JP6740621B2 - 光電変換素子 - Google Patents
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- Y02E10/549—Organic PV cells
Description
1)無機半導体を用いたもの(例えば、非特許文献4参照)
2)低分子有機ホール輸送材料を用いたもの(例えば、特許文献2、非特許文献5、6参照)
3)導電性高分子を用いたもの(例えば、特許文献3、非特許文献7参照)
(式中、R 1 、R 2 は置換もしくは無置換のアルキル基または芳香族炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R 1 、R 2 は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。)
図1に示す態様においては、基板1上に第一の電極2が形成され、第一の電極2上にホールブロッキング層3が形成され、ホールブロッキング層3上に電子輸送層4が形成され、電子輸送層4における電子輸送性材料に光増感化合物5が吸着し、第一の電極2と対向する第二の電極7との間にホール輸送層6が挟み込まれた構成の例が図示されている。また、図1では、第一の電極2と第二の電極7が導通するようにリードライン8、9が設けられている構成の例が図示されている。以下、詳細を説明する。
本発明に用いられる基板1としては、特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができる。基板1は透明な材質のものが好ましく、例えばガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体等が挙げられる。
本発明に用いられる第一の電極2としては、可視光に対して透明な導電性物質であれば特に限定されるものではなく、通常の光電変換素子、あるいは液晶パネル等に用いられる公知のものを使用できる。
第一の電極の厚さは5nm〜10μmが好ましく、50nm〜1μmがさらに好ましい。
また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオンもしくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状等、光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものでもよい。
前記金属リード線の材質は、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITOやFTOを設ける方法により形成できる。
本発明で用いられるホールブロッキング層3としては、可視光に対して透明であり、かつ電子輸送性材料であれば特に限定されるものではないが、特に酸化チタンが好ましい。また、ホールブロッキング層3は、電解質が電極と接して、電解質中のホールと電極表面の電子が再結合(いわゆる逆電子移動)することによる電力低下を抑制するために設けられる。このホールブロッキング層3の効果は、固体型色素増感型太陽電池において特に顕著である。これは、電解液を用いた湿式色素増感太陽電池と比較し、有機ホール輸送材料等を用いた固体型色素増感型太陽電池はホール輸送材料中のホールと電極表面の電子の再結合(逆電子移動)速度が速いことに起因している。
本発明の光電変換素子は、上記のホールブロッキング層3上に多孔質状の電子輸送層4を形成するものであり、半導体微粒子などの電子輸送性材料を含むことが好ましい。電子輸送層4は、単層であっても多層であってもよい。多層の場合、粒径の異なる半導体微粒子の分散液を多層塗布することも、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。一度の塗布で膜厚が不足する場合には、多層塗布は有効な手段である。
一般的に、電子輸送層の膜厚が増大するほど単位投影面積当たりの担持光増感材料量(光増感化合物)も増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入された電子の拡散距離も増えるため電荷の再結合によるロスも大きくなってしまう。したがって、電子輸送層の膜厚は100nm〜100μmが好ましい。
具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
また、より大きい平均粒径の半導体微粒子を混合あるいは積層して入射光を散乱させる効果により、効率を向上させることも可能である。この場合の半導体の平均粒径は50〜500nmが好ましい。
例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
このときに使用される樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
このとき加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
半導体微粒子は、塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために焼成、マイクロ波照射、電子線照射、あるいはレーザー光照射を行うことが好ましい。これらの処理は単独で行ってもあるいは2種類以上組み合わせて行なってもよい。
前記マイクロ波照射は、電子輸送層形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。
照射時間には特に制限がないが、1時間以内で行うことが好ましい。
焼成後、半導体微粒子の表面積の増大や、光増感化合物から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
このラフネスファクターは、基板に塗布した半導体微粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。したがって、ラフネスファクターは大きいほど好ましいが、電子輸送層の膜厚との関係もあり、本発明においては20以上が好ましい。
本発明では変換効率のさらなる向上のため、光増感化合物を電子輸送層4である電子輸送性半導体(電子輸送性材料)の表面に吸着させることが好ましい。
光増感化合物5は、使用される励起光により光励起される化合物であれば上記に限定されないが、具体的には以下の化合物も挙げられる。
特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J.Phys.Chem.C,7224,Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、同特開2004−95450号公報、Chem.Commun.,4887(2007)等に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号、特開2004−235052号公報、J.Am.Chem.Soc.,12218,Vol.126(2004)、Chem.Commun.,3036(2003)、Angew.Chem.Int.Ed.,1923,Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J.Am.Chem.Soc.,16701,Vol.128(2006)、J.Am.Chem.Soc.,14256,Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号、J.Phys.Chem.,2342,Vol.91(1987)、J.Phys.Chem.B,6272,Vol.97(1993)、Electroanal.Chem.,31,Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J.Porphyrins Phthalocyanines,230,Vol.3(1999)、Angew.Chem.Int.Ed.,373,Vol.46(2007)、Langmuir,5436,Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物等を挙げることができる。特にこの中で、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物を用いることが好ましい。更に好ましくは、三菱製紙社製の前記構造式(5)で表されるD131、前記構造式(6)で表されるD102、前記構造式(7)で表されるD358が挙げられる。
