JP4186035B2 - 脱酸素性密封容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱酸素性密封容器に関する。さらに詳しくは、本発明は、易開封性を有し、食品や医薬品等の包装材として内容物を保存する脱酸素性密封容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、脱酸素包装技術の一つとして、熱可塑性樹脂に脱酸素剤を配合した酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層を配した多層材料で容器を構成し、容器のガスバリア性の向上を図ると共に、容器自体に酸素吸収機能を付与した包装容器の開発が行われている。これらのうち、総厚みの薄い酸素吸収性多層体、いわゆる酸素吸収性多層フィルムは、ヒートシール層及びガスバリア層が積層してなる従来のガスバリア性多層フィルムに中間層として酸素吸収剤を分散した熱可塑性樹脂層である酸素吸収層を積層し、外部からの酸素透過を防ぐ機能に容器内の酸素を吸収する機能を付与したものとして利用され、押し出しラミネートや共押し出しラミネート、ドライラミネート等の従来公知の製造方法を利用して製造されている。具体的には、特開平9−40024号公報に開示されているように、酸素吸収層とガスバリア層間に熱可塑性樹脂層クッション層が介在する酸素吸収多層フィルムが知られている。また、特開平9−234832号公報に開示されているように、酸素吸収層とガスバリア層間に平滑化層を設けた酸素吸収多層フィルムが知られている。また、これら酸素吸収多層フィルムをバリア容器の蓋材とし、バリア容器と密封し、内容物の酸化劣化を防止する技術も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、酸素吸収多層フィルムをガスバリア容器蓋材に用いて密封し保存した場合、その容器を開封した際に、開封時の易開封性が確保されず、蓋を開けにくいという問題や、開封した容器シール部に酸素吸収多層フィルム中の鉄粉が付着し、外観を損なうことがあるという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の従来技術の問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、ガスバリア成形容器の内層に易開封性樹脂層を用い、蓋材に内層を無延伸熱可塑性樹脂とした酸素吸収多層フィルムを用いることにより、易開封性を保持し、内容物保存性に優れた密封容器を発明した。
【0005】
本発明は、(A)ガスバリア成形容器、及び、これに物品を収納してヒートシールされた(B)蓋材からなる密封容器であって、前記した
(A)ガスバリア成形容器が、容器外側から、熱可塑性樹脂からなる外層、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなる中間層及び易開封性熱可塑性樹脂層からなり、
(B)蓋材が、容器外側から、少なくとも、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなるガスバリア層、鉄系酸素吸収剤を配合した酸素吸収樹脂組成物からなる酸素吸収層及び無延伸熱可塑性樹脂からなるヒートシール層が積層された脱酸素多層フィルムからなることを特徴とする脱酸素性密封容器に関する。
【0006】
また、本発明は、ガスバリア性樹脂層を中間層とし、内層及び外層が熱可塑性樹脂からなるガスバリア成形容器に、少なくとも、ガスバリア層、鉄系酸素吸収剤を配合した酸素吸収樹脂層及びシーラント層からなる脱酸素多層フィルムを蓋材として密封なる脱酸素包装体であって、ガスバリア成形容器の内層が易開封性樹脂層で、蓋材である酸素吸収多層フィルムのシーラント層が無延伸熱可塑性樹脂であることを特徴とする酸素吸収性密封容器に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の容器は、(A)ガスバリア成形容器、及び、これに物品を収納してヒートシールされた(B)蓋材からなる密封容器である。
本発明の密封容器を構成する(B)蓋材は、容器外側から、少なくとも、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなるガスバリア層、鉄系酸素吸収剤を配合した酸素吸収樹脂組成物からなる酸素吸収層及び無延伸熱可塑性樹脂からなるヒートシール層が積層された脱酸素多層フィルムからなる。
【0008】
(B)蓋材の酸素吸収多層フィルムを構成するヒートシール層は、本発明の酸素吸収多層フィルムを包装容器の蓋材に利用した際にガスバリア成形容器表面と熱融着するシーラントとなる部分であり、また収納物品と酸素吸収層を隔離する隔離層としての役割や、包装容器内の酸素が透過して酸素吸収層中の酸素吸収剤に速やかに吸収されるための酸素透過層としての役割を有する。
