JP2009227519A - ルチル型酸化チタン微粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記の工程(a)〜(e)からなることを特徴とするルチル型酸化チタン微粒子の製造方法。(a)チタン化合物とスズ化合物との混合水溶液を調製する工程(b)混合水溶液にNH4OH水溶液を加えて加水分解する工程(c)ゲルを洗浄する工程(d
)過酸化水素を、過酸化水素のH2O2としてのモル数(MHP)とチタン化合物とスズ化合物
の合計のモル数((MTi)+(MS))とのモル比(MHP)/((MTi)+(MS))が2〜50の範囲と
なるように加えて溶解する工程(e)100〜350℃で水熱処理する工程。
【選択図】 なし
Description
造方法。
(a)チタン化合物とスズ化合物との混合水溶液を調製する工程
(b)混合水溶液にNH4OH水溶液を加えて加水分解する工程
(c)ゲルを洗浄する工程
(d)過酸化水素を、過酸化水素のH2O2としてのモル数(MHP)とチタン化合物とスズ化
合物の合計のモル数((MTi)+(MS))とのモル比(MHP)/((MTi)+(MS))が2〜50の範
囲となるように加えて溶解する工程
(e)100〜350℃で水熱処理する工程
[2]前記スズ化合物がアルカリを含まないスズ化合物である[1]のルチル型酸化チタン微粒子の製造方法。
[3]前記工程(a)において、チタン化合物のTiO2としてのモル数(MTi)とスズ化合物のSnO2としてのモル数(MS)とのモル比(MTi)/(MS)が3〜30の範囲にある[1]または[2]
のルチル型酸化チタン微粒子の製造方法。
[4]得られたルチル型酸化チタン微粒子の平均粒子幅(W)が2〜50nmの範囲にあり、平均長さ(L)が2〜500nmの範囲にあり、アスペクト比(W)/(L)が1〜10の範囲にあ
る[1]〜[3]のルチル型酸化チタン微粒子の製造方法。
本発明に係るルチル型酸化チタン微粒子の製造方法は、下記の工程(a)〜(e)からなることを特徴としている。
(a)チタン化合物とスズ化合物との混合水溶液を調製する工程
(b)混合水溶液にNH4OH水溶液を加えて加水分解する工程
(c)ゲルを洗浄する工程
(d)過酸化水素を、過酸化水素のH2O2としてのモル数(MHP)とチタン化合物とスズ化
合物の合計のモル数((MTi)+(MS))とのモル比(MHP)/((MTi)+(MS))が2〜50の範
囲となるように加えて溶解する工程
(e)100〜350℃で水熱処理する工程
工程(a)
本発明に用いるチタン化合物としては、水溶性があれば特に制限はなく、具体的には4塩化チタン、3塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、水素化チタン等があげられる。さらに、チタンアルコキシドあるいはこれらの部分加水分解物を用いることもできる。
合計酸化物濃度がこの範囲にあれば、生産効率が高く、洗浄も均一に行うことができる。なお、合計酸化物濃度が、前記範囲よりも低いと、過大な容器を必要とすることに加えて生産効率が低下することがある。合計酸化物濃度が高すぎると、工程(b)で加水分解(以下、中和ということもある)した際に、加水分解が不均一になったり、ゲルの粘度が高くなり、ゲルの扱いが容易でなく、工程(c)での洗浄も困難になることがある。
のSnO2としてのモル数(MS)とのモル比(MTi)/(MS)が3〜30、さらには5〜25の範囲にあることが好ましい。モル比(MTi)/(MS)が前記範囲にあると、酸化チタンの特性が
十分に発揮でき、さらに、ルチル型酸化チタン微粒子の結晶性も高くすることができる。
有量が多くなり、酸化チタンの特性(光触媒活性、屈折率等)が損なわれ、用途に制限があり、モル比(MTi)/(MS)が大きすぎると、得られるルチル型酸化チタン微粒子の結晶性
が不十分になったり、アナターゼ型酸化チタンが生成する場合がある。
含まない、微細なルチル型酸化チタン粒子を得ることができる。その理由は明確ではないものの、酸化チタンが、ルチル構造をとりやすい酸化スズと緊密に複合しているために、ルチル構造をとりやすくなるものと考えている。
