JP2004184979A - 画像表示装置 - Google Patents

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眞誠 一色
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慎哉 田原
Toshihiko Suzuki
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Abstract

【課題】 使用しないときは透明で開放感があり、使用時には背後の景色とスクリーン上の画像とを同時に見ることができたり、空間に透明な画像が浮いているような印象を与えたり、立体的な表示も可能な透明感のある表示を行うことができる画像表示装置を提供する。
【解決の手段】 光線透過状態と光線散乱状態とをとることができる液晶層が透明な一対の電極付基板間に挟持されてなるスクリーンと、画像を前記スクリーンに投射する画像投射装置とが備えられた画像表示装置において、光線透過状態と光線散乱状態との組みの繰り返しの最小単位よりなるフレームが所定の関係を満たすようにする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ガラスのような透明体をスクリーンとして、プロジェクターから投射した画像をそのスクリーンに表示する画像表示に関する。
CRT、PDP、液晶表示装置など現行の表示装置については、表示部の薄型化やフラット化が急速に進められてきている。
しかしながら、表示部自体は透明でないため、使用していないときはもちろん使用時も、その存在自体が目障りになったり、圧迫感を与える場合があった。このため、透明体で開放感があって、表示部の背景側を見ることができるものが望まれている。
その一つの対応手段として、たとえば自動車用のヘッドアップディスプレイという表示装置がある。これは、フロントガラスに配置されたハーフミラーまたはホログラムにより、画像投射装置から投射した画像を反射させ、フロントガラス上に画像があるように見せる方法である。この方法は、非表示の時に表示部であるハーフミラーまたはホログラムが完全な透明ではなく、その存在が目視され目障りである。
また、ショーウインドーなどの店頭を演出するホログラムスクリーンを用いたディスプレイシステムなどがある。これは、プロジェクターから特定角度でホログラムスクリーンに入射された光に対して、ホログラムスクリーンが散乱することにより画像を表示するものである。この方法では、特定角度以外から入射される光に対しては光を散乱しないので、コントラストの高い表示を実現することが可能である。しかしながら、本方式は散乱特性に角度依存性があるため視野角が狭く、斜めから見た場合には画像を見ることができない。
また、実開平04−114088には、透明体として1枚のスクリーンを使用し、スクリーンを光線透過状態と光線散乱状態とに切り替えることによる画像表示装置が開示されている。この装置では、スクリーンに画像を表示している間はスクリーンが不透明であり、背景の中に画像が存在する状態を実現することはできない。
これに対し、特開平05−191726には、背景の中に画像が存在する状態を実現する技術が開示されている。これは、画像のある部分のみ散乱させてスクリーンとして利用する方法であるが、画像がある場合に画像の後ろにある背景を見ることはできない。また、複数のスクリーンを使用する技術については開示がない。
複数のスクリーンを使用する技術は、特開平05−307185に開示されている。この発明では、背景を画像観察者が見ることができるようにするという発想は全く示されていない。
さらに、特開2002−139700には、複数の液晶セルからなるスクリーンに立体画像を描く技術が開示されている。この発明でも、背景を画像観察者が見ることができるようにするという発想は全く示されていない。
実開平04−114088号公報(要約、図1) 特開平05−191726号公報(段落番号0010、第1図) 特開平05−307185号公報(段落番号0020、0021、図4、5) 特開2002−139700号公報(段落番号0019〜0021、図1、2)
本発明は、使用しないときは透明で、その存在自体が目障りになったり、圧迫感を与えることが少なく、開放感があり、使用時には背後の景色とスクリーン上の画像とを同時に見ることが可能な透明感のある表示を行うことができる新規な技術を提供することを目的とする。
また、あたかも空間に透明な画像が浮いているような印象を与える画像や奥行き感のある立体的な表示を実現する新規な技術を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の態様1は、光線透過状態と光線散乱状態とをとることができる液晶層が透明な一対の電極付基板間に挟持されてなるスクリーンと、画像を前記スクリーンに投射する画像投射装置とが備えられた画像表示装置において、透明電極間に電圧が印加された場合には液晶層が光線散乱状態にせしめられ、透明電極間に電圧が印加されない場合には液晶層が光線透過状態にせしめられ、少なくとも一つのスクリーンが画像投射装置に対して配置され、液晶層が光線散乱状態をとる場合に、画像投射装置から投射された投射画像が液晶層に結像されて表示を視認できるようにされ、前記スクリーンの液晶層の光線透過状態と光線散乱状態との組みの繰り返しの最小単位よりなるフレームの繰り返し頻度を、観察者が前記スクリーン上の投射画像のちらつきを感じない範囲に設定でき、1フレーム内で、少なくともいずれか一つのスクリーンの液晶層が光線散乱状態にある時間の合計T1と、すべてのスクリーンの液晶層が光線透過状態である時間T2との割合を、観察者が、前記スクリーン上の投射画像とすべてのスクリーンの背景にある景色とを同時に認識できるように設定された画像表示装置である。
態様2は、前記スクリーンが複数配置され、複数のスクリーンの表示面が重なるように配置され、それぞれのスクリーンの液晶層が光線散乱状態にある場合には、画像投射装置から投射される投射画像がそれぞれのスクリーン上で表示できるようにされ、それぞれのスクリーンで異なる表示ができるようにされてなる態様1に記載の画像投射装置である。
態様3は、フレームの繰り返し頻度を33Hz以上に設定でき、T1とT2との割合を、K=T1/(T1+T2)≦0.8を満足するように設定された態様1または2に記載の画像投射装置である。
態様4は、光線透過状態と光線散乱状態とをとることができる液晶層が透明な一対の電極付基板間に挟持されてなるスクリーンと、画像を前記スクリーンに投射する画像投射装置とが備えられた画像表示装置において、透明電極間に電圧が印加された場合には液晶層が光線散乱状態にせしめられ、透明電極間に電圧が印加されない場合には液晶層が光線透過状態にせしめられ、少なくとも一つのスクリーンが画像投射装置に対して配置され、液晶層は液晶とメソゲン構造部を有する硬化樹脂とを含み、液晶分子の配向プレチルト角が基板表面に対して60°以上とされ、液晶層が光線散乱状態をとる場合に、画像投射装置から投射された投射画像が液晶層に結像されて表示を視認できるようにされてなる画像表示装置である。
態様5は、フレームの繰り返し頻度を33Hz以上に設定してなる態様4に記載の画像表示装置である。
態様6は、スクリーンが2以上配置され、いずれかのスクリーンの液晶層の光線透過状態から光線散乱状態への切り替わりの際の立上り時間と、他のいずれかのスクリーンの液晶層の光線散乱状態から光線透過状態への切り替わりの際の立下り時間とが、連続的に各スクリーンを動作せしめる際に、時間的に重複するようにした態様1、2、3、4または5に記載の画像表示装置である。
態様7は、スクリーンが複数配置され、隣接して配置された二つのスクリーンの面間距離が0.4〜200mmであり、いずれか二つのスクリーン上に投射される投射画像の輝度を、互いに異なるようにした態様1〜6のいずれか1項に記載の画像表示装置である。
態様8は、液晶層の液晶と硬化樹脂とが、光重合硬化法によって形成されてなる態様1〜7のいずれかに記載の画像表示装置である。
態様9は、スクリーンの背後に、計器、情報端末またはミラーを置いて用いる、態様1〜8のいずれかに記載の画像表示装置である。
態様10は、スクリーンの周辺部の主要部が透明である、態様1〜9のいずれかに記載の画像表示装置である。
態様11は、外部回路との接続部以外が透明である、態様10に記載の画像表示装置である。
態様12は、電圧無印加時のスクリーンの透過率が80%以上である態様1〜11のいずれかに記載の画像表示装置を提供する。
本発明によれば、使用しないときは透明で、その存在自体が目障りになったり、圧迫感を与えることが少なく、開放感があり、使用時には背後の景色とスクリーン上の画像とを同時に見ることが可能な透明感のある表示を行うことができる。
