JP2004149329A - 導電性酸化スズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明導電塗料、帯電防止塗料、赤外線吸収塗料、導電セラミックスの導電性調節剤、圧膜ペースト用フィラー、紙・繊維・プラスッチクスゴムの帯電防止剤又は導電剤等に用いられる導電性酸化スズ粒子、酸化スズ−酸化アンチモン複合水性ゾル、導電性酸化スズ水性ゾル、及び導電性酸化スズ有機ゾルの製造方法に関する。
【解決手段】酸化スズゾルに由来するSnO成分と五酸化アンチモンゾルに由来するSb成分とが0.02〜0.2のSb/SnO重量比で含有する酸化スズ−酸化アンチモン複合粒子からなるゾルを、乾燥後400〜800℃で焼成し、次に粉砕する工程から成る導電性酸化スズ粒子の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性酸化スズ粒子、酸化スズ−酸化アンチモン複合水性ゾル、導電性酸化スズ水性ゾル、及び導電性酸化スズ有機ゾルの製造方法に関する。
【0002】
導電性酸化スズは電気伝導性、光透過性、赤外線反射性などの性質を持っており、熱的、化学的安定性に優れていることから透明導電塗料、帯電防止塗料、赤外線吸収塗料、導電セラミックスの導電性調節剤、圧膜ペースト用フィラー、紙・繊維・プラスッチクスゴムの帯電防止剤又は導電剤などとして使用されている。近年、電気電子産業の発展に伴い導電性、帯電性材料に対する要望は益々高くなってきている。
【0003】
【従来の技術】
導電材料としては金属、カーボン、無機化合物、有機導電物質などがあり、CVD法、真空蒸着法、反応性イオンプレーティング法、スパッタ法などの膜形成法、塗料による塗布方法、練り込みなどによる混入法により導電性、帯電防止性などを付与する方法が用いられている。しかし上記膜形成法は装置の関係で膜面積が小さいという欠点を持っているため膜面積が大きくプロセスも簡単である塗布法が広く検討されている。この塗布法の場合金属、カーボン及びマグネタイトやチタンブラックなどの無機化合物は不透明で色も黒色に近いため基材の透明性、色などが損なわれることから好ましくないことが多い。また、有機導電物質は耐熱性、耐薬品性、強度などの点でまだ充分とはいえない。
【0004】
導電性酸化スズは透明でうすい青色を呈し導電性が良好であるため塗布法導電材料として最も優れたものの1つであり、これまでこの導電性酸化スズ粉末の製造については多くの研究がなされ、多くの提案がなされている。また、酸化スズ−酸化アンチモンゾルの製造方法、導電性酸化スズゾル及びその製造方法についても提案がなされている。
【0005】
塩化第2スズと三塩化アンチモンとアルコールとの混合溶液に水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの水溶液を添加して得た水酸化スズと水酸化アンチモンとの共沈物を1000〜1300℃で熱分解する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では原料として塩化物(正塩)を用いているために中和により副生成する塩(NaCl又はKCl)の量が著しく多くなるため洗浄が困難であり、NaCl、KClが残存し易くなることと生成した水酸化スズと水酸化アンチモンは固溶体ではなく混合物であることから焼成温度が高くなる欠点を有している。
【0006】
硫酸水溶液に塩化第二スズと三塩化アンチモンとを溶解した溶液を加熱水中に加えることによってアンチモン含有酸化スズ微粉末を析出させ、濾別後沈殿物を乾燥した後600℃で焼成し、更に焼成物を純水で洗浄し乾燥して導電性酸化スズ微粉末を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。この方法では残存塩酸量を少なく出来るが、加水分解を完全に行わせるために多量の水中に添加しなければならず生産性が低いという欠点を有している。また、1次粒子径が大きくなる欠点を有している。
【0007】
塩化第二スズと三塩化アンチモンの水溶液に重炭酸アンモニウム水溶液を添加して中和しゲルを生成させた後、ゲルを洗浄し次いでアンモニアを添加してpHを8〜12に調整し、オートクレーブで水熱処理を行うことにより結晶性酸化スズ・アンチモンゾルを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。この方法は特許文献1の方法と同様、副生する塩(NHCl)の量が多くなりすぎるため洗浄が困難となり、又、塩素イオンを含有するスラリーをオートクレーブ処理するため装置が高価になる欠点を有している。尚、この結晶性酸化スズ・アンチモンゾルは酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾルであり、導電性酸化スズゾルではない。
【0008】
硝酸と金属スズの反応により得られた反応混合物をアンモニアで中和し、沈澱をろ過洗浄し、得られたウェットケーキに第4級アンモニウムヒドロキシドを添加してケーキを解凝固するアルカリ性の酸化スズゾルの製造方法及びこのアルカリ性酸化スズゾルに三酸化アンチモンを加え、加熱しながら過酸化水素を添加することにより透明で麦わら色の酸化スズ−五酸化アンチモン混合ゾルを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献4を参照)。この方法ではアルカリ性で第4級アンモニウムヒドロキシドの存在下に五酸化アンチモンゾルを生成させるため酸化スズと五酸化アンチモンは結合せず、上記特許記載の麦わら色ということから混合ゾルであることは間違いなく、本発明の目的とする酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾル及び導電性酸化スズゾルではない。
【0009】
導電性酸化スズ粉末の水分散液に塩酸、酒石酸等の酸、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、第四級アンモニウム塩等のアルカリを粉末に対して5重量%以上添加した後30〜200℃で加熱処理する方法が提案されている(例えば、特許文献5を参照。)。サンドミル、ボールミルなどの使用が有効であることが記載されている。又、得られたアルカリ性の導電性酸化スズゾルから脱ナトリウムしたゾルを溶媒置換によりオルガノゾルとする方法も提案されている。この方法はかなり多量の酸又はアルカリの添加によりゾル化する方法で焼結部が一部溶解する(酸化スズは酸にもアルカリにも可溶なため)ことによりゾル化すると考えられ、厳密な意味ではコロイドと溶液の混合状態であるといえる。溶解しているものもイオン交換による脱アルカリ、脱酸によりコロイドとなるが、これは導電性を示さない酸化スズゾルとなるため上記特許の方法による導電性酸化スズゾルは充分な導電性を示さない欠点を有している。
【0010】
塩酸あるいはシュウ酸の水溶液に過酸化水素水と金属スズをH/Snモル比が2〜3の範囲に保ちながら添加して反応させることを特徴とする酸性の酸化スズゾルの製造方法(例えば、特許文献6を参照)が開示されている。
【0011】
下記(a)工程、(b)工程、(c)工程及び(d)工程;
