JP4214786B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、散乱と透明とを電気的に切り替えることができる表示素子における散乱/透明と、多色光源の発色の切り替えとを連動させることにより多色表示を行う画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
白黒の液晶パネルと、発光色が赤、青、緑と切り換わる光源とを組み合わせてカラー表示を得る方式の表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この方式はフィールドシーケンシャルカラー方式と呼ばれている。フィールドシーケンシャルカラー方式では、各々の発光色に応じた映像を液晶パネルに順次表示させて駆動する。従って、液晶パネルの応答が充分高速である必要がある。
【0003】
フィールドシーケンシャルカラー方式では1フィールドの1/3の時間で1色を表示する必要があるので、例えば60フィールド/秒の表示を行う場合には、表示に使用できる時間は約5ms程度になる。従って、液晶自身には5msよりも短い応答時間が求められる。高速応答を実現できる液晶として、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、狭ギャップ化されたネマチック液晶、OCBモードの液晶などが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭56−27198号公報(第3図,第4図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、それらの液晶を使用した表示素子では偏光板が用いられているので、透過率が低いという欠点があり、視認者が表示素子を通して背後を見ることはできない。また、電気的に散乱と透過とを切り替える電気光学素子を用いて、照明光の色を変える方式を用いることによって多色表示が可能であることは一般的に知られているが、視認者が見ることができるのは、各々の時間に照明されている色のみである。すなわち、1つの表示素子において部分的に色を変えることができないという問題があった。なぜなら、従来の電気的に散乱と透過を切り替える電気光学素子は応答が遅いからである。
【0006】
そこで、本発明は、1つの表示素子において、同時に2色以上の発色を任意の部分にさせることができ、さらに、表示素子における非表示部はガラスの様に透明で、視認者が非表示部において背景を見ることができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の態様1は、表示素子が、光透過状態と光散乱状態をとることができる液晶層が透明な一対の電極付き基板間に挟持された構成であり、2以上の光源色を発し光源色によって表示素子を照明する光源が設けられ、光源は、表示素子の非観察面の外側であって表示素子の中心から延びる法線に対して観察面の側から直接視認できない程度に傾いた角度の位置に配置され、光源色を順次発色し、各光源色の点灯の周波数が40Hz以上であり、一または複数の光源色の表示素子への照明に連動して、表示素子の表示面の少なくとも一部を光散乱状態にせしめ、一または複数の光源色に応じた表示色を得る画像表示装置を提供する。
【0008】
態様2は、態様1において、表示素子が、電圧無印加時に光を透過し、電圧印加時に光を散乱する動作モードを有する画像表示装置を提供する。
【0009】
態様3は、態様1,2において、光源が、赤色、青色、緑色を単独に発色可能である画像表示装置を提供する。
【0010】
態様4は、態様1〜3において、表示色が8色以上である画像表示装置を提供する。
【0011】
態様5は、態様1〜4において、異なる表示タイミングにおいて、表示色が単色である場合と、表示色がマルチカラーである場合とを含む画像表示装置を提供する。
【0012】
態様6は、態様1〜5において、自動車の速度表示に用いられてなる画像表示装置を提供する。
【0013】
態様7は、態様1〜6において、アラーム表示に赤色が用いられてなる画像表示装置を提供する。
【0014】
態様8は、態様1〜7において、ゲーム機器の表示装置として用いられてなる画像表示装置を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の表示装置の一例を示す模式的外観図である。図1に示すように、画像表示装置10には照明2が備えられ、図示しないバッテリによって表示素子(電気光学素子)1の駆動電圧および照明2の点灯電圧が供給される。
【0016】
