JP2004155760A - 仕切壁蒸留カラムを用いるトルエンジイソシアネートの混合物の精製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仕切壁蒸留カラム内で未精製蒸留フィードを、P1がホスゲンが濃縮した低沸点生成物であり、P2が溶剤が濃縮した生成物であり、P3が高沸点物が濃縮したボトムであり、P4がトルエンジイソシアネート生成物ストリームである、少なくとも4つの生成物フラクションP1〜P4に分離することにより、トルエンジイソシアネート、有機溶剤および2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードからトルエンジイソシアネートを精製する。
【効果】トルエンジイソシアネートの製造におけるエネルギー効率を改良し、全製造コストをより低くできる。
【選択図】 図1
Description
関連する特許出願の相互参照
本出願は、米国特許法119条(a)〜(d)に基づいて、欧州特許出願第02013460.7号(2002年6月14日提出)の優先権を主張するものである。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は、トルエンジイソシアネート(またはトリレンジイソシアネート、TDI)の回収方法および精製方法(または回収プロセスおよび精製プロセス)の改良に関しており、仕切壁蒸留カラム(または仕切壁を有した段塔もしくは仕切壁を有したプレート塔、dividing−wall distillation column)を用いて未精製のイソシアネート・ストリームからトルエンジイソシアネートを回収する方法および精製する方法の改良に関する。更に、精製プロセスに用いる仕切壁蒸留カラムは、種々の供給速度、組成物および生成物スペック(または生成物の仕様)に対して、エネルギー効率良く運転できるように設計できるものとなっている。本発明のプロセスは、全製造コストをより低くできることによって利益を得る。
【0003】
発明の背景
本発明は、液相の溶剤溶液の存在下でトルエンジアミンをホスゲンと反応させる、または反応を急冷させるのに用いる溶剤と共にトルエンジアミンをガス相で直接的にホスゲンと反応させ;得られた反応混合物から過剰なホスゲンを一部または完全に除去し、そのホスゲンが除かれた未精製蒸留フィード(または蒸留するために供給される粗原料)を仕切壁蒸留カラムを含んだ分留プロセスに供給するプロセスであって、以下の4つのフラクションを回収するプロセスに関する:
1.ホスゲンが濃縮した低沸点生成物であって、回収され、ホスゲン除去プロセスもしくは過剰なホスゲンの回収プロセスへ戻される低沸点生成物、
2.比較的純粋な溶剤生成物(TDIは100重量ppmよりも少ない)であって、その後、ホスゲン化プロセスまたは過剰なホスゲンの回収プロセスで再使用される溶剤生成物、
3.高沸点物(高分子量イソシアネート、加水分解性塩素化合物(HCC)および他の不揮発物)が濃縮したボトム生成物であって、揮発物の更なる回収のために残留物除去システムへ送られるボトム生成物、ならびに
4.トルエンジイソシアネート生成物ストリーム。
【0004】
本発明の技術分野は、トルエンジイソシアネート(TDI)混合物を精製するためのプロセスである。トルエンと硝酸とを反応させることによってジニトロトルエン(DNT)を生成させ、生成したジニトロトルエン(DNT)を水素化させてトルエンジアミン(TDA)を生成させた後、トルエンジアミン(TDA)をホスゲンと反応させてトルエンジイソシアネート(TDI)を得ることによって、TDI混合物が一般的に生成する。トルエンジイソシアネート(TDI)は、市販されている材料であり、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリイソシアヌレートポリマーおよび特に発泡ポリマーの調製に特に有用な材料である。
【0005】
ドイツ国特許出願公開明細書(DE−A1)第3736988号には、有機モノイソシアネートまたは有機ポリイソシアネートが、不活性な有機溶剤中に溶解させた対応するモノアミンもしくはポリアミンを、不活性な有機溶剤に溶解したホスゲンと150℃よりも低い温度にて反応させることによって連続的に調製されることが教示されている。アミンおよびホスゲン溶液は組み合わされて、下方から上方へと直列に接続させた複数または1つの反応カラムであって、多孔板(その穴は、好ましくは20mmの最大直径を有する)によって相互に分けられたチャンバーを総計で少なくとも10個有している反応カラムを通過させられる。
【0006】
欧州特許(EP−A1)第570799号には、ジアミンとホスゲンとを反応させることによって、芳香族ジイソシアネートの生成を行なうことが教示されている。ホスゲンおよびジアミンは、ジアミンの沸点よりも高い状態にあり、反応は0.5〜5秒の平均接触時間を有する。逆混合を回避して反応を完了させるために、混合物を200〜600℃で円筒状の反応スペースに連続的に通過させる。その後、用いたジアミンに対応するカルバミド酸塩化物の分解温度よりも高い温度を維持しつつ、ガス混合物を冷却してジイソシアネートを凝縮させる。不活性溶剤を用いて、凝縮しなかったジイソシアネートをガス混合物から洗い落した後、蒸留によって不活性溶剤が回収される。
【0007】
ポリウレタン・ハンドブック(Polyurethane Handbook)(オーテル・ジー(Oertel、G(編集者))、ポリウレタン・ハンドブック、ドイツ・ミュンヘンのハンサー出版社(Hanser Publishers)1985年、第62頁〜第73頁)には、トルエンジイソシアネートの生成のためのホスゲン化プロセスおよび蒸留プロセスに関する現状技術が記載されている。蒸留プロセスでは、溶剤カラムからの頂部(または塔頂)生成物として、溶剤を未精製TDI混合物から完全に取り除き、その溶剤をホスゲン化プロセスまたは過剰なホスゲン回収プロセスへ戻している。溶剤カラムからの残存している未精製イソシアネートのボトム(または缶出液)・ストリームは、予フラシャー(または予め実施するためのフラッシャー、pre−flasher)へ送られ、イソシアネートに富むオーバーヘッド生成物と残留物除去工程へと供給される残留物が濃縮したボトム・ストリームとの2つの生成物に分けられる。残留物除去工程では、この残留物が濃縮したストリームから揮発物が除去され、凝縮される。そして、残留物除去工程で凝縮した揮発物は、予蒸発(または予め行なわれる蒸発、pre−evaporation)工程で凝縮したオーバーヘッド・ストリームと組み合され、イソシアネート・カラムへと供給される。イソシアネート・カラムにおいては、イソシアネート生成物が頂部ストリームとして回収される一方、高沸点物が濃縮したボトム・ストリームは予蒸発工程へと戻される。このプロセスは、1つの溶剤カラムで完全に溶剤除去を行なう点で制限されている。より高い温度はTDI収率に悪影響を及ぼすことが知られており、完全に溶剤を除去するためには、比較的低い圧力下で操作して、収率の損失を防ぐのに十分に低いサンプ(sump)温度を達成する必要があるので、大きいカラムが必要とされる。
【0008】