工程(b)
ついで工程(a)で得られた混合水溶液にNH4OH水溶液を加えて加水分解する。
また、NH4OH水溶液の添加量はチタン化合物とスズ化合物が実質的に全量加水分解
できれば特に制限はないが、溶液のpHが8〜11、好ましくは8.5〜11の範囲となるように添加する。
工程(c)
ついで、洗浄するが、洗浄方法としては、チタン水酸化物とスズ水酸化物との混合ゲル中の不純物イオンを低減できれば特に制限はなく従来公知の方法を採用することができる。例えば、ゲルを濾過した後、充分な水、温水、希アンモニア水等を掛けることによって洗浄することができる。
工程(d)
次に、加水分解物に、過酸化水素を加えて溶解する。
加える過酸化水素のH2O2としてのモル数(MHP)とチタン化合物とスズ化合物の合計のモ
ル数((MTi)+(MS))とのモル比(MHP)/((MTi)+(MS))が2〜50、さらには5〜40
の範囲にあることが好ましい。
モル比(MHP)/(MTi)が2未満の場合は、得られるペルオキソチタン酸が不透明で、最終的に得られるルチル型酸化チタン微粒子の結晶性が不十分であったり、ルチル型以外の結晶が混在する場合がある。
モル比(MHP)/(MTi)が50を越えてもルチル型の結晶性がさらに向上することもなく、経済的でない。
溶解する際の濃度は、チタン化合物のTiO2として、スズ化合物のSnO2としての合
計の酸化物としての濃度が0.1〜5重量%、さらには0.2〜4重量%の範囲にあることが好ましい。
この濃度が5重量%を越えると、凝集したルチル型酸化チタン微粒子が生成する傾向があり、用途に制限がある。例えば、透明性膜に用いる場合、透明性がなくなったり、膜の強度が不十分になる場合がある。
また、溶解時間は、概ね0.5〜24時間である。
酸を加えると、透明性のペルオキソチタン・スズ酸になり、最終的に得られるルチル型酸化チタン微粒子の結晶性に優れる傾向がある。なお、酸を加えない場合は、最終的に得られるルチル型酸化チタン微粒子の粒子径が小さくなる傾向がある。
過酸化水素水溶解液を、100〜350℃で水熱処理する。
なお、水熱処理温度が低すぎると、結晶性が不十分であり、水熱処理温度が350℃を越えても、さらに結晶性が高まることもなく、経済的でない。
水熱処理時間が1時間未満の場合は、結晶性が不十分となり、水熱処理時間が96時間を越えてもさらに結晶性が向上することもなく、経済的でない。
このようにして得られたルチル型酸化チタン微粒子は、平均粒子幅(W)が2〜50nm
の範囲にあり、平均長さ(L)が2〜500nmの範囲にあり、アスペクト比(W)/(L)が1
〜10の範囲にあることが好ましい。本発明の製造方法によれば、この範囲のものが得られる。
易に沈降するため用途に制限がある。さらに好ましい平均粒子幅(W)は5〜30nmの範
囲である。平均長さ(L)が2nm未満のものも得ることが困難であり、平均長さ(L)が500nmを越えると分散液、塗布液等に用いる場合容易に沈降するため用途に制限がある。さらに好ましい平均長さ(L)は5〜300nmの範囲である。また、アスペクト比(W)/(L)は1未満になることはなく、アスペクト比(W) /(L)が10を越えものは得ることが困難である。
本発明の方法によって得られるルチル型酸化チタン微粒子は実質的にアルカリを含有してない。
[実施例]
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ルチル型酸化チタン微粒子(1)の調製
四塩化チタンを純水で希釈して、TiO2として濃度13.9重量%の四塩化チタン水
溶液2138gを得た。ついで、四塩化チタン水溶液に、モル比(MTi)/(MS)が15とな
るように塩化第二スズ五水和物83gを添加して混合水溶液を調製した。この混合水溶液を濃度4重量%のアンモニア水に添加し、pH=8.5の白色スラリーを得た。ついで、30℃で2時間静置して熟成した後、このスラリーを濾過洗浄し、固形分濃度が9.5重量%の水和酸化チタン・スズ複合ゲルのケーキを得た。