【0009】
本発明の酸素吸収多層フィルムを構成するヒートシール層には前述の役割を果たすことが可能な、酸素透過性を有する無延伸の熱可塑性樹脂であれば、制限することなく使用することができる。熱可塑性樹脂の種類としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポリエチレン類、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒によるポリプロピレン等の各種ポリプロピレン類、ポリメチルペンテン、熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらを単独で、または組み合わせて使用することができる。好ましくは、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポリエチレン類、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒によるポリプロピレン等の各種ポリプロピレン類、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンである。
【0010】
ヒートシール層には酸化チタン等の着色顔料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等を添加しても良い。
【0011】
(B)蓋材の酸素吸収性多層フィルムを構成するヒートシール層の膜厚は、層数に関わらず10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであればより好ましい。ヒートシール層の膜厚が10μmより薄いと酸素吸収層の酸素吸収剤が表面に露出したり、ヒートシール強度が低下するため好ましくない。また、ヒートシール層の膜厚が100μmより厚いと、積層が困難になったり、また酸素透過性が低下してフィルムの酸素吸収性能が低下したり、さらにコストに問題があるため好ましくない。
【0012】
(B)蓋材の酸素吸収多層フィルムを構成する酸素吸収層は、熱可塑性樹脂中に酸素吸収剤を分散してなるものである。酸素吸収層は、容器内又は収納物品中に溶存する酸素を吸収する役割、また、ガスバリア層外部から侵入する微量の酸素を吸収して容器内部への酸素透過を防ぐ役割を有する。
【0013】
酸素吸収層を構成する熱可塑性樹脂は、前述のヒートシール層に用いる樹脂として挙げたものと同様の樹脂が使用されるが、ヒートシール層との接合強度を考慮して、ヒートシール層と同種又は類似の熱可塑性樹脂を選択するのが好ましい。
【0014】
酸素吸収層に分散される鉄系酸素吸収剤としては、鉄粉及びハロゲン化金属の混合物が用いられる。
主剤である鉄粉としては、酸素吸収反応を起こしうるものであれば純度等には特に制限することなく使用でき、例えば、表面の一部が既に酸化していても良く、他の金属を含有するものであっても良い。また、鉄粉は粒状のものが好ましく、例えば、還元鉄粉、噴霧鉄粉、電解鉄粉等の鉄粉、鋳鉄、鋼材等の各種鉄の粉砕物や研削品等が用いられる。その平均粒径は、取り扱い性や、酸素吸収層の膜厚を薄くすること、及びフィルム外観に現れる酸素吸収剤の凹凸をできるだけ防ぐことを考慮し、1〜100μmの範囲とすることが好ましく、特に1〜80μmの範囲とすることが好ましい。
【0015】
鉄系酸素吸収剤の助剤であるハロゲン化金属としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物、臭化物またはヨウ化物が用いられ、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはバリウムの塩化物またはヨウ化物が好ましく用いられる。ハロゲン化金属の配合量は、鉄粉100重量部当たり0.1〜20重量部が好ましく、特に0.1〜5重量部が好ましい。
【0016】
ハロゲン化金属は、鉄粉に付着して容易に分離しないよう、予め混合して添加することが好ましい。例えば、ボールミル、スピードミル等を用いてハロゲン化金属と鉄粉を混合する方法、鉄粉表面の凹凸部にハロゲン化金属を埋め込む方法、バインダーを用いてハロゲン化金属を鉄粉表面に付着させる方法、ハロゲン化金属水溶液と鉄粉を混合した後乾燥して鉄粉表面にハロゲン化金属を付着させる方法等を採ることができる。好ましい酸素吸収剤は、鉄粉とハロゲン化金属を含む鉄粉系組成物であり、特に好ましくは、鉄粉にハロゲン化金属を付着させたハロゲン化金属被覆鉄粉系組成物である。
【0017】
酸素吸収層中における酸素吸収剤の配合量は10〜70重量%の範囲とすることが好ましく、10〜60重量%の範囲がより好ましい。酸素吸収剤の配合量が10重量%より低いと、酸素吸収能力が不十分であり好ましくなく、70重量%より高いと、酸素吸収層を製膜することが困難であるため好ましくない。
【0018】
