JP2004307221A - スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明導電性塗膜に最適の、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子とその製造方法を提供する。
【解決手段】あらかじめスズ塩を溶解したアルカリ水溶液に亜鉛化合物およびアルミニウム化合物を混合し、さらにインジウム塩の水溶液を添加し、得られたスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含有する水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理する。次いで、ろ過、乾燥後、空気中300〜800℃の温度範囲で加熱処理し、さらに還元雰囲気中200〜500℃の温度範囲で還元処理を行ってスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子とする。これにより、粒子の平均粒子径が5nmから100nmの範囲にあるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を得る。
【選択図】 図2
【解決手段】あらかじめスズ塩を溶解したアルカリ水溶液に亜鉛化合物およびアルミニウム化合物を混合し、さらにインジウム塩の水溶液を添加し、得られたスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含有する水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理する。次いで、ろ過、乾燥後、空気中300〜800℃の温度範囲で加熱処理し、さらに還元雰囲気中200〜500℃の温度範囲で還元処理を行ってスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子とする。これにより、粒子の平均粒子径が5nmから100nmの範囲にあるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を得る。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明導電性と紫外線遮蔽機能とを併せ持つスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明導電性塗料用の材料として、酸化スズ粒子、アンチモン含有酸化スズ粒子、スズ含有酸化インジウム粒子、アルミニウム置換酸化亜鉛粒子などが知られている。中でも、酸化インジウムにスズを含有させたスズ含有酸化インジウム粒子は、その可視光に対する高い透光性と、その高い導電性から、静電防止や電磁波遮蔽が要求されるCRT画面、LCD画面などに塗布して使用されている。さらに、この粒子を分散塗布したシートは、その透光性と導電性により、デイスプレイ用のみならずタッチパネル用など、広範囲での応用が期待されている。
【0003】
しかしながら、スズ含有酸化インジウム粒子を用いた塗膜は、現状では、蒸着やスパッタ法で作製したスズ含有酸化インジウム膜に比べて、その特性において劣り、塗布という比較的簡便で低コストの手段により作製できるメリットを十分に活かしきれておらず、限られた用途にしか適用されていない。
【0004】
さらに、スズ含有酸化インジウム粒子は、主原料であるインジウムが高価なため、原材料費が高くつくという問題がある。
【0005】
一方、紫外線遮蔽用あるいは高屈折率塗料用の材料として、酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子、酸化セリウム粒子、酸化鉄粒子などが知られている。中でも、酸化亜鉛粒子はUV−A領域の紫外線に対して優れた遮断性を示し、特に可視光に対する透明度が高いため紫外線遮断用の化粧材料などとして応用されると同時に、その高い屈折率(屈折率2.1)から高屈折率材料としても応用されている。
【0006】
上述したスズ含有酸化インジウム粒子や酸化亜鉛粒子などの透明性粒子を結合剤中に分散させて塗布して使用する場合、高い可視光透明性を得るためには、通常、粒子径を光の波長の1/2以下にする必要がある。したがって例えば、可視光(個人差があるが、波長範囲の下限は360〜400nm、上限は760〜830nm)に対して透明になるためには、粒子径が200nm以下の微粒子状のものとする必要がある。
【0007】
このような微粒子の製造方法として、従来、例えば特許文献1に記載されたような方法が知られている。これは、塩化インジウムと塩化スズとの混合水溶液に、アンモニア水または炭酸アンモニウム水溶液などのアルカリ水溶液を加えて共沈水酸化物を作り、この水酸化物を加熱処理してスズ含有酸化インジウムとした後、機械的に粉砕して、微粒子とするものである。特許文献1の例では、熱処理とさらに機械的粉砕により、平均粒子径が0.1μmのスズ含有酸化インジウム粒子が得られている。
【0008】
また、特許文献2では、特許文献1と同様の方法によりインジウムとスズとの共沈水酸化物を作製した後、焼成、粉砕してスズ含有酸化インジウム粒子とする際、ナトリウムとカリウムの含有量を特定量以下にすることが、高い導電性を得る上で重要であるとの指摘がなされている。そこでは、粉砕後に、粒子径が0.01〜0.03μmのスズ含有酸化インジウム粒子が得られている。
【0009】
一方、酸化亜鉛の微粒子については、単独では凝集力が強く、分散させることが困難であることも知られている。この点については、酸化亜鉛粒子内部に微量のシリコンあるいはアルミニウムの酸化物または水酸化物を含有させることで分散性が向上するとした特許文献3がある。そこでは、0.03μm以下の分散性の良い酸化亜鉛粒子が得られている。
【0010】
上記のような透明導電性粒子や紫外線遮蔽・高屈折率粒子の用途としては、例えば帯電防止効果に優れた反射防止膜などが挙げられる。従来、この種の反射防止膜では個々の機能を持つ膜を重ねていく手法が使われているが、近年の薄型化が進むにつれ、単層構造でありながら複数の機能を備えた膜が期待されている。これに関連する技術としては、例えば特許文献4に記載されたものがある。そこでは、酸化インジウムや酸化スズを主成分とする導電性微粒子と、酸化チタンや酸化亜鉛を用いた高屈折率粒子とを、バインダ中に混合分散させて、高屈折率導電性材料を得ている。その際、膜の透明性と粒子の分散性を維持する上で、粒子サイズを0.2μm以下、塗布膜厚を20μm以下とすることが必要であるとされている。また、その実施例1には、スズ含有酸化インジウム粒子と酸化セリウム粒子とを混合分散して塗料を作製し、これを塗布することで屈折率1.68、表面抵抗値2.5×109 Ωの塗布膜が得られたことが記載されている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭62−7627号公報
【特許文献2】
特開平5−201731号公報
【特許文献3】
特開2002−201382号公報
【特許文献4】
特開2002−167576号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような導電性粒子と非導電性粒子との混合分散系においては、混合分散により非導電性粒子が導電性粒子と導電性粒子との間に入り、導電性粒子間の接触が減少する結果として、塗膜の電気伝導度が著しく低下しやすくなる。これは、この種の混合分散系における本質的な特徴である。帯電防止効果に限って言えば、表面抵抗値が(〜109 Ω/□)の塗布膜は十分な導電性を持つ(帯電防止機能を有する)と言えるが、さらなる機能として、電磁遮蔽性、あるいはタッチパネルなどに応用できる程度の優れた導電性が期待される。ところが、このような優れた導電性を得るためにはスズ含有酸化インジウム等の導電性粒子の含有量をできる限り多くする必要がある。しかし、導電性粒子の含有量を多くすると酸化亜鉛等の非導電性粒子の含有量が減少し、例えば酸化亜鉛の特長である紫外線遮蔽性はほとんど発現しなくなる。このように、導電性と紫外線遮蔽性はトレードオフの関係にある。
【0013】
また、上記のような金属酸化物粒子を含んだ塗布膜を形成するあたっては、一般にこの種の粒子を、無機あるいは有機バインダーを溶解した溶媒中に分散させ、得られた塗料を各種の基材上に塗布するという方法が採られる。その際、塗膜の透明性を得るために、粒子が微粒子である必要があると同時に、粒子が塗膜中で均一に分散される必要がある。しかしながら、微粒子にすると塗料中で粒子が2次凝集体を生成しやすく、均一な分散体を得ることが困難になる。このような凝集体が存在すると、塗膜の導電性が低下するのみならず、透明性も低下する。
【0014】
本発明は、上記の事情に照らし、透明導電性と紫外線遮蔽性とを併せ持つ新規な塗布膜用の微粒子として、さらには、インジウム使用量を減少させることにより低コスト化を実現できる塗布型の透明導電膜用の微粒子として、分散性に優れたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、平均粒子径が5nm以上100nm以下であり、スズ、亜鉛およびアルミニウムが含有されている酸化インジウム粒子(スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子)とすることで、従来のスズ含有酸化インジウム粒子よりもインジウム使用量が少ないにもかかわらず、透明導電性と紫外線遮蔽性とを併せ持ち、しかも分散性にも優れる微粒子材料、すなわち塗布膜や塗布型透明導電膜に用いるのに適した微粒子材料となることを見い出した。粒子の平均粒子径が5nm未満のものは、これを用いた塗料を作製する際に分散されにくくなるのみならず、製造が困難であり、100nmを超えた場合、とくに200nmを超えた場合には、可視光に対して透明性を確保することが困難になる。
【0016】
上記スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子におけるスズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ3〜20mol%、10〜200mol%および1〜15mol%とするのが好ましい。これらの範囲が好ましいのは、スズおよびアルミニウム含有量が上記数値より少ないと導電性向上の効果が現れず、多いと逆に導電性を低下させてしまうからである。また、亜鉛含有量が10mol%より少ないと紫外線遮蔽性を十分に得ることができず、200mol%より多いと紫外線遮蔽性は保たれるが、導電性を著しく低下させてしまうからである。
【0017】
本発明のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、酸化インジウムと酸化亜鉛とを複合化させたものにスズとアルミニウムを置換し、インジウムの使用量を低下させることにより低コスト化を実現したものである。ただし、ここでいう複合化とは、複数の独立した物質の結晶体を壊さず、かつ何らかの形態を持って固溶体を形成することにより、一様な粒子となることを示す。すなわち、X線回折スペクトル等で解析される結晶構造は、複数種の結晶体が存在する混合物を示すものであるにもかかわらず、透過電子顕微鏡等で観測される粒子の種類はただ一種であるもののことを指す。本発明者らは、このような粒子を得るにあたり、ある特定の手段で複合化、元素置換を行うことにより、従来の導電性材料であるスズ含有酸化インジウムと比較して同等以上の導電性を保ち、かつ紫外線遮蔽性を持たせることができることを見い出した。また、従来の製造方法とは全く異なる新規な製造方法により、平均粒子径が5nmから100nm(5nm以上100nm以下)の範囲にあるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の開発に成功したものである。
【0018】