また、あたかも空間に透明な画像が浮いているような印象を与える画像を実現することができる。
場合によっては、奥行き感のある立体的な表示も可能である。
以下に、本発明の実施の形態を図,実施例等を使用して説明する。なお、これらの図,実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。図中、同一の要素については同一の符号を付した。
本発明に用いるスクリーンは、液晶層が光線透過状態と光線散乱状態とを繰り返しとることができるようになしたものである。なお、光線透過状態と光線散乱状態とは、可視光に対し適用される状態である。光線透過状態としては、スクリーンで画像を見ていない場合にはスクリーンが透明で開放感を与え、スクリーンで画像を見ている場合には、スクリーンの背景側を見ることができる透明感を与えるように、光線透過率が高い方が好ましい。しかし、上記開放感や透明感の要求程度に応じて適宜選択することができる。また、光線散乱状態としては、特に制限はないが、画像をスクリーンに投影している場合に、スクリーンの裏側、すなわちスクリーンの画像投影側に対して裏側、からその画像を観察するためには、前方散乱の割合が高い方が好ましく、スクリーンの画像投影側からその画像を観察するためには、後方散乱の割合が高い方が好ましい。
この光線透過状態と光線散乱状態との切り替えは、スクリーンが、液晶層と、液晶層を挟持する透明な一対の電極付き基板とを備え、たとえば、透明電極間に電圧を印加した時には液晶層が光線散乱状態をとり、透明電極間の電圧印加を停止した時には液晶層が光線透過状態をとるようになすことによって実現することができる。
液晶層としては液晶と硬化樹脂とよりなる複合体を使用することができる。液晶と硬化樹脂とよりなる液晶層は、透明な一対の電極付き基板に液晶と硬化性化合物とを含有する組成物を挟持し、熱や紫外線、電子線などの手段を用いてこの硬化性化合物を硬化させて、液晶/硬化樹脂複合体層として形成できる。
本発明に係る硬化樹脂としては、透明性を持ち、本発明の趣旨に反しない限り、公知のどのようなものでもよいが、電圧を印加した場合に実質的に液晶のみが応答するように液晶と硬化樹脂とが分離した構造を持つことが、高速応答性を有する液晶層を実現する上で好ましい。
このような構造を持つ硬化樹脂を形成するための硬化性化合物としては、液晶に溶解可能な硬化性化合物を選択することで、未硬化時の混合物の配向状態を制御可能となり、硬化樹脂を硬化する際に高い透明性を保持することが可能となる。なお、本発明において、画像には文字情報も含まれることはいうまでもない。さらに、時間的に表示内容が変更される画像、コマ飛ばしのような動画、通常の動画等が含まれる。
さらに、基板が液晶層と接触する側には液晶分子のプレチルト角が、基板表面に対して60度以上であるようにする処理が施されていると配向欠陥を少なくすることができ、透明性が向上するため好ましい。この際、ラビング処理はされていてもされていなくてもよい。プレチルト角は70度以上であることがより好ましい。なお、このプレチルト角は、基板表面に垂直の方向を90度として規定したものである。
硬化性化合物としては、式(1)の化合物や式(2)の化合物を例示できる。
1−O−(R1m−O−Z−O−(R2nO−A2・・・式(1)
3−(OR3o−O−Z’−O−(R4O)p−A4・・・式(2)
ここで、A1,A2,A3,A4は、それぞれ独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、グリシジル基またはアリル基であり、R1,R2,R3,R4は、それぞれ独立に、炭素数2〜6のアルキレン基であり、Z,Z’は、それぞれ独立に、2価のメソゲン構造部であり、m,n,o,pは、それぞれ独立に、1〜10の整数である。
式(1),(2)のメソゲン構造部Z,Z’と硬化部位A1,A2,A3,A4との間に、R1,R2,R3,R4を含む分子運動性の高いオキシアルキレン構造を導入することで、硬化に際して、硬化過程における硬化部位の分子運動性を向上でき、短時間で十分な硬化が可能となる。
式(1),(2)の硬化部位A1,A2,A3,A4としては、光硬化や熱硬化が可能な上記の官能基であればいずれでもよいが、なかでも、硬化時の温度を制御できることから光硬化に適するアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
式(1),(2)のR1,R2,R3およびR4の炭素数については、その分子運動性の観点から1〜6が好ましく、炭素数2のエチレン基および炭素数3のプロピレン基がさらに好ましい。
式(1),(2)のメソゲン構造部Z,Z’としては、1,4−フェニレン基の連結したポリフェニレン基を例示できる。この1,4−フェニレン基の一部または全部を1,4−シクロへキシレン基で置換したものであってもよい。また、これら1,4−フェニレン基や置換した1,4−シクロへキシレン基の水素原子の一部または全部が、炭素数1〜2のアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基などの置換基で置換されていてもよい。
好ましいメソゲン構造部Z,Z’としては、1,4−フェニレン基が2個連結したビフェニレン基(以下、1,4−フェニレン基が2個連結したビフェニレン基を4,4−ビフェニレン基ともいう。)、3個連結したターフェニレン基、およびこれらの水素原子の1〜4個が炭素数1〜2のアルキル基、フッ素原子、塩素原子もしくはカルボキシル基に置換されたものを挙げることができる。最も好ましいものは、置換基を有しない4,4−ビフェニレン基である。メソゲン構造部を構成する1,4−フェニレン基または1,4−シクロへキシレン基同士の結合は全て単結合でもよいし、以下に示すいずれかの結合でもよい。
Figure 2004184979
式(1),(2)のm,n,o,pは、それぞれ独立に、1〜10であることが好ましく、1〜4が更に好ましい。あまり大きいと液晶との相溶性が低下し、硬化後のスクリーンの透明性を低下させるからである。
図1には、本発明に使用できる硬化性化合物の例を示してある。液晶と硬化性化合物とを含有する組成物には、上記式(1),(2)で表される硬化性化合物を含め、複数の硬化性化合物を含有していてもよい。たとえば、この組成物に、式(1),(2)で、m,n,o,pの異なる複数の硬化性化合物を含有させると、液晶との相溶性を向上させることができる場合がある。
液晶と硬化性化合物とを含有する組成物は硬化触媒を含有していてもよい。光硬化の場合、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系などの一般に光硬化に用いられる光重合開始剤を使用できる。熱硬化の場合は、硬化部位の種類に応じて、パーオキサイド系、チオール系、アミン系、酸無水物系などの硬化触媒を使用でき、また、必要に応じてアミン類などの硬化助剤も使用できる。
硬化触媒の含有量は、含有する硬化性化合物の20重量%以下が好ましく、硬化後に硬化樹脂の高い分子量や高い比抵抗が要求される場合は1〜10重量%とすることが更に好ましい。
液晶分子を、基板表面に対してプレチルト角が60度以上になるように配向させる処理方法としては、垂直配向剤を用いる方法がある。垂直配向剤は、たとえば界面活性剤を用いる方法や、アルキル基やフルオロアルキル基を含むシランカップリング剤などで基板表面を処理する方法、または日産化学工業社製のSE1211やJSR社製のJALS−682−R3等の市販の垂直配向剤を用いる方法がある。垂直配向状態から任意の方向に液晶分子が倒れた状態を作るためには、公知のどのような方法を採用してもよい。垂直配向剤をラビングしてもよい。また、電圧が基板に対して斜めに印加されるように、電極にスリットを設け、あるいは電極上に三角柱を配置する方法を採用してもよい。
本発明に係る液晶としては、公知の液晶から適宜選択できるが、誘電率異方性が負のものを用いるのが好ましい。また駆動電圧を低下させるためには誘電率異方性が大きい方が好ましい。
スクリーンに用いる基板としては、透明性が確保できればどのような公知のものを使用することもできる。ガラス基板を使用できる。プラスチックやフイルムでもよい。また、スクリーン面は平面状である必要はなく、曲げた形状のスクリーンでもよい。
基板上に設ける電極としてはITO(酸化インジウム−酸化スズ)のような金属酸化物の透明電極材料を使用できる。
一対の配向処理済み基板の配向方向の組み合わせとしては、平行、直交のいずれでもよく適当な角度で配置すればよい。電極付き基板の電極表面上に樹脂薄膜を設け、これをラビングするなどして、電極表面の液晶を配向させる公知の機能を付与することもできる。
