JP2004161909A - エポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子内に二つ以上のメソゲンを有する新規なエポキシ樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メソゲンを有するエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物は、機械的・熱的性質に優れており各種検討されている。
【0003】
例えば、ビフェノール型エポキシ樹脂と芳香環の互いに隣接した位置に結合した2個以上のフェノール性水酸基を有する多価フェノールより誘導された多価フェノール樹脂硬化剤とを必須成分としたエポキシ樹脂組成物に関する技術が例えば下記特許文献1に開示されている。このエポキシ樹脂組成物は、高温下での安定性と強度に優れた硬化物を与えることができるので、接着,注型,封止,成型,積層等の分野で有効に使用できる。
【0004】
また、屈曲鎖で連結された二つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂に関する技術が例えば下記特許文献2,特許文献3に記載されている。このエポキシ樹脂から製造した硬化物はスメクチック構造を有する等の興味深い性質を持つことが開示されている。
【0005】
また、例えば下記特許文献4には(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂と(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物を、(A)のエポキシ基に対する(B)の活性水素が0.25以上0.7以下となる組成比で反応させて製造することを特徴とするエポキシ樹脂の製造方法が示されている。この手法により、一段階の反応で簡便に二つ以上のメソゲンを有する新規なエポキシ樹脂の製造が可能であることが開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−90052号公報
【特許文献2】
特開平9−118673号公報
【特許文献3】
米国特許第5,811,504号明細書
【特許文献4】
特開2002−226550号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この反応をメチルイソブチルケトン溶媒中で実施すると、反応途中で不溶成分が生成し、熱ろ過して除去する必要があった。このため、最終的な収率が低くなるという問題点があった。
【0008】
以上本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エポキシ樹脂の最終的な収率を高める製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の要旨は以下の通りである。
[1]下記式(1)で示す構造の化合物を含むエポキシ樹脂を、(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂と(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物を溶媒中で反応させて製造するエポキシ樹脂の製造方法において、前記溶媒の溶解性パラメータが19.0(MPa)1/2以上であることを特徴とするエポキシ樹脂の製造方法。
【0010】
【化1】
【0011】
[2]前記溶媒がγ−ブチロラクトンであることを特徴とする[1]記載のエポキシ樹脂の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
なお、本願明細書におけるエポキシ樹脂とは、分子内に1つ以上のエポキシ基を有する化合物を指す。そして、本願明細書におけるメソゲンとは、液晶性を発現する官能基を指す。本願明細書におけるメソゲンの具体例としては、ビフェニル,ターフェニル,フェニルベンゾエート,アゾベンゼン,スチルベン,アゾメチンやその誘導体等が挙げられる。
【0014】
即ち、本願明細書における(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂とは、メソゲンを分子内に1つ有し、かつエポキシ基を有する化合物のことである。具体的には、ビフェニル型エポキシ樹脂,ターフェニル型エポキシ樹脂,フェニルベンゾエート型エポキシ樹脂,アゾベンゼン型エポキシ樹脂,スチルベン型エポキシ樹脂,アゾメチン型エポキシ樹脂やその誘導体等が挙げられる。なお合成の容易さから、ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。また、1分子内のエポキシ基の個数は1以上であれば特に制限はないが、架橋構造体を形成する観点から2以上であることが好ましく、また取り扱いやすさの観点から4以下であることが好ましい。
【0015】
本願明細書における(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物とは、分子内にエポキシ基と反応可能な活性水素を2つ有する化合物を指す。具体的には、アルキルモノアミン,ベンジルアミン,アニリン等のモノアミン,脂肪族ジカルボン酸,フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸等のジカルボン酸,カテコール,レゾルシノール,ハイドロキノン,ビスフェノールA,ビスフェノールF,ビフェノール等のジフェノールが挙げられる。
【0016】
以上のような(A)および(B)の化合物を反応させることで、下記の反応が起きるため、目的とする上記(1)の構造の化合物を有するエポキシ樹脂を製造することができる。なお、式(1)中のスペーサRの構造には特に限定されないが、この部分は前記の(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物の構造の一部として導入されるものである。また、(A)のエポキシ基に対する(B)の活性水素の数が0.10以上0.7以下となる組成比で反応させることが好ましい。
【0017】
【化2】
【0018】
この化合物は合成のステップ数が少なく簡便に製造できる。また、分子量にバラツキがあるため結晶性が低下し融点が低くなるため、取り扱い性が向上する。
