JP2012199023A - 光電変換素子及びその製造方法 - Google Patents

光電変換素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストかつ高効率の光電変換素子の製造方法の提供。
【解決手段】第一の電極上に電子輸送性化合物を含んでなる第一の電子輸送層を形成し、前記第一の電子輸送層上に電子輸送性化合物を含んでなる第二の電子輸送層をガス中蒸着法により形成する電子輸送層形成工程と、前記電子輸送層上に光増感化合物を被覆させる光増感化合物被覆工程と、前記光増感化合物を被覆させた前記電子輸送層上にホール輸送性化合物を含んでなるホール輸送層を形成するホール輸送層形成工程と、前記ホール輸送層上に第二の電極を積層する工程と、を含む光電変換素子の製造方法である。
【選択図】図2

Description

本発明は、光電変換素子及びその製造方法に関する。
太陽電池にはいくつかの種類が知られているが、実用化されているものとしてはシリコン半導体の接合を利用したダイオード型のものがほとんどである。これらの太陽電池は、現状では製造コストが高く、このことが太陽電池の普及を妨げる大きな要因となっている。
低コスト化が可能な、高効率の色素増感太陽電池(グレッツェル太陽電池;以下、「DSSC」ともいう)を、スイスローザンヌ工科大学のGraetzelらが発表したことにより、色素増感太陽電池の実用化への期待が高まっている(例えば、特許文献1、並びに非特許文献1及び2参照)。
この高効率の太陽電池の構造は、透明導電性ガラス基板上に多孔質な金属酸化物半導体を設け、その表面に吸着した色素と、酸化還元対を有する電解質と、対向電極とからなる。
Graetzelらは、酸化チタン等の金属酸化物半導体電極を多孔質化して表面積を大きくしたこと、及び色素としてルテニウム錯体を単分子吸着させたことにより光電変換効率を著しく向上させた。
しかし、InGaAs系、GaAs系など、他の材料を用いた太陽電池と比較した場合、さらなる変換効率の向上が望まれている。
前記DSSCの性能を向上させるための方法としては、増感剤色素の分子吸光係数、スペクトル帯幅、及び電荷輸送効率を高めることに関心が寄せられてきた。しかし、光増感化合物(色素)から半導体ナノ粒子への電荷輸送効率を向上させ、半導体ナノ粒子中でおきる、電子の失活を減少させるために有効な方法は、今までのところ示されていない。
今日では、前記太陽電池に対する様々な市場からの低コストと高い光電交換効率との両立という要請により、前述した高効率なDSSCが望まれているが、そのようなDSSCは得られていないのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、低コストかつ高効率の光電変換素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 第一の電極上に電子輸送性化合物を含んでなる第一の電子輸送層を形成し、前記第一の電子輸送層上に電子輸送性化合物を含んでなる第二の電子輸送層をガス中蒸着法により形成する電子輸送層形成工程と、
前記電子輸送層上に光増感化合物を被覆させる光増感化合物被覆工程と、
前記光増感化合物を被覆させた前記電子輸送層上にホール輸送性化合物を含んでなるホール輸送層を形成するホール輸送層形成工程と、
前記ホール輸送層上に第二の電極を積層する工程と、を含むことを特徴とする光電変換素子の製造方法である。
<2> 電子輸送層形成工程が、更に第一の電子輸送層と第二の輸送層との間に格子状のスクリーンを用いて電子輸送性化合物を含んでなる第三の電子輸送層を形成することを含む前記<1>に記載の光電変換素子の製造方法である。
<3> 電子輸送性化合物が、酸化物半導体である前記<1>から<2>のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法である。
<4> 電子輸送性化合物が、Ti及びZnの少なくともいずれかの酸化物である前記<1>から<3>のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法である。
<5> 光増感化合物が、金属原子を含まない有機色素である前記<1>から<4>のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法である。
<6> 光増感化合物が、下記構造式(1)及び(2)のいずれかで表される前記<1>から<5>のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法である。
<7> 第二の電極が、Au、カーボン及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)のいずれかである前記<1>から<6>のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法である。
<8> ホール輸送性化合物が、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)の少なくともいずれかである前記<1>から<7>のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法によって製造されたことを特徴とする光電変換素子である。
<10> 第一の電極と前記第一の電極に対向する第二の電極との間に、前記第一の電極に接する電子輸送層と、ホール輸送性化合物を含んでなるホール輸送層とを有し、
前記電子輸送層が、島と島とのピッチが2μm以下である海島構造を形成する電子輸送性化合物と、
前記海島構造を形成する電子輸送性化合物と結合又は吸着し、かつ光増感化合物で被覆された電子輸送性化合物とを含むことを特徴とする光電変換素子である。
<11> 海島構造が、縦横のピッチが2μm以下である格子状の構造である前記<10>に記載の光電変換素子である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、低コストかつ高効率の光電変換素子を提供することができる。
図1は、本発明に係る光電変換素子の構造を表わす概略図の一例である。 図2は、本発明に係る光電変換素子の構造を表わす概略図の他の一例である。 図3は、本発明に係る光電変換素子の構造を表わす概略図の更に他の一例である。 図4は、本発明の実施例1に係る第一の電子輸送層の倍率10,000倍における電子顕微鏡写真像の一例である。 図5は、本発明の実施例1に係る第一の電子輸送層の倍率30,000倍における電子顕微鏡写真像の一例である。
(光電変換素子の製造方法)
本発明の光電変換素子の製造方法は、第一の電極上に電子輸送性化合物を含んでなる第一の電子輸送層を形成し、前記第一の電子輸送層上に電子輸送性化合物を含んでなる第二の電子輸送層をガス中蒸着法により形成する電子輸送層形成工程と、前記電子輸送層上に光増感化合物を被覆させる光増感化合物被覆工程と、前記光増感化合物を被覆させた前記電子輸送層上にホール輸送性化合物を含んでなるホール輸送層を形成するホール輸送層形成工程と、前記ホール輸送層上に第二の電極を積層する工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
<電子輸送層形成工程>
