JP2004168185A - タイヤ空気圧監視装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ空気圧の調整を実施する際、タイヤの内部温度と外気温度を勘案してタイヤ空気圧が適正空気圧に調整されたか否か判定し、よってタイヤの内部温度が外気温度より高いときにタイヤ空気圧の調整を実施しても、内部温度が外気温度まで低下したときにタイヤ空気圧が適正空気圧を下回ることがないようにしたタイヤ空気圧監視装置を提供する。
【解決手段】空気圧調整意図確認ブロック54eでユーザがタイヤ空気圧の調整を実施する意図があることが確認されたとき、推奨(適正)空気圧補正ブロック54fでセンサユニット16の温度センサ26でタイヤの内部温度TTを検出すると共に、外気温センサ62で車両が位置する場所の外気温度TOを検出し、検出した内部温度TTと外気温度TOの偏差に基づいて推奨(適正)空気圧を補正する。
【選択図】 図7
【解決手段】空気圧調整意図確認ブロック54eでユーザがタイヤ空気圧の調整を実施する意図があることが確認されたとき、推奨(適正)空気圧補正ブロック54fでセンサユニット16の温度センサ26でタイヤの内部温度TTを検出すると共に、外気温センサ62で車両が位置する場所の外気温度TOを検出し、検出した内部温度TTと外気温度TOの偏差に基づいて推奨(適正)空気圧を補正する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤ空気圧監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車(車両)のユーザにとって、始業点検の際、エンジンオイルやラジエータ冷却液の残量などは目視によって外部から容易に確認することができるが、タイヤの空気圧が適正か否かは外部から確認することが困難である。
【0003】
その意図から従来より、車両のタイヤに空気圧センサや送信アンテナなどを含むセンサユニットを取りつけ、タイヤ空気圧を示す出力を送信させると共に、車両の適宜位置に受信アンテナを含む監視ユニットを設けて前記出力を受信し、検出タイヤ空気圧が所定の空気圧を下回るとき、警告灯を点灯してユーザに報知するようにしたタイヤ空気圧監視装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、タイヤ空気圧の検出手法としては、上記の他、特許文献2で提案されるようにABS(Antilock Brake System)用の車輪速センサの出力から推定することも良く知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000─142043号公報(段落0009から0013、図1など)
【特許文献2】
特開平6−92114号公報(段落0021など)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
タイヤに充填された空気量が同一であっても、その内部温度が変化することによって空気圧は変化する。即ち、タイヤの内部温度が上昇すれば空気圧も上昇し、内部温度が低下すれば空気圧も低下する。このため、車両の走行直後など、タイヤの内部温度が外気温度より高いときにタイヤ空気圧を調整すると、本来充填すべき空気量より少ない空気量で適正空気圧に達してしまうため、本来充填すべき空気量がタイヤに充填されず、タイヤの内部温度が外気温度まで低下したときにタイヤ空気圧が適正空気圧を下回る恐れがあった。
【0007】
従って、この発明の目的は上記した不都合を解消し、タイヤ空気圧の調整を実施する際、タイヤの内部温度と外気温度を勘案してタイヤ空気圧が適正空気圧に調整されたか否か判定し、よってタイヤの内部温度が外気温度より高いときにタイヤ空気圧の調整を実施しても、内部温度が外気温度まで低下したときにタイヤ空気圧が適正空気圧を下回ることがないようにしたタイヤ空気圧監視装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は、請求項1項において、車両に装着されたタイヤの空気圧を空気圧センサで検出し、検出値と適正空気圧を比較して前記タイヤ空気圧が適正か否か判定するタイヤ空気圧監視装置において、前記タイヤ空気圧の調整時に前記タイヤの内部温度と前記車両が位置する場所の外気温度を検出し、検出したタイヤの内部温度と外気温度の偏差に基づいて前記適正空気圧を補正するように構成した。
【0009】
タイヤ空気圧の調整時にタイヤの内部温度と車両が位置する場所の外気温度を検出し、検出したタイヤの内部温度と外気温度の偏差に基づいて適正空気圧を補正する、具体的には、タイヤの内部温度が外気温度より高いときは適正空気圧を高い値に設定するように構成したので、タイヤ空気圧の調整を実施する際、タイヤの内部温度と外気温度を勘案してタイヤ空気圧が適正空気圧に調整されたか否か判定することができ、よってタイヤの内部温度が外気温度より高いときにタイヤ空気圧の調整を実施しても、本来充填すべき空気量をタイヤに充填することができるため、内部温度が外気温度まで低下したときにタイヤ空気圧が適正空気圧を下回ることがない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1はその一つの実施の形態に係るタイヤ空気圧監視装置を全体的に示す概略説明図である。
【0012】
符号10はそのタイヤ空気圧監視装置を示し、タイヤ空気圧監視装置10は、車両12に装着された符号14で総称する4個のタイヤのそれぞれに配置された、符号16で総称する4個のセンサユニットと、車両12の室内の適宜位置に搭載される1個の監視ユニット20を備える。尚、4個のタイヤ14およびそれに対応するセンサユニットは、具体的には、図示の如く、前右側FRを14FRあるいは16FR、後右側RRを14RRあるいは16RR、前左側FLを14FLあるいは16FL、後左側RLを14RLあるいは16RLで示す。
【0013】
図2はセンサユニット16の構造を示す説明断面図である。
【0014】
図示の如く、センサユニット16は、金属製のホイールディスク(リム)14aに装着された空気注入用のバルブ14bと一体的に構成される。ホイールディスク14aとバルブ14bの間にはグロメット(ブッシュ)14b1が介挿され、バルブ14bのステム14b2の外周に突出して形成されるフランジ部14b3と、ナット14b4(およびワッシャ14b5)でグロメット14b1を挟持することにより、バルブ14bは図示位置に固定される。バルブ14bは、ホイールディスク14aの内部側において拡大され、そこにセンサユニット16の本体16aが接続される。尚、符号14b6はキャップを、14b7は空気充填用のバルブコアを示す。
【0015】
図3は、センサユニット16の本体16aの構成を詳細に示すブロック図である。
【0016】
センサユニット16の本体16aは、CPU22と、ホイールディスク14aの内部の空気圧、即ち、タイヤ空気圧を示す出力を生じる圧力センサ(空気圧センサ)24と、その部位の温度(タイヤの内部温度)を示す出力を生じる温度センサ26を備える。センサ24,26の出力は、A/D変換回路(図示せず)を介してデジタル値に変換され、CPU22に入力される。尚、CPU22および圧力センサ24などの構成部品は、1枚の回路基板28の上に一体的に搭載されてワンチップ化される。
【0017】
また、本体16aには、電源(リチウム電池)30が配置されてCPU22の動作電源として機能する。また、本体16aには送信アンテナ32と受信アンテナ34が設けられて圧力センサ24と温度センサ26の出力を監視ユニット20に送信する一方、監視ユニット20からの送信を受信する。
【0018】
図3では図示は省略するが、電源30とCPU22の間の電源回路の適宜位置には電圧センサが設けられ、電源30の出力電圧に応じた信号を出力する。電圧センサの出力もA/D変換され、CPU22に入力される。
【0019】
図1の説明に戻ると、監視ユニット20は、車室内の適宜位置に配置されてハウジング20a内に収容された本体20b(図1で図示省略)と、タイヤ14のそれぞれの付近に配置されてハウジング内に収容された、符号40で総称する4個の受信アンテナと、符号42で総称する4個の送信アンテナを備える。即ち、監視ユニット20は、タイヤ14FRから14RLに対応して配置された受信アンテナ40FRから40RLと、送信アンテナ42FRから42RLを備える。受信アンテナ40と送信アンテナ42は、同軸ケーブル44を介してハウジング20a内の本体20bに接続される。