(a)工程:酸性の酸化スズゾルに三酸化アンチモンを、SnOに対してSbとして2.0〜20重量%になるように添加した後、20〜100℃に保持して酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液を作製する工程、(b)工程:(a)工程で得られた酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液に、アンモニア又は有機塩基を0.02〜4.0重量%添加した後、陰イオン交換により脱アニオンしてアルカリ性酸化スズ−酸化アンチモン複合水性ゾルとする工程、(c)工程:(b)工程で得られたアルカリ性酸化スズ−酸化アンチモン複合水性ゾルを乾燥した後400〜800℃で焼成する工程、及び(d)工程:(c)工程で得られた焼成物を粉砕する工程、からなる導電性酸化スズ微粉末の製造方法(例えば、特許文献7を参照。)が開示されている。
【0012】
2〜60nmの一次粒子径を有する金属酸化物のコロイド粒子(A)を核として、その表面を酸性酸化物のコロイド粒子からなる被覆物(B)で被覆して得られた粒子(C)を含有し、且つ(C)を金属酸化物に換算して2〜50重量%の割合で含み、そして2〜100nmの一次粒子径を有する安定な変性金属酸化物ゾル(例えば、特許文献8を参照。)が開示されている。
【0013】
【特許文献1】
特公昭55−6569号公報(第1頁の特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開昭61−163119号公報(第3頁の実施例1)
【特許文献3】
特開昭62−223019号公報(第1頁の特許請求の範囲、第2頁実施例)
【特許文献4】
特開昭59−62341号公報(第5頁の実施例6及び実施例7)
【特許文献5】
特開昭62−230619号
【特許文献6】
特開昭64−27635号公報(第1頁の特許請求の範囲)
【特許文献7】
特開平10−251018号公報(第2頁の特許請求の範囲)
【特許文献8】
特開2001−122621号公報(第2頁の特許請求の範囲)
【特許文献9】
米国特許第3888788号明細書
【非特許文献1】
ウェイザー著「インオーガニックコロイダルケミストリー」第2巻、1938年、p.240。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように導電性酸化スズ粒子及び酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾル、導電性酸化スズゾルの製造方法については多くの提案がなされているが、性能、経済性などの点で満足する方法とはいえない。
【0015】
特許文献6には塩酸あるいはシュウ酸の水溶液に過酸化水素水と金属スズをH/Snモル比が2〜3の範囲を保ちながら添加して反応させることを特徴とする酸性の酸化スズゾルの製造方法を提案されている。この酸性の酸化スズゾルは高濃度で酸の含有量が少なく、比較的粘度が低く安定なゾルである。本発明者等はこの酸化スズの酸化スズコロイドが小さく、分散性のよいこと及び酸化スズコロイドがアルキルアミン含有五酸化アンチモンコロイドと容易に複合化できることに注目し、鋭意研究を行った結果、酸化スズゾルに五酸化アンチモンを複合化させ酸化スズ−酸化アンチモン複合体とした後、焼成することにより容易に導電性酸化スズが得られることを見い出し、本発明を完成するに到った。
【0016】
本発明の目的は透明性、分散性、導電性の優れた導電性酸化スズ粒子の製造方法、酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾルの製造方法、導電性酸化スズの水性ゾル及び有機溶媒ゾルの製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本願発明は第1観点として、酸化スズゾルに由来するSnO成分と五酸化アンチモンゾルに由来するSb成分とが0.02〜0.2のSb/SnO重量比で含有する酸化スズ−酸化アンチモン複合粒子からなるゾルを、乾燥後400〜800℃で焼成し、次に粉砕する工程から成る導電性酸化スズ粒子の製造方法、
第2観点として、下記(a)工程、(b)工程、(c)工程及び(d)工程:
(a)工程:酸性酸化スズゾルにアルカリ成分含有五酸化アンチモンゾルをSnOに対してSbとして2.0〜20重量%になるように添加し、室温〜100℃で熟成する工程、
(b)工程:(a)工程で得られた酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液にアンモニア又は有機塩基を添加し、陰イオン交換により脱アニオンしアルカリ性酸化スズ−酸化アンチモン複合水性ゾルとする工程、
(c)工程:(b)工程で得られたアルカリ性酸化スズ−酸化アンチモン複合水性ゾルを乾燥後400〜800℃で焼成する工程、及び
(d)工程:(c)工程で得られた焼成物を粉砕する工程、からなる導電性酸化スズ粒子の製造方法、
第3観点として、下記(a’)工程、(c’)工程及び(d’)工程:
(a’)工程:アルカリ性酸化スズゾルにアルカリ成分含有五酸化アンチモンをSnOに対してSbとして2.0〜20重量%になるように添加し、室温〜100℃で熟成し、酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液を得る工程、
(c’)工程:(a’)工程で得られたアルカリ性酸化スズ−酸化アンチモン複合水性ゾルを乾燥後400〜800℃で焼成する工程、及び
(d’)工程:(c’)工程で得られた焼成物を粉砕する工程、からなる導電性酸化スズ粒子の製造方法、
第4観点として、(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程及び下記(e)工程:
(e)工程:(d)工程で得られた導電性酸化スズ粒子を水に分散し、湿式粉砕して導電性酸化スズコロイド凝集体の分散液を作成した後、アンモニア又は有機塩基を該分散液の導電性酸化スズに対して0.02〜4.0重量%の割合で添加する工程、からなる導電性酸化スズ水性ゾルの製造方法、
第5観点として、(a’)工程、(c’)工程、(d’)工程及び下記(e)工程:
(e)工程:(d’)工程で得られた導電性酸化スズ粒子を水に分散し、湿式粉砕して導電性酸化スズコロイド凝集体の分散液を作成した後、アンモニア又は有機塩基を該分散液の導電性酸化スズに対して0.02〜4.0重量%の割合で添加する工程、からなる導電性酸化スズ水性ゾルの製造方法、
第6観点として、第4観点又は第5観点に記載の(e)工程の後に、下記(f)工程:
(f)工程:(e)工程で得られた導電性酸化スズ水性ゾルに、有機酸及び/又は有機塩基を導電性酸化スズに対して1.0〜20重量%の割合で添加した後、水性溶媒を有機溶媒に置換する工程を加える導電性酸化スズ有機溶媒ゾルの製造方法、及び
第7観点として、原料として用いる酸化スズゾルが、塩酸水溶液に酸化スズ濃度が15〜40重量%になるように過酸化水素水と金属スズをH/Snモル比が2〜3の範囲に保ちながら添加し、酸化スズコロイドの凝集体を生成させ、次いで該凝集体を分離し、水に解膠する方法で製造した酸化スズゾルをpH調製して得られたものである、第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本願発明に原料として用いられる酸性の酸化スズゾルを得る方法としては、Sn4+の可溶性塩(例えばSnCl)の水溶液からアニオン交換樹脂によりアニオンを除去する方法(特許文献9)、塩化第二スズとアルカリ又はスズ酸ナトリウムと塩酸の反応により室温で得られたフレッシュな酸化スズゲルを鉱酸により解膠する方法(非特許文献1)、スズ酸ナトリウム水溶液から陽イオン交換樹脂によりナトリウムを除去する方法、塩酸あるいはシュウ酸の水溶液に過酸化水素と金属スズをH/Snモル比が2〜3の範囲に保ちながら添加して反応させる方法(特許文献6)などがある。