濃縮して固形分濃度10重量%のルチル型酸化チタン微粒子(1)分散ゾルを得た。乾燥し
たルチル型酸化チタン微粒子(1)について、平均粒子幅(W)、平均粒子長(L)を測定し、B
ET法により比表面積を測定し、X線回折法(理学電機製:LAD−IIC型、Cu管球、35kV、12.5mA)により結晶形お
よび結晶性を測定し結果を表1に示した。
また、アルカリの含有量を測定し、結果を表1に示した。なお、結晶性は以下の方法により評価した。
X線回折スペクトルにおいて、格子常数=3.25、面指数(1.1.0)、2θ=約27°のピークの高さ(H1)を、後述する比較例1のルチル型酸化チタン微粒子(R1)の
ピークの高さ(HR1)と対比し、(H1)/(HR1)の相対値として示した。
[実施例2]
ルチル型酸化チタン微粒子(2)の調製
実施例1と同様にして、TiO2として濃度13.9重量%の四塩化チタン水溶液21
38gに、モル比(MTi)/(MS)が10となるように塩化第二スズ五水和物130gを添加
して混合水溶液を調製した。
このケーキ421gを純水1179gに分散させ、ついで、濃度35重量%の過酸化水素水490gを添加した後、60℃で30分、90℃で1時間、95℃で30分間加熱して溶解し、TiO2+SnO2としての合計濃度が1.9重量%のペルオキソチタン・スズ酸水溶液2090gを得た。
濃縮して固形分濃度10重量%のルチル型酸化チタン微粒子(2)分散ゾルを得た。
ルチル型酸化チタン微粒子(2)について平均粒子幅(W)、平均粒子長(L)、比表面積、結晶
形、結晶性およびアルカリ含有量を測定し、結果を表1に示した。
[実施例3]
ルチル型酸化チタン微粒子(3)の調製
実施例1と同様にして、TiO2として濃度13.9重量%の四塩化チタン水溶液21
38gに、モル比(MTi)/(MS)が25となるように塩化第二スズ五水和物52gを添加し
て混合水溶液を調製した。
このケーキ421gを純水1179gに分散させ、ついで、濃度35重量%の過酸化水素水490gを添加した後、60℃で30分、90℃で1時間、95℃で30分間加熱して溶解し、TiO2+SnO2としての合計濃度が1.9重量%のペルオキソチタン・スズ酸水溶液2090gを得た。
得られたルチル型酸化チタン微粒子(3)分散液を限外濾過膜法により、洗浄し、ついで濃
縮して固形分濃度10重量%のルチル型酸化チタン微粒子(3)分散ゾルを得た。
ルチル型酸化チタン微粒子(3)について平均粒子幅(W)、平均粒子長(L)、比表面積、結晶
形、結晶性およびアルカリ含有量を測定し、結果を表1に示した。
[実施例4]
ルチル型酸化チタン微粒子(4)の調製
実施例1において、濃度35重量%の過酸化水素水245gを添加した以外は同様にしてルチル型酸化チタン微粒子(4)分散ゾルを得た。
晶形、結晶性およびアルカリ含有量を測定し、結果を表1に示した。
[実施例5]
ルチル型酸化チタン微粒子(5)の調製
実施例1において、濃度35重量%の過酸化水素水980gを添加した以外は同様にし
てルチル型酸化チタン微粒子(5)分散ゾルを得た。
晶形、結晶性およびアルカリ含有量を測定し、結果を表1に示した。
[実施例6]
ルチル型酸化チタン微粒子(6)の調製
実施例1において、120℃で16時間)水熱処理した以外は同様にしてルチル型酸化チタン微粒子(6)分散ゾルを得た。
晶形、結晶性およびアルカリ含有量を測定し、結果を表1に示した。
[実施例7]
ルチル型酸化チタン微粒子(7)の調製
実施例1において、220℃で16時間)水熱処理した以外は同様にしてルチル型酸化チタン微粒子(7)分散ゾルを得た。ルチル型酸化チタン微粒子(7)について平均粒子幅(W)
、平均粒子長(L)、比表面積、結晶形、結晶性およびアルカリ含有量を測定し、結果を表
1に示した。
[実施例8]
ルチル型酸化チタン微粒子(8)の調製
実施例1において、濃度63重量%の硝酸を用いなかった以外は同様にしてルチル型酸化チタン微粒子(8)分散ゾルを得た。
晶形、結晶性およびアルカリ含有量を測定し、結果を表1に示した。
[実施例9]
ルチル型酸化チタン微粒子(9)の調製
