JP2004155153A - ラミネート装置 - Google Patents

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Tetsuo Kikuchi
哲雄 菊池
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Abstract

【課題】簡単な構成によって、高温分離で発生しやすい、メディア先端部の分離不良(不分離や先端膜無し等)を防止する。
【解決手段】加熱加圧ローラ6a,6bよりも下流側に位置し、一体化した被定着媒体の、少なくとも何れか一方の面側に配置した送風手段を有し、被定着媒体の検出手段の信号に基づいて、前記送風手段の風量やon/offのタイミングが変更できる構成。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は記録済みの被定着媒体に対して、表面に保護層を設けるラミネート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリなどの記録装置は、画像情報に基づいて各種の記録材上にドットパターンから成る画像を記録するように構成されている。前記記録装置は記録方法により、インクジェット式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザービーム式などに分けることができる。
【0003】
インクジェット式のインクジェット記録装置は、記録ヘッドの吐出口からインク滴を吐出飛翔させ、それを記録材上に付着させて記録するように構成されている。このインクジェット記録装置は他の記録装置と比べて動作音が小さく、基本的な構成が簡単であり、比較的コストを抑えることができるため、多方面で使用されている。
【0004】
このインクジェット記録装置に使用される記録材としては、紙やプラスチックシートなどの記録材や、更にはこれらの基材の表面に各種微細な無機材料などをコートすることによって、表面に細孔構造をもつインク吸収層を設けて、記録材上に付着したインクドットがにじまないようにしている。特に、フルカラープリンタや高品位の画像が求められるプリンタでは、インク専用のコート紙が使用されており、最近では写真調の印字が強く望まれることから、インク吐出量も増える傾向にあり、記録材の最大吸水率を考慮して使用する場合もある。
【0005】
さらに、記録材、あるいは画質の品位を上げるために、記録済みの記録材の画像面に非可逆的に変化し透明な膜を形成させ、画質の向上、耐光性の優れた画質ものを連続的にプリントできるものもある。
【0006】
この物性が非可逆的に変化する層を記録面側に有する記録材としては、例えば、その記録面に高分子粒子層が形成されているものがある。この高分子粒子層は加熱処理することにより、透明高分子膜になって記録面を被服保護する。また、別の多孔質層として、記録面側に樹脂多孔質層が形成された記録材を加熱処理することにより、記録面を被覆する透明樹脂膜となって表面を保護するものもある。いずれにしても、記録材が高温に加熱した加熱ローラと、高圧力をかける加圧ローラとの間を、記録材の画像面と加熱ローラを対向させるように通すことで、記録材の表面に透明な保護層が形成される。つまり、画像面と加熱ローラは接触することになり、ローラの表面が記録材の透明多孔質層表面に、転写されることになる。これは、ローラ表面に傷があると、透明多孔質層の表面に傷が転写される事を意味し、画質の低下につながる。
【0007】
これらの問題を解決しつつ、画質や耐候性を向上させる、別のやり方として、記録材の表面に予め高分子粒子層を設けておくのでなく、記録材への記録後に透明高分子層を表面に形成する方法がある。
【0008】
先の従来例で、インク吸収層と高分子粒子層の一体だった記録材が、ここでは基材とインク吸収層から成る記録材と、プラスチックシートと高分子粒子層から成る転写材に分けられている。
【0009】
簡単に定着の方法を説明すると、画像を記録した記録材表面と、転写材の高分子粒子層面とを対向させてから、高温高圧に保持されたローラ対に通すことにより、熱と圧力によって記録材と転写材が一体化する。その後、一体化した記録材を放熱体に接触させて所定温度まで冷やしてから、転写材側のプラスチックシートのみを分離させると、記録材表面に透明な高分子樹脂層が形成されることになる。ここでの所定温度とは、分離する際、分離不良が発生しない温度である。
【0010】
分離不良には、主に、
・形成された透明高分子樹脂層とプラスチックシートが、分離しない、不分離。
・記録材の表面に形成させるはずの透明な高分子樹脂層が、プラスチックシート側に残ってしまう、先端膜無し(特に、記録材の先端で起こる)。
・記録材が層間で剥がれてしまう、先端剥がれ(特に記録材の先端で起こる)。
・形成された透明高分子樹脂層が、きれいに切れずに、記録材端部に透明高分子樹脂層の膜が残る、サイドひれ(特に、記録材のサイドに残る)。
等がある。これらの分離不良を起こす事無く、良好に分離させるには、透明高分子樹脂層とプラスチックシートの温度が大きく関係する。
【0011】
透明高分子樹脂層とプラスチックシートの温度が高い場合、形成された透明高分子樹脂層とプラスチックシート間の密着強度は、高くなり、不分離、先端はがれ等の分離不良が発生しやすい。また、透明高分子樹脂層としては、高温軟化によって、弱くなるために、先端膜無し等の分離不良も、同時に発生しやすい。
【0012】
一方、透明高分子樹脂層とプラスチックシートの温度が低い場合、形成された透明高分子樹脂層とプラスチックシート間の密着強度は、低くなり、不分離、先端はがれ等の分離不良が発生し難くなるが、透明高分子樹脂層としては、硬く強くなるために、サイドひれの分離不良は発生しやすくなる。
【0013】
