JP6578756B2 - 多孔質構造体形成用分散体、多孔質構造体及び光電変換素子 - Google Patents

多孔質構造体形成用分散体、多孔質構造体及び光電変換素子 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質構造体形成用分散体、多孔質構造体及び光電変換素子に関する。
近年、電子回路における駆動電力が非常に少なくなり、微弱な電力(μWオーダー)でもセンサ等の様々な電子部品を駆動することができるようになった。さらに、センサの活用に際し、その場で発電し消費できる自立電源として環境発電素子への応用が期待されており、その中でも太陽電池(光電変換素子の一種)は、光があればどこでも発電できる素子として注目を集めている。
太陽電池の中でも、スイスローザンヌ工科大学のGraetzelらが発表した色素増感太陽電池は、微弱な室内光環境下においてアモルファスシリコン太陽電池以上の高い光電変換特性を示すことが報告されている(例えば、非特許文献1)。
通常、LEDライトや蛍光灯など室内光の照度は200Luxから1000Lux程度であり、太陽の直射光(およそ100000Lux)と比較し、非常に微弱な光である。この太陽電池の構造は、透明導電性ガラス基板上に多孔質な金属酸化物半導体層を設け、その表面に吸着した色素と、酸化還元対を有する電解質と、対極電極とからなる。Graetzelらは、酸化チタン等の金属酸化物半導体電極を多孔質化して表面積を大きくしたこと、並びに色素としてルテニウム錯体を単分子吸着させたことにより光電変換効率を著しく向上させた(例えば、特許文献1、非特許文献2、3参照)。
通常、色素増感型太陽電池は電解液を用いて構成されているが、揮発や漏液といった問題点があり実用化へは至っていない。一方で、実用化に向けた開発として、次に示されるような電解液部分に固体材料を用いた固体型色素増感型太陽電池の報告が行われている。固体材料には主にホール輸送材料が用いられ、p型半導体的な挙動を持つ材料が、色素からのホールを受け取ることができれば電解液の代替が可能である。
1)無機半導体を用いたもの(例えば、非特許文献4参照)
2)低分子有機ホール輸送材料を用いたもの(例えば、特許文献2、非特許文献5、6参照)
3)導電性高分子を用いたもの(例えば、特許文献3、非特許文献7参照)
通常、色素増感太陽電池の多孔質な金属酸化物半導体層(半導体層、電子輸送層とも称することがある)は、粒子径が数十〜数百nm程度の微粒子が均一かつ安定して分散された分散液を用いて形成され、膜の厚みとして10〜20μm程度を有する。
しかし、微弱な室内光環境下においては厚膜にすると半導体層内部まで光が届かず、光エネルギーを電気に変換させる効率(以降、光電変換効率と称する)が低下する。このため、室内光環境下における色素増感太陽電池としては、膜全体に光が到達する程度の膜厚に調整する必要があり、具体的には半導体層が2μm以下の薄膜にすることが求められる。
一方で、膜厚が薄くなると吸着される色素の総量が減少し、光電変換効率が低下することが知られている。この欠点を補うため、単位膜厚あたりの総比表面積をさらに増大させ、色素吸着量を向上させる必要がある。
色素吸着量を向上させるために、電子輸送層(半導体層)には一次粒径が数nmから数百nmの半導体粒子分散体を塗布し、乾燥させることにより作製されることが多い。したがって、粒子径が小さく、分散性の高い半導体粒子分散体が必要とされている(例えば、特許文献4〜6参照)。
しかしながら、半導体粒子の粒径が10nm未満の超微粒子(以下、「シングルナノ粒子」と称することがある)を電子輸送層用塗布液として用いた場合には、粒子間に働く引力が顕著に大きくなり、シングルナノ粒子が溶媒、樹脂等を凝集体内部に取り込むため、著しいゲル化が生じるという問題があった。
このゲル化が生じた半導体微粒子の分散体は、溶媒等によって希釈を行うことも困難なほどゲル状態で安定しており、スクリーン印刷やスピンコート、スプレー製膜等、一般的な成膜技術で使用することができない。
また、スクリーン印刷などで塗布、乾燥、焼成し、成膜を行った場合、レべリング性が非常に悪く、成膜後の膜表面が荒い、膜内部にクラックが生じやすく剥がれやすい、といった問題が生じていた。半導体膜に発生したクラックの程度によっては、半導体膜面積が小さいうちは初期特性に影響を及ぼさない。
しかし、経時の劣化により、半導体膜のクラックが大きくなりはがれが生じてしまう可能性が著しく高まる。また、出力電力量を増大させるためには半導体膜の大面積化が必要となるが、半導体膜の面積を大きくすると共にクラックの発生も生じやすくなる、という問題があった。
また、電子輸送層用塗布液として良好な分散状態を保持するためには、界面活性剤の添加を行う、という方法も考えられるが、塗布液を塗布、乾燥、燃焼させ溶媒を焼き飛ばす過程で界面活性剤に由来した残存物が電子輸送層中に残留し、これが特性に悪影響を及ぼす。
よって、界面活性剤を添加することなく良好な分散性が得られ、一般的な成膜技術で印刷することができ、総比表面積量が増加した電子輸送層を得られる塗布液を開発する技術が求められていた。
そこで、本発明は上記課題を鑑み、比表面積が大きく、一般的な印刷・塗布方法で塗布することができ、成膜後の膜表面にクラックが発生しない多孔質構造体形成用分散体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の多孔質構造体形成用分散体は、金属酸化物半導体
微粒子と、溶媒と、粘弾性調整剤とを含み、前記金属酸化物半導体微粒子は、一次粒子の
大きさが、体積基準のメジアン径で1nm以上10nm未満の粒子を少なくとも含み、前
記粘弾性調整剤は、少なくともオキシカルボン酸を含み、前記金属酸化物半導体微粒子において、一次粒子の大きさが、体積基準のメジアン径で1nm以上10nm未満である粒子を第1の金属酸化物半導体微粒子としたとき、一次粒子の大きさが、体積基準のメジアン径で10nm以上180nm以下である第2の金属酸化物半導体微粒子を含むことを特徴とする。
本発明によれば、比表面積が大きく、一般的な印刷・塗布方法で塗布することができ、成膜後の膜表面にクラックが発生しない多孔質構造体形成用分散体を提供することができる。
TEM画像解析法における画像解析の一例を示す模式図である。 分散体の粒度分布における半値全幅を説明するための模式図である。 本発明に係る光電変換素子の一例を示す模式図である。 実施例1の粒度分布である。 実施例2の粒度分布である。 実施例3の粒度分布である。 実施例4の粒度分布である。 実施例5の粒度分布である。 実施例6の粒度分布である。 実施例7の粒度分布である。 実施例8の粒度分布である。 実施例9の粒度分布である。 比較例1の粒度分布である。 比較例2の粒度分布である。 比較例3の粒度分布である。 比較例4の粒度分布である。 比較例5の粒度分布である。 比較例6の粒度分布である。
以下、本発明に係る多孔質構造体形成用分散体、多孔質構造体及び光電変換素子について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明の多孔質構造体形成用分散体は、金属酸化物半導体微粒子と、溶媒と、粘弾性調整剤とを含み、前記金属酸化物半導体微粒子は、一次粒子の大きさが、体積基準のメジアン径で1nm以上10nm未満の粒子を含み、前記粘弾性調整剤は、オキシカルボン酸を含むことを特徴とする。
本発明では、半導体粒子の粒径が10nm未満の超微粒子(以下、「シングルナノ粒子」と称することがある)と共にオキシカルボン酸を用いることによって、シングルナノ粒子がゲル化を引き起こすことを容易に妨げることができ、塗布しやすく成膜後の膜表面が平滑であり、クラックの発生を抑制することができる。
すなわち、本発明によれば、比表面積が大きく、一般的な印刷・塗布方法で塗布することができ、成膜後の膜表面にクラックが発生しない多孔質構造体形成用分散体を提供することができる。
また、本発明の多孔質構造体形成用分散体を用いることにより、多孔質構造体の面積を大きくしてもクラックが発生することのない多孔質な電子輸送層を提供することができる。さらには、色素吸着量と粒子密着性の向上に伴って、電流密度が向上し、出力電力量を大幅に向上させることの可能な光電変換素子を提供することができる。また、室内光のような微弱な入射光の場合であっても高短絡電流密度を得ることができ、良好な出力電力量が得られる光電変換素子を提供することができる。以下、詳細を説明する。
(多孔質構造体形成用分散体)
本発明に係る多孔質構造体形成用分散体は、金属酸化物半導体微粒子と、溶媒と、粘弾性調整剤とを含有する。また、必要に応じてその他の添加剤を含有していてもよい。
<金属酸化物半導体微粒子>
本発明において、金属酸化物半導体微粒子は、一次粒子の大きさが、体積基準のメジアン径で1nm以上10nm未満の粒子を少なくとも含んでいる。当該粒子を含んでいない場合、多孔質構造体形成用分散体が所望の比表面積が得られず、このような分散体を用いて光電変換素子を形成すると良好な光電変換効率が得られない。
また、前記金属酸化物半導体微粒子において、一次粒子の大きさが、体積基準のメジアン径で1nm以上10nm未満である粒子を第1の金属酸化物半導体微粒子としたとき、一次粒子の大きさが、体積基準のメジアン径で10nm以上180nm以下である第2の金属酸化物半導体微粒子を含むことが好ましい。
本発明の分散体に使用される半導体微粒子の一次粒子径は、1nm以上10nm未満の粒子と10nm以上90nm以下の粒子を少なくとも含むのが好ましく、4nm以上8nm以下の粒子と10nm以上15nm以下の粒子とを少なくとも含むことがより好ましい。これら2種類の粒子径範囲の半導体微粒子以外にも、第1の金属酸化物半導体微粒子、第2の金属酸化物半導体微粒子の粒子径範囲に含まれる半導体微粒子の大きさであれば混合することが可能である。
本発明の分散体では一次粒子径の異なる半導体微粒子の混合種類に制限を設けていないが、1nm以上10nm未満の粒子径範囲の中から2種類以内、10nm以上180nm以下の粒子径範囲の中から2種類以上5種類以下で粒子径の大きさを設定することが好ましい。