実施例1において、塩化第二スズ五水和物83gの代わりにスズ酸カリウム58g用いた以外は同様にしてルチル型酸化チタン微粒子(9)分散ゾルを得た。
晶形、結晶性およびアルカリ含有量を測定し、結果を表1に示した。
[比較例1]
ルチル型酸化チタン微粒子(R1)の調製
硫酸チタニル溶液を純水で希釈してTiO2として1.0重量%の硫酸チタニル水溶液を調整した。この水溶液を10℃に維持しつつ、撹拌しながら濃度15重量%のアンモニア水を添加し、pH9.5の白色スラリーを得た。このスラリーを濾過洗浄し、固形分濃度が10.2重量%の水和酸化チタンゲルのケーキを得た。この水和酸化チタンゲルの比表面積は295m2/gであった。
度1.6重量%のスズ酸水溶液626gと、上記チタン酸水溶液2250gと純水6020gとを混合した。さらに、平均粒子径が7nmであり、SiO2としての濃度が15重量%であるシリカゾル94.6gを上記混合液に混合した後、150℃で18時間水熱処理してルチル型酸化チタン微粒子(R1)分散液を調製した。
晶形、結晶性およびアルカリ含有量を測定し、結果を表1に示した。
[比較例2]
ルチル型酸化チタン微粒子(R2)の調製
四塩化チタンを純水で希釈して、TiO2として濃度13.9重量%の四塩化チタン水
溶液2138gを得た。ついで、四塩化チタン水溶液に濃度15重量%のアンモニア水に添加し、pH=8.5の白色スラリーを得た。ついで、このスラリーを濾過洗浄し、固形分濃度が9.5重量%の水和酸化チタンゲルのケーキを得た。
重量%の塩化第二スズ水溶液を得た。ついで、塩化第二スズ水溶液に濃度15重量%のアンモニア水に添加し、pH=8.5の白色スラリーを得た。ついで、このスラリーを濾過洗浄し、固形分濃度が9.5重量%の水和酸化スズゲルのケーキを得た。
合し、この混合ゲルのケーキ421gを純水1179gに分散させ、ついで、濃度35重量%の過酸化水素水490gを添加した後、60℃で30分、90℃で1時間、95℃で30分熟成して、TiO2+SnO2としての合計濃度が1.9重量%のチタン酸・スズ酸混合水溶液2090gを得た。
ルチル型酸化チタン微粒子(R2)について平均粒子幅(W)、平均粒子長(L)、比表面積、結晶形、結晶性およびアルカリ含有量を測定し、結果を表1に示した。
[比較例3]
ルチル型酸化チタン微粒子(R3)の調製
実施例1において、濃度35重量%の過酸化水素水71gを添加した以外は同様にしてルチル型酸化チタン微粒子(R3)分散ゾルを得た。
Claims (4)
- 下記の工程(a)〜(e)からなることを特徴とするルチル型酸化チタン微粒子の製造方法。
(a)チタン化合物とスズ化合物との混合水溶液を調製する工程
(b)混合水溶液にNH4OH水溶液を加えて加水分解する工程
(c)ゲルを洗浄する工程
(d)過酸化水素を、過酸化水素のH2O2としてのモル数(MHP)とチタン化合物とスズ化
合物の合計のモル数((MTi)+(MS))とのモル比(MHP)/((MTi)+(MS))が2〜50の範
囲となるように加えて溶解する工程
(e)100〜350℃で水熱処理する工程 - 前記スズ化合物がアルカリ金属を含まないスズ化合物であることを特徴とする請求項1に記載のルチル型酸化チタン微粒子の製造方法。
- 前記工程(a)において、チタン化合物のTiO2としてのモル数(MTi)とスズ化合物の
SnO2としてのモル数(MS)とのモル比(MTi)/(MS)が3〜30の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のルチル型酸化チタン微粒子の製造方法。 - 得られたルチル型酸化チタン微粒子の平均粒子幅(W)が2〜50nmの範囲にあり、平
均長さ(L)が2〜500nmの範囲にあり、アスペクト比(W) /(L)が1〜10の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のルチル型酸化チタン微粒子の製造方法。
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