JP2007168543A - 空気入りタイヤおよびタイヤ・ホイール組立体 - Google Patents

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雅行 根本
Chuon Sai
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Abstract

【課題】サイドウォール部の突出部の損傷を低減できる空気入りタイヤおよびタイヤ・ホイール組立体を提供すること。
【解決手段】この空気入りタイヤ1は、片側のリムフランジ部11のリム径Rを基準とする高さHが他方のものよりも大きいホイール10に装着され、タイヤのリム組み状態にてリムフランジ部11の外周側端部よりもタイヤ径方向外側に位置すると共にタイヤ幅方向に突出する突出部61をサイドウォール部に有する。そして、タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ径方向外側からタイヤ断面高さSHの30[%]の位置におけるプロファイルライン上の点Pをとるときに、この点Pから突出部61の頂点に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向内側に中心を有する略円弧により構成される。
【選択図】 図1

Description

この発明は、空気入りタイヤおよびタイヤ・ホイール組立体に関し、さらに詳しくは、タイヤのサイドウォール部の突出部の損傷を低減できる空気入りタイヤおよびタイヤ・ホイール組立体に関する。
近年、PC(Passenger Car)用あるいはSUV(Sports Utility Vehicle)用の空気入りタイヤでは、車両の高出力化や操縦安定性向上のニーズに伴ってタイヤの扁平化が進む傾向にある。一方、このような扁平タイヤをホイールに装着するとスポーティーなイメージが得られると同時に、車両のドレスアップなどの視覚的なイメージ効果が高まる。このため、タイヤ性能の向上に関するニーズのみならず、ホイール装着状態でのデザイン性に関するニーズが高まりつつある。このような背景から、近年では、タイヤ/ホイールの内径の大型化が高い注目を集めている。
ここで、タイヤ/ホイールの内径を過度に大型化すると、必要以上の運動性能により車両転覆の危険性が増加し、また、乗心地性能や耐偏摩耗性能が低下する等の課題が生ずる。このため、通常より大きなリムフランジ部を片側に有するホイールが開発されている。かかるホイールは、大きなリムフランジ部側を外側に向けて車両に装着されることにより、低扁平タイヤあるいは大内径タイヤのイメージを与えることができる。
また、かかる空気入りタイヤでは、サイドウォール部に突出部が形成される。この突出部は、例えば、(1)タイヤ接地時にてホイールのリムフランジ部に当接して保持されることによりサイドウォール部の剛性を補強し、タイヤのショルダー部の偏摩耗を低減する機能(耐偏摩耗性向上機能)、(2)ホイールのリムフランジ部よりもタイヤ幅方向に突出してリムフランジ部と縁石等との接触を防止する機能(リムプロテクト機能)、(3)タイヤの空気圧が低下したときにリムフランジ部の外周端部に係合してタイヤ荷重を支持する機能(ランフラット機能)などを有する。
サイドウォール部に突出部を有する従来の空気入りタイヤには、特許文献1に記載される技術が知られている。従来の空気入りタイヤは、一対の環状のビード部と、そのビード部から各々外周側へ延びるサイドウォール部と、そのサイドウォール部の各々の外周側端同士をショルダー部を介して連ねるトレッド部とを備える乗用車用空気入りタイヤにおいて、少なくとも片側のサイドウォール部には、リムフランジの外周側湾曲面に当接してサイドウォール部の変形を抑制可能な内周側面を有する環状の膨出部(突出部)を備えると共に、その膨出部はノミナル径を基準として55[mm]以上の高さに頂点が位置し、その頂点のサイドウォール延長線からの高さが3[mm]以上であることを特徴とする。
しかしながら、従来の空気入りタイヤでは、突出部が縁石等に接触して損傷する(突出部にクラックやもぎれが発生する)という課題がある。
特開2004−148904号公報
