部に対して、金属のヨウ化物又は金属の臭化物とし
て0.1〜20重量部である請求項1記載の脱酸素樹脂
組成物。 - 【請求項3】前記金属のヨウ化物又は金属の臭化物がア
ルカリ金属のヨウ化物又はアルカリ金属の臭化物であ
る、請求項1記載の脱酸素樹脂組成物。 - 【請求項4】熱可塑性樹脂と脱酸素剤とを混練する際、
脱酸素剤の水分含有量が、熱可塑性樹脂と脱酸素剤に対
して1重量%以下である、請求項1記載の脱酸素樹脂組
成物。 - 【請求項5】請求項1記載の脱酸素樹脂組成物を成形し
て得られ、かつ含有水分量が1重量%以下であるシート
状脱酸素剤。 - 【請求項6】請求項1記載の脱酸素樹脂組成物からなる
シートを通気性包装材料で包装してなるシート状脱酸素
剤。 - 【請求項7】大気側に臨むガスバリア性の外層と、請求
項1記載の樹脂組成物からなる中間層と、この中間層を
被保存物から隔離するための内層とを備え、相対湿度
(RH)70%以下の乾燥雰囲気にて脱酸素することが
できる多層包装材。 - 【請求項8】請求項7記載の包装材の内側に、乾燥状態
に維持されるべき被保存物が相対湿度(RH)70%以
下の乾燥雰囲気にて収容された脱酸素包装体。 - 【請求項9】大気側に臨むガスバリア性の外層と、請求
項1記載の脱酸素樹脂組成物からなる中間層と、この中
間層を被保存物から隔離するための内層とを備える多層
包装材の内側に、乾燥状態に維持されるべき被保存物を
密閉し、相対湿度(RH)50%以下の乾燥雰囲気にて
被保存物を脱酸素保存する物品の保存方法。 - 【請求項10】前記乾燥状態に維持されるべき被保存物
の水分活性(aW)が0.2〜0.7である、請求項9
記載の物品の保存方法。
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JP02073497A JP3496427B2 (ja) | 1996-02-03 | 1997-02-03 | 脱酸素樹脂組成物及びこれを用いた包装材、多層包装材、包装体、又は包装方法 |
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