二つの基板間にある液晶層の厚さは、スペーサー等で規定することができる。その間隔は1〜50μmが好ましく、3〜30μmがさらに好ましい。液晶層の厚さが狭すぎるとコントラストが低下し、大きすぎると駆動電圧が上昇する傾向が増大するため好ましくない場合が多い。
図2には、このような構造を有するスクリーンの一例の模式的断面図を示している。図2において、一対のガラス基板21,22の相対する面には、透明電極23,24が設けられる。さらに内側には配向膜25,26が設けられている。この配向膜25,26は存在しない場合もある。そして、この配向膜25,26の間に、図示されていないスペーサーにより厚みを規定した液晶層27が挟持される。
一般に液晶による散乱・透過モードでは、電極間に電圧が印加されると光線透過状態をとり、電圧印加を停止した時には光線散乱状態をとるように構成する。あるいは電圧印加時には光線散乱状態をとり、電圧印加を停止した時には光線透過状態をとるように構成することが可能である。本発明の場合、電源をオフにして、画像表示装置を使用しないときは透明で、スクリーンの存在自体が目障りになったり、圧迫感を与えることが少なく、開放感があるスクリーンを実現するためには、後者の条件が好ましい。このため、本明細書においては、主に、電圧印加時には光線散乱状態をとり、電圧印加を停止した時には光線透過状態をとるように構成したスクリーン構造について説明してある。しかし、本発明においては、その逆の状態をとる液晶層を使用することもできる。
上記のようにして作製されたスクリーンの液晶層は、光線透過状態と光線散乱状態との間の応答速度も3ms以下と非常に速くできる場合が多い。また、従来の散乱透過モードと比べると、斜めから見たときにも非常に良好な透過状態を得ることができるようにすることができる。たとえば、上記に例示した組成の熱硬化性組成物を使用した場合、垂直から40度傾けて見た場合もほとんどヘイズがないようにすることが可能である。すなわち、光線透過状態の視野角依存性が良好であり、ガラスのように見えるようにすることができる。
画像投射装置としては、市販のプロジェクター等を使用することができる。たとえば、エプソン社製のプロジェクター(型番:ELP−50)を例示することができる。また、通常のネマチック液晶を使用した液晶プロジェクター、テキサスインスツルメント社製のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いたプロジェクター、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)や強誘電性液晶を用いたプロジェクターを使用できる。静止画の場合はスライドプロジェクターでもよい。
画像投射装置の簡単な基本構成を図20に例示する。この構成はランプ系33、画像表示系34、投射レンズ系35の三つから成り立っている。ランプ系33は、均一な平行光源であることが好ましく、インテグレーターを組み合わせてもよい。また、画像表示系34が液晶等の偏光を利用する場合は、偏光変換素子を用い直線偏光に揃えてもよい。画像表示系34には、液晶パネルやDMDやLCOSなどがある。フルカラーを実現するためには、光源を3原色に分離し3枚の液晶パネルで表示する方法、カラーフィルターを持った1枚の液晶パネルを用いる方法、光源の色を順次切り替えていくフィールドシーケンシャルカラー方式などもある。投射レンズ系35は、スクリーンのサイズと画像投射装置とスクリーンとの距離に合わせてレンズを最適化すればよい。
全体の構成を小さくした方が場所をとらないので好ましい。たとえばコンパクトな設計を施したミニプロジェクターとすることが好ましい。ミニプロジェクターとすることにより広い場所を必要としなくなるので、車載用(インパネ、カーナビ、オーディオなど)、オフィス用(レジスターなど)、アミューズメント用(パチンコ、パチスロ、ゲーム機など)等において使い勝手が良くなる。
プロジェクターの光源としては、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプやLED光源などを使用できる。また、カラー画像を投射したい場合には、フィールドシーケンシャルカラー方式を用いてもよい。画像投射装置としては、プロジェクター以外にレーザー描画装置を用いてもよい。
画像投射装置は、スクリーンの液晶層が光線散乱状態の時にのみ投射するように設定した方が、スクリーンを透過した投射光が、画像観察者側に抜けてくることがなく、好ましい。なお、本発明に係るスクリーンは複数存在する場合もある。そのような場合を含めて言えば、画像投射装置が、光線散乱状態にあるスクリーンに画像を投射するようになっており、全てのスクリーンの液晶層が光線透過状態にある時が存在する場合には画像を投射しないようになっていることが好ましい。全てのスクリーンの液晶層が光線透過状態にある場合に画像を投射しないようになっていれば、スクリーンを透過した投射光が画像観察者側に抜けてくることがなく、また、画像投射装置が、光線散乱状態にあるスクリーンに画像を投射するようになっていれば、スクリーンの液晶層の光線散乱状態と画像の投射とのタイミングをうまく同期できるからである。
全てのスクリーンの液晶層が光線透過状態をとる時間帯は重複して存在することが好ましい。背後の景色とスクリーン上の画像とを同時に見ることが可能となるからである。ここで、本発明において「背後の景色とスクリーン上の画像を同時に見ることが可能」とは、画像そのものを透かして背後の景色を見ることができることと、スクリーン上の画像を見る際にスクリーン上で画像の投射されない部分については背後の景色を見ることができることとの両者またはそのいずれかを意味する。前者の場合は、背後の景色とスクリーン上の画像とを重ねて同時に見るという印象を与えることができる。また、後者の場合は、画像が空中に浮かんだような印象を与えることができる。
このように画像投射装置の投射を設定する方法の一つを図3を使用して説明する。図3では、スクリーン1が画像投射装置2と画像観察者4との間にある。この場合、シャッター3を画像投射装置2とスクリーン1との間に配置し、スクリーンの液晶層が光線散乱状態の時にのみシャッター3を光を通過させる状態にすれば、画像投射装置から投射される画像は、スクリーンの液晶層が光線散乱状態の時にのみスクリーンに投射することになる。すなわち、シャッターにおける光の通過と遮断とのタイミングを、スクリーンの液晶層が光線透過状態と光線散乱状態とをとる駆動タイミングに同期させればよい。このようにすると、画像観察者4は、光線透過状態では背後の景色5を見ることができ、光線散乱状態では、スクリーン1上の画像を見ることができるが、光線透過状態と光線散乱状態とが切り替わる結果、合成された残像として、背後の景色5とスクリーン1上の画像とを同時に見ることが可能となる。なお、図中、目隠し板6は、画像投射装置が直接画像観察者の視野に入らないようにするために設置されている。
光線透過状態と光線散乱状態との切り替えの繰り返し頻度はスクリーン上の画像のちらつきに関与する。すなわち、観察者が画像のちらつきを感じないようにするにはこの繰り返し頻度を大きくすることが有効である。
また、光線透過状態と光線散乱状態との時間的割合は、背後の景色とスクリーン上の画像とのどちらをより見やすくするかの割合に関与する。すなわち、光線透過状態の時間的割合が大きいと、背後の景色は明確に見えるが、スクリーン上の画像がみえないか見えにくい状態となる。そして、光線透過状態の時間的割合を次第に小さくしていくと、最初はスクリーン上の画像がぼおーっと見えだし、次第に明確に見えるようになる。これとともに、背後の景色は、最初明確に見えていたものがぼおーっと見えるようになり、最後には見えなくなる。
そこで、スクリーンの液晶層が光線散乱状態にある時間と光線透過状態である時間との割合を適切に設定することにより、画像観察者が、スクリーン上の画像とスクリーンの背景にある景色とを同時に認識できるようにできる。複数のスクリーンを使用する場合を含めて言えば、1フレーム内で少なくともいずれか一つのスクリーンが光線散乱状態にある時間の合計と全てのスクリーンの液晶層が光線透過状態である時間との割合を、画像観察者が、スクリーン上の画像とスクリーンの背景にある景色とを同時に認識できるように設定できるのである。なお、スクリーン上の画像は明確に見えるが、背後の景色が見えにくくなるような場合には、投射映像の輝度を変更することが有効である。
シャッターは、画像投射装置とスクリーンとの間に配置されればよく、画像投射装置に付設してあってもよく、画像投射装置の一部をなしていてもよい。