表示素子1は、普通のガラスと同様の透明の状態と、散乱の状態とを、外部からの信号等によって切り替えることが可能であり、文字および図形を表示することができるものである。
【0017】
また、照明2より表示素子1に照明がなされることによって、散乱部は光を散乱し観察者3に明るく認識される。照明2の照明光を任意の色に変えることにより、文字および図形に任意の発色をさせることが可能である。照明2は、表示素子1の中心から延びる法線に対して45〜60°傾いた角度に配置されることが好ましい。そのような角度であれば、観察者3は、照明2を視認せず、背景4と表示素子1とを同時に見ることができる。
【0018】
なお、本発明において、透明とは、光の透過率が50%以上、好ましくは80%以上である状態を意味する。
【0019】
図2は、画像表示装置10における表示素子1の一構成例を示す模式的断面図である。図2において、一対の基板101,108の相対する面には、透明電極102,107が設けられる。さらに内側には配向膜103,106が設けられる。そして、配向膜103,106の間に、液晶を含み、スペーサ(図示せず)によって厚みが制御された複合体層104が挟持される。そして、シール層105によって複合体層104が封止される。
【0020】
基板101,108の材質は、透明性が確保できれば特に限定されない。基板101,108として、ガラス基板やプラスチック基板を使用することができる。また、表示素子1の形状は、平面状である必要はなく湾曲していてもよい。
【0021】
また、基板101,108上に設けられる透明電極102,107として、ITO(酸化インジウム−酸化錫)のような金属酸化物などの透明な電極材料を使用することができる。以下、透明電極102,107が設けられた基板101,108を電極付き基板という。
【0022】
複合体層104は、透明な一対の電極付き基板間に、液晶とその液晶に溶解可能な硬化性化合物とを含有する組成物を挟持させ、熱や紫外線、電子線などの手段を用いて硬化性化合物を硬化させて複合体として形成される。
【0023】
一対の配向処理済みの電極付き基板の配向方向の組合せは、平行であることが好ましい。例えば、電極付き基板の電極表面上に樹脂薄膜の配向膜103,106を設け、配向膜103,106にラビング処理を施して電極表面の液晶を配向させる機能を付与する。誘電率異方性が正の液晶を使用する場合には、電極表面上の樹脂薄膜をラビング処理して用いることが透明性の点では好ましい。
【0024】
誘電率異方性が負の液晶を使用する場合には、電極付き基板において、複合体層104と接触する側に液晶分子のプレチルト角が基板表面に対して60度以上であるようにする処理が施されていると、配向欠陥を少なくすることができ、透明性が向上するため好ましい。この場合、ラビング処理を施さなくてもよい。プレチルト角は70度以上であることがより好ましい。なお、プレチルト角を、基板表面に垂直の方向を90度として規定する。
【0025】
複合体層104を形成する複合体を構成する液晶として、公知の液晶から適宜選択できる。ラビング処理が施された配向膜103,106やプレチルト角を制御することができる電極付き基板を用いることによって、誘電率異方性が正の液晶も誘電率異方性が負の液晶も使用可能であるが、より高い透明性や応答速度の面では誘電率異方性が負の液晶が好ましい。また、駆動電圧を低下させるためには誘電率異方性の絶対値が大きい方が好ましい。
【0026】
また、複合体を構成する硬化性化合物も透明性を有することが好ましい。さらに、硬化後に、電圧を印加したときに液晶のみが応答するように液晶と硬化性化合物とが分離していると、駆動電圧を下げることができるので好ましい。
【0027】
本発明では、液晶に溶解可能な硬化性化合物のうち、未硬化時の液晶と硬化性化合物との混合物の配向状態を制御可能であって、硬化する際に高い透明性を保持することができる硬化性化合物が使用される。
【0028】
硬化性化合物として、式(1)の化合物や式(2)の化合物を例示できる。
A1−O−(R1)m―O―Z―O―(R2)nO―A2 ・・・式(1)
A3−(OR3)o―O―Z’―O―(R4O)p―A4 ・・・式(2)
【0029】
ここで、A1,A2,A3,A4のそれぞれは、独立的に、硬化部位となるアクリロイル基、メタクリロイル基、グリシジル基またはアリル基であり、R1,R2,R3,R4のそれぞれは、独立的に、炭素数2〜6のアルキレン基であり、Z,Z’のそれぞれは、独立的に、2価のメソゲン構造部であり、m,n,o,pのそれぞれは、独立的に、1〜10の整数である。ここで、「独立的に」とは、組み合わせが任意であって、どのような組み合わせも可能であることを意味する。
【0030】