【0019】
本発明に使用する酸性の酸化スズゾルは公知の方法により作成したものであるが、酸化スズコロイド粒子の形状がはっきりしており、酸量が出来るだけ少なく酸根以外のイオン(特にアルカリイオン)を含有しないものが好ましい。特に塩酸水溶液に液中の酸化スズ濃度が15〜40重量%になるように過酸化水素水と金属スズをH/Snモル比が2〜3の範囲に保ちながら添加して反応させ、酸化スズコロイドの凝集体を生成させ、次いで該凝集体を分離し、水で解膠する方法により作成した酸性の酸化スズゾルが最も好ましい。
【0020】
この方法により作成した酸性の酸化スズゾルは電子顕微鏡観察によると酸化スズコロイドの1次粒子の形状が幅2nm、長さ5〜10nmの短冊状あるいは紡錘状であり、この1次粒子が幾つか集まり比較的小さな凝集体を形成している。又、このゾルの130℃乾燥物の比表面積(BET法)は120〜200m2/gと非常に大きく、比表面積からの粒子径は4.4〜7.2nmと小さく、反応性は非常に高い。更にこの乾燥物はX線回折の結果、スズ石(Cussiterite)のピークを示し、この酸化スズコロイドは結晶質である。そして、この酸化スズゾル中の塩酸の量は酸化スズ(SnO)に対して6〜12重量%でCl/Snモル比は0.25〜0.5であり、塩化第二スズ(SnCl)に比べ著しく少ない。本発明において酸化スズゾルはpH0.1〜7の酸性酸化スズゾル、あるいはpH7〜11のアルカリ性酸化スズゾルのどちらも使用することができる。
【0021】
アルカリ性の酸化スズゾルは、上記の酸性の酸化スズゾルにエチルアミン、ジエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルアミンなどのアルキルアミンや、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、グアニジン水酸化物、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドなどの第4級アンモニウム水酸化物、また、炭酸アンモニア、炭酸グアニジンのような炭酸塩等の塩基性物質を添加してアルカリ性の酸化スズゾルを調製する事が出来る。
【0022】
本発明において酸化スズゾルは酸化第二スズ(SnO)濃度2〜30重量%のものを使用することが出来る。2重量%未満では生産性が悪くなり、30重量%を超える濃度では五酸化アンチモンとの複合化の際、反応が不均一になり好ましくない。
【0023】
本発明において陽に帯電している酸化スズゾルの周りに負に帯電した五酸化アンチモンコロイドが電気的に引き寄せられ、そして酸化スズ粒子表面に化学結合によって五酸化アンチモンが結合し、複合化されている。従って酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイドは酸化スズコロイドと酸化アンチモンコロイドの混合物ではない。
【0024】
本願発明の(a)工程、及び(a’)工程では、酸化スズゾルに由来するSnO成分と五酸化アンチモンゾルに由来するSb成分とが0.02〜2.0のSb/SnO重量比で含有する酸化スズ−酸化アンチモン複合粒子からなるゾルを製造する段階である。酸性又はアルカリ性の酸化スズゾルにアルカリ成分含有五酸化アンチモンゾルをSnOに対してSbとして2.0〜20重量%になるように添加して、室温(20℃)〜100℃、好ましくは70〜100℃の温度で熟成する段階である。(a)工程及び(a’)工程では酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液が得られる。
【0025】
本発明の(b)工程では、(a)工程で得られた酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液にアンモニア又は有機塩基を、分散液中の金属酸化物に対して0.02〜4.0重量%添加し、陰イオン交換により脱アニオンしアルカリ性酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾルとする。0.02%以下では解膠が不完全となりゾル化しない部分が生じ、4.0%以上では添加量が過剰になるため経済的でなく、また臭いが強くなったり、乾燥、焼成時の揮発量が大きくなるため好ましくない。
【0026】
本発明(b)工程において有機塩基としてエチルアミン、ジエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルアミンなどのアルキルアミンや、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、グアニジン水酸化物、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドなどの第4級アンモニウム水酸化物等を使用することが出来る。また、炭酸アンモニア、炭酸グアニジンのような炭酸塩を使用することも出来る。
【0027】
本発明において撹拌はファウドラー型、サタケ式などの通常の撹拌機、ディスパー、ホモミキサーのような高速撹拌機を用いることができる。又、サンドグラインダー、ボールミルのような方法でも可能である。
【0028】
本発明の酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾル中の固形分濃度(SnO(Sb、但しx=0.01〜0.10モル)として5〜30重量%が可能であり、5%以下では経済的でなく30%以上では粘度が高くなりすぎる。好ましくは、10〜30重量%である。
【0029】
上記の複合ゾルは乾燥、焼成(400℃以上)することにより導電性を付与することができ、ガラス、セラミックスなどの表面に導電性を付与するのに使用することができる。
【0030】
本発明のゾルのpHは7〜11が好ましい。酸化スズの等電位点が中性域にあるため酸性ではゾルにならない。
【0031】
本発明において(b)工程で得られた酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド凝集体スラリーはアンモニア又は有機塩基の塩(塩化アンモニウムなど)を含有しているためそのまま乾燥焼成することは好ましくない。従って、酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド凝集体の脱アニオンが必要となる。
【0032】
本発明において酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイドの脱アニオンには陰イオン交換樹脂などを利用することが出来る。ここで用いられる陰イオン交換樹脂としては、
アンバーライトIRA−410(オルガノ(株))等のゲル型陰イオン交換樹脂を用いることが出来る。
【0033】
本発明の(c)工程及び(c’)工程では、得られた酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾルを乾燥する工程を経由する。乾燥方法としてはスプレードライヤー、ドラムドライヤー、凍結乾燥機などで乾燥することが可能である。本発明の乾燥温度は後に焼成工程があるため特に限定されないが、装置あるいは操作から考えて室温(20℃)〜400℃で行うことができる。
【0034】