一般的に、形成された透明高分子樹脂層とプラスチックシート間の密着強度は、温度が高いほど、強力で、分離する事が難しいが、ある程度、温度が低くなるに伴い、密着強度は低下し、簡単に分離する事ができる。この密着強度が変化するのが、透明高分子樹脂層のガラス転移温度付近であり、上述の所定温度は、透明高分子樹脂層を構成する物質のガラス転移温度近辺に設定する事が多い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来例にあっては、記録材からプラスチックシートを剥離する際、所定温度まで低下している必要がある。
【0015】
記録材の表面に形成された透明高分子樹脂層は、上述の所定温度以上では粘性が高く、プラスチックシートとの密着強度が強いので、この所定温度以上において、透明高分子樹脂層からプラスチックシートを剥がそうとすると、正常に分離せず、記録材のインク吸収層あるいは基材から、剥がれていまい、分離不良となる。特に、記録材の端部は、中央部と比較すると、剥がれ強度が弱いため、より低い温度でも分離不良が発生しやすい。
【0016】
また、連続的に定着を行う場合、あるいは非常に熱容量の大きな記録材を定着すると、当然、放熱体の温度上昇が起こり、記録材やプラスチックシートの温度が十分に下がらず、端部において、分離不良が生じることがある。よって分離を良好に行うには、放熱体の温度上昇を抑えるための特別な冷却手段、例えば、放熱体を強力に冷却するファンやサーモモジュール(ペルチェ素子)を応用したものが必須になる。これらの冷却手段は、非常に高価でサイズも大きく、装置全体をコンパクトにまとめるには、この冷却手段が障害となる。
【0017】
本発明は以上のような従来技術における問題点に鑑みてなされたもので、装置のコンパクト化及び印字に要する所要時間が短縮される中で、放熱体に特別な冷却手段を設けるのでなく、簡便な冷却手段によって、冷却が必要な所だけを冷却するラミネート装置の提供を目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、被定着媒体の供給手段と、前記被定着媒体を検出する検出手段と、前記被定着媒体の画像記録面に対向するように、耐熱性基材と透明フィルム形成用材料層で構成される透明フィルム形成用部材の前記透明フィルム形成用材料層面を供給する透明フィルム形成用部材供給手段と、前記画像記録面と透明フィルム形成用材料層面を対向した状態で、前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材を積層して加熱加圧する加熱加圧手段と、前記加熱加圧手段よりも被定着媒体搬送方向下流側に位置し、前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材の、少なくともいずれか一方の面側に配置した送風手段と、前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材から、耐熱性基材を分離する分離手段と、を備え、前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体あるいは前記透明フィルム形成用部材に対し、前記送風手段の風量を前記媒体検出手段の信号に基づいて、制御する事を特徴とする。
【0019】
または、信号に応じてインクを吐出して記録を行うインクジェット記録手段を用いて被定着媒体にインクジェット記録を行うインクジェット記録部と、前記インクジェット記録部に、インクを受容するインク吸収層を有する被定着媒体を供給する被定着媒体供給手段と、前記被定着媒体のインク吸収層面に対向するように、耐熱性基材と透明フィルム形成用材料層で構成される透明フィルム形成用部材の前記透明フィルム形成用材料層面を供給する透明フィルム形成用部材供給手段と、前記被定着媒体の通過を検出する媒体検出手段と、前記画像記録面と透明フィルム形成用材料層面を対向した状態で、前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材を加熱加圧する加熱加圧手段と、前記加熱加圧手段よりも被定着媒体搬送方向下流側に位置し、前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材の、少なくともいずれか一方の面側に配置した送風手段と、前記加熱加圧手段で一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材から耐熱性基材を分離する分離手段と、を備え、前記インクジェット記録手段からのインク吐出数あるいは吐出量を検出できるインク吐出検出手段を設け、該インク吐出数あるいは吐出量と、前記媒体検出手段の位置情報に応じて、前記送風手段の風量を制御する事を特徴とする。
【0020】
上記の構成を、改めて以下(1)〜(7)に整理して示す。
【0021】
(1)被定着媒体の供給手段と、
前記被定着媒体を検出する媒体検出手段と、
前記被定着媒体の画像記録面に対向するように、耐熱性基材と透明フィルム形成用材料層で構成される透明フィルム形成用部材の前記透明フィルム形成用材料層面を供給する透明フィルム形成用部材供給手段と、
前記画像記録面と透明フィルム形成用材料層面を対向した状態で、前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材を積層して加熱加圧する加熱加圧手段と、
前記加熱加圧手段よりも被定着媒体搬送方向下流側に位置し、前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材の、少なくともいずれか一方の面側に配置した送風手段と、
前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材から、耐熱性基材を分離する分離手段と、
を備え、
前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体あるいは前記透明フィルム形成用部材に対し、前記送風手段の風量を前記媒体検出手段の信号に基づいて、制御するようにしたラミネート装置。
【0022】
(2)一体化された前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材の搬送方向に対して、絞られた形状の吹き出しダクトが前記送風手段の吹き出し口に、設けた上記(1)記載のラミネート装置。