前記電子輸送層形成工程は、第一の電極上に電子輸送性化合物を含んでなる第一の電子輸送層を形成し、更に電子輸送性化合物を含んでなる第二の電子輸送層をガス中蒸着法により形成する工程である。
<<第一の電子輸送層の形成>>
第一の電子輸送層は、第一の電極上に以下の電子輸送性化合物を用いて後述する製膜法により形成される。
−第一の電極−
本発明に用いられる第一の電極(電子集電電極)としては、可視光に対して透明な導電性物質であれば特に制限はなく、通常の光電変換素子、液晶パネル等に用いられる公知のものを使用できる。その具体例としては、インジウム−スズ酸化物(以下、「ITO」と称す)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、「FTO」と称す)などが挙げられる。
これらの中でも、高温、例えば550℃程度で加熱した際、種々の特性が大きく変わることがない点で、FTOが好ましい。
前記第一の電極の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm〜100μmが好ましく、50nm〜10μmがより好ましい。
前記第一の電極は、一定の硬性を維持するため、可視光に透明な材質からなる基板上に設けることが好ましく、前記基板としては、例えば、ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などが挙げられる。
また、第一の電極としては、電極と基板とが一体となっている公知のものを用いることもでき、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチック膜、ITOコート透明プラスチック膜などが挙げられる。
また、酸化スズ乃至酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものも用いることができる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合又は積層したものを使用してもよい。
−電子輸送性化合物−
前記電子輸送性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の単体半導体、金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などが挙げられる。
前記金属のカルコゲニドとしては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマス等の硫化物、カドミウム、鉛等のセレン化物、カドミウムのテルル化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他の化合物半導体としては、例えば、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物などが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、酸化物半導体が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブが特に好ましい。
また、これらの半導体の結晶型としては、特に限定されるものではなく、単結晶でもよく、多結晶でもよく、非晶質でもよい。
前記電子輸送性化合物(半導体微粒子)の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一次粒子の平均粒径として、1nm〜100nmが好ましく、5nm〜50nmがより好ましい。
また、より大きい平均粒径の半導体微粒子を混合し、入射光を散乱させる効果により、光利用効率を向上させることも可能である。この場合の半導体微粒子の平均粒径としては、50nm〜500nmが好ましい。
前記第一の電子輸送層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法などが挙げられる。
これらの中でも、製造コスト等の観点から、湿式製膜法が特に好ましく、前記半導体微粒子の粉末乃至ゾルを分散したペースト(分散液)を調製し、前記電子集電電極3上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いる場合の塗布方法としては、特に制限はなく、公知の方法により行うことができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等の様々な方法を用いることができる。
前記電子輸送性化合物の分散液を機械的粉砕又はミルを使用して作製する場合、少なくとも前記電子輸送性化合物単独、又は前記電子輸送性化合物と樹脂との混合物を水又は有機溶剤に分散して形成される。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体又は共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
前記電子輸送性化合物を分散する溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン等の炭化水素系溶媒が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電子輸送性化合物の分散液、又はゾル−ゲル法等によって得られた半導体微粒子のペーストは、粒子の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレン、オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤などを添加することができる。
また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。
前記増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子化合物、エチルセルロースなどが挙げられる。
前記電子輸送性化合物は、塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度を向上させたり、基板との密着性を向上させたりするために焼成、マイクロ波照射、電子線照射、レーザー光照射、プレス処理などを行うことが好ましい。これらの処理は、1種単独で行ってもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記焼成を行う場合の焼成温度としては、特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融したりすることがあるため、30℃〜700℃が好ましく、100℃〜600℃がより好ましい。
また、焼成時間としては、特に制限はないが、10分間〜10時間が好ましい。
なお、焼成後、電子輸送性化合物の表面積の増大、光増感化合物から電子輸送性化合物への電子注入効率を高める目的で、例えば、四塩化チタンの水溶液又は、有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキ処理、三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理などを行ってもよい。
前記マイクロ波照射としては、電子輸送層5形成側から照射してもよく、その反対側から照射してもよい。