式(1)および式(2)におけるメソゲン構造Z,Z’と硬化部位A1,A2,A3,A4との間に、R1,R2,R3,R4を含む分子運動性の高いオキシアルキレン構造を導入することによって、硬化時に、硬化過程において硬化部位の分子運動性を向上でき、短時間で十分に硬化させることが可能になる。
【0031】
式(1)および式(2)における硬化部位A1,A2,A3,A4は、光硬化や熱硬化が可能な上記の官能基であればいずれでもよいが、なかでも、硬化時の温度を制御できることから光硬化に適するアクリロイル基、メタクリロイル基であることが好ましい。
【0032】
式(1)および式(2)におけるR1,R2,R3およびR4の炭素数については、その分子運動性の観点から1〜6が好ましく、炭素数2のエチレン基および炭素数3のプロピレン基がさらに好ましい。
【0033】
式(1)および式(2)におけるメソゲン構造部Z,Z’として、1,4−フェニレン基の連結したポリフェニレン基を例示できる。1,4−フェニレン基の一部または全部を1,4−シクロへキシレン基で置換したものであってもよい。また、1,4−フェニレン基や置換した1,4−シクロへキシレン基の水素原子の一部または全部が、炭素数1〜2のアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基などの置換基で置換されていてもよい。
【0034】
好ましいメソゲン構造部Z,Z’として、1,4−フェニレン基が2個連結したビフェニレン基(以下、1,4−フェニレン基が2個連結したビフェニレン基を4,4−ビフェニレン基ともいう。)、3個連結したターフェニレン基、およびこれらの水素原子の1〜4個が、炭素数1〜2のアルキル基、フッ素原子、塩素原子またはカルボキシル基に置換されたものを挙げることができる。最も好ましいものは、置換基を有しない4,4−ビフェニレン基である。メソゲン構造部を構成する1,4−フェニレン基または1,4−シクロへキシレン基同士の結合は全て単結合でもよいし、以下に示すいずれかの結合でもよい。
【0035】
【化1】
【0036】
式(1)および式(2)におけるm,n,o,pは、それぞれ独立的に、1〜10であることが好ましく、1〜4がさらに好ましい。あまり大きいと液晶との相溶性が低下し、硬化後の電気光学素子の透明性を低下させるからである。
【0037】
図3に、本発明において使用できる硬化性化合物の例を示す。液晶と硬化性化合物とを含有する組成物は、式(1),(2)で表される硬化性化合物を含め、複数の硬化性化合物を含有していてもよい。例えば、組成物に、式(1)および式(2)においてm,n,o,pの異なる複数の硬化性化合物を含有させると、液晶との相溶性を向上させることができる場合がある。
【0038】
液晶と硬化性化合物とを含有する組成物は硬化触媒を含有していてもよい。光硬化の場合、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系などの一般に光硬化性樹脂に用いられる光重合開始剤を使用できる。熱硬化の場合は、硬化部位の種類に応じて、パーオキサイド系、チオール系、アミン系、酸無水物系などの硬化触媒を使用でき、また、必要に応じてアミン類などの硬化助剤を使用することもできる。
【0039】
硬化触媒の含有量は、含有する硬化性化合物の20重量%以下が好ましく、硬化後に硬化樹脂の高い分子量や高い比抵抗が要求される場合は1〜10重量%とすることがさらに好ましい。
【0040】
液晶分子を、基板表面に対してプレチルト角が60度以上になるように配向させる処理方法として、垂直配向剤を使用する方法がある。垂直配向剤を使用する方法として、例えば、界面活性剤を用いる方法や、アルキル基やフルオロアルキル基を含むシランカップリング剤などで基板界面を処理する方法、または日産化学工業社製のSE1211やJSR社製のJALS−682−R3等の市販の垂直配向剤を用いる方法がある。垂直配向状態から任意の方向に液晶分子が倒れた状態を作るためには、公知のどのような方法を採用してもよい。垂直配向剤をラビングしてもよい。また、電圧が基板101,108に対して斜めに印加されるように、透明電極101,107にスリットを設けたり、電極101,107上に三角柱を配置する方法を採用してもよい。
【0041】
二つの基板101,108間にある複合体層104の厚さを、スペーサ等で規定することができる。その厚さは1〜50μmが好ましく、3〜30μmがさらに好ましい。複合体層104の厚さが薄すぎるとコントラストが低下し、厚すぎると駆動電圧が上昇する傾向が増大するため好ましくない場合が多い。
【0042】