【0023】
(3)前記吹き出しダクトの吹き出し方向は、一体化した前記被定着媒体の搬送方向上流側を向いているようにした上記(2)記載のラミネート装置。
【0024】
(4)前記吹き出しダクトの幅方向のサイズは、前記被定着媒体の幅より、小さい上記(3)記載のラミネート装置。
【0025】
(5)前記検出手段に基づいて、前記被定着媒体の先端が、前記吹き出しダクトから風を直接受ける位置に到達したら、前記送風手段の風量を変えるようにした上記(3)記載のラミネート装置。
【0026】
(6)前記検出手段に基づいて、前記被定着媒体の先端が、前記吹き出しダクトから風を直接受ける位置に到達したら、前記送風手段の風量を停止するようにした上記(3)記載のラミネート装置。
【0027】
(7)信号に応じてインクを吐出して記録を行うインクジェット記録手段を用いて被定着媒体にインクジェット記録を行うインクジェット記録部と、
前記インクジェット記録部に、インクを受容するインク吸収層を有する被定着媒体を供給する被定着媒体供給手段と、
前記被定着媒体のインク吸収層面に対向するように、耐熱性基材と透明フィルム形成用材料層で構成される透明フィルム形成用部材の前記透明フィルム形成用材料層面を供給する透明フィルム形成用部材供給手段と、
前記被定着媒体の通過を検出する媒体検出手段と、
前記画像記録面と透明フィルム形成用材料層面を対向した状態で、前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材を加熱加圧する加熱加圧手段と、
前記加熱加圧手段よりも被定着媒体搬送方向下流側に位置し、前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材の、少なくともいずれか一方の面側に配置した送風手段と、
前記加熱加圧手段で一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材から耐熱性基材を分離する分離手段と、
を備え、
前記インクジェット記録手段からのインク吐出数あるいは吐出量を検出できるインク吐出検出手段を設け、該インク吐出数あるいは吐出量と、前記媒体検出手段の位置情報に応じて、前記送風手段の風量を制御するようにしたラミネート装置。
【0028】
上記構成によれば、高温の被定着媒体あるいは透明フィルム形成用部材に対して、タイミングを計り、下流側から送風手段により、風を当てることによって、冷却の必要な先端部分の温度を下げることができるので、被定着媒体の先端部に分離不良が発生するのを防止できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、実施例に基づいて図面を参照しながら説明する。
【0030】
【実施例】
【0031】
【第1の実施例】
まず、本発明に係る、透明フィルム層形成用部材(または、保護体と呼ぶ)と被記録体(または、被記録媒体と呼ぶ)の具体的な構成について説明する。
【0032】
保護体は耐熱性基材上に単層または多層の熱可塑性樹脂のフィルム層やラテックス層を設けた構造である。
【0033】
耐熱性基材としては、保護層形成時における圧着条件下で、さらに加熱加圧条件下で形状を安定して維持でき、かつインク吸収層上に透明保護層が形成された段階で分離が容易なものであれば、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファンド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)などの材料から成るフィルムやシートを用いることができ、その厚さは例えば、18から50μmの範囲から選択することができる。
【0034】
樹脂層にラテックス層を用いる場合の構成としては、基材上に熱可塑性の粒子が基材から容易に脱落しない程度に固着された層を形成しており、加熱して造膜できるものが挙げられる。
【0035】
ラテックス層の形成も、ラテックスを含む塗工液を、ロールコーティング法、ロードバーコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法、スロットダイコーティング法などにより塗工し、乾燥されることで行うことができる。得られるラテックス層の層厚は最終的に被記録媒体のインク吸収層に十分に密着し、気泡が存在しないように接着するのに必要な厚みを持たなければならない。被記録媒体のインク吸収層の表面粗さをRmaxで表したとき、少なくともその量の70%から150%、さらに望ましくは100%から150%の厚みを持たなければならない。
【0036】
このような保護体によりその表面を改質し、優れた画質を提供できる被記録体は、例えば次のように形成される。
【0037】
基材としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、などのプラスチックフィルム、上質紙、コート紙、ラミネート紙等の紙材から成るシートを挙げることができる。この表面に塗布されるインク吸収層としては、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、アクリル、ウレタンなどの水溶性高分子エマルジョンとそれらの組み合わせ、および、その中に更に合成シリカを分散した塗料を塗工したものを用いることができる。塗工方法して、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スプレーコーティング法、スロットダイコーティング法等を用い、塗布後乾燥する事により、記録媒体が得られる。
【0038】
以上説明した構成の被記録媒体および透明フィルム層形成用部材を用いて、画像形成を行うことができる。この画像形成には、種々の記録方法を採用できるが、インクジェット記録法を好適に利用し得る。インクジェット記録における記録方式は、静電吸引方式、圧電素子を用いる方式、発熱素子を用いる方式等、その記録方式に特に限定されない。
【0039】
