JPH0952311A - 多層構造物及びそれを用いた容器 - Google Patents

多層構造物及びそれを用いた容器

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JPH0952311A
JPH0952311A JP20480795A JP20480795A JPH0952311A JP H0952311 A JPH0952311 A JP H0952311A JP 20480795 A JP20480795 A JP 20480795A JP 20480795 A JP20480795 A JP 20480795A JP H0952311 A JPH0952311 A JP H0952311A
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multilayer structure
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JP20480795A
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Masahiro Akamatsu
正広 赤松
Shinichi Sakane
新一 坂根
Hiromi Tanaka
洋美 田中
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、芳香発散、抗菌、吸水、脱酸素等
の機能を有する機能性材料を含有する多層構造物であっ
て、その機能性材料の機能の発現の開始時をコントロー
ルすることが可能であり、それらの機能を実用時に十分
に発現することが可能な多層構造物、及び、機能性材料
を含有する容器であって、機能性材料の機能の有効な発
現が可能な容器を提供する。 【解決手段】 応力により破壊することができるバリア
ー層(A)及び機能性材料層(B)を有し、バリアー層
(A)が機能性材料層(B)の機能を発現させる物質に
対して難透過性である多層構造物と、その多層構造物を
熱成形して得られる容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香剤、抗菌剤、
脱酸素剤や吸水剤等の機能性材料の機能を応力の印加に
よって発現させることを可能にし、それら機能性材料の
機能を応力印加時まで保護することのできる多層構造
物、及びその多層構造物を成形用シートとして用いて製
造される芳香、抗菌、脱酸素、吸水等の機能を有する容
器に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香剤、抗菌剤、吸水剤、脱酸素剤等を
熱可塑性樹脂フィルム等のガス透過性材料で包装したも
のが芳香材、抗菌剤、吸水材、脱酸素材として市販され
ている。また、包装用や成形用材料として、吸水剤、脱
酸素剤、芳香剤等を熱可塑性樹脂に練り込んだり熱可塑
性樹脂からなる支持層で挟んでなる芳香発散、抗菌、吸
水、脱酸素等の機能を有するシート材も用いられてい
る。これらの機能性物品や機能性シート材においては、
上記の熱可塑性樹脂等の包装材又は樹脂マトリックスや
支持層によってその機能の発現がコントロールされてい
る。
【0003】しかしながら、上記機能性物品や機能性シ
ート材においては、芳香発散、抗菌、吸水、脱酸素等の
反応がそれら物品やシート材の製造終了と同時に開始す
るため、実用に供するまでの期間によっては使用時には
すでに機能が低下してしまい、長期保管が難しいという
難点がある。
【0004】脱酸素剤入りの多層構造物としては、酸素
の吸収開始を水分の接触により開始させるものも考案さ
れているが、レトルト等の殺菌操作を行うものにのみ使
用され、その他の用途には使用することができなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、芳香発散、
抗菌、吸水、脱酸素等の機能を有する機能性材料を含有
する多層構造物であって、その機能性材料の機能の発現
の開始時をコントロールすることが可能であり、それら
の機能を実用時に十分に発現することが可能な材料を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために検討した結果、上記のような機能性材
料を応力によって破壊可能な材料で密封することによ
