JP2013035936A - 光増感剤および光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】変換効率が優れた光増感剤を提供する。
【解決手段】下記式で示される色素またはその塩光増感剤。
(mは0〜4の整数。nは0、1。pは0〜2の整数。R1、R2、R3は水素原子、アルキル基またはアリール基等を示し、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9は水素原子、アルキル基等。Z1、Z2はカルボキシル基等を示す。)
【選択図】なし
【解決手段】下記式で示される色素またはその塩光増感剤。
(mは0〜4の整数。nは0、1。pは0〜2の整数。R1、R2、R3は水素原子、アルキル基またはアリール基等を示し、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9は水素原子、アルキル基等。Z1、Z2はカルボキシル基等を示す。)
【選択図】なし
Description
本発明は、光増感剤およびこの光増感剤を用いた光電変換素子に関するものである。
有機材料を利用する太陽電池には有機薄膜系と色素増感系があり、次世代の太陽電池として近年注目を集めている。色素増感太陽電池(Dye Sensitized Solar Cell:DSC)は有機色素を光増感剤として酸化チタンや酸化亜鉛等の無機半導体に吸着させた電極を用いるいわゆる無機・有機ハイブリッド構造を持ち、低コスト太陽電池として注目されている(非特許文献1)。従来の太陽電池が黒一色であるのに比べ色素増感太陽電池は赤、青、黄色など様々な色相のものが作製可能であり、デザイン性に富むという利点を有している。
色素増感太陽電池は、導電性基板上に酸化チタンや酸化亜鉛などの無機半導体を焼結積層し、これに増感色素を吸着した光電極を作用電極として、白金等の対極の間をヨウ素系電解液で満たした簡単な構造を持っている。なかでもグレッツエル方式DSCと呼ばれるものは材料が安いことに加え、設備投資も不要であり、かなりの低コスト化が見込まれる。グレッツエル方式DSCの電極は高温焼結した多孔質の酸化チタンであり、これに光増感剤としてルテニウム色素を吸着させて12%以上の高変換効率を達成し、低コストの次世代型太陽電池として製品化目前といわれている。
しかしながらグレッツエル方式DSCも一層のコストダウンと普及のためにはクリアーしなければならない課題が残っている。例えば現在実用化レベルにある高変換効率色素のほとんどはルテニウム錯体であるが(例えば特許文献1)、ルテニウムは埋蔵量の少ない希少金属であり資源的およびコスト的な問題がある。これを克服すべく、メタルフリー有機色素の開発が世界中で盛んに行われ多くの報告があるが、いまだ変換効率と耐久性の点で実用レベルに達していないのが現状である(例えば特許文献2)。
Nature,353,p737−740(1991)
上述したように現在知られている有機色素では変換効率が不足している。さらにDSCの利点の一つとされる軽量化にはプラスチック基板を使った電極の開発が必要とされるが、製造に高温焼結が必須な酸化チタンではDSCのプラスチック化は困難とされている。一方、低温で電極の作製が可能な酸化亜鉛はプラスチック電極材料として注目されているが、酸化亜鉛の増感は酸化チタンに比べ格段に難しく、ルテニウム色素を使ってもせいぜい3%程度の変換効率である上に、色素の吸着安定性にも問題がある。このように、プラスチックDSCの開発に特に有利な酸化亜鉛電極の増感においても、安価で高性能な有機色素の開発が待望されていた。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものである。すなわち酸化亜鉛および酸化チタン電極の増感のための高変換効率で安価な新規有機色素を提供することであり、さらにこの新規色素を光増感剤として利用し高性能な光電変換素子を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、DSCの固体化(Advanced Functional Materials,19,p1810-1818(2009))のために開発され、既に実績のあるホール移動剤spiro−OMeTADの特殊な分子構造に着目し、その基本骨格であるフルオレン構造を色素分子に有効に組み込み、色素の電子移動特性を大幅に改良することを計画した。この分子設計の方針に従って、鋭意検討した結果、下記一般式(I)または(II)で表されるフルオレン系色素を新規に開発し、これを光増感剤として用いることによって、黄色から青色のすべての色相において高変換効率の光電変換素子が得られることを見出し、発明の完成に至った。
すなわち、本発明の光増感剤は、下記一般式(I)で示される色素またはその塩であることを特徴とするものであり、より詳細には電子ドナー部位にフルオレン構造を有することを特徴とするものである。
(式(I)において、mは0〜4の整数を示す。nは0、1を示す。pは0〜2の整数を示す。R1、R2は水素原子、アルキル基またはアリール基を示し、結合して芳香環、脂肪環を形成していてもよい。R3は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基またはアリール基を示し、結合して脂肪環を形成していてもよい。R4は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基またはハロゲン原子を示す。R5、R6は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、結合して脂肪環を形成していてもよい。R7、R8、R9は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基またはアリール基を示し、結合して脂肪環を形成していてもよい。Z1はカルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を、Z2はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基または置換アミノ基を示し、またZ1とZ2で結合して複素環を形成していてもよい。)