そこで、この発明は、上記に鑑みて為されたものであって、サイドウォール部の突出部の損傷を低減できる空気入りタイヤおよびタイヤ・ホイール組立体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、片側のリムフランジ部のリム径Rを基準とする高さHが他方のものよりも大きいホイールに装着され、且つ、タイヤのリム組み状態にて前記リムフランジ部の外周側端部よりもタイヤ径方向外側に位置すると共にタイヤ幅方向に突出する突出部をサイドウォール部に有する空気入りタイヤであって、タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ径方向外側からタイヤ断面高さSHの30[%]の位置におけるプロファイルライン上の点Pをとるときに、この点Pから前記突出部の頂点に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向内側に中心を有する略円弧により構成されることを特徴とする。
この空気入りタイヤでは、ショルダー部側から突出部に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向外側に凸の略円弧により構成されるので、突出部がサイドウォール部からV字状に突出している構成と比較して、突出部の構造上の強度が高められている。これにより、縁石等との接触による突出部の損傷が効果的に低減される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ接地時にて前記突出部が前記リムフランジ部に当接して保持される。
この空気入りタイヤでは、タイヤ接地時にて突出部がリムフランジ部に保持されることによりサイドウォール部の剛性が補強される。これにより、タイヤのショルダー部の偏摩耗が低減される利点がある(耐偏摩耗性向上機能)。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤのリム組み状態にて前記突出部がリムフランジ部の端部よりもタイヤ幅方向外側に突出している。
この空気入りタイヤでは、突出部がリムフランジ部と縁石等との接触を防止するリムプロテクターとして機能する。これにより、リムフランジ部の損傷が低減される利点がある(リムプロテクト機能)。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ空気圧の低下時にて前記突出部が前記リムフランジ部に係合してタイヤ荷重を支持する。
この空気入りタイヤでは、かかる構成では、パンク等によりタイヤ空気圧が低下してサイドウォール部が変形したときに、突出部がリムフランジ部の外周端部に当接して引っ掛かる。これにより、タイヤ荷重が支持されてタイヤがパンクした状態での予備的な走行が可能となる(ランフラット機能)。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、リム径Rを基準とする前記突出部の高さAがA≧0.5[インチ]である。
この空気入りタイヤでは、かかるホイールが適用対象とされることにより、突出部の諸機能が効果的に発揮されてタイヤの実用性が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、リム径Rを基準とする前記突出部の高さAとタイヤの断面高さSHとが0.40≦A/SH≦0.60の関係を有する。
この空気入りタイヤでは、突出部の高さAとタイヤの断面高さSHとの比A/SHが適正化されるので、突出部がリムフランジ部のプロテクトバーとして効果的に機能する。これにより、リムフランジ部の損傷が低減される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ子午線方向の断面視にて、サイドウォール部の部分のうち前記リムフランジ部に対して嵌め合わされる部分(以下、嵌合部という。)のプロファイルラインをビード部側から延長したときに、この延長線を基準とする前記突出部の段差Bが0.5[mm]≦Bの範囲内にある。
この空気入りタイヤでは、突出部の段差Bが所定値以上に規定されているので、タイヤ接地時にて突出部がリムフランジ部に適正に当接して保持される。これにより、サイドウォール部の剛性が適正に補強されて、タイヤのショルダー部の偏摩耗が低減される利点がある(耐偏摩耗性向上機能)。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記突出部の段差BがB≦8.0[mm]の範囲内にある。
この空気入りタイヤでは、突出部の段差Bが適正化されているので、突出部のもぎれが効果的に防止される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記リムフランジ部の端部を基準とした前記突出部のタイヤ幅方向外側への突出量Cが0.5[mm]≦C≦5.0[mm]の範囲内にある。
この空気入りタイヤでは、突出部の突出量Cが適正化されているので、車両走行時におけるリムフランジ部と縁石等との接触が適正に防止される。これにより、リムフランジ部の損傷が効果的に低減される利点がある(リムプロテクト機能)。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記突出部が両側のサイドウォール部に形成される。