すなわち、本発明に係る製造方法は、平均粒子径が、5nmから100nmの範囲にあるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子に関するもので、あらかじめスズ塩を溶解したアルカリ水溶液に亜鉛化合物とアルミニウム化合物とを添加し、そのアルカリ溶液にインジウム塩の水溶液を添加し、得られたスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んだ水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理し、ろ過、乾燥後、さらに空気中300〜800℃の温度範囲で加熱処理した後、還元雰囲気中200〜500℃の温度範囲で還元処理を行うことにより、上記の粒子径を有するスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を製造するものである。
【0019】
本発明の方法で得られたスズ亜鉛含有酸化インジウム粒子は、透明性と導電性と紫外線遮蔽性という3つの特性を併せ持つという大きな特徴がある。このような粒子は、酸化インジウムと酸化亜鉛とを化合物にするのではなく複合粒子化し、さらにスズとアルミニウムとを置換するという本発明方法により初めて得られるもので、これにより、優れた透明導電性と紫外線遮蔽性を両立させた微粒子の提供が可能となる。
【0020】
本発明のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、インジウムの使用量が少ないため、低コストで製造することができる。すなわち、従来の透明導電性材料であるスズ含有酸化インジウム粒子と比較して、導電性を同等以上に保つことができるだけでなく、インジウムの使用量を20〜80%減少させることにより、低コスト化を実現したものである。
【0021】
このように、本発明のスズ亜鉛含有酸化インジウム粒子は、酸化インジウムと酸化亜鉛との複合体にスズとアルミニウムを置換することにより、高導電性、紫外線遮蔽性、低コスト化を実現し、従来の導電性粒子と紫外線遮蔽性粒子との混合分散系では得られなかった、塗膜の高い透明導電性と紫外線遮蔽性とを両立させることが可能になり、さらには低コストで高い導電性を実現した全く新しい粒子である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明方法では、まず第一工程として、あらかじめスズ塩を溶解したアルカリ水溶液に亜鉛化合物およびアルミニウム化合物を混合し、そのアルカリ水溶液にインジウム塩の水溶液を添加し、得られたスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理することにより、目的とする形状、粒子径に整える。ついで、第二工程として、このスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物を空気中加熱処理し、還元処理することにより、粒子径分布が均一で、焼結、凝集が少ないスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を得る。
【0023】
本発明は、このようにスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の製造において、形状、粒子径を整えることを目的とする工程と、その材料が本来有する物性を最大限に引き出すことを目的とする工程とを分離するという発想により、平均粒子径が5nmから100nmの範囲にあるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の開発に成功したものである。
【0024】
このような工程により製造した本発明のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を用いた塗膜は、従来の導電性粒子を用いた塗膜では得られなかった、高い透明性と導電性つまり透明導電性と、さらには紫外線遮蔽性とを両立させた優れた性能を発揮する。
【0025】
以上のように、本発明では5nmから100nmの範囲にあるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の開発に初めて成功したものであり、紫外線遮蔽効果を兼ね備えた透明導電性塗膜として、最適な導電性粒子となる。
【0026】
以下、本発明に係るスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウムの製造方法について、さらに具体的に説明する。
【0027】
(沈殿物の作製)
塩化インジウム、硝酸インジウム、硫酸インジウムなどのインジウム塩を水に溶解させ、インジウムイオンを含有する水溶解液、すなわちインジウム水溶液を調整する。これらインジウム塩のうち、微粒子のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を得る上で、塩化物を使用することが最も好ましい。
【0028】
これとは別に、スズイオンを含有するアルカリ水溶液に亜鉛化合物とアルミニウム化合物とを混合させた溶液を調整する。その際、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水溶液などのアルカリを水に溶解した後、塩化スズ、硝酸スズ、硫酸スズなどのスズ塩を溶解させ、さらに水酸化亜鉛、酸化亜鉛などの亜鉛化合物と、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物とを混合し、アルカリ溶液とする。これらスズ塩のうち、微粒子のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を得る上で、塩化物を使用することが最も好ましい。
【0029】
最終生成物の導電性および紫外線遮蔽性が向上させる上で、混合する亜鉛化合物の濃度は、インジウムに対して10〜200mol%、アルミニウム化合物の濃度は1〜15mol%が好ましい。
【0030】
前記アルカリ溶液にオキシアルカリアミンを加えても良い。オキシアルカリアミンは、アルカリ領域でのpH緩衝剤であると同時に結晶成長制御剤としても作用する。このオキシアルカリアミンとしては、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソブタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられるが、中でも微粒子を得る上で、結晶成長抑制剤となるモノエタノールアミンが最適である。
【0031】
次に前記インジウム塩水溶液を、前記アルカリ溶液中に滴下して、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を生成する。このとき、前記沈殿物を含む懸濁液のpHを8〜12の範囲に調整し、この懸濁液を10〜50℃の温度範囲において10〜100時間熟成することが好ましい。このpH調整および熟成は、この後の工程の水熱処理工程において、比較的低い処理温度で、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を得る上で効果的である。熟成時間は、10時間より短いと、熟成の効果は小さく、一方長い場合は、特に悪い影響は与えないが、熟成の効果が飽和するため、あまり意味がない。
【0032】
(水熱処理)
スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を含む懸濁液に対し、オートクレーブ等を用いて水熱処理を行う。この水熱処理において、上記の沈殿物を含む懸濁液を水洗することにより、上記沈殿物以外の生成物や残存物を除去し、その後、NaOHなどにより再度pH調整しても良い。この時のpHの値は、8〜12とすることが好ましく、9〜11がより好ましい。このpHより低いと、水熱処理時に結晶成長が不十分になり、また高すぎると、粒子径分布が広くなったり、スズ、亜鉛、アルミニウムおよびインジウムが、複合化粒子ではなく化合物となってしまうことがある。
【0033】
水熱処理温度は、110℃から300℃の範囲とすることが好ましく、150℃から250℃がより好ましい。この温度より低いと、十分な結晶成長ができず、またこの温度より高いと発生圧力が高くなるため、装置が高価なものとなり、メリットはない。
【0034】
水熱処理時間は、1時間から4時間の範囲が好ましい。水熱処理時間が短すぎると、粒子の結晶成長が不十分になり、水熱時間が長すぎても特に問題となることはないが、製造コストが高くなるだけで、意味がない。
【0035】
(加熱処理)
水熱処理後のスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物粒子は、ろ過、乾燥した後、加熱処理を行うが、ろ過する前に、水洗によりpHを6〜9の付近の中性領域に調整しておくことが好ましい。これは、水洗により水溶性のNaイオン、あるいは、オキシアルカリアミンを加えた場合であればアミン含有物質が除去されるためである。このようなNaイオンやアミン含有物質が残存した状態で、ろ過、乾燥し、加熱処理を行うと、得られた粒子の導電性が低下しやすいので、これを避けるために上記のようにしてNaイオンやアミン含有物質を極力除去しておくことが好ましい。
【0036】
上記のスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物粒子に、さらに珪酸ナトリウムなどの珪素化合物を添加して、シリカ処理を施こしても良い。このシリカ処理は、最終目的物であるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を微粒子に保持する上で、効果的である。
【0037】
この処理により最終的にスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の表面にシリカの被膜が形成されるため、板状形状を保持するためにはシリカは効果的であるが、シリカの被膜はスズ亜鉛アルミニウム含有インジウム粒子の導電性を低下させる傾向にあるため、前記珪素化合物の添加量としては、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子に対して、0.1〜5重量%にすることが好ましい。
【0038】
次に、ろ過、乾燥したスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物は、加熱処理によりスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子とすることができる。加熱処理時の雰囲気は特に限定されないが、空気中加熱が、最も製造コストがかからないため好ましい。加熱処理温度は、300℃から1000℃の範囲が好ましい。この温度より低いと、スズとアルミニウムが置換されにくく、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の混合物のような構造になったり、あるいは水酸化物の状態のまま酸化物へ変化しない場合があり、十分な電気伝導性が得られにくい。一方、加熱処理温度が高すぎると、粒子同士が焼結しやすくなり、塗料にする時に、十分な分散性を得にくくなり、その結果、塗膜の透明性が低下しやすくなる。
【0039】
この加熱処理後のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を、還元雰囲気中200℃から500℃の温度範囲で還元処理を行うことにより、導電性を持つ茶白色〜灰白色のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子が得られる。このように加熱処理により、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子が得られるが、さらに加熱処理後に、水洗などにより未反応物や残存物を除去すると、より電気伝導性の良好なスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子が得られるため、最終工程で水洗することが好ましい。
【0040】
このようにして得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、粒子径が5nmから100nmの範囲であり、透明導電膜用としては特に好ましい範囲である粒子径を有する。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