シャッターには、高速応答性が要求される。このような目的には、一般的な機械的なシャッター以外にも、液晶シャッター等も使用できる。たとえば、強誘電性液晶シャッターや、透過散乱タイプの液晶モードを利用したシャッターを用いてもよい。シャッターとして偏光板を用いる場合は、プロジェクターの画像投射装置から出てくる光の偏光を、シャッターの入光側偏光板の透過軸に揃えておけば、光の利用効率が高くなり、好ましい。なお、シャッターを使用せず、画像投射装置からの画像の投射タイミングを、スクリーンの液晶層が光線透過状態と光線散乱状態とをとる駆動タイミングと直接同期させてもよい。液晶プロジェクターやDMDプロジェクターの場合、シャッターの代わりに光源をオンオフしてもよい。この場合の光源としては高速スイッチング可能なLEDを使用してもよい。
入射光に対し、スクリーンの液晶層が光線透過状態と光線散乱状態とをとる駆動タイミングについて図4を参照して説明する。図4において、たとえば、スクリーンの電極間に電圧を印加して液晶層に電界を付与し、光線透過状態から光線散乱状態に変化させ、それと同期させて画像投射装置からの画像を投射させる。また、スクリーンの電極間の電圧印加を停止し、液晶層の電界を除去し、スクリーンの液晶層を光線散乱状態から光線透過状態に変化させ、それと同期させて画像投射装置からの投射をオフとする。この操作を繰り返すことによりスクリーンの液晶層が光線散乱状態の時にのみ画像が投射され、画像観察者はスクリーンで散乱された画像を見ることができる。
従って、以上の光線透過状態と光線散乱状態とを繰り返すことにより、画像観察者は、スクリーン上の画像とスクリーンの背後の景色との二つの状態を同時に認識することが可能となるのである。
スクリーンが十分な散乱性を持つとき、光は全ての方向に散乱されるので、画像観察者は、スクリーンに対し、画像投射装置側、画像投射装置とは反対の側およびそれらの側についての斜め方向等の様々な方向から見ることができる。ただし、本発明に係る液晶層を使用する場合、光線の後方散乱の割合(スクリーンに対し、画像投射装置側に散乱する光線の割合)は前方散乱の割合(スクリーンに対し、画像投射装置とは反対の側に散乱する光線の割合)に比べ低いことが多いので、スクリーンに対して画像投射装置が画像観察者とは反対側に配置されることが好ましい。
本発明に係る画像表示装置においては、光線透過状態と光線散乱状態との組みの繰り返しの最小単位よりなるフレームの繰り返し頻度を、画像観察者がスクリーン上の画像のちらつき(フリッカー)を感じない範囲内に設定でき、1フレーム内で、少なくともいずれか一つのスクリーンの液晶層が光線散乱状態にある時間の合計T1と全てのスクリーンの液晶層が光線透過状態である時間T2との割合を、画像観察者が、スクリーン上の画像とスクリーンの背景にある景色とを同時に認識できるように設定し得ることが必要である。
1フレームの間にスクリーンの液晶層の光線散乱状態と光線透過状態とがあり、光線散乱状態のスクリーン上に画像を投射すると、画像観察者にとっては、画像を見る時間T1とスクリーンの背後の景色を見る時間T2とが存在することとなるが、このような条件を設定すると、画像のちらつきを気にすることもなく画像と背後の景色とを同時に見られるようにすることができるからである。
一般的に、1フレームの繰り返し頻度が30Hz以上であれば、残像作用により画像のちらつきが気にならなくなる。1フレームの繰り返し頻度は50Hz以上であれば全くフリッカーを気にならなくなるので好ましい。70Hz以上であれば更に好ましい。上限については特に制限はないが、1kHzを超えると、スクリーンが応答し切れず、また消費電流量が多くなるので1kHz以下が好ましい。
なお、ここで「フレーム」は、光線透過状態と光線散乱状態との組みの繰り返しの最小単位よりなり、図4の場合は、T1とT2との合計である。
本発明に係るスクリーンは複数存在する場合もある。スクリーンが複数存在する場合、1フレーム内で、少なくともいずれか一つのスクリーンの液晶層が光線散乱状態にある時間の合計T1と全てのスクリーンの液晶層が光線透過状態である時間T2とが、T1/(T1+T2)≦0.8を満足することが重要である。T1/(T1+T2)≦0.8であれば、スクリーンの背後の景色を同時に見ることができるからである。T1/(T1+T2)の下限については特に制限がないが、あまり短いと、スクリーンに投射された画像を見難くなる場合がある。サブリミナルな画像を利用する場合以外は、0.01<T1/(T1+T2)であることが好ましい場合が多い。
1/(T1+T2)の比率は、スクリーンに投射された画像を見ることを優先するか、スクリーンの背後の景色を見ることを優先するかによって変わる。たとえば、車載用のヘッドアップディスプレイのような用途であれば、スクリーンの背後の景色を見ることが優先されるので、透明性が増加して背後の景色をより見やすくする条件であるT1/(T1+T2)<0.5が好ましい。また、比率は状況によって変化させてもよい。たとえば車が停止している時は、T1/(T1+T2)=0.7に設定し、車が動いているときはT1/(T1+T2)=0.3とすることも有用である場合がある。画像投射装置からの光量が大きい場合、T1/(T1+T2)=0.1としてもよい。この場合、スクリーンが散乱状態にある時間は短くなるが、光量が大きいので、観察者は画像を認識することができ、かつ背後の景色もほぼ通常のように見えるので、画像が空間に浮いているように見える。
光線透過状態と光線散乱状態とを繰り返しとることができるスクリーンが複数ある場合、これらを重ね合わせて使用することが好ましい。重ね合わせの程度やスクリーン間の距離は、用途に応じて任意に選択することができる。たとえば、空間内を、画像観察者から見て奥行き方向に大きく移動させる印象を与えたい場合は、スクリーン間の距離を大きくとることが好ましい。
この場合にスクリーンの液晶層が光線透過状態と光線散乱状態とをとる駆動タイミングを図5,6を用いて説明する。スクリーンが3以上ある場合は、これに準じて考えることができる。
図5では、図3と異なり、2基の画像投射装置2,2’と2基のシャッター3,3’と、画像観察者4との間に二枚のスクリーン1,1’が存在する。
このような配置において、スクリーンの液晶層が光線透過状態と光線散乱状態とをとる駆動タイミングは、たとえば図6に示すようにすることができる。図6の光線透過状態と光線散乱状態との表示は、図3と同様である。この駆動タイミングでは、スクリーン1の液晶層が光線散乱状態の時には、スクリーン1’の液晶層が光線透過状態の場合のみが存在し、スクリーン1の液晶層が光線透過状態の時には、スクリーン1’の液晶層が光線散乱状態の場合と光線透過状態の場合とが存在する。
スクリーン1の液晶層が光線散乱状態の時、スクリーン1’の液晶層が光線透過状態であるので、画像がスクリーン1上に投射され、スクリーン1’には投射されないようにすることができる。この場合には、画像観察者は、スクリーン1’を通してスクリーン1上の画像を見ることになる。
スクリーン1の液晶層が光線透過状態の時、スクリーン1’の液晶層が光線散乱状態であれば、スクリーン1を通して、スクリーン1’上に画像を投射することができる。そして、画像観察者はスクリーン1’上の画像を見ることになる。
また、スクリーン1の液晶層が光線透過状態の時、スクリーン1’の液晶層が光線透過状態であれば、画像がスクリーン1上にもスクリーン1’上にも投射されず、画像観察者は、スクリーン1,1’を通して、画像投射装置2,2’側の景色5を見ることができる。
従って、以上の光線透過状態と光線散乱状態とをとる駆動タイミングを繰り返すことにより、画像観察者は、スクリーン1上の画像と、スクリーン1’上の画像と、スクリーンの背後の景色5との三つの状態を同時に認識することが可能となる。この画像は、重なって見えるときには、一方が他方に隠れるのではなく、両方が同時に見える画像となる。
なお、スクリーン1上の画像とスクリーン1’上の画像とは、上記のように、2基の画像投射装置から投射してもよいが、1基の画像投射装置から投射してもよい。ただし、この場合は、スクリーン上の画像を鮮明なものとするためには、スクリーン間の距離に応じて画像投射装置の焦点を切り替える必要が出てくる場合がある。同一の画像をスクリーン1とスクリーン1’とで表示すると、スクリーン1とスクリーン1’との間で画像が行き来するような画像を得ることが可能となる。光線散乱状態と光線透過状態との時間比であるT11/T12とT21/T22とは、同じでも異なっていてもよい。
また、T21の開始時期は、図6のようにT11の直後でなくともよい。その一例を図7に示す。なお、図6に示すように、T11とT22とが時間的に重複し、T21とT12とが時間的に重複し、T12とT22とが時間的に重複していてもよいが、T11とT21との重複は、避けるべきである場合が多い。スクリーンが重なり合っている場合には、投影すべきスクリーンに画像を投射することができない場合が生じるからである。
