JP3322304B2 - 脱酸素性多層フィルム及び包装袋 - Google Patents
脱酸素性多層フィルム及び包装袋Info
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Description
する多層フィルム及び包装袋に関する。詳しくは、折り
曲げ等による型付け後の形状保持性が良好で各種製袋機
適性に優れ、且つ引き裂きによる開封が容易な脱酸素性
多層フィルム及びこれよりなる包装袋に関する。
脱酸素性能を備えた包装材料で包装体を構成することが
考えられ、粉末または粒状の金属鉄を主成分とする脱酸
素剤組成物を配合してなる酸素吸収樹脂層を中間層とし
た、いわゆる脱酸素性多層体が開発されている。このう
ち、総厚みが薄いフィルム状の脱酸素性多層体いわゆる
脱酸素性多層フィルムは、酸素吸収性能を有する袋とし
て利用されたり、またバリア容器のトップフィルムとし
て容器内に残存する酸素を吸収する材料として利用され
る。
る袋は、収納される物品の種類や、要求される性能等に
よって、二方シール袋、三方シール袋、四方シール袋、
ガセット袋、スタンディングパウチ等の各種形状を有す
る。脱酸素性多層フィルムに関しても、前記形態の袋を
従来のフィルム状材料と同様、製袋機にて製袋すること
が可能であるが、製袋機の中には、その製袋工程におい
て、フィルムを一定の形状に型付けした後にヒートシー
ルを行うまでに、比較的長い時間その形状を保たなけれ
ばならないものがある。脱酸素性多層フィルムはガスバ
リア層とシーラント樹脂層の間に酸素吸収樹脂層が存在
するため、通常のフィルム状材料に比べて樹脂層が厚
く、弾性が高くなる。そのため、前述のような製袋機で
製袋する際、型付けからヒートシールされるまでの間に
フィルムがその形状を保つことができず、ヒートシール
不良の発生頻度が高くなる場合があった。
袋に開封用ノッチを入れ、フィルムを引き裂くように開
封する際、前述のようにフィルム中の樹脂層が厚いた
め、開封する際に大きな力が必要となる場合があった。
題とするものであり、各種製袋機適性に優れ、且つ折り
曲げ等による型付け後の形状保持性が良好で且つ易引き
裂き性を有する脱酸素性多層フィルムを提供することで
ある。本発明のもう一つの目的は、易引き裂き性を有す
る脱酸素性包装袋及び該包装袋に収納された物品の包装
体を提供することである。
技術の問題点に鑑み、型付け後の形状保持性が良好で各
種製袋機適性に優れ、且つ易引き裂き性を有する脱酸素
性多層フィルム及びこれよりなる包装袋について鋭意研
究を重ねた結果、ポリオレフィン系延伸フィルムからな
る保護層、特定の厚さの金属箔からなるガスバリア層、
粒状脱酸素剤組成物が熱可塑性樹脂中に分散された脱酸
素性樹脂組成物からなる酸素吸収樹脂層、及び酸素透過
性を有するシーラント樹脂層がこの順に積層された、少
なくとも4層からなる脱酸素性多層フィルムが、折り曲
げ等による型付け後の形状保持性が良好で、且つ易引き
裂き性を有することを見い出し、本発明を完成させた。
る保護層、金属箔からなるガスバリア層、粒状脱酸素剤
組成物が熱可塑性樹脂中に分散された脱酸素性樹脂組成
物からなる酸素吸収樹脂層及び酸素透過性を有するシー
ラント樹脂層がこの順に積層された少なくとも4層から
なる脱酸素性多層フィルムにおいて、保護層に延伸した
熱可塑性樹脂フィルムを使用し且つ金属箔の厚みが脱酸
素性多層フィルム総厚みの5乃至40%であることを特
徴とする、折り曲げ等による型付け後の形状保持性が良
好で且つ易引き裂き性を有する脱酸素性多層フィルムに
関する。
性樹脂は、一軸延伸ポリエチレンフィルム、二軸延伸ポ
リエチレンフィルム、一軸延伸ポリプロピレンフィル
ム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムに例示される、延
伸ポリオレフィンフィルムである。好ましい金属箔は、
厚さが9乃至30μmのアルミ箔である。好ましい粒状
脱酸素剤組成物は、主剤を鉄粉とし且つ水分の供給を受
けて酸素吸収反応を生起する粒状脱酸素剤組成物であ
る。好ましい脱酸素性樹脂組成物中の粒状脱酸素剤組成
物の含有量は、10乃至70重量%である。また本発明
は、袋の少なくとも一部が上記の脱酸素性多層フィルム
からなり、袋内部の酸素を吸収するようにしてなる包装
袋に関する。
なお、本発明は図面又は実施例によって限定されるもの
ではない。本発明の脱酸素性多層フィルムは、例えば図
1に示すように、保護層A、ガスバリア層B、酸素吸収
樹脂層C及びシーラント樹脂層Dがこれらの順に積層さ
れている脱酸素性多層フィルムである。製袋して使用す
る際には、保護層Aが袋の最外層となり、シーラント樹
脂層Dが袋の最内層となる。また、ガスバリア層Bで外
