JP3970603B2 - 有機溶媒分散型酸化チタンゾルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は有機溶媒分散型酸化チタンゾルの製造方法に関し、殊に有機溶媒あるいは有機溶媒系ポリマーとの相溶性と液安定性に優れ、薄膜を作成する際に膜の厚膜化が容易で、各種材料への機能向上に有用な酸化チタンゾルの製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
白色顔料として知られている酸化チタンは、屈折率及び誘電率が大きく、紫外線で励起しやすい特性を有しており、その性質を利用して、紫外線吸収剤、光学材料、電気・電子材料、光触媒、装飾材料、映像表示材料、吸着材料、化粧材料、グレッチェル型色素増感太陽電池あるいは画像記憶材料等にも利用されている。この様な用途に用いる酸化チタンの形態は、膜であることが多く、そのような膜はチタンアルコキシドや有機チタン化合物などの酸化チタン前駆体を基材に焼き付ける方法、酸化チタンゾルをバインダー成分と混合して成膜する方法などが知られている。
前者は、ゾルゲル法、アルコキシド法とも呼ばれ、酸化チタンのみからなる薄膜を形成できるが、焼き付け時の応力により膜が崩壊しやすく、一般に数マイクロメートル以上の膜の形成は困難である。
一方、後者はバインダーを選ぶことにより厚膜化も可能である上、前駆体ではなく酸化チタン微粒子を用いるために、より低温の処理で所望の膜が得られる。また、酸化チタンゾルは酸化チタン前駆体よりも安定で、工業的利用に適している。
【0003】
高温で焼結させた場合を除き一般に酸化チタンは、粒子表面に水酸基を有しており親水性であるため、水分散型のゾルとして使用されることが一般的である。水分散型のチタンゾルは、エタノールのような親水性溶媒とは、ある一定の範囲内で混和することが可能であるが、混和する有機溶媒量が多くなるとゾルの形態が壊れ、ゲル化したり、沈殿が発生したりする。
更に、バインダー等の成分の含有量が増加すると相分離を起こしたりすることがあり、有機溶媒型の安定な酸化チタンゾルが望まれている。
【0004】
無機酸化物ゾルの内、シリカゾルは表面をエステル化させ易いことから、アルコール分散型のシリカゾルを容易に製造することができ、このようなシリカゾルは各種用途に利用されている。
また、酸化スズゾルは特公平5−87445号公報あるいは特公平6−19074号公報には、親水性溶媒(エタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、メチルセロソルブなどのエーテル類、メタノールアミンなどのアミン類及びジメチルホルムアミドなどのアミド類)に分散させることが可能であると記載されている。
【0005】
ところで、酸化チタンゾルに関しても各種の技術が開示されている。
特開昭63−215520号公報には、オキシカルボン酸を含む中性チタニアゾルが開示されているが、この様なゾルは厚膜化には適さず使用できない。
特開平3−257758号公報には、プロピレングリコール型金属酸化物ゾルが開示されているが、このゾルは塗膜の濡れ性を改善するために、水溶性ゾルに水溶性のプロピレングルコールを混合したに過ぎない。
特公平6−74204号公報には、水溶性多価アルコールを安定化剤として使用するメタチタン酸の微粒子からなる日焼け止め化粧料が記載され、これに使用する水性ゾルが記載されている。
特開平10−167727号公報には、相間移動活性を有する化合物として、クラウンエーテル類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類等の化合物で処理した変性酸化チタンゾルが記載されている。
また、特開平9−248467号公報や特開平9−100124号公報には、安定化剤或いは原料としてチタンアルコキシドを使用してゾルを製造する方法が記載されている。
特公平7−100611号公報には、水溶性酸化チタンゾルの水をイソプロピルアルコールで置換したアルコール分散型チタンゾルが記載されている。