更に、残留物とともにイソシアネートが加熱ゾーンで長時間滞留すると、残留物の生成速度がより高くなり得る。最後に、イソシアネート・カラムに供給する前に予蒸発工程からのオーバーヘッド・ストリームを凝縮させることは、エネルギー効率が悪い。
【0009】
インダストリエレ・アロマテンケミ(Industrielle Aromatenchemie)(フランク・エイチ−ジー(Franck H.−G.)およびスタデルホファー・ジェイ(Stadelhofer J.)、インダストリエレ・アロマテンケミ(Industrielle Aromatenchemie)、ドイツ・ベルリン:スプリンジャー出版社(Springer Verlag)1987年、第253頁)には、2つ目の現状技術のプロセスが記載されている。記載されたプロセスでは、2段階の予蒸発工程に未精製TDI溶剤混合物を供給することによって、低沸点のオーバーヘッド蒸気生成物(または塔頂留出物)と、溶剤を含まない存在していない残留物の濃縮したボトム生成物が生じ、それが残留物除去プロセスに供給される。そして、残留物除去プロセスでは、揮発物が、この残留物の濃縮したストリームから除去され、凝縮される。予蒸発工程からのオーバーヘッド生成物は、溶剤カラムに供給される。溶剤カラムでは、溶剤が、頂部生成物として完全に除去され、ホスゲン化プロセスまたは過剰なホスゲン回収プロセスへと戻される。溶剤カラムからの残存未精製イソシアネートのボトム・ストリームは、凝縮した揮発物と共に、残留物除去工程からイソシアネート・カラムへと供給される。イソシアネート・カラムでは、生成物イソシアネートが頂部ストリームとして回収される一方、高沸点物(高分子量イソシアネート、加水分解性塩素化合物(HCC)および他の非揮発物)の濃縮したボトム・ストリームが予蒸発工程へ戻される。このプロセスも、1つの溶剤カラムで完全に溶剤除去を行なわなければならないという点で制限されている。ポリウレタン・ハンドブックに記載のプロセスのように、完全に溶剤を除去するには、比較的低い圧力下にて操作して、収率の損失を防止するのに十分に低いサンプ温度を達成する必要があり、結果として大きい溶剤カラムが必要となる。しかしながら、このプロセスは、その前で述べたプロセスと比べて、残留物と共にイソシアネートが加熱ゾーンに滞留する時間を減少させることができ、おそらくは、残留物の生成速度をより遅くさせることができる。更に、イソシアネート・カラムに送る蒸気フィードを考慮する必要がないので、このプロセスは、エネルギー的に効率がより良いものである。
【0010】
ケム・システムズのTDI/MDIについてのピー・イー・アール・ピー・レポート(PERP Report)(ケム・システムズ(Chem. Systems)、プロセス・エバリュエーション・リサーチ・プランニング TDI/MDI 98/99S8)(Process Evaluation Research Planning TDI/MDI 98/99S8)からは、TDI/MDIに関して次の方法によって未精製TDI蒸留フィード生成物の分留を行なうことができることが理解できる。通常、ホスゲン除去工程からの液体生成物は、予エバポレーター(または予め蒸発を行なうためのエバポレーター、pre−evaporator)へ送られる。予エバポレーターでは、ボトム生成物として残留物に富んだ液体相が生じ、オーバーヘッド生成物として主に溶剤とイソシアネートとを含む蒸気相生成物が生じる。予蒸発工程からのボトム生成物は、反応残留物に由来する揮発性化合物を除去するためのプロセス(残留物除去プロセス)へ送られる。残留物除去工程で除去された揮発成分と予エバポレーターからの蒸気相生成物とを溶剤カラムへ送り、イソシアネートの溶剤からの初期分離および残存するホスゲンの除去を完了させる。生じる生成物は、ホスゲンが濃縮した頂部生成物、中間生成物(またはサイド生成物)としての比較的純粋な溶剤ストリーム、およびイソシアネートが濃縮したボトム生成物である。そして、ホスゲン・ストリームは、ホスゲン除去プロセスまたは過剰なホスゲンを回収するプロセスへ戻される。そして、溶剤生成物は、ホスゲン化セクションおよび過剰なホスゲン回収で用いられる。そして、イソシアネートに富むボトム生成物は、第2の溶剤除去カラムに送られ、溶剤の残留物が除去される。この工程からの頂部の溶剤生成物が比較的純粋な場合、それをホスゲン化プロセスまたは過剰なホスゲンを回収するプロセスで用いることができ、また、最初の溶剤除去工程へと戻すことができる。最終的な溶剤を含まないイソシアネートのボトム生成物をイソシアネート・カラムへ送ることによって、イソシアネートの頂部生成物、残留物、および予蒸発工程もしくは残留物除去工程へと戻される加水分解性塩素化合物(HCC)の濃縮したボトム・ストリームが生じる。インダストリエレ・アロマテンケミに記載のプロセスと似ているこのプロセスは、ポリウレタン・ハンドブックに記載されているプロセスと比べて、残留物とともにイソシアネートが加熱ゾーンで滞留する時間を減少させ、おそらくは、残留物の生成速度をより遅くすることができる。更に、インダストリエレ・アロマンテンケミに記載のプロセスのように、イソシアネート・カラムへ送られる蒸気フィードを濃縮する必要がないので、このプロセスは、ポリウレタン・ハンドブックに記載のプロセスよりもエネルギー的に効率が良いものである。また、このプロセスは、2つの工程によって溶剤の除去を完了できるという付加的な利点を有する。溶剤がイソシアネートよりも低い沸点を有しているという利点を考慮することによって、大部分の溶剤をより高い圧力下で除去することができ、従って、溶剤除去に対して必要となる投資コストが減少する。更に、2つの溶剤除去工程を用いることによって、操作の融通性が増加する。しかしながら、第3のカラムが存在すると、プロセスがより複雑になってしまう。
【0011】
分留では、しばしば、複数(または多数)成分のフィード・ストリームを、生成物ストリーム中に望ましい成分の種々のフラクションを含む複数のストリームに分けることが望ましい。1つのフィード・ストリームおよび2つの生成物ストリームの場合、留出物(または蒸留物)およびボトム生成物の抜き出しによって分離を行なうことができる。留出物またはボトム・ストリームに対して「2つの生成物ストリーム・プロセス」を繰り返すことによって、更に分離を行なうことができる。しかしながら、付加的なカラムを導入することによって、それに相当する数のリボイラーおよびコンデンサーが要求される。かかる要求は、凝縮プロセスおよびリボイル・プロセス(または再沸プロセス)を繰り返すにつれ、次には、付加的な操作コストを必要とする。複数成分のフィード・ストリームから幾つかのフラクションに分ける資本および操作コストの双方を下げる試みを記録した多くの引用文献を従来技術において見い出すことができる。エネルギー消費が最も低いことを示すベンチマークは、古くから既知であるペトリューク(PETLYUK)システム(インダストリアル・アンド・エンジニアリング・ケミストリー・リサーチ(Industrial & Engineering Chemistry Research、1998年、第37巻、第3444頁〜第3454頁)においてアグローワル・アール(Agrawal、R)およびフィドゥコウスキ・ゼット(Fidkowski、Z)の「熱的に連結する蒸留塔は3成分の蒸留に対して常に熱力学的により効率が良いか?