ここで、一次粒子径の上下限値について説明する。一次粒子の粒子径下限値として、1nm未満の場合、粒子の著しい凝集が生じてしまい、本発明をもってしてもゲル化を防ぐことができない。また、ゲル化以外にも、分散体により形成された電子輸送層の著しい膜剥離強度の低下が生じ、膜剥がれが容易に生じてしまう。膜剥がれが生じやすい状態では、電子輸送層を形成する基板との密着性も低下し、光増感化合物で励起された電子を十分に取り出すことができなくなる。このため一次粒子径の下限としては1nm以上であることが好ましい。
また、1nm以上10nm未満の粒子径範囲のみの粒子で構成すると、膜の著しい緻密化が生じやすくなる。そのため、膜内への色素溶液などの入り込み具合に不都合が生じ、色素吸着ムラや液体の充填不足などが起こりやすくなる。そこで、1nm以上10nm未満の粒子径範囲の粒子以外に、10nm以上180nm以下の粒子を添加することが好ましい。これにより、適度な空隙を有し、色素溶液などの入り込みやすさが向上しつつ、高い比表面積を獲得することができる。
また、一次粒子径の上限値であるが、一般的に、粒子の大きさが光の波長の1/2程度以下の大きさをとるとき、光の散乱が抑えられ電子輸送層内の光の透過率が向上する。光電変換素子における電子輸送層に吸着されている増感色素から、より多くの電子を放出させるには、この光の透過率の向上が必要不可欠である。
可視光の波長は約360nm〜800nm程度であるため、電子輸送層に用いられる半導体微粒子の一次粒子径は、その波長下限の1/2である180nm以下であることが好ましい。180nmであると光の散乱が生じる恐れが残るため、電子輸送層の透明性を高める目的としてさらに好ましくは180nmの1/2程度である90nm以下であることが好ましい。
ただし、意図的に光の散乱を生じさせ、発電に寄与する光を増やすために90nm〜180nmの粒子径を用いてもよい。その場合、十分に混合する量を調整する必要がある。
一次粒子径の大きさの評価は、透過型電子顕微鏡(TEM)と粒子画像解析ソフトを用いて粒子径解析を行う(以下、「TEM画像解析法」と呼ぶ)。本発明で示される粒子径は、特に断りがない限り、TEM画像解析法により求めることとする。
この手法では、TEM撮影画像中の粒子一粒の面積を、画像解析ソフト等を用いて数値化し、体積換算した粒子径のヒストグラム結果から体積基準のメジアン径を得ることができる。
TEMは1nmの粒子が観察できる分解能のものであればよいが、本発明における評価としては日本電子社製、透過電子顕微鏡JEM−2100を用いて観察する。画像解析ソフトとしては、Media Cybernetics社製、画像解析・画像計測・画像処理ソフトウェアImage Pro Plusを用いて観察する。
図1に、TEM画像解析法における画像解析の一例を示す。図1(A)に示されるようにTEMで粒子の画像を撮影し、図1(B)に示されるように撮影したTEM画像を画像解析ソフトを用いて粒子一粒ずつ解析する。そして、図1(C)に示されるように得られた粒子径からヒストグラムを求める。ここで、頻度で50%にあたる粒子径をメジアン径といい、一次粒子径の大きさの代表値としてメジアン径を採用する。
また、本発明では、分散体中の粒子の存在状態において、所定の粒度分布であることが好ましい。分散体中で粒子がとりうる粒子径の範囲(以下「粒度分布」と称する)や、ピークの山の中心径(以下「モード径」と称する)、ピークの山の幅(以下「半値全幅」と称する)を評価するためには、動的光散乱式粒度分布測定装置を用いて、光散乱基準で粒度分布やモード径、半値全幅を評価することが望ましい。
動的光散乱式粒度分布測定装置は、微粒子がブラウン運動を行っている分散体中にレーザー光を照射し、その散乱光強度を計測するものである。散乱強度の揺らぎを生データとして、自己相関関数を導き出し、得られた減衰曲線から粒子径と粒度分布を算出することができる。図2に、分散体の粒度分布における半値全幅を説明するための模式図を示す。図2に示されるように、ピークの頻度1/2における粒度分布の幅を半値全幅として求める。
動的光散乱式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製、動的光散乱式粒度分布測定装置SZ−100S、スペクトリス社製、ゼータサイザーナノS等を用いることができる。
上記で定義した一次粒子の多くが、分散体中では複数個集まり、凝集構造を形成している。なお、以下、一次粒子の凝集構造体を「二次粒子」と称する。
一次粒子の粒子径が1nm以上180nm以下であるとき、二次粒子の粒子径は2nm以上360nm以下となるが、凝集せずに存在する粒子もあるため、分散体中の粒子がとりうる粒度分布の範囲は1nm以上360nm以下となる。一次粒子の凝集体である二次粒子は、凝集しすぎていると電子輸送層内の孔径が小さくなりすぎ、電子輸送層内に電解質層が入り込めなくなってしまうことが考えられる。このため、二次粒子の粒子径にも適切な粒度分布の範囲が存在する。
本発明の分散体では、比表面積を増大させるためにシングルナノ粒子を添加するが、シングルナノ粒子の多くが10nmから180nmの粒子を核として数十以上の個数が集まる凝集構造を形成している。一方、一部はシングルナノ粒子が1個から数個程度で存在しており、これがピークの山を持つ。
前記金属酸化物半導体微粒子における、第1の金属酸化物半導体微粒子と、第2の金属酸化物半導体微粒子の含有量は、特に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。金属酸化物半導体微粒子中に、第1の金属酸化物半導体微粒子と第2の金属酸化物半導体微粒子が、(第1の金属酸化物半導体微粒子):(第2の金属酸化物半導体微粒子)=0.01:99.9〜40:60の重量比で含まれていることが好ましい。
また、その他の実施形態としては、前記金属酸化物半導体微粒子の一次粒子が凝集し、前記多孔質構造体形成用分散体中で二次粒子を形成し、前記多孔質構造体形成用分散体を動的光散乱式粒度分布測定装置で測定したとき、粒度分布の幅が1nm以上360nm以下であり、かつ、2つ以上のピークを有するものである。このとき、前記2つ以上のピークのうち、少なくとも1つはモード径で2nm以上8nm以下の範囲に第1のピークを有し、前記2つ以上のピークのうち、少なくとも1つはモード径で70nm以上220nm以下の範囲に第2のピークを有することが好ましい。そして、前記第1のピーク及び第2のピークのうち少なくとも1つは、ピークの半値全幅の範囲が各ピークのモード径の値に対し、1/5以下の分布幅であることが好ましい。
上記のように1つのピークのモード径が2nm以上8nm以下であることが好ましい。ここで例えば、モード径が1nmであるということは1nm未満の粒子が分布として存在していることを意味する。このため、ピークのモード径が2nm未満の場合、著しい凝集性のためゲル化が生じ、また電子輸送層の膜強度の著しい低下が生じることがある。モード径が8nmより大きいピークのみを有する場合は、後述する半値全幅の範囲から粒子径が10nmのピークと分離することが困難となる。このことから、モード径が2nm以上8nm以下の範囲にピークを有することが好ましい。より好ましくは、モード径が4nm以上7nm以下の範囲である。
10nm以上180nm以下の粒子の多くは、前述の通り分散体中でシングルナノ粒子と共に凝集構造を有しており、ピークの1つがモード径で70nm以上220nm以下に存在することが好ましい。この範囲に少なくとも1つのピークがあれば、金属酸化物半導体微粒子が溶媒等と、溶液の粘度に適した分散状態を保ち、透明性の高い電子輸送層を得ることができる。
本実施形態では、モード径で2nm以上8nm以下の範囲に存在するピークを第1のピークとし、モード径で70nm以上220nm以下の範囲に存在するピークを第2のピークとする。このとき、前記第1のピーク及び第2のピークのうち少なくとも1つは、ピークの半値全幅の範囲が各ピークのモード径の値に対し、1/5以下の分布幅であることが好ましい。
図2に分散体の粒度分布における半値全幅を説明するための模式図を示す。半値全幅については、図2に示されるように、山形の関数における広がりの程度を表す指標である。半値全幅の値は、各ピークのモード径に対して1/5以下の粒子径範囲であることが好ましい。例えば、あるピークのモード径が6nmであれば、その半値全幅は1.2nm以下であることが好ましい。
この範囲を満たすことで、光学的な特性が類似した粒子群が同じピークに存在することとなり、高透明性の粒子径と光反射しやすい粒子のバランスを考えた分散体に調節することが可能となる。
なお、前記第1のピーク及び第2のピークのうち少なくとも1つは、ピークの半値全幅の範囲が各ピークのモード径の値に対し、1/5以下の分布幅であることが好ましいが、前記第1のピーク及び第2のピーク両方がこれを満たすことがより好ましい。
金属酸化物半導体微粒子の材質としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体又はペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
これらの中でも、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。この中でも特に、伝導帯エネルギーの値が高い酸化チタンを使用することが最も好ましい。
また、本発明の多孔質形成用分散体は、動的粘弾性測定装置により、せん断振動歪みを与えた場合の応力レスポンスから求められる正接損失tanδが所定の値であることが好ましい。すなわち、正接損失tanδは1以上であることが好ましい。この場合、分散体を用いて形成した多孔質構造体について、印刷パターンに対し、割れ、はがれ、ひびの発生を抑制できる。