しかし、イソプロピルアルコールのような低級アルコールは、その溶媒の蒸気圧が高く薄膜の作成には問題ないが、厚膜を作成にしようとした場合には、乾燥性が高すぎるため厚膜に出来ないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは酸化チタンの厚膜を容易に得ることができる、有機溶媒に対して安定な酸化チタンゾルについて鋭意検討を重ねた結果、以下に詳記する本発明を完成したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明はオキシカルボン酸で安定化された水分散型酸化チタンゾルの存在下に、アミン化合物を添加した後、有機溶媒を加え加熱濃縮、蒸留又は限外濾過膜によって、水分散酸化チタンゾル中の水を分離し、水溶媒を、加えた有機溶媒で置換することからなるオキシカルボン酸をオキシカルボン酸/酸化チタン(モル比)=0.03〜3.0の範囲及びアミン化合物をアミン化合物/酸化チタン(モル比)=0.03〜0.3の範囲で含有してなる有機溶媒分散型酸化チタンゾルの製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
有機溶媒分散型酸化チタンゾルを本発明の製造方法に基づき説明をする。本発明の製造方法によって得られる酸化チタンゾルは、無定形酸化チタンゾル或いは結晶質酸化チタンゾルのいずれでもよい。しかしながら、酸化チタンの厚膜生成等に使用するときは、酸化チタンゾル濃度を高濃度にできること、また無定形酸化チタンに比べて乾燥時の収縮が少ないこと等の理由から、アナターゼ型の結晶質酸化チタンゾルの使用が望ましい。
【0009】
アナターゼ型結晶質酸化チタンゾルは、市販品、例えば商品名「タイノック」(多木化学(株)製)を利用することもできるし、塩化チタン、硫酸チタンのような水溶性チタンのチタン水溶液にアルカリ金属の水酸化物、アンモニウム化合物などのアルカリ性化合物を加え、チタンのゲルを生成させ、これにオキシカルボン酸を加え、これを100℃以上で水熱処理し、アナターゼ型結晶質酸化チタンゾルを製造することもできる。
また、アナターゼ型酸化チタンの粉末やスラリーにオキシカルボン酸を添加して湿式粉砕することによっても製造することができる。
これらの水分散媒酸化チタンゾルを有機溶媒に分散させることについて云えば、水を分散媒とした酸化チタンゾルに、例えばアルコール等の親水性有機溶媒をある程度まで混合することは可能であり、また、酸化チタンゾルの濃度が低い程、有機溶媒を多含させることはできる。
【0010】
しかしながら、このようなゾル液を用いて成膜すると、ゾル成分が凝集して、膜が白濁したり平滑な膜が得られなかったりする。当然のことながら、酸化チタンゾルの濃度が低い場合は、仮にうまく成膜できても、所望の膜厚が得られないため、繰り返し成膜する必要があり実用的でない。
このため、実質的に有機溶媒に分散できる高濃度の酸化チタンゾルが必要であった。当初、各種の有機溶媒に分散されて市販されているシリカゾルに着目し、シリカゾルを酸化チタンゾルに混合して有機溶媒への分散を試みたが、単に両者を混合するだけでは分散性は向上しなかった。
【0011】
そこで、酸化チタンゾルの分散性向上について鋭意検討を行った結果、オキシカルボン酸で安定化された水分散型酸化チタンゾルの存在下に、アミン化合物を添加することにより、実質的に酸化チタンゾルが有機溶媒に分散化可能となることを見出した。
【0012】
本発明で使用するオキシカルボン酸で安定化された水分散型酸化チタンゾルは、前述のような酸化チタンゾルをオキシカルボン酸の添加によって安定化させたものである。
本発明で使用するオキシカルボン酸の種類としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、グリセリン酸、α-オキシ酪酸、マンデル酸、トロパ酸等が挙げられるが、これらの内、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸の使用が最も望ましい。即ち、後述する親水性有機溶媒との関係で、ゾル組成物の液安定性とその組成物を使用した場合に於ける厚膜化の点から当該オキシカルボン酸の使用が望ましい。
【0013】
また、オキシカルボン酸の使用量に関して云えば、オキシカルボン酸/酸化チタン(モル比)が0.03〜3.0の範囲となるように使用する。このモル比が0.03を下廻ると、酸化チタンゾルの液安定性が悪くなり、経時と共に沈降物が生成し、これを使用して膜を作成すると不均一な膜質となる。また、モル比が3.0を上廻りオキシカルボン酸量が多くなると、このゾル溶液を使用して作成した膜の膜質は著しく悪くなる。
【0014】
なお、オキシカルボン酸に代えて、塩酸、硝酸などの鉱酸を使用することによっても同様の酸化チタンゾルを得ることが出来るが、ゾルの粘度が高くなり過ぎることから、後述のアミン化合物により表面処理された高濃度の酸化チタンゾルを得ることができず、本発明の用途に適さない。
【0015】