(Are Thermally Coupled Distillation Columns Always Thermodynamically More Efficient for Ternary Distillations?)」)に記載されている)によって定められている。この構成では、予分留カラム(または予め分留を実施するためのカラム、prefractionation column)は、主カラムの回収部から分離される蒸気ストリームおよび主カラムの濃縮部から分離される液体ストリームを用いることによって、フィードを2つのストリームに分離する。生じる蒸気ストリームおよび液体ストリーム(予分留カラムから出てくる)は、それぞれ軽質成分および重質成分により富むものである。そして、このような2つの半処理されたストリームは、主カラムへ送り戻される。この構成は、主分留カラムが、抜き出されるサイド・ストリーム(または抜き出される側流、side stream draw)の純度を高めることができるという利点をもたらす。次に、主分留カラムはまた、より良質のフィードを回収部(またはストリッピング・セクション)および濃縮部(または精留セクション)に供す。組み合せることの効果は、3つの生成物ストリームを生成するのに蒸気/液体の移動を非常に効率的に使用することである。
【0012】
米国特許(US−A)第2471134号には、カラムの中央部に沿うようにパーティションを直立させることによって予分留カラムと主カラムとを組合せて1つの分留ユニットにする提案をもって、ペトリューク・プロセスを改良することが教示されている。カラムは、1つのオーバーヘッド・コンデンサーおよび1つのボトム・リボイラーを備えている。
【0013】
米国特許(US−A)第2471134号の仕切壁蒸留カラムは、リボイラーおよびコンデンサーを備えた垂直なカラムの分留塔であり、カラムの中間部分にある中央パーティションを使用することによって4つの別個のカラム・セクションに分けている。これらのセクションは、通常の底部(回収)セクションおよび頂部(濃縮)セクション、仕切壁で分けられたカラムの中間部分の予分留セクションおよび主分留セクションである。複数成分の混合物は予分留セクションへ供給される。オーバーヘッド生成物は、一般的な濃縮部から取り出される。ボトム生成物は一般的な回収部から取り出される。また、中間生成物ストリームは主分留セクションから副生成物として取り出される。
【0014】
この仕切壁蒸留カラムでは、ペトリューク・システムにおける水力的(hydraulic)な制限を克服している点で効果的である。同時に、共通のシェル(または胴)を1つ有するだけなので、資本コストが減少する。幾つかのプロセスに米国特許(US−A)第2471134号に記載の仕切壁蒸留カラムを適用できることが判っている。
【0015】
概して、TDIを回収するプロセスの発展によって、資本投資が減少し、エネルギー効率がより高くなり、また、生成物の収率は向上した。しかしながら、エネルギー消費、資本投資および生成物の収率は、依然不十分である。
【0016】
発明の要旨
本発明では、比較的複雑なTDI蒸留プロセスにおいて仕切壁蒸留カラムを使用することによって、当該プロセスを完了するのに必要なエネルギーを驚くべき程に減少させることができ、同時に、投資コストを減少させることができる。更に、本プロセスは、高沸点物フラクションとともに生成物が加熱されたゾーンにとどまる滞留時間が短くなり、それに伴って、より良好な生成物収率を提供する。
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書で用いられているように、本明細書の下記の部分において、「約」という用語を数値、量または範囲と共に明示していないとしても、材料の量、反応時間、反応温度、量に関する比率、分子量の数値ならびに他のものに関する全ての数値範囲、量、数値および割合(%)、はっきりと明示していない限りおいて、全てその前に「約」という用語を付けて解釈されるものである。
【0018】
本発明は、トルエンジイソシアネート、有機溶剤および2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードからトルエンジイソシアネートを精製するプロセスであって、仕切壁蒸留カラムで未精製蒸留フィードを少なくとも4つの生成物フラクションP1〜P4に分離することによってトルエンジイソシアネートを精製するプロセスに関する。ここで
P1はホスゲンが濃縮した(またはホスゲン濃度が高い)低沸点生成物であり
P2は溶剤が濃縮した(または溶剤濃度が高い)生成物であり、
P3は高沸点物が濃縮した(または高沸点物濃度が高い)ボトム、
P4はトルエンジイソシアネート生成物ストリームである。
【0019】
また、本発明は、
a)トルエンジアミンをホスゲンと反応させて未精製蒸留フィードを得る工程、
b)工程a)からの未精製蒸留フィードが2重量%以上のホスゲンを含んで成る場合に、工程a)からの未精製蒸留フィードからホスゲンを分離して、2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードを得る工程、ならびに
c)仕切壁蒸留カラム内のトルエンジイソシアネート、有機溶剤および2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードを少なくとも4つの生成物フラクションP1〜P4に分離する工程を含んで成る、トルエンジイソシアネートの生成プロセスに関する。ここで
P1はホスゲンが濃縮した低沸点生成物であり、
P2は溶剤が濃縮した生成物であり、
P3は高沸点物が濃縮したボトムであり、
P4はトルエンジイソシアネート生成物ストリーム
である。
【0020】
好ましくは、本発明は、トルエンジイソシアネート、有機溶剤および2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードからトルエンジイソシアネートを精製するプロセスであって、仕切壁蒸留カラムで、未精製蒸留フィードを4つの生成物フラクションP1〜P4に分離することによってトルエンジイソシアネートを精製するプロセスに関する。ここで、
P1はホスゲンが濃縮した低沸点生成物であり、
P2は溶剤が濃縮した生成物であり、
P3は高沸点物が濃縮したボトムであり、
P4はトルエンジイソシアネート生成物ストリーム
である。
【0021】
好ましくは、本発明はまた、
a)トルエンジアミンをホスゲンと反応させて未精製蒸留フィードを得る工程、
b)工程a)からの未精製蒸留フィードが2重量%以上のホスゲンを含んで成る場合に、工程a)からの未精製蒸留フィードからホスゲンを分離することによって、2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードを得る工程、ならびに
c)仕切壁蒸留カラムでトルエンジイソシアネート、有機溶剤および2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードを4つの生成物フラクションP1〜P4に分離する工程を含んで成る、トルエンジイソシアネートの生成プロセスに関する。ここで、