【0020】
さらに、監視ユニット20は、車両12の運転席のダッシュボードに配置されたインディケータ46を備える。インディケータ46と監視ユニット20のハウジング20a内の本体20bは、ハーネス48を介して接続される。
【0021】
また、車室内の適宜位置には空気圧調整用スイッチ(SW)50が設けられ、ハーネス52を介して監視ユニット20に接続される。
【0022】
図4は、監視ユニット20の本体20bなどの構成を詳細に示す説明ブロック図である。
【0023】
図示の如く、監視ユニット20の本体20bは、CPU54を備える。CPU54も、センサユニット16の本体16aと同様、1枚の回路基板56の上に搭載されてワンチップ化される。CPU54は、前記した受信アンテナ40を介してセンサユニット16からのデータを受信すると共に、送信アンテナ42を介して後述するようにデータを送信する。
【0024】
また、図1では図示を省略したが、車両12のドライブシャフト(図示せず)の付近には車速センサ58が配置され、車速VSPを示す信号をCPU54に出力する。
【0025】
さらに、エンジンのカム軸またはクランク軸(いずれも図示せず)の付近にはクランク角センサ60が配置され、所定クランク角毎に出力を生じる。CPU54は、クランク角センサ60の出力をカウントしてエンジン回転数NEを算出する。また、エンジンルーム(図示せず)の適宜位置には外気温センサ62が配置され、車両12が位置する場所の外気温度TOを示す信号をCPU54に出力する。
【0026】
さらに、運転席に装着されたシフトレバー(より具体的には、自動変速機用のシフトレバー。図示せず)の付近には、シフトポジションセンサ64が配置され、P,R,N,D5,D4,D3,2,1の8種のポジションの中、ユーザ(運転者)によって選択されているポジションを示す信号をCPU54に出力すると共に、運転席に装着されたパーキングブレーキ(図示せず)の付近にはパーキングブレーキ・スイッチ(SW)66が配置され、パーキングブレーキが作動しているときはオン信号を、解除されているときはオフ信号をCPU54に出力する。
【0027】
インディケータ46は、第1、第2の警告灯46a,46bと、5個の表示パネル46c,46d,46e,46f,46gとを備える。インディケータ46は、前記したように、本体20bに接続、より詳しくはそのCPU54に接続される。
【0028】
ここで、CPU54の動作電源について説明すると、図示の如く、監視ユニット20において、インディケータ46は車両12に搭載された車載バッテリ電源70にイグニション・スイッチ72を介して接続され、ユーザがイグニション・スイッチ72をオンしたとき、通電されて動作(表示)電源を供給される。
【0029】
それに対し、監視ユニット20において、CPU54は、車載バッテリ電源70と独立に設けられた第2のバッテリ電源74に定電源回路76を介して接続される。前記したように、センサユニット16の電源30はリチウム電池であることから、センサユニット16はタイヤ空気圧などを示す出力を、イグニション・スイッチ72がオフ、即ち、車両12のエンジン(図示せず)が停止されるときも検出(測定)して送信すると共に、監視ユニット20も常時その送信を受信して後述するようにタイヤ空気圧などが適正か否か判定する。
【0030】
さらに、インディケータ46は、CPU54から第1、第2の警告灯46a,46bや表示パネル46cなどの点灯指示信号が出力されたときは、その出力は信号線481を介してスイッチング回路78に送られてスイッチング回路78をオンして車載バッテリ電源70から動作電源を供給される。即ち、インディケータ46は、CPU54においてタイヤ空気圧などが不適正と判定されたときは、イグニッション・スイッチ72のオン・オフの如何に関わらず点灯されるため、ユーザは容易に始業点検を行なうことができる。尚、インディケータ46に動作電源が供給されると、その信号が信号線482(および図示しない遅延回路)を介してCPU54に入力され、CPU54は遅延時間後にインディケータ46の起動を認識する。
【0031】
図5は、CPU54のタイヤ空気圧などの検出・送信動作を示すタイム・チャートである。
【0032】
同図(a)は、タイヤ空気圧が適正な状態(適正か否かの判断については後述する)のときのタイム・チャートである。
【0033】
タイヤ空気圧が適正な場合にあっては、センサユニット16においてCPU22は測定周期(例えば7.0sec)ごとにセンサ出力をA/D変換して入力する(読み込む)と共に、送信周期(例えば4.0minから8.0min)ごとに入力値(検出値)を監視ユニット20に接続された受信アンテナ40へ送信する。尚、送信周期は4個のセンサユニット16ごとに僅かずつずらされる。
【0034】
尚、センサユニット16の送信アンテナ32から監視ユニット20に接続された受信アンテナ40を介してのデータ送信は、周波数は315MHzで行われる。また、後述するように、監視ユニット20の送信アンテナ42からセンサユニット16の受信アンテナ34を介してのデータ送信も、同一の周波数で行われる。
【0035】
また、センサユニット16からの送信データは、図6に示すように、IDパルス列(後述)、およびその他の圧力センサ出力(デジタル変換値)、温度センサ出力(デジタル変換値)および電圧センサ出力(デジタル変換値)を示すパルス列の順で結合された、例えば56ビットの信号(IDパルス列が32ビット、圧力センサ出力、温度センサ出力および電圧センサ出力を示すパルス列がそれぞれ8ビット)を1単位として構成される。
【0036】
IDパルス列は同図の下部に示すように、4個のセンサユニット16が対応する、1セット分(4個)のタイヤ14のそれぞれに個別に添付されるバーコードからなる。即ち、バーコードは、車両12を工場から出荷するとき、前記した14FLなどの4個のタイヤごとに別々に付与されると共に、車両12が異なるときは別々に付与される。従って、1つのバーコード(IDパルス列)は、対象となる車両群の中のある一つのタイヤを特定する。
【0037】
監視ユニット20にあってCPU54は、4個のタイヤ14のいずれかの検出タイヤ空気圧が不適正であると判断されるとき、インディケータ46の第1の警告灯46aなどを点灯すると共に、送信アンテナ42および受信アンテナ34を介してセンサユニット16に送信周期切り換え信号を出力する。CPU54は、そのとき、前記したIDパルス列を付して送信する。
【0038】
従って、そのIDパルス列で特定されるセンサユニット16FRから16RLのいずれかにおいて、該当するCPU22は送信周期切り換え信号が自己宛ての指令であることを認識し、送信周期を切り換える。
【0039】
さらに、ユーザが車両12を購入した後、タイヤ14のローテーションを実施することもあり得ることから、監視ユニット20においてCPU54は、センサユニット16の送信アンテナ32から送信され、監視ユニット20に接続された受信アンテナ40で受信される4個の送信データの中、受信強度(電波強度)が最も高いものを、対応するタイヤのセンサユニット16からの送信データと判別する。
【0040】
受信アンテナ40FRを例にとって具体的に説明する。今、前述の図1に示す如く、受信アンテナ40FRに最も近いタイヤが14FRである場合、送信間隔ごとに順次送信される4個のタイヤについての送信データの中、受信アンテナ40FRの受信強度が最も高いのはセンサユニット16FRからの信号であるから、CPU54は、センサユニット16FRからの送信データを車両の右前輪FRの情報と判別する。
【0041】
他方、タイヤ14のローテーションを実施した結果、受信アンテナ40FRに最も近いタイヤが14RLとなり、よって受信アンテナ40FRに最も近いセンサユニットが16RLになったとすると、受信アンテナ40FRは、センサユニット16RLからの送信データの受信強度が最も高くなる。CPU54は、その最も受信強度が高いセンサユニット16RLからの送信データを車両の右前輪の情報と判別し、CPU54に書き込まれている車両の右前輪を示すIDパルスを、センサユニット16FRのものからセンサユニット16RLのものに置き換える。
【0042】