本発明において酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド乾燥物中の酸根量は固形分重量に対して1.0重量%以下が好ましい。残存する酸根量が多くても導電性酸化スズ粒子を得ることが出来るが、酸根量が多いと焼成時の酸化アンチモンの酸化スズへの固溶が不十分となったり、焼成炉の金属を腐食させたりするため好ましくない。この場合、遠心分離、フィルタープレス、吸引ろ過、加圧ろ過、限外ろ過、デカンテーション等などにより水洗する方法で上記記載の1.0重量%以下に低減する事が出来る。
【0035】
本発明の(c)工程、(c’)工程において焼成温度は400℃〜800℃が可能であり、好ましくは500℃〜700℃である。800℃を超える温度でも導電性酸化スズを得ることは出来るが、1次粒子が大きくなり又焼結が進むために粉砕しても粒子径が大きくなり好ましくない。また、400℃未満では固相反応が充分に起こらず、導電性酸化物粒子が得られないために好ましくない。
【0036】
本発明において焼成時間は0.5時間〜40時間が好ましい。0.5時間以下では固溶が進まないために導電性が高くならず、40時間以上では性能的には問題ないが熱コストが高くなるため好ましくない。焼成には電気炉、ガス炉を用いることができ、箱型、キルン型等のいずれのタイプの焼成炉でも使用でき、空気雰囲気で焼成が行われる。ガス炉の場合は酸化雰囲気になるようにすることが好ましい。焼成した導電性酸化スズは一般に灰青色を示すが還元雰囲気では青味が減少して薄い灰色となり、導電性能が若干低くなる。又、残存酸素量が多くなると灰緑青色となる。
【0037】
本発明の酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液を乾燥する工程において複合コロイド粒子は一部結合し比較的硬いゲルとなるが、上記複合コロイド凝集体の乾燥物の比表面積は300℃乾燥品でも90〜130m/gもあり、1次粒子径は6.7〜9.7nmで乾燥による粒子径の増加が小さいことから粒子−粒子の結合は弱くゲルは粉砕により容易に微粒子化する。
【0038】
本発明の(d)工程、(d’)工程において粉砕は焼成の前か後のいずれか又は両方で行うことができ、粉砕には高速回転ミキサー、ピンディスクミル、ジェットオーマイザー、ボールミルなどを使用することができる。(b)工程及び(a’)工程の酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液を乾燥する過程で乾燥物をケーキ状で乾燥する方法では焼成の前後で粉砕することが必要である。
【0039】
酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド乾燥物を400〜800℃で焼成することにより酸化アンチモンは酸化スズに固溶し、コロイダルな導電性酸化スズとなる。
【0040】
本発明により得られた導電性酸化スズの比表面積は40〜70m/gで透過型電子顕微鏡観察によると一次粒子は10〜25nmの球状に近い粒子であり、比表面積からの粒子径12.5〜21.9nmとかなり良く一致した。又、この一次粒子径は焼成温度が高くなるほど大きくなる傾向を示した。本発明の導電性酸化スズは一次粒子が球状に近い粒子の凝集結合体であるため粉砕され易く上記乾式での粉砕により粒子径0.5〜3μmの微粒子を得ることができる。
【0041】
得られた導電性酸化スズ粒子は、酸化スズゾルに由来するSnO成分と五酸化アンチモンゾルに由来するSb成分とが0.02〜2.0のSb/SnO重量比、(SnO(Sb ただしx=0.01〜0.10モル)で含有する。
【0042】
本発明において酸素量を充分減少することが出来ない場合には焼成して得た導電性酸化スズを水洗することにより酸素量を更に減少することができる。導電性酸化スズ中の酸素量は固形分に対して0.3重量%以下にすることが好ましい。本発明の導電性酸化スズ粒子を300kg/cmでプレスしたものの比抵抗は0.1〜100Ω・cmを示す。
【0043】
本発明の導電性酸化スズ微粉末は粉末X線回折の結果、スズ石(Cassiterite)のシャープな回折ピークを示し、結晶性は良好である。
【0044】
本発明の(d)工程及び(d’)工程により得た導電性酸化スズ粉末は1次粒子径が10〜25nmのコロイド粒子が結合又は凝集して0.5〜3μmの粒子径を有するものである。一般には焼成により結合が強固になり機械的粉砕では結合を切ることは困難であるが、本発明の導電性酸化スズ粉末は驚くべきことに(e)工程の機械的粉砕(物理的粉砕)によりコロイドレベルまで分散できることが判った。
【0045】
本発明において上記導電性酸化スズ粒子を水に分散し、サンドグラインダー、ボールミル、アトライターのような粉砕機を用いて湿式粉砕することによりコロイド粒子まで分散することが出来る。ただし、上記導電性酸化スズ粉末は少量の塩素イオンを含有するために分散液は弱酸性(pH2〜5)を示す。本発明の導電性酸化スズは酸化スズ(SnO)に五酸化アンチモン(Sb)が固溶したものと推定され、酸化スズの等電位点が中性(pH5〜7)であるのに対して五酸化アンチモンの等電位点はpH1以下であることから、この導電性酸化スズゾルは中性〜アルカリ性では負に帯電して安定であるが、酸性域ではカチオンサイト(Sn4+サイト)とアニオンサイト(Sb5+サイト)が共存するためコロイド粒子は凝集する。従って上記の機械的(物理的)粉砕によって得た分散液はゾルではなく導電性酸化スズコロイドの凝集体分散液となる(液は透明性を示さない。)。この導電性酸化スズコロイドの凝集体はpHを中性からアルカリ性にすることにより電荷的反発を得てゾルとなる。
【0046】
本発明において上記凝集体分散液にアンモニア又はエチルアミン、メチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリエチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン、グアニジン水酸化物、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエタノールアンモニウムハイドロオキサイドなどの第四級アンモニウム水酸化物のような有機塩基を添加し、室温〜100℃で加熱することにより導電性酸化スズ水性ゾルを製造することが出来る。アンモニア及び沸点の低いアミンが特に好ましい。
【0047】
本発明においてアンモニア又は有機塩基の添加量は単独又は混合で導電性酸化スズ(SnO(Sb ただしx=0.01〜0.10モル)に対して0.02〜4.0重量%が好ましい。0.02%以下ではゾルにならないし、4.0%以上ではゾルになるが臭いが強くなったり、乾燥時の揮発量が多くなったり、導電性を低下させたりするため好ましくない。
【0048】
本発明において機械的(物理的)粉砕を行う時の固形分濃度は20〜50重量%が好ましい。20%以下では粉砕効率が悪く、50%以上では粘度が高くなりすぎるため好ましくない。
【0049】
本発明において導電性酸化スズコロイド凝集体分散液は静置により凝集体が沈降することから必要に応じて傾斜法により洗浄して残存する塩素などの酸量を減少することが出来る。
【0050】
本発明において導電性酸化スズ微粉末分散液を湿式粉砕する時に上記アンモニア又は有機塩基を添加することもできるが、酸化スズが有機塩基に溶解したり、アンモニア又は有機塩基が酸化スズ表面に強固に結合したりするため好ましくない。
【0051】