また、本発明の光増感剤は、下記一般式(II)で示される色素またはその塩であることを特徴とするものであり、詳細には電子ドナー部位にフルオレン構造を有することを特徴とするものである。
(式(II)において、mは0〜4の整数を示す。nは0、1を示す。pは1〜3の整数を示す。qは1〜11の整数を示す。R1、R2は水素原子、アルキル基またはアリール基を示し、結合して芳香環、脂肪環を形成していてもよい。R3は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基またはアリール基を示し、結合して脂肪環を形成していてもよい。R4は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基またはハロゲン原子を示す。R5、R6は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、結合して脂肪環を形成していてもよい。R7、R8は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基またはアリール基を示し、結合して脂肪環を形成していてもよい。X1は酸素原子、硫黄原子、置換アミノ基、アルキレン基または脂肪族縮合環を示す。a1環はX1と四級化された窒素原子で結合する複素環を示し、置換基を有していてもよい。X2は対アニオンを示す。)
本発明の光電変換素子は、上記一般式(I)または(II)で示される光増感剤、詳細には電子ドナー部位にフルオレン構造を有する色素またはその塩を光増感剤として吸着した半導体層を有することを特徴とするものである。
本発明の光増感剤である上記一般式(I)または(II)で表される色素またはその塩は、電子移動機能の優れたフルオレン構造の導入により、従来知られている色素に比べて光電変換効率を向上させるとともに、色素の吸着安定性を向上させることが可能である。この環状窒素上にフルオレン構造を導入することによって光電変換効率が大幅に向上することは本発明者らが初めて見いだしたもので、その作用機序は必ずしも明かではないが、電極に吸着する際に分子の配向特性が改善され、その結果、電子移動効率が大幅に上がり変換効率が向上したものと推定される。また、分子の配向特性が改善されることによって色素の吸着安定性も向上したものと推定される。
従って、この色素を光電変換素子の半導体層に吸着させ電極を作製することで実用化レベルの変換効率を得ることが可能となった。加えて、従来の光増感剤はある特定の色相において光電変換効率を向上させるが、他の色相においては光電変換効率を向上させることができないか、あるいは低下してしまうということが散見されたが、本発明の光増感剤はあらゆる色相において光電変換効率を向上させることが可能であり、デザイン性も重要視される色素増感太陽電池にはとりわけ優れた効果を奏するものである。
以下、本発明の光増感剤について詳細に説明する。本発明の光増感剤の上記一般式(I)で表される化合物は、上記一般式(I)で示されるフリーの酸及びその塩のいずれでもよい。上記一般式(I)で表される化合物の塩としては、例えばカルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、又はテトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、イミダゾリウムなどのアルキルアンモニウム塩を挙げることができる。
一般式(I)におけるR1、R2は水素原子、アルキル基、またはアリール基を示し、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基等の分岐アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、これらのアルキル基は後述の置換基でさらに置換されていてもよい。アリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナンスレニル、ピレニル、インデニル、アズレニル、フルオレニル基等が挙げられ、それらはさらに置換基を有していてもよい。R1とR2は互いに結合して芳香環、脂肪環を形成してもよく、その際に形成する環状構造としては例えば、ベンゼン、ナフタレン、シクロペンタン、シクロペンタノン、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、チアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール等が挙げられ、それらはさらに置換基を有してもよいし、置換基としてさらに環状構造を有していてもよい。
置換基としては、シアノ基、イソシアノ基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ニトロ基、ニトロシル基、スルホ基や、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、リン酸基、リン酸エステル基、置換若しくは無置換メルカプト基、置換若しくは無置換アミノ基、置換若しくは無置換アミド基、アルコキシ基、アルコキシアルカン基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基、アシル基、等を例として挙げることができるが、特に限定されるものではない。