次に、上記の如くして製造したオキシカルボン酸を含有した水分散の酸化チタンゾルに、アミン化合物を添加する。次いで、これに親水性有機溶媒を添加し、溶液を加熱濃縮することによって脱水し、本発明の有機溶媒分散型酸化チタンゾルを得る。
また、別の方法として有機溶媒の添加後、蒸留によって水の留去を行うのに併せ、同種の溶媒を追加しながら、水と有機溶媒との置換を行う方法によってもよい。
更に、別の方法として限外ろ過膜を用い、水分散酸化チタンゾル中の水を分離するのに併せ、親水性有機溶媒を加えながら溶媒置換を行う方法によってもよい。
【0016】
尚、本発明に於いては上述のように、アミン化合物の添加後、有機溶媒を添加して加熱濃縮後、更にこれにアミン化合物を添加して加熱濃縮によって留出したアミン化合物を補充することもできる。
【0017】
使用するアミン化合物の種類としては、エチルアミン、プロピルアミン、アリルアミン、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、3-メトキシプロピルアミン、アニリン等の1級アミン化合物、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジアリルアミン、ジイソブチルアミン、N-メチルメタノールアミン等の2級アミン化合物、トリエチルアミン、トリアリルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン等の3級アミン化合物および水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化トリメチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩化合物を例示できる。しかし、これらアミン化合物のうち1級、2級および3級のアルキルアミン化合物の使用が溶解性および反応性の点から最も好ましい。
特に好ましいアミン化合物としては、1級アミン化合物のブチルアミン、2級アミン化合物のジブチルアミン、3級アミン化合物のトリn-プロピルアミンを例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
アミン化合物の使用量に関しては云えば、酸化チタンゾルの粒子径が大きくなる程、アミン化合物の使用量は少量でよく、また、反対に粒子径が小さくなる程、アミン化合物の使用量は多くなる。その使用量は、酸化チタンのTiO2量に対してモル比0.03〜0.3の範囲である。
このアミン化合物の使用量がこの範囲を逸脱し、0.03を下廻るとゾルの有機溶媒との相溶性が低下する。また、反対にアミン化合物の使用量が0.3を上廻っても、その添加量に見合った効果は発現せず経済的でない。
【0019】
本発明で使用できる有機溶媒は、特に親水性の有機溶媒であり、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、ブチルカルビトール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸ブチル、4−ブチロラクトン等のエステル類を例示することができる。
アミン化合物を含有する酸化チタンゾルの有機溶媒中の水分量に関しては、親水性溶媒に対する水の溶解度以下である。水の溶解度の高い有機溶媒を使用した場合には、溶媒中の水分量は10質量%以下とすることが望ましい。
【0020】
酸化チタンゾルの濃度に関しては、酸化チタンの濃度が低いと、酸化チタン膜の厚膜化が困難となる。従来のゾルでは、酸化チタン濃度が、例えばTiO2として15質量%以上になると、液が増粘、ゲル化するため分散媒中の水分量を17質量%以下にすることが出来なかった。
しかし、本発明の製造方法によって得られる有機溶媒分散型酸化チタンゾルは、分散媒中の水分量を10質量%以下とすることが可能である。このようなことは、例えば以下のような方法によって可能となる。
即ち、オキシカルボン酸で安定化させた水分散酸化チタンゾルにアミン化合物を添加して、アミン化合物と酸化チタンゾルを充分に反応させた後、有機溶媒として例えば蒸気圧の高い4−ブチロラクトンを使用するような場合には、4−ブチロラクトンを添加した後、このゾル溶液を加熱することによって脱水を行う。
加熱時に、アミン化合物含有酸化チタンゾル溶液の液温が100℃までは、水が優先的に蒸発するが、液温での有機溶媒の蒸気圧に相当する量の有機溶媒も蒸発する。そして実質的に水の蒸発が終了すれば、外部加熱温度に近い温度まで液温は上昇する。従って、例えば、140℃で外部加熱を行った場合、液温が120℃になれば加熱を終了する。