本発明において湿式粉砕した導電性酸化スズコロイド凝集体分散液にアンモニア又は有機塩基を添加することにより容易にゾル化するが、粉砕不充分のものはゾル化せず沈降する。本発明において水に添加した導電性酸化スズ粒子に対する、導電性酸化スズ水性ゾル中の導電性酸化スズ粒子の割合、即ちゾル化率は70%以上であるが、沈降物は静定、遠心分離などの方法により除去できる。
【0052】
本発明の導電性酸化スズ水性ゾルは固形分(SnO(Sb ただしx=0.01〜0.10モル)が5〜40重量%であり、5%以下では経済的ではなく40%以上では粘度が高くなるため好ましくない。またゾルのpHは7〜11が好ましい。
【0053】
本発明の(f)工程として(e)工程で得られた導電性酸化スズ水性ゾルに有機塩基及び/又は有機酸を添加した後、有機溶媒を添加しながら溶媒置換することにより導電性酸化スズの有機溶媒ゾルを製造することができる。
【0054】
本発明の(f)工程において使用される有機塩基としてははエチルアミン、メチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、、ジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリエチルアミン、ベンジルアミン等のアルキルアミンや、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、グアニジン水酸化物、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエタノールアンモニウムハイドロオキサイドなどの第四級アンモニウム水酸化物等が例示でき、揮発性の高いアルキルアミンが特に好ましい。有機塩基の添加量は単独又はそれらの混合として導電性酸化スズ(SnO(Sb ただしx=0.01〜0.10モル)に対して0.1〜20.0重量%が好ましい。
【0055】
本発明の(f)工程において使用される有機酸としてはグリコール酸、酒石酸、クエン酸などのオキシカルボン酸やフェニルホスホン酸等が挙げられる。有機酸の添加量は単独又はそれらの混合として導電性酸化スズ(SnO(Sb ただしx=0.01〜0.10モル)に対して0.1〜20.0重量%が好ましい。
【0056】
本発明の(f)工程において使用される有機溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の直鎖アミド類、N−メチル−2−ピロリドン等の環状アミド類、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類、或いはエチレングリコール類等が挙げられる。
【0057】
本発明の導電性酸化スズ有機溶媒ゾルは固形分(SnO(Sb ただしx=0.01〜0.10モル)が5〜50重量%であり、5%以下では経済的ではなく50%以上では粘度が高くなるため好ましくない。
【0058】
本発明の導電性酸化スズゾルは1次粒子径が10〜25nmであり、液中での粒子径が150nm以下であることから安定であり、長期間放置によってもゲル化及び沈降物の著しい発生は認められない。
【0059】
本発明の導電性酸化スズ水性ゾルは乾燥して水を除去することにより導電性を示す。それ故この水性ゾルを少量のバインダー(水溶性ポリマー、樹脂エマルジョン)と混合して塗料にした後、プラスチックス、紙、セラミックス、ガラスなどに塗布乾燥することにより導電性を付与することが出来る。
【0060】
【実施例】
酸性酸化第二スズ水性ゾル(A−1)の製造
金属スズ粉末と塩酸水溶液と過酸化水素水溶液との反応により、酸性酸化第二スズ水性ゾルを作製した。このゾルは比重1.420、pH0.40、撹拌直後の粘度32cp、SnO含量33.0重量%,HCl含量2.56重量%,電子顕微鏡による紡錘状コロイド粒子径10ミリミクロン以下,BET法による粒子の比表面積120m /g、この比表面積からの換算粒子径7.2nm、米国コールター社製N4装置による動的光散乱粒子径107nmであった。
【0061】
アルカリ成分含有五酸化アンチモン水性ゾル(B−1)の製造
500ミリリットルの4つ口フラスコに三酸化アンチモン(広東三国製、Sbとして99.5%を含有する。)を52.6g、純水444gおよびジイソプロピルアミン40.2gを添加し、スターラー攪拌下で70℃に昇温後、35%過酸化水素53gを徐々に添加した。反応終了後、ガラス濾紙(ADVANTEC製GA−100)にて濾過した。濃度はSbとして9.8重量%、ジイソプロピルアミンとして6.8重量%、ジイソプロピルアミン/Sbのモル比は2.2、透過型電子顕微鏡による観測で一次粒子径は1〜10nmであった。
【0062】
アルカリ成分含有五酸化アンチモン水性ゾル(B−2)の調整
500ミリリットルの4つ口フラスコに三酸化アンチモン(広東三国製、Sbとして99.5%を含有する。)を87.6g、純水460gおよび水酸化カリウム(小宗化学製、試薬一級)39.2gを添加し、スターラー攪拌下で70℃に昇温後、35%過酸化水素63.2gを徐々に添加した。反応終了後、ガラス濾紙(ADVANTEC製GA−100)にて濾過した。濃度はSbとして15重量%、水酸化カリウムとして5.6重量%、KO/Sbのモル比は1.0であった。
【0063】
得られたアンチモン酸カリウムの水溶液を2.5重量%に希釈し、カチオン型イオン交換樹脂を充填したカラムに通液した。イオン交換後のアンチモン酸の溶液にジイソプロピルアミンを攪拌下で39.5g添加し、アルカリ成分含有五酸化アンチモンコロイド溶液を得た。濃度はSbとして2.2重量%、ジイソプロピルアミンとして0.9重量%、ジイソプロピルアミン/Sbのモル比は1.3、透過型電子顕微鏡による観測で一次粒子径は、1〜10nmであった。
【0064】
アルカリ成分含有五酸化アンチモン水性ゾル(B−3)の調整
500ミリリットルの4つ口フラスコに三酸化アンチモン(広東三国製、Sbとして99.5%を含有する。)を56.9g、純水313gおよび85%リン酸15.3gを添加(P/Sbとして0.15重量比)し、スターラー攪拌下で70℃に昇温後、35%過酸化水素77.8gを徐々に添加した。反応終了後、ガラス濾紙(ADVANTEC製GA−100)にて濾過した。濃度はSbで13.2重量%、リン酸0.14重量%であった。得られた五酸化アンチモンゾルに更にジイソプロピルアミンを15.8g添加し、リン酸−アミン含有の五酸化アンチモンゾルを得た。濃度はSbとして13.2重量%、リン酸として2.0重量%、ジイソプロピルアミンとして3.3重量%であった。ジイソプロピルアミン/Sbのモル比は0.80、透過型電子顕微鏡による観測で一次粒子径は3〜12nmであった。
【0065】
アルカリ成分含有五酸化アンチモン水性ゾル(B−4)の調整
500ミリリットルの4つ口フラスコに三酸化アンチモン(広東三国製、Sbとして99.5%を含有する。)を63.4g、純水412.2gおよび85%リン酸17.1gとジイソプロピルアミン45.2gを添加し、スターラー攪拌下で70℃に昇温後、35%過酸化水素42.1gを徐々に添加した。反応終了後、ガラス濾紙にて濾過した。濃度はSbとして12.1重量%、ジイソプロピルアミン/Sbのモル比は2.1であった。得られた五酸化アンチモンゾルにジイソプロピルアミンを17.5g添加し、アルカリ成分含有五酸化アンチモンゾル597.5gを得た。透過型電子顕微鏡による観測で一次粒子径は、2〜12nmであった。
【0066】
実施例1
(a)工程:上記のB−2で作製したアルカリ成分含有五酸化アンチモンコロイド5148gに、A−1で作成した酸性の酸化第二スズ水性ゾル2400g(SnO として812g)に撹拌下、純水1268gを加え、希釈したゾルを添加混合し、酸性の酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液8912gを得た。