詳細には、アシル基としては、例えば炭素数1から10のアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基が好ましい。ハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素等の原子を、リン酸エステル基としては例えば、リン酸アルキル(C1−C4)エステル基などが挙げられる。置換メルカプト基としては例えば、メチルチオ、エチルチオなどのアルキルチオ基などが挙げられる。
置換アミノ基としては例えば、モノ又はジアルキルアミノ基、モノ又はジアリ−ルアミノ基などが挙げられ、モノ又はジメチルアミノ基、モノ又はジエチルアミノ基、モノ又はジプロピルアミノ基、モノフェニルアミノ基又はベンジルアミノ基等が挙げられる。置換アミド基としては例えば、アルキルアミド基、芳香族アミド基等が挙げられる。アルコキシ基としては例えば、炭素数1から10のアルコキシ基等が挙げられる。アルコキシアルキル基としては例えばエトキシエチル基などの(C1−C10)アルコキシ(C1−C4)アルキル基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニル基としては例えばエトキシカルボニル基などの炭素数1から10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。またカルボキシル基、スルホ基およびリン酸基等の酸性基はリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属塩やテトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、イミダゾリウム等のアンモニウム塩のような有機塩を形成していてもよい。
一般式(I)におけるR3は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基またはアリール基を示し、アルキル基、アリール基の例としては前述の場合と同様である。アラルキル基とは後述するようなアリール基で置換されたアルキル基を意味し、例えばベンジル基、フェニルエチル基、メチルナフチル基等が挙げられ、それらはさらに置換基を有していてもよい。アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基が挙げられ、それらはさらに置換基を有していてもよい。R3は互いに結合して脂肪環を形成してもよく、その際に形成する環状構造としては例えば、シクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどが挙げられ、それらは更に置換基を有してもよく、さらに環状構造を形成していてもよい。
一般式(I)におけるR4は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基またはハロゲン原子を示し、それらの例としては前述の場合と同様である。
一般式(I)におけるR5、R6は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、それらの例としては前述の場合と同様である。R5とR6は互いに結合して脂肪環を形成してもよく、それらの例としては前述の場合と同様である。
一般式(I)におけるR5、R6は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、それらの例としては前述の場合と同様である。R5とR6は互いに結合して脂肪環を形成してもよく、それらの例としては前述の場合と同様である。
一般式(I)におけるR7、R8、R9は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基またはアリール基を示し、それらの例としては前述の場合と同様である。R7、R8およびR9は互いに結合して脂肪環を形成してもよく、それらの例としては前述の場合と同様である。
一般式(I)におけるZ1はカルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を示し、それらの例としては前述の場合と同様である。
一般式(I)におけるZ2はヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基または置換アミノ基を示し、それらの例としては前述の場合と同様である。
一般式(I)におけるZ1はカルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を示し、それらの例としては前述の場合と同様である。
一般式(I)におけるZ2はヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基または置換アミノ基を示し、それらの例としては前述の場合と同様である。
また一般式(I)において、Z1とZ2は互いに結合して複素環を形成してもよく、それらはさらに置換基を有してもよいし、置換基としてさらに環状構造を有していてもよい。複素環としては、例えばピリジル、ピラジル、ピペリジル、ピラゾリル、モルホリル、インドリニル、チオフェニル、フリル、オキサゾリル、チアゾリル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、ロダニル等が挙げられ、それらはさらに置換基を有していてもよい。
一般式(II)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は前述した一般式(I)の場合と同様である。
