JP3421148B2 - 白色導電性粉末及びその製造方法 - Google Patents

白色導電性粉末及びその製造方法

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JP3421148B2 JP28547494A JP28547494A JP3421148B2 JP 3421148 B2 JP3421148 B2 JP 3421148B2 JP 28547494 A JP28547494 A JP 28547494A JP 28547494 A JP28547494 A JP 28547494A JP 3421148 B2 JP3421148 B2 JP 3421148B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた分散性を有する
白色導電性粉末及びその製造法に関し、プラスチック、
ゴム、塗料、電子写真感光紙、静電記録紙などの分野に
おいて実用材料として十分な導電性もしくは帯電防止効
果を与えることができる白色導電性粉末を提供する。
【0002】
【従来の技術】導電性付与剤、帯電防止剤として近年そ
の使用量が増加している導電性複合粉末として、二酸化
チタン表面に、適当量のアンチモンを酸化スズ中にドー
プした酸化物を被覆したものがあり、特開昭56−11
4218、特開昭61−141616などで開示され
た。またその被覆方法を改善したものとして、アンモニ
ア水等のアルカリと塩化アンチモン、塩化スズとの希塩
酸溶液とを、二酸化チタン懸濁液のpHを5〜9に維持
するように同時添加して、アンチモン、スズからなる酸
化物層を二酸化チタン表面に形成させる方法(特公平3
−70322)、塩化スズ、塩化アンチモン水溶液と、
アンモニア水、水酸化ナトリウム等のアルカリとを二酸
化チタン懸濁液に並行的に加える中和方法において、中
和時のpHを2〜6に保持するようにして二酸化チタン
粉末表面に酸化スズと酸化アンチモンからなる被覆層を
形成させる方法(特開昭61−286221)、また二
酸化チタンの加熱懸濁液中にアルコールに塩化スズと塩
化アンチモンを溶解したものからなる溶液を加える事に
より、二酸化チタン粉末表面に酸化アンチモン、酸化ス
ズからなる被覆層を析出形成させる方法(特開昭56−
114218)などが開示されている。
【0003】しかしながら、近年、機能性粉末がますま
す微粒化傾向に向かう中,機能性の特性に加え、粉末の
分散性が重要視されるようになっている。白色導電性粉
末においても例外ではなく、従来の白色導電性粉末で
は、媒体であるプラスチック、ゴム、塗料の種類によっ
ては、分散性という点では必ずしも満足いくものではな
かった。更には、所望される導電性を損なわず、白度な
らびに分散性を改善したものは従来になかった。
【0004】
【問題を解決するための課題】本発明は、前記した問題
点を解決し、優れた導電性を有し、かつ優れた分散性を
有する、白色性に優れた導電性粉末を提供しようとする
ものである。
【0005】分散性を良好とするため、まず始めに表面
性状に注目し、特定の有機物系処理剤を、湿式及び乾式
にて処理する事なども考えられたが、コスト高となり、
また媒体の有機物の種類によっては、処理剤との相性か
ら媒体の耐光性が劣化し、媒体本来の機能特色を損なわ
せる結果となり、その選択は容易ではないことがわかっ
た。
【0006】次に、酸塩基的性質と分散性という観点か
ら研究を重ねた結果、粉末pHを中性乃至アルカリ性に
する事で、例えば、塗料では使用量の多いメラミンアル
キッド系、またプラスチックではポリオレフィン系にお
いて大幅に分散性が向上する事を見いだした。
【0007】顔料の分野では、酸塩基的性質と分散性と
の関係は、諸文献からも一般的に知られており、例え
ば、市販されている二酸化チタンなどでも、これらの考
えに基づき、鉱化剤量の調整や製造の後工程でのpH調