【0019】
本発明における溶解性パラメータとは、Chem.Rev.Vol75,731(1975)に記載されている値とした。
【0020】
本発明におけるエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂用硬化剤と組み合わせてエポキシ樹脂組成物とすることができる。また、適切な条件で硬化させることでエポキシ樹脂硬化物とすることができる。さらに、目的と用途に応じて充填材を添加することも可能である。したがって、本発明におけるエポキシ樹脂は、接着,注型,封止,成型,積層,ペースト,塗膜用の材料等に好適である。
【0021】
以下、本発明の実施例を示し、本発明について具体的に説明する。なお、使用した(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂、(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物,触媒,溶媒の種類を以下に示す。
<(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂>
BGE:ビフェノールジグリシジルエーテル(エポキシ当量:149)
TMBGE:3,3′,5,5′−テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル(エポキシ当量:177)
<(B)2つの活性水素を有する化合物>
HQ:ハイドロキノン(活性水素当量:55)
BA:ベンジルアミン(活性水素当量:53.5)
<触媒>
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン(分子量:122)
<溶媒>
MIBK:メチルイソブチルケトン(溶解性パラメータ:17.2(MPa)1/2)
TOL:トルエン(溶解性パラメータ:18.2(MPa)1/2)
THN:テトラヒドロナフタレン(溶解性パラメータ:19.4(MPa)1/2)
CHO:シクロヘキサノン(溶解性パラメータ:20.3(MPa)1/2)
γBL:γ−ブチロラクトン(溶解性パラメータ:25.8(MPa)1/2)
PC:プロピレンカーボネート(溶解性パラメータ:27.2(MPa)1/2)
EC:エチレンカーボネート(溶解性パラメータ:30.1(MPa)1/2)
GLY:グリセリン(溶解性パラメータ:33.8(MPa)1/2)
(実施例1)
BGE29.8g(100mmol)およびDMAP0.061g(0.5mmol)を100℃に加熱したTHN20gに溶解させ、HQ5.5g50mmol)をTHN15gに溶解した溶液を1hかけて滴下した。その後、100℃で8h反応させることで、目的のエポキシ樹脂を合成した。ただし、同時に不溶成分も生成した。
【0022】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、8.1gであった。仕込み量に対する割合は23wt%と少なかった。
【0023】
(実施例2)
溶媒としてCHOを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0024】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、10.2g であった。仕込み量に対する割合は29wt%と少なかった。
【0025】
(実施例3)
溶媒としてγBLを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0026】
この反応では不溶分は全く生成しなかった。
【0027】
(実施例4)
溶媒としてPCを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0028】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、5.4g であった。仕込み量に対する割合は15wt%と少なかった。
【0029】
(実施例5)
溶媒としてECを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0030】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、9.8g であった。仕込み量に対する割合は28wt%と少なかった。
【0031】
(実施例6)
溶媒としてGLYを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0032】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、7.7g であった。仕込み量に対する割合は22wt%と少なかった。
【0033】
(比較例1)
溶媒としてMIBKを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0034】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、25.8g であった。仕込み量に対する割合は73wt%と多かった。
【0035】
(比較例2)
溶媒としてTOLを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0036】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、29.2g であった。仕込み量に対する割合は83wt%と多かった。
【0037】
実施例1〜6および比較例1〜2の結果を溶解性パラメータでまとめたグラフを図1に示す。図1から明らかなように、溶解性パラメータが19.0 以上の領域では生成する不溶成分が30wt%未満と少なく、合成したエポキシ樹脂の収率を向上させることができる。
【0038】
さらに、γBLを用いることで、不溶成分が生成することなくエポキシ樹脂を合成することが可能となる。
【0039】
(実施例7)
BGE29.8g(100mmol)およびDMAP0.061g(0.5mmol)を100℃に加熱したTHN20gに溶解させ、BA5.35g(50mmol)をTHN15gに溶解した溶液を1hかけて滴下した。その後、100℃で8h反応させることで、目的のエポキシ樹脂を合成した。ただし、同時に不溶成分も生成した。