部からの酸素の進入を防止すると共に、袋内に存在する
酸素がシーラント樹脂層Dを通して酸素吸収樹脂層Cに
よって吸収される。
るフィルムが用いられる。延伸した熱可塑性樹脂からな
るフィルムを使用すると、良好な易引き裂き性が付与さ
れる。具体的には、一軸延伸ポリエチレンフィルム、二
軸延伸ポリエチレンフィルム、一軸延伸ポリプロピレン
フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸
ポリエステルフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二
軸延伸ポリビニルアルコールフィルム等の延伸フィルム
が例示される。この中でも、良好な易引き裂き性を有
し、ひげ状の切りくずが出にくいことから、一軸延伸ポ
リエチレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンフィルム、
一軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピ
レンフィルムに例示される、延伸ポリオレフィンフィル
ムが好ましく用いられる。特に、予め一定方向に易引き
裂き性が付与された二軸延伸ポリエチレンフィルム及び
二軸延伸ポリプロピレンフィルムがより好ましく用いら
れ、耐熱性が高いことから、二軸延伸ポリプロピレンフ
ィルムが最も好ましく用いられる。また、保護層Aの厚
みは10乃至40μmとすることが好ましく、さらに好
ましくは10乃至30μmである。10μmより厚みが
薄いと保護層が与える易引き裂き性の影響が小さくなる
場合があり、40μmより厚いと脱酸素性多層フィルム
の総厚みが厚くなって製袋成型性が悪化する事がある。
属箔からなり、折り曲げ等による型付け後の形状保持性
を良好に保持するために、その厚さは脱酸素性多層フィ
ルム総厚みの5乃至40%、好ましくは7乃至30%に
する必要があり、より好ましくは10乃至25%に設定
する。この範囲より薄いと、形状保持性が悪化し、この
範囲より厚いと金属箔の性状が強調され、フィルムの取
り扱い性に不便を生じる場合がある。また、フィルムの
外観や易引き裂き性、コストを考慮すると、金属箔とし
ては厚さが7乃至30μm、好ましくは9乃至30μm
のアルミ箔を使用することが好ましい。
脱酸素剤組成物を分散させた脱酸素性樹脂組成物からな
る。酸素吸収樹脂層Cを構成する熱可塑性樹脂は、例え
ば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、
高密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレ
ン等の各種ポリエチレン類、プロピレンホモポリマー、
プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−
エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒によるポリ
プロピレン等の各種ポリプロピレン類、各種エチレン−
αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸(又はメ
タクリル酸)共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、
ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系
樹脂、熱可塑性エラストマーのうち一種以上が用いられ
る。なお、酸素吸収樹脂層Cを構成する熱可塑性樹脂は
例示したものに限定されることはなく、脱酸素剤組成物
と混練しても酸素を吸収できるものであれば用いること
ができる。
を受けて脱酸素反応を生起する、いわゆる水分依存型と
呼ばれる脱酸素剤組成物が用いられ、鉄粉及びハロゲン
化金属からなる公知の脱酸素剤組成物を使用することが
できる。鉄粉としては、還元鉄粉、噴霧鉄粉等の各種製
法で得られる鉄粉を使用することができ、鉄粉の粒径は
平均粒径10乃至50μmが好ましく、その最大粒子径
は酸素吸収樹脂層Cの加工を考慮して制限を受ける。ハ
ロゲン化金属としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウ
ム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、
ヨウ化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、
又は塩化バリウム等で例示されるアルカリ金属、又はア
ルカリ土類金属のハロゲン化物の一種または二種以上が
好ましく用いられる。
組成物中における脱酸素剤組成物の含有量は10乃至7