酸素吸収層の膜厚は、構成材料によらず、10〜100μmの範囲とすることが好ましく、特に好ましくは20〜80μmの範囲である。酸素吸収層の膜厚が10μmより薄いと、製膜が困難となったり、フィルム単位面積当たりの酸素吸収剤量が少なくなり、十分な酸素吸収性能が得られなくなる。また、100μmより厚いと、フィルム総厚みが厚くなり、取り扱い性に不便を生じる場合があったり、コストに問題が生じる。
【0019】
また、本発明の酸素吸収層には、必要に応じて、酸化チタン等の着色顔料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の各種添加剤、クレー、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤、消臭剤、活性炭やゼオライト等の吸着剤等を添加しても良い。
【0020】
(B)蓋材の酸素吸収性多層フィルムを構成するガスバリア層には、公知のガスバリア性材料が用いられる。たとえば、ナイロンMXD6、EVOH、PVA、PVDC等のガスバリア性熱可塑性樹脂やシリカ蒸着やアルミナ蒸着等の蒸着膜、アルミ箔等の金属箔等が用いられる。密封ヒートシールした際の容器蓋材の張り具合等の特性を考慮すると、EVOHやMXD6等のガスバリア性熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
【0021】
(B)蓋材の酸素吸収性多層フィルムを構成するガスバリア層の外側の多層フィルム表面には、耐衝撃性熱可塑性樹脂からなる外層を積層することが好ましい。好ましい耐衝撃性熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6やナイロン6,6等のポリアミド、ポリプロピレンが例示される。ガスバリア層と外層の間には、印刷層を設けることができる。
【0022】
(B)蓋材の酸素吸収性多層フィルムを構成する各層は、ウレタン系もしくはエポキシ系の接着剤又はポリオレフィン系のホットメルト剤を使用して接合してもよく、接着剤を使用しないで熱融着法によって接合してもよい。
【0023】
本発明の密封容器を構成する(A)ガスバリア成形容器は、容器外側から、少なくとも、熱可塑性樹脂からなる外層、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなる中間層及び易開封性熱可塑性樹脂層からなり、フランジ部を有するガスバリア性の成形体である。
【0024】
(A)ガスバリア成形容器を構成する外層には、熱可塑性樹脂が用いられる。用いられる樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポリエチレン類、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒によるポリプロピレン等の各種ポリプロピレン類、ポリメチルペンテン、熱可塑性エラストマー、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等が挙げられ、これらを単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0025】
(A)ガスバリア成形容器を構成するガスバリア層には、熱可塑性樹脂が用いられる。ガスバリア層に用いられる樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロンMXD6、PVDCが例示される。レトルトやボイル殺菌等の80℃以上の加熱処理を行う場合は、ナイロンMXD6が特に好ましく用いられる。ナイロンMXD6に非結晶性ナイロンを混合したナイロンMXD6樹脂組成物を使用してもよい。
【0026】
(A)ガスバリア成形容器を構成する内側表面層は、易開封性熱可塑性樹脂層からなる。
易開封性熱可塑性樹脂層は、蓋材とヒートシールされる層であり、蓋材を引き剥がすようにして密封容器を開封する際、それ自体が破断又は剥離する層である。その結果、蓋材に用いた酸素吸収多層フィルムが酸素吸収層において破断することが防止され、鉄粉の容器フランジ面への残留・付着を防ぐことができる。
【0027】
易開封性熱可塑性樹脂層としては、(ア)当該層内で樹脂が破断を起こして剥離する凝集剥離タイプ、(イ)当該層が多層構造からなり、その層間で剥離する層間剥離タイプ、(ウ)当該層と隣接する層の間で剥がれる界面剥離タイプ、がある。中でも、(ア)凝集剥離タイプ及び(イ)層間剥離タイプが、蓋材を引き剥がした際にそれ自体が容易に剥離するので、特に好ましく用いられる。
【0028】