前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができる。
後者の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等を用いることができる。
また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させても構わない。
光増感化合物を吸着させる際、縮合剤を併用してもよい。
前記縮合剤は、無機物表面に物理的あるいは化学的に光増感化合物と電子輸送化合物を結合すると思われる触媒的作用をするもの、または化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるものの何れであってもよい。
さらに、縮合助剤としてチオールやヒドロキシ化合物を添加してもよい。
アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、
ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、
ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、
ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができ、これらは単独、あるいは2種以上の混合として用いることができる。
前記凝集解離剤としてはコール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸または長鎖アルキルホスホン酸が好ましく、用いる色素に対して適宜選ばれる。
これらを用い、電子輸送層4に光増感化合物および凝集解離剤を吸着する際の温度としては、−50℃以上、200℃以下が好ましい。
また、この吸着は静置しても攪拌しながら行っても構わない。
前記攪拌する場合の方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、吸着は暗所で行うことが好ましい。
一般的にホール輸送層としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した電解液、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリックスに含浸したゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩、固体電解質、無機ホール輸送材料、有機ホール輸送材料等が用いられるが、本発明のホール輸送層6は、前記構造式(1)と一般式(2)で表される有機ホール輸送材料を含有する。
また、高分子材料は多孔質状の電子輸送層内部へ浸透することが困難であるため、逆に多孔質状の電子輸送層表面の被覆にも優れ、電極を設ける際の短絡防止にも効果を発揮するため、より高い性能を得ることが可能となる。
単層構造において用いられる有機ホール輸送材料としては、前記構造式(1)と一般式(2)で表される化合物の他に公知の有機ホール輸送性化合物が用いられる。
ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシ−5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[(2−メトキシ−5−(2−エチルフェキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)−コ−(4,4’−ビフェニレンービニレン)]等のポリフェニレンビニレン化合物、
ポリ(9,9’−ジドデシルフルオレニル−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(9,10−アントラセン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(4,4’−ビフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジイル)−コ−(1,4−(2,5−ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]等のポリフルオレン化合物、
ポリ[2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン]、ポリ[2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ−1,4−フェニレン]等のポリフェニレン化合物、
ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ジフェニル)−N,N’−ジ(p−ヘキシルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[フェニルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[p−トリルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルイミノ−1,4−ビフェニレン]等のポリアリールアミン化合物、
ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)等のポリチアジアゾール化合物を挙げることができる。
この中で、キャリア移動度やイオン化ポテンシャルを考慮するとポリチオフェン化合物とポリアリールアミン化合物が特に好ましい。
添加剤としては、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨウ化銀等の金属ヨウ化物、
ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウム等の金属臭化物、
臭化テトラアルキルアンモニウム、臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、
塩化銅、塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀、酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、
硫酸銅、硫酸亜鉛等の金属硫酸塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、
ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、
ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルホン酸塩、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムノナフルオロブチルスルホン酸塩、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルイミド、1−n−ヘキシル−3−メチルイミダゾリニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等のInorg.Chem.35(1996)1168に記載のイオン液体、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ベンズイミダゾール等の塩基性化合物、
リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムジイソプロピルイミド等のリチウム化合物を挙げることができる。
また、光電変換素子における内部抵抗が高まり、室内光等の微弱光における損失電流を低減することができる。よって、従来の塩基性化合物より高い開放電圧を得られる。
その酸化剤としては、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート、硝酸銀、コバルト錯体系化合物等が挙げられる。
この酸化剤の添加によって全ての有機ホール輸送材料が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていればよい。また添加した酸化剤は添加した後、系外に取り出しても、取り出さなくてもよい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。また、超臨界流体あるいは臨界点より低い温度・圧力の亜臨界流体中で製膜してもよい。
また、これらの流体は、単独であっても二種以上の混合であっても構わない。
上述した超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下が特に好ましい。
さらに、上述の超臨界流体及び亜臨界流体に加え、有機溶媒やエントレーナーを併用することもできる。
有機溶媒及びエントレーナーの添加により、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行うことができる。
例えば、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、
ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、
ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、
ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒などが挙げられる。
プレス処理方法に特に制限はないが、IR錠剤整形器に代表されるような平板を用いたプレス成型法、ローラーなどを用いたロールプレス法を挙げることができる。
圧力としては10kgf/cm2以上が好ましく、30kgf/cm2以上がより好ましい。プレス処理する時間に特に制限はないが、1時間以内で行うことが好ましい。また、プレス処理時に熱を加えても構わない。
前記離型材としては、ポリ四フッ化エチレン、ポリクロロ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレン四フッ化エチレン共重合体、エチレンクロロ三フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニルなどのフッ素樹脂を挙げることができる。
湿式製膜法においては、金属酸化物の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。
例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。膜厚としては0.1〜50nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。
第二の電極は、ホール輸送層形成後あるいは上述の金属酸化物上に新たに付与する。
また第二の電極は、通常前述の第一の電極と同様のものを用いることができ、強度や密封性が充分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要ではない。
第二の電極層の膜厚には特に制限はなく、また単独あるいは2種以上の混合で用いても構わない。
色素増感型太陽電池として動作するためには、第一の電極と第二の電極の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。
本発明の光電変換素子においては、第一の電極側が透明であり、太陽光を第一の電極側から入射させる方法が好ましい。この場合、第二の電極側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、あるいは金属薄膜が好ましい。
また、太陽光の入射側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
本発明の光電変換素子は、太陽電池及びこれを備えた電源装置に応用できる。
応用例としては、従来から太陽電池やそれを用いた電源装置を利用している機器類であれば、いずれのものでも可能である。
例えば電子卓上計算機や腕時計用の太陽電池に用いてもよいが、本発明の光電変換素子の特徴を活用する一例として、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等の電源装置が挙げられる。また充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として用いることもできる。更には、センサ用の自立型電源として、二次電池と組み合わせた一次電池代替としても用いることができる。
報告例(非特許文献8)同様に下記ルートから容易に合成することができる。
報告例(非特許文献8)同様に下記ルートから容易に合成することができる。
<酸化チタン半導体電極の作製>
金属チタンからなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタにより、ITO系ガラス基板上に酸化チタンの緻密なホールブロッキング層3を形成した。
次に、酸化チタン(日本エアロジル社製P90)3g、アセチルアセトン0.2g、界面活性剤(和光純薬社製ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)0.3gを水5.5g、エタノール1.0gと共にビーズミル処理を12時間施した。
得られた分散液にポリエチレングリコール(#20,000)1.2gを加えてペーストを作製した。このペーストを、上記ホールブロッキング層上に膜厚1.5μmになるように塗布し、室温で乾燥後、空気中500℃で30分間焼成し、多孔質状の電子輸送層4を形成した。
上記酸化チタン半導体電極を、光電変換素子として前記構造式(6)で表される三菱製紙社製D358(0.5mM、アセトニトリル/t−ブタノール(体積比1:1)溶液)に浸漬し、1時間暗所にて静置し光増感化合物5を吸着させた。