0重量%が好ましく、10乃至50重量%がより好まし
い。脱酸素剤組成物の含有量が10重量%より少ない場
合、酸素吸収性能が低下し、また、70重量%より多い
場合には加工性が悪化する。
のための顔料、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、カー
ボンブラック等の無機充填剤、シラン系やチタネート系
等の分散剤、酸化カルシウム、ポリアクリル酸系化合物
等の吸水剤、酸化防止剤等の添加剤、活性炭等の吸着剤
等を添加することができる。
ィルムの酸素吸収性能を損なわない範囲にてできるだけ
薄くすることが好ましく、10乃至100μmに設定す
ることが好ましく、10乃至60μmであればより好ま
しい。10μmより薄くすると、層中に分散している脱
酸素剤組成物がシーラント樹脂層表面に露出する可能性
がある。また、100μmより厚いと、フィルム総厚み
が厚くなり、形状保持性が低下したり、コストに問題が
ある。
熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。例えば、低密度ポ
リエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエ
チレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポ
リエチレン類、プロピレンホモポリマー、プロピレン−
エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンラン
ダム共重合体、メタロセン触媒によるポリプロピレン等
の各種ポリプロピレン類、各種エチレン−αオレフィン
共重合体、エチレン−アクリル酸(又はメタクリル酸)
共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ポリブテン、
ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂のうち、
一種以上を用いることができる。なお、シーラント樹脂
層の形態は上記樹脂の単層または多層のいずれであって
も良い。
脂層C中に分散する脱酸素剤組成物の露出、及び酸素透
過性を考慮して、10乃至100μmとすることが好ま
しく、10乃至70μmとすることがより好ましい。1
0μmより薄い場合、酸素吸収樹脂層C中の脱酸素剤組
成物が表面に露出する可能性がある。また、100μm
より厚い場合、酸素透過性が低下するため酸素吸収性能
が低下する。
て隠蔽や着色のための顔料、シラン系やチタネート系等
の分散剤、酸化防止剤やスリップ剤等の添加剤、クレ
ー、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム等の充填剤、消臭
剤や活性炭等の吸着剤等を添加することができる。
素吸収樹脂層Cとシーラント樹脂層Dはラミネートや共
押出等の公知の積層方法を用いて積層することができる
が、これらの層以外にもさらに別の層を、必要に応じ
て、強度保持、接着、表面平滑化等の目的で、組み合わ
せて積層できる。また、保護層Aの積層はドライラミネ
ートによることが好ましく、ガスバリア層Bの積層には
ドライラミネートもしくは接着剤層を介した押し出しラ
ミネートのいずれかの方法を用いることができる。
方法にてシーラント層Dを内面とし、ヒートシールによ
り各種形状の包装袋に製袋することができる。この包装
袋に、例えば、多水分食品や飲料あるいは医薬品等の物
品、具体的には多水分食品としては、炊飯米、煮物、揚
げ物等の惣菜類、羊羹等の和菓子やケーキ等の菓子類、
ソーセージ、ハム等の畜肉加工品類、飲料としてはオレ
ンジジュース等のジュース類、日本酒、ウイスキー等の
酒類、医薬品としては輸液バッグ等、種々の物品を収納
し、ヒートシール等による密閉を行うことで、収納物の
酸化腐食等を防止でき、長期保存が可能となる。すなわ
ち、本発明は、少なくとも一部がシーラント樹脂層を内
側面とする、前記の脱酸素性多層フィルムからなる包装
袋に、物品を収納し、ヒートシールによる密閉を行って
なる物品の包装体である。
ト付き真空混合乾燥機中に投入し、10mmHgの減圧
下140℃で加熱しつつ、塩化カルシウム50重量%水
溶液5kgを噴霧し、乾燥した後、篩い分けして100
メッシュを超える径の粗粒を除き、脱酸素剤組成物を得
た。
軸押し出し機と定量フィーダーからなる押し出し装置を
用いて、低密度ポリエチレン(三井化学(株)製、商品
名;ミラソン18SP、以下LDPEと略す)100重
量部、上記脱酸素剤組成物60重量部、炭酸カルシウム
30重量部、酸化カルシウム1重量部を混練し、ストラ
ンドダイから押し出した後、空冷、ペレット化を経て脱
酸素性樹脂組成物1を得た。