P1はホスゲンが濃縮した低沸点生成物であり、
P2は溶剤が濃縮した生成物であり、
P3は高沸点物が濃縮したボトムであり、
P4はトルエンジイソシアネート生成物ストリーム
である。
【0022】
工程a)のホスゲン化は、常套の技術に従って実施される。トルエンジアミンを液相で溶剤溶液の存在下でホスゲンと反応させる。または、トルエンジアミンを反応を急冷させるのに用いる溶剤と共にガス相で直接的にホスゲンと反応させる。得られる反応混合物は、好ましくは、5〜40重量%のトルエンジイソシアネート、1〜2%重量の塩化水素、1〜5重量%のホスゲン、0.1〜2重量%の高沸点物(高分子量イソシアネート、加水分解性塩素化合物(HCC))および残りが溶剤である組成を有する。加水分解性塩素化合物は、利用できる塩素が「緩く」結合した化合物として一般に規定される。これらの化合物の例として、ClCH2C6H3(NCO)2および(CH3NCOCl)CH3C6H3(NCO)の種(またはスピーシーズ)がある。
【0023】
加水分解性塩素化合物の含量は、サンプル中の利用できる塩素と温水−アルコール溶液とを反応させることによってHClを生成させ、その後、滴定により加水分解性塩素濃度を測定することによって、一般的に決定される。この値は、「加水分解性塩素」(HC)の重量分率と、一般的に呼ばれている。
【0024】
塩素化芳香族炭化水素は、塩素が「しっかりと」結合した種である。かかる化合物の例として、一般的な溶剤であるo−ジクロロベンゼン、およびクロロベンゼン、ならびに同類の化合物がある。
【0025】
反応後、得られた反応混合物(未精製蒸留フィード)が2重量%以上のホスゲンを含んで成る場合、当該反応混合物を分離工程b)に供給する。この分離工程では、過剰なホスゲンを少なくとも一部除去することによって、2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードを得る。多くの種々の方法またはそれらの方法の組合せを用いて、ホスゲンの分離を実施することができる。かかる方法の例として、昇温もしくは減圧を伴う又は伴わない簡単な蒸気/液体のフラッシュ分離、ガス・ストリッピング(gas stripping)、蒸留等がある。
【0026】
生じる未精製蒸留フィードは、2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る場合、その後、工程c)の仕切壁蒸留カラムへと供給されて4つのフラクション(P1〜P4)に分離される。
【0027】
生成物フラクションP1は、ホスゲンが濃縮した低沸点生成物であり、好ましくは、20〜50重量%のホスゲンおよび他の低沸点物(例えばクロロベンゼン、テトラクロロメタン、トリクロロメタンおよびジクロロメタン等)、ならびに20〜49重量%の溶剤を含んで成り、残りに非凝縮性ガス(即ち、空気、塩化水素等)が含まれる。凝縮性を有する種は、回収され、ホスゲン除去プロセスまたは過剰なホスゲンの回収プロセスに戻されることが好ましい。
【0028】
生成物フラクションP2は、溶剤が濃縮した生成物であり、その後、ホスゲン化プロセスまたは過剰なホスゲンの回収プロセスで再使用されることが好ましい。フラクションP2は、好ましくは、溶剤を含んで成り、イソシアネート濃度およびホスゲン濃度がそれぞれ100重量ppmよりも少ないものである。
【0029】
生成物フラクションP3は、高沸点物が濃縮したボトム生成物であり、好ましくは、揮発物を更に回収するための残留物除去システムに送られる。フラクションP3は、好ましくは0.5〜15重量%の高沸点物(高分子量イソシアネート、加水分解性塩素化合物(HCC)および他の不揮発物)を含み、残りはトルエンジイソシアネートである。
【0030】
生成物フラクションP4は、イソシアネート生成物ストリームである。フラクションP4は、少なくとも99.5重量%のトルエンジイソシアネート濃度を有しており、(総計で)200重量ppmよりも少ない溶剤および/または塩素化芳香族炭化水素、100重量ppmよりも少ない加水分解性塩素(HC)ならびに40重量ppmよりも少ない酸度(または酸性を有する物質)を含むことが好ましい。
【0031】
更に、処分されるまたは溶剤および/もしくはTDIを回収するために更に処理される任意の中間の沸点を有する物の濃縮した生成物ストリームが得られる。中程度の沸点物の例として、トリクロロベンゼンおよびイソシアナトトルエンがある。
【0032】
本明細書で用いられているように、低沸点生成物または低沸点フラクションは、はっきりと明示していない限り、溶剤よりも低い沸点温有する生成物またはフラクションを示す。高沸点生成物または高沸点フラクションは、TDIよりも高い沸点を有する生成物またはフラクションを示す。
【0033】
仕切壁蒸留カラムを含む分留プロセスをうまく利用して、溶剤溶液存在下でトルエンジアミンとホスゲンとを反応させることによって又はガス相でそのような反応を反応後に急冷させるために溶剤を用いて行なうことによって得られる、部分的にまたは十分にホスゲンを除去したTDI反応生成物から4つの主たる生成物ストリームを生成してよい。得られる蒸留フィードは、ホスゲンおよび他の低沸点成分、溶剤、トルエンジイソシアネート、加水分解性塩素化合物、および高沸点残留物を含む。4つの生成物は、回収されるまたはホスゲン除去プロセスもしくは過剰なホスゲンの回収プロセスへ戻されるホスゲンの濃縮した低沸点生成物P1、後にホスゲン化プロセスまたは過剰なホスゲンの回収プロセスで再使用される比較的純粋な溶剤生成物P2、揮発物の更なる回収のための残留物除去システムに送られる高沸点物(高分子量イソシアネート、加水分解性塩素化合物および他の不揮発物)の濃縮したボトム生成物P3、ならびにイソシアネート生成物ストリームP4である。使用する溶剤は、いずれの適当な溶剤であってもよく、好ましくは、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、ニトロベンゼン、アニソール、キシレンまたはそれらの混合物である。反応条件に応じて、未精製蒸留フィード中でTDIを種々の濃度にて得ることができる。
【0034】
本発明のプロセスは、図1に示されているような仕切壁蒸留カラムで実施される。この仕切壁蒸留カラムは、1つのリボイラーおよび1つのコンデンサーを少なくとも備えている。リボイラーは、化学工業で一般的に見られるいずれの標準的なタイプのリボイラーであってもよく、流下膜式エバポレーター、強制循環式エバポレーター、プール沸騰(ケトル)式エバポレーターおよび自然循環式エバポレーター等が挙げられる。コンデンサーは、化学工業で一般的に用いるいずれのタイプのコンデンサーであってもよく、並流式および向流式(ノックバック・コンデンサー(knockback condenser))がある。カラムは、化学工業で一般的に使用されるいずれの物質移動インターナル(または内部構造もしくは内部装置)を備えたカラムであってもよい。物質移動インターナルとしては、シーブトレイ(または網目板)、バルブトレイ、固定式バルブトレイ並びに蒸留用の規則充填物もしくは不規則充填物が挙げられる。
【0035】