易開封性熱可塑性樹脂層に用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であれば、制限することなく使用することができる。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポリエチレン類、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒によるポリプロピレン等の各種ポリプロピレン類、ポリメチルペンテン、熱可塑性エラストマー、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等が挙げられ、これらを単独で、または組み合わせて使用することができる。
特に、(イ)層間剥離タイプにおいては、異なる種類の熱可塑性樹脂の組み合わせ乃至非相溶の熱可塑性樹脂の組み合わせからなる多層フィルムが好ましい。
【0029】
(A)ガスバリア成形容器を構成する各層は、ウレタン系もしくはエポキシ系の接着剤又はポリオレフィン系のホットメルト剤を使用して接合してもよく、接着剤を使用しないで熱融着法によって接合してもよい。
【0030】
本発明の密封容器には、食品、医薬品等が制限なく収納される。例えば、果肉入りゼリー、羊羹、プリン等の菓子類、パイン、みかん、桃、あんず、なし、りんご等のフルーツ類、液体だし、マヨネーズ、味噌、すり下ろし香辛料等の調味料、ジャム、クリーム、チョコレートペースト等のペースト状食品、カレー、液体スープ、煮物、漬物、シチュー等の液体加工食品に代表される液体系食品や、そば、うどん、ラーメン等の生麺及びゆで麺、精米、調湿米、無洗米等の調理前の米類や調理された炊飯米、五目飯、赤飯、米粥等の加工米製品類、粉末スープ、だしの素等の粉末調味料等に代表される高水分食品、その他農薬や殺虫剤等の固体状や溶液状の化学薬品、液体及びペースト状の医薬品、化粧水、化粧クリーム、化粧乳液、整髪料、染毛剤、シャンプー、石鹸、洗剤等、種々の物品を収納することができ、容器外部から酸素が侵入することがなく、また容器内部の酸素は脱酸素剤組成物によって吸収されることから、物品の酸化腐食等が防止され、長期間の良好な品質保持が可能となる。
【0031】
また、本発明の密封容器を、加熱処理しても良い。加熱処理としては、80℃〜100℃のボイル処理、煮沸処理や100℃〜135℃のセミレトルト、レトルト、ハイレトルト等のレトルト処理等が挙げられる。特に、ガスバリア成形容器のガスバリア層としてナイロンMXD6を使用した本発明の密封容器を用いた場合、80℃以上の加熱処理を好適に施すことができ、食品、医薬品を長期間保存することができる。さらに、本発明の密封容器を電子レンジで加熱することも可能である。
【0032】
【実施例】
本発明を実施例に沿ってさらに詳しく説明する。尚、本発明は実施例に必ずしも限定されない。
【0033】
[実施例1]
平均粒径30μmの鉄粉1000kgを加熱ジャケット付き真空乾燥機中に投入し、10mmHgの減圧下140℃で混合しつつ、塩化カルシウム50重量%水溶液50kgを噴霧し、乾燥した後、篩い分けし粗粒を除き、平均粒径30μmの鉄系酸素吸収剤を得た。
次に、ベント付き二軸押出機を用いて、直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製;商品名カーネルKC580)を押出しながら、サイドフィードにて鉄系酸素吸収剤及び酸化カルシウムを供給し、ポリエチレン:鉄系酸素吸収剤:酸化カルシウム=58:40:2重量比となるように、混練し、ストランドダイから押し出した後、冷却、ペレタイザーにてペレット化し、酸素吸収性樹脂組成物Aを得た。
【0034】
次いで、2台の単軸押出機、Tダイ、冷却ロール及びスリッター及び巻取機からなるタンデム押出ラミネーター装置を用い、ヒートシール層として繰り出される無延伸ポリエチレンフィルム50μm(出光石油化学(株)製;商品名ユニラックス760C)に酸素吸収層として、酸素吸収樹脂組成物Aを厚さ25μmで押出ラミネートし、酸素吸収層面をコロナ放電処理したラミネートフィルムを得た。
酸素吸収層面に厚さ15μmのガスバリア層として延伸MXD6ナイロンフィルム(三菱興人パックス(株)製;商品名ナイロンスーパーニール)及び印刷を施した厚さ12μmのPETフィルムを順次ドライラミネートし、酸素吸収多層フィルムを得た。得られた酸素吸収多層フィルムの構成は、無延伸ポリエチレン50μm/酸素吸収樹脂組成物25μm/延伸MXD6ナイロン15μm/印刷PET12μmとなる。
【0035】
外側から、外層PP/接着/ガスバリア性EVOH/接着/PP/易開封性熱可塑性樹脂層からなるガスバリアシート(出光石油化学(株)製;商品名マジックトップSE)を用い、易開封性熱可塑性樹脂層を内側として70ccの丸型カップに成形し、ガスバリア成形容器を得た。
【0036】
前記ガスバリア成形容器に、パインの入った果肉入りゼリーを充填し、作製した酸素吸収多層フィルムを蓋材として用いて容器フランジ部でヒートシールし、密封容器を得た。当該容器を90℃で、30分間の加熱処理を施した後、35℃で、2ヶ月保存し、その後、開封した。