い、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)
製、商品名;パイレンフィルムOT P2282、以下
OPPと略す)/アルミ箔/LDPEからなる多層フィ
ルムのLDPE上に脱酸素性樹脂組成物1を押し出しラ
ミネートして酸素吸収樹脂層を形成し、さらに酸素吸収
樹脂層上にLDPEを押し出しラミネートして、OPP
(厚さ;25μm)/アルミ箔(厚さ;9μm)/LD
PE(厚さ20μm)/酸素吸収樹脂層(厚さ;30μ
m)/LDPE(厚さ;30μm)の構成を有する脱酸
素性多層フィルム1を得た。この脱酸素性多層フィルム
1の総厚みにおけるアルミ箔の厚みは約8%であった。
ィルム1を筒状に型付けし、次いで袋のセンターシール
部となる部分を合掌折りにし、5秒間後にセンターシー
ル部をヒートシールした。この時のセンターシール部の
外観を観察し、フィルムの形状保持性を調査した。その
結果、脱酸素性多層フィルム1の形状保持性は良好であ
り、合わせ部分がずれることなくヒートシールされてい
た。
ートシールされ、またセンターシール部分が包装袋本体
部に糊付けされ且つ開封用ノッチを入れたガセット付き
ピロータイプの包装袋を作製した。この袋の開口部から
加熱されて液状になった羊羹を充填し、上部分をヒート
シールしてから固化して羊羹の包装袋とし、1週間の保
存テストを実施した。包装袋内の酸素は0.1%以下で
あり、内容物は変色が見られずに風味が保持されてい
て、優れた保存効果が得られた。また、センターシール
部の開封用ノッチから引き裂くように袋を開封して包装
袋の開封性を調査したところ、脱酸素性多層フィルム1
からなる袋は直線的にかつ容易に開封することができ
た。これらの結果を表1に示す。
フィーダーからなる押し出し装置を用いて、LDPE1
00重量部、実施例1で得られた脱酸素剤組成物40重
量部を混練し、ストランドダイから押し出した後、空
冷、ペレット化を経て脱酸素性樹脂組成物2を得た。次
に、タンデム式押出ラミネーターを用い、OPP/アル
ミ箔/LDPEからなる多層フィルムのLDPE上に脱
酸素性樹脂組成物2を押し出しラミネートして酸素吸収
樹脂層を形成し、さらに酸素吸収樹脂層上にLDPEを
押し出しラミネートして、OPP(厚さ;25μm)/
アルミ箔(厚さ;20μm)/LDPE(厚さ20μ
m)/酸素吸収樹脂層(厚さ;30μm)/LDPE
(厚さ;30μm)の構成を有する脱酸素性多層フィル
ム2を得た。この脱酸素性多層フィルム2の総厚みにお
けるアルミ箔の厚みは16%であった。実施例1と同様
に、ガセット付きピロータイプの包装袋の作製を行い、
センターシール部の外観を観察した後、羊羹を充填した
包装袋の保存テストと袋の開封性調査を実施した。その
結果、脱酸素性多層フィルム2は形状保持性に優れ、ま
たこれからなる袋は直線的にかつ容易に開封することが
でき、内容物の保存性にも優れていた。これらの結果を
表1に示す。
/LDPEからなる多層フィルムのLDPE上に脱酸素
性樹脂組成物1を押し出しラミネートして酸素吸収樹脂
層を形成し、さらに酸素吸収樹脂層上にLDPEを押し
出しラミネートして、OPP(厚さ;25μm)/アル
ミ箔(厚さ;7μm)/LDPE(厚さ30μm)/酸
素吸収樹脂層(厚さ;60μm)/LDPE(厚さ;3
0μm)の構成を有する脱酸素性多層フィルム3を得
た。この脱酸素性多層フィルム3の総厚みにおけるアル
ミ箔の厚みは約5%であった。実施例1と同様に、ガセ
ット付きピロータイプの包装袋の作製を行ったが、脱酸
素性多層フィルム3はセンターシール部をヒートシール
するまで形状を保持できず、シール不良となり、製袋す
ることができなかった。
フィルム(東洋紡績(株)製、商品名;パイレンフィル
ム−CT P1128、以下CPPと略す)/アルミ箔
/LDPEからなる多層フィルムのLDPE上に脱酸素
剤組成物1を押し出しラミネートして酸素吸収樹脂層を
形成し、さらに酸素吸収樹脂層上にLDPEを押し出し
ラミネートして、CPP(厚さ;25μm)/アルミ箔
(厚さ;9μm)/LDPE(厚さ20μm)/酸素吸
収樹脂層(厚さ;30μm)/LDPE(厚さ;30μ
m)の構成を有する脱酸素性多層フィルム4を得た。こ
の脱酸素性多層フィルム4の総厚みにおけるアルミ箔の
厚みは約8%であった。実施例1と同様に、ガセット付
きピロータイプの包装袋の作製を行い、センターシール
部の外観を観察した後、羊羹を充填した包装袋の保存テ
ストと袋の開封性調査を実施した。その結果、脱酸素性
多層フィルム4は形状保持性に優れ、これからなる包装
袋は内容物の保存性にも優れていたが、包装袋を開封し
た際の引き裂き方向性が悪く、容易に開封することがで
きなかった。これらの結果を表1に示す。
/LDPE(厚さ30μm)の構成を有する酸素吸収樹