図5の説明に戻ると、同図(b)はタイヤ空気圧が不適正な状態にある場合のタイム・チャートである。
【0043】
その場合にあっては、監視ユニット20は、前記したように、送信周期切り換え信号を出力する。従って、センサユニット16は同一の測定周期(例えば7.0sec)ごとにセンサ出力をA/D変換して読み込むと共に、送信周期切り換え信号に応じて送信周期を短縮、例えば7.0secとする。
【0044】
これは、センサユニット16の電源30の蓄電容量が限られていることから、タイヤ空気圧などが適正な状態にある限り、送信周期を長くして電源電圧の消耗を可能な限り回避すると共に、タイヤ空気圧が適正な状態にないと判断されたときは、監視頻度を上げて速やかに報知することが望ましいためである。
【0045】
図7は、監視ユニット20、より正確にはそのCPU54の動作を機能的に示す説明ブロック図である。
【0046】
CPU54は、センサユニット16から送信アンテナ32を介して送信された、4個のタイヤ14についての空気圧を示す信号を受信アンテナ40を介して入力し、低圧側比較ブロック54aで入力値(圧力センサ24の検出値。以下「検出タイヤ空気圧」という)を第1の所定空気圧と比較する。第1の所定空気圧としては、推奨空気圧RCP(Recommended Cold Pressure 。車両12が放置されてタイヤ14が冷却しきったとき、換言すれば、タイヤの内部温度と外気温度TOが一致しているときの適正空気圧で、車種により予め設定される値)を0.8倍して得た値、即ち、推奨空気圧RCPより低い値を使用する。
【0047】
CPU54は、低圧側比較ブロック54aにおいて4個のタイヤの1つまたは2以上に関する検出タイヤ空気圧が第1の所定空気圧を下回っていると判断されるとき、そのタイヤが空気圧不足(不適正)と判定し、点灯指示信号(報知指示信号)をインディケータ46に出力し、第1の警告灯46aを点灯させると共に、アンテナ42,34を介してセンサユニット16に前記した送信周期切り換え信号を出力する。
【0048】
他方、低圧側比較ブロック54aにおいて4個のタイヤの全ての空気圧が第1の所定空気圧以上と判断されるときは、高圧側比較ブロック54bに進む。
【0049】
高圧側比較ブロック54bは、検出タイヤ空気圧が第2の所定空気圧を上回っているか否か判断する。第2の所定空気圧としては、推奨空気圧RCPを1.3倍して得た値、即ち、推奨空気圧RCPより高い値を使用する。
【0050】
CPU54は、高圧側比較ブロック54bで検出タイヤ空気圧が第2の所定空気圧を上回っていると判断されるとき、そのタイヤが空気圧過剰(不適正)と判定し、同様に点灯指示信号を出力し、第1の警告灯46aを点灯させると共に、アンテナ42,34を介してセンサユニット16に送信周期切り換え信号を出力する。
【0051】
他方、高圧側比較ブロック54bで4個のタイヤの全ての空気圧が第2の所定空気圧以下であると判断されるとき、即ち、検出タイヤ空気圧が第1の所定空気圧以上であると共に、第2の所定空気圧以下であると判断されるときは、そのタイヤの空気圧が適正であると判定し、消灯指示信号を出力して第1の警告灯46aを消灯させる。
【0052】
CPU54はさらに、センサユニット16からアンテナ32,40を介して送信された、4個のタイヤ14についてのホイールディスク14a内の温度、即ち、タイヤの内部温度を示す温度センサ26の出力を入力し、温度比較ブロック54cで入力値(以下「検出内部温度」という)を所定温度(例えば80℃)と比較する。
【0053】
CPU54は、温度比較ブロック54cにおいて4個のタイヤの1つまたは2以上の検出内部温度が所定温度以上と判断されるときは点灯指示信号を出力し、第1の警告灯46aを点灯させると共に、検出内部温度が所定温度未満と判断されるときは消灯信号を出力し、第1の警告灯46aを消灯させる。
【0054】
ここで、CPU54は点灯指示信号を出力して第1の警告灯46aを点灯させるとき、前記したIDパルス列に従って表示パネル46cに図示される車両図形の4個のタイヤの中の対応するものを表示させる。表示パネル46cは、タイヤ14が空気圧過剰、空気圧不足、または内部温度過上昇のいずれの状態にあるかをユーザが把握できるように、タイヤ14の状態に応じて点灯する色や点滅の仕方が相違させられる。
【0055】
図8は、表示パネル46cの拡大図である。同図において、前左側FLの斜線交差ハッチングはタイヤ空気圧が正常、後左側RLの横線ハッチングはタイヤの内部温度が過上昇、前右側FRの縦線ハッチングはタイヤ空気圧が不足、後右側RRの斜線ハッチングはタイヤ空気圧が過剰であることを示す。実際には、ハッチングの相違は色彩や点滅の仕方で示される。例えば、タイヤ空気圧が正常なときは青色で、タイヤ空気圧が不足のときは黄色で、タイヤ空気圧が過剰なときは赤色で、タイヤの内部温度が過上昇のときは赤色点滅で示される。尚、タイヤ空気圧の状態を、タイヤ空気圧が正常なときは「OK」、タイヤ空気圧が不足のときは「Low Pressure」、タイヤ空気圧が過剰なときは「High Pressure 」、タイヤの内部温度が過上昇のときは「High Temperature」など、文言で表示しても良い。
【0056】
また、図示の如く、表示パネル46cはタイヤ14の状態表示に加え、空気圧の調整方向(増減方向)を矢印で示すようにした。前後左側FL,RLのタイヤは正常あるいは内部温度が過上昇であることから矢印は非点灯とする一方、前右側FRについては不足していることから、上方向の矢印を空気圧不足を示す同様の色彩で点灯させると共に、後右側RRも下方向の矢印を空気圧過剰を示す同様の色彩で点灯させる。
【0057】
図7ブロック図の説明に戻ると、CPU54はさらに、センサユニット16からアンテナ32,40を介して送信された電源30の出力電圧を示す電圧センサの出力を入力し、電圧比較ブロック54dで入力値(以下「検出電圧」という)を所定電圧(例えば1.8V)と比較する。
【0058】
CPU54は、電圧比較ブロック54dにおいて検出電圧が所定電圧未満と判断されるときは点灯指示信号を出力し、第2の警告灯46bを点灯させると共に、検出電圧が所定電圧以上と判断されるときは消灯指示信号を出力し、第2の警告灯46bを消灯させる。
【0059】
また、CPU54は、空気圧調整意図確認ブロック54eを備える。空気圧調整意図確認ブロック54eは、前記した空気圧調整用スイッチ(SW)50および各センサの出力に基づき、ユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有しているか否か、より具体的には、ユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有しており、かつ車両12がタイヤ空気圧の調整を実施できる安全な状態にあるか否か判断する。
【0060】
図9は、空気圧調整意図確認ブロック54eの動作を示すフロー・チャートである。以下、図9を参照して空気圧調整意図確認ブロック54eの動作について説明すると、先ず、S10において、空気圧調整用スイッチ(SW)50がオン信号を出力しているか否か、即ち、ユーザによって空気圧調整用スイッチ50が操作されたか否か判断する。
【0061】
S10で肯定されてユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有していると判断されるときは、次いでS12に進み、車速センサ58から出力された車速VSPが零か否か判断する。S12で肯定されるときは、次いでS14に進んでクランク角センサ60の出力に基づいて算出されたエンジン回転数NEが零か否か判断し、S14で肯定されるときはS16に進んでシフトポジションセンサ64がP(パーキング)ポジションを示す信号を出力しているか否か判断する。
【0062】
S16で肯定されるときは、次いでS18に進み、パーキングブレーキ・スイッチ(SW)66がオン信号を出力しているか否か、即ち、パーキングブレーキが作動しているか否か判断する。S18で肯定されて車両12がタイヤ空気圧の調整を実施できる安全な状態にあると判断されるときは、S20に進み、最終的にユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有しているものと判定する。他方、S10からS18のいずれかで否定されるときは、S22でユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有していない(車両12がタイヤ空気圧の調整を実施できる安全な状態にない場合を含む)と判定してプログラムを終了する。