インクジェット記録に用いるインクとしては、水溶媒体に、染料や顔料などの色材を含有させたものなど、インクジェット記録方式に適用できるものであれば良い。カラー記録を行う場合は、常法に従って、シアン、マゼンダ、およびイエロー、更には必要に応じてブラックを用いた減色混合によりフルカラー画像を形成することができる。
【0040】
基材上に透明フィルム層形成用材料層を設けた構成の部材を用いたインク吸収層上への透明フィルム層の形成は、例えば次のようにして行うことができる。
【0041】
被記録媒体のインク吸収層に画像情報に応じてインクジェット記録法により、インクを打ち込んで画像を形成したところで、被記録媒体のインク吸収層側の面に、基材上の透明フィルム層形成用材料層を重ね合わせ、一対の対向するローラ間に通す等の方法によって、加熱下に加圧することで、透明フィルム層形成用材料層をインク吸収層に圧着するとともに透明フィルム化する。その後、十分に冷やして(詳細は後述)、こうして形成されたインク吸収層上に透明フィルム層から透明フィルム層形成用部材の基材を分離して透明フィルム層で保護させたインク吸収層中に形成された画像を有する印刷物を得ることができる。
【0042】
図1は本発明に係る第1の実施例で、透明フィルム層の形成工程を含むインクジェット記録部を内蔵したラミネート装置の概略図を示す。
【0043】
図1の装置は、供給手段11のロールに巻き取られた被記録媒体4のインク吸収層側の面に対して、インクジェット記録を行うインクジェット記録部1と、その印字されたインク吸収層に透明記録層の形成を行うラミネート処理部2を有する。
【0044】
インクジェット記録部1は記録手段としてのインクジェット記録ヘッド3を有し、図2(a)に示す被記録媒体4の基材4b上のインク吸収層4aに対して画像情報に応じてインクを付与し、画像を形成する。画像形成後、カッター9により画像は所定の大きさに裁断される。
【0045】
加熱ローラ6aは軸内部に加熱するためのハロゲンヒータを内蔵し、回転軸上には該加熱ローラ6aの回転数を検知するロータリーエンコーダを持つ。加圧ローラ6bは不図示の加圧機構により、所定の圧力で加熱ローラ6aに押しつけることができる。
【0046】
検出手段としてのメディアセンサ21により、被記録媒体4の先端が検出されると、加圧ローラ6bが不図示の加圧機構によって、加熱ローラ6aに圧接するとともに、加熱加圧された一対のローラ6a、6bと透明フィルム層形成用部材5の巻取り装置7が図1中矢印方向にそれぞれ所定の回転速度で回り始める。
【0047】
不図示の駆動軸にクラッチ機構を備える巻取り装置7の円周速度は、加熱ローラ6aの円周速度より、若干速く設定されており、常時透明フィルム層形成用部材5には所定の張力がかかることになる。透明フィルム層形成用部材5の供給手段を構成する巻出し装置10側にも、同様のクラッチ機構を有し、モータの駆動方向は、図1中矢印とは逆方向にかかっており、こちら側の透明フィルム層形成用部材5にも所定の張力がかかる事になる。
【0048】
次に、図2(b)に示す画像形成させた被記録媒体4のインク吸収層4aに対して透明フィルム層形成用部材5が透明フィルム形成用材料層5a側から積層され、積層状態を保ったまま、一対のローラ6a、6bの間を通し、必要に応じた加熱、加圧が行われる。
【0049】
このローラ対6a,6bにおける加圧力や加熱温度は用いる透明フィルム層形成用材料層の種類に応じて設定することができる。
【0050】
この加熱加圧処理によって透明フィルム形成用材料層5aが、インク吸収層4aに圧着されるとともに透明フィルム化される。
【0051】
その後、この透明フィルム層形成用部材5と被記録媒体4は、下流に配置された、送風手段としてのファン23とダクト24から吹き出る風の風量を、被記録媒体4の位置に応じ、制御する事によって、先端部(搬送方向下流側端部)の保有する熱が奪われ、分離不良を生じない所定温度まで温度が下がる。また、被記録媒体4のサイド部は、先端ほど温度を下がらないので、低温時に発生する、分離不良の一種である、透明フィルム層形成用部材5のひれを抑えることができる(詳細は後述)。
【0052】
被記録媒体4の表面に形成された透明フィルム形成用材料層5aは、上述の所定温度以上では粘性が高く、透明フィルム層形成用部材5の基材5b(プラスチックシート)との密着強度が強いので、この所定温度以上において、透明フィルム形成用材料層5aからプラスチックシートを剥がそうとすると、正常に分離せず、被記録媒体4のインク吸収層4aあるいは基材4bから剥がれていまい、分離不良となる。
【0053】
特に先端部(搬送方向下流側端部)は形状的に特異点であり、被記録媒体4の剥がれ強度は、中央部より弱い。よって、上述の所定温度以上の場合、透明フィルム層形成用部材5と被記録媒体4間の密着強度が被記録媒体4の剥がれ強度より強いため、被記録媒体4のインク吸収層4aあるいは基材4bから剥がれる分離不良を起こしやすい。一方、中央部は端部と違い、温度を下げる必要はなく、自然放熱程度の温度低下で十分、分離不良は起こさない。
【0054】
そして、被記録媒体4の先端部から、分離ガイド28を通過することで、透明フィルム層形成用部材5の基材5bから分離される。つまり、先端は急激に折り曲げられたパスと先端分離機構の分離ガイド28によって、剛性の高い被記録媒体4と透明フィルム形成用材料層5a(接着した透明層)が、透明フィルム層形成用部材5の基材5bと同じパスを通過できずに分離されることになる。
【0055】
被記録媒体4が分離ガイド28を通過するにつれて、被記録媒体4は、透明フィルム層形成用部材5から分離されていき、透明フィルム層形成用部材5と被記録媒体4の密着面積は徐々に減っていく。最後には、透明フィルム形成用材料層5aだけで、透明フィルム層形成用部材5と被記録媒体4がつながっているだけなので、この時、排紙ローラ29の軽いニップ力で引張るだけで外部に排紙可能となる。
【0056】
これで、図2(c)に示す画像を受像したインク吸収層4a上に透明フィルム層5cを有する印刷物8を得ることができる。
【0057】