X1は酸素原子、硫黄原子、置換アミノ基、アルキレン基または脂肪族縮合環を示す。アルキレン基としては例えば、ジメチルメチレン基、ジブチルメチレン基等が挙げられる。脂肪族縮合環としては例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン等が挙げられ、それらはさらに置換基を有していてもよい。
X1は酸素原子、硫黄原子、置換アミノ基、アルキレン基または脂肪族縮合環を示す。アルキレン基としては例えば、ジメチルメチレン基、ジブチルメチレン基等が挙げられる。脂肪族縮合環としては例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン等が挙げられ、それらはさらに置換基を有していてもよい。
a1環はX1と四級化された窒素原子で結合する置換基を有してもよい複素環を示し、例えば、前述のような複素環が挙げられ、それらはさらに置換基を有してもよいし、置換基としてさらに環状構造を有していてもよい。
X2は対アニオンを示し例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハライドイオン、トシレート等のアリールスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン等のアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、酢酸イオン等が挙げられる。
X2は対アニオンを示し例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハライドイオン、トシレート等のアリールスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン等のアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、酢酸イオン等が挙げられる。
一般式(I)または(II)で示される化合物はシス体、トランス体などの構造異性体を取り得るが、いずれであっても本発明における光増感剤として有効に使用することができる。
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を示す。
上記一般式(II)で表される化合物の具体例を示す。
次に、一般式(I)または(II)で表される色素の合成ルートを下記に示す。
中間体(1)を合成する方法としては、フルオレンからヨウ素などのハロゲン化剤により合成できる。
中間体(2)はハロゲン化アルキル等による中間体(1)の求核置換反応により合成することができる。
中間体(4)はパラジウム触媒を用いた中間体(2)と中間体(3)のカップリング反応により合成することができる。
中間体(4)から中間体(5)を合成する方法(m=0)としては、Vilsmeiyer反応に代表されるホルミル化反応が挙げられる。
中間体(2)はハロゲン化アルキル等による中間体(1)の求核置換反応により合成することができる。
中間体(4)はパラジウム触媒を用いた中間体(2)と中間体(3)のカップリング反応により合成することができる。
中間体(4)から中間体(5)を合成する方法(m=0)としては、Vilsmeiyer反応に代表されるホルミル化反応が挙げられる。
共役鎖を導入する場合(m≠0)の場合、はじめに中間体(4)からNBSなどのハロゲン化剤により中間体(6)を合成し、次いで鈴木カップリング等により共役鎖を延長した後、Vilsmeiyer反応によるホルミル化を経て中間体(5)を合成することができる。この際、ホルミル基を有するホウ素化合物を用いると共役鎖の延長とホルミル基の導入を一段階で行うことが可能である。鈴木カップリング反応は有機ハロゲン化合物と有機ホウ素化合物をパラジウム触媒下、クロスカップリングする方法であり、条件が比較的温和であることや官能基選択性の高さから広く用いられている。
中間体(5)と酸性基あるいは酸性基前駆体を有する化合物を縮合して色素(7)を得る方法としては、アルドール縮合やKnoevenagel縮合等のカルボニル化合物と活性メチレンの反応による方法、Wittig反応によるオレフィン合成の方法が挙げられる。
続いて、本発明の光電変換素子を図で説明する。図1に本発明の光電変換素子を模式的に示す。光電変換素子1は、表面に導電性を有する基板2、酸化物半導体層を形成させそれに色素(本発明の光増感剤)を吸着させて形成した半導体層3、電解質層4および対極5がこの順に積層されたものである。
導電性の基板としては、金属のように支持体そのものに導電性があるもの、あるいは表面に導電性を有する場合にはガラス、あるいはプラスチックを支持体として用いることができる。この場合、導電層の材料としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、金、白金等やこれらを複数組み合わせたものを用いることができ、これを基板へ真空蒸着法、スパッタ蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相成長法(CVD)などの方法によって直接形成させたり、これらが形成されたフィルムを基板へ貼着させたりすることによって導電層を形成することによって、表面に導電性を有する基板を形成することができる。