前記マイクロ波照射の照射時間としては、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以内が好ましい。
前記プレス処理の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100kg/cm以上が好ましく、1,000kg/cmがより好ましい。
前記プレス処理のプレス時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以内が好ましい。また、プレス処理時に熱を加えても構わない。
直径が数十nmの前記電子輸送性化合物を焼結等によって積層した膜は、多孔質状態(ナノ多孔構造)を形成する。
前記ナノ多孔構造は、非常に大きい表面積を持ち、前記表面積は、ラフネスファクターを用いて表わすことができる。
このラフネスファクターは、基板に塗布した電子輸送性化合物の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。したがって、前記ラフネスファクターは、大きいほど好ましいが、電子輸送層の膜厚との関係もあり、本発明においては、20以上が好ましい。
なお、前記第一の電子輸送層は、「緻密な構造を有する電子輸送層」とも呼ばれるが、ここでいう「緻密」とは、後述する第二の電子輸送層中の電子輸送性化合物の充填密度より高密度で電子輸送性化合物が充填されていることを意味する。
前記第一の(緻密な構造を有する)電子輸送層は、第一の電極とホール輸送層との電子的コンタクトを防ぐ目的で形成するものである。したがって、第一の電極とホール輸送層とが物理的に接触しなければ、ピンホール、クラック等が存在していてもよい。
前記第一の電子輸送層は、単層であっても多層であってもよい。
多層の場合、粒径の異なる電子輸送性化合物の分散液を多層塗布することも、種類の異なる電子輸送性化合物、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。
一度の塗布で膜厚が不足する場合には、多層塗布は有効な手段である。
前記第一の電子輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm〜1μmが好ましく、20nm〜700nmがより好ましい。
前記厚みが、10nm未満であると、連続した良好な膜にならないことがあり、1μmを超えると、クラックが入ることがある。なお、前記厚みは、触針式表面形状測定器(DEKTAK3、日本真空技術株式会社製)を用いて測定することができる。
<<第二の電子輸送層の形成>>
前記第二の電子輸送層は、前記第一の電子輸送層上に電子輸送性化合物を積層することにより形成される。
前記第二の電子輸送層は、単層であっても多層であってもよい。
一般的に、電子輸送層の膜厚が増大するほど単位投影面積当たりの担持光増感化合物量も増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入された電子の拡散距離も増えるため電荷の再結合によるロスも大きくなってしまう。従って、第二の電子輸送層の厚みとしては、100nm〜100μmが好ましい。なお、前記厚みは、触針式表面形状測定器(DEKTAK3、日本真空技術株式会社製)を用いて測定することができる。
前記第二の電子輸送層の形成方法は、ガス中蒸着法による。
ここで、ガス中蒸着法とは、排気真空化した真空容器内に少量の不活性ガスを導入し、
その真空容器内で有機顔料、金属を加熱して気化させ、気化した有機顔料、金属が不活性ガスとの衝突により冷却されることによって生じた煙状の超微粒子を基板に付着させる方法である。
前記ガス中蒸着法において、竜巻状のガス中で電子輸送材である半導体微粒子を半溶解状態で飛ばすと、親和性のよい同質材料に優先的に積層していく。これにより、図1から図3に示す形状(粒状の構造)の電子輸送層が形成できる。
前記ガス中蒸着法に用いられるガスの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、不活性の点で、アルゴン、ヘリウム、又は窒素が好ましい。
前記ガスを使用する際の流量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200sccm〜3,600sccmが好ましい。前記流量が200sccm未満であると、生成した粒子の付着が不十分であることがあり、3,600sccmを超えると、良好なナノ粒子が生成されないことがある。
前記第二の(粒状の構造を有する)電子輸送層を構成する電子輸送性化合物としては、特に制限はなく、前記第一の電子輸送層に用いることができるものと同じ電子輸送性化合物(半導体微粒子)を用いることができ、好ましい種類も同じである。
また、前記電子輸送性化合の結晶構造、平均粒径なども前述した通りである。
<第三の電子輸送層の形成>
前記電子輸送層形成工程は、第一の電子輸送層上に更に格子状の構造を有する第3の電子輸送層を積層する工程を含んでいてもよい。
前記第三の電子輸送層は、格子状に貫通孔が形成された格子状のスクリーン(マスク)を用いて、その上から前記第一の電子輸送層の形成に用いられたのと同様の分散液を塗布することにより形成することができる。
前記マスクとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、貫通孔の形状としては、一辺が1μm以下の正方形が好ましく、一辺が20nmの正方形に近い形状が特に好ましい。また、格子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子輸送層の有無が交互となる形態が好ましい。
なお、前記分散液の塗布方法としては、例えば、スピンコート、印刷法などが挙げられる。これらの中でも、膜厚を容易に制御できる点で、スピンコートが好ましい。
前記第三の電子輸送層は、単層であっても多層であってもよい。
前記格子状の電子輸送層が多層である場合、粒径の異なる電子輸送性化合物の分散液を多層塗布することも、電子輸送性化合物の種類、樹脂又は添加剤の組成が異なる塗布液を多層塗布することもできる。
前記多層塗布は、一度の塗布では膜厚が不足してしまう場合に、有効な手段である。
第三の電子輸送層の厚みとしては、10nm〜1,000nmが好ましい。
前記厚みが、10nm未満であると、連続した膜が得られないことがあり、1,000nmを超えると、クラックが発生することがある。なお、前記厚みは、触針式表面形状測定器(DEKTAK3、日本真空技術株式会社製)を用いて測定することができる。
前記第三の(格子状の構造を有する)電子輸送層を構成する電子輸送性化合物としては、特に制限はなく、前記第一の電子輸送層に用いることができるものと同じ電子輸送性化合物(半導体微粒子)を用いることができ、好ましい種類も同じである。
また、前記電子輸送性化合の結晶構造、平均粒径なども前述した通りである。
前記電子輸送性化合物の分散液を作製する方法、分散液に含まれる樹脂、溶媒も前述したのと同様であり、前記電子輸送性化合物のマイクロ波照射、電子線照射、レーザー光照射、プレス処理なども前述したのと同様である。
<光増感化合物被覆工程>
前記光増感化合物被覆工程は、光変換効率の更なる向上のため、前記電子輸送層形成工程の後に、光増感化合物(色素)を第二の電子輸送層上に吸着させ、被覆する工程である。