この後、被記録媒体4と積層されずに送られた、加熱ローラ6aの位置から先端分離機構(分離ガイド28)の位置までの間の透明フィルム層形成用部材5は、加熱されただけで、透明フィルム形成用材料層5aが残っているため、再利用が可能である。この透明フィルム層形成用部材5の未使用部分を加熱ローラ6a位置に巻き戻すために、その長さに該当する角度だけ、加熱ローラ6aを逆回転させた後、停止する。停止後、不図示の加圧機構を備えた加圧ローラ6bは、加圧ローラ6bとのニップを解除する方向に稼動して非圧着位置(図1の破線位置)に退避する。このように、透明フィルム層形成用部材5の未使用部分を正確に巻戻すことができるのは、加熱ローラ6aのロータリーエンコーダが、透明フィルム層形成用部材5の送り量をカウントしているためである。
【0058】
ここからは、加熱ローラ6a、加圧ローラ6bで高温になった被記録媒体4の先端温度を分離に適する温度まで下げるための、ファン23とダクト24から吹き出る風の制御について、説明する。
【0059】
図1において、ダクト24の吹き出し口は、上流方向を向いている。その先端は絞られた形状をしており、被記録媒体4裏面に対して、局所的に風を当てることができる。
【0060】
図3は、図1におけるファン23及びダクト24付近を下流側から見た概略図である。ダクト24の吹き出し口の幅は、被記録媒体4の幅より、小さくなっていて、ダクト24から出た風が、直接、被記録媒体4のサイドに当たらないようになっている。
【0061】
まず、ダクト24から吹き出た風が直接当たる位置より、上流側に設置されたメディアセンサ26によって、被記録媒体4の先端が検出されると、ファン23に電圧V1(図4)が投入され、所定の風量Q1の風がダクト24から吹き出て、透明フィルム層形成用部材5に、直接当たる。この風は、高温の透明フィルム層形成用部材5から徐々に熱を奪いながら、上流方向とサイド方向に流れていき、被記録媒体4の先端とサイドに達する。吹き出し直後は、被記録媒体4の先端とサイドに達する風の温度は、高温の透明フィルム層形成用部材5から、長い間、熱を奪っているために、暖かくなっており、被記録媒体4の温度を下げる冷却効果は低いが、被記録媒体4が下流側に搬送されるのに伴い、透明フィルム層形成用部材5から、熱を奪う時間が短くなるため、この冷却効果は上がっていき、被記録媒体4の先端の温度は下がる事になる。サイドには、被記録媒体4の先端及び中央部で暖められた風が流れてくるので、それほど冷えない事になる。
【0062】
被記録媒体4の先端がメディアセンサ26を通過してから、T1時間後にファン23の電圧をV1から、V2に下げて、風量をQ2に下げる。ここでのT1とは、被記録媒体4の先端がメディアセンサ26を通過してから、ダクト24から吹き出た風が直接当たる位置Aに達するのに要する時間で、被記録媒体4の搬送速度と、メディアセンサ26の配置位置と位置A間の距離から、算出できる。
【0063】
被記録媒体4の中央部分に直接当たった空気が、すぐサイド部に流れてきて、サイドを冷却するが、風量をQ1からQ2に落しているために、冷却能力は低く、分離不良のひれが発生する温度までは下がらない。
【0064】
その後、被記録媒体4の後端がメディアセンサ26で検出されてから、T1時間後に、ファンの電圧は、0Vに落される。
【0065】
以上のようにして、ファン23を制御する事で、被記録媒体4の先端温度は、十分に下げる事ができ、透明フィルム層形成用部材5と被記録媒体4間の密着強度が被記録媒体4の剥がれ強度より強いために発生するような、被記録媒体4のインク吸収層4aあるいは基材4bの剥がれは、生じない。また、サイド部は、先端ほど冷やされないので、低温時に発生しやすい、透明フィルム層形成用部材5のひれの発生も無い。
【0066】
本実施例では、機器内部の空気を被記録媒体4に当てているが、ファン23の吸い込み側に、外気を取り込めるような、別のダクトを設けて、外気を被記録媒体4に当てる構成でも良い。
【0067】
また、風量をQ2からQ1に変えるタイミングは、被記録媒体4の先端が、直接風が当たる位置に達したらと、固定で説明してきた。あるいは、風量Q2も固定であった。これらの値(タイミングや風量など)は、周りの条件で変化させても良い。例えば、本実施例では、内部空気をダクトから被記録媒体に当てているため、機器の電源投入直後と、長時間使用後では、内部温度が大きく変わっており、同じタイミングで、被記録媒体4に風を当てていると、冷え方に違いが出る。
【0068】
よって、電源投入直後は、風量をQ2からQ1に下げるタイミングをちょっと早めたり、Q2の風量をさらに小さくしても良い。
【0069】
また、本実施例では、ファン23の風量を下げるのに、電圧をV1からV2に下げているが、電圧はV1で固定として、風量を下げる場合は、on/offのデューティを変える方法でも良い。
【0070】
以上説明したように、加熱加圧ローラ対6a,6bの下流側に、ファン23やダクト24による送風手段を上流方向に向けて設け、高温の被記録媒体4の搬送位置に応じて、送風手段の風量を制御する事によって、高温に加熱された透明フィルム層形成用部材5及び被記録媒体4の、分離不良が発生しやすい先端部を、温度を下げることができるので、分離不良による印刷物の品質低下が防止できる。
【0071】
【第2の実施例】
前述した第1の実施例においては、被記録媒体4の幅が、ダクト24の幅より、大きく、ダクト24から吹き出した空気が、直接被記録媒体4のサイド部に当たらない構成であったが、形態はこれに限定される事は無い。
【0072】
第2の実施例では、ダクト24の幅より、幅狭の被記録媒体4と、幅広の被記録媒体4の両方を持つ形態について、説明する。
【0073】
基本的な構成は、前述した第1の実施例と同じなので詳しい説明は省略する。
【0074】
図5にて、本発明の係る第2の実施例における、被記録媒体4とダクト24の幅の関係を示す。
【0075】