また、本発明の多孔質形成用分散体は、細孔分布測定装置で測定される比表面積が、85m/gより大きいことが好ましい。この場合、色素(光増感化合物)の吸着量を向上させることができ、分散体を用いて作製された光電変換素子の光電変換効率を向上させることができる。
<粘弾性調整剤>
本発明の分散体に使用される粘弾性調整剤としては、オキシカルボン酸が用いられる。オキシカルボン酸とは、官能基として−OH基と−COOH基の両方を有した化合物の総称である。
粒子がナノレベルに小粒径化されると、比表面積の著しい増加など、様々な現象がみられるようになる。シングルナノ粒子は特に凝集力の増大が著しく、分散体中の溶媒を取り込みながら凝集を起こし、分散体をゲル状に変化させる。このゲル化を阻害するためには、シングルナノ粒子の粒子表面にオキシカルボン酸を吸着、あるいは結合、被覆させることが効果的である。
シングルナノ粒子表面が、粒子同士で接触をする前に、−OH基、あるいは−COOH基による化合物の被覆が生じると、シングルナノ粒子同士の凝集を阻害し良好な電子輸送層を形成することができる。
−OH基のみ、あるいは−COOH基のみを持った化合物を添加したときにも、阻害作用が生じるが、その効果はオキシカルボン酸ほど強力ではなく、ナノ粒子のゲル化を完全に抑制できない可能性がある。そのため、粘弾性調整、特に弾性特性の調整を行うために、オキシカルボン酸を添加する。
オキシカルボン酸としては、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、タルトロン酸ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、シトラマル酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸、サリチル酸、ホモサリチル酸、ヒドロキシ(メチル)安息香酸、バニリン酸、シリング酸、ピロカテク酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、没食子酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナビン酸などが挙げられる。これらの中でも、扱いやすさ、入手しやすさ、易分解性などを考慮すると、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸が特に好ましい。これらは、単独、あるいは複数の化合物を合わせて使用しても構わない。
また、粘弾性調整剤の分量は、特に制限されるものではなく、適宜変更することができるが、金属酸化物半導体微粒子の重量に対して、(金属酸化物半導体微粒子):(粘弾性調整剤)=99.99:0.01〜50:50含まれることが好ましい。
<溶媒>
金属酸化物半導体微粒子を分散する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
<その他添加剤>
これらを用いた分散体には、粒子の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤等を添加することができる。さらに、ポリカルボン酸などのアニオン系分散剤を添加しても良い。
この他にも必要に応じて樹脂を添加してもよい。
この時に使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、成膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。
この時加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
<調製方法>
半導体ナノ結晶粒子と粘弾性調整剤、溶媒、樹脂などの混合方法は、均一混合効果が得られるものであれば特に限定されるものではない。
具体的には、撹拌羽根式ミキサー、三本ロールミル、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、ジェットミル、あるいは超音波分散等が用いることができる。また、混合時に、加熱、冷却、加圧又は減圧を行ってもよい。
(多孔質構造体)
本発明に係る多孔質構造体は、上記本発明に係る多孔質構造体形成用分散体を用いて形成される。本発明に係る多孔質構造体を形成する方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。
例えば、多孔質構造体形成用分散体を、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることにより成膜し、乾燥および/あるいは焼成処理を施すことによって得ることができる。
(光電変換素子)
上記多孔質構造体形成用分散体を用いて作製される、本発明に係る光電変換素子について図面を参照しながら説明する。
なお、本発明において光電変換素子とは、光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子あるいは電気エネルギーを光エネルギーに変換する素子を表し、具体的には太陽電池あるいはフォトダイオード等が挙げられる。すなわち、本発明に係る光電変換素子は太陽電池あるいはフォトダイオード等として用いることができる。
光電変換素子の構成例について図3に基づいて説明する。なお、図3は光電変換素子の断面の概略図である。
図3に示す態様においては、基板1上に第一の電極2が形成され、第一の電極2上にホールブロッキング層3が形成され、ホールブロッキング層3上に電子輸送層4が形成され、電子輸送層4における電子輸送性材料に光増感化合物5が吸着し、第一の電極2と対向する第二の電極7との間にホール輸送層6が挟み込まれた構成の例が図示されている。また、図1では、第一の電極2と第二の電極7が導通するようにリードライン8、9が設けられている。以下、詳細を説明する。
<基板>
本発明に用いられる基板1としては、特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができる。基板1は透明な材質のものが好ましく、例えばガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体等が挙げられる。
<第一の電極>
本発明に用いられる第一の電極2としては、可視光に対して透明な導電性物質であれば特に限定されるものではなく、通常の光電変換素子、あるいは液晶パネル等に用いられる公知のものを使用できる。
第一の電極の材料としては、例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、ITOと称す)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称す)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、ATOと称す)、インジウム・亜鉛酸化物、ニオブ・チタン酸化物、グラフェン等が挙げられ、これらが単独あるいは複数積層されていてもよい。
第一の電極2の厚さは5nm〜100μmが好ましく、50nm〜10μmがより好ましい。
また、第一の電極2は一定の硬性を維持するため、可視光に透明な材質からなる基板1上に設けることが好ましい。第一の電極2と基板1とが一体となっている公知のものを用いることもでき、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチック膜、ITOコート透明プラスチック膜等が挙げられる。
また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状等、光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものでもよい。
これらは単独あるいは2種以上の混合又は積層したものでも構わない。また抵抗を下げる目的で、金属リード線等を併用してもよい。
前記金属リード線の材質は、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITOやFTOを設ける方法により形成できる。
<ホールブロッキング層>
一般的に、ホールブロッキング層3は、電解質が電極と接して、電解質中のホールと電極表面の電子が再結合(いわゆる逆電子移動)することによる電力低下を抑制するために設けられる。このホールブロッキング層3の効果は、固体型色素増感型太陽電池において特に顕著である。これは、電解液を用いた湿式色素増感太陽電池と比較し、有機ホール輸送材料等を用いた固体型色素増感型太陽電池はホール輸送材料中のホールと電極表面の電子の再結合(逆電子移動)速度が速いことに起因している。
本発明で用いられるホールブロッキング層3は、電子輸送材料であれば特に制限されるものではないが、特に酸化チタンが好ましい。ホールブロッキング層3は、可視光に対して透明であることが好ましく、また、ホールブロッキング層としての機能を得るために、ホールブロッキング層3は緻密であることが好ましい。
<電子輸送層>
本発明の光電変換素子は、上記のホールブロッキング層3上に電子輸送層4を形成するものであり、一般的に多孔質状の層として構成される。電子輸送層4は、半導体微粒子などの電子輸送性材料を含み、電子輸送性材料は後述する光増感化合物5が吸着されていることが好ましい。電子輸送層4は、上記の本発明に係る多孔質構造体形成用分散体により形成される。
電子輸送層4は単層であっても多層であってもよい。多層の場合、粒径の異なる半導体微粒子の分散液を多層塗布することも、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。一度の塗布で膜厚が不足する場合には、多層塗布は有効な手段である。
電子輸送層4の作製方法には特に制限はなく、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、電子集電電極基板(基板1、第一の電極2、ホールブロッキング層3が形成された電極基板)上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