(b)工程:(a)工程で得られた酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液8912gを陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ(株)製)1リットルを充填したカラムに通液させることにより脱Clし、アルカリ性の酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾル10680gを得た。このものはSnOに換算した濃度として7.6重量%、pH10.1、電導度810μS/cmであった。このゾルをロータリーエバポレーターを用いて濃縮を行い、濃縮ゾル4060gを得た。このゾルはSnOに換算した濃度として20重量%、pH7.3、電導度5740μS/cmであった。
(c)工程:(b)工程で得た濃縮ゾルをスプレードライヤーで乾燥し、乾燥粉末968gを得た。この乾燥粉末を電気炉に入れ、550℃、5時間焼成を行い、導電性酸化スズ粉末を得た。
(d)工程:(c)工程で得られた焼成粉を粉砕した。この粉末のBET法による比表面積は72m/g、比表面積より算出した粒子径は12.2nmであった。この粉末を300kg/cm2でプレス成形したものを三菱化学(株)製Loresta IP MCP−T250を用いて四探針法により比抵抗値を測定した結果、3.0Ωcmを示した。
(e)工程:(d)工程で得た導電性酸化スズ粒子700gを水1400gに分散し、28重量%アンモニア水25gを添加し、ガラスビーズ(1mmφ)4600gを仕込んだアトライターで48時間湿式粉砕し、導電性酸化スズ水性ゾル4021gを得た。このゾルに含まれる電解質をさらに除去するために、水2480gで希釈した後、陰イオン交換樹脂(IRA−41O、オルガノ(株)製)1リットルを詰めたカラムに通液し、次いで陽イオン交換樹脂(IR−120B、オルガノ(株)製)1リットルを詰めたカラムに通液し、酸性の導電性酸化スズ水性ゾル6670gを得た。このゾルはSnO10重量%、pH3.3、電導度175μS/cmであった。このゾルにジイソブチルアミン11gを添加し、アルカリ性(PH8.8、電導度143μS/cm)とした後、ロータリーエバポレータで濃縮し、濃縮ゾル1436gを得た。
(f)工程:(e)工程で得られた濃縮ゾル185gをロータリーエバポレータでメタノール4リットルを徐々に添加しながら水を除去する方法で水媒体をメタノールに置換し、導電性酸化スズメタノールゾル174.5gを得た。このゾルは比重1.08、粘度1.8mPa・s、pH(1+1)7.8、SnOに換算した濃度として27.87重量%、Sbに換算した濃度として2.34重量%、BET法による粒子の比表面積からの換算粒子径は12.0nm、米国コールター社製N4 装置による動的光散乱法による粒子径67nm、色差計((有)東京電色製TOPSCAN MODEL TC−1800MK)による導電性酸化スズゾルの濃度0.2重量%の溶液の全光透過率は84であった。このゾルを乾燥して導電性酸化スズ粉末として、160kg/cmでプレスしたペレットの比抵抗値は135Ω・cmであった。
実施例2
(a’)工程:上記A−1で作製した酸性の酸化第二スズ水性ゾル3274g(SnO として1100g)に撹拌下、純水18700gを加え、希釈した後、イソプロピルアミン27.5gを添加し、希釈分散液とした。この分散液を陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ(株)製)10リットルを充填したカラムに通液させることにより脱Clし、アルカリ性の酸化スズゾル25000gを得た。このものはSnO4.1重量%、pH10.1、電導度243μS/cmであった。得られたアルカリ性酸化スズゾル21000gに、上記のB−2で作製したアルカリ成分含有五酸化アンチモンコロイド1836gを添加し、90℃で3時間加熱熟成し、アルカリ性の酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾル26500gを得た。このものはSnOに換算した濃度として3.3重量%、pH9.1、電導度822μS/cmであった。このゾルをロータリーエバポレーターを用いて濃縮を行い、濃縮ゾル4375gを得た。
(c’)工程:(a’)工程で得た濃縮ゾルをスプレードライヤーで乾燥し、乾燥粉末874gを得た。この乾燥粉末を電気炉に入れ、550℃、5時間焼成を行い、導電性酸化スズ粉末830gを得た。
(d’)工程:上記の焼成粉を粉砕した。この粉末のBET法による比表面積は70.0m/g、比表面積より算出した粒子径は12.6nmであった。この粉末を300kg/cmでプレス成形したものを三菱化学(株)製Loresta IP MCP−T250を用いて四探針法により比抵抗値を測定した結果、4.3Ωcmを示した。
(e)工程:(d’)工程で得た導電性酸化スズ粉末700gを水1400gに分散し、28重量%アンモニア水25gを添加し、ガラスビーズ(1mmφ)4600gを仕込んだアトライターで48時間湿式粉砕し、導電性酸化スズ水性ゾル4021gを得た。このゾルに含まれる電解質をさらに除去するために、水で希釈した後、陰イオン交換樹脂(IRA−41O、オルガノ(株)製)1リットルを詰めたカラムに通液し、次いで陽イオン交換樹脂(IR−120B、オルガノ(株)製)1リットルを詰めたカラムに通液し、酸性の導電性酸化スズ水性ゾル6670gを得た。このゾルはSnOに換算した濃度として10.0重量%、pH4.1、電導度196μS/cmであった。このゾルにジイソブチルアミン11gを添加し、アルカリ性(PH8.9、電導度161μS/cm)とした後、ロータリーエバポレータで濃縮し、濃縮ゾル1313gを得た。
(f)工程:(e)工程で得られた濃縮ゾル130gをロータリーエバポレータでメタノール6リットルを徐々に添加しながら水を除去する方法で水媒体をメタノールに置換し、導電性酸化スズメタノールゾル211gを得た。このゾルは比重1.09、粘度1.8mPa・s、pH(1+1)7.6、SnOに換算した濃度として27.9重量%、Sbに換算した濃度として2.7重量%、BET法による粒子の比表面積からの換算粒子径は12.3nm、米国コールター社製N4装置による動的光散乱粒子径65nm、色差計((有)東京電色製TOPSCAN MODEL TC−1800MK)による導電性酸化スズゾルの濃度0.2重量%の溶液の全光透過率は86であった。このゾルを乾燥して導電性酸化スズ粉末として、160kg/cmでプレスしたペレットの比抵抗値は110Ω・cmであった。
実施例3
(a)工程:上記のB−1で作製したアルカリ成分含有五酸化アンチモンコロイド625gに、A−1で作成した酸性の酸化第二スズ水性ゾル2400g(SnOとして813g)に撹拌下、純水5886gを加え、希釈したゾルを添加混合し、酸性の酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液8911gを得た。