〈実施例1〉
15.4gの水酸化ナトリウムを800mlの水に溶解してアルカリ溶液とし、このアルカリ溶液に3gの塩化スズ(IV)五水和物を溶解させてアルカリ水溶液を調整した。このアルカリ水溶液に、13gの水酸化亜鉛粉末と0.64gの水酸化酸化アルミニウム粉末とを混合した。これとは別に、35gの塩化インジウム(III)四水和物を400mlの水に溶解して、塩化インジウムの水溶液を調整した。前者のスズイオン、水酸化亜鉛および水酸化アルミニウムを含むアルカリ水溶液に、後者の塩化インジウム溶液を滴下して、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した。このときのpHは8.9であった。さらに、このスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を室温で懸濁液の状態で約20時間熟成させた。
【0042】
次に、この沈殿物の懸濁液に水酸化ナトリウムの水溶液を添加して、pHを10.0に再調整し、オートクレーブに仕込み、180℃で4時間、水熱処理を施した。
【0043】
得られた水熱処理生成物をpH7.7になるまでろ過洗浄し、90℃で空気中乾燥した後、乳鉢で軽く解砕し、空気中600℃で2時間の加熱処理後、250℃の温度下、水素雰囲気中で還元処理を行ってスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過乾燥した。
【0044】
得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子について、透過電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、粒子径が20〜30nmの粒子であることがわかった。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、100mol%、8mol%である。
【0045】
このスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子のX線回折スペクトルを図1に、30万倍で撮影した透過電子顕微鏡写真を図2に示す。透過型電子顕微鏡写真からは粒子形状がほぼ均一であると認められるのに対し、X線回折スペクトルは酸化インジウムと酸化亜鉛との2相から構成されていることを示しており、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウムが複合酸化物であり、結晶構造を壊すことなく部分的にスズとアルミニウムとで置換されていることがわかる。
【0046】
〈実施例2〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、水熱処理生成物である、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物に対して、珪酸ナトリウム換算で1重量%の珪酸ナトリウム溶液を添加し、攪拌しながら塩酸を加えてpHが7.4になるまで調整した以外は、実施例1と同様にして、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物を含有する沈殿を生成させ、水洗、ろ過、乾燥後、加熱処理、還元処理して、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0047】
このスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ実施例1と同様のスペクトルが得られ、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子となっていることがわかった。さらに、透過電子顕微鏡観察を行ったところ実施例1と同様、粒子径が20〜30nmの一様な粒子であった。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、100mol%、8mol%である。
【0048】
〈実施例3〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、20.0gの水酸化ナトリウムを800mlの水に溶解し、このアルカリ溶液に3.9gの塩化スズ(IV)五水和物を溶解した後、このアルカリ水溶液に、9.2gの水酸化亜鉛粉末と0.64gの水酸化酸化アルミニウム粉末を混合しアルカリ溶液を調整した。これとは別に45.6gの塩化インジウム(III)四水和物を400mlの水に溶解して、塩化インジウムの水溶液を作製した。これらの点以外は実施例1と同様にして、塩化スズ、水酸化亜鉛、水酸化酸化アルミニウムを含むアルカリ水溶液に塩化インジウム溶液を滴下して、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した後、熟成、水熱処理を行い、ろ過洗浄、乾燥、加熱処理、還元処理して、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0049】
得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様のスペクトルが得られ、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子となっていることがわかった。さらに、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が20〜30nmの一様な粒子であった。このスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の30万倍で撮影した透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、54mol%、6mol%である。
【0050】
〈実施例4〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、24.7gの水酸化ナトリウムを800mlの水に溶解させアルカリ溶液とし、これに4.8gの塩化スズ(IV)五水和物を溶解した後、さらに5.3gの水酸化亜鉛粉末と0.64gの水酸化酸化アルミニウム粉末とを混合してアルカリ溶液を調整した。これとは別に56.1gの塩化インジウム(III)四水和物を400mlの水に溶解して、塩化インジウムの水溶液を作製した。これらの点以外は実施例1と同様にして、塩化スズ、水酸化亜鉛、水酸化酸化アルミニウムを含むアルカリ水溶液に塩化インジウム溶液を滴下して、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した後、熟成、水熱処理を行い、ろ過洗浄、乾燥、加熱処理、還元処理して、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0051】
得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様のスペクトルが得られ、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子となっており、また透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が20〜30nmの一様な粒子であった。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、25mol%、5mol%である。
【0052】
〈実施例5〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、水酸化酸化アルミニウム粉末の混合量を1.28gにした以外は実施例1と同様にして、塩化スズ、水酸化亜鉛、水酸化酸化アルミニウムを含むアルカリ水溶液に塩化インジウム溶液を滴下して、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した後、熟成、水熱処理を行い、ろ過洗浄、乾燥、加熱処理、還元処理して、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0053】
得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様のスペクトルが得られ、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子となっており、また透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が20〜40nmの一様な粒子であった。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、100mol%、16mol%である。
【0054】
〈比較例1〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、あらかじめ塩化スズを溶解したアルカリ溶液に水酸化亜鉛を加えずに、塩化インジウム溶液を滴下し、スズ、インジウム、アルミニウムを含む水和物あるいは水酸化物を熟成後、水熱処理を行い、実施例1と同様にして、ろ過洗浄、乾燥した後、加熱処理、還元処理してスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0055】
このスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、X線回折の結果から、スズ含有酸化インジウムの構成元素が部分的にアルミニウムで置換された酸化物となっていることが認められた。また、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が20〜30nmの粒子であった。得られたスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズおよびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、4mol%である。
【0056】
〈比較例2〉
53gの水酸化ナトリウムを640mlの水に溶解し、アルカリ水溶液を調整した。これとは別に、90gの塩化亜鉛を320mlの水に溶解して、塩化亜鉛の水溶液を作製した。前者のアルカリ水溶液に、後者の塩化亜鉛溶液を滴下して、亜鉛の水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した。このときのpHは12.2であった。さらに、この亜鉛の水酸化物あるいは水和物の沈殿物を室温で懸濁液の状態で約20時間熟成させた後、水酸化ナトリウムの水溶液を添加して、pHを12.5に再調整し、オートクレーブに仕込み、180℃で4時間、水熱処理を施した。得られた水熱処理生成物をpH7.7になるまでろ過洗浄し、90℃で空気中乾燥した後乳鉢で軽く解砕し、空気中600℃で2時間の加熱処理を行って、酸化亜鉛粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過乾燥した。
【0057】
次に、上記で得られた酸化亜鉛粒子と、比較例1で得られたスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子とを、モル比で1対1となるように混合して、混合粒子を調整した。得られた混合粒子について透過電子顕微鏡観察等により粒子径を調べたところ、20〜80nmであった。
【0058】
〈比較例3〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、あらかじめ塩化スズを溶解したアルカリ溶液に、水酸化亜鉛および水酸化アルミニウムを加えずに、塩化インジウム溶液を滴下し、スズとインジウムとを含む水和物あるいは水酸化物を熟成後、水熱処理を行い実施例1と同様にして、ろ過洗浄、乾燥した後、加熱処理、還元処理してスズ含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0059】