まず、ダクト24(図1)から吹き出た風が直接当たる位置より、上流側に設置されたメディアセンサ26によって、被記録媒体4の先端が検出されると、ファン23に電圧V3(図6)が投入され、所定の風量Q3の風がダクト24から吹き出て、透明フィルム層形成用部材5に、直接当たる。この風は、高温の透明フィルム層形成用部材5から徐々に熱を奪いながら、上流方向に流れていき、被記録媒体4の先端とサイドに達する。吹き出し始めは、被記録媒体4の先端とサイドに達する風の温度は、高温の透明フィルム層形成用部材5から、長い時間、熱を奪っているために、暖かくなっており、被記録媒体4の温度を下げる冷却効果は低いが、被記録媒体4が下流側に搬送されるのに伴い、透明フィルム層形成用部材5から、熱を奪う時間が短くなるため、この冷却効果は上がっていき、被記録媒体4の先端の温度は下がる事になる。
【0076】
被記録媒体4の先端がメディアセンサ26を通過してから、T2時間後にファン23の電圧をV3から、0に下げて、風の流れを停止させる。ここでのT2とは、被記録媒体4の先端がメディアセンサ26を通過してから、ダクト24から吹き出た風が直接当たる位置Aに達するのに要する時間で、被記録媒体4の搬送速度と、メディアセンサ26の配置位置と位置A間の距離から、算出できる。
【0077】
風量を停止する事で、被記録媒体4の中央部とサイド部には、直接風は当たらないため、冷え過ぎによる、ひれの発生は無い。
【0078】
以上のようにして、被記録媒体4の搬送位置に応じ、ファン23の回転を制御する事で、被記録媒体4の先端温度は、下げる事ができ、透明フィルム層形成用部材5と被記録媒体4間の密着強度が被記録媒体4の剥がれ強度より強いために発生するような、被記録媒体4のインク吸収層4aあるいは基材4bの剥がれは、生じない。また、サイド部は、先端ほど冷やされないので、低温時に発生しやすい、透明フィルム層形成用部材5のひれの発生も無い。
【0079】
本実施例では、風量をQ3から0に落すタイミングは、被記録媒体4の先端が、直接風が当たる位置に達したらと、固定で説明してきた。これらのタイミングは、周りの条件で変化させても良い。例えば、本実施例では、内部空気をダクト24から被記録媒体4に当てているため、機器の電源投入直後と、長時間使用後では、内部温度が大きく変わっており、同じタイミングで、被記録媒体4に風を当てていると、冷え方に違いが出る。よって、電源投入直後は、風量を0に落すタイミングを早めたりしても良い。
【0080】
本実施例では、主にダクト24の幅より、幅狭の被記録媒体4について、説明してきた。ダクト24の幅より、幅狭の被記録媒体4と、幅広の被記録媒体4の両方を持つ場合には、被記録媒体4のサイズ検出の信号に応じて、ファン23の制御を、図4と図6で切り替える事によって、先端剥がれやサイドひれなどの分離不良の無い印刷物が得られる。
【0081】
以上説明したように、加熱加圧ローラ対6a,6bの下流側に、ファン23やダクト24による送風手段を上流方向に向けて設け、高温の被記録媒体4の搬送位置に応じて、送風手段の風量を制御する事によって、高温に加熱された透明フィルム層形成用部材5及び被記録媒体4の、分離不良が発生しやすい先端部を、温度を下げることができるので、分離不良による印刷物の品質低下が防止できる。
【0082】
【第3の実施例】
前述した第1、第2の実施例においては、被記録媒体4の幅と、ダクト24の幅の大小関係で、ファン23風量の制御の仕方を変えた。
【0083】
第3の実施例では、インクジェット印字部での打ち込み量の違いや、印字物の余白有り無しで、ファン制御をどう変えるかを説明する。
【0084】
基本的な構成は、前述した第1、第2の実施例と同じなので詳しい説明は省略する。
【0085】
図7にて、インクジェット印字部で、印字された、代表的な被記録媒体4を示す。(a)は、被記録媒体4の全周に印字されていない縁部を有するものである。(b)は縁無しで、被記録媒体4全体に印字されたものであるが、先端部の打込み量は少ないもの。(c)は縁無しで印字されたもので、特に、先頭部の打込み量が多いものである。
【0086】
図1にて、記録手段としてのインクジェット記録ヘッド3が図2(a)に示す被記録媒体4の基材4b上のインク吸収層4aに対し画像情報に応じてインクを付与し、画像を形成する際、インク吐出検出手段としてのインク吐出カウンタが、被記録媒体4の先端部に打込む(吐出)インク各色の総数Nをカウントする。例えば、被記録媒体4の周りに縁が有る場合(図7(a))、被記録媒体4の先端には、インクが打込まれないので、N=0となる。縁無しでも、打込み量が少ない(図7(b))場合は、Nは少になり、打込み量が多い(図7(c))場合は、Nは多くなる。
【0087】
画像形成後、カッター9により画像は所定の大きさに裁断される。
【0088】
その後、画像形成させた被記録媒体4のインク吸収層4aに対して透明フィルム層形成用部材5が透明フィルム形成用材料層5a側から積層され、積層状態を保ったまま、一対のローラ6a、6bの間を通し、必要に応じた加熱、加圧が行われる。この加熱加圧処理によって透明フィルム形成用材料層5aが、インク吸収層4aに圧着されるとともに透明フィルム化される。
【0089】
そして、この透明フィルム層形成用部材5と被記録媒体4は、下流に配置された、送風手段としてのファン23とダクト24から吹き出る風の風量や吹き出すタイミングを、前述のインク吐出カウンタの値に応じ、制御する事によって、先端部(搬送方向下流側端部)の保有する熱が奪われ、分離不良を生じない所定温度まで温度を下げることができる。また、被記録媒体4のサイド部は、先端ほど温度を下がらないので、低温時に発生する、分離不良の一種である、透明フィルム層形成用部材5のひれを抑えることができる。
【0090】
まず、インク吐出カウンタの値に応じ、ファン23とダクト24から吹き出る風の風量を制御する仕方について、図1、図8(タイムチャート)、図9(フローチャート)を使って説明する。
【0091】