【0063】
図7ブロック図の説明に戻ると、空気圧調整意図確認ブロック54eにおいてユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有していることが確認されたときは、推奨(適正)空気圧補正ブロック54fに進む。
【0064】
推奨(適正)空気圧補正ブロック54fは、外気温センサ62から出力された外気温度TOとセンサユニット16から出力されたタイヤ14の内部温度の偏差に基づき、推奨空気圧RCPの補正を行なう。
【0065】
具体的には、推奨空気圧RCPの補正値RCP’を以下の式1に従って算出する。
RCP’=RCP×K×(TT/TO) ・・・式1
ここで、TTはタイヤ14の内部温度である。また、Kは実験によって予め定められる係数であり、タイヤ14のサイズ、偏平率、タイヤに加わる荷重などによって車種毎に設定される。
【0066】
式1から明らかなように、タイヤの内部温度TTと外気温度TOの偏差が大きくなるに従って、換言すれば、タイヤの内部温度TTが外気温度TOより高くなるに従って、推奨空気圧の補正値RCP’は大きな値となる。より具体的には、気体の状態方程式において体積(タイヤ容積)を一定としたときの温度上昇によって生じる圧力上昇分だけ大きな値となるように算出される。
【0067】
推奨(適正)空気圧補正ブロック54fで算出された推奨空気圧の補正値RCP’は、前記した低圧側比較ブロック54aに出力される。低圧側比較ブロック54aは、推奨空気圧の補正値RCP’が入力されると、推奨空気圧RCPに代え、その補正値RCP’に基づいてタイヤ14の空気圧が適正か否か判定する。
【0068】
即ち、低圧側比較ブロック54aは、推奨空気圧の補正値RCP’を0.8倍して得た値を前記した第1の所定空気圧として設定し、検出タイヤ空気圧がそれを下回っていると判断されるとき、そのタイヤが空気圧不足(不適正)と判定し、点灯指示信号(報知指示信号)をインディケータ46に出力して第1の警告灯46aを点灯させる。
【0069】
このとき、タイヤ14の内部温度TTが外気温度TOより高ければ、推奨空気圧の補正値RCP’は推奨空気圧RCPに比して大きな値となるため、推奨空気圧の補正値RCP’を0.8倍して得た第1の所定空気圧も大きくなる。即ち、タイヤ14の内部温度TTが高いときの第1の所定空気圧は、冷間時のそれよりも大きな値となる。
【0070】
従って、タイヤ14が空気圧不足であることを示す第1の警告灯46aの点灯を認識したユーザが、車両12の走行直後など、タイヤ14の内部温度TTが外気温度TOより高いときにタイヤ空気圧の調整を実施した場合、タイヤ空気圧を冷間時のそれに比して高い値まで上昇させなければ第1の警告灯46aが消灯されることはない。即ち、本来充填すべき空気量がユーザによってタイヤ14に充填されることとなる。このため、内部温度TTが外気温度TOまで低下したとき、タイヤ空気圧が推奨空気圧、より具体的には冷間時の第1の所定空気圧を下回ることがない。これにより、車両12の走行安定性(安全性)を確保することができると共に、タイヤ空気圧の不足が再び報知されて空気圧の調整を再度実施しなければならないという作業の煩雑さも解消することができ、ユーザの負担を軽減することができる。
【0071】
図7ブロック図の説明を続けると、低圧側比較ブロック54aにおいて4個のタイヤの全ての空気圧が補正値RCP’に基づいて算出した第1の所定空気圧以上と判断されるときは、高圧側比較ブロック54bに進む。高圧側比較ブロック54bでは、推奨空気圧の補正値RCP’を1.3倍して得た値を前記した第2の所定空気圧として設定し、検出空気圧がそれを上回っていると判断されるとき、そのタイヤが空気圧過剰(不適正)と判定し、同様に点灯指示信号を出力して第1の警告灯46aを点灯させる。
【0072】
他方、高圧側比較ブロック54bで4個のタイヤの全ての空気圧が補正値RCP’に基づいて算出した第2の所定空気圧以下であると判断されるときは、そのタイヤの空気圧が適正であると判定し、消灯指示信号を出力して第1の警告灯46aを消灯させる。
【0073】
このように、この実施の形態に係るタイヤ空気圧監視装置10にあっては、空気圧調整意図確認ブロック54eでユーザがタイヤ空気圧の調整を実施する意図があることが確認されたとき、推奨(適正)空気圧補正ブロック54fでセンサユニット16の温度センサ26でタイヤ14の内部温度TTを検出すると共に、外気温センサ62で車両12が位置する場所の外気温度TOを検出し、検出した内部温度TTと外気温度TOの偏差に基づいて推奨空気圧RCPを補正する(補正値RCP’を算出する)ように構成したので、タイヤ空気圧の調整を実施する際、内部温度TTと外気温度TOを勘案してタイヤ空気圧が推奨空気圧(具体的には、補正値RCP’に基づいて算出される第1の所定空気圧)に調整されたか否か判定することができ、よって内部温度TTが外気温度TOより高いときにタイヤ空気圧の調整を実施しても、本来充填すべき空気量をタイヤ14に充填することができるため、内部温度TTが外気温度TOまで低下したときにタイヤ空気圧が推奨空気圧(具体的には、推奨空気圧RCPに基づいて算出される冷間時の第1の所定空気圧)を下回ることがない。
【0074】
上記の如く、この実施の形態にあっては、車両12に装着されたタイヤ14の空気圧を空気圧センサ(圧力センサ24)で検出し、検出値(検出タイヤ空気圧)と適正空気圧(推奨空気圧)を比較して前記タイヤ空気圧が適正か否か判定するタイヤ空気圧監視装置10において、前記タイヤ空気圧の調整時に前記タイヤの内部温度TTと前記車両12が位置する場所の外気温度TOを検出し(センサユニット16の温度センサ26、外気温センサ62)、検出したタイヤの内部温度TTと外気温度TOの偏差に基づいて前記適正空気圧を補正する(監視ユニット20(具体的にはCPU54の中の推奨(適正)空気圧補正ブロック54f))ように構成した。
【0075】
尚、上記において、点灯指示信号および点滅指示信号をインディケータ46に送出して第1の警告灯46aを点灯あるいは点滅させるようにしたが、リモートキーレスエントリなどの携帯端末器に警告灯を設け、そこに点灯(点滅)指示信号を送出するようにしても良い。そうすることで、ユーザ(あるいは車両の製造や納車を行なう作業者)はリモートキーレスエントリなどを手元に置いてタイヤ空気圧の調整作業を行うことができるため、利便性が一層向上する。
【0076】
また、報知手段として視覚的に報知するインディケータ46を用いたが、音声で報知するスピーカ、ブザーなどを用いても良く、さらには両者を用いても良い。
【0077】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、タイヤ空気圧の調整時にタイヤの内部温度と車両が位置する場所の外気温度を検出し、検出したタイヤの内部温度と外気温度の偏差に基づいて適正空気圧を補正する、具体的には、タイヤの内部温度が外気温度より高いときは適正空気圧を高い値に設定するように構成したので、タイヤ空気圧の調整を実施する際、タイヤの内部温度と外気温度を勘案してタイヤ空気圧が適正空気圧に調整されたか否か判定することができ、よってタイヤの内部温度が外気温度より高いときにタイヤ空気圧の調整を実施しても、本来充填すべき空気量をタイヤに充填することができるため、内部温度が外気温度まで低下したときにタイヤ空気圧が適正空気圧を下回ることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係るタイヤ空気圧監視装置を全体的に示す概略説明図である。
【図2】図1装置の中のセンサユニットの構造を示す説明断面図である。
【図3】図1装置の中のセンサユニットの本体の構成を詳細に示すブロック図である。
【図4】図1装置の中の監視ユニットの本体などの構成を詳細に示す説明ブロック図である。
【図5】図2のセンサユニットの検出・送信動作を示すタイム・チャートである。
【図6】図2のセンサユニットの送信データの構成を示す説明図である。
【図7】図4の監視ユニットの本体のCPUの動作を機能的に示す説明ブロック図である。
【図8】図4の中の表示パネルの拡大図である。