さらに、31gの水酸化ナトリウムを1000mlの水に溶解し、アルカリ水溶液を調整した。これとは別に、62.5gの塩化アルミニウム(III)六水和物を500mlの水に溶解して、塩化アルミニウムの水溶液を作製した。前者のアルカリ水溶液に、後者の塩化アルミニウム溶液を滴下して、アルミニウムの水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した。このときのpHは8.1であった。さらに、このアルミニウムの水酸化物あるいは水和物の沈殿物を90℃で懸濁液の状態で約40時間熟成させた後、水酸化ナトリウムの水溶液を添加して、pHを10.0に再調整し、オートクレーブに仕込み、180℃で4時間、水熱処理を施した。得られた水熱処理生成物をpH7.7になるまでろ過洗浄し、90℃で空気中乾燥した後、乳鉢で軽く解砕し、空気中600℃で2時間の加熱処理を行って、酸化アルミニウム粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過乾燥した。
【0060】
次に、上記で得られたスズ含有酸化インジウム粒子と酸化アルミニウム粒子、および、比較例2と同様にして得られた酸化亜鉛粒子とを、モル比で100対4対100となるように混合して、混合粒子を調整した。得られた混合粒子について透過電子顕微鏡観察等により粒子径を調べたところ、20〜80nmであった。
【0061】
〈比較例4〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、アルカリ溶液に塩化スズを溶解せずに、塩化インジウム溶液を滴下し、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含む水和物あるいは水酸化物を熟成後、水熱処理を行い、実施例1と同様にして、ろ過洗浄、乾燥した後、加熱処理、還元処理して亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0062】
この亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、X線回折の結果から、酸化インジウムと酸化亜鉛の2相となっていることが認められ、アルミニウムに関するピークが見られなかったことから、酸化インジウム、酸化亜鉛いずれの結晶構造も壊すことなく、アルミニウムが置換されていることがわかった。また、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が20〜30nmの粒子であった。得られた亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ100mol%、8mol%である。
【0063】
〈比較例5〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、熟成時間を48時間とし、水熱処理温度を250℃とした以外は、実施例1と同様にしてスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0064】
このスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、X線回折の結果から、スズ含有酸化インジウムと酸化亜鉛の2相となっていることが認められ、アルミニウムに関するピークが見られなかったことから、スズ含有酸化インジウム、酸化亜鉛いずれの結晶構造も壊すことなく、アルミニウムが置換されていることがわかった。また、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が約200nmの粒子であった。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、100mol%、8mol%である。
【0065】
《導電性についての評価》
各実施例および比較例で作製した粒子(実施例1〜5ではスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子、比較例1ではスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子、比較例2では酸化亜鉛粒子とスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子とからなる混合粒子、比較例3ではスズ含有酸化インジウム粒子と酸化アルミニウム粒子と酸化亜鉛粒子とからなる混合粒子、比較例4では亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子、比較例5では粒径が著しく大きいスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子)について、導電性を評価するために、それらの体積抵抗率を測定した。体積抵抗率の測定は、三菱化学株式会社製のロレスタPAシステム(MCP−PD41)を用いて、四端子法により行った。測定条件は、粉体密度2.7g/cm3 、容器内径2cm、端子間距離3mmである。
【0066】
《紫外線遮蔽性についての評価》
各実施例および比較例で作製した粒子による紫外線遮蔽効果を調べるために、以下のような塗膜を形成して、それらの光透過率スペクトルを測定した。
【0067】
まず、各実施例および比較例で作製した粒子を、それぞれ、バインダ(ポリメチルメタアクリレート)に対する含有率が80重量%、固形分濃度が40重量%となるようにボールミル(フリッチュ製、直径1mmのジルコニアビーズ使用)で分散させ、塗料を作製した。次いで、これらの塗料を、ポリエチレンテレフタレート製フィルム(いわゆるPETフィルム)上に一定の厚みで塗布したのち、90℃で10分間乾燥させ、乾燥後の厚さが3μmの塗膜を形成した。このようにして得られた塗膜について、光透過率スペクトルをそれぞれ測定した。光透過率スペクトルの測定は、日本分光製の分光光度計を用いて空気中で行った。このうち、実施例1で得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子についつて、上記の方法で測定した光透過率スペクトルを図4に示す。
【0068】
《評価結果》
表1に、以上の測定結果を示す。表1に示した紫外線透過率は、波長350nmの光についてのものである。なお、表1には、各粒子の亜鉛含有量および粒子径を併記した。粒子径は、BET比表面積および透過電子顕微鏡写真から目視により求めたものである。
【0069】
【表1】
【0070】
表1では、体積抵抗率の値が小さいほど、導電性が高いことを示しており、導電性塗膜として優れていることを示している。また、紫外線透過率の値が小さいほど、紫外線遮蔽性に優れていることを示している。しがって、体積抵抗率、紫外線透過率のいずれにおいても値の小さいものが特性的に優れていることを意味する。
【0071】
表1から明らかなように、各実施例で得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子では、比較例1で得られた亜鉛を含有しないスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子に比べて、紫外線透過率がはるかに小さく、紫外線遮蔽性に優れた結果となっている。これは、複合化された酸化亜鉛の性質によるものと考えられる。体積抵抗率については、各実施例で得られた粒子は、比較例1で得られた粒子とほぼ同程度であるか(実施例3・4)、若干大きいが(実施例1・2)、それでも10−1Ωcmのオーダーである。これは、塗膜等に使用した場合に導電性を確保するのに十分な値であると言える。
【0072】
また、各実施例で得られた粒子と、比較例2〜4で得られた各粒子とを比較すると、紫外線透過率についてはいずれも80%以上をカットするものとなっており、同等と判断できるが、体積抵抗率については、各実施例の粒子では10−1〜10−2Ωcmのオーダーであるのに対して、比較例2〜4の各粒子では、それぞれ10.42Ωcm、35.57Ωcm、および測定不能な程の絶縁体である。すなわち、各実施例の粒子の体積抵抗率は、比較例2〜4の各粒子のそれに比べて2桁〜3桁低く、格段に導電性が優れていることがわかる。これは、比較例2の混合粒子ではスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子と酸化亜鉛粒子とが複合化せずに独立に存在し、また比較例3の混合粒子ではスズ含有酸化インジウム粒子と酸化アルミニウム粒子と酸化亜鉛粒子とが複合化せずに独立に存在しているために、非導電性物質である酸化亜鉛や酸化アルミニウムが当該粒子中の電気伝導を妨げ、各実施例に係るスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の場合と比べて導電性が低下したからであると考えられる。これに対して、各実施例においては、酸化インジウムと酸化亜鉛とで複合体が形成され、そこにスズとアルミニウムが置換されることにより、異種粒子が電気伝導を妨げることがなく、その結果として、従来の導電性材料であるスズ含有酸化インジウム粒子の場合と同等以上の導電性を確保することが可能になったものと思われる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、従来の導電性材料であるスズ含有酸化インジウム粒子に比べてインジウムの使用量が少なく、しかも従来のスズ含有酸化インジウム粒子とほぼ同等の導電性と可視光に対する透明性を維持しながら、酸化亜鉛の特性である優れた紫外線遮蔽効果をも発揮できるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子が得られる。これにより、透明導電性と紫外線遮蔽性とを両立させた低コストの導電性微粒子を提供できる。また、この粒子を塗料の顔料として用いることで、優れた透明性と導電性と紫外線遮蔽性とを併せ持った塗膜を低コストで作製することができる。換言すれば、本発明のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、紫外線遮蔽性を併せ持った透明導電性塗膜用の導電性粒子として最適であり、その産業上の利用価値は極めて大きい。
【0074】
本発明の製造方法によれば、スズ、亜鉛およびアルミニウムを含有した平均粒子径が5nm以上100nm以下の上記のようなスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子が得られるが、この粒子は、酸化インジウムと酸化亜鉛との複合体の一部をスズとアルミニウムで置換した構造をもつ。このようなスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、従来の製造方法では実現できなかったもので、本発明により初めて得られる全く新規な機能性粒子と言えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた、酸化亜鉛50mol%、アルミニウム4mol%置換したスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子のX線回折スペクトルを示した図である。
【図2】実施例1で得られた、酸化亜鉛50mol%、アルミニウム4mol%置換したスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の透過電子顕微鏡写真(倍率:30万倍)を示した図である。
【図3】実施例3で得られた、酸化亜鉛35mol%、アルミニウム4mol%置換したスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の透過電子顕微鏡写真(倍率:30万倍)を示した図である。