整によって、酸性もしくはアルカリ性の粉末としてい
る。
【0008】しかしながら、導電性粉末においては通常
の顔料とは事情が異なり、アンチモン、酸化スズ被覆型
導電性粉末の粉末pHを従来の被覆方法或いはその応用
によりアルカリ性にしようとした場合、アンチモン及び
酸化スズの被覆が均一でなくなるため導電性が低くな
り、もはや高導電性付与剤としての価値が無くなること
が公知のことであった。また、これは従来の導電性に優
れた白色導電性粉末における粉末pHが概ね酸性側であ
ることからも明かである。
【0009】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、プラス
チック、塗料、ゴムなどに導電性付与剤もしくは帯電性
付与剤として十分な効果を提供し、かつ分散性に優れた
白色導電性粉末を開発するため鋭意研究を重ねた結果、
本発明を完成させたものである。
【0010】すなわち、本発明は、基体粉末表面にナト
リウムの適当量を積極的に含有させたアンチモンドープ
酸化スズを被覆させた粉末であり、JIS K5101
に準じて測定される粉末pHが中性乃至アルカリ性を示
す優れた分散性の白色導電性粉末を提供するものであ
り、導電性付与剤として十分な導電性を維持し、かつ分
散性の優れた粉末とするためにアルカリ金属であるナト
リウムの残存方法を改良したものである。従来技術から
すれば、導電性とナトリウム残存量とは一見矛盾する関
係であるが、本発明はナトリウムを積極的に吸着させ、
さらにその量を調整する事によるもので従来の観点とは
全く異なっている。
【0011】さらに最良なる分散性、かつ十分な導電性
を有する粉末の研究を重ねた結果、アンチモンドープの
酸化スズ被覆量の5〜50重量%にあたる量を、アンモ
ニア水溶液又は炭酸アンモニウム塩水溶液にて中和被覆
した後、残る50〜95%重量の量を水酸化ナトリウム
で中和し、被覆を完成させる方法で処理する事により、
塩基性表面を有し、粒度分布がシャープな分散性の優れ
たもので、且つ十分な導電性を有した粉末となることを
見いだした。
【0012】また、相乗効果として、ナトリウムの適当
量を含有させると粉末の白度が向上させる効果があるこ
とが分かった。すなわち、アンチモンをドープさせた酸
化スズを基体顔料に被覆した場合では、ドーパントとし
てのアンチモンの量を増加させるのに伴い、導電性は高
く良好となるものの、粉末の色調は青みをまし、同時に
黒くなる事が認められ,白色粉末としては好ましい方向
ではなかったが、ナトリウムの適当量を残存させる事
で、粉末色調の黒ずみを抑制する効果がでたものと推察
される。
【0013】本発明にかかる白色導電性粉末の基体粉末
としては、二酸化チタンを始め酸化アルミニウム、二酸
化ケイ素、酸化亜鉛、硫酸バリウム、チタン酸アルカリ
金属塩及び白雲母などの白色粉末を用いることができ、
それらの基体粉末の表面に導電性処理をした本発明にか
かる白色導電性粉末は、ナトリウムを含有したアンチモ
ンドープ酸化スズの被膜を形成させた粉末であり、粉末
のL値が85以上の白度をもち、粉体比抵抗1〜100
Ω・cmの良好なる導電性を有し、且つ粉末のpHが6
〜10、レーザー回折式粒度分析計により測定した粒度
分布において、1μmを越えるものが0%である白色導
電性粉末である。
【0014】詳細には、ナトリウム含有量は全体割合に
対してNa2Oとして0.02〜0.5重量%、望まし
くは0.1〜0.3重量%であり、アンチモンドープ酸
化スズ被膜の組成比がSb/SnO2重量比で0.08
〜0.25、望ましくは0.1〜0.2であり、被覆層
中のSnO2が基体(である二酸化チタン)粉末に対し
て10〜40重量%で、実用的に望ましくは15〜35
重量%であり、さらには粉体比抵抗100Ω・cm以
下、望ましくは20Ω・cm以下、粉末pHが6〜1
0、望ましくはpH7.5〜9.0である白色導電性粉
末である。
【0015】本発明における製造方法の詳細な説明を行