図9のフローチャートに沿って、ファン23の入力電圧を決定する。記録手段のインク吐出カウンタによって、被記録媒体4先端部に打込まれた各色インクの総数Nをカウントする(S101)。S102において、この総数Nが、基準値N1より、少ない場合、被記録媒体4の先端には、印字無し領域がある。あるいは、印字はされているが、非常にインク打込み量は少ないと判断され、ファン23への入力電圧はV4に設定される(S103)。S2において、インク総数Nが、N1以上で、かつ、S104において、基準値N2より少ない場合、被記録媒体4先端部に、少なくもなく、多くもなく、適度のインクが印字されていると、判断されて、ファン23への入力電圧は、V5に設定される(S105)。S104において、各色インクの打込み総数Nが、基準値N2以上の場合、被記録媒体4先端には、大量のインクが打込まれていると判断して、ファン23の入力電圧はV6に設定される(S106)。基準値N1、N2は、被記録媒体4の種類や機器内の温度、湿度などの条件によって、変えることもできる。ここでは、基準値を、N1とN2の2つとしているが、1つでも、あるいは、3つ以上の設定値を設けても良い。
【0092】
ここでの電圧V4、V5、V6の大小関係は、V4>V5>V6となっている。風量は、電圧に比例するので、ファン23から吹き出る風量の大小関係は、Q4>Q5>Q6となる。つまり、インク打込み量の少ない方がファン風量が多いことになる。
【0093】
ダクト24(図1)から吹き出た風が直接当たる位置より、上流側に設置されたメディアセンサ26によって、被記録媒体4の先端が検出されると、ファン23に電圧(図8)が投入される。この電圧は、前述の各色インクの打込み総数Nによって、決定された電圧(V4、V5、V6のいずれか)が印加される。電圧に応じた風量の風がダクト24から吹き出て、透明フィルム層形成用部材5に、直接当たる。
【0094】
加熱加圧ローラ対6a、6bによって、加熱された被記録媒体4は、インク打込み量が少ないほど、高温になり、インクが大量に打込まれている方が、低めになる。これは、加熱された熱量が、インク中の水分の蒸発に使われるためで、被記録媒体4中の水分が多いほど、被記録媒体4の温度上昇は少ない。よって、打込み量が少ないほど、被記録媒体4が高温になるため、ファン23の電圧も高めに設定して、より強い風を当てる。一方、打込み量が多い場合、被記録媒体4は、それほど高温にならないので、ファン23の電圧を低めに設定して、被記録媒体4の冷え過ぎを抑えている。
【0095】
被記録媒体4の先端がメディアセンサ26を通過してから、T時間後にファン23の電圧を、0に下げて、風の流れを停止させる。ここでのTとは、被記録媒体4の先端がメディアセンサ26を通過してから、ダクト24から吹き出た風が直接当たる位置Aに達するのに要する時間で、被記録媒体4の搬送速度と、メディアセンサ26の配置位置と位置A間の距離から、算出できる。風量を停止する事で、被記録媒体4の中央部とサイド部には、直接風は当たらないため、冷え過ぎによる、ひれの発生は無い。
【0096】
次に,インク吐出カウンタの値に応じ、ファン23とダクト24から吹き出る風のタイミングを制御する仕方について、図1、図8(タイムチャート)、図10(フローチャート)を使って説明する。
【0097】
図10のフローチャートに沿って、ファン23への電圧投入時間Tを決定する。記録手段のインク吐出カウンタによって、被記録媒体4先端部に打込まれた各色インクの総数Nをカウントする(S201)。S202において、この総数Nが、基準値N1より、少ない場合、被記録媒体4の先端には、印字無し領域がある。あるいは、印字はされているが、非常にインク打込み量は少ないと判断され、ファン23への電圧投入時間はT4に設定される(S203)。S202において、インク総数Nが、N1以上で、かつS204で、基準値N2より少ない場合、被記録媒体4先端部に、適度のインクが印字されていると、判断されて、ファン23への電圧投入時間は、T5に設定される(S205)。S204において、各色インクの打込み総数Nが、基準値N2以上の場合、被記録媒体4先端には、大量のインクが打込まれていると判断して、ファン23の電圧投入時間はT6に設定される(S206)。基準値N1、N2は、被記録媒体4の種類や機器内の温度、湿度などの条件によって、変えることもできる。ここでは、基準値を、N1とN2の2つとしているが、1つでも、3つ以上でも良い。
【0098】
ここでの電圧投入時間T4、T5、T6の大小関係は、T4>T5>T6となっている。風量は、電圧投入時間に比例するので、ファン23から吹き出る風量の大小関係は、Q4>Q5>Q6となる。つまり、インク打込み量の少ない方が、ファン23の風に長い間、当たることになる。
【0099】
ダクト24(図1)から吹き出た風が直接当たる位置より、上流側に設置されたメディアセンサ26によって、被記録媒体4の先端が検出されると、ファン23に電圧(図8)が投入され、電圧に応じた風量の風がダクト24から吹き出て、透明フィルム層形成用部材5に、直接当たる。
【0100】
被記録媒体4の先端がメディアセンサ26を通過してから、T時間後にファン23の電圧を、0に下げて、風の流れを停止させる。このTは、ファン23への電圧投入時間であり、前述の各色インクの打込み総数Nによって、T4、T5、T6のいずれかが設定される。一般的に、このTは、被記録媒体4の先端がメディアセンサ26を通過してから、ダクト24から吹き出た風が直接当たる位置に達するのに要する時間になっており、打込み量に応じて、電圧投入時間が、多少前後することになる。
【0101】
加熱加圧ローラ対6a、6bによって、加熱された被記録媒体4は、インク打込み量が少ないほど、高温になり、インクが大量に打込まれている方が、低めになる。これは、加熱された熱量が、インク中の水分の蒸発に使われるためである。よって、打込み量が少ないほど、被記録媒体4が高温になるため、ファン23の電圧投入時間も長めに設定して、より長く風を当てる。一方、打込み量が多い場合、被記録媒体4は、それほど高温にならないので、ファン23の電圧投入時間を短めに設定して、被記録媒体4の冷え過ぎを抑えている。
【0102】
以上説明したように、加熱加圧ローラ対6a,6bの下流側に、ファン23やダクト24による送風手段を上流方向に向けて設け、被記録媒体4へのインク打込み量に応じて、送風手段の風量を制御する事によって、高温に加熱された透明フィルム層形成用部材5及び被記録媒体4の、分離不良が発生しやすい先端部を、温度を下げることができるので、分離不良による印刷物の品質低下が防止できる。