【図4】実施例1で得られた、酸化亜鉛50mol%、アルミニウム4mol%置換したスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の光透過率スペクトル(200〜800nm)を示した図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明導電性と紫外線遮蔽機能とを併せ持つスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明導電性塗料用の材料として、酸化スズ粒子、アンチモン含有酸化スズ粒子、スズ含有酸化インジウム粒子、アルミニウム置換酸化亜鉛粒子などが知られている。中でも、酸化インジウムにスズを含有させたスズ含有酸化インジウム粒子は、その可視光に対する高い透光性と、その高い導電性から、静電防止や電磁波遮蔽が要求されるCRT画面、LCD画面などに塗布して使用されている。さらに、この粒子を分散塗布したシートは、その透光性と導電性により、デイスプレイ用のみならずタッチパネル用など、広範囲での応用が期待されている。
【0003】
しかしながら、スズ含有酸化インジウム粒子を用いた塗膜は、現状では、蒸着やスパッタ法で作製したスズ含有酸化インジウム膜に比べて、その特性において劣り、塗布という比較的簡便で低コストの手段により作製できるメリットを十分に活かしきれておらず、限られた用途にしか適用されていない。
【0004】
さらに、スズ含有酸化インジウム粒子は、主原料であるインジウムが高価なため、原材料費が高くつくという問題がある。
【0005】
一方、紫外線遮蔽用あるいは高屈折率塗料用の材料として、酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子、酸化セリウム粒子、酸化鉄粒子などが知られている。中でも、酸化亜鉛粒子はUV−A領域の紫外線に対して優れた遮断性を示し、特に可視光に対する透明度が高いため紫外線遮断用の化粧材料などとして応用されると同時に、その高い屈折率(屈折率2.1)から高屈折率材料としても応用されている。
【0006】
上述したスズ含有酸化インジウム粒子や酸化亜鉛粒子などの透明性粒子を結合剤中に分散させて塗布して使用する場合、高い可視光透明性を得るためには、通常、粒子径を光の波長の1/2以下にする必要がある。したがって例えば、可視光(個人差があるが、波長範囲の下限は360〜400nm、上限は760〜830nm)に対して透明になるためには、粒子径が200nm以下の微粒子状のものとする必要がある。
【0007】
このような微粒子の製造方法として、従来、例えば特許文献1に記載されたような方法が知られている。これは、塩化インジウムと塩化スズとの混合水溶液に、アンモニア水または炭酸アンモニウム水溶液などのアルカリ水溶液を加えて共沈水酸化物を作り、この水酸化物を加熱処理してスズ含有酸化インジウムとした後、機械的に粉砕して、微粒子とするものである。特許文献1の例では、熱処理とさらに機械的粉砕により、平均粒子径が0.1μmのスズ含有酸化インジウム粒子が得られている。
【0008】
また、特許文献2では、特許文献1と同様の方法によりインジウムとスズとの共沈水酸化物を作製した後、焼成、粉砕してスズ含有酸化インジウム粒子とする際、ナトリウムとカリウムの含有量を特定量以下にすることが、高い導電性を得る上で重要であるとの指摘がなされている。そこでは、粉砕後に、粒子径が0.01〜0.03μmのスズ含有酸化インジウム粒子が得られている。
【0009】
一方、酸化亜鉛の微粒子については、単独では凝集力が強く、分散させることが困難であることも知られている。この点については、酸化亜鉛粒子内部に微量のシリコンあるいはアルミニウムの酸化物または水酸化物を含有させることで分散性が向上するとした特許文献3がある。そこでは、0.03μm以下の分散性の良い酸化亜鉛粒子が得られている。
【0010】
上記のような透明導電性粒子や紫外線遮蔽・高屈折率粒子の用途としては、例えば帯電防止効果に優れた反射防止膜などが挙げられる。従来、この種の反射防止膜では個々の機能を持つ膜を重ねていく手法が使われているが、近年の薄型化が進むにつれ、単層構造でありながら複数の機能を備えた膜が期待されている。これに関連する技術としては、例えば特許文献4に記載されたものがある。そこでは、酸化インジウムや酸化スズを主成分とする導電性微粒子と、酸化チタンや酸化亜鉛を用いた高屈折率粒子とを、バインダ中に混合分散させて、高屈折率導電性材料を得ている。その際、膜の透明性と粒子の分散性を維持する上で、粒子サイズを0.2μm以下、塗布膜厚を20μm以下とすることが必要であるとされている。また、その実施例1には、スズ含有酸化インジウム粒子と酸化セリウム粒子とを混合分散して塗料を作製し、これを塗布することで屈折率1.68、表面抵抗値2.5×109 Ωの塗布膜が得られたことが記載されている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭62−7627号公報
【特許文献2】
特開平5−201731号公報
【特許文献3】
特開2002−201382号公報
【特許文献4】
特開2002−167576号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような導電性粒子と非導電性粒子との混合分散系においては、混合分散により非導電性粒子が導電性粒子と導電性粒子との間に入り、導電性粒子間の接触が減少する結果として、塗膜の電気伝導度が著しく低下しやすくなる。これは、この種の混合分散系における本質的な特徴である。帯電防止効果に限って言えば、表面抵抗値が(〜109 Ω/□)の塗布膜は十分な導電性を持つ(帯電防止機能を有する)と言えるが、さらなる機能として、電磁遮蔽性、あるいはタッチパネルなどに応用できる程度の優れた導電性が期待される。ところが、このような優れた導電性を得るためにはスズ含有酸化インジウム等の導電性粒子の含有量をできる限り多くする必要がある。しかし、導電性粒子の含有量を多くすると酸化亜鉛等の非導電性粒子の含有量が減少し、例えば酸化亜鉛の特長である紫外線遮蔽性はほとんど発現しなくなる。このように、導電性と紫外線遮蔽性はトレードオフの関係にある。
【0013】
また、上記のような金属酸化物粒子を含んだ塗布膜を形成するあたっては、一般にこの種の粒子を、無機あるいは有機バインダーを溶解した溶媒中に分散させ、得られた塗料を各種の基材上に塗布するという方法が採られる。その際、塗膜の透明性を得るために、粒子が微粒子である必要があると同時に、粒子が塗膜中で均一に分散される必要がある。しかしながら、微粒子にすると塗料中で粒子が2次凝集体を生成しやすく、均一な分散体を得ることが困難になる。このような凝集体が存在すると、塗膜の導電性が低下するのみならず、透明性も低下する。
【0014】
本発明は、上記の事情に照らし、透明導電性と紫外線遮蔽性とを併せ持つ新規な塗布膜用の微粒子として、さらには、インジウム使用量を減少させることにより低コスト化を実現できる塗布型の透明導電膜用の微粒子として、分散性に優れたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、平均粒子径が5nm以上100nm以下であり、スズ、亜鉛およびアルミニウムが含有されている酸化インジウム粒子(スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子)とすることで、従来のスズ含有酸化インジウム粒子よりもインジウム使用量が少ないにもかかわらず、透明導電性と紫外線遮蔽性とを併せ持ち、しかも分散性にも優れる微粒子材料、すなわち塗布膜や塗布型透明導電膜に用いるのに適した微粒子材料となることを見い出した。粒子の平均粒子径が5nm未満のものは、これを用いた塗料を作製する際に分散されにくくなるのみならず、製造が困難であり、100nmを超えた場合、とくに200nmを超えた場合には、可視光に対して透明性を確保することが困難になる。
【0016】
上記スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子におけるスズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ3〜20mol%、10〜200mol%および1〜15mol%とするのが好ましい。これらの範囲が好ましいのは、スズおよびアルミニウム含有量が上記数値より少ないと導電性向上の効果が現れず、多いと逆に導電性を低下させてしまうからである。また、亜鉛含有量が10mol%より少ないと紫外線遮蔽性を十分に得ることができず、200mol%より多いと紫外線遮蔽性は保たれるが、導電性を著しく低下させてしまうからである。
【0017】
本発明のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、酸化インジウムと酸化亜鉛とを複合化させたものにスズとアルミニウムを置換し、インジウムの使用量を低下させることにより低コスト化を実現したものである。ただし、ここでいう複合化とは、複数の独立した物質の結晶体を壊さず、かつ何らかの形態を持って固溶体を形成することにより、一様な粒子となることを示す。すなわち、X線回折スペクトル等で解析される結晶構造は、複数種の結晶体が存在する混合物を示すものであるにもかかわらず、透過電子顕微鏡等で観測される粒子の種類はただ一種であるもののことを指す。本発明者らは、このような粒子を得るにあたり、ある特定の手段で複合化、元素置換を行うことにより、従来の導電性材料であるスズ含有酸化インジウムと比較して同等以上の導電性を保ち、かつ紫外線遮蔽性を持たせることができることを見い出した。また、従来の製造方法とは全く異なる新規な製造方法により、平均粒子径が5nmから100nm(5nm以上100nm以下)の範囲にあるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の開発に成功したものである。
【0018】
すなわち、本発明に係る製造方法は、平均粒子径が、5nmから100nmの範囲にあるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子に関するもので、あらかじめスズ塩を溶解したアルカリ水溶液に亜鉛化合物とアルミニウム化合物とを添加し、そのアルカリ溶液にインジウム塩の水溶液を添加し、得られたスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んだ水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理し、ろ過、乾燥後、さらに空気中300〜800℃の温度範囲で加熱処理した後、還元雰囲気中200〜500℃の温度範囲で還元処理を行うことにより、上記の粒子径を有するスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を製造するものである。
【0019】
本発明の方法で得られたスズ亜鉛含有酸化インジウム粒子は、透明性と導電性と紫外線遮蔽性という3つの特性を併せ持つという大きな特徴がある。このような粒子は、酸化インジウムと酸化亜鉛とを化合物にするのではなく複合粒子化し、さらにスズとアルミニウムとを置換するという本発明方法により初めて得られるもので、これにより、優れた透明導電性と紫外線遮蔽性を両立させた微粒子の提供が可能となる。
【0020】
本発明のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、インジウムの使用量が少ないため、低コストで製造することができる。すなわち、従来の透明導電性材料であるスズ含有酸化インジウム粒子と比較して、導電性を同等以上に保つことができるだけでなく、インジウムの使用量を20〜80%減少させることにより、低コスト化を実現したものである。
【0021】
このように、本発明のスズ亜鉛含有酸化インジウム粒子は、酸化インジウムと酸化亜鉛との複合体にスズとアルミニウムを置換することにより、高導電性、紫外線遮蔽性、低コスト化を実現し、従来の導電性粒子と紫外線遮蔽性粒子との混合分散系では得られなかった、塗膜の高い透明導電性と紫外線遮蔽性とを両立させることが可能になり、さらには低コストで高い導電性を実現した全く新しい粒子である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明方法では、まず第一工程として、あらかじめスズ塩を溶解したアルカリ水溶液に亜鉛化合物およびアルミニウム化合物を混合し、そのアルカリ水溶液にインジウム塩の水溶液を添加し、得られたスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理することにより、目的とする形状、粒子径に整える。ついで、第二工程として、このスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物を空気中加熱処理し、還元処理することにより、粒子径分布が均一で、焼結、凝集が少ないスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を得る。