う。
【0016】本願発明の白色導電性粉末の製造におい
て、基体粉末へアンチモンドープ酸化スズ被膜を形成さ
せる方法は、所定量の塩化アンチモン塩化スズを溶解さ
せた塩酸含有水溶液の全量の5〜50重量%にあたる量
を、まずアンモニア水溶液又は炭酸アンモニウム塩水溶
液で中和し、続いて残る50〜95重量%を水酸化ナト
リウムで中和させて被膜を形成終了した後、希塩酸にて
懸濁液のpHを4〜6に調整して熟成処理するものであ
る。本発明者らは、種々の中和剤の効果について研究し
た結果、以下の様な知見を得て、本発明を完成させたも
のである。
【0017】中和剤としてのアルカリ水溶液にアンモニ
ア水溶液又は炭酸アンモニウム塩水溶液を用いた場合、
中和して析出されるアンチモンドープの酸化スズ沈殿物
は非常に微細なものとなり、基体粉末表面に緻密な被膜
を形成させうるものの、表面エネルギーが大きいため
に、被覆終了スラリーを濾別、洗浄して乾燥した得られ
た乾燥物が固いものとなる。乾燥物が非常に固い事か
ら、このまま焼成すると焼成物は燒結により一層固くな
り、燒結2次粒子が発生して粒度分布が悪くなる。この
ため、焼成後に粉砕する必要があるが、常法に従った粉
砕では十分に粉砕されず、無理に粉砕しようとすると、
多くのエネルギーを要しコスト高となるのはもちろんの
こと、被膜が剥離する場合があることから好ましくな
い。
【0018】これに対して、中和剤に水酸化ナトリウム
水溶液を用いた場合には、アンチモンドープの酸化スズ
沈殿物中にアルカリ金属であるナトリウムが包含してく
ることから、導電性能は低くなるものの、沈殿物の比表
面積がアンモニア水溶液又は炭酸アンモニウム塩水溶液
で中和されたものに対して約50〜70%小さくなり、
すなわち表面エネルギーが小さくなる事より、被覆終了
スラリーを濾別、洗浄して乾燥した乾燥物は非常にソフ
トなものとなり、これを焼成した物も容易にほぐれ、粒
度分布がシャープになるという特徴がある。そこで、両
者の特徴を十分に反映させ、しかもナトリウム量を調整
することにより、導電性能、分散性ともに優れたものを
得んとし、まず導電性能の点から、1層目としてアンモ
ニア水溶液又は炭酸アンモニウム塩水溶液の中和により
緻密なアンチモンドープの酸化スズ被膜を素地として形
成させた後、引き続いて2層目として水酸化ナトリウム
を用い被覆を完成させ熟成処理するものである。
【0019】すなわち本発明による製造方法は、緻密な
被膜を形成させて導電性能を高くならびに安定させる方
法にあわせ、乾燥物の段階でよりソフトなものとし、分
散性に大きく影響する要因である粒度分布をシャープと
し、水中に分散させて測定される粒度分布において、1
μmを越える粒子の割合を0%とする方法、さらには粉
末pHを中性もしくはアルカリ性として分散性を最良と
するための方法である。
【0020】アンモニア水溶液と水酸化ナトリウム水溶
液とで、アンチモンドープ酸化スズ被膜の2層処理を行
う場合、アンモニア水溶液にて中和して形成される1層
目のアンチモンドープ酸化スズの被覆量は、全被覆量の
5〜50重量%、好ましくは10〜35%重量である。
素地として緻密な被膜を形成させるには、粒子表面を一
様に覆う量として5重量%が下限であり、これより少な
すぎる導電性能が不安定となり、多すぎるとすなわち2
層目の被覆量が少なくなることで分散性が不良となる。
2層目は1層目を十分に覆う量がよく、これより50重
量%以上が好ましい。
【0021】基体粉末の懸濁液を加熱熟成させるのは、
アンチモンとスズの沈殿物析出速度の関係からアンチモ
ンとスズの均一化を図るため、均一な被膜を形成させる
ためであり、この条件が50〜90℃で満足されるため
である。
【0022】中和時の懸濁液pHは基体粉末が十分に分
散する領域を選択したほうが良く、これから、懸濁液p
Hは7〜9が適している。
【0023】また基体顔料として二酸化チタンを用いる
場合、アンチモンドープ酸化スズと二酸化チタンの等電