り、機能性材料の機能の発現を、使用時の折り曲げや熱
成形といった操作によりはじめて開始させることが可能
なことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、応力により破壊する
ことができるバリアー層(A)及び機能性材料層(B)
を有し、バリアー層(A)が機能性材料層(B)の機能
を発現させる物質に対して難透過性である多層構造物を
提供するものである。
【0008】また、本発明は、上記本発明の多層構造物
を熱成形することにより製造された容器を提供するもの
である。
【0009】
【発明の実施の形態】バリアー層(A)及び機能性材料
層(B)を有する本発明の多層構造物は、例えば、バリ
アー層(A)1層及び機能性材料層(B)1層のみから
なるもの(A/B多層構造物)であってもよいし、機能
性材料層1層をバリアー層(A)2層の間に挟んだ構造
(A/B/A多層構造物)であってもよい。また、必要
に応じ、バリアー層(A)及び機能性材料層(B)以外
の他の層を1層又はそれ以上有していてもよい。
【0010】A/B多層構造物は、このままでは機能性
材料層(B)の機能は保護されないが、保管開始直前に
熱処理等の処理を加えて機能性材料層(B)の機能を回
復させた後、機能性材料層(B)の機能を発揮させる物
質に対して難透過性のバリアー層(D)を機能性材料層
(B)上に形成することにより(A/B/D多層構造
物)、あらためて機能性材料層(B)の機能を回復及び
保護することができる。なお、保管開始直前に形成する
バリアー層(D)は、応力によって破壊可能であっても
不可能であってもよく、多層構造物の用途に応じて選択
できる。もちろん、このA/B/D多層構造物も、本発
明の多層構造物に含まれる。また、バリアー層(D)と
して応力によって破壊可能なバリアー層(A)を形成す
る場合、A/B多層構造物はA/B/A多層構造物の前
駆体となる。
【0011】また本発明の多層構造物は、必要に応じ、
機能性材料層(B)を2層以上有していてもよい。
【0012】本発明の多層構造物の他の形態としては、
応力により破壊することのできるバリアー層(A)及び
機能性材料層(B)と更に機能性材料層(C)の機能を
発現させる物質に対して透過性である透過性材料層
(C)を有し、少なくとも1層の透過性材料層(C)が
少なくとも1層のバリアー層(A)に接している多層構
造物がある。
【0013】この多層構造物は、透過性材料層(C)、
バリアー層(A)及び機能性材料層(B)の各々1層の
みの合計3層からなるものでもよく、透過性材料層
(C)及びバリアー層(A)の少なくとも一方を2層以
上有していてもよい。
【0014】この透過性材料層(C)、バリアー層
(A)及び機能性材料層(B)を有する多層構造物にお
いて、透過性材料層(C)は、(1)多層構造物に成形
能を与えるため、(2)各層間の接着性を向上させるた
め、(3)多層構造物を包装用に用いる場合、包装対象
物の包装外への漏出を防ぐため、(4)バリアー層
(A)自体またはその破壊によって包装対象物等に衛生
上等の不都合が及ぶ可能性のある場合に、バリアー層
(A)と包装対象物との直接接触を防ぐためなどの目的
で設けられる。
【0015】従って、この多層構造物の態様としては、
例えば、C/A/B多層構造物、A/C/B多層構造
物、C/A/B/A/C多層構造物、A/C/B/C/
A多層構造物、C/A/B/C/A多層構造物などがあ
る。
【0016】C/A/B多層構造物やA/C/B多層構
造物は、このままでは機能性材料層(B)の機能は保護
されないが、保管開始直前に熱処理等の処理を加えて機
能性材料層(B)の機能を回復させた後、機能性材料層
(B)の機能を発揮させる物質に対して難透過性のバリ
アー層(D)を機能性材料層(B)上に形成することに
より(C/A/B/D多層構造物又はA/C/B/D多
層構造物)、あらためて機能性材料層(B)の機能を回
復及び保護することができる。なお、保管開始直前に形
成するバリアー層(D)は、応力によって破壊可能であ
っても不可能であってもよく、多層構造物の用途に応じ
て選択できる。
【0017】もちろん、このようにバリアー層(D)を
形成して得られる多層構造物、すなわち、透過性材料層
(C)、バリアー層(A)、機能性材料層(B)及びバ
リアー層(D)を有し、機能性材料層(B)がバリアー