【図9】図7のCPUの動作の中、空気圧調整意図確認ブロックの動作を示すフロー・チャートである。
【符号の説明】
10 タイヤ空気圧監視装置
12 車両
14 タイヤ
16 センサユニット
20 監視ユニット
24 圧力センサ(空気圧センサ)
26 温度センサ
54 (監視ユニットの)CPU
54f 推奨(適正)空気圧補正ブロック
62 外気温センサ
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤ空気圧監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車(車両)のユーザにとって、始業点検の際、エンジンオイルやラジエータ冷却液の残量などは目視によって外部から容易に確認することができるが、タイヤの空気圧が適正か否かは外部から確認することが困難である。
【0003】
その意図から従来より、車両のタイヤに空気圧センサや送信アンテナなどを含むセンサユニットを取りつけ、タイヤ空気圧を示す出力を送信させると共に、車両の適宜位置に受信アンテナを含む監視ユニットを設けて前記出力を受信し、検出タイヤ空気圧が所定の空気圧を下回るとき、警告灯を点灯してユーザに報知するようにしたタイヤ空気圧監視装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、タイヤ空気圧の検出手法としては、上記の他、特許文献2で提案されるようにABS(Antilock Brake System)用の車輪速センサの出力から推定することも良く知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000─142043号公報(段落0009から0013、図1など)
【特許文献2】
特開平6−92114号公報(段落0021など)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
タイヤに充填された空気量が同一であっても、その内部温度が変化することによって空気圧は変化する。即ち、タイヤの内部温度が上昇すれば空気圧も上昇し、内部温度が低下すれば空気圧も低下する。このため、車両の走行直後など、タイヤの内部温度が外気温度より高いときにタイヤ空気圧を調整すると、本来充填すべき空気量より少ない空気量で適正空気圧に達してしまうため、本来充填すべき空気量がタイヤに充填されず、タイヤの内部温度が外気温度まで低下したときにタイヤ空気圧が適正空気圧を下回る恐れがあった。
【0007】
従って、この発明の目的は上記した不都合を解消し、タイヤ空気圧の調整を実施する際、タイヤの内部温度と外気温度を勘案してタイヤ空気圧が適正空気圧に調整されたか否か判定し、よってタイヤの内部温度が外気温度より高いときにタイヤ空気圧の調整を実施しても、内部温度が外気温度まで低下したときにタイヤ空気圧が適正空気圧を下回ることがないようにしたタイヤ空気圧監視装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は、請求項1項において、車両に装着されたタイヤの空気圧を空気圧センサで検出し、検出値と適正空気圧を比較して前記タイヤ空気圧が適正か否か判定するタイヤ空気圧監視装置において、前記タイヤ空気圧の調整時に前記タイヤの内部温度と前記車両が位置する場所の外気温度を検出し、検出したタイヤの内部温度と外気温度の偏差に基づいて前記適正空気圧を補正するように構成した。
【0009】
タイヤ空気圧の調整時にタイヤの内部温度と車両が位置する場所の外気温度を検出し、検出したタイヤの内部温度と外気温度の偏差に基づいて適正空気圧を補正する、具体的には、タイヤの内部温度が外気温度より高いときは適正空気圧を高い値に設定するように構成したので、タイヤ空気圧の調整を実施する際、タイヤの内部温度と外気温度を勘案してタイヤ空気圧が適正空気圧に調整されたか否か判定することができ、よってタイヤの内部温度が外気温度より高いときにタイヤ空気圧の調整を実施しても、本来充填すべき空気量をタイヤに充填することができるため、内部温度が外気温度まで低下したときにタイヤ空気圧が適正空気圧を下回ることがない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1はその一つの実施の形態に係るタイヤ空気圧監視装置を全体的に示す概略説明図である。
【0012】
符号10はそのタイヤ空気圧監視装置を示し、タイヤ空気圧監視装置10は、車両12に装着された符号14で総称する4個のタイヤのそれぞれに配置された、符号16で総称する4個のセンサユニットと、車両12の室内の適宜位置に搭載される1個の監視ユニット20を備える。尚、4個のタイヤ14およびそれに対応するセンサユニットは、具体的には、図示の如く、前右側FRを14FRあるいは16FR、後右側RRを14RRあるいは16RR、前左側FLを14FLあるいは16FL、後左側RLを14RLあるいは16RLで示す。
【0013】
図2はセンサユニット16の構造を示す説明断面図である。
【0014】
図示の如く、センサユニット16は、金属製のホイールディスク(リム)14aに装着された空気注入用のバルブ14bと一体的に構成される。ホイールディスク14aとバルブ14bの間にはグロメット(ブッシュ)14b1が介挿され、バルブ14bのステム14b2の外周に突出して形成されるフランジ部14b3と、ナット14b4(およびワッシャ14b5)でグロメット14b1を挟持することにより、バルブ14bは図示位置に固定される。バルブ14bは、ホイールディスク14aの内部側において拡大され、そこにセンサユニット16の本体16aが接続される。尚、符号14b6はキャップを、14b7は空気充填用のバルブコアを示す。
【0015】
図3は、センサユニット16の本体16aの構成を詳細に示すブロック図である。
【0016】
センサユニット16の本体16aは、CPU22と、ホイールディスク14aの内部の空気圧、即ち、タイヤ空気圧を示す出力を生じる圧力センサ(空気圧センサ)24と、その部位の温度(タイヤの内部温度)を示す出力を生じる温度センサ26を備える。センサ24,26の出力は、A/D変換回路(図示せず)を介してデジタル値に変換され、CPU22に入力される。尚、CPU22および圧力センサ24などの構成部品は、1枚の回路基板28の上に一体的に搭載されてワンチップ化される。
【0017】
また、本体16aには、電源(リチウム電池)30が配置されてCPU22の動作電源として機能する。また、本体16aには送信アンテナ32と受信アンテナ34が設けられて圧力センサ24と温度センサ26の出力を監視ユニット20に送信する一方、監視ユニット20からの送信を受信する。
【0018】
図3では図示は省略するが、電源30とCPU22の間の電源回路の適宜位置には電圧センサが設けられ、電源30の出力電圧に応じた信号を出力する。電圧センサの出力もA/D変換され、CPU22に入力される。
【0019】
図1の説明に戻ると、監視ユニット20は、車室内の適宜位置に配置されてハウジング20a内に収容された本体20b(図1で図示省略)と、タイヤ14のそれぞれの付近に配置されてハウジング内に収容された、符号40で総称する4個の受信アンテナと、符号42で総称する4個の送信アンテナを備える。即ち、監視ユニット20は、タイヤ14FRから14RLに対応して配置された受信アンテナ40FRから40RLと、送信アンテナ42FRから42RLを備える。受信アンテナ40と送信アンテナ42は、同軸ケーブル44を介してハウジング20a内の本体20bに接続される。
【0020】
さらに、監視ユニット20は、車両12の運転席のダッシュボードに配置されたインディケータ46を備える。インディケータ46と監視ユニット20のハウジング20a内の本体20bは、ハーネス48を介して接続される。
【0021】
また、車室内の適宜位置には空気圧調整用スイッチ(SW)50が設けられ、ハーネス52を介して監視ユニット20に接続される。
【0022】
図4は、監視ユニット20の本体20bなどの構成を詳細に示す説明ブロック図である。
【0023】
図示の如く、監視ユニット20の本体20bは、CPU54を備える。CPU54も、センサユニット16の本体16aと同様、1枚の回路基板56の上に搭載されてワンチップ化される。CPU54は、前記した受信アンテナ40を介してセンサユニット16からのデータを受信すると共に、送信アンテナ42を介して後述するようにデータを送信する。