酸化物半導体の具体例としてはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、インジウム、イットリウム、ニオブ、タンタル、バナジウムなどの酸化物が挙げられる。これらのうちチタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タングステン等の酸化物が好ましく、このうち(1)安価であること、(2)多孔質体を容易に形成すること、(3)電極としての導電性、耐久性、安定性および安全性、(4)本発明で合成した光増感剤とのエネルギー準位の適合性などの観点から、チタン、亜鉛の酸化物が好ましい。これらの酸化物半導体は単一で使用してもよいし、2種類以上を適宜併用してもよい。
酸化物半導体は、これらの酸化物半導体の微粒子を基板上に塗布し、電気炉やマイクロ波等によって加熱処理、あるいは電析によって、基板上に多孔質を形成させることができる。
酸化物半導体層に色素を吸着させる方法としては、色素溶液中あるいは色素分散液中にこの酸化物半導体層を形成させた基板を浸漬するなどの方法を用いることができ、これによって、半導体層を形成することができる。溶液の濃度は色素によって適宜決めることができ、色素を溶解させるのに使用しうる溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、t−ブタノール等が好ましく挙げられる。
なお、酸化物半導体微粒子の薄膜に色素を吸着する際に、共吸着剤を色素溶液に添加してもよい。共吸着剤としては、コール酸等のステロイド系化合物、クラウンエーテル、シクロデキストリン、カリックスアレン、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられるが、デオキシコール酸、デヒドロコール酸、コール酸メチルエステル、コール酸ナトリウム等がより好ましい。
電解質層は、アセトニトリルとエチレンカーボネートの混合液や、メトキシプロピオニトリルなどを溶媒として、金属ヨウ素やヨウ化リチウムなどのヨウ化物からなる電解質等を加えた液体電解質や、高分子ゲル電解液などの凝固体化電解質、p型半導体、ホール輸送剤などの固体電解質を用いて形成することができる。
対極は透明性が必要な場合は上記導電性を有する基板と同様に作製してもよいし、透明性を必要としない場合は、カーボンや導電性ポリマー、一般的な金属などを用いて作製することができる。
以下に本発明の光電変換素子を実施例を用いてさらに詳細に説明する。
以下に本発明の光電変換素子を実施例を用いてさらに詳細に説明する。
本実施例におけるインドリン、ヨウ化フルオレン、中間体(A−1)〜(A−2)、(B−1)〜(B−4)、(C−1)〜(C−8)の構造は下記の化学式で表されるものである。
(色素合成フロー)
下記実施例中、代表的な色素の合成フローを次の図式に示した。まずヨウ化フルオレンのジアルキル化により中間体(A−1)を合成し、これとインドリン誘導体のカップリング反応で窒素原子上にフルオレン構造を導入した。共役連結基であるチオフェン環を持たない(I−2)、(I−16)、(I−30)、(II−9)等の場合には、直接Vilsmeiyer反応でアルデヒド中間体(B−1)を合成し、これに活性メチレンまたはメチル化合物と反応させ対応する色素を得た。共役連結基としてチオフェン環を有する色素(I−5)等の合成はインドリンの窒素原子にフルオレンを導入後、常法によりNBSを使ってN原子のパラ位をブロモ化し、これと相当するボロン酸エステルの鈴木カップリング反応から得られた中間体のVilsmeiyer反応によってアルデヒド中間体へ誘導し、さらに活性メチレン化合物と縮合させる方法で合成した。
下記実施例中、代表的な色素の合成フローを次の図式に示した。まずヨウ化フルオレンのジアルキル化により中間体(A−1)を合成し、これとインドリン誘導体のカップリング反応で窒素原子上にフルオレン構造を導入した。共役連結基であるチオフェン環を持たない(I−2)、(I−16)、(I−30)、(II−9)等の場合には、直接Vilsmeiyer反応でアルデヒド中間体(B−1)を合成し、これに活性メチレンまたはメチル化合物と反応させ対応する色素を得た。共役連結基としてチオフェン環を有する色素(I−5)等の合成はインドリンの窒素原子にフルオレンを導入後、常法によりNBSを使ってN原子のパラ位をブロモ化し、これと相当するボロン酸エステルの鈴木カップリング反応から得られた中間体のVilsmeiyer反応によってアルデヒド中間体へ誘導し、さらに活性メチレン化合物と縮合させる方法で合成した。
[中間体の合成]
(中間体(A−1)の合成)
ヨウ化フルオレン(東京化成工業株式会社製)(11.7g)、ナトリウムメトキシド(6.5g)、ヨードメタン(14.2g)をDMF(400ml)に溶解し、室温で1時間攪拌した。反応液に水を添加し、クロロホルムにて抽出、減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより中間体(A−1)を得た。8.5g。収率66%。
(中間体(A−1)の合成)
ヨウ化フルオレン(東京化成工業株式会社製)(11.7g)、ナトリウムメトキシド(6.5g)、ヨードメタン(14.2g)をDMF(400ml)に溶解し、室温で1時間攪拌した。反応液に水を添加し、クロロホルムにて抽出、減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより中間体(A−1)を得た。8.5g。収率66%。
(中間体(A−2)の合成)
中間体(A−1)の合成におけるヨードメタンをヨードオクタンに変えた以外は、上記(中間体(A−1)の合成)と同様の方法にて合成した。
中間体(A−1)の合成におけるヨードメタンをヨードオクタンに変えた以外は、上記(中間体(A−1)の合成)と同様の方法にて合成した。
(中間体(B−1)の合成)
