JP2004148904A - 乗用車用空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】リムフランジ径が従来より大きなホイールに対してもリム組みが可能で、しかもリムフランジの保護機能も良好な乗用車用空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】少なくとも片側のサイドウォール部2には、リムフランジ21の外周側湾曲面に当接してサイドウォール部2の変形を抑制可能な内周側面を有する環状の膨出部11を備えると共に、その膨出部11はノミナル径NRを基準として55mm以上の高さに頂点P1が位置し、その頂点P1のサイドウォール延長線からの高さH1が3mm以上であることを特徴とする乗用車用空気入りタイヤ。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リムフランジ径が従来より大きなホイールに好適に使用できる乗用車用空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、乗用車用の空気入りタイヤは、乗用車の高出力化や高い操縦安定性等の要請に伴って偏平化する傾向があり、偏平タイヤの断面高さは偏平率の低下とともに低くなる傾向にある。このような偏平タイヤをホイールへリム組みした車輪は、スポーツタイヤのイメージが有り、またファッション性も高いため、タイヤ性能以外のデザイン面でも注目されている。
【0003】
一方、タイヤをリム組みした車輪を車両に装着して、路肩に縁石等のある一般道路を走行する際、ハンドル操作を誤って車輪が縁石と接触することがある。このとき、特に偏平率の小さいタイヤでは、リムのフランジ部分が縁石と接触し、リムのフランジ部分が変形するおそれが生じ易い。
【0004】
このため、リムフランジを縁石等から保護する目的で、リムフランジの端縁に沿う近傍に、リムフランジ端縁よりもタイヤ回転軸心方向外側に突出した膨出部(いわゆるリムプロテクター)をサイドウォール部に設けた空気入りタイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このようなリムプロテクターは、従来のリム形状(規格リムフランジの高さは14〜22mm)に合わせて、その形状及び位置が設計されており、例えばホイールのノミナルリム径よりタイヤ半径方向外側へ25mmの位置に、頂点が配置され高さが2〜5mmのリムプロテクターが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
実用新案登録第2599473号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】
特開2001−171318号公報(第3頁、図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の偏平タイヤには、タイヤ内容積の縮小にともなって負荷能力が小さくなるなどの欠点があった。このため、空気入りタイヤの偏平率を小さくせずに、上記の如き車輪のデザイン性能を高める方法が開発されつつある。このため、今後、リムフランジ径が大きくなることも考えられるが、従来のリムプロテクターでは、リムフランジの保護機能が得られず、リム組みが行えない場合も生じる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、リムフランジ径が従来より大きなホイールに対してもリム組みが可能で、しかもリムフランジの保護機能も良好な乗用車用空気入りタイヤを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の乗用車用空気入りタイヤは、一対の環状のビード部と、そのビード部から各々外周側へ延びるサイドウォール部と、そのサイドウォール部の各々の外周側端同士をショルダ部を介して連ねるトレッド部とを備える乗用車用空気入りタイヤにおいて、少なくとも片側のサイドウォール部には、リムフランジの外周側湾曲面に当接してサイドウォール部の変形を抑制可能な内周側面を有する環状の膨出部を備えると共に、その膨出部はノミナル径を基準として55mm以上の高さに頂点が位置し、その頂点のサイドウォール延長線からの高さが3mm以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明において、ノミナル径とは、リム及びタイヤのサイズに応じて決められた呼び径であり、この径によってリムのビード座の径が決定され、この径に応じたタイヤ設計がなされる。更に膨出部の頂点とは、タイヤ子午線断面においてサイドウォール部の外側壁の曲率でその外側壁を延長した円弧からの高さが最も大きい位置を指す。また、各部の寸法は、リムへ装着後にタイヤサイズに応じてJATMAで決められた空気圧とした状態での寸法を指す。
【0011】
上記において、前記膨出部の頂点の位置のノミナル径を基準とする高さが、タイヤ断面高さに対して41〜61%であることが好ましい。
【0012】
また、ノミナル径を基準とした高さが55mm以上であるリムフランジを外側に有するホイールに使用されるものであり、前記膨出部の頂点の位置が前記リムフランジより0〜4mm高いものであることが好ましい。