−光増感化合物−
前記光増感化合物は、使用される励起光により光励起される化合物であれば特に制限はなく、その操作範囲波長のフォトン吸収能、電子輸送性化合物の伝導帯におけるその自由電子又は正孔生成能、電子輸送性化合物との錯体形成能、電子輸送性化合物に対するその吸着能などに応じて選択される。
前記光増感化合物の具体的としては、以下の化合物が挙げられる。
特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J. Phys. Chem. C, 7224, Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、同特開2004−95450号公報、Chem. Commun., 4887(2007)等に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号公報、特開2004−235052号公報、J. Am. Chem. Soc., 12218, Vol.126(2004)、Chem. Commun., 3036(2003)、Angew. Chem. Int. Ed., 1923, Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J. Am. Chem. Soc., 16701, Vol.128(2006)、J. Am. Chem. Soc., 14256, Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号、J. Phys. Chem., 2342, Vol.91(1987)、J. Phys. Chem. B, 6272, Vol.97(1993)、Electroanal. Chem., 31, Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J. Porphyrins Phthalocyanines, 230, Vol.3(1999)、Angew. Chem. Int. Ed., 373, Vol.46(2007)、Langmuir, 5436, Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物が好ましい。
また、光増感化合物は、金属原子を含まない有機色素であることがより好ましく、第二の電子輸送層を構成する電子輸送性化合物(半導体微粒子)の表面上、全体、あるいはその両方に吸着(化学吸着及び/又は物理吸着のいずれか)することから、例えば、カルボキシ基及び/又は水酸基のような官能基を有し、例えばTiO表面上のTi(IV)サイトとキレート化し得る色素が特に好ましい。前記色素としては、特に制限はなく、例えば、下記構造式(1)及び(2)で表されるものが挙げられる。
前記第二の電子輸送層に前記光増感化合物を吸着させる方法としては、前記光増感化合物の溶液中又は分散液中に前記電子輸送層を積層した第一の電極を浸漬する方法、溶液又は分散液を前記第二の電子輸送層上に塗布して吸着させる方法などが挙げられる。
前者の方法としては、例えば、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法などを用いることができ、後者の方法としては、例えば、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法などを用いることができる。
また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させても構わない。
前記吸着は、静置して行ってもよいし、攪拌しながら行ってもよい。
攪拌する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、超音波分散などが挙げられる。
吸着に要する時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5秒間以上1,000時間以下が好ましく、10秒間以上500時間以下がより好ましく、1分間以上150時間以下が特に好ましい。
また、吸着は暗所で行うことが好ましい。
前記光増感化合物を吸着させる際には、縮合剤を併用してもよい。
前記縮合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、無機物表面に物理的若しくは化学的に光増感化合物と電子輸送性化合物を結合すると思われる触媒的作用をするもの、又は化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるものなどいずれであってもよい。
前記縮合剤は、更に、縮合助剤としてチオール、ヒドロキシ化合物などを含有してもよい。
前記光増感化合物を溶解、又は分散する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン等の炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、光増感化合物は、その種類によっては化合物間の凝集を抑制した方がより効果的に働くものが存在するため、凝集解離剤を併用してもよい。
前記凝集解離剤としては、特に制限はなく、用いる光増感化合物(色素)に応じて適宜選択することができ、例えば、コール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸、長鎖アルキルホスホン酸などが挙げられる。
前記凝集解離剤の含有量としては、光増感化合物(色素)1質量部に対して、0.01質量部〜500質量部が好ましく、0.1質量部〜100質量部がより好ましい。
前記光増感化合物、又は前記光増感化合物と前記凝集解離剤との混合物を吸着する際の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、−50℃以上200℃以下が好ましい。
更に、本発明においては、前記光増感化合物の形成方法として、前述したガス中蒸着法を用いることが好ましい。これは、ガス中で光増感化合物を半溶解状態で飛ばすことにより、光増感化合物は、第二の電子輸送層に到着した際、表面張力により広がり、図1から図3に示す形状の被覆を達成できるためである。
前記ガスを使用する際の流量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200sccm〜3,600sccmが好ましい。前記流量が、200sccm未満であると、生成した粒子の付着が不十分であることがあり、3,600sccmを超えると、被覆に適した状態のナノ粒子が生成されないことがある。
前記光増感化合物の被覆層の厚みとしては、1nm〜400nmが好ましい。
前記厚みが、1nm未満であると、欠陥が発生し、均一に被覆できないことがあり、400nmを超えると、発生した電子の受け渡しができないことがある。なお、前記厚みは、電子顕微鏡を用いて測定することができる。
<ホール輸送層形成工程>
本発明におけるホール輸送層は、異なる種類のホール輸送層(第一のホール輸送層及び第二のホール輸送層)を積層する構造が好ましく、第二の電極に近い第二のホール輸送層には高分子材料を用いることが好ましい。これは、製膜性に優れる高分子材料を用いることで多孔質状の電子輸送層の表面をより平滑化することができ、光電変換特性を向上することができるためである。また、高分子は多孔質状の電子輸送層内部へ浸透することが困難であるため、逆に多孔質状の電子輸送層表面の被覆にも優れ、電極を設ける際の短絡防止にも効果を発揮するため、より高い性能を得ることが可能となる。