【0024】
また、図1では図示を省略したが、車両12のドライブシャフト(図示せず)の付近には車速センサ58が配置され、車速VSPを示す信号をCPU54に出力する。
【0025】
さらに、エンジンのカム軸またはクランク軸(いずれも図示せず)の付近にはクランク角センサ60が配置され、所定クランク角毎に出力を生じる。CPU54は、クランク角センサ60の出力をカウントしてエンジン回転数NEを算出する。また、エンジンルーム(図示せず)の適宜位置には外気温センサ62が配置され、車両12が位置する場所の外気温度TOを示す信号をCPU54に出力する。
【0026】
さらに、運転席に装着されたシフトレバー(より具体的には、自動変速機用のシフトレバー。図示せず)の付近には、シフトポジションセンサ64が配置され、P,R,N,D5,D4,D3,2,1の8種のポジションの中、ユーザ(運転者)によって選択されているポジションを示す信号をCPU54に出力すると共に、運転席に装着されたパーキングブレーキ(図示せず)の付近にはパーキングブレーキ・スイッチ(SW)66が配置され、パーキングブレーキが作動しているときはオン信号を、解除されているときはオフ信号をCPU54に出力する。
【0027】
インディケータ46は、第1、第2の警告灯46a,46bと、5個の表示パネル46c,46d,46e,46f,46gとを備える。インディケータ46は、前記したように、本体20bに接続、より詳しくはそのCPU54に接続される。
【0028】
ここで、CPU54の動作電源について説明すると、図示の如く、監視ユニット20において、インディケータ46は車両12に搭載された車載バッテリ電源70にイグニション・スイッチ72を介して接続され、ユーザがイグニション・スイッチ72をオンしたとき、通電されて動作(表示)電源を供給される。
【0029】
それに対し、監視ユニット20において、CPU54は、車載バッテリ電源70と独立に設けられた第2のバッテリ電源74に定電源回路76を介して接続される。前記したように、センサユニット16の電源30はリチウム電池であることから、センサユニット16はタイヤ空気圧などを示す出力を、イグニション・スイッチ72がオフ、即ち、車両12のエンジン(図示せず)が停止されるときも検出(測定)して送信すると共に、監視ユニット20も常時その送信を受信して後述するようにタイヤ空気圧などが適正か否か判定する。
【0030】
さらに、インディケータ46は、CPU54から第1、第2の警告灯46a,46bや表示パネル46cなどの点灯指示信号が出力されたときは、その出力は信号線481を介してスイッチング回路78に送られてスイッチング回路78をオンして車載バッテリ電源70から動作電源を供給される。即ち、インディケータ46は、CPU54においてタイヤ空気圧などが不適正と判定されたときは、イグニッション・スイッチ72のオン・オフの如何に関わらず点灯されるため、ユーザは容易に始業点検を行なうことができる。尚、インディケータ46に動作電源が供給されると、その信号が信号線482(および図示しない遅延回路)を介してCPU54に入力され、CPU54は遅延時間後にインディケータ46の起動を認識する。
【0031】
図5は、CPU54のタイヤ空気圧などの検出・送信動作を示すタイム・チャートである。
【0032】
同図(a)は、タイヤ空気圧が適正な状態(適正か否かの判断については後述する)のときのタイム・チャートである。
【0033】
タイヤ空気圧が適正な場合にあっては、センサユニット16においてCPU22は測定周期(例えば7.0sec)ごとにセンサ出力をA/D変換して入力する(読み込む)と共に、送信周期(例えば4.0minから8.0min)ごとに入力値(検出値)を監視ユニット20に接続された受信アンテナ40へ送信する。尚、送信周期は4個のセンサユニット16ごとに僅かずつずらされる。
【0034】
尚、センサユニット16の送信アンテナ32から監視ユニット20に接続された受信アンテナ40を介してのデータ送信は、周波数は315MHzで行われる。また、後述するように、監視ユニット20の送信アンテナ42からセンサユニット16の受信アンテナ34を介してのデータ送信も、同一の周波数で行われる。
【0035】
また、センサユニット16からの送信データは、図6に示すように、IDパルス列(後述)、およびその他の圧力センサ出力(デジタル変換値)、温度センサ出力(デジタル変換値)および電圧センサ出力(デジタル変換値)を示すパルス列の順で結合された、例えば56ビットの信号(IDパルス列が32ビット、圧力センサ出力、温度センサ出力および電圧センサ出力を示すパルス列がそれぞれ8ビット)を1単位として構成される。
【0036】
IDパルス列は同図の下部に示すように、4個のセンサユニット16が対応する、1セット分(4個)のタイヤ14のそれぞれに個別に添付されるバーコードからなる。即ち、バーコードは、車両12を工場から出荷するとき、前記した14FLなどの4個のタイヤごとに別々に付与されると共に、車両12が異なるときは別々に付与される。従って、1つのバーコード(IDパルス列)は、対象となる車両群の中のある一つのタイヤを特定する。
【0037】
監視ユニット20にあってCPU54は、4個のタイヤ14のいずれかの検出タイヤ空気圧が不適正であると判断されるとき、インディケータ46の第1の警告灯46aなどを点灯すると共に、送信アンテナ42および受信アンテナ34を介してセンサユニット16に送信周期切り換え信号を出力する。CPU54は、そのとき、前記したIDパルス列を付して送信する。
【0038】
従って、そのIDパルス列で特定されるセンサユニット16FRから16RLのいずれかにおいて、該当するCPU22は送信周期切り換え信号が自己宛ての指令であることを認識し、送信周期を切り換える。
【0039】
さらに、ユーザが車両12を購入した後、タイヤ14のローテーションを実施することもあり得ることから、監視ユニット20においてCPU54は、センサユニット16の送信アンテナ32から送信され、監視ユニット20に接続された受信アンテナ40で受信される4個の送信データの中、受信強度(電波強度)が最も高いものを、対応するタイヤのセンサユニット16からの送信データと判別する。
【0040】
受信アンテナ40FRを例にとって具体的に説明する。今、前述の図1に示す如く、受信アンテナ40FRに最も近いタイヤが14FRである場合、送信間隔ごとに順次送信される4個のタイヤについての送信データの中、受信アンテナ40FRの受信強度が最も高いのはセンサユニット16FRからの信号であるから、CPU54は、センサユニット16FRからの送信データを車両の右前輪FRの情報と判別する。
【0041】
他方、タイヤ14のローテーションを実施した結果、受信アンテナ40FRに最も近いタイヤが14RLとなり、よって受信アンテナ40FRに最も近いセンサユニットが16RLになったとすると、受信アンテナ40FRは、センサユニット16RLからの送信データの受信強度が最も高くなる。CPU54は、その最も受信強度が高いセンサユニット16RLからの送信データを車両の右前輪の情報と判別し、CPU54に書き込まれている車両の右前輪を示すIDパルスを、センサユニット16FRのものからセンサユニット16RLのものに置き換える。
【0042】
図5の説明に戻ると、同図(b)はタイヤ空気圧が不適正な状態にある場合のタイム・チャートである。
【0043】
その場合にあっては、監視ユニット20は、前記したように、送信周期切り換え信号を出力する。従って、センサユニット16は同一の測定周期(例えば7.0sec)ごとにセンサ出力をA/D変換して読み込むと共に、送信周期切り換え信号に応じて送信周期を短縮、例えば7.0secとする。
【0044】
これは、センサユニット16の電源30の蓄電容量が限られていることから、タイヤ空気圧などが適正な状態にある限り、送信周期を長くして電源電圧の消耗を可能な限り回避すると共に、タイヤ空気圧が適正な状態にないと判断されたときは、監視頻度を上げて速やかに報知することが望ましいためである。
【0045】
図7は、監視ユニット20、より正確にはそのCPU54の動作を機能的に示す説明ブロック図である。
【0046】