半導体微粒子は、塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために焼成、マイクロ波照射、電子線照射、あるいはレーザー光照射を行うことが好ましい。これらの処理は単独で行ってもよいし、あるいは2種類以上組み合わせて行ってもよい。
焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融したりすることもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、10分〜10時間が好ましい。
前記マイクロ波照射は、電子輸送層形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。照射時間には特に制限がないが、1時間以内で行うことが好ましい。
焼成後、半導体微粒子の表面積の増大や、後述する光増感化合物5から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
直径が数十nmの半導体微粒子を焼結等によって積層した膜は、多孔質状態を形成する。このナノ多孔構造は、非常に高い表面積を持ち、その表面積はラフネスファクターを用いて表わすことができる。
このラフネスファクターは、基板に塗布した半導体微粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。したがって、ラフネスファクターは大きいほど好ましいが、電子輸送層4の膜厚との関係もあり、本発明においては20以上が好ましい。
本発明では変換効率のさらなる向上のため、電子輸送層4は、下記一般式(1)で表される光増感化合物が吸着された電子輸送性材料を含むことが好ましい。
(式中、Rは置換又は無置換のアルキル基を示す。)
これらの中でも、前記一般式(1)におけるRが、アルキル基又はカルボン酸基によって置換されたアルキル基であることが好ましい。
以下に前記一般式(1)における具体的な例示化合物を記すが、何らこれらに限定されるものではない。なお、以下の「日化辞番号」は日本化学物質辞書の番号を示し、科学技術振興機構による有機化合物のデータベースに基づくものである。
Dye1 R=CHCH(日化辞番号:J2.477.478C、J3.081.465G)
Dye2 R=(CHCH
Dye3 R=C(CH
Dye4 R=(CHCH
Dye5 R=(CHCOOH
Dye6 R=(CHCOOH
Dye7 R=(CHCOOH
Dye8 R=(CH10COOH(日化辞番号:J3.113.583D)
前記一般式(1)で表わされる化合物は、例えばDye and Pigments 91(2011) 145−152に記載の方法で合成できる。
光増感化合物5は、使用される励起光により光励起される化合物であれば上記に限定されず、具体的には以下の化合物も挙げられる。
特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J.Phys.Chem.C,7224,Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、同特開2004−95450号公報、Chem.Commun.,4887(2007)等に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号、特開2004−235052号公報、J.Am.Chem.Soc.,12218,Vol.126(2004)、Chem.Commun.,3036(2003)、Angew.Chem.Int.Ed.,1923,Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J.Am.Chem.Soc.,16701,Vol.128(2006)、J.Am.Chem.Soc.,14256,Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号、J.Phys.Chem.,2342,Vol.91(1987)、J.Phys.Chem.B,6272,Vol.97(1993)、Electroanal.Chem.,31,Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J.Porphyrins Phthalocyanines,230,Vol.3(1999)、Angew.Chem.Int.Ed.,373,Vol.46(2007)、Langmuir,5436,Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物等を挙げることができる。
特にこの中で、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物を用いることが好ましい。上記一般式(1)で表される化合物、三菱製紙社製インドリン化合物のD102及びD131がより好ましい。
電子輸送層4(電子輸送性材料)に光増感化合物5を吸着させる方法としては、光増感化合物5の溶液中あるいは分散液中に電子輸送層4を含有する電子集電電極(基板1、第一の電極2、ホールブロッキング層3が形成された電極)を浸漬する方法が挙げられる。この他にも、溶液あるいは分散液を電子輸送層4に塗布して吸着させる方法を用いることができる。
前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができる。後者の場合、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等を用いることができる。
また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させても構わない。
光増感化合物5を吸着させる際、縮合剤を併用してもよい。前記縮合剤は、無機物表面に物理的あるいは化学的に光増感化合物5と電子輸送性材料とが結合すると思われる触媒的作用をするもの、又は化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるもののいずれであってもよい。
さらに、縮合助剤としてチオールやヒドロキシ化合物を添加してもよい。
光増感化合物5を溶解、あるいは分散する溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、
アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、
ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、
ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、
ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒等を挙げることができ、これらは単独、あるいは2種以上の混合として用いることができる。
また、光増感化合物5は、その種類によっては化合物間の凝集を抑制した方がより効果的に働くものが存在するため、凝集解離剤を併用しても構わない。
前記凝集解離剤としてはコール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸又は長鎖アルキルホスホン酸が好ましく、用いる光増感化合物5に対して適宜選ばれる。これら凝集解離剤の添加量は、光増感化合物5の1質量部に対して0.01〜500質量部が好ましく、0.1〜100質量部がより好ましい。
これらを用い、光増感化合物5、あるいは、光増感化合物5及び凝集解離剤を、電子輸送性材料に吸着させる際の温度としては、−50℃以上、200℃以下が好ましい。また、この吸着は静置しても攪拌しながら行っても構わない。
前記攪拌する場合の方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
吸着に要する時間は、5秒以上、1000時間以下が好ましく、10秒以上、500時間以下がより好ましく、1分以上、150時間がさらに好ましい。また、吸着は暗所で行うことが好ましい。
<ホール輸送層>
ホール輸送層6には、酸化還元対を有機溶媒に溶解した電解液、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリックスに含浸したゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩、固体電解質、無機ホール輸送材料、有機ホール輸送材料等が用いられる。これらの中でも、有機ホール輸送材料が好ましい。なお、以下、有機ホール輸送材料を例として説明する箇所があるが、これに限られるものではない。
本発明におけるホール輸送層6は、単一材料からなる単層構造でも、複数の化合物からなる積層構造でも構わない。積層構造の場合、第二の電極7に近いホール輸送層6に高分子材料を用いることが好ましい。製膜性に優れる高分子材料を用いることで多孔質状の電子輸送層4の表面をより平滑化することができ、光電変換特性を向上することができる。
また、高分子材料は多孔質状の電子輸送層4内部へ浸透しにくいことから、多孔質状の電子輸送層4表面の被覆に優れ、電極を設ける際の短絡防止にも効果を発揮するため、より高い性能を得ることが可能となる。
単一で用いられる単層構造において用いられる有機ホール輸送材料としては、公知の有機ホール輸送性化合物が用いられる。
その具体例としては特公昭34−5466号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特公昭45−555号公報等に示されているトリフェニルメタン化合物、特公昭52−4188号公報等に示されているピラゾリン化合物、特公昭55−42380号公報等に示されているヒドラゾン化合物、特開昭56−123544号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特開昭54−58445号公報に示されているテトラアリールベンジジン化合物、特開昭58−65440号公報あるいは特開昭60−98437号公報に示されているスチルベン化合物等を挙げることができる。