第一のホール輸送層に用いられるホール輸送性化合物としては、特に制限はなく、公知のホール輸送性化合物を用いることができ、その具体例としては、特公昭34−5466号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特公昭45−555号公報等に示されているトリフェニルメタン化合物、特公昭52−4188号公報等に示されているピラゾリン化合物、特公昭55−42380号公報等に示されているヒドラゾン化合物、特開昭56−123544号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特開昭54−58445号公報に示されているテトラアリールベンジジン化合物、特開昭58−65440号公報あるいは特開昭60−98437号公報に示されているスチルベン化合物などが挙げられる。
第二のホール輸送層に用いられる高分子材料としては、特に制限はなく、公知のホール輸送性高分子材料を用いることができ、その具体例としては、ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−n−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(9,9’−ジオクチル−フルオレン−コ−ビチオフェン)、ポリ(3,3’’’−ジドデシル−クォーターチオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−ビチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)等のポリチオフェン化合物、ポリ[2−メトキシー5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシー5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[(2−メトキシ−5−(2−エチルフェキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)−コ−(4,4’−ビフェニレンービニレン)]等のポリフェニレンビニレン化合物、ポリ(9,9’−ジドデシルフルオレニル−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(9,10−アントラセン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(4,4’−ビフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジイル)−コ−(1,4−(2,5−ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]等のポリフルオレン化合物、ポリ[2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン]、ポリ[2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシー1,4−フェニレン]等のポリフェニレン化合物、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ジフェニル)−N,N’−ジ(p−ヘキシルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[フェニルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[p−トリルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルイミノ−1,4−ビフェニレン]等のポリアリールアミン化合物、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)等のポリチアジアゾール化合物が挙げられる。
これらの中でも、キャリア移動度、イオン化ポテンシャルなどの観点から、ポリチオフェン化合物、ポリアリールアミン化合物が好ましい。
また、本発明の光電変換素子においては、前記ホール輸送性化合物に各種添加剤を加えてもよい。
前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨウ化銀等の金属ヨウ化物、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウム等の金属臭化物、臭化テトラアルキルアンモニウム、臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、塩化銅、塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀、酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、硫酸銅、硫酸亜鉛等の金属硫酸塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルホン酸塩、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムノナフルオロブチルスルホン酸塩、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等のInorg. Chem. 35(1996)1168に記載のイオン液体、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ベンズイミダゾール等の塩基性化合物、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムジイソプロピルイミド等のリチウム化合物などが挙げられる。
また、前記ホール輸送性化合物には、導電性を向上させる目的で、ホール輸送性化合物の一部をラジカルカチオンにするための酸化剤を添加してもよい。
前記酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラートなどが好ましい。
前記酸化剤の添加によって全てのホール輸送材料が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていればよい。また、添加した酸化剤は、添加した後、系外に取り出してもよいし、取り出さなくてもよい。
前記ホール輸送層は、第二の電子輸送層を前記光増感化合物で被覆した上に、同じく被覆する形状でホール輸送層を形成する。
前記ホール輸送層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法などが挙げられる。
これらの中でも、製造コスト等の観点からは、特に湿式製膜法が好ましく、電子輸送層上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。また、超臨界流体又は亜臨界流体中で注入してもよい。