(b)工程:(a)工程で得られた酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液8911gを陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ(株)製)を充填したカラムに通液させることにより脱Clし、アルカリ性の酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾル8918gを得た。このものはpH10.2、電導度810μS/cmであった。このゾルをロータリーエバポレーターを用いて濃縮を行い、濃縮ゾル4255gを得た。このゾルはSnO20.0重量%、pH7.4、電導度6200μS/cmであった。
(c)工程:(b)工程で得た濃縮ゾルをスプレードライヤーで乾燥し、乾燥粉末969gを得た。この乾燥粉末を電気炉に入れ、550℃、5時間焼成を行い、導電性酸化スズ粉末921gを得た。
(d)工程:上記の焼成粉を粉砕した。この粉末のBET法による比表面積は67m2/g、比表面積より算出した粒子径は13.2nmであった。この粉末を300kg/cm2でプレス成形したものを三菱化学(株)製Loresta IP MCP−T250を用いて四探針法により比抵抗値を測定した結果、3.9Ωcmを示した。
(e)工程:(d)工程で得た導電性酸化スズ粉末700gを水1400gに分散し、28重量%アンモニア水25gを添加し、ガラスビーズ(1mmφ)4600gを仕込んだアトライターで48時間湿式粉砕し、導電性酸化スズ水性ゾル4021gを得た。このゾルに含まれる電解質をさらに除去するために、水で希釈した後、陰イオン交換樹脂(IRA−41O、オルガノ(株)製)1リットルを詰めたカラムに通液し、次いで陽イオン交換樹脂(IR−120B、オルガノ(株)製)1リットルを詰めたカラムに通液し、酸性の導電性酸化スズ水性ゾル6670gを得た。このゾルはSnO11.6重量%、pH3.5、電導度148μS/cmであった。このゾルにジイソブチルアミン11gを添加し、アルカリ性(PH9.6、電導度146μS/cm)とした後、ロータリーエバポレータで濃縮し、濃縮ゾル1307gを得た。
(f)工程:(e)工程で得られた濃縮ゾル97gをロータリーエバポレータでメタノール22リットルを徐々に添加しながら水を除去する方法で水媒体をメタノールに置換し、導電性酸化スズメタノールゾル142.1gを得た。このゾルは比重1.12、粘度1.8mPa・s、PH(1+1)7.4、SnOに換算した濃度として30.4重量%、Sbに換算した濃度として2.5重量%、BET法による粒子の比表面積からの換算粒子径は11.9nm、米国コールター社製N4装置よる動的光散乱粒子径58nm、色差計((有)東京電色製TOPSCAN MODEL TC−1800MK)による導電性酸化スズゾルの濃度0.2重量%の溶液の全光透過率は86であった。このゾルを乾燥して導電性酸化スズ粉末として、160kg/cmでプレスしたペレットの比抵抗値は104Ω・cmであった。
実施例4
(a’)工程:上記A−1で作製した酸性の酸化第二スズ水性ゾル3274g(SnOとして1100g)に撹拌下、純水18700gを加え、希釈した後、イソプロピルアミン27.5gを添加し、希釈分散液とした。この分散液を陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ(株)製)10リットルを充填したカラムに通液させることにより脱Clし、アルカリ性の酸化スズゾル25000gを得た。このものはSnOに換算した濃度として4.1重量%、pH10.1、電導度243μS/cmであった。得られたアルカリ性酸化スズゾル16000gに、上記のB−1で作製したアルカリ成分含有五酸化アンチモンコロイド480gを添加し、90℃で3時間加熱熟成し、アルカリ性の酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾル16480gを得た。このものはSnOに換算した濃度として4.1重量%、pH9.1、電導度822μS/cmであった。このゾルをロータリーエバポレーターを用いて濃縮を行い、濃縮ゾル3445gを得た。
(c’)工程:(a’)工程で得た濃縮ゾルをスプレードライヤーで乾燥し、乾燥粉末988gを得た。この乾燥粉末を電気炉に入れ、550℃、5時間焼成を行い、導電性酸化スズ粉末939gを得た。
(d’)工程:上記の焼成粉を粉砕した。この粉末のBET法による比表面積は58.8m/g、比表面積より算出した粒子径は15.0nmであった。この粉末を300kg/cmでプレス成形したものを三菱化学(株)製Loresta IP MCP−T250を用いて四探針法により比抵抗値を測定した結果、3.0Ω・cmを示した。
(e)工程:(d’)工程で得た導電性酸化スズ粉末700gを水1400gに分散し、28重量%アンモニア水25gを添加し、ガラスビーズ(1mmφ)4600gを仕込んだアトライターで48時間湿式粉砕し、導電性酸化スズ水性ゾル4021gを得た。このゾルに含まれる電解質をさらに除去するために、水2480gで希釈した後、陰イオン交換樹脂(IRA−41O、オルガノ(株)製)1リットルを詰めたカラムに通液し、次いで陽イオン交換樹脂(IR−120B、オルガノ(株)製)1リットルを詰めたカラムに通液し、酸性の導電性酸化スズ水性ゾル6670gを得た。このゾルはSnOに換算した濃度として10重量%、pH3.5、電導度183μS/cmであった。このゾルにジイソブチルアミン11gを添加し、アルカリ性(pH9.3、電導度170μS/cm)とした後、ロータリーエバポレータで濃縮し、濃縮ゾル1517gを得た。
(f)工程:(e)工程で得られた濃縮ゾル80.5gをロータリーエバポレータでメタノール6リットルを徐々に添加しながら水を除去する方法で水媒体をメタノールに置換し、導電性酸化スズメタノールゾル107.9gを得た。このゾルは比重1.10、粘度1.8mPa・s、PH(1+1)7.8、SnOに換算した濃度として28.6重量%、Sbに換算した濃度として2.5重量%、BET法による粒子の比表面積からの換算粒子径は11.2nm、米国コールター社製N4装置よる動的光散乱粒子径54nm、色差計((有)東京電色製TOPSCAN MODEL TC−1800MK)による導電性酸化スズゾルの濃度0.2重量%の溶液の全光透過率は85であった。このゾルを乾燥して導電性酸化スズ粉末として、160kg/cmでプレスしたペレットの比抵抗値は182Ω・cmであった。
比較例1
(a”)工程:上記A−1で作製した酸性の酸化第二スズ水性ゾル3004g(SnOとして1017g)に撹拌下、純水gを加え、希釈した後、三酸化アンチモン(三国精錬(株)99.5%含有)99.2g(Sbとして98.7g)を添加し、92〜94℃に加熱し、10時間撹拌続け、褐色の酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液5356gを得た。
(b”)工程:(a”)工程で得られた酸化スズ−酸化アンチモンコロイド分散液5356gに水11812gを加え希釈し、28重量%アンモニア水23gを添加し17168gの希釈分散液とした。この分散液を陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ(株)製)2リットルを充填したカラムに通液させることにより脱Clし、アルカリ性の酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾル19253gを得た。このものはSnOとして5.3重量%、pH9.2、電導度444μS/cmであった。このゾルをロータリーエバポレーターを用いて濃縮を行い、濃縮ゾル4859gを得た。このゾルはSnOとして重量21%、pH8.6、電導度828μS/cmであった。