本発明の1つの態様(図1)において、未精製蒸留フィードが仕切壁蒸留カラムに直接的に供給され、4つの生成物フラクションおよび生成物ストリームP1〜P4が生じる。かかる態様において、未精製蒸留フィードは、好ましくは20〜60重量%の濃度のTDI、より好ましくは25〜50重量%の濃度のTDI、最も好ましくは30〜40重量%の濃度のTDIを有する。
【0036】
本発明の第2の態様において、標準的な蒸留手法を用いて別の付加的な予備的分留カラム(または予め分留を行なうための追加のカラム)を用いて、仕切壁蒸留カラムに供給する前に未精製蒸留フィードから溶剤の一部を除去する。かかる工程では、20〜80重量%のTDI、好ましくは25〜60%の範囲のTDIを含むイソシアネートの濃縮した生成物を生成させるために、溶剤を一部除去することが好ましい。かかる付加的な予備的分留工程から生じる生成物は、ホスゲンが濃縮した低沸点物フラクション、溶剤フラクション、ならびにイソシアネートと高沸点物とが濃縮したボトム生成物である。
【0037】
付加的な予備的分留は、図2に示すような装置内の予蒸発とともに実施することができる。この予備的な分留工程は、溶剤がイソシアネートよりも低い沸点を有することを利用して、大部分の溶剤をより高い圧力下で除去することができ、従って、溶剤を除去するのに必要な投資コストを減少させる。この態様における未精製蒸留フィードは、好ましくは5〜40重量%、最も好ましくは8〜30重量%のイソシアネート濃度を有する。予め行なう蒸発は、120〜190℃の温度で実施するのが好ましい。付加的な予備的分留は、ボトム生成物の温度が120〜190℃の間となるように操作するのが好ましい。
【0038】
また、付加的な予備的分留は、予蒸発をせずに図3に示すような装置で実施することができる。プロセスのこのような態様では、未精製蒸留フィードが、予備的な溶剤除去工程に液相として導入される。未精製蒸留フィード中のイソシアネート濃度は、好ましくは5〜40重量%であり、より好ましくは8〜30重量%である。ボトム生成物の温度が120〜190℃になるように、分留を操作することが好ましい。
【0039】
以下において、添付の図面を参照することによって本発明をより詳細に説明する。図1は、TDIの混合物を精製するプロセスで用いる仕切壁蒸留カラムを模式的に示す。図2は、本発明の1つの好ましい態様であって、溶剤の一部が、予め行なう蒸発とともに、付加的な予備的分留カラムで除去される態様を模式的なフローで示している。図3は、本発明の1つの好ましい態様であって、溶剤の一部が、予め行う蒸発をせずに、付加的な予備的分留カラムで除去される態様を模式的なフローで示している。
【0040】
図1は、リボイラー2、コンデンサー3、仕切壁4および物質移動インターナル5を備えた仕切壁蒸留カラム1を示す。
【0041】
仕切壁蒸留カラム1は、4つの別個の操作ゾーン:フィードAが導入される予分留ゾーン20、高沸点生成物P3を有する回収ゾーン22、イソシアネート生成物P4を有する主分留ゾーン(またはメインとなる分留ゾーン)26、ならびに蒸気相の低沸点生成物P1および液相の溶剤生成物P2を有する濃縮ゾーン24に分けられている。予分留ゾーン20と主分留ゾーン26とが、仕切壁蒸留カラム1内で並列に存在し、仕切壁4で2つのゾーンを隔てている。
【0042】
予分留ゾーン
未精製蒸留フィードAは、予分留ゾーン20に供給され、2つのストリーム、すなわち、残留物と加水分解性塩素化合物(HCC)とが濃縮した液体のTDIストリームBと、溶剤と低沸点物とが濃縮した蒸気ストリームCとに分けられる。この分離は、2つのストリーム、即ち、1つの液体Dと1つの蒸気Eとによって行なわれる。溶剤とTDIとの双方を含む液体ストリームDは、濃縮ゾーンから予分留ゾーンへと入る。TDIとHCCとを含む蒸気ストリームEは、回収ゾーンから予分留ゾーンへと入る。
【0043】
回収ゾーン
予分留ゾーン20からの液体生成物BおよびTDIとHCCとを含む主分留ゾーンからの液体生成物Fは、回収ゾーン22の上方セクションに入る。ストリームR中のリボイラー2から生じる蒸気Gによって、重質成分から中間成分が分離される。それによって生じる残留物が濃縮した液体を含む高沸点物は、ボトム生成物ストリームP3として系外に出される(または取り出される)。カラムは、操作圧力に関しては、リボイラー内で達成される温度が好ましくは140〜190℃の範囲内にあるように設計されている。TDIが濃縮した蒸気ストリームEおよびHは、予分留ゾーンおよび主分留ゾーンにそれぞれ供給される。予分留ゾーンおよび主分留ゾーンへの蒸気流の供給(または配分)は、それぞれのカラム・セクションでの固有の圧力降下によって行なわれる。
【0044】
濃縮ゾーン
予分留ゾーン20からの低沸点物が濃縮した蒸気生成物Cおよび主分留ゾーン26からのIは、双方とも中間物および低沸点成分を有しており、下方セクションから濃縮ゾーン24に入る。濃縮ゾーン24からの蒸気生成物Jは、コンデンサー3に供給された後、コンデンサーから生じる凝縮生成物の一部が還流Kとして濃縮ゾーン24の頂部へと戻されて、中間物成分から軽質成分が分離される。コンデンサーの液体生成物の残存するフラクションは、溶剤生成物ストリームP2として系外に出される。コンデンサーで凝縮しなかった蒸気生成物は、低沸点生成物ストリームP1である。カラム内での内部還流によって、液体ストリームが生じる。この液体ストリームは、主に溶剤およびTDIを含んでいるが、主分留ゾーン26および予分留ゾーン20にそれぞれ送られるストリームLとストリームDとに分けられる。必要とされる生成物の品質を達成するために、これらの液体ストリームの比例配分が制御される。
【0045】
主分留ゾーン
回収ゾーンからのTDIが濃縮した蒸気生成物ストリームHは、底部から主分留ゾーン26へと入る。濃縮ゾーン24からの液体生成物Lの一部は、頂部から主分留ゾーン26に入る。結果として起こる分留は、3つの生成物、即ち、濃縮ゾーン24に送られる蒸気フィードI、回収ゾーン22へ送られる液体フィードFおよび所望の品質のイソシアネート生成物を含む中間抜き出し生成物(またはサイドカット生成物もしくはサイド・ドロー生成物、side draw product)P4を生じさせる。
【0046】
図2は、予め行なう蒸発とともに、付加的な予備的分留カラム8で溶剤の一部を除去するフローを模式的に示している。付加的な予備的分留カラム8は、リボイラー6およびコンデンサー7を備えている。
【0047】
未精製蒸留フィードAおよび仕切壁蒸留カラム1からの高沸点物が濃縮した液相P3を熱交換器9で混合し、蒸発させることによって、蒸気生成物M(この生成物は、予備的分留カラム8へ供給される)と残留物が濃縮した液体ボトム生成物T(残留物除去プロセス(図2で図示せず)へと供給される)とが生じる。そして、蒸気相Mおよび残留物除去システムで回収される揮発物を含む液体ストリームSが予備的分留カラム8で分留されることによって、ホスゲンと低沸点物とが濃縮したストリームN、100重量ppmよりも少ないイソシアネートを含む略純粋な溶剤生成物Oおよびイソシアネートが濃縮したボトム生成物Qが得られる。溶剤フラクションOは、ホスゲン化工程または過剰なホスゲンの回収工程で再使用するのが好ましい。そして、次のイソシアネートが濃縮したボトム生成物Qを仕切壁蒸留カラム1に導入することによって、生成物ストリームP1〜P4が生じることになる。この態様において、仕切壁蒸留カラム1からの高沸点物が濃縮した生成物ストリームP3は、予蒸発工程(熱交換器9)へ戻される。この態様において、予備的分留カラム8での予備的な溶剤除去によって、高沸点物を含んだ混合物の加熱されたゾーンでの滞留時間を減少させることができ、生成物の収率をより向上させることができる。