その中でも、Adv.Mater.,813,vol.17,(2005)記載のホール輸送材料(2,2’,7,7’−tetrakis(N,N−di−p−methoxyphenylamino)−9,9’−spirobifluorene:spiro−OMeTAD)が特に好ましい。spiro−OMeTADは下記構造式(1)のように表される。
spiro−OMeTADは、高いホール移動度を有している他に、2つのベンジジン骨格分子が捻れて結合している。そのため、球状に近い電子雲を形成しており、分子間におけるホッピング伝道性が良好であることにより優れた光電変換特性を示す。また可溶性も高く各種有機溶媒に溶解し、アモルファス(結晶構造をもたない無定形物質)であるため、多孔質状の電子輸送層に密に充填されやすく、固体型色素増感型太陽電池にとって有用な特性を有している。さらに、450nm以上の光吸収特性を有さないために、光増感化合物に効率的に光吸収をさせることができ、固体型色素増感型太陽電池にとって有用な特性を有している。
ホール輸送層6の膜厚は限定されないが、多孔質状の電子輸送層4の細孔に入り込んだ構造を有することが好ましく、電子輸送層4上に0.01μm以上が好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。
積層構造において用いられる第二の電極7に近いホール輸送層6に用いられる高分子材料としては、公知のホール輸送性高分子材料が用いられる。
その具体例としては、ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−n−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(9,9’−ジオクチル−フルオレン−コ−ビチオフェン)、ポリ(3,3’’’−ジドデシル−クォーターチオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−ビチオフェン)等のポリチオフェン化合物、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシ−5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[(2−メトキシ−5−(2−エチルフェキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)−コ−(4,4’−ビフェニレン−ビニレン)]等のポリフェニレンビニレン化合物、ポリ(9,9’−ジドデシルフルオレニル−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(9,10−アントラセン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(4,4’−ビフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジイル)−コ−(1,4−(2,5−ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]等のポリフルオレン化合物、ポリ[2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン]、ポリ[2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ−1,4−フェニレン]等のポリフェニレン化合物、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ジフェニル)−N,N’−ジ(p−ヘキシルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[フェニルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[p−トリルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルイミノ−1,4−ビフェニレン]等のポリアリールアミン化合物、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)等のポリチアジアゾール化合物等を挙げることができる。
この中で、キャリア移動度やイオン化ポテンシャルを考慮するとポリチオフェン化合物とポリアリールアミン化合物が特に好ましい。
また、上記に示した有機ホール輸送材料に各種添加剤を加えても構わない。
添加剤としては、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨウ化銀等の金属ヨウ化物、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウム等の金属臭化物、臭化テトラアルキルアンモニウム、臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、塩化銅、塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀、酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、硫酸銅、硫酸亜鉛等の金属硫酸塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルホン酸塩、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムノナフルオロブチルスルホン酸塩、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルイミド等のInorg.Chem.35(1996)1168に記載のイオン液体、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ベンズイミダゾール等の塩基性化合物、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムジイソプロピルイミド等のリチウム化合物等を挙げることができる。
これらの中でも、ホール輸送層6はイオン液体を含むことが好ましく、イオン液体がイミダゾリウム化合物であることがより好ましい。
また、導電性を向上させる目的で、有機ホール輸送材料の一部をラジカルカチオンにするための酸化剤を添加しても構わない。
その酸化剤としては、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート、硝酸銀、コバルト錯体系化合物等が挙げられる。
この酸化剤の添加によって全ての有機ホール輸送材料が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていればよい。また添加した酸化剤は添加した後、系外に取り出しても、取り出さなくてもよい。
ホール輸送層6は、光増感化合物5が含まれる電子輸送層4の上に直接形成することができる。ホール輸送層6の作製方法には特に制限はなく、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、電子輸送層4上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。また、超臨界流体あるいは臨界点より低い温度・圧力の亜臨界流体中で製膜してもよい。
前記超臨界流体は、気体と液体が共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝集性高密度流体として存在し、圧縮しても凝集せず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態にある流体である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。
超臨界流体としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、n−ブタノールなどのエルコール系溶媒、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロトリフロロメタンなどのハロゲン系溶媒、ジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒が好適である。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せると共に、不燃性で取扱いが容易であり、特に好ましい。
また、これらの流体は、単独であっても二種以上の混合であっても構わない。
前記亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において、高圧液体として存在する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上述した超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下が特に好ましい。
さらに、上述の超臨界流体及び亜臨界流体に加え、有機溶媒やエントレーナーを併用することもできる。有機溶媒及びエントレーナーの添加により、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行うことができる。
このような有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、
ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、
ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、
ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒などが挙げられる。
本発明では、光増感化合物5を吸着した電子輸送性材料が含まれる電子輸送層4上に、有機ホール輸送材料を設けた後、プレス処理工程を施しても構わない。このプレス処理を施すことによって、有機ホール輸送材料がより多孔質電極(電子輸送層4)と密着するため効率が改善すると考えている。
プレス処理方法に特に制限はないが、IR錠剤整形器に代表されるような平板を用いたプレス成型法、ローラーなどを用いたロールプレス法を挙げることができる。
圧力としては10kgf/cm以上が好ましく、30kgf/cm以上がより好ましい。プレス処理する時間に特に制限はないが、1時間以内で行うことが好ましい。また、プレス処理時に熱を加えても構わない。
また、上述のプレス処理の際、プレス機と電極間に離型材を挟んでも構わない。
前記離型材に用いられる材料としては、ポリ四フッ化エチレン、ポリクロロ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレン四フッ化エチレン共重合体、エチレンクロロ三フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニルなどのフッ素樹脂等を挙げることができる。
上記プレス処理工程を行った後、第二の電極7を設ける前に、有機ホール輸送材料と第二の電極7の間に金属酸化物を設けても良い。設けてもよい金属酸化物としては、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケルを挙げることができ、特に酸化モリブデンが好ましい。
これら金属酸化物をホール輸送層6上に設ける方法としては特に制限はなく、スパッタリングや真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式成膜法が挙げることができる。
湿式製膜法においては、金属酸化物の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。
この湿式成膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができる。
例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。前記金属酸化物の膜厚としては0.1〜50nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。
<第二の電極>
第二の電極7は、ホール輸送層6上に、又はホール輸送層6における金属酸化物上に形成することができる。また、第二の電極7は、通常前記第一の電極2と同様のものを用いることができ、強度や密封性が充分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要ではない。
第二の電極7の材料の具体例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素系化合物、ITO、FTO、ATO等の導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子等が挙げられる。
第二の電極7の膜厚には特に制限はなく、また単独あるいは2種以上の混合で用いても構わない。第二の電極7の塗設については、用いられる材料の種類やホール輸送層6の種類により、適宜ホール輸送層6上に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせ等の手法により形成可能である。
本発明の光電変換素子においては、第一の電極2と第二の電極7の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明においては、第一の電極2側が透明であり、入射光を第一の電極2側から入射させる方法が好ましい。この場合、第二の電極7側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、あるいは金属薄膜が好ましく用いられる。また、入射光側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
本発明の光電変換素子は、室内光のような微弱な入射光の場合であっても、良好な変換効率を得ることができる。
<用途>
本発明の光電変換素子は、発生した電流を制御する回路基盤等と組み合わせることにより、電源装置に応用できる。このような電源装置を利用している機器類として、例えば、電子卓上計算機や腕時計等が挙げられる。この他、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等に本発明の光電変換素子を有する電源装置を適用することができる。また、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として本発明の光電変換素子を有する電源装置を用いることもできる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<多孔質構造体形成用分散液の作製>
酸化チタン凝集体1(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径7nm)をクエン酸混合溶媒(溶媒としてメタノール、クエン酸との混合比として溶媒:クエン酸=40:4)に投入することにより、酸化チタン10重量部とクエン酸混合溶媒90重量部からなる溶液を調整した。これをマグネチックスターラーによって5時間攪拌することにより、予め酸化チタン凝集体をよく濡らしておいた。
このようにして調整した溶液に対し、超音波ホモジナイザー(BRANSON社製、Sonifier SLPe 40)を用い、周波数40kHzの超音波を30分間照射することによって、キャビテーションに由来する衝撃力を与え、酸化チタン凝集体を分散させた[分散液1]を得た。
得られた分散液の粒度分布を、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−2100)を用いて撮影した画像の画像解析から算出し、一次粒子径の個数平均が7.69nmであることを確認した。
上記の方法により作製された複合粒子を含む[分散液1]に対し、バインターとしてエチルセルロース(関東化学社製、トルエン:エタノール=80:20溶媒中5%溶液の25℃における粘度が45cP)、溶媒としてα−テルピネオール(関東化学社製)を、添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した後、ロータリーエバポレーターでエタノールを除去し、スクリーン印刷用に好適な粘度を有する[塗工液1]を得た。
塗工液は、エタノール除去後において酸化チタンが15重量部となるよう、それぞれの添加量を調整した。得られた分散液の粒度分布を、動的光散乱式粒度分布測定装置(スペクトリス社製、ゼータサイザーナノS)により測定したところ、ピークのモード径は7.9nmと201.3nmであった。本実施例で得られた粒度分布のグラフを図4に示す。
<多孔質構造体形成用分散液の評価>
上記の通り準備した[塗工液1]をスパテラにとり、動的粘弾性測定装置(UBM社製、Rheosol−g)により、せん断振動歪みを与えた場合の応力レスポンスから正接損失tanδを測定したところ、3.7であった。正接損失tanδの評価基準は以下の通りである。
○:tanδ≧1
△:0.5<tanδ<1
×:tanδ≦0.5
<多孔質構造体の作製と評価>
上記[塗工液1]を、表面に第1の電極2が形成された青板ガラス基板(基板1)にスクリーン印刷によって塗布した後、空気中500℃で30分間焼成し、多孔質の[半導体膜1]を形成した。この[半導体膜1]を削り取り、細孔分布測定装置(日本ベル社製、BELSORP−miniII)で比表面積を測定したところ、204.6m/gであった。比表面積の測定結果の評価基準は以下の通りである。
○:比表面積値が85m/gより大きい
△:比表面積値が60m/g以上85m/g以下
×:比表面積値が60m/g未満
<光電変換素子の作製>
次に、上記[半導体膜1]を用いて、小面積(16mm)の電極と、大面積(6400mm)の電極の2種類を作製した。この2つの電極について、光学顕微鏡(キーエンス社製、デジタルマイクロスコープVHX−5000)を用いて、クラック発生の有無を確認した。クラック発生有無の評価基準は、以下の通りである。
○:印刷パターンに対し、小面積電極、大面積電極共に、割れ、はがれ、ひびが発生しない
△:印刷パターンに対し、小面積電極では割れ、はがれ、ひびの発生がなく、大面積電極では割れ、はがれ、ひびの発生がある
×:印刷パターンに対し、小面積、大面積共に割れ、はがれ、ひびが発生する
次に、上記の大面積の電極に対し、光増感化合物5として前記例示化合物Dye8(0.5mM、アセトニトリル/t−ブタノール(体積比1:1)溶液)への浸漬処理を施し、1時間暗所にて静置して光増感化合物5を吸着させた。これを多孔質の電子輸送層4とした。
光増感化合物5を担持した大面積の半導体電極上に、有機ホール輸送材料(メルク社製、銘柄:2,2’,7,7’−tetrakis(N,N−di−p−methoxyphenylamino)−9,9’−spirobifluorene、品番:SHT−263)を溶解したクロロベンゼン(固形分14%)溶液に、関東化学社製リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(固形分1%)、アルドリッチ社製ターシャルブチルピリジン(固形分1.4%)を加えて得た溶液を、光増感化合物5を担持した大面積の半導体電極上にスピンコートし、半導体電極上に約200nmの厚みとなるようにホール輸送層6を成膜した。この上に銀を100nm真空蒸着して第二の電極7を作製し、光電変換素子を作製した。