なお、フレームは同じ周期で繰り返されるのが通常であるが、場合によっては一部異なっていてもよい。
ただし、いずれの場合も、シャッター3、3’における光の通過と遮断とのタイミングは、図6,7に示すように、それぞれ、スクリーン1,1’において光線透過状態と光線散乱状態とをとる駆動タイミングであるT11/T12とT21/T22とに同期させるべきである。
スクリーンが重なり合って3枚以上あるようにしても同様なことが可能であり、画像が前後、左右、上下、斜め方向に動くような多彩な画像表現が可能となる。また、スクリーンが2以上重なり合ってある場合に、1フレーム内において光線散乱状態を呈するスクリーン数が全スクリーン数より1以上少ないようにすると、例5に説明するように、多彩な表現や、高い明るさを維持した表現が可能となる。
なお、先述したT1/(T1+T2)におけるT1とT2とは、複数のスクリーンが存在する場合には、1フレーム内においてそのいずれかが光線散乱状態にある時間の合計をT1とし、そのいずれもが光線透過状態にある時間の合計をT2とする。たとえば、図6の場合には、図中に示すT1とT2がこれに該当する。図7の場合は、T11+T21がT1に該当し、T12−T21がT2に該当する。なお、図10のように、T11の幅とT21の幅とが同一で、T12の幅とT22の幅とが同一であり、T21がT12の中央にある場合には、T1とT2とは図中に示す長さになる。この場合は、T11+T21とT12−T21との和は2周期分の長さになるからである。
ここで、散乱状態と透明状態との切り替えの状態についてさらに詳細に説明する。本発明に係るスクリーンは、駆動電圧を変化させたとき、散乱状態と透明状態とが一瞬のうちに切り替わるわけではなく、スクリーンの散乱状態と透明状態との切り替えの応答速度に応じた過渡的な状態を呈するのが普通である。
たとえば、図4に示したスクリーンの散乱状態と透明状態との切り替えは、その立ち上がりと立ち下がりとの過渡的状態を示せば図11,12のようになる。また、図6に示したスクリーンの散乱状態と透明状態との切り替えは、その過渡的状態を示せば図13のようになる。図11,12,13において斜線で示される過渡的状態7は、他の部分より時間的に大幅に拡大したものである。
このような場合には、スクリーンが過渡的状態を終え、ほぼ100%の散乱状態になった時点で、画像投射装置から投射し、散乱状態が透明状態に変化する過渡的状態になるときに画像投射装置からの投射を停止することが好ましい。これにより画像投射装置より投射される光が、最も光を散乱する状態のスクリーンで散乱されることになるからである。図12に示す様なタイミングで投射してもよいが、過渡的状態においては光が直接観察者に投射される割合が増え、まぶしいので、図11のタイミングの方が好ましい。2枚以上のスクリーンが有る場合は、図13のタイミングとなる。
図11,13のようなタイミングの場合、上記の過渡的状態をスクリーンが透明状態にあるものとして扱うことができる。すなわち、あるスクリーンの散乱から透明へ過渡的状態に要する立ち下がりの時間と、次のスクリーンの透明から散乱への過渡的状態に要する立ち上がりの時間とが重複している駆動方法が可能である。立ち上がりの時間と立ち下がりの時間とがほぼ同じであると、より有効に時間を使うことができるので、明るい表示または透明性の高いスクリーンを得ることが容易になる。
このように、過渡的な状態を光線散乱状態と見なすのか光線透過状態と見なすのかは実情に応じて決めることができるが、光線透過状態として扱える時間を長く確保したい場合には、過渡的な状態を光線透過状態と見なすことが好ましい。本発明におけるT1とT2とは、上記のいずれの定義の場合にも適用が可能である。
本発明に係る画像表示装置は、上記のような、光線透過状態と光線散乱状態とをとる駆動タイミングを繰り返すことにより、静止画像が背後の景色の中で浮かんだように見える状態や、画像が前後、左右、上下、斜め方向に動きのあるような状態、動画画像が景色の中で浮かんだように見える状態等を実現できるようになる。また、複数画面表示や、前後にあるスクリーンでの切り替え表示によるある種の立体的表示等を実現することも可能である。
この場合、背景として、画像投射装置やシャッターが画像観察者から見えないようにすると、審美性を妨げられないので好ましい場合が多い。これは、スクリーン面に対して画像を斜めに投射することや目隠しを設置することで実現することができる。
図3および図5は、そのような場合を想定した図である。すなわち、スクリーン1,1’を画像観察者に対して斜めに設置し、さらに必要であれば目隠しを設置して、図3,5のように、画像投射装置や、シャッターが画像観察者から見えないようにすることができる。図3,5の場合、画像投射装置や、シャッターは、画像観察者にとって下側に設置したが、図8のように上側に設置してもよく、左右のいずれかに設置してもよい。このようにして画像を投射すると、通常の画像は歪んで見えることになるが、これは、投射すべき元の画像を補正したり、補正用レンズを使用することによって、歪みを抑制することができる。なお、画像投射装置やシャッターが画像観察者から見えてもかまわない場合には、そのような配慮は不要である。
スクリーン周辺部を透明にすると、画像が背後の景色の中で空中に浮かんだように見える状態が強調されるので好ましい場合が多い。この目的を達するには、スクリーン周辺部を透明の樹脂層でシールし、枠がある場合にはその枠を透明にすることが好ましい。なお、スクリーンの周辺部は、その主要部が透明であれば充分である場合が多い。たとえば、外部回路との接続部以外が透明であれば、画像が背後の景色の中で空中に浮かんだように見える状態が充分強調される。
シール剤としては、透明性の高い樹脂であれば公知のどのようなものを使用することも可能である。透明性の高い樹脂を使用すれば、スクリーンは全面に渡って透明感が高まり、画像が空中に浮かんだように見える状態が強調される。たとえばガラス基板を使用した場合には、ガラスの屈折率に近似した屈折率を有するエポキシ樹脂やアクリル樹脂を使用すれば、空中に透明なガラスが浮いているような状態が実現できることになるのである。
スクリーンとしては、対角線の長さが10cm程度の小さいものから3m程度の大きいものを含め、どのようなサイズのものも使用することができるが、一般的にいえば、小型よりは大型の方が迫力のある画像が楽しめて好ましい場合が多い。また、いくつかのスクリーンをつなぎ合わせて大型スクリーンとすることもできる。
つなぎ合わせる場合、つなぎ合わせの境界部はできるだけ画像が連続的に見えるように液晶層がつながるのが好ましい。ただし、つなぎ合わせ境界部で液晶層が重なると画像の明るさが異なってみえる場合があり、好ましくない。
逆に、スクリーン周辺部のシールや枠部でつなぎ合わせ境界部をつくる場合、このような部位は、光線透過状態と光線散乱状態との切り替えができないため、透明な材料を選択すると、画像表示の際に、その部位には画像が表示されず、画像が切れた状態となる問題が生じる。
そこで、このような部位を透明にせず、その一部または全部を常に光線散乱状態にして、スクリーンと同等の散乱性を常に持たせることが有用である場合がある。画像を切れ目なく、あるいは切れ目があっても、切れ目が少ない状態で表示できるようになるからである。なお、この場合、全てのスクリーンの液晶層が光線透過状態になっても、この部分は光線散乱状態にとどまるが、それほどの違和感はない。
なお、上記は、全てのスクリーンの液晶層が光線透過状態をとる時間帯が重複して存在する場合を主に説明したが、この条件は、本発明の態様によっては、必須の要素ではない。複数のスクリーンが存在し、全てのスクリーンの液晶層が光線透過状態をとる時間帯が重複して存在しない場合には、背後の景色とスクリーン上の画像とを重ねて同時に見ることが困難となり、スクリーン上の画像を見る際にスクリーン上で画像の投射されない部分については乳白色を呈する。しかし、それでも、全体としては画像が空中に浮かんだような印象を与えることは可能であり、本発明の目的のいくつかを達成できるからである。
たとえば、光線透過状態と光線散乱状態とを繰り返しとることができる1以上のスクリーンと、画像をスクリーンに投射する画像投射装置とを備えた画像表示装置において、スクリーンが、液晶とメソゲン構造部を有する硬化樹脂とよりなり、液晶分子の配向プレチルト角が基板表面に対して60度以上である液晶層と、液晶層を挟持する透明な一対の電極付き基板とを備え、透明電極間に電圧を印加した時にはスクリーンの液晶層が光線散乱状態をとり、透明電極間の電圧印加を停止した時にはスクリーンの液晶層が光線透過状態をとるようになしてあり、画像投射装置が、光線散乱状態にあるスクリーンに画像を投射するようになっており、光線透過状態と光線散乱状態との組みの繰り返しの最小単位よりなるフレームの繰り返し頻度を、画像観察者がスクリーン上の画像のちらつきを感じない範囲内に設定できる、画像表示装置やこのフレームの繰り返し頻度を30Hz以上に設定できる画像表示装置も本発明の態様に属する。