超臨界流体としては、気体と液体が共存できる限界(臨界点)を超えた温度−圧力領域において非凝集性高密度流体として存在し、圧縮しても凝集せず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態にある流体である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。
前記超臨界流体としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、n−ブタノール等のエルコール系溶媒、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロトリフロロメタン等のハロゲン系溶媒、ジメチルエーテル等のエーテル系溶媒が好ましい。
これらの中でも、二酸化炭素が、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せるともに、不燃性で取扱いが容易である点で、特に好ましい。
また、これら超臨界流体は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において高圧液体として存在する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上述した超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下がより特に好ましい。
更に、前記超臨界流体及び前記亜臨界流体に加え、有機溶媒、エントレーナーなどを併用することもできる。
前記有機溶媒又は前記エントレーナーの添加により、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行うことができる。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン等の炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、本発明においては、前記ホール輸送層の形成方法として、前述したガス中蒸着法を用いることが特に好ましい。これは、ガス中でホール輸送性化合物を半溶解状態で飛ばすことにより、ホール輸送性化合物は、前記光増感化合物の被覆層に到着した際、表面張力により広がり、隙間なく製膜できるためである。
前記ガスを使用する際の流量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200sccm〜3,600sccmが好ましい。前記流量が200sccm未満であると、生成した粒子の付着が不十分であることがあり、3,600sccmを超えると、被覆に適した状態のナノ粒子が生成されないことがある。
前記ホール輸送層の厚みとしては、1nm〜1,000nmが好ましい。
前記厚みが、1nm未満であると、ショートしてしまうことがあり、1,000nmを超えると、クラックが発生することがある。
<第二の電極を形成する工程>
本発明においては、ホール輸送層上に第二の電極を形成する工程を含む。
前記第二の電極(ホール集電電極)は、前記第一の電極に対向して配置され、前記ホール輸送層上又は、後述する金属酸化物層の上に形成される。
第二の電極は、通常前述の第一の電極と同様のものを用いることができ、強度及び密封性が充分に保たれるような構成においては、支持体は必ずしも必要ではない。
前記第二の電極の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素系化合物、ITO、FTO等の導電性金属酸化物、ポリチオフェン(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)等)、ポリアニリン等の導電性高分子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記第二の電極の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第二の電極の形成方法としては、特に制限はなく、塗設する場合には、用いられる材料の種類乃至積層される層の種類により、適宜ホール輸送層又は金属酸化物層上に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせ等の手法により形成可能である。
<その他の工程>
本発明の光電変換素子の製造方法は、その他の工程として前記ホール輸送層と前記第二電極との間に金属酸化物層を形成する工程を含んでもよい。
前記金属酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケルなどを挙げられる。これらの中でも、特に酸化モリブデンが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記金属酸化物層をホール輸送層上に設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、スパッタリング、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法などが挙げられる。
前記湿式製膜法としては、前記金属酸化物の粉末又はゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。
前記湿式製膜法を用いる場合の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることもできる。
前記金属化合物層の膜厚としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1nm〜50nmが好ましく、1nm〜10nmがより好ましい。
(光電変換素子)
本発明の光電変換素子は、前記光電変換素子の製造方法によって製造されてなる。
本発明の光電変換素子は、第一の電極と前記第一の電極に対向する前記第二の電極との間に、前記第一の電極に接する前記電子輸送層と前記ホール輸送性化合物を含んでなる前記ホール輸送層とを有してなり、必要に応じてその他の成分を有してもよい。また、前記電子輸送層は、島と島とのピッチが2μm以下である海島構造を形成する電子輸送性化合物と、前記海島構造を形成する電子輸送性化合物と結合又は吸着し、かつ光増感化合物で被覆された電子輸送性化合物とを含んでなる。
以下、本発明の光電変換素子の構成について図1から図3に基づいて説明する。なお、図1から図3は、光電変換素子の断面図である。
図1及び図2に示す態様においては、第一の基板1上に第一の電極3が設けられ、第一の(緻密な構造を有する)電子輸送層6と第二の(粒状の構造を有する)電子輸送層7と第三の(格子状の構造を有する)電子輸送層15とからなる電子輸送層5、次いで第一のホール輸送層9と高分子材料を含む第二のホール輸送層10とからなるホール輸送層8が積層され、金属酸化物層11、第二の電極4、第二の基板2が順次設けられた構成をとる。図1は、図2において第一のホール輸送層9で光増感化合物12を厚く被覆したものである。
図2に示す態様においては、第一の基板1上に第一の電極3が設けられ、第一の(緻密な構造を有する)電子輸送層6と第二の(粒状の構造を有する)電子輸送層7と第三の(格子状の構造を有する)電子輸送層15とからなる電子輸送層5、次いで第一のホール輸送層9と高分子材料を含む第二のホール輸送層10とからなるホール輸送層8が積層され、第二の電極4、第二の基板2が順次設けられた構成をとる。