点はそれぞれ5.0〜5.5、4.0〜5.0と比較的
近いことから、基体粉末懸濁液を撹拌させるのに用いる
分散機には高速撹拌タイプのものが好ましい。
【0024】用いる基体粉末としての二酸化チタン粉末
は、粒状、針状などどのような形状のものでも良いが、
平均粒径としては0.3μm以上が好ましい。結晶形と
しては、アナターゼ型、ルチル型、非晶質を使用する事
が出来る。また、Al,Si,Zn,Zr,Tiなどの
無機水和物を被覆したいわゆる表面処理二酸化チタン粉
末で、被膜の無機水和物を構成する金属を酸化物として
表した場合の総量が、二酸化チタン粉末に対して1重量
%以上であるものを800〜1000℃で焼成した焼成
二酸化チタン粉末を基体粉末として用いるのがより好ま
しい。これは、表面処理二酸化チタン粉末をさらに焼成
する事で、粒子間の燒結が無理に進むことなく、二次粒
子サイズが流動性に適した大きさ、分布となり、結果と
して、これを基体粉末とした前記内容の白色導電性粉末
の分散性がさらに向上したものと推察される。
【0025】スズ塩としては、例えば、塩化スズ、硫酸
スズ、硝酸スズ等を、スズ酸塩としては、例えば、スズ
酸ナトリウム、スズ酸カリウム等を使用することが出来
る。またアンチモン塩としては、三塩化アンチモン、5
塩化アンチモン等を使用することが出来る。
【0026】アンチモン添加量は、SnO2に対してS
bとして1〜25重量%、好ましくは5〜20重量%で
あり、これより少なすぎても、多すぎても所望の導電性
が得られない。
【0027】二酸化スズの全処理量は基体粉末に対し
て、SnO2として10〜40重量%、好ましくは15
〜35重量%であり、少なすぎると所望の導電性が得ら
れず、多すぎても導電性の向上は少なく、遊離二酸化ス
ズの発生が生じ易くなるため好ましくない。
【0028】使用する炭酸アンモニウム塩としては、炭
酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムがある。ナト
リウム含有量は、全体割合に対してNa2Oとして0.
02〜0.5重量%、好ましくは、0.1〜0.3重量
%であり、少なすぎると、所望の分散性及び白度が得ら
れず、多すぎると高導電性粉末としては不十分となる。
【0029】上記方法にて被覆処理を終了したスラリー
は、デカンテーション等の一般的な洗浄法にて水洗さ
れ、最終濾液導電率が200μS/cm以下、好ましく
は50μS/cm以下になるまで洗浄する。濾別された
被覆物は、100〜150℃の温度で乾燥した後、50
0〜800℃、望ましくは600〜700℃の温度で焼
成する。焼成は酸化性雰囲気が好ましく、大気中で十分
である。焼成後は必要によって、常法に従い粉砕処理を
施す事ができる。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。以下の実施例は単に例示のために記すものであ
り、発明の範囲がこれらによって制限されるものではな
い。
【0031】[実施例1]ルチル型酸化チタン(チタン
工業製KR−270 Al、Ti表面処理品)を900
℃で焼成したもの300gを特殊機化製ホモミクサーを
用いて純水に分散させ、2リットルの水懸濁液とし、こ
の懸濁液を70℃に加温保持した。塩化第二スズ(Sn
Cl4・5H2O)160.5g及び、三塩化アンチモン
(SbCl3)18.1gを別途用意した2.4Nの塩
酸750ミリリットルに溶解させた酸液を調整し、懸濁
液の中に、この酸液の1/5量と、アンモニア水溶液と
を懸濁液のpHを7〜8に保持したまま、1時間かけて
並行添加した。引き続き残る酸液の4/5量と水酸化ナ
トリウム水溶液とを同じく懸濁液のpHを7〜8に保持
したまま2時間かけて並行添加した。添加終了後、希塩
酸でpHを6に調整した後、1時間そのまま撹拌し熟成
した。懸濁液を、濾液の導電率が50μS/cm以下に
なるまで洗浄し、濾過した。110℃で12時間乾燥さ