従って、上記説明における全てのスクリーンの液晶層が光線透過状態をとる時間帯が重複して存在する場合の発明の諸態様は、全てのスクリーンの液晶層が光線透過状態をとる時間帯が重複して存在しない場合についても、実現できる場合があることは言うまでもない。
さらに、図14は、本発明の実施の形態の他の構成例を模式的に示したものである。この構成例では、二つのスクリーンと二つの画像投射装置が備えられている。スクリーン1Bは観察者4側に配置され、スクリーン1Aは画像投射装置側(反観察者側)に配置されている。
二つの画像投射装置から、それぞれ対応するスクリーンに投射する様子をサンプリングして、時系列的に並べて、連続的に示したものである。図中、左から右方向に向かって、状態が変化していく様子を表している。
すべてのスクリーンの液晶層が光線透過状態である際には、画像投射装置から投射されない。このとき、観察者4は、背景5を視認することができる。
画像投射装置2Aから投射された投射画像はスクリーン1Aの光線散乱状態になった液晶層の上で結像され、表示8Aを呈するように構成されている。
画像投射装置2Bから投射された投射画像は、2枚のスクリーンのうちの、スクリーン1Aの液晶層が光線透過状態の際に、それを通過してスクリーン1Bの液晶層の上で結像し、表示8Bを呈するようになっている。
したがって、観察者4は、表示8A、表示8Bおよび背景5をすべて視認することができる。また、表示8Aと表示8Bは投射画像であり、静止画像および/または動画像を表示させることができる。
動作シーケンスとして、基本的にスクリーン1Bの光線透過状態と光線散乱状態との組の繰り返しの最小単位(図中T0で示す区間に相当する)よりなるフレーム期間の繰り返し頻度を、観察者がスクリーン上の画像のちらつきを感じない範囲に設定する。各スクリーンの液晶層が光線散乱状態になった際に投射画像が表示されるようにタイミングを設定する。
投射される時間が短い場合には、投射画像の輝度をあげて十分視認できるように調整する。光線散乱状態と光線透過状態との組は、それらの区間を適宜設定でき、ランダム的に変化させることもできる。また、後述する実施例のように一定の繰り返し頻度で動作するように設定することもできる。また、いずれかのスクリーンを間欠的に動作させ、表示を一定の期間停止するようにして用いることもできる。
また、複数のスクリーン上の投射画像を組み合わせることによって、奥行き方向における立体的な動きを呈する投射画像を行うこともできる。
本発明に係る画像表示装置は、自動車用のヘッドアップディスプレイ、ショーウインドウなどの店頭の演出、オフィスや工場、展示場などの受付の近くに設置される情報表示、コンビニエンスストアのレジスターの近くに設置される情報表示、アーケードゲーム機の表示装置等として使用でき、独特の画像を楽しむことが可能となる。
なお、本発明に係るスクリーンは、その液晶層と一対の透明電極とを利用して、その一部について、たとえば時間の表示のように、連続的に画像を表示できる機能を付与したり、反射型液晶表示装置のような他のタイプの液晶表示装置の機能を付与することも可能である。たとえば、スクリーンの下部にパターン電極を作製し、所望の場所を散乱させて表示を実現することが可能である。
本発明に係るスクリーンは透明にできるので、別の表示装置の上に配置してもよい。たとえば、車載用のインパネの前や、他のメーターの前などである。すなわち、スクリーンの背後に、計器、情報端末またはミラーを置いて用いることができる。
また、本スクリーンは1個のスクリーンという使い方以外に、分割してスクリーンにしたり、複数の任意形状としたりしてもよい。また複数のパターン形状のスクリーンを積層させても良い。
また、複数のスクリーンにおいて、散乱させるスクリーンを経時的に替えていくことにより、点滅に似た観察者への注意喚起を促す操作をしてもよい。
耐衝撃性を増すためには、上下基板を固定化することが望ましい。たとえば、接着性スペーサーを用いることにより、上下基板を固定することができる。接着性スペーサーは透明性の高い材料を選ぶことが好ましい。
使用するスクリーンにおいて散乱表示する必要のない部分は、全て接着性の樹脂で満たすことも可能である。また、散乱表示する必要のある場所でも、接着性スペーサーの専有面積を調整することにより散乱能を調整することが可能である。特に、背景がある程度見えることを要求される場合は非常に有効な方法である。
以下に本発明の実施例を示す。実施例中、「部」は重量部を意味する。
[例1]
図2に示す模式的断面図を持つスクリーンを次のように作成した。まず、誘電率異方性が負であるネマチック液晶(チッソ社製AG−1016XX)を80部、図1の(a)で示される硬化性化合物を20部、ベンゾインイソプロピルエーテルを0.2部ブレンドし、混合組成物を調製した。
ついで、透明電極の上に垂直配向用ポリイミド膜(JSR社製JALS−682−R3)を形成した、長さ200mm,幅200mm,厚さ1.1mmの一対のガラス製の基板を、ポリイミド薄膜が対向するようにして設置し、その間隙に直径6μmの樹脂ビーズを微量配してから、基板の四辺に約1mm幅のエポキシ樹脂層を印刷により設け、これを張り合わせて硬化し、スクリーン周辺部が透明の樹脂層でシールされる状態にした。具体的には、シール層の一部を解放しておき、シール層の硬化後、このようにして形成された液晶セル中に上記混合組成物を注入し、その後シール層の一部解放部をエポキシ樹脂で封止し、硬化して、図2に示すシール層28を完成させた。ついで、垂直配向用ポリイミド膜の働きで硬化性化合物を溶解させた液晶が基板面に垂直方向に配向を示すような状態に保ったまま硬化性化合物を硬化し、液晶層を形成した。具体的には、この注入された液晶セルを40℃に保持した状態で、主波長が約365nmのHg−Xeランプにより、上側より約2.5mW/cm2、下側より同じく約2.5mW/cm2の紫外線を10分間照射し、透明の樹脂層でシールしたスクリーンを得た。
図21に、開口角5°の光学系で評価したときの駆動電圧(実効値)に対する透過率のデータを示す。ガラス基板の表面には無反射処理(AR)処理がなされていない状態のものである。
シリカコートを施した一対のアルカリガラス基板(旭硝子社製:AS)を用い、一方のガラス基板の外表面から、他方のガラス基板の外表面を通過する光線の透過率を測定した。電圧無印加時の透過率は84%であった。また、電圧を40V印加したときの透過率は約3%であった。
なお、図9に示すように、このスクリーンの周辺部を機械的強度の向上や液晶層等の化学的変質防止のための透明樹脂のシール枠29を設けてもよい。この場合、スクリーンは透明の樹脂層で二重にシールされることになる。
画像投射装置としてはELP−50(エプソン社製プロジェクター)を用いた。シャッターとしては機械式回転チョッパーを用い、回転速度は60Hzで開口時間が約50%のものを用いた。
スクリーンの液晶層の透過光線散乱状態のスイッチングも60Hzで実施し、図4に示すようなタイミングで画像投射と同期させた。
スクリーンの液晶層を光線透過状態と光線散乱状態との間で切り替える駆動は、200Hzの交流矩形波で、電圧は0Vと30Vとの切り替えで実施した。立ち上がり時間は約1.5msで、立ち下がり時間は約2msであった。
画像観察者4に対して、スクリーン1、画像投射装置2、シャッター3は図3に示す配置とした。この結果、画像観察者4からは、スクリーンの画像と、スクリーン背後の景色5とを同時に、ちらつきなく見ることができた。また、電圧無印加時は完全に光線透過状態となるため、画像表示装置を使用していないときには開放感があり、画像表示装置を使用してるときには、空間に透明な画像が浮いているような印象を与えることができた。
[例2]
例1と同様にして作成したスクリーン2枚を用いて、図5のように配置した。スクリーン1とスクリーン1’との間隔は約50mmとし、ほぼ平行になるようにした。二つのスクリーンは、画像観察者から見てほぼ重なり合った状態になっていた。
画像投射装置は例1と同じ物を2台用い、シャッターとしては例1と同様な機械式回転チョッパーを用い、投射タイミングが図6に示すようになるように調整した。T11=4ms,T12=12ms,T21=4ms,T22=12ms,T1=8ms,T2=8msと設定した。
スクリーン1には、画像投射装置2を用いて画像を表示し、スクリーン1’には、画像投射装置2’を用いて文字画像を表示した。2つの画像が同時にちらつきなく認識され、またスクリーン背後の景色もちらつきなく見ることができ、奥行き感のある立体的な表示を認識できた。