【0013】
[作用効果]
本発明によると、リムプロテクターに相当する膨出部の頂点が、ノミナル径より55mm以上の高さであり、サイドウォール延長線からの高さが3mm以上であるため、リムフランジ径が従来より大きなホイールに対してもリム組みが可能で、リムフランジの保護機能も良好になる。また、リムフランジの高さが大きいと、サイドウォール部の変形によるリムフランジとの接触・摩耗が生じ易いところ、前記膨出部が、リムフランジの外周側湾曲面に当接してサイドウォール部の変形を抑制可能な内周側面を有するため、当該接触・摩耗を効果的に抑制することができる。更に、当該内周側面を有する膨出部は、サイドウォール部の変形を抑制してタイヤの運動性能も向上させることができる。
【0014】
前記膨出部の頂点の位置のノミナル径を基準とする高さが、タイヤ断面高さに対して41〜61%である場合、偏平率が20〜30%のタイヤと同等の外観となるため、スポーツタイヤのイメージが生じ、ファッション性も高いものとなる。しかも、タイヤ内容積が十分確保できるため、タイヤの負荷能力を十分維持することができる。
【0015】
高さが55mm以上であるリムフランジを外側に有するホイールに使用されるものであり、前記膨出部の頂点の位置が前記リムフランジより0〜4mm高いものである場合、上記のようなサイドウォール部の変形抑制効果が好適に得られると共に、走行中においてホイールとタイヤとの間へ砂等の異物が進入するのを効果的に防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の乗用車用空気入りタイヤの一例を示すタイヤ子午線の断面図である。図2はそのサイドウォール部付近の要部を示す要部断面図である。
【0017】
本発明の空気入りタイヤは、図1に示すように、一対の環状のビード部1と、ビード部1から各々外周側へ延びるサイドウォール部2と、サイドウォール部2の各々の外周側端同士をショルダ部3を介して連ねるトレッド部4とを備える。この構造は一般的なタイヤと同じ構造であり、本発明は当該構造を有する何れのタイヤにも適用できる。また、このような空気入りタイヤにおいて、必ずしもラジアルタイヤ構造である必要はなく、バイアスタイヤや、カーカス層5のコードが部分的に傾斜したものでもよい。
【0018】
そして、ビード部1にはカーカス層5に囲まれたビードワイヤーの集束体であるビード1aとビードフィラー1bが配設され、このビード1aによりカーカス層5の端部を巻き返して係止することで、ビード部1間がカーカス層5で補強された状態で、タイヤがリム20上に強固に嵌着される。カーカス層5の両側にはゴム層が形成され、チューブレスタイヤでは、最内層にインナーライナー層が形成される。また、カーカス層5の外周部には、たが効果による補強を行うベルト層6が配置され、その外周表面にトレッドゴムによりトレッドパターンが形成される。
【0019】
上記のゴム層等の原料ゴムとしては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらのゴムはカーボンブラックやシリカ等の充填材で補強されると共に、加硫剤、加硫促進剤、可塑剤、老化防止剤等が適宜配合される。
【0020】
また、ビードワイヤーとしては鋼線等が使用され、カーカス層5やベルト層6の構成材料としては、スチールや、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アラミド等の有機系繊維等が使用される。これらの材料は、いずれもゴムとの接着性を高めるべく、通常、表面処理や接着処理等がなされている。
【0021】
本発明の空気入りタイヤは、少なくとも片側のサイドウォール部2に、リムプロテクターとして機能する環状の膨出部11を備える。この膨出部11は、両側のサイドウォール部2に設けられていてもよく、その場合、両側の膨出部11は、形成位置や形状が異なっていてもよい。つまり、本発明の空気入りタイヤは、左右非対称の構造であってもよく、その場合、装着方向指定型のタイヤとなる。この装着方向指定型のタイヤは、リム20に装着する際に、車両外側に対してタイヤの左右何れが面するかを指定したものである。
【0022】
上記の膨出部11は、リムフランジ21の外周側湾曲面21aに当接してサイドウォール部2の変形を抑制可能な内周側面11aを有する。膨出部11の内周側面11aは、常時はリムフランジ21の外周側湾曲面21aから離反していてもよく、走行時においてタイヤが変形する際に、膨出部11の内周側面11aが外周側湾曲面21aに当接することで、サイドウォール部2の変形が抑制できればよい。本実施形態では、膨出部11の内周側面11aが外周側湾曲面21aに、常時当接する場合の例を示す。
【0023】
前記膨出部11はノミナル径NRを基準として55mm以上の高さR1に頂点P1が位置しており、使用するホイール20のリムフランジ21の高さHRより0〜4mm高い位置に、頂点P1が位置するのが好ましい。
【0024】
その際、膨出部11の頂点P1の位置のノミナル径NRを基準とする高さが、タイヤ断面高さH2に対して41〜61%であることが好ましい。また、膨出部11の頂点P1の位置が、タイヤ最大幅の位置よりタイヤ外周側に配置されることが好ましい。