また、同様に、大面積の半導体電極を上記小面積の半導体電極に変えて光電変換素子を作製した。なお、便宜上、それぞれ大面積素子、小面積素子と称して区別することにする。
<光電変換素子の評価>
上記により得られた光電変換素子について、白色LED照射下(1000Lux:0.24mW/cm)における光電変換効率を測定した。白色LEDはコスモテクノ社製デスクランプCDS−90α(スタディーモード)、評価機器はNF回路設計ブロック社製太陽電池評価システムAs−510−PV03にて測定した。
その結果、小面積素子では開放電圧=0.91V、短絡電流密度32.44μA/cm、形状因子=0.77、変換効率=8.82%という優れた特性を示した。
また、大面積素子でも半導体電極にはがれや割れが生じることなく、開放電圧=0.87V、短絡電流密度29.93μA/cm、形状因子=0.73、変換効率=7.92%という優れた特性を示した。
得られた結果を表1に示す。
実施例1では、分散体の正接損失tanδも適切な範囲にあり非常に塗布しやすく、高い比表面積と良好な塗膜状態を保っていた。この膜から得られた光電変換素子も、大面積形状での変換効率が非常に高く、優れた素子を製造することが可能となった。
(実施例2)
<多孔質構造体形成用分散液の作製>
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体2(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径5nmと、前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径15nmの混合粉体、重量比30:70)をクエン酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液2]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液2]から[半導体膜2]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図5に示す。また、得られた結果を表1に示す。
実施例2では、分散体の正接損失tanδも適切な範囲にあり非常に塗布しやすく、高い比表面積と良好な塗膜状態を保っていた。この膜から得られた光電変換素子も、大面積形状での変換効率が非常に高く、優れた素子を製造することが可能となった。
(実施例3)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体3(前記半導体ナノ結晶粒子、平均一次粒子径1nmと前記半導体ナノ結晶粒子、平均一次粒子径15nm)をグルコン酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液3]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液3]から[半導体膜3]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図6に示す。また、得られた結果を表1に示す。
実施例3では、分散体の正接損失tanδも適切な範囲にあり非常に塗布しやすく、高い比表面積と良好な塗膜状態を保っていた。この膜から得られた光電変換素子も、大面積形状での変換効率が非常に高く、優れた素子を製造することが可能となった。
(実施例4)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体4(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径1nm、90nm)を酒石酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液4]を作製して正接損失tanδの測定を行った。また、[塗工液4]から[半導体膜4]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図7に示す。また、得られた結果を表1に示す。
実施例4では、分散液の粒度分布における2つ目のピーク2のモード径が若干大きい。いずれの評価項目も○判定であったが、ピーク2が若干大きくなった影響で正接損失tanδは実施例1及び2よりも大きく、また比表面積は実施例1、2及び3よりも比較的小さくなった。これに伴い光電変換効率は実施例1、2及び3に比較して若干小さい値となった。
(実施例5)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体5(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径1nm、10nm)をキナ酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液5]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液5]から[半導体膜5]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図8に示す。また、得られた結果を表1に示す。
実施例5では、粘弾性調整剤として、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びグルコン酸以外のオキシカルボン酸を添加した分散体を使用して、半導体膜及び大面積素子を作製している。比表面積は大きいがtanδが若干小さく、実施例1、2及び3と比較して印刷パターンの割れやはがれが若干生じやすかった。これに伴い、光電変換効率は実施例1、2及び3に比較して若干小さい値となった。
(実施例6)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体6(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径8nm、170nm)をヒドロキシ安息香酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液6]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液6]から[半導体膜6]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図9に示す。また、得られた結果を表1に示す。
実施例6では、分散液の粒度分布における2つ目のピーク2のモード径が若干大きく、また粘弾性調整剤として、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びグルコン酸以外のオキシカルボン酸を添加した分散体を使用している。この分散体を使用して作製した半導体膜及び大面積素子は、実施例1及び2と比較してtanδが若干小さく、比表面積の値も小さかった。これに伴い、印刷パターンの割れやはがれが若干生じやすく、光電変換効率は実施例1及び2に比較して若干小さい値となった。
(実施例7)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体7(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径3nm、30nm)をグルコン酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液7]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液7]から[半導体膜7]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図10に示す。また、得られた結果を表1に示す。
実施例7では、分散液の粒度分布における2つ目のピーク2のモード径が若干小さい。この分散体を使用して作製した半導体膜及び大面積素子は、実施例1及び2と比較してtanδが若干小さく、これに伴い、印刷パターンの割れやはがれが若干生じやすくなった。光電変換効率は実施例1及び2に比較して若干小さい値となった。
(実施例8)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体8(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径1nm、170nm)をコーヒー酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液8]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液8]から[半導体膜8]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図11に示す。また、得られた結果を表1に示す。
実施例8では、分散液の粒度分布におけるピークが1つであり、また粘弾性調整剤として、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びグルコン酸以外のオキシカルボン酸を添加した分散体を使用している。この分散体を使用して作製した半導体膜及び大面積素子は、半導体膜のはがれ等は生じなかったものの、比表面積が相対的に小さく、光電変換効率は実施例1及び2に比較して若干小さい値となった。
(実施例9)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体9(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径4nm、70nm)をフェルラ酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液9]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液9]から[半導体膜9]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図12に示す。また、得られた結果を表1に示す。