層(A)とバリアー層(D)との間に位置する多層構造
物も、本発明の多層構造物に含まれる。
【0018】本発明の多層構造物の他の形態としては、
例えば、透過性材料層(C)、応力により破壊すること
のできるバリアー層(A)、機能性材料層(B)及びバ
リアー層(D)を有し、機能性材料層(B)がバリアー
層(A)とバリアー層(D)との間に位置し、バリアー
層(D)が機能性材料層(B)の機能を発現させる物質
に対して難透過性である多層構造物がある。
【0019】更に本発明は、上記本発明の容器を密封し
て得られる密封容器を提供するものである。
【0020】本発明において、機能性材料層(B)とし
ては、外部からの刺激に対応して機能を発揮する層であ
れば特に制限なく用いることができる。例えば、多層構
造物の外側の外気との接触による刺激に対応して機能を
発揮する層、例えば、ガスや液体を吸収(又は吸着)あ
るいは発散(又は脱着)する機能を有する層が好適に用
いられる。ガスや液体を吸収する機能としては、脱酸素
機能、吸水機能等が挙げられる。ガスを発散する機能と
しては、芳香剤、抗菌剤、防虫・防黴剤等の薬剤ガスを
放出する機能等が挙げられる。なお、本発明において、
機能性材料層(B)の機能を発現させる物質とは、例え
ば、脱酸素機能については酸素、吸水機能については水
蒸気等の水分、芳香発散機能については芳香剤の気化
物、薬剤ガス放出機能については薬剤の気化物などが相
当する。
【0021】機能性材料層(B)の形成方法としては、
それらの機能を有する材料自体を層に形成してもよい
し、また、それらの材料、例えば、脱酸素剤や吸水剤等
を樹脂マトリックスに配合して練り込んだものを層に形
成してもよい。多層構造物を熱成形に用いる場合には、
樹脂マトリックスとして熱可塑性樹脂を用いることが好
ましい。機能性材料層(B)の機能は1種のみであって
もよいし、2種以上の機能を有していてもよい。例え
ば、機能性材料層(B)として、ガス又は水分のいずれ
かのみでなく、外気中の水分を伴ってガスを吸収する機
能を有する層も使用可能である。また、機能性材料層
(B)として、半透膜やイオン交換膜を用いてもよい。
【0022】特に、機能性材料層(B)を形成、又は機
能性材料層(B)中に配合される脱酸素剤及び吸水剤の
例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0023】脱酸素剤としては通常用いられるものであ
れば特に制限はないが、例えば、鉄粉、硫酸第一鉄、ア
スコルビン酸又はその誘導体などが好適に用いられる。
これらを樹脂に配合して練り込み、得られる混練物を用
いて層を形成することが好ましい。
【0024】吸水剤としては通常用いられるものであれ
ば特に制限はないが、例えば無水塩化カルシウム等の金
属塩などが好適に用いられる。これらの吸水剤を樹脂に
配合して練り込み、得られる混練物を用いて層を形成す
ることが好ましい。
【0025】これらの機能を有する薬剤等を練り込む樹
脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等
のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
スチレンなどの熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
【0026】機能性材料層(B)の厚みは、多層構造物
の用途に応じて異なり、一概に規定することができない
が、多層構造物を熱成形用のシートとして用いる場合に
は、通常、1〜1000μm、好ましくは10〜400
μmが好適である。
【0027】応力により破壊可能なバリアー層(A)の
材質としては、機能性材料層(B)の機能を発現させる
物質に対して難透過性であり、折り曲げ、熱成形等の応
力により破壊可能なものであれば、特に制限なく用いる
ことができる。機能性材料層(B)がガスを吸収又は発
散する機能を有する場合には、例えば、いわゆるシリカ
と呼ばれるものを含むSiOx等の無機材料、アルミニ
ウム等の金属、エチレンビニルアルコール共重合体(E
VOH)等のガス難透過性の樹脂を用いることができ
る。特にSiOxが好適に用いられる。
【0028】本発明の多層構造物に折り曲げ、熱成形等
による応力を印加することにより、バリアー層(A)が
破壊されてバリアー層(A)に亀裂が生じ、その亀裂を