中間体(A−1)(6.3g)、インドリン(3.1g)、カリウムt−ブトキシド(4.0g)、酢酸パラジウム(44mg)、トリt−ブチルホスフィン(0.2g)をm−キシレン(20ml)に溶解し、125℃で加熱攪拌した。12時間後、加熱を停止し、室温まで冷却後ろ過し、ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮し、茶色オイルを得た(7.0g)。次に氷冷下でDMF(15ml)に塩化ホスホリル(5.7g)を滴下し調整したVilsmeiyer試薬にこの茶色オイル(7.0g)を滴下し室温で攪拌した。3時間後、反応液に水(50ml)を添加し、ここへ25%水酸化ナトリウム水溶液を反応液がアルカリ性になるまで添加した。この反応液からクロロホルムにて抽出、減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより中間体(B−1)を得た。5.0g。収率70%。
中間体(A−1)(6.3g)、インドリン(3.1g)、カリウムt−ブトキシド(4.0g)、酢酸パラジウム(44mg)、トリt−ブチルホスフィン(0.2g)をm−キシレン(20ml)に溶解し、125℃で加熱攪拌した。12時間後、加熱を停止し、室温まで冷却後ろ過し、ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮し、茶色オイルを得た(7.0g)。次に氷冷下でDMF(15ml)に塩化ホスホリル(5.7g)を滴下し調整したVilsmeiyer試薬にこの茶色オイル(7.0g)を滴下し室温で攪拌した。3時間後、反応液に水(50ml)を添加し、ここへ25%水酸化ナトリウム水溶液を反応液がアルカリ性になるまで添加した。この反応液からクロロホルムにて抽出、減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより中間体(B−1)を得た。5.0g。収率70%。
(中間体(B−2)の合成)
インドリンと中間体(A−1)を上記(中間体(B−1)の合成)に記載した方法と同様の方法で反応させた後、NBSでブロモ化し、ボロン酸類と反応させ、これをVilsmeiyer試薬と反応させることにより合成した。
インドリンと中間体(A−1)を上記(中間体(B−1)の合成)に記載した方法と同様の方法で反応させた後、NBSでブロモ化し、ボロン酸類と反応させ、これをVilsmeiyer試薬と反応させることにより合成した。
(中間体(B−3、4)の合成)
中間体(B−3)および(B−4)も対応する中間体を用いて、上記(中間体(B−1)の合成)に記載した方法と同様の方法にて合成した。
中間体(B−3)および(B−4)も対応する中間体を用いて、上記(中間体(B−1)の合成)に記載した方法と同様の方法にて合成した。
(中間体(C−1、2、3、4)の合成)
中間体(C−1)、(C−2)、(C−3)および(C−4)は特開平8−269345に記載の方法に従って合成したものを用いた。
中間体(C−1)、(C−2)、(C−3)および(C−4)は特開平8−269345に記載の方法に従って合成したものを用いた。
(中間体(C−5))
中間体(C−5)についてはシグマアルドリッチ社から購入したものを用いた。
中間体(C−5)についてはシグマアルドリッチ社から購入したものを用いた。
(中間体(C−6、7、8)の合成)
中間体(C−6)、(C−7)および(C−8)は特開平4−275542に記載の方法に従って合成したものを用いた。
中間体(C−6)、(C−7)および(C−8)は特開平4−275542に記載の方法に従って合成したものを用いた。
〈実施例1(I−2)の合成〉
中間体(B−1)(0.69g)、シアノ酢酸(0.31g)、ピペリジン(0.5ml)をアセトニトリル(15ml)に溶解し、85℃で加熱攪拌した。4時間後、加熱を停止し、室温まで冷却、塩酸で処理した。クロロホルムで抽出し、水(20ml)でクロロホルム層を2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗結晶をカラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物(I−2)を得た。0.69g。収率85%。λmax=464nm(クロロホルム)。
中間体(B−1)(0.69g)、シアノ酢酸(0.31g)、ピペリジン(0.5ml)をアセトニトリル(15ml)に溶解し、85℃で加熱攪拌した。4時間後、加熱を停止し、室温まで冷却、塩酸で処理した。クロロホルムで抽出し、水(20ml)でクロロホルム層を2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗結晶をカラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物(I−2)を得た。0.69g。収率85%。λmax=464nm(クロロホルム)。
〈実施例2(I−5)の合成〉
実施例1と同様の手法を用い、中間体(B−2)を用いることにより化合物(I−5)を得た。λmax=519nm(クロロホルム)。
実施例1と同様の手法を用い、中間体(B−2)を用いることにより化合物(I−5)を得た。λmax=519nm(クロロホルム)。
〈実施例3(I−16)の合成〉
中間体(B−1)(1.29g)、ロダニン−3−酢酸(東京化成工業株式会社製)(0.65g)、酢酸アンモニウム(0.09g)を酢酸(15ml)に溶解し、125℃で加熱攪拌した。3時間後、加熱を停止し、室温まで冷却すると固化した。粗結晶をろ別し、メタノールで洗浄、カラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物(I−16)を得た。1.69g。収率90%。λmax=517nm(クロロホルム)。