【0048】
図3は、予蒸発することなく、溶剤の一部を付加的な予備的分留カラム8で除去するフローを模式的に示している。
【0049】
未精製蒸留フィードAは、予備的な溶剤除去工程(付加的な予備的分留カラム8)へ液相として導入される。そして、粗蒸留フィードAが残留物除去システムで回収される揮発物を含む液体ストリームSとともに分留されることによって、ホスゲンと低沸点物とが濃縮したストリームN、100重量ppmよりも少ないイソシアネートを含む略純粋な溶剤生成物O、および反応で生じる残留物をほとんど全て含むイソシアネートが濃縮したボトム生成物Qが得られる。溶剤フラクションOは、ホスゲン化工程または過剰なホスゲンの回収工程で再使用するのが好ましい。そして、次のイソシアネートが濃縮したボトム生成物Qを仕切壁蒸留カラム1に導入することによって、生成物ストリームP1〜P4が生じることになり、P3は残留物除去システムへ送られる。結果として生じるプロセスは、高沸点物を含んだ混合物の加熱されたゾーンでの滞留時間がより長くなる代わりに、より低いエネルギー消費を実現し、生成物の収率が減少することになる。
【0050】
実施例
実施例1
図1に示すような仕切壁蒸留カラム1で実施例1を行なった。
【0051】
1000kg/hのトルエンジイソシアネートを含む未精製反応混合物を完全にホスゲン除去した後、ホスゲン除去した反応生成物をプロセス供給源(即ち洗浄機および真空システム等)からの溶剤および残留物除去工程から回収される揮発物と混合することによって、138℃の温度で未精製蒸留フィードA(大気圧下では液相である)を得る。未精製蒸留フィードAは、39.59重量%のトルエンジイソシアネート(TDI)、0.61重量%のTDI残留物、0.06重量%の加水分解性塩素化合物(HCC)、ならびに0.04重量%の低沸点物および非凝縮物(または非凝縮性ガス)、そして残りがo−ジクロロベンゼンから成る組成を有する。この未精製蒸留フィードAは、蒸留用規則充填物5を充填した仕切壁蒸留カラム1であって、1つのコンデンサー3および流下膜式リボイラー2を備えたカラムに導入される。仕切壁蒸留カラム1は、濃縮ゾーンで7の理論段数を、また回収ゾーンで7の理論段数を有しており、仕切壁4によって予分留ゾーンと主分留ゾーンとが形成されている中央の分留ゾーンでは、予分留ゾーンおよび主分留ゾーンにそれぞれ21の理論段数を有している。未精製蒸留フィード・ストリームAの飽和圧力よりも低い圧力で仕切壁蒸留カラム1を運転するので、未精製蒸留フィードAは、仕切壁蒸留カラム1に導入されると部分的に蒸発する。生じる液体は、濃縮ゾーンDから取り出される液体ストリームと混合され、予分留ゾーンの充填物5の頂部へと供給された後、予分留ゾーンの上部へと供給される液体フィードおよび回収ゾーンから床に入る蒸気Eで促進される最初の予分留に付される。フラッシュ(または急蒸発)するフィードから生じる蒸気は、予分留ゾーンからの蒸気生成物Cと混合される。このストリームCは、濃縮ゾーンへと供給される。
【0052】
予分留ゾーンからの液体生成物Bおよび主分留ゾーンからの液体生成物Fは、回収ゾーンへと供給される。仕切壁蒸留カラム1は、システム内の圧力降下が36mbarであり、コンデンサー3内がおよそ118mbarの圧力となるように運転される。このことは、リボイラー2から出る蒸気Gの温度が10%の蒸発にて180℃になることを許容する。サンプ生成物P3中において10重量%の残留物濃度を達成するために、カラムのサンプからの除去速度が制御される。生じるサンプ生成物P3は、153kg/hの流速を有し、10重量%の残留物、0.8重量%の加水分解性塩素化合物(HCC)、そして残りがTDIである組成を有する。リボイラー2からの蒸気Gは、回収ゾーンに入る。得られる蒸気生成物EおよびHは、予分留ゾーンおよび主分留ゾーンへとそれぞれ供給される。
【0053】
予分留ゾーンおよび主分留ゾーンからの蒸気生成物CおよびIは、濃縮ゾーンへと供給される。コンデンサー3は、118mbarで運転され、ストリームP1のガス出口温度は58℃である。34重量%の溶剤と残りが非凝縮物とから成る組成を有する凝縮しなかった蒸気および非凝縮物(ストリームP1)が結果としておよそ1.6kg/h生じる。所望の溶剤の品質を達成するために、凝縮した液体を還流Kとしてカラムに一部戻す。この態様において、10重量ppmのTDI濃度を有する1854kg/hのo−ジクロロベンゼン溶剤(ストリームP2)を得るために、還流比が1.04に維持される。還流Kによってカラム内に内部還流が生じ、その結果、通常2つのフラクション(DおよびL)に分けられる液体生成物が濃縮ゾーンから生じることになる。しかしながら、この場合、濃縮ゾーンから予分留ゾーンへと供給される液体は存在しない(D=0kg/h)。
【0054】
濃縮ゾーンからの液体生成物Lは主分留ゾーンへと供給される。主分留ゾーンでは、特定の品質を有するイソシアネート生成物P4を得るために、最後の分留が回収ゾーンからの蒸気フィードHを用いて行なわれる。内部還流と中間生成物との比を1.09:1とするために、側部(またはサイド)からの抜出しを行なう。これによって、溶剤を含まず、加水分解性塩素(HC)濃度が70ppmよりも低くなり、更に、生成物の品質(quality)が99.95%よりも大き、およそ1000kg/hrの生成物P4がもたらされる。
【0055】
この場合に使用される具体的なエネルギーは、0.38kW−h/kgTDIである。これは、ポリマー・ハンドブックに記載の現状技術と比べて23%のエネルギーの節減であることを示し、インダストリエレ・アロマテンケミに記載の現状技術と比べて22.0%のエネルギーの節減であることを示すものである。未精製の蒸留フィードA中の低い溶剤濃度は3つのカラム・システムを必要としないので、ケム・システムズのTDI/MDIについてのピー・イー・アール・ピー・レポート(PERP Report)に記載の現状技術との比較は行なわなかった。
【0056】
実施例2
熱交換器9における予蒸発を伴う予備的な溶剤除去工程(予備的蒸留カラム8)および仕切壁蒸留カラム1を含む蒸留システム(図2に示す)で実施例2を実施した。
【0057】