シール層105として、透明性の高い樹脂であれば公知のどのようなものを使用することも可能である。透明性の高い樹脂を使用すれば、表示素子は全面に亘って透明感が高まり、文字や図形が空中に浮かんだように見える状態が強調される。例えば、基板101,108としてガラス基板を使用した場合には、ガラスの屈折率に近似した屈折率を有するエポキシ樹脂やアクリル樹脂を使用すれば、空中に透明なガラスが浮いているような状態を実現できる。
【0043】
以上のように作製された画像表示装置10は、表示画素の透過状態と散乱状態との間の応答速度が3ms以下と非常に速くすることができる。また、従来の液晶による散乱透過モードと比べると視野角依存性が良好であり、斜めから見たときにも非常に良好な透過状態を得ることができるようにすることができる。例えば、上記した組成の硬化性化合物と液晶とを含有する複合体を使用した場合、垂直から40度傾けて見た場合もほとんどヘイズがないようにすることができる。
【0044】
表示素子1のサイズとして、対角線の長さが10cm程度のものから3m程度の大きいものを含め、どのようなサイズのものも使用することができる。
【0045】
画像表示装置10において、表示素子1を複数枚用いてもよい。また、表示素子1に対する耐衝撃性を増すために、上下の基板101,108を固定させてもよい。
【0046】
表示素子1の表裏の表面には、反射防止膜または紫外線遮断膜を設けることが好ましい。例えば、表示素子1の表裏に、SiO2やTiO2などの誘電体多層膜よりなるARコート(低反射コート)処理を施すことにより、基板表面での外光の反射を減らすことができ、コントラストをより向上させることができる。
【0047】
また、表示素子1において、高開口率のアクティブ素子(TFTなどの3端子素子やTFDなどの2端子素子)を駆動素子として用いたり、各画素を全て単独に駆動できるように配線を施すことにより、ドットマトリクス表示が可能である。
【0048】
光源となる照明2として、蛍光灯、メタルハライドランプ、LED光源、ハロゲンランプなどを使用することができる。フィールドシーケンシャルカラー方式を実現する場合、例えば、赤、緑、青の光源を順次点灯する方法を用いてもよいし、白色光に対してカラーフイルターを組み合わせて順次発色の色を変える方法を用いてもよい。高速スイッチング性を考慮するとLED光源を使用することが好ましい。
【0049】
図4は、本発明の画像表示装置10の適用例を示す模式的断面図である。図4に示す例では、自動車内のインスツルメントパネル5の前面に表示素子1が配置され、表示素子1とインスツルメントパネル5の間の上部に照明2が配置されている。観察者(この例では運転者)3は、ハンドル6の向こう側に視認される表示素子1の透明部(非表示部)を介してインスツルメントパネル5の表示内容を視認できる。なお、表示素子1の中心位置から照明2を眺めた角度は、表示素子1の法線に対して約45度傾いている。
【0050】
図5は、表示素子1の表示例を示す説明図である。図5に示す例では、表示素子1における上部に緊急メッセージなどのアラーム表示用の表示部7が設けられ、左下部には速度表示用の表示部8、右下部には方向指示等の表示部9が設けられている。表示部7,8,9以外の部分は透明部であり、図5には示されていないが、透明部を介してインスツルメントパネル5の表示内容が視認できる。
【0051】
次に、本発明の画像表示装置10において用いられるフィールドシーケンシャルカラー方式における照明と表示素子1の駆動との関係を、図6〜図9のタイミング図を用いて説明する。
【0052】
図5に示す表示素子1における表示部8に白の発色を、表示部7に赤の発色をさせる場合を想定する。照明2における光源として、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の光源を用いる。図6に示すように、3色を順次点灯し、RGBの全てが1回点灯する周期を1フレームとする。Rの点灯時間、Gの点灯時間、Bの点灯時間全てに対して表示部8が散乱状態であれば、表示部8は白発色をする。表示部7がRの点灯時間のみ散乱状態でありGBの点灯時間では透明状態であれば、表示部7は赤発色をする。
【0053】
3色の光源の点灯周期に相当する1フレームの周期は(1/40)秒以下であることが好ましい。すなわち、3色の光源の点灯の周波数に相当するフレーム周波数が40Hz以上であることが好ましい。40Hz未満であると、ちらつきが視認される可能性があるからである。より好ましくは、フレーム周波数を50Hz以上、さらに好ましくは60Hz以上とする。
【0054】