液温が120℃にもなれば、脱水は完了している。120℃以上で長時間加熱を行っても、有機溶媒の蒸発量が多くなるだけで経済的でない。このようなことから、加熱時間については特段制約はない。
尚、この加熱脱水による方法に於いて、常圧蒸留に代えて減圧蒸留によるときは80℃以下で行うことが好ましい。
【0021】
本発明の製造方法によって得られるゾル組成物のチタン(TiO2)濃度について云えば、5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%の範囲である。5質量%以下では、先にも記載したように、比較的容易に有機溶媒分散チタンゾルを得ることができるので、本発明のような作業を行う必要はない。一方、40質量%以上になると、組成を工夫しても粘度が高くなりすぎてゾルの安定性が悪くなる。
【0022】
本発明では、この様なオキシカルボン酸とアミン化合物を含有する酸化チタンゾルを製造する際に、酸化チタンゾル原料に予めシリカ化合物を添加してシリカ・酸化チタン複合ゾルとしたものを使用することもできる。
【0023】
また、本発明では、この様なオキシカルボン酸とアミン化合物を含有する酸化チタンゾルを製造する際に、酸化チタンゲルあるいはゾル原料に予めその他金属酸化物あるいはアルコキシドを添加して酸化チタン複合ゾルとしたものを使用することもできる。このような金属酸化物としては、Si、Sb、Nb、Zr、Ce等の酸化物を例示することができる。
【0024】
この様にして本発明の製造方法によって得られる有機溶媒分散型酸化チタンゾルは、有機溶媒あるいは有機溶媒系ポリマーとの相溶性と安定性に優れ、とりわけ厚膜化を始め、水を好まない各種用途に好適な材料である。ところで、本発明の製造方法によって得られる有機溶媒分散型酸化チタンゾルに、必要に応じて使用する有機溶媒と混合可能な無機バインダー、有機バインダーあるいは有機無機複合バインダーを添加混合することもできる。
このようなバインダーとしては、例えば光硬化性樹脂あるいはこれらを含む複合バインダー等を好例として挙げることができる。
【0025】
【実施例】
以下に本発明の実施例を掲げて更に説明を行う。尚、%は特に断らない限り全て質量%を示す。
【0026】
[実施例1]
オキシ塩化チタン水溶液(TiO2=2%)2000gに、アンモニア水(NH3=2%)2212g(NH3/Cl当量比=1.3)を常温攪拌下で徐々に添加し、水酸化チタンゲルを生成させた。これをろ液中の塩素イオンがチタンゲル(TiO2)に対して100ppm以下になるまでろ過水洗し、TiO2=10%、NH3=0.3%のゲルを得た。
このゲル400gに、リンゴ酸/TiO2(モル比)=0.8となるようにリンゴ酸54gを添加し、これをオートクレーブに入れ、120℃で6時間の水熱処理を行い、結晶性酸化チタンゾル(TiO2=6.5%)を得た。X線回折法によりこのゾルを分析した結果、アナターゼ型の酸化チタンのピークが見られ、その第1ピークを用いて、デバイ・シェーラーの式から求めた結晶子サイズは6nmであった。
得られたゾルを限外ろ過装置を用いて洗浄し、過剰のリンゴ酸を充分除去して得られた酸化チタンゾルは、リンゴ酸/TiO2(モル比)=0.3であった。
次に、この酸化チタンゾル(TiO2=15%、リンゴ酸=7.6%、pH=2.5)100gにトリn-プロピルアミン2.2g(トリn-プロピルアミン/TiO2モル比=0.08)を加えて1時間保持した後、4−ブチロラクトン74gを加えて、エバポレーターを用いて、液温60℃で減圧蒸留を行い脱水を行った。留出がなくなるまで蒸留を行うことにより本発明のアミン化合物含有酸化チタンゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、TiO2=15%、トリプロピルアミン=2%、リンゴ酸=7.6%、(トリプロピルアミン/TiO2(モル比)=0.07、リンゴ酸/TiO2(モル比)=0.3、4−ブチロラクトン/TiO2(モル比)=4.5)であり、分散媒中の水分量は2.0%であった。
【0027】
この得られた本発明の有機溶媒分散型酸化チタンゾルを用いて樹脂塗膜形成試験を行った。
本発明のゾル35gを、4−ブチロラクトンに溶解させた感光性ポリマー(40%メタクリル酸、30%メチルメタクリレート、30%スチレンからなる共重合体、濃度35%,重量平均分子量43000、酸価95)溶液10gに添加し、更にこれに光重合開始剤(チバガイギー社製IC-369)3gを添加し、粘度10万mPa・sに液を調製した。これを用い、ガラス板上にスクリーン印刷で膜厚150μmのパターンを作製したのち、これを高圧水銀灯で露光させてパターンを硬化成形した。