この装置を使用すれば、スクリーン1にシンデレラ城などの背景を表示し、踊るミッキーマウス(登録商標)をスクリーン1’に表示したり、スクリーン1に表示したりしてミッキーマウスを前後に移動させることにより、奥行き感のある表示を実現することも可能である。
また、画像同士をスクリーン1とスクリーン1’とに、重なるように表示する場合、スクリーン1での輝度とスクリーン1’での輝度とが相違するようにすると遠近感が得られ、立体表示に一般的に必要な眼鏡無しで、立体画像を実現することができることが見出された。
ミッキーマウスの画像とミニーマウス(登録商標)の画像とシンデレラ城の画像とを表示した場合、ミッキーマウスの画像についてはスクリーン1’での輝度を相対値1、スクリーン1での輝度を相対値0とし、ミニーマウスの画像についてはスクリーン1’での輝度を相対値0.5、スクリーン1での輝度を相対値0.5とし、シンデレラ城の画像についてはスクリーン1’での輝度を相対値0、スクリーン1での輝度を相対値1とすると、画像観察者にとって、ミッキーマウスの画像がもっとも近くにあり、シンデレラ城の画像がもっとも遠くにあり、ミニーマウスの画像がその中間にあるような印象を与える立体的画像を実現できた。
これを一般化して言えば、2以上重なり合ったスクリーンについて、そのいずれか二つのスクリーン上に投射される画像の輝度が、上記のミッキーマウスやシンデレラ城の場合のように、互いに相違するようになしてあれば、上記のような相対的な距離感の異なる画像の組み合わせを実現することができるのである。なお、上記において、いずれか二つというのはいずれか二つのみを意味するものではなく、そのような組み合わせが複数あってもよく、該当するいずれかのスクリーンが複数の組み合わせに属していてもよい。
この場合、観察者は、上記の例ではスクリーン1の表示とスクリーン1’の表示が合成された状態で見なければ立体的に見えないので、頭の位置をずらすと立体的に見えなくなる場合がある。立体的に見える角度範囲を増やすためには、スクリーン1とスクリーン1’の距離を小さくすることが好ましい場合が多いが、本発明ではそのような場合でも立体感を得ることができる。一般的に言えば、スクリーン間の距離の距離としては0.4〜200mmが好ましいが、0.4〜50mmの間では立体感は維持でき、ほぼどの位置からも立体的な表示として見ることが可能であり、より好ましい。スクリーン間の距離は2mm±1mmがより好ましい。
なお、両方のスクリーンの表裏に、SiO2とTiO2との誘電体多層膜よりなるARコート(低反射コート)処理を施した。これにより、ガラス基板表面での外光の反射が減ったことによるコントラストアップが実現した。また、投射装置からの表示が表面で多重反射し、画像がぼける問題も低減させることができた。
スクリーンを複数枚使用する場合は、本例のように各スクリーン表面をそれぞれARコートするのが好ましい。低反射化を実現する他の方法としては、屈折率がガラスと同等な樹脂でスクリーン間を埋める方法も可能である。
[例3]
垂直配向用ポリイミド膜の表面をラビングし、プレチルト角を70度とした以外は例1と同様にしてスクリーンを作製した。
スクリーンの液晶層を光線透過状態と光線散乱状態との間で切り替える駆動の立ち上がり時間は約1.0msで、立ち下がり時間は約1.5msであった。
画像観察者4に対して、スクリーン1、画像投射装置2、シャッター3は図3に示す配置とした。この結果、例1と同様、画像観察者4からは、スクリーンの画像と、スクリーン背後の景色5を同時にちらつきなく見ることができた。また、電圧無印加時は完全に光線透過状態となるため、例1と同様、画像表示装置を使用していないときには開放感があり、画像表示装置を使用してるときには、空間に透明な画像が浮いているような印象を与えることができた。
[例4]
例1の画像表示装置を自動車用のヘッドアップディスプレイ、自動車用の走行メータ表示、ショーウインドウ表示、コンビニエンスストアのレジスターの横の購入品に関する情報表示として使用すると、使用しないときは、その存在自体が目障りになったり、圧迫感を与えることが少なく、開放感があり、使用時にはスクリーンの背景側を見ることができる透明感のある表示を行うことができる。
車用として利用する場合は、既存の車のヘッドアップディスプレイに使われている様にインパネの上部にスクリーンを置いても、運転席と助手席の間の、センターコンソールの上部に置いてもよい。運転中でも車前方の状況を見ることができるため安全な運転ができ、また、表示がない場合は透明となるため圧迫感がない。
この場合、速度表示やアラーム表示などの車に関する情報や、ナビゲーション情報や、テレビ表示、映像表示、インターネット表示、ETCなど多彩な表示が可能である。
スクリーンサイズは、フロントガラスサイズと同じ程度にしても運転に支障がない。画像表示装置はフロントガラスに貼り付けてもよいし一体化してもよい。部分的にスクリーンの機能を持たせてもよい。また、前部座席と後部座席との間にスクリーンを置いてもよい。この場合でも前部座席の人と後部座席の人とが疎外感を感じなくて済む利点がある。
ショーウインドウとして利用する場合は、商品の前にスクリーンを置いて、商品のイメージに合う情報を流すことにより通行人の興味を引くことが可能となる。
コンビニエンスストア等のレジスターの横や上部に配置した場合、従来の表示体では透明でないため店員と客の距離が発生して疎外感があった。しかし、本表示装置を用いた場合には、疎外感がなくなる。同様な使い方で受付に配置してもよい。このときの表示としては、商品の説明、売り出し商品、期間限定商品や数量限定商品等の情報やそのコマーシャルメッセージを流すことができる。
[例5]
例1と同様にして作成したスクリーン5枚を使用し、そのうち、1フレーム内で散乱するスクリーンの数は2枚とした。観察者から一番遠いスクリーンをスクリーンaとし、観察者側に近づくに従いスクリーンb、スクリーンc、スクリーンd、スクリーンeとした。画像として、スクリーンaにシンデレラ城などの背景を表示した状態で、ミッキーマウスを最初のフレームではスクリーンbに表示し、その後のフレームではスクリーンcに表示し、その後のフレームでスクリーンd、その後のフレームでスクリーンeに表示した。
これにより、ミッキーマウスが観察者側に近づいてくる印象を与えることができた。逆にミッキーマウスをスクリーンeからスクリーンd、スクリーンc、スクリーンb、スクリーンaと移動させることにより、観察者から遠ざかっていく印象を与えることができた。また、1フレームで常に5枚のスクリーンを表示する場合には全体の表示が暗くなる欠点があったが、本例では2枚のスクリーンで同等の明るさが実現できた。
各スクリーン間の距離は小さい方が前後の移動が連続的に感じる。30mm程度でもよいが、10mm以下がよい。距離感を出すためには、スクリーンの枚数を増やすことが有効である。
[例6]
スクリーンのサイズを大きくするために、例1で作成したスクリーンを4枚貼り合わせて大きなスクリーンとした。貼り合わせ部分では、シール部の外側に残った枠部に相当する部分のガラス幅は0.1mm以下とした。また、シールの内側にある部分の内、絶縁等の目的のため透過散乱の機能を有しない部分を設けたが、その部分の幅を0.5mm以下として、極力表示部でない部分が狭い面積となるように構成した。これによりスクリーンの繋ぎ目で散乱に寄与しない部位を極力小さくした。
この結果、画像に切れ目が生じるものの、全体としては不自然でない画像を表示することができた。
なお、この散乱に寄与しない部位、すなわち光線透過状態と光線散乱状態との切り替えのできない部位に、透明エポキシ樹脂に屈折率の異なるビーズを分散した散乱樹脂を添加して、常に光線散乱状態とすることにより、スクリーンと同等の散乱性を常に持たせた結果、画像を切れ目なく表示できるようになり、より自然な画像が得られた。
[例7]
スクリーンのサイズを大きくするために、例1のガラス基板の代わりにプラスチック基板を使用することができる。たとえば、プラスチック基板には0.2mm厚のポリカーボネート樹脂を用い、幅1mのロール状のポリカーボネートにITOを連続成膜し、その上に垂直配向膜を成膜する。長さ2mのこのポリカーボネート2枚を基板とし、この基板間に、液晶層の材料とスペーサーとを一緒にした液を注入する以外は例1とほぼ同様にしてスクリーンを作成することができる。この結果、例1と同様の性能を有する大スクリーンを実現することができる。
[例8]
例1と同様にして作成したスクリーン1を1枚用い、図15に示すように、自動車用のインパネ30とハンドル31との間にスクリーン1を配置し、下部に置かれた画像投射装置2より投射して表示する車載用表示として用いた。