CPU54は、センサユニット16から送信アンテナ32を介して送信された、4個のタイヤ14についての空気圧を示す信号を受信アンテナ40を介して入力し、低圧側比較ブロック54aで入力値(圧力センサ24の検出値。以下「検出タイヤ空気圧」という)を第1の所定空気圧と比較する。第1の所定空気圧としては、推奨空気圧RCP(Recommended Cold Pressure 。車両12が放置されてタイヤ14が冷却しきったとき、換言すれば、タイヤの内部温度と外気温度TOが一致しているときの適正空気圧で、車種により予め設定される値)を0.8倍して得た値、即ち、推奨空気圧RCPより低い値を使用する。
【0047】
CPU54は、低圧側比較ブロック54aにおいて4個のタイヤの1つまたは2以上に関する検出タイヤ空気圧が第1の所定空気圧を下回っていると判断されるとき、そのタイヤが空気圧不足(不適正)と判定し、点灯指示信号(報知指示信号)をインディケータ46に出力し、第1の警告灯46aを点灯させると共に、アンテナ42,34を介してセンサユニット16に前記した送信周期切り換え信号を出力する。
【0048】
他方、低圧側比較ブロック54aにおいて4個のタイヤの全ての空気圧が第1の所定空気圧以上と判断されるときは、高圧側比較ブロック54bに進む。
【0049】
高圧側比較ブロック54bは、検出タイヤ空気圧が第2の所定空気圧を上回っているか否か判断する。第2の所定空気圧としては、推奨空気圧RCPを1.3倍して得た値、即ち、推奨空気圧RCPより高い値を使用する。
【0050】
CPU54は、高圧側比較ブロック54bで検出タイヤ空気圧が第2の所定空気圧を上回っていると判断されるとき、そのタイヤが空気圧過剰(不適正)と判定し、同様に点灯指示信号を出力し、第1の警告灯46aを点灯させると共に、アンテナ42,34を介してセンサユニット16に送信周期切り換え信号を出力する。
【0051】
他方、高圧側比較ブロック54bで4個のタイヤの全ての空気圧が第2の所定空気圧以下であると判断されるとき、即ち、検出タイヤ空気圧が第1の所定空気圧以上であると共に、第2の所定空気圧以下であると判断されるときは、そのタイヤの空気圧が適正であると判定し、消灯指示信号を出力して第1の警告灯46aを消灯させる。
【0052】
CPU54はさらに、センサユニット16からアンテナ32,40を介して送信された、4個のタイヤ14についてのホイールディスク14a内の温度、即ち、タイヤの内部温度を示す温度センサ26の出力を入力し、温度比較ブロック54cで入力値(以下「検出内部温度」という)を所定温度(例えば80℃)と比較する。
【0053】
CPU54は、温度比較ブロック54cにおいて4個のタイヤの1つまたは2以上の検出内部温度が所定温度以上と判断されるときは点灯指示信号を出力し、第1の警告灯46aを点灯させると共に、検出内部温度が所定温度未満と判断されるときは消灯信号を出力し、第1の警告灯46aを消灯させる。
【0054】
ここで、CPU54は点灯指示信号を出力して第1の警告灯46aを点灯させるとき、前記したIDパルス列に従って表示パネル46cに図示される車両図形の4個のタイヤの中の対応するものを表示させる。表示パネル46cは、タイヤ14が空気圧過剰、空気圧不足、または内部温度過上昇のいずれの状態にあるかをユーザが把握できるように、タイヤ14の状態に応じて点灯する色や点滅の仕方が相違させられる。
【0055】
図8は、表示パネル46cの拡大図である。同図において、前左側FLの斜線交差ハッチングはタイヤ空気圧が正常、後左側RLの横線ハッチングはタイヤの内部温度が過上昇、前右側FRの縦線ハッチングはタイヤ空気圧が不足、後右側RRの斜線ハッチングはタイヤ空気圧が過剰であることを示す。実際には、ハッチングの相違は色彩や点滅の仕方で示される。例えば、タイヤ空気圧が正常なときは青色で、タイヤ空気圧が不足のときは黄色で、タイヤ空気圧が過剰なときは赤色で、タイヤの内部温度が過上昇のときは赤色点滅で示される。尚、タイヤ空気圧の状態を、タイヤ空気圧が正常なときは「OK」、タイヤ空気圧が不足のときは「Low Pressure」、タイヤ空気圧が過剰なときは「High Pressure 」、タイヤの内部温度が過上昇のときは「High Temperature」など、文言で表示しても良い。
【0056】
また、図示の如く、表示パネル46cはタイヤ14の状態表示に加え、空気圧の調整方向(増減方向)を矢印で示すようにした。前後左側FL,RLのタイヤは正常あるいは内部温度が過上昇であることから矢印は非点灯とする一方、前右側FRについては不足していることから、上方向の矢印を空気圧不足を示す同様の色彩で点灯させると共に、後右側RRも下方向の矢印を空気圧過剰を示す同様の色彩で点灯させる。
【0057】
図7ブロック図の説明に戻ると、CPU54はさらに、センサユニット16からアンテナ32,40を介して送信された電源30の出力電圧を示す電圧センサの出力を入力し、電圧比較ブロック54dで入力値(以下「検出電圧」という)を所定電圧(例えば1.8V)と比較する。
【0058】
CPU54は、電圧比較ブロック54dにおいて検出電圧が所定電圧未満と判断されるときは点灯指示信号を出力し、第2の警告灯46bを点灯させると共に、検出電圧が所定電圧以上と判断されるときは消灯指示信号を出力し、第2の警告灯46bを消灯させる。
【0059】
また、CPU54は、空気圧調整意図確認ブロック54eを備える。空気圧調整意図確認ブロック54eは、前記した空気圧調整用スイッチ(SW)50および各センサの出力に基づき、ユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有しているか否か、より具体的には、ユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有しており、かつ車両12がタイヤ空気圧の調整を実施できる安全な状態にあるか否か判断する。
【0060】
図9は、空気圧調整意図確認ブロック54eの動作を示すフロー・チャートである。以下、図9を参照して空気圧調整意図確認ブロック54eの動作について説明すると、先ず、S10において、空気圧調整用スイッチ(SW)50がオン信号を出力しているか否か、即ち、ユーザによって空気圧調整用スイッチ50が操作されたか否か判断する。
【0061】
S10で肯定されてユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有していると判断されるときは、次いでS12に進み、車速センサ58から出力された車速VSPが零か否か判断する。S12で肯定されるときは、次いでS14に進んでクランク角センサ60の出力に基づいて算出されたエンジン回転数NEが零か否か判断し、S14で肯定されるときはS16に進んでシフトポジションセンサ64がP(パーキング)ポジションを示す信号を出力しているか否か判断する。
【0062】
S16で肯定されるときは、次いでS18に進み、パーキングブレーキ・スイッチ(SW)66がオン信号を出力しているか否か、即ち、パーキングブレーキが作動しているか否か判断する。S18で肯定されて車両12がタイヤ空気圧の調整を実施できる安全な状態にあると判断されるときは、S20に進み、最終的にユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有しているものと判定する。他方、S10からS18のいずれかで否定されるときは、S22でユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有していない(車両12がタイヤ空気圧の調整を実施できる安全な状態にない場合を含む)と判定してプログラムを終了する。
【0063】
図7ブロック図の説明に戻ると、空気圧調整意図確認ブロック54eにおいてユーザがタイヤ空気圧を調整する意図を有していることが確認されたときは、推奨(適正)空気圧補正ブロック54fに進む。
【0064】
推奨(適正)空気圧補正ブロック54fは、外気温センサ62から出力された外気温度TOとセンサユニット16から出力されたタイヤ14の内部温度の偏差に基づき、推奨空気圧RCPの補正を行なう。
【0065】
具体的には、推奨空気圧RCPの補正値RCP’を以下の式1に従って算出する。
RCP’=RCP×K×(TT/TO) ・・・式1
ここで、TTはタイヤ14の内部温度である。また、Kは実験によって予め定められる係数であり、タイヤ14のサイズ、偏平率、タイヤに加わる荷重などによって車種毎に設定される。