上記のように作製された表示素子1は、光透過状態と光散乱状態をとることができる液晶層としての複合体層104に所定の電圧(例えば60V)が印加されているときに光散乱状態となり、複合体層104に対して電圧無印加のときに光透過状態となる。従って、図6において、散乱信号ONとは、透明電極102,107間に所定の電圧が印加されていることに相当し、透明信号ONとは、透明電極102,107間の電位差が0Vである状態に相当する。
【0055】
なお、複合体層104に所定の電圧が印加されているときに光透過状態となり、複合体層104に対して電圧無印加のときに光散乱状態となる表示素子を用いてもよい。そのような表示素子を用いる場合には、散乱信号ONとは、透明電極102,107間の電位差が0Vである状態に相当し、透明信号ONとは、透明電極102,107間に所定の電圧が印加されていることに相当する。
【0056】
また、以下、図6に示す光源ONおよび光源OFFのタイミングを生成するための信号、すなわち光源ONおよび光源OFFの立ち上がりおよび立ち下がりを各光源に指示するための信号を切替信号という。
【0057】
図10は、表示素子1を駆動する駆動回路の一構成例を示すブロック図である。図10に示す例では、表示部7を駆動するための一方の透明電極1021、表示部8を駆動するための一方の透明電極1022および表示部9を駆動するための一方の透明電極1023に対して、タイミング制御回路201の指示に応じて駆動電圧を印加する行電極駆動回路203と、表示部7を駆動するための他方の透明電極1072、表示部8を駆動するための他方の透明電極1071および表示部9を駆動するための他方の透明電極1073に対して、タイミング制御回路201の指示に応じて駆動電圧を印加する列電極駆動回路204とが設けられている。行電極駆動回路203と列電極駆動回路204とには、電圧生成回路202から駆動電圧が供給される。電圧生成回路202は、車載のバッテリから電力供給を受ける。
【0058】
なお、透明電極1021,1022,1023は図2に示す透明電極102に相当し、透明電極1071,1072,1073は図2に示す透明電極107に相当する。また、図10では、透明電極1021,1022,1023,1071,1072,1073の引き出し部分のみが示されている。
【0059】
タイミング制御回路201は、例えば図6に例示されたタイミングで、赤色光源31、緑色光源32および青色光源33を点灯させる。すなわち、赤色光源31、緑色光源32および青色光源33に切替信号を与える。表示部7がドットマトリクスで構成されている場合には、表示部7を駆動するための一方の透明電極1021と表示部7を駆動するための他方の透明電極1072との交点がドット(画素)を形成する。その場合、タイミング制御回路201は、例えば、赤色光源31、緑色光源32および青色光源33のそれぞれが点灯している期間(1フレームの1/3の時間)で、透明電極1021の各々に順次駆動電圧が印加されるように行電極駆動回路203に指示を与える。また、透明電極1072の各々に、表示データに応じて駆動電圧を印加する。
【0060】
透明電極1021および透明電極1072に印加される駆動電圧は、例えば±30Vであり、所定のタイミングで透明電極1021の駆動電圧と透明電極1072の駆動電圧との正負を代えて交流駆動することが好ましい。
【0061】
表示部8,9が複数のセグメントで形成される場合には、タイミング制御回路201は、図6に例示された散乱信号ONの状態ではコモン電極に相当する透明電極1022,1023に駆動電圧(例えば−30V)が印加されるように行電極駆動回路203に指示を与え、表示されるべきセグメントに接続される透明電極1071,1073に駆動電圧(例えば+30V)が印加されるように列電極駆動回路204に指示を与える。
【0062】
なお、ここでは、表示部8,9が複数のセグメントで形成される場合を例にするが、表示部8,9は、表示部7と同様に、ドットマトリクスで形成されていてもよい。
【0063】
切替信号の入力とほぼ同時に光源のRGBの発色を切り替えることができるが、表示部7,8,9は散乱信号や透明信号の入力(具体的には透明電極1021,1022,1023,1071,1072,1073への駆動電圧印加開始または駆動電圧消去)に対してすぐに変化させることができない。表示素子の応答性に遅れがあるためである。散乱状態が所望の光源色以外でも維持されていると色の混色が起こり色劣化の原因となるので、散乱状態が所望の光源色以外でも維持されている状況の発生を回避する必要がある。そこで、光源に対する切替信号入力のタイミングと表示部7,8,9に対する信号入力(駆動電圧印加開始または駆動電圧消去)のタイミングとをずらすことが好ましい。
【0064】