通じて機能性材料層(B)の機能を発現させる物質の多
層構造物の外側と機能性材料層(B)との間の流通が可
能になり、機能性材料層(B)の機能が発現されるよう
になる。
【0029】バリアー層(A)の厚みは、バリアー層
(A)の材質や応力を印加する手段によって異なり、一
概に規定することはできないが、SiOx層の場合に
は、通常、100オングストローム〜1μm、好ましく
は300〜800オングストロームの厚みとすることが
好適である。100オングストロームよりも薄いと、バ
リアー性に劣ることがある。厚過ぎると、例えば1μm
を超えると、もろくなり、機能性材料層(B)の機能を
発現させるために応力を印加する前に破壊されてしまう
おそれがある。また、通常、1μm以上に厚くしても、
バリヤー性の向上は望めない。
【0030】バリアー層(A)の材質がアルミニウム等
の金属である場合には、通常、100オングストローム
〜200μm、好ましくは500オングストローム〜5
0μmの厚みとすることが好適である。100オングス
トローム未満では、多層構造物を製造する時点でバリア
ー層が破壊されるおそれがあり、200μmを超えても
バリヤー性の向上は望めず、かえって応力による破壊が
困難となることがある。
【0031】バリアー層(A)の材質がEVOH等の難
透過性樹脂である場合には、通常、1〜300μm、好
ましくは10〜100μmの厚みとすることが好適であ
る。1μm未満では、バリアー性が不十分となることが
あり。300μmを超えると応力による破壊が困難とな
ることがある。
【0032】透過性材料層(C)の材質としては、機能
性材料層(B)の機能を発現させる物質を透過するもの
であれば特に制限はなく、機能性材料層(B)の有する
機能に応じて、熱可塑性樹脂等の樹脂、有機膜、セロハ
ン等の半透膜、イオン交換膜、分子分離膜、不織布など
から適宜選択して用いることができる。機能性材料層
(B)がガスを吸収又は発散する機能を有し、多層構造
物を熱成形用シートとして用いる場合には、ガス透過性
を有する熱可塑性樹脂層を用いることが好ましい。本発
明において好適に用いられる熱可塑性樹脂としては、例
えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等が挙
げられる。透過性材料層(C)の厚みとしては、特に制
限はないが、通常100オングストローム〜2000μ
m、好ましくは1μm〜1000μmが適当である。
【0033】透過性材料層(C)の材料として、光透過
性の良好な材料を用い、機能性材料層(B)を機能発現
によって色の変わる構成とし、外部から機能性材料層
(B)の機能の保存状態を確認することのできる構成と
することも可能である。
【0034】また、本発明の多層構造物にC/A/Bの
層構成を含ませ、透過性材料層(C)中に機能性材料層
(B)中の機能剤と反応し、両層を透過する物質を含有
させ、その反応によってはじめて機能性材料層(B)の
機能が開始する構造としてもよい。また、透過性材料層
(C)中の成分が破壊されたバリアー層(A)を通って
機能性材料層(B)に移行し、機能性材料層(B)中の
成分と反応して色が変わる構成を用いて、バリアー層
(A)が破壊されてからの時間経過を測定できる構造と
してもよい。
【0035】バリアー層(D)の材質としては、機能性
材料層(B)の機能を発現させる物質を透過しないもの
であれば特に制限はなく、折り曲げ、熱成形等による応
力によって破壊可能であっても破壊不可能であってもよ
い。応力によって破壊可能な材質としては、先にバリア
ー層(A)について例示したものなどが挙げられる。応
力による破壊を必要としない場合には、例えば、EVO
H(エチレンビニルアルコール共重合体)やPVDC
(ポリ塩化ビニリデン)などのバリアー樹脂層を用いる
ことができる。これらの樹脂は粘弾性を有し、特に厚み
や分子量等の条件を選ばない限り、熱成形等の応力によ
ってバリアー層を破壊することは困難である。
【0036】本発明の多層構造物の各層を接着する方法
としては、例えば、樹脂層や金属箔などについてはドラ
イラミネート、熱ラミネートが、樹脂層同士の接着には
共押出等が好適であり、これらを組み合わせて用いても
よい。また、各層間に接着剤層を設けてもよい。
【0037】SiOx等の無機材料層やアルミニウムな