開封時、蓋材フィルムは問題なく容易に開封でき、さらに、密封容器フランジ部分に鉄の付着がなく、外観良好であった。ゼリー、パインの色調は充填前と同様に変化がなく、風味も良好であった。
【0037】
[実施例2]
酸素吸収樹脂組成物Aのポリエチレンをエチレンープロピレンランダム共重合体((株)チッソ製;商品名F8090)に替えた他は実施例1と同様の操作により、酸素吸収樹脂組成物Bを得た。次いで、ヒートシール層として40μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(昭和電工プラスチックプロダクツ(株)製;商品名UW)にラミネートし、以下、実施例1と同様にして無延伸ポリプロピレン40μm/酸素吸収樹脂組成物25μm/延伸MXD6ナイロン15μm/印刷PET12μmからなる酸素吸収多層フィルムを得た。
【0038】
外側から、外層PP/接着/ガスバリア性EVOH/接着/PP/易開封性熱可塑性樹脂層からなるガスバリアシート(住友ベークライト(株)製;商品名スミライトCEL―R146A)を用い、易開封性熱可塑性樹脂層を内側として350ccのトレイに成形し、ガスバリア成形容器を得た。
【0039】
ガスバリア成形容器に、米140gと水80gを充填し、105℃で40分間の加熱処理を施し、炊飯米を容器内で炊飯し、前記のように作製した酸素吸収多層フィルムを蓋材として用いてヒートシールし、密封容器を得た。当該容器を、35℃で、2ヶ月保存し、その後、開封した。
開封時、蓋材フィルムは問題なく開封でき、さらに、密封容器フランジ部分に鉄の付着がなく、外観良好であった。炊飯米の色調、風味は良好であった。
【0040】
[実施例3]
実施例2に用いたガスバリア成形容器のガスバリア層をEVOHからナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製;商品名MXナイロン)と非結晶性ナイロン(三井デュポンケミカル(株)製;商品名シーラPA)の2:1のブレンド樹脂組成物に替えて使用した。当該ガスバリア成形容器に魚150gと煮汁50gを充填し、実施例2で作成した酸素吸収フィルムを蓋材に用いてヒートシールして密封し、118℃で30分の加熱調理処理を施し、煮魚の充填された密封容器を作製した。当該密封容器を35℃で2ヶ月保存し、その後、開封した。
開封時、蓋材フィルムは問題なく開封でき、さらに、密封容器フランジ部分に鉄の付着がなく、外観良好であった。煮魚の風味も良好であった。
【0041】
[比較例1]
実施例2で蓋材に用いた酸素吸収フィルムの無延伸ポリプロピレンを50μmの易開封性シールフィルム(東セロ(株)製;商品名CMPS013)に替えた、易開封剥離層のないPP/接着/EVOH/接着/PPからなるガスバリアシート(住友ベークライト(株)製;商品名スミライトCEL―R121)を使用し、実施例2と同様の試験を実施した。内容物の風味は良好に保持されたが、密封容器蓋材の酸素吸収フィルムを開封した際、うまく開封できず、蓋材に用いた酸素吸収フィルムの酸素吸収層の一部が破断して鉄粉が密封容器フランジ部に残留して付着し、外観が損なわれた。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、酸素吸収多層フィルムをガスバリア性成形容器の蓋材に用いて密封することにより、被保存物の品質を損なわずに保存できる上、当該酸素吸収性密封容器を開封する際に、スムースに開封することができ、鉄粉が容器フランジ部に残留することが防止され、外観を損なうことがない。

Claims (3)

  1. (A)ガスバリア成形容器、及び、これに物品を収納してヒートシールされた(B)蓋材からなる密封容器であって、前記した(A)ガスバリア成形容器が、容器外側から、熱可塑性樹脂からなる外層、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなる中間層及び易開封性熱可塑性樹脂層からなり、且つ、該ガスバリア性熱可塑性樹脂からなる中間層が、ナイロンMXD6と非結晶性ナイロンの混合物であって、また、(B)蓋材が、容器外側から、少なくとも、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなるガスバリア層、鉄粉系酸素吸収剤を配合した酸素吸収樹脂組成物からなる酸素吸収層及び無延伸熱可塑性樹脂からなるヒートシール層が積層された脱酸素多層フィルムからなることを特徴とする加熱殺菌処理用脱酸素性密封容器。
  2. (A)ガスバリア成形容器の易開封性樹脂層が、(ア)当該層内で樹脂が破断を起こして剥離する凝集剥離タイプである請求項1記載の容器。
  3. (A)前記ガスバリア成形容器の易開封性樹脂層が、(イ)当該層が多層構造からなり、その層間で剥離する層間剥離タイプである請求項1記載の容器。
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