せた後、700℃の電気炉にて焼成を行った。得られた
導電性粉末を試料1とする。 [実施例2]実施例1において、並行添加終了後、希塩
酸を用いて懸濁液のpHを5に調整すること以外は同様
にして行い、導電性粉末(試料2)を得た。
【0032】[実施例3]実施例1において、酸液の1
/2量をアンモニア水溶液で中和し、残りの酸液1/2
量を水酸化ナトリウム水溶液で中和すること以外は同様
にして行い、導電性粉末(試料3)を得た。
【0033】[実施例4]実施例1において、酸液の1
/3量をアンモニア水溶液で中和し、残りの酸液2/3
量を水酸化ナトリウム水溶液で中和すること以外は同様
にして行い、導電性粉末(試料3)を得た。
【0034】[実施例5]実施例1において、酸液が
2.4Nの塩酸980ミリリットルに、塩化第二スズ2
09.3g及び、三塩化アンチモン23.6gを溶解し
たものである事以外は同様にして行い、導電性粉末(試
料4)を得た。
【0035】[実施例6]実施例1において、用いる基
体粉末をルチル型酸化チタン(チタン工業製KR−31
0、無処理品)とする以外は同様にして行い、導電性粉
末(試料6)を得た。
【0036】[実施例7]実施例2において、用いる基
体粉末をアナターゼ型酸化チタン(チタン工業製KAー
30、無処理品)とする以外は同様にして行い、導電性
粉末(試料7)を得た。
【0037】以上、実施例1〜7で得られた試料の測定
結果を表1に示す。
【0038】[比較例1]実施例1において、酸液の全
量と水酸化ナトリウム水溶液とを、懸濁液のpHを9〜
10に保持したまま並行添加した後、懸濁液のpHを調
整しないこと以外は同様にして行い、導電性粉末(試料
8)を得た。
【0039】[比較例2]比較例1において、並行添加
時の懸濁液のpHを2〜3に保持すること以外は同様に
して行い、導電性粉末(試料9)を得た。
【0040】[比較例3]実施例1において、酸液の全
量とアンモニア水溶液とを、懸濁液のpHを7〜8に保
持したまま並行添加し、添加終了後の懸濁液pHは調整
せず、焼成温度を600℃とすること以外は同様にして
行い、導電性粉末(試料10)を得た。
【0041】[比較例4]無処理ルチル型酸化チタン
(チタン工業製 KR−310)の300gを新東科学
製3−1モーターを用いて純水に分散させ、2リットル
の懸濁液とし、この懸濁液を90℃に加温保持した。懸
濁液中に炭酸水素アンモニウムを溶解させた後、別途用
意した塩化第二スズ160.5g及び、三塩化アンチモ
ン15.5gを溶解したエチルアルコール溶液500ミ
リリットルを、この懸濁液中に1時間かけて添加した。
懸濁液の導電率が50μS/cm以下になるまで洗浄
し、濾過した。110℃で12時間乾燥させた後、60
0℃の電気炉において焼成を行い、導電性粉末(試料1
1)を得た。
【0042】以上、比較例1〜4で得られた試料の測定
結果を表2に示す。また実施例ならびに比較例で述べる
測定値は、下記の要領で測定した値である。
【0043】(1) 比抵抗の評価 試料粉末を280Kg/cm2で圧縮成形後、横河ヒュ
ーレットパッカード社製のユニバーサルブリッジを用い
て電気抵抗値を測定し、比抵抗に換算した。
【0044】(2) 粉末L値の測定 試料粉末を50Kg/cm2で圧縮成形した試料を、日
本電色工業(株)製測色計Z−1001DPにて測色し
た。
【0045】(3) 粒度分布の測定 試料を0.05%ヘキサメタリン酸ソーダ中に超音波分
散させた後、セイシン企業(株)製レーザー回折式粒度
分析計PROー7000Sにて粒度分布を測定した。
【0046】<試験塗膜の作製>メラミン樹脂(スーパ
ーベッカミン 大日本インキ化学工業(株)製)7部
と、アルキド樹脂(ベッコゾール 大日本インキ化学工
業(株)製)3部を混合した。この混合した樹脂6.6
部に対して、導電性粉末4部、シンナー1部を混合し、
3mmφのガラスビーズとともにペイントコンディショ