【0023】
本発明は、このようにスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の製造において、形状、粒子径を整えることを目的とする工程と、その材料が本来有する物性を最大限に引き出すことを目的とする工程とを分離するという発想により、平均粒子径が5nmから100nmの範囲にあるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の開発に成功したものである。
【0024】
このような工程により製造した本発明のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を用いた塗膜は、従来の導電性粒子を用いた塗膜では得られなかった、高い透明性と導電性つまり透明導電性と、さらには紫外線遮蔽性とを両立させた優れた性能を発揮する。
【0025】
以上のように、本発明では5nmから100nmの範囲にあるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の開発に初めて成功したものであり、紫外線遮蔽効果を兼ね備えた透明導電性塗膜として、最適な導電性粒子となる。
【0026】
以下、本発明に係るスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウムの製造方法について、さらに具体的に説明する。
【0027】
(沈殿物の作製)
塩化インジウム、硝酸インジウム、硫酸インジウムなどのインジウム塩を水に溶解させ、インジウムイオンを含有する水溶解液、すなわちインジウム水溶液を調整する。これらインジウム塩のうち、微粒子のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を得る上で、塩化物を使用することが最も好ましい。
【0028】
これとは別に、スズイオンを含有するアルカリ水溶液に亜鉛化合物とアルミニウム化合物とを混合させた溶液を調整する。その際、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水溶液などのアルカリを水に溶解した後、塩化スズ、硝酸スズ、硫酸スズなどのスズ塩を溶解させ、さらに水酸化亜鉛、酸化亜鉛などの亜鉛化合物と、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物とを混合し、アルカリ溶液とする。これらスズ塩のうち、微粒子のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を得る上で、塩化物を使用することが最も好ましい。
【0029】
最終生成物の導電性および紫外線遮蔽性が向上させる上で、混合する亜鉛化合物の濃度は、インジウムに対して10〜200mol%、アルミニウム化合物の濃度は1〜15mol%が好ましい。
【0030】
前記アルカリ溶液にオキシアルカリアミンを加えても良い。オキシアルカリアミンは、アルカリ領域でのpH緩衝剤であると同時に結晶成長制御剤としても作用する。このオキシアルカリアミンとしては、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソブタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられるが、中でも微粒子を得る上で、結晶成長抑制剤となるモノエタノールアミンが最適である。
【0031】
次に前記インジウム塩水溶液を、前記アルカリ溶液中に滴下して、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を生成する。このとき、前記沈殿物を含む懸濁液のpHを8〜12の範囲に調整し、この懸濁液を10〜50℃の温度範囲において10〜100時間熟成することが好ましい。このpH調整および熟成は、この後の工程の水熱処理工程において、比較的低い処理温度で、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を得る上で効果的である。熟成時間は、10時間より短いと、熟成の効果は小さく、一方長い場合は、特に悪い影響は与えないが、熟成の効果が飽和するため、あまり意味がない。
【0032】
(水熱処理)
スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を含む懸濁液に対し、オートクレーブ等を用いて水熱処理を行う。この水熱処理において、上記の沈殿物を含む懸濁液を水洗することにより、上記沈殿物以外の生成物や残存物を除去し、その後、NaOHなどにより再度pH調整しても良い。この時のpHの値は、8〜12とすることが好ましく、9〜11がより好ましい。このpHより低いと、水熱処理時に結晶成長が不十分になり、また高すぎると、粒子径分布が広くなったり、スズ、亜鉛、アルミニウムおよびインジウムが、複合化粒子ではなく化合物となってしまうことがある。
【0033】
水熱処理温度は、110℃から300℃の範囲とすることが好ましく、150℃から250℃がより好ましい。この温度より低いと、十分な結晶成長ができず、またこの温度より高いと発生圧力が高くなるため、装置が高価なものとなり、メリットはない。
【0034】
水熱処理時間は、1時間から4時間の範囲が好ましい。水熱処理時間が短すぎると、粒子の結晶成長が不十分になり、水熱時間が長すぎても特に問題となることはないが、製造コストが高くなるだけで、意味がない。
【0035】
(加熱処理)
水熱処理後のスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物粒子は、ろ過、乾燥した後、加熱処理を行うが、ろ過する前に、水洗によりpHを6〜9の付近の中性領域に調整しておくことが好ましい。これは、水洗により水溶性のNaイオン、あるいは、オキシアルカリアミンを加えた場合であればアミン含有物質が除去されるためである。このようなNaイオンやアミン含有物質が残存した状態で、ろ過、乾燥し、加熱処理を行うと、得られた粒子の導電性が低下しやすいので、これを避けるために上記のようにしてNaイオンやアミン含有物質を極力除去しておくことが好ましい。
【0036】
上記のスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物粒子に、さらに珪酸ナトリウムなどの珪素化合物を添加して、シリカ処理を施こしても良い。このシリカ処理は、最終目的物であるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を微粒子に保持する上で、効果的である。
【0037】
この処理により最終的にスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の表面にシリカの被膜が形成されるため、板状形状を保持するためにはシリカは効果的であるが、シリカの被膜はスズ亜鉛アルミニウム含有インジウム粒子の導電性を低下させる傾向にあるため、前記珪素化合物の添加量としては、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子に対して、0.1〜5重量%にすることが好ましい。
【0038】
次に、ろ過、乾燥したスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物は、加熱処理によりスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子とすることができる。加熱処理時の雰囲気は特に限定されないが、空気中加熱が、最も製造コストがかからないため好ましい。加熱処理温度は、300℃から1000℃の範囲が好ましい。この温度より低いと、スズとアルミニウムが置換されにくく、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の混合物のような構造になったり、あるいは水酸化物の状態のまま酸化物へ変化しない場合があり、十分な電気伝導性が得られにくい。一方、加熱処理温度が高すぎると、粒子同士が焼結しやすくなり、塗料にする時に、十分な分散性を得にくくなり、その結果、塗膜の透明性が低下しやすくなる。
【0039】
この加熱処理後のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を、還元雰囲気中200℃から500℃の温度範囲で還元処理を行うことにより、導電性を持つ茶白色〜灰白色のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子が得られる。このように加熱処理により、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子が得られるが、さらに加熱処理後に、水洗などにより未反応物や残存物を除去すると、より電気伝導性の良好なスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子が得られるため、最終工程で水洗することが好ましい。
【0040】
このようにして得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、粒子径が5nmから100nmの範囲であり、透明導電膜用としては特に好ましい範囲である粒子径を有する。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
〈実施例1〉
15.4gの水酸化ナトリウムを800mlの水に溶解してアルカリ溶液とし、このアルカリ溶液に3gの塩化スズ(IV)五水和物を溶解させてアルカリ水溶液を調整した。このアルカリ水溶液に、13gの水酸化亜鉛粉末と0.64gの水酸化酸化アルミニウム粉末とを混合した。これとは別に、35gの塩化インジウム(III)四水和物を400mlの水に溶解して、塩化インジウムの水溶液を調整した。前者のスズイオン、水酸化亜鉛および水酸化アルミニウムを含むアルカリ水溶液に、後者の塩化インジウム溶液を滴下して、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した。このときのpHは8.9であった。さらに、このスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を室温で懸濁液の状態で約20時間熟成させた。
【0042】
次に、この沈殿物の懸濁液に水酸化ナトリウムの水溶液を添加して、pHを10.0に再調整し、オートクレーブに仕込み、180℃で4時間、水熱処理を施した。
【0043】
得られた水熱処理生成物をpH7.7になるまでろ過洗浄し、90℃で空気中乾燥した後、乳鉢で軽く解砕し、空気中600℃で2時間の加熱処理後、250℃の温度下、水素雰囲気中で還元処理を行ってスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過乾燥した。
【0044】
得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子について、透過電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、粒子径が20〜30nmの粒子であることがわかった。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、100mol%、8mol%である。
【0045】
このスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子のX線回折スペクトルを図1に、30万倍で撮影した透過電子顕微鏡写真を図2に示す。透過型電子顕微鏡写真からは粒子形状がほぼ均一であると認められるのに対し、X線回折スペクトルは酸化インジウムと酸化亜鉛との2相から構成されていることを示しており、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウムが複合酸化物であり、結晶構造を壊すことなく部分的にスズとアルミニウムとで置換されていることがわかる。
【0046】
〈実施例2〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、水熱処理生成物である、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物に対して、珪酸ナトリウム換算で1重量%の珪酸ナトリウム溶液を添加し、攪拌しながら塩酸を加えてpHが7.4になるまで調整した以外は、実施例1と同様にして、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物を含有する沈殿を生成させ、水洗、ろ過、乾燥後、加熱処理、還元処理して、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0047】
このスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ実施例1と同様のスペクトルが得られ、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子となっていることがわかった。さらに、透過電子顕微鏡観察を行ったところ実施例1と同様、粒子径が20〜30nmの一様な粒子であった。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、100mol%、8mol%である。
【0048】
〈実施例3〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、20.0gの水酸化ナトリウムを800mlの水に溶解し、このアルカリ溶液に3.9gの塩化スズ(IV)五水和物を溶解した後、このアルカリ水溶液に、9.2gの水酸化亜鉛粉末と0.64gの水酸化酸化アルミニウム粉末を混合しアルカリ溶液を調整した。これとは別に45.6gの塩化インジウム(III)四水和物を400mlの水に溶解して、塩化インジウムの水溶液を作製した。これらの点以外は実施例1と同様にして、塩化スズ、水酸化亜鉛、水酸化酸化アルミニウムを含むアルカリ水溶液に塩化インジウム溶液を滴下して、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した後、熟成、水熱処理を行い、ろ過洗浄、乾燥、加熱処理、還元処理して、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0049】
得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様のスペクトルが得られ、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子となっていることがわかった。さらに、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が20〜30nmの一様な粒子であった。このスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の30万倍で撮影した透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、54mol%、6mol%である。
【0050】
〈実施例4〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、24.7gの水酸化ナトリウムを800mlの水に溶解させアルカリ溶液とし、これに4.8gの塩化スズ(IV)五水和物を溶解した後、さらに5.3gの水酸化亜鉛粉末と0.64gの水酸化酸化アルミニウム粉末とを混合してアルカリ溶液を調整した。これとは別に56.1gの塩化インジウム(III)四水和物を400mlの水に溶解して、塩化インジウムの水溶液を作製した。これらの点以外は実施例1と同様にして、塩化スズ、水酸化亜鉛、水酸化酸化アルミニウムを含むアルカリ水溶液に塩化インジウム溶液を滴下して、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した後、熟成、水熱処理を行い、ろ過洗浄、乾燥、加熱処理、還元処理して、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0051】
得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様のスペクトルが得られ、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子となっており、また透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が20〜30nmの一様な粒子であった。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、25mol%、5mol%である。
【0052】
〈実施例5〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、水酸化酸化アルミニウム粉末の混合量を1.28gにした以外は実施例1と同様にして、塩化スズ、水酸化亜鉛、水酸化酸化アルミニウムを含むアルカリ水溶液に塩化インジウム溶液を滴下して、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含んでなる水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した後、熟成、水熱処理を行い、ろ過洗浄、乾燥、加熱処理、還元処理して、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0053】
得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様のスペクトルが得られ、スズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子となっており、また透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が20〜40nmの一様な粒子であった。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、100mol%、16mol%である。
【0054】
〈比較例1〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、あらかじめ塩化スズを溶解したアルカリ溶液に水酸化亜鉛を加えずに、塩化インジウム溶液を滴下し、スズ、インジウム、アルミニウムを含む水和物あるいは水酸化物を熟成後、水熱処理を行い、実施例1と同様にして、ろ過洗浄、乾燥した後、加熱処理、還元処理してスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0055】
このスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、X線回折の結果から、スズ含有酸化インジウムの構成元素が部分的にアルミニウムで置換された酸化物となっていることが認められた。また、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が20〜30nmの粒子であった。得られたスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズおよびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、4mol%である。
【0056】
〈比較例2〉
53gの水酸化ナトリウムを640mlの水に溶解し、アルカリ水溶液を調整した。これとは別に、90gの塩化亜鉛を320mlの水に溶解して、塩化亜鉛の水溶液を作製した。前者のアルカリ水溶液に、後者の塩化亜鉛溶液を滴下して、亜鉛の水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した。このときのpHは12.2であった。さらに、この亜鉛の水酸化物あるいは水和物の沈殿物を室温で懸濁液の状態で約20時間熟成させた後、水酸化ナトリウムの水溶液を添加して、pHを12.5に再調整し、オートクレーブに仕込み、180℃で4時間、水熱処理を施した。得られた水熱処理生成物をpH7.7になるまでろ過洗浄し、90℃で空気中乾燥した後乳鉢で軽く解砕し、空気中600℃で2時間の加熱処理を行って、酸化亜鉛粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過乾燥した。
【0057】
次に、上記で得られた酸化亜鉛粒子と、比較例1で得られたスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子とを、モル比で1対1となるように混合して、混合粒子を調整した。得られた混合粒子について透過電子顕微鏡観察等により粒子径を調べたところ、20〜80nmであった。
【0058】
〈比較例3〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、あらかじめ塩化スズを溶解したアルカリ溶液に、水酸化亜鉛および水酸化アルミニウムを加えずに、塩化インジウム溶液を滴下し、スズとインジウムとを含む水和物あるいは水酸化物を熟成後、水熱処理を行い実施例1と同様にして、ろ過洗浄、乾燥した後、加熱処理、還元処理してスズ含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0059】
さらに、31gの水酸化ナトリウムを1000mlの水に溶解し、アルカリ水溶液を調整した。これとは別に、62.5gの塩化アルミニウム(III)六水和物を500mlの水に溶解して、塩化アルミニウムの水溶液を作製した。前者のアルカリ水溶液に、後者の塩化アルミニウム溶液を滴下して、アルミニウムの水酸化物あるいは水和物の沈殿物を作製した。このときのpHは8.1であった。さらに、このアルミニウムの水酸化物あるいは水和物の沈殿物を90℃で懸濁液の状態で約40時間熟成させた後、水酸化ナトリウムの水溶液を添加して、pHを10.0に再調整し、オートクレーブに仕込み、180℃で4時間、水熱処理を施した。得られた水熱処理生成物をpH7.7になるまでろ過洗浄し、90℃で空気中乾燥した後、乳鉢で軽く解砕し、空気中600℃で2時間の加熱処理を行って、酸化アルミニウム粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過乾燥した。
【0060】
次に、上記で得られたスズ含有酸化インジウム粒子と酸化アルミニウム粒子、および、比較例2と同様にして得られた酸化亜鉛粒子とを、モル比で100対4対100となるように混合して、混合粒子を調整した。得られた混合粒子について透過電子顕微鏡観察等により粒子径を調べたところ、20〜80nmであった。
【0061】
〈比較例4〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、アルカリ溶液に塩化スズを溶解せずに、塩化インジウム溶液を滴下し、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含む水和物あるいは水酸化物を熟成後、水熱処理を行い、実施例1と同様にして、ろ過洗浄、乾燥した後、加熱処理、還元処理して亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0062】
この亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、X線回折の結果から、酸化インジウムと酸化亜鉛の2相となっていることが認められ、アルミニウムに関するピークが見られなかったことから、酸化インジウム、酸化亜鉛いずれの結晶構造も壊すことなく、アルミニウムが置換されていることがわかった。また、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が20〜30nmの粒子であった。得られた亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ100mol%、8mol%である。
【0063】
〈比較例5〉
実施例1のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の合成方法において、熟成時間を48時間とし、水熱処理温度を250℃とした以外は、実施例1と同様にしてスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子を作製した。
【0064】
このスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、X線回折の結果から、スズ含有酸化インジウムと酸化亜鉛の2相となっていることが認められ、アルミニウムに関するピークが見られなかったことから、スズ含有酸化インジウム、酸化亜鉛いずれの結晶構造も壊すことなく、アルミニウムが置換されていることがわかった。また、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が約200nmの粒子であった。得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子における、スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量は、インジウムに対して、それぞれ10mol%、100mol%、8mol%である。
【0065】
《導電性についての評価》
各実施例および比較例で作製した粒子(実施例1〜5ではスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子、比較例1ではスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子、比較例2では酸化亜鉛粒子とスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子とからなる混合粒子、比較例3ではスズ含有酸化インジウム粒子と酸化アルミニウム粒子と酸化亜鉛粒子とからなる混合粒子、比較例4では亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子、比較例5では粒径が著しく大きいスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子)について、導電性を評価するために、それらの体積抵抗率を測定した。体積抵抗率の測定は、三菱化学株式会社製のロレスタPAシステム(MCP−PD41)を用いて、四端子法により行った。測定条件は、粉体密度2.7g/cm3 、容器内径2cm、端子間距離3mmである。
【0066】
《紫外線遮蔽性についての評価》
各実施例および比較例で作製した粒子による紫外線遮蔽効果を調べるために、以下のような塗膜を形成して、それらの光透過率スペクトルを測定した。
【0067】
まず、各実施例および比較例で作製した粒子を、それぞれ、バインダ(ポリメチルメタアクリレート)に対する含有率が80重量%、固形分濃度が40重量%となるようにボールミル(フリッチュ製、直径1mmのジルコニアビーズ使用)で分散させ、塗料を作製した。次いで、これらの塗料を、ポリエチレンテレフタレート製フィルム(いわゆるPETフィルム)上に一定の厚みで塗布したのち、90℃で10分間乾燥させ、乾燥後の厚さが3μmの塗膜を形成した。このようにして得られた塗膜について、光透過率スペクトルをそれぞれ測定した。光透過率スペクトルの測定は、日本分光製の分光光度計を用いて空気中で行った。このうち、実施例1で得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子についつて、上記の方法で測定した光透過率スペクトルを図4に示す。
【0068】
《評価結果》
表1に、以上の測定結果を示す。表1に示した紫外線透過率は、波長350nmの光についてのものである。なお、表1には、各粒子の亜鉛含有量および粒子径を併記した。粒子径は、BET比表面積および透過電子顕微鏡写真から目視により求めたものである。
【0069】
【表1】
【0070】
表1では、体積抵抗率の値が小さいほど、導電性が高いことを示しており、導電性塗膜として優れていることを示している。また、紫外線透過率の値が小さいほど、紫外線遮蔽性に優れていることを示している。しがって、体積抵抗率、紫外線透過率のいずれにおいても値の小さいものが特性的に優れていることを意味する。
【0071】
表1から明らかなように、各実施例で得られたスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子では、比較例1で得られた亜鉛を含有しないスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子に比べて、紫外線透過率がはるかに小さく、紫外線遮蔽性に優れた結果となっている。これは、複合化された酸化亜鉛の性質によるものと考えられる。体積抵抗率については、各実施例で得られた粒子は、比較例1で得られた粒子とほぼ同程度であるか(実施例3・4)、若干大きいが(実施例1・2)、それでも10−1Ωcmのオーダーである。これは、塗膜等に使用した場合に導電性を確保するのに十分な値であると言える。
【0072】
また、各実施例で得られた粒子と、比較例2〜4で得られた各粒子とを比較すると、紫外線透過率についてはいずれも80%以上をカットするものとなっており、同等と判断できるが、体積抵抗率については、各実施例の粒子では10−1〜10−2Ωcmのオーダーであるのに対して、比較例2〜4の各粒子では、それぞれ10.42Ωcm、35.57Ωcm、および測定不能な程の絶縁体である。すなわち、各実施例の粒子の体積抵抗率は、比較例2〜4の各粒子のそれに比べて2桁〜3桁低く、格段に導電性が優れていることがわかる。これは、比較例2の混合粒子ではスズ−アルミニウム含有酸化インジウム粒子と酸化亜鉛粒子とが複合化せずに独立に存在し、また比較例3の混合粒子ではスズ含有酸化インジウム粒子と酸化アルミニウム粒子と酸化亜鉛粒子とが複合化せずに独立に存在しているために、非導電性物質である酸化亜鉛や酸化アルミニウムが当該粒子中の電気伝導を妨げ、各実施例に係るスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の場合と比べて導電性が低下したからであると考えられる。これに対して、各実施例においては、酸化インジウムと酸化亜鉛とで複合体が形成され、そこにスズとアルミニウムが置換されることにより、異種粒子が電気伝導を妨げることがなく、その結果として、従来の導電性材料であるスズ含有酸化インジウム粒子の場合と同等以上の導電性を確保することが可能になったものと思われる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、従来の導電性材料であるスズ含有酸化インジウム粒子に比べてインジウムの使用量が少なく、しかも従来のスズ含有酸化インジウム粒子とほぼ同等の導電性と可視光に対する透明性を維持しながら、酸化亜鉛の特性である優れた紫外線遮蔽効果をも発揮できるスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子が得られる。これにより、透明導電性と紫外線遮蔽性とを両立させた低コストの導電性微粒子を提供できる。また、この粒子を塗料の顔料として用いることで、優れた透明性と導電性と紫外線遮蔽性とを併せ持った塗膜を低コストで作製することができる。換言すれば、本発明のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、紫外線遮蔽性を併せ持った透明導電性塗膜用の導電性粒子として最適であり、その産業上の利用価値は極めて大きい。
【0074】
本発明の製造方法によれば、スズ、亜鉛およびアルミニウムを含有した平均粒子径が5nm以上100nm以下の上記のようなスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子が得られるが、この粒子は、酸化インジウムと酸化亜鉛との複合体の一部をスズとアルミニウムで置換した構造をもつ。このようなスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子は、従来の製造方法では実現できなかったもので、本発明により初めて得られる全く新規な機能性粒子と言えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた、酸化亜鉛50mol%、アルミニウム4mol%置換したスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子のX線回折スペクトルを示した図である。
【図2】実施例1で得られた、酸化亜鉛50mol%、アルミニウム4mol%置換したスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の透過電子顕微鏡写真(倍率:30万倍)を示した図である。
【図3】実施例3で得られた、酸化亜鉛35mol%、アルミニウム4mol%置換したスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の透過電子顕微鏡写真(倍率:30万倍)を示した図である。
【図4】実施例1で得られた、酸化亜鉛50mol%、アルミニウム4mol%置換したスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の光透過率スペクトル(200〜800nm)を示した図である。
Claims (4)
- 平均粒子径が5nm以上100nm以下であり、スズ、亜鉛およびアルミニウムが含有されていることを特徴とするスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子。
- スズ、亜鉛およびアルミニウムの含有量が、インジウムに対して、それぞれ3〜20mol%、10〜200mol%および1〜15mol%である、請求項1記載のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子。
- あらかじめスズ塩を溶解したアルカリ水溶液に亜鉛化合物とアルミニウム化合物とを加え、このアルカリ水溶液にインジウム塩の水溶液を添加し、得られたスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含有する水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理し、ろ過、乾燥後、さらに空気中300〜1000℃の温度範囲で加熱処理することを特徴とするスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の製造方法。
- あらかじめスズ塩を溶解したアルカリ水溶液に亜鉛化合物とアルミニウム化合物とを加え、このアルカリ水溶液にインジウム塩の水溶液を添加し、得られたスズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含有する水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理する工程において、スズ、インジウム、亜鉛およびアルミニウムを含有する水酸化物あるいは水和物の懸濁液のpHを8〜12の範囲に調整した後、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理する、請求項3記載のスズ亜鉛アルミニウム含有酸化インジウム粒子の製造方法。
Priority Applications (1)
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