例えば、タイミング制御回路201が、図7に示すように、表示部7に対する透明信号ONの開始時間を切替信号に対して早めたり、切替信号の直前に表示部8に対して散乱信号ONとしないOFF期間を設けるようにタイミング制御することによって色劣化を低下させることができる。なお、図7でも、表示部8を白発色させ、表示部7を赤発色させる例が示されている。
【0065】
図7に示すOFF期間を長くすると、散乱信号ONの期間が短くなって表示部が暗くなってしまう。OFF期間は、散乱状態が所望の光源色以外でも維持されていることに起因して発生する混色を防止しつつ、散乱信号ONの期間をできるだけ長くするように、2ms程度が好ましい。
【0066】
また、タイミング制御回路201が、図8に示すように、各光源31,32,33のON時間と次のON時間との間にOFF時間を設けるようにタイミング制御することによっても色劣化を低下させることができる。なお、図8に示す例では、図7に示す例とは異なり、散乱信号ONの期間は短縮されていない。また、図8に示す例では、表示部8はRB混色発色するように視認され、表示部7はGB混色発色するように視認される。
【0067】
さらに、タイミング制御回路201が、図9に示すように、各光源31,32,33のON時間と次のON時間との間にOFF時間を設けるようにタイミング制御するとともに、各光源31,32,33がOFFになる前に散乱信号ONおよび透明信号ONが開始されるようにタイミング制御することによっても色劣化を低下させることができる。なお、図9に示す例では、表示部8はRB混色発色するように視認され、表示部7はGB混色発色するように視認される。
【0068】
3つの光源31,32,33を設けた場合には、表示素子1の表示部に、赤色、RG混色、RB混色、RGB混色(白色)、緑色、GB混色および青色の7色の発色をさせることができる。すなわち、透明を含めると、8色の発色をさせることができる。混色をマルチカラーと呼ぶことにすると、1つの表示素子1における異なる表示部において、単色表示とマルチカラー表示とを同時に行わせることができる。
【0069】
また、1つの表示部において、異なるタイミングで、表示色が単色である場合と表示色がマルチカラーである場合とがあるようにすることもできる。例えば、表示部7において、ある期間において赤色発光させ、他の期間においてRB混色発色させるような場合である。異なるタイミングで、表示色が単色である場合と表示色がマルチカラーである場合とがあるようにすると、例えば、表示部をアラーム表示する表示部として使用する場合に、アラームの種類に応じて異なる発色でアラーム表示することができる。
【0070】
また、図6〜図9に示す各例のそれぞれにおいて、タイミング制御回路201が、散乱信号ONの期間の長さは基本的に1種類であるが、散乱信号ONの期間の長さを可変に制御することによって、より多くの種類の発色をさせることができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、照明2として3つの光源31,32,33を設けた場合を例示したが、異なる光源色を発する2つの光源を用いてもよい。2つの光源を用いた場合にも、フィールドシーケンシャルカラー方式によって表示素子1において光源色に応じた多色の表示色を得ることができる。
【0072】
本発明に係る画像表示装置10は、自動車用の表示装置の他、飛行機の操縦席用のディスプレイ、ショーウインドウや展望台などの演出、オフィスや工場、展示場などの受付近くに設置される情報表示、ゲーム機などの画像表示装置などとして使用できる。例えば、ゲーム機に設けられている、絵柄等が描かれている可動演出部材の全面に画像表示装置10を設置し、可動演出部材の動作中では表示素子1の全表示画素を透過状態にし、可動演出部材が停止しているときには、表示素子1の表示部においてカラー表示を行わせる。
【0073】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。実施例中、「部」は重量部を意味する。
【0074】
〔例1〕
シアノ系ネマチック液晶(メルク社製BL−006,誘電率異方性は正)95部,図3の(c)に示される未硬化の硬化性化合物を5部,ベンゾインイソプロピルエーテル0.15部をブレンドし、カイラル剤(メルク社製S−811とメルク社製C15の重量比1:1の混合物)2.5部を溶解した混合組成物を調整した。
【0075】
そして、透明電極102,107上に形成したポリイミド薄膜を一方向にラビングした一対の基板101,108を、ラビング方向が平行になるように対向させ、直径が13μmの樹脂ビーズを微量散布し、四辺に幅約1mmで印刷した透明なエポキシ樹脂により貼り合わせて作製したセル中に上記混合組成物を注入した。このようにして形成された電気光学セルを25℃に保持した状態で、主波長が約365nmのHgXeランプにより、上側より3mW/cm2、下側より同じく約3mW/cm2の紫外線を3分間照射して表示素子1を得た。