【0040】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、6.2g であった。仕込み量に対する割合は18wt%と少なかった。
【0041】
(実施例8)
溶媒としてγBLを用いたという点以外は実施例7と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0042】
この反応では不溶分は全く生成しなかった。
【0043】
(比較例3)
溶媒としてTOLを用いたという点以外は実施例7と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0044】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、27.0g であった。仕込み量に対する割合は77wt%と多かった。
【0045】
(実施例9)
TMBGE35.4g(100mmol)およびDMAP0.061g(0.5mmol)を100℃に加熱したTHN25gに溶解させ、HQ5.5g(50mmol) をTHN15gに溶解した溶液を1hかけて滴下した。その後、100℃で8h反応させることで、目的のエポキシ樹脂を合成した。ただし、同時に不溶成分も生成した。
【0046】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、3.3g であった。仕込み量に対する割合は8wt%と少なかった。
【0047】
(実施例10)
溶媒としてγBLを用いたという点以外は実施例9と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0048】
この反応では不溶分は全く生成しなかった。
【0049】
(比較例4)
溶媒としてTOLを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0050】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、23.9g であった。仕込み量に対する割合は58wt%と多かった。
【0051】
実施例7〜10および比較例3〜4の結果より以下のことが分かる。すなわち、溶解性パラメータが19.0 以上の溶媒を用いることで、(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂、(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物にはよらず、反応時に生成する不溶成分の量が少なくなる。また、γBLを用いることで、(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂、(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物にはよらず、不溶成分が生成しないことが分かる。
【0052】
【発明の効果】
以上本発明は、エポキシ樹脂の最終的な収率を高める製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶解パラメータに対する不溶成分の割合を示す図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子内に二つ以上のメソゲンを有する新規なエポキシ樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メソゲンを有するエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物は、機械的・熱的性質に優れており各種検討されている。
【0003】
例えば、ビフェノール型エポキシ樹脂と芳香環の互いに隣接した位置に結合した2個以上のフェノール性水酸基を有する多価フェノールより誘導された多価フェノール樹脂硬化剤とを必須成分としたエポキシ樹脂組成物に関する技術が例えば下記特許文献1に開示されている。このエポキシ樹脂組成物は、高温下での安定性と強度に優れた硬化物を与えることができるので、接着,注型,封止,成型,積層等の分野で有効に使用できる。
【0004】
また、屈曲鎖で連結された二つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂に関する技術が例えば下記特許文献2,特許文献3に記載されている。このエポキシ樹脂から製造した硬化物はスメクチック構造を有する等の興味深い性質を持つことが開示されている。
【0005】
また、例えば下記特許文献4には(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂と(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物を、(A)のエポキシ基に対する(B)の活性水素が0.25以上0.7以下となる組成比で反応させて製造することを特徴とするエポキシ樹脂の製造方法が示されている。この手法により、一段階の反応で簡便に二つ以上のメソゲンを有する新規なエポキシ樹脂の製造が可能であることが開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−90052号公報
【特許文献2】
特開平9−118673号公報
【特許文献3】
米国特許第5,811,504号明細書
【特許文献4】
特開2002−226550号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この反応をメチルイソブチルケトン溶媒中で実施すると、反応途中で不溶成分が生成し、熱ろ過して除去する必要があった。このため、最終的な収率が低くなるという問題点があった。
【0008】
以上本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エポキシ樹脂の最終的な収率を高める製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の要旨は以下の通りである。