【0066】
式1から明らかなように、タイヤの内部温度TTと外気温度TOの偏差が大きくなるに従って、換言すれば、タイヤの内部温度TTが外気温度TOより高くなるに従って、推奨空気圧の補正値RCP’は大きな値となる。より具体的には、気体の状態方程式において体積(タイヤ容積)を一定としたときの温度上昇によって生じる圧力上昇分だけ大きな値となるように算出される。
【0067】
推奨(適正)空気圧補正ブロック54fで算出された推奨空気圧の補正値RCP’は、前記した低圧側比較ブロック54aに出力される。低圧側比較ブロック54aは、推奨空気圧の補正値RCP’が入力されると、推奨空気圧RCPに代え、その補正値RCP’に基づいてタイヤ14の空気圧が適正か否か判定する。
【0068】
即ち、低圧側比較ブロック54aは、推奨空気圧の補正値RCP’を0.8倍して得た値を前記した第1の所定空気圧として設定し、検出タイヤ空気圧がそれを下回っていると判断されるとき、そのタイヤが空気圧不足(不適正)と判定し、点灯指示信号(報知指示信号)をインディケータ46に出力して第1の警告灯46aを点灯させる。
【0069】
このとき、タイヤ14の内部温度TTが外気温度TOより高ければ、推奨空気圧の補正値RCP’は推奨空気圧RCPに比して大きな値となるため、推奨空気圧の補正値RCP’を0.8倍して得た第1の所定空気圧も大きくなる。即ち、タイヤ14の内部温度TTが高いときの第1の所定空気圧は、冷間時のそれよりも大きな値となる。
【0070】
従って、タイヤ14が空気圧不足であることを示す第1の警告灯46aの点灯を認識したユーザが、車両12の走行直後など、タイヤ14の内部温度TTが外気温度TOより高いときにタイヤ空気圧の調整を実施した場合、タイヤ空気圧を冷間時のそれに比して高い値まで上昇させなければ第1の警告灯46aが消灯されることはない。即ち、本来充填すべき空気量がユーザによってタイヤ14に充填されることとなる。このため、内部温度TTが外気温度TOまで低下したとき、タイヤ空気圧が推奨空気圧、より具体的には冷間時の第1の所定空気圧を下回ることがない。これにより、車両12の走行安定性(安全性)を確保することができると共に、タイヤ空気圧の不足が再び報知されて空気圧の調整を再度実施しなければならないという作業の煩雑さも解消することができ、ユーザの負担を軽減することができる。
【0071】
図7ブロック図の説明を続けると、低圧側比較ブロック54aにおいて4個のタイヤの全ての空気圧が補正値RCP’に基づいて算出した第1の所定空気圧以上と判断されるときは、高圧側比較ブロック54bに進む。高圧側比較ブロック54bでは、推奨空気圧の補正値RCP’を1.3倍して得た値を前記した第2の所定空気圧として設定し、検出空気圧がそれを上回っていると判断されるとき、そのタイヤが空気圧過剰(不適正)と判定し、同様に点灯指示信号を出力して第1の警告灯46aを点灯させる。
【0072】
他方、高圧側比較ブロック54bで4個のタイヤの全ての空気圧が補正値RCP’に基づいて算出した第2の所定空気圧以下であると判断されるときは、そのタイヤの空気圧が適正であると判定し、消灯指示信号を出力して第1の警告灯46aを消灯させる。
【0073】
このように、この実施の形態に係るタイヤ空気圧監視装置10にあっては、空気圧調整意図確認ブロック54eでユーザがタイヤ空気圧の調整を実施する意図があることが確認されたとき、推奨(適正)空気圧補正ブロック54fでセンサユニット16の温度センサ26でタイヤ14の内部温度TTを検出すると共に、外気温センサ62で車両12が位置する場所の外気温度TOを検出し、検出した内部温度TTと外気温度TOの偏差に基づいて推奨空気圧RCPを補正する(補正値RCP’を算出する)ように構成したので、タイヤ空気圧の調整を実施する際、内部温度TTと外気温度TOを勘案してタイヤ空気圧が推奨空気圧(具体的には、補正値RCP’に基づいて算出される第1の所定空気圧)に調整されたか否か判定することができ、よって内部温度TTが外気温度TOより高いときにタイヤ空気圧の調整を実施しても、本来充填すべき空気量をタイヤ14に充填することができるため、内部温度TTが外気温度TOまで低下したときにタイヤ空気圧が推奨空気圧(具体的には、推奨空気圧RCPに基づいて算出される冷間時の第1の所定空気圧)を下回ることがない。
【0074】
上記の如く、この実施の形態にあっては、車両12に装着されたタイヤ14の空気圧を空気圧センサ(圧力センサ24)で検出し、検出値(検出タイヤ空気圧)と適正空気圧(推奨空気圧)を比較して前記タイヤ空気圧が適正か否か判定するタイヤ空気圧監視装置10において、前記タイヤ空気圧の調整時に前記タイヤの内部温度TTと前記車両12が位置する場所の外気温度TOを検出し(センサユニット16の温度センサ26、外気温センサ62)、検出したタイヤの内部温度TTと外気温度TOの偏差に基づいて前記適正空気圧を補正する(監視ユニット20(具体的にはCPU54の中の推奨(適正)空気圧補正ブロック54f))ように構成した。
【0075】
尚、上記において、点灯指示信号および点滅指示信号をインディケータ46に送出して第1の警告灯46aを点灯あるいは点滅させるようにしたが、リモートキーレスエントリなどの携帯端末器に警告灯を設け、そこに点灯(点滅)指示信号を送出するようにしても良い。そうすることで、ユーザ(あるいは車両の製造や納車を行なう作業者)はリモートキーレスエントリなどを手元に置いてタイヤ空気圧の調整作業を行うことができるため、利便性が一層向上する。
【0076】
また、報知手段として視覚的に報知するインディケータ46を用いたが、音声で報知するスピーカ、ブザーなどを用いても良く、さらには両者を用いても良い。
【0077】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、タイヤ空気圧の調整時にタイヤの内部温度と車両が位置する場所の外気温度を検出し、検出したタイヤの内部温度と外気温度の偏差に基づいて適正空気圧を補正する、具体的には、タイヤの内部温度が外気温度より高いときは適正空気圧を高い値に設定するように構成したので、タイヤ空気圧の調整を実施する際、タイヤの内部温度と外気温度を勘案してタイヤ空気圧が適正空気圧に調整されたか否か判定することができ、よってタイヤの内部温度が外気温度より高いときにタイヤ空気圧の調整を実施しても、本来充填すべき空気量をタイヤに充填することができるため、内部温度が外気温度まで低下したときにタイヤ空気圧が適正空気圧を下回ることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係るタイヤ空気圧監視装置を全体的に示す概略説明図である。
【図2】図1装置の中のセンサユニットの構造を示す説明断面図である。
【図3】図1装置の中のセンサユニットの本体の構成を詳細に示すブロック図である。
【図4】図1装置の中の監視ユニットの本体などの構成を詳細に示す説明ブロック図である。
【図5】図2のセンサユニットの検出・送信動作を示すタイム・チャートである。
【図6】図2のセンサユニットの送信データの構成を示す説明図である。
【図7】図4の監視ユニットの本体のCPUの動作を機能的に示す説明ブロック図である。
【図8】図4の中の表示パネルの拡大図である。
【図9】図7のCPUの動作の中、空気圧調整意図確認ブロックの動作を示すフロー・チャートである。
【符号の説明】
10 タイヤ空気圧監視装置
12 車両
14 タイヤ
16 センサユニット
20 監視ユニット
24 圧力センサ(空気圧センサ)
26 温度センサ
54 (監視ユニットの)CPU
54f 推奨(適正)空気圧補正ブロック
62 外気温センサ
Claims (1)
- 車両に装着されたタイヤの空気圧を空気圧センサで検出し、検出値と適正空気圧を比較して前記タイヤ空気圧が適正か否か判定するタイヤ空気圧監視装置において、前記タイヤ空気圧の調整時に前記タイヤの内部温度と前記車両が位置する場所の外気温度を検出し、検出したタイヤの内部温度と外気温度の偏差に基づいて前記適正空気圧を補正するように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧監視装置。
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