【0076】
図3の(c)の化合物は、式(1)でA1,A2がアクリロイル基で、R1,R2がプロピレン基で、Zのメソゲン構造部が4,4’−ビフェニレン基で、n,mがともに1である場合に相当する。
【0077】
このようにして作製された表示素子1に矩形波50Hz、50Vrmsの電圧を10分印加した後電圧を消去する操作を10回繰り返した。その後、530nmを中心波長とした半値幅約20nmの測定光源を用いた透過率測定系(光学系のF値11.5)で透過率を測定したところ、電圧を印加しない状態で80%であり、この値を50Vrms印加した時の透過率で割ったコントラストの値は28であった。
【0078】
照明2として、赤(R)、緑(G)、青(B)の3種のLED光源を用いた。光源と表示素子の駆動信号の関係は図7を用いた。フレーム周波数を60Hz、OFF期間を2msecとした。
【0079】
そして、図4に示すような車用のインスツルメントパネル5の前面に表示素子1を配置し、表示素子1とインスツルメントパネル5の間の上部に照明2を配置した。照明2の設置位置を、表示素子1の中心から延びる法線に対して約45度傾いた位置とした。そして、図5に示す様なパターンを表示素子1に表示させた。すなわち、上部の表示部7を緊急メッセージなどのドット表示可能な表示部とし、左下部の表示部8を速度表示の表示部、右下部の表示部9を方向指示等の表示部とした。
【0080】
フィールドシーケンシャルカラー方式を用いることにより、各場所で所望の発色を同時に得ることが可能である。例えば、上部の表示部7に赤表示、左下部の表示部8に緑表示、右下部の表示部9に青表示させるようにした。表示内容によって色を変えることも可能であった。色を変えることにより注意喚起能力が向上した。また、表示としての斬新性もあり、楽しい表示を得ることができた。さらに、透明部からは、背景にあるインスツルメントパネル5の表示を見ることができ、立体的な表示が実現できた。
【0081】
また、表示として、車速情報、各種の警報、車間距離情報、水温計や距離計等の情報を色別によって表示することができ、矢印表示などによる簡易的なナビゲーションも表示することができた。
【0082】
〔例2〕
図2に示す模式的断面図を持つ表示素子1を次のように作製した。まず、誘電率異方性が負であるネマチック液晶(チッソ社製AG−1016XX)を80部、図3の(a)に示される硬化性化合物を20部、ベンゾインイソプロピルエーテルを0.2部混合し、混合組成物を調製した。
【0083】
次いで、透明電極102,107の上に垂直配向用ポリイミド膜(JSR社製JALS−682−R3)を形成した、長さ200mm,幅200mm,厚さ1.1mmの一対のガラス製の基板101,108を、ポリイミド薄膜が対向するようにして設置し、その間隙に微量の直径6μmの樹脂ビーズを配してから、基板101,108の四辺に約1mm幅のエポキシ樹脂層を印刷により設け、これを張り合わせて硬化し、表示素子1の周辺部が透明の樹脂のシール層105でシールされる状態にした。シール層105の一部を解放しておき、シール層105の硬化後、このようにして形成されたセル中に上記混合組成物を注入して電気光学セルを得て、その後シール層105の解放部を透明なエポキシ樹脂で封止し、硬化して、図2に示すシール層105を完成させた。次に、垂直配向用ポリイミド膜の働きで液晶分子が基板面に垂直方向に配向性を示すような状態に保ったまま硬化性化合物を硬化し、複合体層104を形成した。
【0084】
具体的には、注入された混合組成物を40℃に保持した状態で、主波長が約365nmのHg−Xeランプにより、上側より約2.5mW/cm2、下側より同じく約2.5mW/cm2の紫外線を10分間照射し、表示素子1を得た。
【0085】
電気光学素子の複合体層104の透過光線散乱状態の立ち上がり時間は約1.5msで、立ち下がり時間は約2msであった。
【0086】
配置や表示例等を例1と同様にし、同様な結果が得られた。
【0087】
〔例3〕
例2と同様にして作成した2枚の表示素子1を空間をあけて積層して表示に用いた。例えば、後方の表示素子がEMERGENCYのメッセージ表示を行って前方の表示素子は何ら表示をしていない状態と、前方の表示素子がEMERGENCYのメッセージ表示を行って後方の表示素子は何ら表示をしていない状態とを繰り返すことにより、空間的にEMERGENCYのメッセージ表示が前後に移動したように見えた。
【0088】
[例4]