未精製反応混合物から完全にホスゲンを除去した後、ホスゲン除去した反応生成物をプロセス供給源(即ち洗浄機および真空システム等)からの溶剤と混合することによって、およそ152℃の温度で1250kg/hのトルエンジイソシアネートを含む未精製蒸留フィードA(大気圧下では液相である)を得る。未精製蒸留フィードAは、9.74重量%のトルエンジイソシアネート(TDI)、0.17重量%のTDI残留物、0.005重量%の加水分解性塩素化合物(HCC)、ならびに0.01重量%の低沸点物および非凝縮物、そして残りがo−ジクロロベンゼンから成る組成を有する。この未精製蒸留フィードAは、仕切壁蒸留カラム1からのボトム生成物P3と共に、エバポレーター(熱交換器9)へ供給される。P3は、およそ180度の温度およびおよそ140mbarの飽和圧力を有する。P3の質量流速(または質量流量)は、167kg/hであり、組成は、0.16重量%が残留物、0.85重量%がHCCであり、残りがTDIである。エバポレーター9では、ほとんどの液体フィードが蒸発し、それが蒸気ストリームMとして予備的分留カラム8に送られる。エバポレーター9からの残留物が濃縮したボトム生成物Tは、残留物除去システムに送られる。エバポレーターの操作温度および操作圧力は、それぞれ134℃および131mbarである。ストリームMは、12778kg/hの流速を有し、0.01重量%の低沸点物および不活性物、10.2重量%のTDI、2重量ppmの残留物、0.01重量%のHCC、そして残りがo−ジクロロベンゼン(ODB)である組成を有する。ストリームTは、222kg/hの流速を有しており、10%の残留物、0.11%の加水分解性塩素化合物(HCC)、39.6%のODB、そして残りがTDIである組成を有する。
【0058】
予備的分留カラム8は、1つのコンデンサー7および1つのリボイラー6を備えている。予備的な分留カラム8は、15の理論段数を有しており、蒸気フィードMが底部の物質移動段に供給される。残留物除去システムから回収される揮発物を含む液体フィードSは、予備的分留カラム8のサンプへ供給される。ストリームSは、40℃の温度を有し、0.09重量%の加水分解性塩素化合物(HCC)、0.01重量%の残留物、43.36重量%のODB、そして残りがTDIから成る組成を有する。予備的分留カラム8は、120mbarの頂部圧力を有しており、カラム・システムにわたって15mbarの圧力降下を有する。コンデンサー7を67℃の温度で運転することによって、54重量%の非凝縮物、46重量%の低沸点凝縮物および溶剤から成る組成を有するおよそ3kg/hの蒸気相生成物Nが生じる。ストリームNは、更に処理され、回収された凝縮物(または凝縮性物)がホスゲン化プロセスまたはホスゲン回収プロセスへと戻される。予備的分留カラム8は、コンデンサー7と溶剤の側部からの抜き出し部との間に2つの理論段数を与えるように設計され、低沸点物(即ちホスゲン)が少ない溶剤ストリームOを生成する。溶剤生成物O中で10重量ppmよりも少ないTDI濃度(残りはODBである)を達成するために、予備的分留カラム8は、0.3の還流比で運転される。ストリームOは、10473kg/hの流速を有し、ホスゲン化プロセスまたはホスゲン回収プロセスで用いられる。予備的分留カラム8からのボトム生成物Qは、2502kg/hの流速を有し、43.36重量%のODB、0.01重量%の残留物、0.08重量%の加水分解性塩素化合物(HCC)、そして残りがTDIから成る組成を有する。
【0059】
ストリームQは、1つのコンデンサー3、流下膜式リボイラー2を備え、蒸留用規則充填物5を有する図1および図2の仕切壁蒸留カラム1に供給される。カラムは、濃縮ゾーンで7の理論段数および回収ゾーンで7の理論段数を有しており、仕切壁4によって予分留ゾーンと主分留ゾーンとに分けられた中央の分留ゾーンでは、予分留ゾーンおよび主分留ゾーンにそれぞれ21の理論段数を有している。
【0060】
仕切壁蒸留カラム1は、システム内の圧力降下が36mbarであり、コンデンサー3内がおよそ105mbarの圧力になるように運転される。このことは、リボイラー2から出る蒸気Gの温度が10%の蒸発にて180℃になることを許容する。167kg/hのボトム生成物(P3)の流速を達成するために、仕切壁蒸留カラム1のサンプからの除去速度が制御される。
【0061】
コンデンサー3は、105mbarで運転され、ストリームP1のガス出口温度は83℃である。76重量%の溶剤と残りが非凝縮物とから成る組成を有する凝縮しなかった蒸気および非凝縮物(ストリームP1)が結果としておよそ1kg/h生じる。所望の溶剤の品質を達成するため、凝縮した液体を還流Kとしてカラムに一部戻す。この態様において、10重量ppmのTDI濃度を有した1084kg/hのo−ジクロロベンゼン溶剤(ストリームP2)を得るために、還流比が1.94に維持される。還流Kによって仕切壁蒸留カラム1内で内部還流が生じ、その結果、通常2つのフラクション(DおよびL)に分けられる液体生成物が濃縮ゾーンから生じることになる。この場合、D:L関係配分比は、1:19である。濃縮ゾーンからの液体生成物Lは、主分留ゾーンへ供給される。主分留ゾーンでは、特定の品質のイソシアネート生成物P4を得るために、最終的な分留が回収ゾーンからの蒸気フィードHを用いて行なわれる。内部還流と中間生成物との比を0.56:1とするために、側部からの抜き出しを行なう。これによって、溶剤を含まず、加水分解性塩素(HC)濃度が70ppmよりも低くなり、更に、生成物の品質が99.95%よりも大きい、およそ1250kg/hrの生成物P4がもたらされる。
【0062】
この場合に使用される具体的なエネルギーは、1.047kW−h/kgTDIである。これは、ポリマー・ハンドブックに記載の現状技術と比べて7%のエネルギーの節減であることを示し、インダストリエレ・アロマテンケミに記載の現状技術と比べて9%のエネルギーの節減であることを示し、更に、ケム・システムズのTDI/MDIについてのピー・イー・アール・ピー・レポート(PERP Report)に記載の現状技術よりも7%の節減であることを示すものである。
【0063】
実施例3
予蒸発を伴わない予備的な溶剤除去工程(予備的分留カラム8)および仕切壁蒸留カラム1を含んだ蒸留システム(図3に示す)で実施例3を実施した。
【0064】
未精製反応混合物から完全にホスゲンを除去した後、ホスゲン除去した反応生成物をプロセス供給源(即ち洗浄機および真空システム等)からの溶剤と混合することによって、およそ148℃にて1250kg/hのトルエンジイソシアネートを含む未精製蒸留フィードA(大気圧下では液相である)を得た。未精製蒸留フィードは、23.4重量%のトルエンジイソシアネート(TDI)、0.41重量%のTDI残留物、0.015重量%の加水分解性塩素化合物(HCC)、ならびに0.03重量%の低沸点物および非凝縮物、そして残りがクロロベンゼンから成る組成を有していた。この未精製蒸留フィードAは、残留物除去プロセスからの揮発成分Sと共に、予備的分留カラム8へと供給された。
【0065】
予備的分留カラム8は、11の理論段数を有しており、液体フィードAおよびSが底部の物質移動段から2段目に供給される。ストリームSは、38℃の温度を有し、0.63重量%の加水分解性塩素化合物(HCC)、0.12重量%の残留物、そして残りがTDIから成る組成を有する。予備的分留カラム8は、130mbarの頂部圧力を有し、カラム・システムにわたって12mbarの圧力降下を有する。コンデンサー7を50.7℃の温度で運転することによって、22重量%の非凝縮物、78重量%の低沸点凝縮物および溶剤から成る組成を有するおよそ7kg/hの蒸気相生成物Nがもたらされる。ストリームNは、更に処理され、回収された濃縮性物がホスゲン化プロセスまたはホスゲン回収プロセスへ戻される。予備的な分留カラム8は、コンデンサー7と溶剤の側部からの抜き出し部との間に2つの理論段数を与えるように設計されて、低沸点物(即ちホスゲン)が少ない溶剤生成物(ストリームO)を生成する。予備的分留カラム8は、0.04の還流比で運転される。溶剤生成物ストリームOは、3072kg/hの流速を有し、10重量ppmのTDIおよび残りがクロロベンゼンから成る組成を有する。ストリームOは、ホスゲン化プロセスまたはホスゲン回収プロセスで用いられる。予備的分留カラム8からのボトム生成物Qは、2455kg/hの流速を有し、40重量%のクロロベンゼン、0.01重量%の残留物、0.08重量%の加水分解性塩素化合物(HCC)、そして残りがTDIから成る組成を有する。