どの金属薄膜の積層は、スパッタリング、物理蒸着法
(PVD)、化学気相析出法(CVD)などの定法によ
り行うことができる。
【0038】具体例として、脱酸素機能を有する容器用
の多層構造物の層構成及び効率的な製造法の一例を説明
する。まず、熱可塑性樹脂層(C1)/脱酸素剤含有熱
可塑性樹脂層(B)/エチレンビニルアルコール共重合
体層(A1)/熱可塑性樹脂層(C2)からなる多層体
を、ドライラミネート、熱ラミネート、共押出などによ
り作製する。各層間には、接着剤層を設けてもよい。次
いで、この多層体の熱可塑性樹脂層(C1)上に、スパ
ッタリング、PVD、CVD法などにより、SiOx
ーティング(A2)を施す。SiOxコーティングは熱
可塑性樹脂層(C1)上のみでなく、熱可塑性樹脂層
(C2)上にも設けてもよい。このようにして脱酸素剤
を含有する機能性材料層(B)の機能が保護された多層
構造物が得られる。なお、この多層構造物を食品等の衛
生上の注意を要する物品の包装用に用いる場合には、食
品に接する側のSiOxコーティング(A2)上に、さ
らにポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン
やポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂層、例
えば熱可塑性樹脂層(C3)を設けてもよい。SiOx
コーティング(A2)を両面に設けた場合、もちろん、
その両方の上にこのような熱可塑性樹脂層を設けてもよ
い。
【0039】本発明の多層構造物は、特に、熱成形に用
いられる成形用シートとして好適に用いられる。熱成形
によれば、バリアー層(A)を均一に細かく破壊するこ
とができる。
【0040】本発明の多層構造物は、成形用シートとし
て用いる場合、特にFFS機(フォーム・フィル・シー
ル・マシン)による自動充填において威力を発揮する。
FFS機は、通常、食品会社等のエンドユーザーや充填
業者が所有し、成形材料メーカーから購入した成形用シ
ートを用いて熱成形−充填−トップシールのプロセスで
容器成形、食品等の内容物の充填、充填容器の密封が自
動的に行われ、得られる製品が商品として出荷される。
従って、抗菌、脱酸素などの機能を有する機能性材料を
含有する成形用シートを用いる場合には、その機能性材
料の機能を十分に利用するためには、FFS機による成
形等のプロセスに入るまではその機能が発現されず、F
FS機による処理によって初めて機能が発現される状態
になることが望ましい。本発明の多層構造物をその成形
用シートとして用いることにより、そのような機能の発
現の時機のコントロールが可能となる。
【0041】本発明の容器は、上記の本発明の多層構造
物を熱成形によって成形して得られる容器である。
【0042】本発明の容器の成形に用いられる多層構造
物の好ましい形態としては、例えば、上記本発明の多層
構造物のうち、少なくともバリアー層(A)2層及び機
能性材料層(B)1層を有し、機能性材料層(B)が2
層のバリアー層の間に位置する多層構造物、少なくとも
バリアー層(A)1層、バリアー層(D)1層及び機能
性材料層(B)1層を有し、機能性材料層(B)がバリ
アー層(A)とバリアー層(D)の間に位置する多層構
造物、また、上記の透過性材料層(C)を更に少なくと
も1層有する多層構造物などが挙げられる。
【0043】本発明の容器は、特に、食品などの内容物
の酸化、腐敗防止などのための抗菌、脱酸素、吸水等の
機能を有する容器としても好適に用いられる。従って、
容器成形に用いられる多層構造物としては、抗菌ガス発
生、脱酸素又は吸水機能、特に抗菌ガス発生機能を有す
る機能性材料層(B)を有するものが好適に用いられ
る。容器の成形性等の観点から、そのような機能性材料
層(B)としては、抗菌剤、脱酸素剤又は吸水剤を熱可
塑性樹脂に練り込んだ層が好適である。抗菌剤、脱酸素
剤、吸水剤等の機能剤の配合量はとしては特に制限はな
いが、例えば、脱酸素剤の場合、容器全体として容器内
容積中の酸素量より多い量の酸素を処理しうる量とする
ことが好ましい。通常、熱可塑性樹脂100重量部に対
して脱酸素剤1〜100重量部、好ましくは10〜80
重量部の範囲が適当である。
【0044】なお、本発明の容器の製造に用いられる多
層構造物は、熱可塑性樹脂層、又は熱可塑性樹脂をマト
リックス樹脂とする層を少なくとも一層有することが好