前記構造式(1)で表される有機ホール輸送材料(メルク株式会社製、銘柄:2,2’,7,7’-tetrakis(N,N-di-p-methoxyphenylamino)-9,9’-spirobifluorene、品番:SHT-263、固形分82.2質量%)95mmolと前記一般式(2)(化合物No.2−5)で表される有機ホール輸送材料(固形分2.2質量%、5mmol、(1)と(2)のモル比は表1に示す)をクロロベンゼン溶液に溶解させ、更に、関東化学社製リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(固形分5.9質量%)、例示塩基性化合物No.4−3(固形分8.4質量%)を加えて得た溶液を、光増感化合物を担持した半導体電極上にスピンコートにてホール輸送層6を成膜した(膜厚:300nm)。この上に銀を100nm真空蒸着して第二の電極7を作製し、光電変換素子を作製した。
上記により作製した光電変換素子をテトラヒドロフラン等の良溶解性溶媒に溶かし、濃縮した後、高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製LC-2010HT)の成分解析を行った。予め、前記構造式(1)及び前記一般式(2)で表されるホール輸送材料の300nmにおける光吸収量の検量線を獲得し、成分解析時のそれぞれの吸収量からモル比率を算出することができる。ホール輸送層製膜時に調合比率と同じであった。
得られた光電変換素子の白色LED照射下(300ルクス、85μW/cm2)における光電変換効率を測定した。白色LEDはコスモテクノ社製デスクランプCDS-90α(スタディーモード)、評価機器はNF回路設計ブロック社製太陽電池評価システムAs-510-PV03にて測定した。その結果、開放電圧=0.877V、短絡電流密度24.2μA/cm2、形状因子=0.78、変換効率=19.5%という優れた初期特性を示した。
初期特性評価後、加熱乾燥機にて85℃1000時間放置し、取り出し後室温下で24時間放置したのち、再度AS-510-PV03にて測定した。その結果、開放電圧=0.808V、短絡電流密度23.8μA/cm2、形状因子=0.76、変換効率=17.2%という特性を示し、初期特性と比べると変換効率維持率は88.3%であった。
実施例1における前記構造式(1)と前記一般式(2)のモル比、前記一般式(2)、光増感化合物5及び塩基性化合物を、表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、評価した。その結果を表2に示す。
実施例1における、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを1−n−ヘキシル−3−メチルイミダゾリニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドに変更した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、評価した。その結果、開放電圧=0.852V、短絡電流密度=25.8μA/cm2、形状因子=0.73、変換効率=18.88%という優れた特性を示した。85℃1000時間後は、開放電圧=0.838V、短絡電流密度=25.1μA/cm2、形状因子=0.7、変換効率=17.32%を示した。初期特性と比べると変換効率維持率は91.7%であった。
実施例1における塩基性化合物を、アルドリッチ社製ターシャルブチルピリジンに変更した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、評価した。その結果、開放電圧=0.712V、短絡電流密度=16.8μA/cm2、形状因子=0.65、変換効率=9.15%という特性を示した。85℃1000時間後は、開放電圧=0.612V、短絡電流密度=17.6μA/cm2、形状因子=0.61、変換効率=7.73%を示した。初期特性と比べると変換効率維持率は84.5%であった。
実施例1における前記構造式(1)と前記一般式(2)のトータルモル量を一定にし、前記構造式(1)と前記一般式(2)のモル比を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、評価した。その結果を表2に示す。
実施例1における前記一般式(2)を下記構造式(8)に変更した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、評価した。その結果、開放電圧=0.861V、短絡電流密度=18.0μA/cm2、形状因子=0.62、変換効率=11.30%という特性を示した。85℃1000時間後は、開放電圧=0.843V、短絡電流密度=17.9μA/cm2、形状因子=0.60、変換効率=10.65%を示した。初期特性と比べると変換効率維持率は94.2%であった。
一方、実施例1〜18の光電変換素子は、初期特性は優劣があるものの、85℃1000時間後の変換効率維持率は優れており、耐熱性は非常に高いことが明らかになった。また実施例1〜5、実施例7〜18の光電変換素子は、85℃、1000時間後もホール輸送層は透明であった。これは、アモルファス材料である前記構造式(1)や前記一般式(2)の有機ホール輸送材料を単独で構成すると、高温状態で長期放置することで、一部結晶化しているためと考えられる。ホール輸送層に添加された他の材料と何らかの相互作用を引き起こして有機ホール輸送材料が結晶化しているが、前記構造式(1)と前記一般式(2)を混合することで、何らかの相互作用を軽減し、結晶化が抑制されたと考えられる。
実施例6の光電変換素子は、85℃、1000時間後のホール輸送層が若干白濁化していることから、このホール輸送層の結晶化緩和の手段としても、前記構造式(1)と前記一般式(2)の混合モル比を(1)/(2)=95/5〜75/25とすることが好ましいと考えられる。
2 第一の電極
3 ホールブロッキング層
4 電子輸送層
5 光増感化合物
6 ホール輸送層
7 第二の電極
8、9 リードライン
Claims (7)
- 第一の電極と、ホールブロッキング層と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第二の電極とを有し、前記ホール輸送層は、下記構造式(1)と下記一般式(2)で表される化合物を含み、前記構造式(1)と前記一般式(2)で表される化合物のモル比が、(1)/(2)=95/5〜75/25であり、更に下記一般式(4)で表される塩基性化合物を含むことを特徴とする光電変換素子。
- 前記構造式(1)と前記一般式(2)で表される化合物のモル比が、(1)/(2)=90/10〜80/20であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記一般式(2)は、下記構造式(3)であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 前記電子輸送層は電子輸送性材料を含み、前記電子輸送性材料が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化ニオブの群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記ホールブロッキング層は、酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記ホール輸送層は、イオン液体のイミダゾリウム化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
- 太陽電池として用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換素子。
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