【0066】
ストリームQは、1つのコンデンサー3および流下膜式リボイラー2を備えた、蒸留用規則充填物5を有する図1および図3の仕切壁蒸留カラム1に供給される。仕切壁蒸留カラム1は、濃縮ゾーンで3の理論段数、また、回収ゾーンに7の理論段数を有し、仕切壁4によって予分留ゾーンと主分留ゾーンとに分けられた中央の分留ゾーンでは、予分留ゾーンおよび主分留ゾーンにそれぞれ8の理論段数を有している。
【0067】
仕切壁蒸留カラム1は、システム内の圧力降下が19mbarであり、コンデンサー3内がおよそ107mbarの圧力になるように運転される。このことは、リボイラー2から出る蒸気Gの温度が10%の蒸発にて180℃になることを許容する。222kg/hのボトム生成物(P3)の流速を達成するために、仕切壁蒸留カラム1のサンプからの除去速度が制御される。
【0068】
コンデンサー3は、105mbarで運転され、ストリームP1のガス出口温度は83℃である。76重量%の溶剤と残りが非凝縮物とから成る組成を有する凝縮しなかった蒸気および非凝縮物(ストリームP1)が結果としておよそ1kg/h生じる。所望の溶剤の品質を達成するため、凝縮した液体を還流Kとしてカラムに一部戻す。この態様において、10重量ppmのTDI濃度を有した981kg/hのクロロベンゼン溶剤(ストリームP2)を達成するために、還流比が2.19に維持される。還流Kによってカラム内で内部還流が生じ、その結果、通常2つのフラクション(DおよびL)に分けられる液体生成物が濃縮ゾーンから生じることになる。この場合、D:L関係配分比は、1:19である。濃縮ゾーンからの液体生成物Lは、主分留ゾーンへ供給される。主分留ゾーンでは、特定の品質のイソシアネート生成物P4を得るために、最終的な分留が回収ゾーンからの蒸気フィードHを用いて行なわれる。内部還流と抜き出される中間生成物との比を0.70:1とするために、側部からの抜出しを行なう。これによって、溶剤を含まず、HC濃度が70ppmよりも低くなり、更に、生成物の品質が99.95%よりも大きい、およそ1250kg/hrの生成物P4がもたらされる。
【0069】
この場合に使用される具体的なエネルギーは、0.42kW−h/kgTDIである。これは、ポリマー・ハンドブックに記載の現状技術と比べて19%のエネルギーの節減であることを示し、インダストリエレ・アロマテンケミに記載の現状技術と比べて26%のエネルギーの節減であることを示し、更に、TDI/MDIに対する化学システムのピー・イー・アール・ピー・レポート(PERP Report)に記載の現状技術よりも30%の節減であることを示す。
【0070】
例示として本発明を上述で詳細に説明したが、これは単にかかる例示として詳細に説明したに過ぎず、特許請求の範囲に限定され得ることを除き、本発明の概念および範囲から逸脱することなく、当業者により変更がされ得るものであると理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、仕切壁蒸留カラムの模式図である。
【図2】図2は、予め行う蒸発のためのデバイスと組み合せて使用される仕切壁蒸留カラムの模式的なフロー図である。
【図3】図3は、予め行う蒸発をせずに予備的な分留を実施するデバイスの模式的なフロー図である。
Claims (10)
- トルエンジイソシアネート、有機溶剤および2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードからトルエンジイソシアネートを精製する方法であって、仕切壁蒸留カラムで未精製蒸留フィードを、
P1がホスゲンが濃縮した低沸点生成物であり、
P2が溶剤が濃縮した生成物であり、
P3が高沸点物が濃縮したボトムであり、
P4がトルエンジイソシアネート生成物ストリームである
少なくとも4つの生成物フラクションP1〜P4に分離することを含んで成る方法。 - a)トルエンジアミンをホスゲンと反応させることによって未精製蒸留フィードを得る工程、
b)工程a)からの未精製蒸留フィードが2重量%以上のホスゲンを含んで成る場合、工程a)からの未精製蒸留フィードからホスゲンを分離して、2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードを得る工程、ならびに
c)仕切壁蒸留カラム内でトルエンジイソシアネート、有機溶剤および2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードを
P1がホスゲンの濃縮した低沸点生成物であり、
P2が溶剤の濃縮した生成物であり、
P3が高沸点物の濃縮したボトムであり、
P4がトルエンジイソシアネート生成物ストリームである
少なくとも4つの生成物フラクションP1〜P4に分離する工程
を含んで成るトルエンジイソシアネートの生成方法。 - ホスゲンが濃縮した低沸点生成物P1が、20〜50重量%のホスゲンおよび他の低沸点物、20〜49重量%の溶剤、ならびに非凝縮性ガスを含んで成る、請求項1に記載の方法。
- 溶剤が濃縮した生成物フラクションP2が、溶剤を含んで成っており、イソシアネート濃度が100重量ppmよりも少なく、また、ホスゲン濃度が100重量ppmよりも少ない、請求項1に記載の方法。
- 高沸点物が濃縮したボトム・フラクションP3は、トルエンジイソシアネートおよび0.5〜15重量%の高沸点物を含んで成る、請求項1に記載の方法。
- トルエンジイソシアネート生成物ストリームのフラクションP4が、少なくとも99.5重量%のトルエンジイソシアネート濃度を有しており、200重量ppmよりも少ない溶剤および/または塩素化芳香族炭化水素、100重量ppmよりも少ない加水分解性塩素(HC)ならびに40重量ppmよりも少ない酸度を含む、請求項1に記載の方法。
- 溶剤が、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、ニトロベンゼン、アニソールおよびキシレンのうちの少なくとも1種類である、請求項1に記載の方法。
- 工程b)でホスゲンを除去した後、未精製蒸留フィードを工程c)の仕切壁蒸留カラムに供給する前に、未精製蒸留フィードから溶剤を一部除去する、請求項1に記載の方法。
- 溶剤を一部除去して、20〜80重量%のトルエンジイソシアネートを含むイソシアネートが濃縮した生成物を生成させる、請求項8に記載の方法。
- 溶剤を一部除去する前に、工程b)からの未精製蒸留フィードを予め蒸発させる、請求項8に記載の方法。
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