また、前記第一の基板1及び第二の基板2の抵抗を下げる目的で、金属リード線13及び14などを用いてもよい。
前記金属リード線の材質としては、金属であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。前記金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITO、FTOを設ける方法が挙げられる。
上記構成を有する光電変換素子が光電変換素子として動作するためには、第一の電極3と第二の電極4の少なくともいずれかは、実質的に透明でなければならない。
本発明の光電変換素子においては、第一の電極3側が透明であり、太陽光を第一の電極3側から入射させることが好ましい。この場合、第二の電極4側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、前記材料としては、金属乃至導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、又は金属薄膜が好ましい。
また、光利用効率を向上させるため、太陽光の入射側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
本発明の光電変換素子は、前記第一の電極3上に、電子輸送層5として、電子輸送性化合物を含んでなる積層を有する。
前記積層は、島と島とのピッチが2μm以下である海島構造を形成する電子輸送性化合物と、前記海島構造を形成する電子輸送性化合物と結合又は吸着し、かつ光増感化合物で被覆された電子輸送性化合物とを含んでなる。前記海島構造を形成する電子輸送性化合物は、第一の(緻密な構造を有する)電子輸送層6と更にその上に第三の(格子状の構造を有する)電子輸送層15を構成する。また、前記海島構造を形成する電子輸送性化合物と結合又は吸着する電子輸送性化合物は、第二の(粒状の構造を有する)電子輸送層7を構成する。
ここで、前記海島構造とは、具体的には、後述する電子輸送性化合物が、海島の状態で存在することを指し、島とは前記電子輸送性化合物が存在する部分を指す。また、前記海島構造における島と島とのピッチとは、島の中央部から島の中央部を指し、ピッチが2μm以下であることにより、光変換効率を高めることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
<第一の電子輸送層の形成>
まず、平均厚み0.3mmのガラスにフッ素がドープされた酸化スズ(FTO)をスパッタ法でコーティングし、透明電極とした。
次に、3.00gのチタニウムテトライソプロポキシド(Ti(OiPr))を20mLのイソプロピルアルコール(IPA)に溶解し、攪拌しながら1.00gのエタノールアミンを加え、更に、0.40gのエチルセルロース(粘度:45mPa・s)を加えた。作製した溶液をFTO上に平均膜厚が20nmになるように塗布装置(1H−DX、MIKASA(ミカサ株式会社)製)を用いてスピンコートし、室温で乾燥後、加熱装置(FT101、フルテック株式会社製)を用いて空気中450℃で30分間焼成し、エチルセルロースを気化させ、FTO上にピッチが2μm以下の酸化チタン(TiO)の海島構造を作製した。作製した構造の走査型電子顕微鏡(SEM)写真像を図4(倍率:10,000倍)及び図5(倍率:30,000倍)に示す。
<第二の電子輸送層の形成>
次にガラスを真空が保たれたチャンバー内に通し、そのチャンバー内に流量30sccmでアルゴンガスを竜巻状に流入した。
25gのアナターゼ型TiO粉末(アナターゼ100、石原産業株式会社製)をるつぼに取り、0.08Paの環境下で1,500℃に加熱し、気流中にTiOを飛ばした。
前記TiOは、気流中で直径約20nmの半溶解した状態となり、TiOが海島状に付着したFTO基板に到達する。半溶解したTiOは、FTO上のTiOと親和性が良いために、表面張力により、FTO上のTiO上にTiO層が成長する。
この操作を1分間行うことにより、平均厚み1μmの多孔質TiO層を作製した。
<光増感化合物被覆層の形成>
次に、るつぼに25gの下記構造式(1)で表される色素をとり、前記チャンバー内で300℃に加熱した以外は、前述したのと同様にして気流中に前記色素を飛ばした。
前記色素は、気流中で直径約30nmの半溶解した粒子状になり、前の工程で作製した多孔質TiO層のTiO表面に到達する。到達した色素は、TiO表面で表面張力により広がり、TiO層を被覆する。なお、前記色素が前記TiO上に広がることは、事前に確認した。
この操作を1分間行うことにより、前記多孔質TiO層上に厚み200nm±100nmの前記色素の層を作製した。
<第一のホール輸送層の形成>
次に、前記色素に代えてホール輸送層材料としてポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)を用いた以外は、前述したのと同様にして、前記色素上に厚み200nm±100nmのP3HT層を作製した。
<第二のホール輸送層の形成>
次に、前記P3HTに代えてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT−PSS)を用いた以外は、前述したのと同様にして、前記P3HT層上に平均厚み200nm±100nmのPEDOT−PSS層を作製した。
得られたPEDOT−PSS層上に、更にPEDOT−PSS溶液をスピンコートした。なお、前記スピンコートには、スピンコータ1H−DX(MIKASA(ミカサ株式会社)製)を用いた。
その上に金(Au)を平均厚み100nm、0.16cmとなるように蒸着し、太陽電池を製造した。
なお、前記Auの蒸着には、真空蒸着装置E−100(アネルバ株式会社製)を用いた。
<評価>
以上のようにして作製した色素増感型太陽電池について、その特性を評価するため、AM(エアマス)1.5という太陽光シミュレータ条件(即ち、強度1,000W/mの光の照射)における平均開回路電圧(「Voc」)、平均短絡電流(「Isc」)、平均曲線因子(fill factor)、及び平均太陽光変換効率(「η」)を測定した。前記測定には、ソーラシュミレーター(YSS−E40、山下電装株式会社製)を用いた。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、TiOをZnO(酸化亜鉛)に代えた以外は、実施例1と同様にして太陽電池を作製し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、Ti(OiPr)をTi(OH)(水酸化チタン(IV))に代えた以外は、実施例1と同様にして、太陽電池を作製し、評価した。結果を表1に示す。なお、第一の電子輸送層形成工程において、実施例1と同様にして、ピッチが2μm以下の酸化チタンの海島構造が作製されたことを確認した。
(実施例4)
実施例1において、Ti(OiPr)をTi(OC)(チタニウムテトラエトキシド)に代えた以外は、実施例1と同様にして、太陽電池を作製し、評価した。結果を表1に示す。なお、第一の電子輸送層形成工程において、実施例1と同様にして、ピッチが2μm以下の酸化チタンの海島構造が作製されたことを確認した。