ましい。また、食品等の衛生上の注意を要する内容物を
収容するための容器においては、内容物に接する面にバ
リアー層(A)が露出しないように透過性材料層(C)
等の熱可塑性樹脂層を露出層として有する多層構造物を
用いることが好ましい。また、熱成形によって破壊され
ないバリアー層(D)を設ける場合には、機能性材料像
(B)よりもバリアー層(D)が容器外側に位置するよ
うに配置する。
【0045】熱成形の方法としては、特に制限はなく、
真空成形、圧空成形、吹き込み成形、絞り成形など、多
層構造物の構成などに応じて適宜選択することができ
る。多層構造物がアルミニウム層などの金属層を有する
場合には、プレスによる絞り成形が好適に採用される。
【0046】熱成形の条件は、多層構造物を構成する層
の材料等に応じて適宜設定する。例えば、透過性材料層
(C)及び機能性材料層(B)のマトリックス樹脂がポ
リプロピレン系樹脂の場合、通常、シート温度(成形温
度)は好ましくは100〜200℃、型温度10〜80
℃、好ましくは15〜50℃、成形時間10秒〜1分、
好ましくは15秒〜30秒とすることが好適である。
【0047】熱成形によって得られる本発明の容器にお
いては、バリアー層(A)は熱成形による応力により破
壊されており、熱成形終了時から機能性材料層(B)の
機能が発現される。
【0048】本発明の容器の形状としては、特に制限は
なく、円形や矩形の開口部を有するトレー状など、任意
の形状とすることができる。本発明の容器は、通常、密
封した状態で使用することにより機能が十分に発揮され
る。例えば、容器の開口部周縁にフランジ、リブなどを
設けて平端部を形成することにより、蓋材のヒートシー
ルなどによる密封が容易となる。容器の密封をヒートシ
ールによって行う場合には、容器の最内層が熱可塑性樹
脂層となるような層構成を有する多層構造物を用いるこ
とが好ましい。
【0049】容器の密封は、容器の開口部をたたみ合わ
せて容器の内層同士をヒートシール、接着剤による接着
などにより接着させる方法によってもよいし、蓋材によ
る容器開口部の密封でもよい。
【0050】蓋材の材質、形状及び構成としては、容器
を密封できるものであれば特に制限はない。単層構造の
ものでも多層構造のものでもよい。容器の機能性材料層
(B)の機能を十分に発揮させるためには、蓋材として
機能性材料層(B)の機能を発現させる物質に対して難
透過性のものを用いることが好ましく、例えば、少なく
ともアルミニウム層などの金属層を有する構造のものを
用いることが好ましい。例えば、密封を蓋材のヒートシ
ールによって行う場合には、容器の内層の材質とヒート
シール性の良好な材質からなる層と金属層とを有する多
層蓋材を用いることが好ましい。その際、容器の内層が
熱可塑性樹脂層である場合、蓋材としてヒートシール層
としての熱可塑性樹脂層とアルミニウムなどの金属層の
少なくとも2層からなる多層蓋材を用いることが好まし
い。
【0051】
【実施例】以下、本発明の実施例及びその比較例によっ
て本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。
【0052】実施例1 ポリプロピレン(PP)シート、芳香剤をポリエチレン
に練り込んだ樹脂組成物からなるシート、エチレンビニ
ルアルコール共重合体(EVOH)シート及びポリプロ
ピレン(PP)シートを接着剤を用いるドライラミネー
ト法により積層し、透過性材料層(PP−C1層、厚み
10μm)/接着剤/芳香剤層(B層、厚み100μ
m)/バリアー層(EVOH−A1層、厚み20μm)
/接着剤/透過性材料層(PP−C2層、厚み800μ
m)からなる多層シートを作製した。
【0053】ポリプロピレンとしては、出光石油化学
(株)製の出光ポリプロ(商品名)を、ポリエチレンと
しては、出光石油化学(株)製の出光ポリエチレン(商
品名)を、EVOHとしては、(株)クラレ製のエバー
ルEP−F(商品名)を、接着剤としてはエチレン酢酸
ビニル共重合体(EVA)を用いた。芳香剤としては、
多孔質シリカ粉末にヒノキチオールを50重量%担持さ
せたものを用い、ポリエチレンに1重量%練り込んで芳
香剤層とした。
【0054】上記多層シート製造後、半日以内に多層シ
ートの両面にプラズマCVD法によって厚み500オン
グストロームのSiOxコート(SiOx−A2、A3