(c”)工程:(b”)工程で得られた濃縮ゾルをスプレードライヤーを用いて乾燥し、乾燥粉末を電気炉に入れ、500℃、10時間焼成を行った。
(d”)工程:上記の焼成粉を粉砕した。この粉末のBET法による比表面積は87m/g、比表面積より算出した粒子径は10.1nmであった。この粉末を300kg/cmでプレスしたものを三菱化学(株)製Loresta IP MCP−T250を用いて四探針法により比抵抗値を測定した結果、4.7Ωcmを示した。
(e”)工程:(d”)工程で得た導電性酸化スズ粉末700gを水1400gに分散し、28重量%アンモニア水27gを添加し、ガラスビーズ(1mmφ)4600gを仕込んだアトライターで48時間湿式粉砕し、導電性酸化スズ水性ゾル3692gを得た。このゾルに含まれる電解質をさらに除去するために、水1828gで希釈した後、陰イオン交換樹脂(IRA−410、オルガノ(株)製)1リットルを詰めたカラムに通液し、次いで陽イオン交換樹脂(IR−120B、オルガノ(株)製)1リットルを詰めたカラムに通液し、酸性の導電性酸化スズ水性ゾル6176gを得た。このゾルはSnOに換算した濃度として6.98重量%、Sbに換算した濃度として0.69重量%、pH3.1、電導度219μS/cmであった。このゾルにジイソブチルアミン7.6gを添加し、アルカリ性(pH9.4、電導度99μS/cm)とした後、ロータリーエバポレータで濃縮し、濃縮ゾル910gを得た。
(f”)工程:(e”)工程で得られた濃縮ゾル910gをロータリーエバポレータでメタノール22リットルを徐々に添加しながら水を除去する方法で水媒体をメタノールに置換し、導電性酸化スズメタノールゾル1282gを得た。このゾルは比重1.09、粘度1.8mPa・s、pH(1+1)7.8、SnOに換算した濃度として27.8重量%、Sbに換算した濃度として2.6重量%、BET法による粒子の比表面積からの換算粒子径は10.1nm、米国コールター社製N4 装置による動的光散乱粒子径63nm、色差計((有)東京電色製TOPSCAN MODEL TC−1800MK)による導電性酸化スズゾルの濃度0.2重量%の溶液の全光透過率は84であった。このゾルを乾燥して導電性酸化スズ粉末として、160kg/cmでプレスしたペレットの比抵抗値は586Ω・cmであった。
【0067】
【発明の効果】
本発明によって得られる導電性酸化スズは少量のバインダー(水溶性ポリマー、樹脂エマルジョン)と混合して塗料にした後、プラスチックス、紙、セラミックス、ガラスなどに塗布乾燥することにより導電性を付与することが出来る。
【0068】
特に導電性酸化スズゾルは粒子径が小さく、透明性が高く、その乾燥被膜は約1.7〜2.0の屈折率を示し、また結合強度、硬度のいずれもが高く、耐光性、耐候性、帯電防止性、耐摩耗性、付着性などが良好であるため、プラスチックスレンズ、フィルム、プラスチックス成形品の高屈折率ハードコート剤用マイクロフィラー、ハロゲン含有ビニル樹脂やモダアクリル樹脂などの難燃助剤、繊維、紙、プラスチックスなどの帯電防止剤、触媒や耐火物用結合剤、無機イオン交換体、紫外線吸収用マイクロフィラー、遠赤外線放射用マイクロフィラー、金属、ガラス、セラミックスの表面処理剤などの用途に使用することが出来る。
【0069】
本発明によって得られる酸化スズ−酸化アンチモン複合ゾルは特に粒子径が小さく、透明性が高く、その乾燥被膜は約1.7〜2.0の屈折率を示し、また結合強度、硬度のいずれもが高く、耐光性、耐候性、耐摩耗性、付着性なども良好であるため、プラスチックスレンズ、フィルム、プラスチックス成形品の高屈折率ハードコート剤用マイクロフィラー、ハロゲン含有ビニル樹脂やモダアクリル樹脂などの難燃助剤、触媒や耐火物用結合剤、無機イオン交換体、紫外線吸収用マイクロフィラー、遠赤外線放射用マイクロフィラー、金属、ガラス、セラミックスの表面処理剤などの用途に使用することが出来る。

Claims (7)

  1. 酸化スズゾルに由来するSnO成分と五酸化アンチモンゾルに由来するSb成分とが0.02〜0.2のSb/SnO重量比で含有する酸化スズ−酸化アンチモン複合粒子からなるゾルを、乾燥後400〜800℃で焼成し、次に粉砕する工程から成る導電性酸化スズ粒子の製造方法。
  2. 下記(a)工程、(b)工程、(c)工程及び(d)工程:
    (a)工程:酸性酸化スズゾルにアルカリ成分含有五酸化アンチモンゾルをSnOに対してSbとして2.0〜20重量%になるように添加し、室温〜100℃で熟成する工程、
    (b)工程:(a)工程で得られた酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液にアンモニア又は有機塩基を添加し、陰イオン交換により脱アニオンしアルカリ性酸化スズ−酸化アンチモン複合水性ゾルとする工程、
    (c)工程:(b)工程で得られたアルカリ性酸化スズ−酸化アンチモン複合水性ゾルを乾燥後400〜800℃で焼成する工程、及び
    (d)工程:(c)工程で得られた焼成物を粉砕する工程、からなる導電性酸化スズ粒子の製造方法。
  3. 下記(a’)工程、(c’)工程及び(d’)工程:
    (a’)工程:アルカリ性酸化スズゾルにアルカリ成分含有五酸化アンチモンをSnOに対してSbとして2.0〜20重量%になるように添加し、室温〜100℃で熟成し、酸化スズ−酸化アンチモン複合コロイド分散液を得る工程、
    (c’)工程:(a’)工程で得られたアルカリ性酸化スズ−酸化アンチモン複合水性ゾルを乾燥後400〜800℃で焼成する工程、及び
    (d’)工程:(c’)工程で得られた焼成物を粉砕する工程、からなる導電性酸化スズ粒子の製造方法。
  4. (a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程及び下記(e)工程:
    (e)工程:(d)工程で得られた導電性酸化スズ粒子を水に分散し、湿式粉砕して導電性酸化スズコロイド凝集体の分散液を作成した後、アンモニア又は有機塩基を該分散液の導電性酸化スズに対して0.02〜4.0重量%の割合で添加する工程、からなる導電性酸化スズ水性ゾルの製造方法。
  5. (a’)工程、(c’)工程、(d’)工程及び下記(e)工程:
    (e)工程:(d’)工程で得られた導電性酸化スズ粒子を水に分散し、湿式粉砕して導電性酸化スズコロイド凝集体の分散液を作成した後、アンモニア又は有機塩基を該分散液の導電性酸化スズに対して0.02〜4.0重量%の割合で添加する工程、からなる導電性酸化スズ水性ゾルの製造方法。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の(e)工程の後に、下記(f)工程:
    (f)工程:(e)工程で得られた導電性酸化スズ水性ゾルに、有機酸及び/又は有機塩基を導電性酸化スズに対して1.0〜20重量%の割合で添加した後、水性溶媒を有機溶媒に置換する工程を加える導電性酸化スズ有機溶媒ゾルの製造方法。
  7. 原料として用いる酸化スズゾルが、塩酸水溶液に酸化スズ濃度が15〜40重量%になるように過酸化水素水と金属スズをH/Snモル比が2〜3の範囲に保ちながら添加し、酸化スズコロイドの凝集体を生成させ、次いで該凝集体を分離し、水に解膠する方法で製造した酸化スズゾルをpH調製して得られたものである、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の製造方法。
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