[1]下記式(1)で示す構造の化合物を含むエポキシ樹脂を、(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂と(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物を溶媒中で反応させて製造するエポキシ樹脂の製造方法において、前記溶媒の溶解性パラメータが19.0(MPa)1/2以上であることを特徴とするエポキシ樹脂の製造方法。
【0010】
【化1】
【0011】
[2]前記溶媒がγ−ブチロラクトンであることを特徴とする[1]記載のエポキシ樹脂の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
なお、本願明細書におけるエポキシ樹脂とは、分子内に1つ以上のエポキシ基を有する化合物を指す。そして、本願明細書におけるメソゲンとは、液晶性を発現する官能基を指す。本願明細書におけるメソゲンの具体例としては、ビフェニル,ターフェニル,フェニルベンゾエート,アゾベンゼン,スチルベン,アゾメチンやその誘導体等が挙げられる。
【0014】
即ち、本願明細書における(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂とは、メソゲンを分子内に1つ有し、かつエポキシ基を有する化合物のことである。具体的には、ビフェニル型エポキシ樹脂,ターフェニル型エポキシ樹脂,フェニルベンゾエート型エポキシ樹脂,アゾベンゼン型エポキシ樹脂,スチルベン型エポキシ樹脂,アゾメチン型エポキシ樹脂やその誘導体等が挙げられる。なお合成の容易さから、ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。また、1分子内のエポキシ基の個数は1以上であれば特に制限はないが、架橋構造体を形成する観点から2以上であることが好ましく、また取り扱いやすさの観点から4以下であることが好ましい。
【0015】
本願明細書における(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物とは、分子内にエポキシ基と反応可能な活性水素を2つ有する化合物を指す。具体的には、アルキルモノアミン,ベンジルアミン,アニリン等のモノアミン,脂肪族ジカルボン酸,フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸等のジカルボン酸,カテコール,レゾルシノール,ハイドロキノン,ビスフェノールA,ビスフェノールF,ビフェノール等のジフェノールが挙げられる。
【0016】
以上のような(A)および(B)の化合物を反応させることで、下記の反応が起きるため、目的とする上記(1)の構造の化合物を有するエポキシ樹脂を製造することができる。なお、式(1)中のスペーサRの構造には特に限定されないが、この部分は前記の(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物の構造の一部として導入されるものである。また、(A)のエポキシ基に対する(B)の活性水素の数が0.10以上0.7以下となる組成比で反応させることが好ましい。
【0017】
【化2】
【0018】
この化合物は合成のステップ数が少なく簡便に製造できる。また、分子量にバラツキがあるため結晶性が低下し融点が低くなるため、取り扱い性が向上する。
【0019】
本発明における溶解性パラメータとは、Chem.Rev.Vol75,731(1975)に記載されている値とした。
【0020】
本発明におけるエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂用硬化剤と組み合わせてエポキシ樹脂組成物とすることができる。また、適切な条件で硬化させることでエポキシ樹脂硬化物とすることができる。さらに、目的と用途に応じて充填材を添加することも可能である。したがって、本発明におけるエポキシ樹脂は、接着,注型,封止,成型,積層,ペースト,塗膜用の材料等に好適である。
【0021】
以下、本発明の実施例を示し、本発明について具体的に説明する。なお、使用した(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂、(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物,触媒,溶媒の種類を以下に示す。
<(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂>
BGE:ビフェノールジグリシジルエーテル(エポキシ当量:149)
TMBGE:3,3′,5,5′−テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル(エポキシ当量:177)
<(B)2つの活性水素を有する化合物>
HQ:ハイドロキノン(活性水素当量:55)
BA:ベンジルアミン(活性水素当量:53.5)
<触媒>
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン(分子量:122)
<溶媒>
MIBK:メチルイソブチルケトン(溶解性パラメータ:17.2(MPa)1/2)
TOL:トルエン(溶解性パラメータ:18.2(MPa)1/2)
THN:テトラヒドロナフタレン(溶解性パラメータ:19.4(MPa)1/2)
CHO:シクロヘキサノン(溶解性パラメータ:20.3(MPa)1/2)
γBL:γ−ブチロラクトン(溶解性パラメータ:25.8(MPa)1/2)
PC:プロピレンカーボネート(溶解性パラメータ:27.2(MPa)1/2)
EC:エチレンカーボネート(溶解性パラメータ:30.1(MPa)1/2)
GLY:グリセリン(溶解性パラメータ:33.8(MPa)1/2)
(実施例1)
BGE29.8g(100mmol)およびDMAP0.061g(0.5mmol)を100℃に加熱したTHN20gに溶解させ、HQ5.5g50mmol)をTHN15gに溶解した溶液を1hかけて滴下した。その後、100℃で8h反応させることで、目的のエポキシ樹脂を合成した。ただし、同時に不溶成分も生成した。
【0022】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、8.1gであった。仕込み量に対する割合は23wt%と少なかった。
【0023】
(実施例2)