層)を施し、(SiOx−A2層)/(PP−C1層)
/接着剤/(B層)/(EVOH−A1層)/接着剤/
(PP−C2層)/(SiOx−A3層)からなる多層
構造物を作製した。
【0055】得られた多層構造物を30℃、70%RH
の環境下で1年間放置した後、シート温度(成形温度)
150℃、型温度40℃、成形時間0.5分の条件で真
空圧空法によってA2層を内側として熱成形し、開口部
径80mmφ、深さ50mmの容器に成形し、水を容器
内容積の10%程度充填した後、アルミニウムを蒸着し
たポリプロピレンフィルムからなる蓋材でヒートシール
し、密封容器を作製した。
【0056】密封容器作製後1週間後、蓋材を剥がし
て、下記の検査方法により、ヒノキチオールの臭いの官
能検査を行った。
【0057】比較例1 実施例1で製造した(PP−C1層)/接着剤/(B
層)/(EVOH−A1層)/接着剤/(PP−C2
層)多層シートを、SiOxコーティングを施さないま
ま1年間30℃、70%RHの環境下で放置した後、実
施例1と同じ条件で容器成形及びヒートシールを行い、
密封容器を作製した。
【0058】密封容器作製後1週間後、蓋材を剥がし、
実施例1と同様に下記の臭気官能検査に供した。
【0059】参照例 実施例1で用いたと同じPPシートからなる単層シート
をSiOxコーティングを施さないまま1年間30℃、
70%RHの環境下で放置した後、実施例1と同じ条件
で容器成形及びヒートシールを行い、密封容器を作製し
た。
【0060】密封容器作製後1週間後、蓋材を剥がし、
実施例1、比較例1における官能検査のブランクテスト
用として用いた。
【0061】官能検査実施要領 A〜Jまでの10人のパネラーにより、上記の実施例1
及び比較例1の蓋材を剥がした容器と、ブランクテスト
用容器との比較臭気検査を行った。結果を表1に示す。
官能検査における評価としては、ブランクテスト用容器
の臭気と比較して、「非常に臭う」を5、「かなり臭
う」を4、「臭う」を3、「かすかに臭う」を2、「差
がない」を1とする5段階評価とした。
【0062】官能検査の結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】本発明により、芳香発散、抗菌、吸水、
脱酸素等の機能を有する機能性材料を含有する多層構造
物であって、機能性材料の機能の発現を、使用時の折り
曲げや熱成形といった操作によりはじめて開始させるこ
とが可能な多層構造物を得ることができる。本発明の多
層構造物を、包装用シートや容器成形用シートとして用
いる場合、機能性材料の機能が使用時又は成形時まで保
護されるため、材料シートとしての長期保管も可能であ
り、また、機能性材料の機能を実用時に十分に発揮させ
ることが可能である。この多層構造物を熱成形して得ら
れる本発明の密封容器は、熱成形によって初めて機能性
材料の機能の発現が開始されるため、特にFFS機によ
る食品等の自動充填密封プロセスに好適に用いられ、製
品完成後、その機能を十分に発揮することができる。例
えば、機能性材料として抗菌剤や脱酸素機能性材料を用
いた場合には、食品などの容器内容物の酸化、腐敗を効
果的に防止することが可能となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 応力により破壊することができるバリア
    ー層(A)及び機能性材料層(B)を有し、バリアー層
    (A)が機能性材料層(B)の機能を発現させる物質に
    対して難透過性である多層構造物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の多層構造物を熱成形する
    ことにより製造された容器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004210392A (ja) * 2003-01-09 2004-07-29 Toppan Printing Co Ltd 湿分吸収包装容器
KR20210116499A (ko) 2019-01-23 2021-09-27 이데미쓰 유니테크 가부시키가이샤 내용물들이 용기의 제조 장치, 제조 방법 및 용기

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Effective date: 20031224