【0025】
また、膨出部11の頂点は、サイドウォール延長線からの高さH1が3mm以上であり、好ましくは10〜15mmである。ここで、高さH1は、タイヤ子午線断面においてサイドウォール部2の外側壁2aの曲率SRでその外側壁2aを延長した円弧からの高さを意味する。
【0026】
膨出部11の断面形状は、略三角形、略台形、略半円形、略三日月型などいずれでもよいが、略三角形であることが好ましい。また、膨出部11の内周側面11aの形状は、頂点P1からサイドウォール部2の外側壁2aに引いた直線より外側へ膨れた形状でもよく、逆に内側にくびれた形状でもよい。膨出部11の内周側面11aが内側にくびれた形状である場合、その曲率半径PRは、リムフランジ21の外周側湾曲面21aへのフィット性より、3〜30mmが好ましく、5〜20mmがより好ましい。
【0027】
膨出部11のゴムの硬度については、膨出部11を構成するゴムの硬度が、JISA硬度にて45〜85°が好ましい。その際、ゴムを短繊維補強したり、長繊維補強したりしてもよい。
【0028】
本発明の乗用車用空気入りタイヤは、従来の高さのリムフランジを有するホイールに使用することも可能であるが、ノミナル径を基準とした高さが55mm以上であるリムフランジを外側に有するホイールに使用するのが好ましい。このようなホイールへの装着状態を図3に示す。この図に示すように、サイドウォール部2の大半がリム20のリムフランジ21に隠れており、残部のサイドウォール部2と膨出部11のみが、正面視においてタイヤ部分となる。このため、偏平率がかなり小さいタイヤと同等の外観となるので、スポーツタイヤのイメージが生じ、ファッション性も高いものとなる。
【0029】
なお、他方側のリムフランジは、従来と同じ程度の高さを有することが、リム組み性を維持する観点から好ましい。従って、ホイールの形状としては、従来のホイールと比較して、外側のリムフランジのみが高く形成されている点が異なっている。
【0030】
[他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、膨出部の内周側面がリムフランジの外周側湾曲面に、常時当接する場合の例を示したが、本発明では、図4に示すように膨出部11の内周側面11aがリムフランジ21の外周側湾曲面21aから離反していてもよい。その場合も使用するホイール20のリムフランジ21の高さHRより0〜4mm高い位置に、頂点P1が位置するのが好ましい。
【0031】
(2)前述の実施形態では、外側のリムフランジに内接する部分のタイヤ構造が従来と同じである例を示したが、本発明では、この部分の構造を従来と異なるものとしてもよい。
【0032】
例えば、リムフランジによってビード回りの補強が行われるため、ビードフィラーの硬度を低減したり高さを低くしたりしてもよい。また、リムフランジとの接触・摩耗を低減するために、JIS A硬度65〜90°からなるゴム層をサイドウォール部の表面に設けてもよい。更に、スチールコードやナイロンコードによる補強層をビード回りに配置した構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一例の使用状態を示すタイヤ子午線断面図
【図2】図1のタイヤのサイドウォール部付近の要部を示す要部断面図
【図3】本発明の空気入りタイヤの一例の使用状態を示す正面図
【図4】本発明の空気入りタイヤの他の例の要部を示す要部断面図
【符号の説明】
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 ショルダ部
4 トレッド部
11 膨出部
11a 内周側面
20 リム
21 リムフランジ
21a 外周側湾曲面
NR ノミナル径
PR 内周側面の曲率半径
SR サイドウォール部の外側壁の曲率半径
P1 頂点
R1 ノミナル径からの高さ
H1 頂点の高さ
HR リムフランジの高さ

Claims (3)

  1. 一対の環状のビード部と、そのビード部から各々外周側へ延びるサイドウォール部と、そのサイドウォール部の各々の外周側端同士をショルダ部を介して連ねるトレッド部とを備える乗用車用空気入りタイヤにおいて、
    少なくとも片側のサイドウォール部には、リムフランジの外周側湾曲面に当接してサイドウォール部の変形を抑制可能な内周側面を有する環状の膨出部を備えると共に、その膨出部はノミナル径を基準として55mm以上の高さに頂点が位置し、その頂点のサイドウォール延長線からの高さが3mm以上であることを特徴とする乗用車用空気入りタイヤ。
  2. 前記膨出部の頂点の位置のノミナル径を基準とする高さが、タイヤ断面高さに対して41〜61%である請求項1記載の乗用車用空気入りタイヤ。
  3. ノミナル径を基準とした高さが55mm以上であるリムフランジを外側に有するホイールに使用されるものであり、前記膨出部の頂点の位置が前記リムフランジより0〜4mm高いものである請求項1又は2に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
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