中間体(B−1)(1.29g)、ロダニン−3−酢酸(東京化成工業株式会社製)(0.65g)、酢酸アンモニウム(0.09g)を酢酸(15ml)に溶解し、125℃で加熱攪拌した。3時間後、加熱を停止し、室温まで冷却すると固化した。粗結晶をろ別し、メタノールで洗浄、カラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物(I−16)を得た。1.69g。収率90%。λmax=517nm(クロロホルム)。
〈実施例4(I−30)の合成〉
実施例3と同様の手法を用い、中間体(C−1)を用いることにより化合物(I−30)を得た。λmax=553nm(クロロホルム)。
実施例3と同様の手法を用い、中間体(C−1)を用いることにより化合物(I−30)を得た。λmax=553nm(クロロホルム)。
〈実施例5(I−37)の合成〉
実施例3と同様の手法を用い、中間体(B−3)と中間体(C−1)を用いることにより化合物(I−37)を得た。λmax=555nm(クロロホルム)。
実施例3と同様の手法を用い、中間体(B−3)と中間体(C−1)を用いることにより化合物(I−37)を得た。λmax=555nm(クロロホルム)。
〈実施例6(I−29)の合成〉
実施例3と同様の手法を用い、中間体(B−4)と中間体(C−1)を用いることにより化合物(I−29)を得た。λmax=553nm(クロロホルム)。
実施例3と同様の手法を用い、中間体(B−4)と中間体(C−1)を用いることにより化合物(I−29)を得た。λmax=553nm(クロロホルム)。
〈実施例7(I−54)の合成〉
実施例3と同様の手法を用い、中間体(C−2)を用いることにより化合物(I−54)を得た。λmax=552nm(クロロホルム)。
実施例3と同様の手法を用い、中間体(C−2)を用いることにより化合物(I−54)を得た。λmax=552nm(クロロホルム)。
〈実施例8(I−57)の合成〉
実施例3と同様の手法を用い、中間体(C−3)を用いることにより化合物(I−57)を得た。λmax=567nm(クロロホルム)。
実施例3と同様の手法を用い、中間体(C−3)を用いることにより化合物(I−57)を得た。λmax=567nm(クロロホルム)。
〈実施例9(I−89)の合成〉
実施例3と同様の手法を用い、中間体(C−4)を用いることにより化合物(I−89)を得た。λmax=573nm(クロロホルム)。
実施例3と同様の手法を用い、中間体(C−4)を用いることにより化合物(I−89)を得た。λmax=573nm(クロロホルム)。
〈実施例10(I−103)の合成〉
中間体(B−1)(1.52g)、中間体(C−5)(0.88g)をエタノール(50ml)に溶解し、90℃で加熱攪拌した。6時間後、加熱を停止し、室温まで冷却すると固化した。粗結晶をろ別し、エタノールで洗浄することにより化合物(I−103)を得た。2.15g。収率95%。λmax=554nm(クロロホルム)。
中間体(B−1)(1.52g)、中間体(C−5)(0.88g)をエタノール(50ml)に溶解し、90℃で加熱攪拌した。6時間後、加熱を停止し、室温まで冷却すると固化した。粗結晶をろ別し、エタノールで洗浄することにより化合物(I−103)を得た。2.15g。収率95%。λmax=554nm(クロロホルム)。
〈実施例11(II−9)の合成〉
中間体(B−1)(1.80g)、中間体(C−6)(1.69g)を無水酢酸(10ml)に溶解し、100℃で加熱攪拌した。1時間後、加熱を停止し、室温まで冷却すると固化した。粗結晶をろ別し、カラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物(II−9)を得た。2.05g。収率62%。λmax=614nm(クロロホルム)。
中間体(B−1)(1.80g)、中間体(C−6)(1.69g)を無水酢酸(10ml)に溶解し、100℃で加熱攪拌した。1時間後、加熱を停止し、室温まで冷却すると固化した。粗結晶をろ別し、カラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物(II−9)を得た。2.05g。収率62%。λmax=614nm(クロロホルム)。
〈実施例12(II−5)の合成〉
実施例11と同様の手法を用い、中間体(B−1)と中間体(C−7)を用いることにより化合物(II−5)を得た。λmax=607nm(クロロホルム)。
実施例11と同様の手法を用い、中間体(B−1)と中間体(C−7)を用いることにより化合物(II−5)を得た。λmax=607nm(クロロホルム)。
〈実施例13(II−13)の合成〉
実施例11と同様の手法を用い、中間体(B−1)と中間体(C−8)を用いることにより化合物(II−5)を得た。λmax=616nm(クロロホルム)。
実施例11と同様の手法を用い、中間体(B−1)と中間体(C−8)を用いることにより化合物(II−5)を得た。λmax=616nm(クロロホルム)。
〈比較用色素〉
比較用色素一覧を以下に記載した。
比較用色素一覧を以下に記載した。
[光電変換素子の作製]
(光電極層の作製)
電極基材として片面にFTO電極皮膜が形成されたFTOガラスを用いて、このFTOガラスの電極面に、塗布により厚さ12μmの酸化亜鉛膜を形成した。この酸化亜鉛膜が形成されたFTOガラスを、実施例1〜11および比較例1〜11で得られた各色素を濃度が500μMになるようにアセトニトリル/t−ブチルアルコール=1/1に溶解させ、この溶液に90分間浸漬し光電変換層を作製した。なお、添加剤としてこの色素溶液にコール酸濃度が1.0mMになるようにコール酸を加えた。
(光電極層の作製)