その後、成形体を550℃で焼成して酸化チタン厚膜を得た。焼成により、膜厚は収縮して初期膜厚の70%になったが、クラックも見られず良好なパターンが得られた。
【0028】
[実施例2]
オキシ塩化チタン水溶液(TiO2=2%)2000gに、アンモニア水(NH3=2%)1700g(NH3/Cl当量比=1.0)を常温攪拌下で徐々に添加し、水酸化チタンゲルを生成させた。これをろ過水洗し、TiO2=5%、NH3=0.1%、Cl=0.1%のゲルを得た。
このゲル400gに、クエン酸/TiO2(モル比)=0.3となるようにクエン酸・1水和物15.8gを添加し、60℃の恒温槽にいれて、24時間保持し、酸化チタンゾルを得た。得られたゾルを限外ろ過装置を用いて洗浄し、過剰のクエン酸を充分除去した。X線回折法によりこのゾルを分析した結果、アナターゼ型の酸化チタンの明確なピークは見られず、このゾルは無定形酸化チタンゾル(TiO2=4.8%、クエン酸=1.1%、pH=3)であった。
次に、この酸化チタンゾル200gにジn-ブチルアミン1.6g(ジn-ブチルアミン/TiO2モル比=0.1)を加え1時間保持した後、エバポレーターを用いて、液温50℃で減圧蒸留を行い濃縮した後、エタノールを加えながら共沸蒸留を行った。蒸留物の水分がほぼなくなるまで共沸蒸留を繰り返し行うことにより本発明の有機溶媒分散型有酸化チタンゾル(TiO2=20%)を得た。このゾルを分析に供した結果、TiO2=20%、クエン酸=4.6%、ジn-ブチルアミン=2.9%、(ジn-ブチルアミン/TiO2(モル比)=0.09、クエン酸/TiO2(モル比)=0.1)であり、分散媒中の水分量は4.6%であった。また、このゾルはメチルエチルケトンで任意に希釈することができ、混合溶媒でも問題なく、有機溶媒に対して安定であることが分かった。
【0029】
[実施例3]
硫酸酸性の硫酸チタン水溶液(TiO2=2%、SO4=8%)5000gに、水酸化ナトリウム水溶液(Na2O=4%)6500gを攪拌下で添加し、チタンゲルを生成させた。
これをろ過水洗し、ろ液の電気伝導度(mS/cm2)が反応母液の1/500以下になるまで良く洗浄し、TiO2=8%のゲルを得た。このゲルを乾燥させ、300℃で1時間熱処理し、アナターゼ型酸化チタン粉末110g(TiO2=90%)を得た。
この酸化チタン粉末60gに酒石酸 10g、イオン交換水230gを添加し、湿式粉砕したのち、4000Gの遠心力で遠心分離機で処理し、上澄み液を分取した。この上澄み液は、TiO2=15%、酒石酸=3.6%(酒石酸/TiO2モル比=0.13)、平均粒子径0.2μmの酸化チタンゾルであった。
この水分散ゾル200gにtert-ブチルアミン8.2g(tert-ブチルアミン/TiO2モル比=0.3)を加え1時間保持することによりtert-ブチルアミン含有酸化チタンゾルを得た。これにメタノールを加えつつ限外ろ過し、完全に溶媒置換させることにより本発明の有機溶媒分散型酸化チタンゾル(TiO2=20%)を得た。このゾルを分析に供した結果、TiO2=20%、酒石酸=4.8%、tert-ブチルアミン=3.7%、(tert-ブチルアミン/TiO2(モル比)=0.2、酒石酸/TiO2(モル比)=0.13であり、分散媒中の水分量は2.0%であった。また得られたゾルにtert-ブチルアミンを添加し、tert-ブチルアミン/TiO2(モル比)=0.3とすることもできた。
【0032】
本発明の製造方法によって得られる有機溶媒分散型酸化チタンゾルは、殊に親水性有機溶媒あるいは親水性有機溶媒系ポリマーとの相溶性と液安定性に優れ、薄膜を作成する際に膜の厚膜化が容易で、各種材料への機能向上に有用であり、水を好まない各種用途に好適な材料である。例えば、誘電体、光電変換材料、紫外線カット材、高屈折率材、触媒、ハードコート材等に優れた機能付与が可能であり工業的に有益である。
Claims (1)
- オキシカルボン酸で安定化された水分散型酸化チタンゾルの存在下に、アミン化合物を添加した後、有機溶媒を加え加熱濃縮、蒸留又は限外濾過膜によって、水分散酸化チタンゾル中の水を分離し、水溶媒を、加えた有機溶媒で置換することからなるオキシカルボン酸をオキシカルボン酸/酸化チタン(モル比)=0.03〜3.0の範囲及びアミン化合物をアミン化合物/酸化チタン(モル比)=0.03〜0.3の範囲で含有してなる有機溶媒分散型酸化チタンゾルの製造方法。
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