ナーにより30分間分散させた。試験紙に6milドク
ターブレードを用いて塗布した後、120℃において1
5分間加熱乾燥し、乾燥顔料重量濃度50%の導電膜を
得た。
【0047】メラミン樹脂とアルキド樹脂を前記同様の
割合で混合した樹脂4.4部に対して、導電性粉末6
部、シンナー1部を混合し、3mmφのガラスビーズと
ともにペイントコンディショナーにおいて30分間分散
させた。試験紙に6milドクターブレードを用いて塗
布した後、120℃において15分間加熱乾燥し、乾燥
顔料濃度75%の導電膜を得た。
【0048】<60゜鏡面光沢度の測定>前記の方法に
て得た導電膜について、グロスメーター(MURAKA
MICOLOR RESEARCH LABORATO
RY製 GM−26D)を用いて、60゜鏡面光沢度の
測定を行った。
【0049】なお、分散性の指標として、50%塗膜の
光沢が80以上でかつ75%塗膜の光沢が70以上であ
るものを分散性が良好とした。
【0050】
【表1】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 孝 山口県宇部市大字小串1978番地の25 チ タン工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09C 3/06 C09C 1/36

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体粉末の表面がアンチモン、スズの元
    素からなる酸化物で被覆されたものであって、全体割合
    に対してNa2Oとして0.02〜0.5重量%のナト
    リウムを含有し、かつ、粉体比抵抗が100Ω・cm以
    下であることを特徴とする白色導電性粉末。
  2. 【請求項2】 基体粉末が、無処理あるいは表面処理し
    た二酸化チタン粉末であることを特徴とする請求項1記
    載の白色導電性粉末。
  3. 【請求項3】 基体粉末としての二酸化チタン粉末が、
    アルミニウム、シリコン、亜鉛、ジルコニウム、チタン
    のうちの1種または2種以上の元素の水和物により被覆
    された二酸化チタン粉末をさらに800〜1000℃で
    焼成した焼成二酸化チタン粉末であることを特徴とする
    請求項1記載の白色導電性粉末。
  4. 【請求項4】 JIS K5101(煮沸法)に準じた
    方法にて測定した粉末pHが6〜10であることを特徴
    とする請求項1記載の白色導電性粉末。
  5. 【請求項5】 水中に分散させて測定される粒度分布に
    おいて、1μmを越える粒子の割合が0%であることを
    特徴とする請求項1記載の白色導電性粉末。
  6. 【請求項6】 基体粉末を懸濁させた水懸濁液に、pH
    を7〜8に保持しながら塩化アンチモン及び塩化すずを
    溶解させた塩酸含有水溶液とアンモニア水溶液又は炭酸
    アンモニウム塩水溶液とを並行添加し、続いて、pHを
    7〜8に保持しながら同じく塩化アンチモン及び塩化す
    ずを溶解させた塩酸含有水溶液と水酸化ナトリウム水溶
    液とを並行添加した後に、希塩酸にて該懸濁液のpHを
    4〜6に調整して熟成処理し、更に500〜800℃で
    焼成した後粉砕する各工程を含み、アンモニア水溶液又
    は炭酸アンモニウム塩水溶液と並行添加する塩化アンチ
    モン及び塩化すずを溶解させた塩酸含有水溶液の量は全
    塩酸含有水溶液量の5〜50重量%にあたることを特徴
    とする請求項1に記載の白色導電性粉末の製造方法。
JP28547494A 1994-11-18 1994-11-18 白色導電性粉末及びその製造方法 Expired - Lifetime JP3421148B2 (ja)

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