実施例9では、分散液の粒度分布における2つ目のピーク2の半値全幅が若干大きく、また粘弾性調整剤として、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びグルコン酸以外のオキシカルボン酸を添加した分散体を使用している。この分散体を使用して作製した半導体膜及び大面積素子は、実施例1及び2と比較し、印刷パターンの割れやはがれが若干生じやすくなり、光電変換効率は実施例1及び2に比較して若干小さい値となった。
(比較例1)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体10(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径3nm)をエタノールに投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液10]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液10]から[半導体膜10]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図13に示す。また、得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体11(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径21nm)をクエン酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液11]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液11]から[半導体膜11]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図14に示す。また、得られた結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体12(前記半導体ナノ結晶粒子、6nm、一次粒子径21nm)を塩酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液12]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液12]から[半導体膜12]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図15に示す。また、得られた結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体13(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径6nm、30nm)を酢酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液13]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液13]から[半導体膜13]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図16に示す。また、得られた結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体14(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径6nm、21nm)をフェノール混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液14]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液14]から[半導体膜14]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図17に示す。また、得られた結果を表1に示す。
(比較例6)
実施例1において、酸化チタンと溶媒を混合調整するにあたり、酸化チタン凝集体15(前記半導体ナノ結晶粒子、一次粒子径2nm、200nm)をリンゴ酸混合溶媒に投入した以外は、実施例1と同様にして[塗工液15]を作製して損失正接tanδの測定を行った。また、[塗工液15]から[半導体膜15]を作製して比表面積の値及び膜形状の確認を行い、大面積の半導体電極を作製し、光電変換素子(大面積素子)を作製した。得られた大面積素子における光電変換効率を測定した。実施例1と同様にして測定した分散液の粒度分布のグラフを図18に示す。また、得られた結果を表1に示す。
以上により得られた結果を表1に示す。なお、表1中、「−」とあるのは、金属酸化物微粒子が存在しないこと、粘弾性調整剤を添加していないこと、またピークが存在しないことを示す。
比較例1、2は、第一の粒子のみ、あるいは第二の粒子のみで作製された多孔質構造体形成用分散体である。
比較例1では第一の粒子のみで形成され、また粘弾性調整剤の添加もされておらず、著しいゲル化が生じ、塗膜の割れやはがれが生じた。特に塗膜の基板との密着性が著しく悪く、大面積で作製した際の光電変換素子の変換効率も非常に悪い結果となった。
比較例2では第二の粒子のみで形成され、粘弾性調整剤としてクエン酸を添加している。分散体のゲル化は生じなかったが、比表面積が小さめであったため、光電変換素子の変換効率は低い結果となった。
このことから、分散体を形成する金属酸化物粒子の粒子径の組み合わせが必要であることがわかる。
比較例3、4、5は金属酸化物粒子が第一の粒子と第二の粒子の組み合わせとなっているが、粘弾性調整剤がオキシカルボン酸でなかった多孔質構造体形成用分散体である。
比較例3は塩酸を添加したもので、分子構造中に−OH基及び−COOH基がなく、ゲル化の阻害が活発に行われない。このため、分散体にゲル化が生じ、膜はがれや特性低下が著しかった。
比較例4、5は−OH基のみ、あるいは−COOH基のみ分子構造中に存在した材料を粘弾性調整剤に用いた。−OH基と−COOH基の両方を有するオキシカルボン酸に比べ、ゲル化の抑制が弱く、tanδの値が比較的小さめの値となった。
比較例6は第二の粒子の粒子径範囲が大きく、比表面積の値が小さくなってしまった。これに伴って光電変換素子の変換効率も低下した。
1 基板
2 第一の電極
3 ホールブロッキング層
4 電子輸送層
5 光増感化合物
6 ホール輸送層
7 第二の電極
8、9 リードライン
特許第2664194号公報 特開平11−144773号公報 特開2000−106223号公報 特開2008−077924号公報 特開2011−233376号公報 特開2011−144408号公報
パナソニック電工技報,Vol.56,No.4(2008)87 Nature,353(1991)737 J.Am.Chem.Soc.,115(1993)6382 Nature,485(2012)486 J.Am.Chem.Soc.,133(2011)18042 J.Am.Chem.Soc.,135(2013)7378 J.Phys.Chem.C,116(2012)25721

Claims (6)

  1. 金属酸化物半導体微粒子と、溶媒と、粘弾性調整剤とを含み、
    前記金属酸化物半導体微粒子は、一次粒子の大きさが、体積基準のメジアン径で1nm以上10nm未満の粒子を少なくとも含み、
    前記粘弾性調整剤は、少なくともオキシカルボン酸を含み、
    前記金属酸化物半導体微粒子において、一次粒子の大きさが、体積基準のメジアン径で1nm以上10nm未満である粒子を第1の金属酸化物半導体微粒子としたとき、
    一次粒子の大きさが、体積基準のメジアン径で10nm以上180nm以下である第2の金属酸化物半導体微粒子を含むことを特徴とする多孔質構造体形成用分散体。
  2. 前記金属酸化物半導体微粒子の一次粒子が凝集し、前記多孔質構造体形成用分散体中で二次粒子を形成し、
    前記多孔質構造体形成用分散体を動的光散乱式粒度分布測定装置で測定したとき、粒度分布の幅が1nm以上360nm以下であり、かつ、2つ以上のピークを有し、
    前記2つ以上のピークのうち、少なくとも1つはモード径で2nm以上8nm以下の範囲に第1のピークを有し、
    前記2つ以上のピークのうち、少なくとも1つはモード径で70nm以上220nm以下の範囲に第2のピークを有し、
    前記第1のピーク及び第2のピークのうち少なくとも1つは、ピークの半値全幅の範囲が各ピークのモード径の値に対し、1/5以下の分布幅であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質構造体形成用分散体。
  3. 前記粘弾性調整剤は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びグルコン酸より選ばれる1種以上のオキシカルボン酸を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質構造体形成用分散体。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の多孔質構造体形成用分散体を用いて形成されたことを特徴とする多孔質構造体。
  5. 第一の電極と、ホールブロッキング層と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第二の電極とを有し、
    前記電子輸送層は、請求項に記載の多孔質構造体を用いることを特徴とする光電変換素子。
  6. 前記ホール輸送層が、下記構造式(1)で表されるホール輸送性材料を含むことを特徴とする請求項に記載の光電変換素子。
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