表示素子1を例2と同様に作成したが、ギャップ制御用の樹脂ビーズに代えて、上下の基板101,108を接着可能な接着型スペーサを用いた。透明電極102,107に垂直配向膜ポリイミド膜を形成した基板101,108に、接着型スペーサ液を塗布し、フォトリソ法を用いてパターニングした。300μm×300μm間隔で20μm×20μmのサイズで高さ6μmの柱状のスペーサを作成した。その後は、例2と同様な工程を用いたが、最後に熱処理により上下の基板101,108を接着させた。これにより電圧無印加時の透明性が衝撃等により劣化する現象が、大幅に減少した。
【0089】
【発明の効果】
本発明の画像表示装置によれば、表示素子の任意の部分に、2色以上の発色を同時にさせることができて、非表示部はガラスの様に透明で背景を見ることが可能な表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像表示装置を示す模式的外観図。
【図2】 本発明の表示素子を示す模式的断面図。
【図3】 表示素子に用いることのできる硬化性化合物を例示する図。
【図4】 本発明の画像表示装置の適用例を示す模式的断面図。
【図5】 本発明に係る画像表示装置の表示の一例を示す模式図。
【図6】 本発明に係る画像表示装置の表示素子の駆動と照明との関係を示す模式図。
【図7】 本発明に係る画像表示装置の表示素子の駆動と照明との関係を示す模式図。
【図8】 本発明に係る画像表示装置の表示素子の駆動と照明との関係を示す模式図。
【図9】 本発明に係る画像表示装置の表示素子の駆動と照明との関係を示す模式図。
【図10】 表示素子を駆動する駆動回路の一構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
1 表示素子
2 照明
3 観察者
4 背景
5 インスツルメントパネル
6 ハンドル
7,8、9 表示例
10 画像表示装置
101,108 ガラス基板
102,107 透明電極
103,106 配向膜
104 複合体層
105 シール層
201 タイミング制御回路
202 電圧生成回路
203 行電極駆動回路
204 列電極駆動回路
Claims (11)
- 観察者が、表示素子の透明部を介して、表示素子の一面である観察面の側から表示素子の背景を視認可能な画像表示装置であって、
前記表示素子は、光透過状態と光散乱状態をとることができる液晶層が透明な一対の電極付き基板間に挟持された構成であり、
2以上の光源色を発し、光源色によって前記表示素子を照明する光源が設けられ、
前記光源は、表示素子の非観察面の外側であって表示素子の中心から延びる法線に対して観察面の側から直接視認できない程度に傾いた角度の位置に配置され、光源色を順次発色し、各光源色の点灯の周波数が40Hz以上であり、一または複数の光源色の前記表示素子への照明に連動して、前記表示素子の表示面の少なくとも一部を光散乱状態にせしめ、前記一または複数の光源色に応じた表示色を得る画像表示装置。 - 表示素子が、電圧無印加時に光を透過し、電圧印加時に光を散乱する動作モードを有する請求項1に記載の画像表示装置。
- 光源が、赤色、青色、緑色を単独に発色可能である請求項1または2に記載の画像表示装置。
- 表示色が8色以上である請求項1、2または3に記載の画像表示装置。
- 異なる表示タイミングにおいて、表示色が単色である場合と、表示色がマルチカラーである場合とを含む請求項1、2、3または4に記載の画像表示装置。
- 自動車の速度表示に用いられてなる請求項1、2、3、4または5に記載の画像表示装置。
- アラーム表示に赤色が用いられてなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- ゲーム機器の表示装置として用いられてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 光源が、表示素子の非観察面の外側であって表示素子の中心から延びる法線に対して45〜60°傾いた角度の位置に配置された請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 電圧無印加時の表示素子の透過率が80%以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 一の光源色の発光から他の光源色の発光に切り替えられる際に、表示素子を光散乱状態にするための散乱信号にOFF期間が設けられてなる請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像表示装置。
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