溶媒としてCHOを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0024】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、10.2g であった。仕込み量に対する割合は29wt%と少なかった。
【0025】
(実施例3)
溶媒としてγBLを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0026】
この反応では不溶分は全く生成しなかった。
【0027】
(実施例4)
溶媒としてPCを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0028】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、5.4g であった。仕込み量に対する割合は15wt%と少なかった。
【0029】
(実施例5)
溶媒としてECを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0030】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、9.8g であった。仕込み量に対する割合は28wt%と少なかった。
【0031】
(実施例6)
溶媒としてGLYを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0032】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、7.7g であった。仕込み量に対する割合は22wt%と少なかった。
【0033】
(比較例1)
溶媒としてMIBKを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0034】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、25.8g であった。仕込み量に対する割合は73wt%と多かった。
【0035】
(比較例2)
溶媒としてTOLを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0036】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、29.2g であった。仕込み量に対する割合は83wt%と多かった。
【0037】
実施例1〜6および比較例1〜2の結果を溶解性パラメータでまとめたグラフを図1に示す。図1から明らかなように、溶解性パラメータが19.0 以上の領域では生成する不溶成分が30wt%未満と少なく、合成したエポキシ樹脂の収率を向上させることができる。
【0038】
さらに、γBLを用いることで、不溶成分が生成することなくエポキシ樹脂を合成することが可能となる。
【0039】
(実施例7)
BGE29.8g(100mmol)およびDMAP0.061g(0.5mmol)を100℃に加熱したTHN20gに溶解させ、BA5.35g(50mmol)をTHN15gに溶解した溶液を1hかけて滴下した。その後、100℃で8h反応させることで、目的のエポキシ樹脂を合成した。ただし、同時に不溶成分も生成した。
【0040】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、6.2g であった。仕込み量に対する割合は18wt%と少なかった。
【0041】
(実施例8)
溶媒としてγBLを用いたという点以外は実施例7と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0042】
この反応では不溶分は全く生成しなかった。
【0043】
(比較例3)
溶媒としてTOLを用いたという点以外は実施例7と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0044】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、27.0g であった。仕込み量に対する割合は77wt%と多かった。
【0045】
(実施例9)
TMBGE35.4g(100mmol)およびDMAP0.061g(0.5mmol)を100℃に加熱したTHN25gに溶解させ、HQ5.5g(50mmol) をTHN15gに溶解した溶液を1hかけて滴下した。その後、100℃で8h反応させることで、目的のエポキシ樹脂を合成した。ただし、同時に不溶成分も生成した。
【0046】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、3.3g であった。仕込み量に対する割合は8wt%と少なかった。
【0047】
(実施例10)
溶媒としてγBLを用いたという点以外は実施例9と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0048】
この反応では不溶分は全く生成しなかった。
【0049】
(比較例4)
溶媒としてTOLを用いたという点以外は実施例1と同様の手法でエポキシ樹脂を合成した。
【0050】
ここで生成した不溶成分を、ろ過・乾燥後と秤量したところ、23.9g であった。仕込み量に対する割合は58wt%と多かった。
【0051】
実施例7〜10および比較例3〜4の結果より以下のことが分かる。すなわち、溶解性パラメータが19.0 以上の溶媒を用いることで、(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂、(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物にはよらず、反応時に生成する不溶成分の量が少なくなる。また、γBLを用いることで、(A)1つのメソゲンを分子内に有するエポキシ樹脂、(B)2つの活性水素を分子内に有する化合物にはよらず、不溶成分が生成しないことが分かる。
【0052】
【発明の効果】
以上本発明は、エポキシ樹脂の最終的な収率を高める製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶解パラメータに対する不溶成分の割合を示す図。
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