(実施例5)
実施例1において、Ti(OiPr)をTi(OC)(チタニウムテトラn−ブトキシド)に代えた以外は、実施例1と同様にして、太陽電池を作製し、評価した。結果を表1に示す。なお、第一の電子輸送層形成工程において、実施例1と同様にして、ピッチが2μm以下の酸化チタンの海島構造が作製されたことを確認した。
(実施例6)
実施例1において、Ti(OiPr)をTi(OC11)に代えた以外は、実施例1と同様にして、太陽電池を作製し、評価した。結果を表1に示す。なお、第一の電子輸送層形成工程において、実施例1と同様にして、ピッチが2μm以下の酸化チタンの海島構造が作製されたことを確認した。
(実施例7)
実施例1において、Ti(OiPr)をTi(OC13)に代えた以外は、実施例1と同様にして、太陽電池を作製し、評価した。結果を表1に示す。なお、第一の電子輸送層形成工程において、実施例1と同様にして、ピッチが2μm以下の酸化チタンの海島構造が作製されたことを確認した。
(実施例8〜14)
実施例1〜7のそれぞれにおいて、上記構造式(1)で表される色素を下記構造式(2)で表される色素に代えた以外は、実施例1〜7と同様にして、太陽電池を作製し評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、第二の電子輸送層の形成の前に、第一の電子輸送層上に4μmの正方形の貫通孔が並んだ格子状のスクリーン(マスク)を用いて、第一の電子輸送層の形成と同様にして第三の電子輸送層を形成し、海島構造のピッチの大きさが4μmの格子状とした以外は、実施例1と同様にして、セルを作製した。
当該電池は、AM1.5という太陽光シミュレータ条件(即ち、強度1,000W/mの光の照射)において、平均太陽光変換効率(「η」)0.41%;平均開回路電圧(「Voc」)0.56V;平均短絡電流(「Isc」)1.64mA/cm、及び平均曲線因子(fill factor)0.44を示した。
この結果から、海島構造のピッチの大きさが2μmより大きい場合には、平均太陽光変換効率ηが減少する傾向であることがわかった。
(比較例2)
実施例1において、ガス中蒸着法から印刷法に変更した以外は、実施例1と同様にして太陽電池を作製した。ここで、印刷法とは、緻密な第一の電子輸送層を作製する際に用いた同様の材料を用いて、スクリーン印刷法で成膜することを意味する。
当該電池は、AM1.5という太陽光シミュレータ条件(即ち、強度1,000W/mの光の照射)において、平均太陽光変換効率(「η」)0.356%;平均開回路電圧(「Voc」)0.531V;平均短絡電流(「Isc」)1.954mA/cm、及び平均曲線因子(fill factor)0.343を示した。
本発明の光電変換素子の製造方法により、高効率の光電変換素子を製造することができ、該光電変換素子は、太陽電池及び該太陽電池を用いた電源装置として好適に用いることができる。
応用例としては、従来から太陽電池及びそれを用いた電源装置を利用している機器類であれば、いずれのものにも適用することができ、例えば、電子卓上計算機用、腕時計用などの太陽電池として用いてもよいが、本発明の光電変換素子の特徴を活用する一例として、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等の電源装置が挙げられる。また、充電式又は乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として用いることもできる。
1 第一の基板
2 第二の基板
3 第一の電極
4 第二の電極
5 電子輸送層
6 第一の(緻密な構造を有する)電子輸送層
7 第二の(粒状の構造を有する)電子輸送層
8 ホール輸送層
9 第一のホール輸送層
10 第二のホール輸送層
11 金属酸化物層
12 光増感化合物
13、14 リードライン
15 第三の(格子状の構造を有する)電子輸送層
特許第2664194号公報
Nature, 353 (1991) 737 J. Am. Chem. Soc., 115 (1993) 6382

Claims (11)

  1. 第一の電極上に電子輸送性化合物を含んでなる第一の電子輸送層を形成し、前記第一の電子輸送層上に電子輸送性化合物を含んでなる第二の電子輸送層をガス中蒸着法により形成する電子輸送層形成工程と、
    前記電子輸送層上に光増感化合物を被覆させる光増感化合物被覆工程と、
    前記光増感化合物を被覆させた前記電子輸送層上にホール輸送性化合物を含んでなるホール輸送層を形成するホール輸送層形成工程と、
    前記ホール輸送層上に第二の電極を積層する工程と、を含むことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  2. 電子輸送層形成工程が、更に第一の電子輸送層と第二の輸送層との間に格子状のスクリーンを用いて電子輸送性化合物を含んでなる第三の電子輸送層を形成することを含む請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
  3. 電子輸送性化合物が、酸化物半導体である請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  4. 電子輸送性化合物が、Ti及びZnの少なくともいずれかの酸化物である請求項1から3のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  5. 光増感化合物が、金属原子を含まない有機色素である請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  6. 光増感化合物が、下記構造式(1)及び(2)のいずれかで表される請求項1から5のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  7. 第二の電極が、Au、カーボン、及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)のいずれかである請求項1から6のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  8. ホール輸送性化合物が、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)の少なくともいずれかである請求項1から7のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法によって製造されたことを特徴とする光電変換素子。
  10. 第一の電極と前記第一の電極に対向する第二の電極との間に、前記第一の電極に接する電子輸送層と、ホール輸送性化合物を含んでなるホール輸送層とを有し、
    前記電子輸送層が、島と島とのピッチが2μm以下である海島構造を形成する電子輸送性化合物と、
    前記海島構造を形成する電子輸送性化合物と結合又は吸着し、かつ光増感化合物で被覆された電子輸送性化合物とを含むことを特徴とする光電変換素子。
  11. 海島構造が、縦横のピッチが2μm以下である格子状の構造である請求項10に記載の光電変換素子。
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