電極基材として片面にFTO電極皮膜が形成されたFTOガラスを用いて、このFTOガラスの電極面に、塗布により厚さ12μmの酸化亜鉛膜を形成した。この酸化亜鉛膜が形成されたFTOガラスを、実施例1〜11および比較例1〜11で得られた各色素を濃度が500μMになるようにアセトニトリル/t−ブチルアルコール=1/1に溶解させ、この溶液に90分間浸漬し光電変換層を作製した。なお、添加剤としてこの色素溶液にコール酸濃度が1.0mMになるようにコール酸を加えた。
(電解質層の形成)
アセトニトリルとエチレンカーボネートとを体積比でアセトニトリル:エチレンカーボネート=1:4の割合で混合した溶液に、ヨウ化テトラプロピルアンモニウムとヨウ素とをヨウ化テトラプロピルアンモニウム1.0M、ヨウ素0.1Mとなるように混合し、電解質液とした。この電解質液を上記電極基材と同じFTOガラスを用いた対向基板と先述の光電極層との間に配し電解質層を形成した。
アセトニトリルとエチレンカーボネートとを体積比でアセトニトリル:エチレンカーボネート=1:4の割合で混合した溶液に、ヨウ化テトラプロピルアンモニウムとヨウ素とをヨウ化テトラプロピルアンモニウム1.0M、ヨウ素0.1Mとなるように混合し、電解質液とした。この電解質液を上記電極基材と同じFTOガラスを用いた対向基板と先述の光電極層との間に配し電解質層を形成した。
〈評価〉
上記で作製した各光電変換素子(受光面積0.20cm2)に分光計器株式会社製「CEP−2000」を用いて100mW/cm2の照射強度で光を当てて、光電変換素子の短絡電流(mA)と開放電圧(V)を測定し、短絡電流と受光面積より短絡電流密度(mA/cm2)を求めた。次いで、光電変換素子の電極間に接続する抵抗値を変化させて最大電力Wmax(mW)を観測し、形状因子FFと光電変換効率(%)を下記計算式により求めた。結果を表1に示す。
上記で作製した各光電変換素子(受光面積0.20cm2)に分光計器株式会社製「CEP−2000」を用いて100mW/cm2の照射強度で光を当てて、光電変換素子の短絡電流(mA)と開放電圧(V)を測定し、短絡電流と受光面積より短絡電流密度(mA/cm2)を求めた。次いで、光電変換素子の電極間に接続する抵抗値を変化させて最大電力Wmax(mW)を観測し、形状因子FFと光電変換効率(%)を下記計算式により求めた。結果を表1に示す。
表1に示すように、すべての実験例において、本発明のフルオレン色素を光増感剤として使用した場合には、対応する他の色素と比較して、5〜10%程度の光電変換効率の向上が見られ、いかなる色相においても光電変換効率を向上させることができた。変換効率の最大値が約7%である酸化亜鉛DSCにおいてこの向上率は驚異的であり、本発明の色素を使用することにより、1%以上の光電変換効率の向上を期待することができる。その作用機構は必ずしも明らかではないが、電極に吸着する際に色素分子の配向性が導入されたフルオレン構造によって大幅に改善され、その結果、電子移動効率が上がり変換効率が向上するとともに、吸着分子の配向特性が改善されることによって色素の吸着安定性を向上させることができたものと推定される。
また、比較例9(フルオレン構造が結合している窒素が環状構造を持たないもの)と実施例8の比較により、単にフルオレン構造を窒素原子に置換するだけでは効果がなく、環状構造を導入することが重要であることがわかる。これは、窒素原子の孤立電子対を一定の方向に固定することにより、励起した電子の無放射失活が防止され、電極への移動が改善し、変換効率の向上につながったものと考えられる。
なお、本実施例では酸化亜鉛DSCにおける実施例を示しているが、酸化亜鉛よりも増感の容易な酸化チタンであればさらに大きな光電変換効率の大きな向上が見込まれる。
なお、本実施例では酸化亜鉛DSCにおける実施例を示しているが、酸化亜鉛よりも増感の容易な酸化チタンであればさらに大きな光電変換効率の大きな向上が見込まれる。
1 光電変換素子
2 基板
3 半導体層
4 電解質層
5 対極
2 基板
3 半導体層
4 電解質層
5 対極
Claims (3)
- 下記一般式(I)で示される色素またはその塩であることを特徴とする光増感剤。
- 下記一般式(II)で示される色素またはその塩であることを特徴とする光増感剤。
- 請求項1または2記載の光増感剤を吸着した半導体層を有することを特徴とする光電変換素子。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011172685A JP2013035936A (ja) | 2011-08-08 | 2011-08-08 | 光増感剤および光電変換素子 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US9472352B2 (en) | 2014-04-28 | 2016-10-18 | Panasonic Corporation | Photoelectric conversion element |
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WO2017067631A1 (en) | 2015-10-23 | 2017-04-27 | Merck Patent Gmbh | Blue optoelectronic device |
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-
2011
- 2011-08-08 JP JP2011172685A patent/JP2013035936A/ja not_active Withdrawn
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