表示としては図16に示すように、インパネ30の表示(a)の上にスクリーン1の表示(b)を重ね合わせた表示(c)とした。スクリーン1は図16の(b)に示すような点パターン部のみに電圧が印加され、透明から散乱状態を作ることができ、かつ、各点パターン部は独立に電圧が選択できるようになっているので、任意の場所を投射画像と同期させて電圧印加できる。
たとえば図17の(a)には方向指示器の右折表示のみを表示している場合を示している。それ以外のパターンは散乱されないので、透明状態となっており、明るさの変化なくインパネを見ることが可能である。図17の(b)は中央下部のパターンのみを表示した場合を示す。図17の(c)は2カ所を同時に表示した場合を示す。
また、図18には図17と同じパターンの2枚のスクリーンを用いた場合を示している。図18の(a)は観察者から見て遠い方(インパネに近い方)のスクリーンの2カ所(右上と中央下部)のみを散乱状態として表示を行っている。図18の(b)は、観察者から見て遠い方のスクリーンの右上の散乱状態を透明にし、観察者から見て近い方のスクリーンの右上を散乱状態とした場合を示している。図18の(c)は、観察者から見て近い方のスクリーンの右上の散乱状脂を透明にし、観察者から見て遠い方のスクリーンの右上を散乱状態とした場合を示している。経時的に、(a)→(b)→(c)と動作を繰り返すことにより、方向指示器の右折表示が場所を変えて観察者に喚起を促すことになり、従来の点滅表示に比べて斬新な表示が可能となった。また、スクリーンにはタッチパネルを付けて情報入力機能を持たせた結果、たとえばスクリーンの選択表示に対し応答可能となり、便利となった。
[例9]
例1のギャップ制御用の樹脂ビーズに代えて、上下基板を接着可能な接着型スペーサーを用いた。透明電極上に垂直配向用ポリイミド膜(JSR社製JALS−682−R3)を形成した基板に、接着型スペーサー液を塗布し、フォトリソ法を用いてパターニングし、300μm×300μm間隔で20μm×20μmのサイズで高さ6μmの柱状のスペーサーを作成した。その後は、例1と同様な操作によりスクリーンを作製したが、最後に熱処理により上下基板を接着させた。図19に接着型スペーサー32を示している。これにより、衝撃等により電圧無印加時の透明性が劣化する現象が大幅に減少した。
スクリーンに用いることのできる硬化性化合物を例示する図。 本発明の一実施例のスクリーンを説明する模式的断面図。 本発明に係る画像表示装置の配置の一例を示す模式図。 図3の実施例における光線透過状態と光線散乱状態とをとる駆動タイミングを示す模式図。 本発明に係る画像表示装置の配置の他の一例を示す模式図。 図5の実施例における光線透過状態と光線散乱状態とをとる駆動タイミングを示す模式図。 図5の実施例における光線透過状態と光線散乱状態とをとる他の駆動タイミングを示す模式図。 本発明に係る画像表示装置の配置の他の一例を示す模式図。 本発明の他の一実施例のスクリーンを説明する模式的断面図。 図5の実施例における光線透過状態と光線散乱状態とをとるさらに他の駆動タイミングを示す模式図。 図4に示した駆動タイミングの過渡的状態を示す模式図。 図4に示した駆動タイミングの過渡的状態を示す他の模式図。 図6に示した駆動タイミングの過渡的状態を示す模式図。 本発明の実施の形態の構成例を示す模式図。 本発明に係る画像表示装置を車載用表示として用いた様子を示す模式図。 インパネの表示とスクリーン1の表示(b)とを重ね合わせた様子を説明する模式図。 インパネの表示と重ね合わせた場合におけるスクリーンの表示を示す模式図。 インパネの表示と重ね合わせた場合におけるスクリーンの表示を示す他の模式図。 例9のスクリーンを説明する模式的断面図。 画像投射装置の簡単な基本構成を示す模式図。 スクリーンとして用いられる液晶素子の印加電圧−透過率特性を示すグラフ。
符号の説明
1,1’スクリーン
2,2’画像投射装置
3,3’シャッター
4 画像観察者
5 スクリーン背後の景色
6 目隠し板
7 過渡的状態
8A,8B
画像
21,22
ガラス基板
23,24
透明電極
25,26
配向膜
27 液晶層
28 シール層
29 シール枠
30 インパネ
31 ハンドル
32 接着型スペーサー
33 ランプ系
34 画像表示系
35 投射レンズ系

Claims (12)

  1. 光線透過状態と光線散乱状態とをとることができる液晶層が透明な一対の電極付基板間に挟持されてなるスクリーンと、
    画像を前記スクリーンに投射する画像投射装置とが備えられた画像表示装置において、
    透明電極間に電圧が印加された場合には液晶層が光線散乱状態にせしめられ、
    透明電極間に電圧が印加されない場合には液晶層が光線透過状態にせしめられ、
    少なくとも一つのスクリーンが画像投射装置に対して配置され、液晶層が光線散乱状態をとる場合に、画像投射装置から投射された投射画像が液晶層に結像されて表示を視認できるようにされ、
    前記スクリーンの液晶層の光線透過状態と光線散乱状態との組みの繰り返しの最小単位よりなるフレームの繰り返し頻度を、観察者が前記スクリーン上の投射画像のちらつきを感じない範囲に設定でき、
    1フレーム内で、少なくともいずれか一つのスクリーンの液晶層が光線散乱状態にある時間の合計T1と、すべてのスクリーンの液晶層が光線透過状態である時間T2との割合を、観察者が、前記スクリーン上の投射画像とすべてのスクリーンの背景にある景色とを同時に認識できるように設定された画像表示装置。
  2. 前記スクリーンが複数配置され、複数のスクリーンの表示面が重なるように配置され、それぞれのスクリーンの液晶層が光線散乱状態にある場合には、画像投射装置から投射される投射画像がそれぞれのスクリーン上で表示できるようにされ、それぞれのスクリーンで異なる表示ができるようにされてなる請求項1に記載の画像投射装置。
  3. フレームの繰り返し頻度を33Hz以上に設定でき、
    1とT2との割合を、K=T1/(T1+T2)≦0.8を満足するように設定された請求項1または2に記載の画像投射装置。
  4. 光線透過状態と光線散乱状態とをとることができる液晶層が透明な一対の電極付基板間に挟持されてなるスクリーンと、
    画像を前記スクリーンに投射する画像投射装置とが備えられた画像表示装置において、
    透明電極間に電圧が印加された場合には液晶層が光線散乱状態にせしめられ、
    透明電極間に電圧が印加されない場合には液晶層が光線透過状態にせしめられ、
    少なくとも一つのスクリーンが画像投射装置に対して配置され、
    液晶層は液晶とメソゲン構造部を有する硬化樹脂とを含み、液晶分子の配向プレチルト角が基板表面に対して60°以上とされ、
    液晶層が光線散乱状態をとる場合に、画像投射装置から投射された投射画像が液晶層に結像されて表示を視認できるようにされてなる画像表示装置。
  5. フレームの繰り返し頻度を33Hz以上に設定してなる請求項4に記載の画像表示装置。
  6. スクリーンが2以上配置され、いずれかのスクリーンの液晶層の光線透過状態から光線散乱状態への切り替わりの際の立上り時間と、
    他のいずれかのスクリーンの液晶層の光線散乱状態から光線透過状態への切り替わりの際の立下り時間とが、連続的に各スクリーンを動作せしめる際に、時間的に重複するようにした請求項1、2、3、4または5に記載の画像表示装置。
  7. スクリーンが複数配置され、隣接して配置された二つのスクリーンの面間距離が0.4〜200mmであり、
    いずれか二つのスクリーン上に投射される投射画像の輝度を、互いに異なるようにした請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  8. 液晶層の液晶と硬化樹脂とが、光重合硬化法によって形成されてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  9. スクリーンの背後に、計器、情報端末またはミラーを置いて用いる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  10. スクリーンの周辺部の主要部が透明である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  11. 外部回路との接続部以外が透明である、請求項10に記載の画像表示装置。
  12. 電圧無印加時のスクリーンの透過率が80%以上である請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像表示装置。
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