【0103】
【発明の効果】
以上、第1、第2、第3の実施例で説明してきたように、加熱加圧ローラ対6a,6bの下流側に、ファン23やダクト24による送風手段を上流方向に向けて設け、高温の被記録媒体4の搬送位置に応じて、被記録媒体4へのインク打込み量に応じて、送風手段の風量やタイミングを制御する事によって、高温に加熱された透明フィルム層形成用部材5及び被記録媒体4の、分離不良が発生しやすい先端部を、温度を下げることができるので、分離不良による印刷物の品質低下が防止できる。また、冷え過ぎいよる、サイドひれの発生も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1、第2、第3の実施例を模式的に示した図
【図2】(a),(b),(c) 被記録媒体のインク吸収層上の透明フィルム層の形成工程を示す図
【図3】ダクト24を下流側から見た図
【図4】本発明の実施例に係るタイミングチャート
【図5】ダクト24を下流側から見た図
【図6】本発明の実施例に係るタイミングチャート
【図7】インクジェット印字された代表的な被記録媒体を示す図
【図8】本発明の実施例に係るタイミングチャート
【図9】インク吐出カウンタの値に応じ、ファン23とダクト24から吹き出る風の風量を制御する仕方を表すフローチャート
【図10】インク吐出カウンタの値に応じ、ファン23とダクト24から吹き出る風のタイミングを制御する仕方についてのフローチャート
【符号の説明】
1 インクジェット記録部
2 ラミネート処理部
3 インクジェット記録ヘッド
4 被記録媒体
4a インク吸収層
4b 基材
5 透明フィルム層形成用部材
5a 透明フィルム形成用材料層
5b 基材
5c 透明化した透明フィルム層
6 ローラ対
6a 加熱ローラ
6b 加圧ローラ
7 巻取り装置
8 印刷物
9 カッター
10 巻出し装置
11 供給手段
21 メディアセンサ
23 ファン
24 ダクト
26 メディアセンサ
28 分離ガイド
29 排紙ローラ

Claims (7)

  1. 被定着媒体の供給手段と、
    前記被定着媒体を検出する媒体検出手段と、
    前記被定着媒体の画像記録面に対向するように、耐熱性基材と透明フィルム形成用材料層で構成される透明フィルム形成用部材の前記透明フィルム形成用材料層面を供給する透明フィルム形成用部材供給手段と、
    前記画像記録面と透明フィルム形成用材料層面を対向した状態で、前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材を積層して加熱加圧する加熱加圧手段と、
    前記加熱加圧手段よりも被定着媒体搬送方向下流側に位置し、前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材の、少なくともいずれか一方の面側に配置した送風手段と、
    前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材から、耐熱性基材を分離する分離手段と、
    を備え、
    前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体あるいは前記透明フィルム形成用部材に対し、前記送風手段の風量を前記媒体検出手段の信号に基づいて、制御する事を特徴とするラミネート装置。
  2. 一体化された前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材の搬送方向に対して、絞られた形状の吹き出しダクトが前記送風手段の吹き出し口に、設けた事を特徴とする請求項1記載のラミネート装置。
  3. 前記吹き出しダクトの吹き出し方向は、一体化した前記被定着媒体の搬送方向上流側を向いている事を特徴とする請求項2記載のラミネート装置。
  4. 前記吹き出しダクトの幅方向のサイズは、前記被定着媒体の幅より、小さい事を特徴とする請求項3記載のラミネート装置。
  5. 前記検出手段に基づいて、前記被定着媒体の先端が、前記吹き出しダクトから風を直接受ける位置に到達したら、前記送風手段の風量を変える事を特徴とする請求項3記載のラミネート装置。
  6. 前記検出手段に基づいて、前記被定着媒体の先端が、前記吹き出しダクトから風を直接受ける位置に到達したら、前記送風手段の風量を停止する事を特徴とする請求項3記載のラミネート装置。
  7. 信号に応じてインクを吐出して記録を行うインクジェット記録手段を用いて被定着媒体にインクジェット記録を行うインクジェット記録部と、
    前記インクジェット記録部に、インクを受容するインク吸収層を有する被定着媒体を供給する被定着媒体供給手段と、
    前記被定着媒体のインク吸収層面に対向するように、耐熱性基材と透明フィルム形成用材料層で構成される透明フィルム形成用部材の前記透明フィルム形成用材料層面を供給する透明フィルム形成用部材供給手段と、
    前記被定着媒体の通過を検出する媒体検出手段と、
    前記画像記録面と透明フィルム形成用材料層面を対向した状態で、前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材を加熱加圧する加熱加圧手段と、
    前記加熱加圧手段よりも被定着媒体搬送方向下流側に位置し、前記加熱加圧手段により一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材の、少なくともいずれか一方の面側に配置した送風手段と、
    前記加熱加圧手段で一体化した前記被定着媒体と前記透明フィルム形成用部材から耐熱性基材を分離する分離手段と、
    を備え、
    前記インクジェット記録手段からのインク吐出数あるいは吐出量を検出できるインク吐出検出手段を設け、該インク吐出数あるいは吐出量と、前記媒体検出手段の位置情報に応じて、前記送風手段の風量を制御する事を特徴とするラミネート装置。
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