脂層の無い多層フィルム(この多層フィルムの総厚みに
おけるアルミ箔の厚みは15%)を用いて、実施例1と
同様に、ガセット付きピロータイプの包装袋の作製を行
い、センターシール部の外観を観察した後、羊羹を充填
した包装袋の保存テストと開封性調査を実施した。その
結果、多層フィルムは形状保持性に優れ、これからなる
包装袋は直線的にかつ容易に開封することができたが、
袋内に残存した酸素の影響を受けて羊羹が部分的に変色
し、内容物の保存性に問題があった。これらの結果を表
1に示す。
うに、本発明の実施例1乃至2では、脱酸素性多層フィ
ルムの製袋時における形状保持性が良好であり、さらに
これからなる包装袋は容易に開封することができた。こ
れらに対して、アルミ箔の厚みが薄い比較例1では折り
曲げ後の形状保持性が悪く、本実施例のような製袋条件
では袋を作製できなかった。また保護層に無延伸フィル
ムを使用した比較例2では、包装袋を引き裂いた際の方
向が直線的でなく、開封性が悪化した。また、実施例の
ように酸素吸収樹脂層を有する多層フィルムからなる包
装袋を使用した場合には、内容物である羊羹の変色も無
く風味が保持されていて、保存性に優れていたが、比較
例3のように酸素吸収樹脂層のない多層フィルムでは、
羊羹が部分的に変色し、保存性が悪かった。
工程時、型付け後からヒートシールまで比較的長い時間
その形状を保持しなければならないような場合において
も、形状を保持することが可能である。また、得られた
包装袋は、引き裂きによる開封が容易であり、内容物の
保存性に優れる。従って、本発明の脱酸素性多層フィル
ムは、従来公知である種々の製袋機適性に優れ、また得
られる包装袋は易引き裂き性を有するため、これまで利
用されてきた包装材に酸素吸収性能を付与した新規な包
装材として、様々な物品の保存等に利用できる。
の断面図
程において脱酸素性多層フィルムを型付けする工程の一
態様の断面図
した羊羹充填前のガセット付きピロータイプの包装袋を
示した一態様の模式図
した羊羹充填、密封後のガセット付きピロータイプの包
装袋を示した一態様の模式図
ィルムの断面図 :センターシール部の形状を保持できなかった場合の
脱酸素性多層フィルムの断面図 1:本発明に係る脱酸素性多層フィルム 2:合掌折りにされたセンターシール部 3:下シール部 4:センターシール部 5:開封用ノッチ 6:開口部 7:上シール部
Claims (5)
- 【請求項1】 延伸した熱可塑性樹脂フィルムからなる
保護層、金属箔からなるガスバリア層、鉄粉を主剤とす
る粒状脱酸素剤組成物が10乃至70重量%熱可塑性樹
脂中に分散された脱酸素性樹脂組成物からなる酸素吸収
層及び酸素透過性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラ
ント樹脂層がこの順に積層された少なくとも4層からな
り、前記金属箔の厚みが脱酸素性多層フィルム総厚みの
10乃至25%である脱酸素性多層フィルムを用いて、 これを筒状に型付けし、次いで袋のセンターシール部と
なる部分を合掌折りにした後、センターシール部をヒー
トシールし、包装袋下部分をヒートシールすることを特
徴とする、包装袋の製造方法。 - 【請求項2】 さらに、センターシール部に開封用ノッ
チを入れることを特徴とする、請求項1記載の製造方
法。 - 【請求項3】 延伸した熱可塑性樹脂フィルムからなる
保護層、金属箔からなるガスバリア層、鉄粉を主剤とす
る粒状脱酸素剤組成物が10乃至70重量%熱可塑性樹
脂中に分散された脱酸素性樹脂組成物からなる酸素吸収
層及び酸素透過性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラ
ント樹脂層がこの順に積層された少なくとも4層からな
り、前記金属箔の厚みが脱酸素性多層フィルム総厚みの
10乃至25%である脱酸素性多層フィルムを用いて、 これを筒状に型付けし、次いで袋のセンターシール部と
なる部分を合掌折りにした後、センターシール部をヒー
トシールし、包装袋下部分をヒートシールしてなる、包
装袋。 - 【請求項4】 さらに、センターシール部に開封用ノッ
チを入れたことを特徴とする、請求項3記載の包装袋。 - 【請求項5】 請求項3に記載の包装袋に、羊羹を充填
してヒートシールにより密閉され、直線的に開封可能な
羊羹の包装体。
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- 1998-11-27 JP JP33799198A patent/JP3322304B2/ja not_active Expired - Lifetime
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