この空気入りタイヤでは、各突出部によりサイドウォール部の剛性がタイヤ左右で均一化されるので、タイヤの接地圧がタイヤ幅方向に均一化される。これにより、ショルダー部の偏摩耗が低減されるので、タイヤの耐偏摩耗性能がさらに向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記突出部の周囲におけるサイドウォール部のプロファイルが滑らかに形成される。
この空気入りタイヤでは、外力に対する突出部の構造上の強度が向上するので、突出部のもぎれや欠けが低減される。これにより、突出部の損傷が抑制される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ子午線方向の断面視にて、前記リムフランジ部の端部が半径r2の略円弧形状を有すると共に、前記突出部の部分のうちタイヤ接地時にて前記リムフランジ部の端部に対して当接する部分が半径r1の略円弧形状を有し、且つ、前記リムフランジ部の端部の半径r2と前記突出部の部分の半径r1とがr2<r1の関係を有する。
この空気入りタイヤでは、突出部側の当接部分が平面から成る構成と比較して、突出部とリムフランジ部とが当接したときの接触面積が増加する。これにより、突出部がリムフランジ部によって安定的に保持されて、突出部の諸機能(耐偏摩耗性向上機能やランフラット機能)が向上する利点がある。また、これにより、タイヤとホイールとの隙間への異物の入り込みが低減される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ子午線方向の断面視にて、サイドウォール部を構成するサイドウォールゴムの肉厚Dが上記の点Pから前記突出部の頂点に向かうに連れて徐々に増加する。
この空気入りタイヤでは、突出部付近ほどサイドウォールゴムの肉厚Dが増加するので、サイドカット等に対するサイドウォール部の耐久性が向上する利点がある。また、タイヤの外観(見栄え)が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ子午線方向の断面視にて、前記突出部側にかかるトレッド部ショルダー領域のプロファイルラインのラジアスRSh−Hと前記突出部の反対側にかかるトレッド部ショルダー領域のプロファイルラインのラジアスRSh−LとがRSh−H<RSh−Lの関係を有する。
この空気入りタイヤでは、突出部側(大きな高さHを有するリムフランジ部側)のラジアスRSh−Hが縮小されてプロファイルラインが丸みを帯びると、トレッド部ショルダー領域におけるタイヤの接地長が短くなる。これにより、左右のトレッド部ショルダー領域の接地長が均一化されて、タイヤの偏摩耗が低減される利点がある。また、タイヤの操縦安定性能が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ子午線方向の断面視にて、前記突出部側にかかるトレッド部センター領域のプロファイルラインのラジアスRTr−Hと前記突出部の反対側にかかるトレッド部センター領域のプロファイルラインのラジアスRTr−LとがRTr−H>RTr−Lの関係を有する。
この空気入りタイヤでは、突出部側のラジアスRTr−Hが拡張されることにより、突出部側のタイヤの接地幅が大きくなる。すると、突出部側の接地面積が確保されてトレッド部の接地圧がタイヤ左右にて均一化される。これにより、タイヤの偏摩耗(センター摩耗あるいはショルダー摩耗)が低減される利点がある。また、タイヤの操縦安定性能が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ総幅Wを規定する点QH、QLをとると共にこれらの点QH、QLのリム径Rを基準とする高さSDH−H、SDH−Lを定義するときに、前記突出部側の点QHの高さSDH−Hと前記突出部の反対側の点QLの高さSDH−LとがSDH−H<SDH−Lの関係を有する。
この空気入りタイヤでは、突出部側におけるサイドウォール部の剛性が反対側のサイドウォール部の剛性よりも小さくなる。すると、タイヤ総幅Wを規定する点QH、QLの高さが等しい(SDH−H=SDH−L)構成と比較して、タイヤ左右の接地形状がバランス化される。これにより、タイヤの操案性能が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、片側のリムフランジ部のリム径Rを基準とする高さHが他方のものよりも大きいホイールに装着され、且つ、タイヤのリム組み状態にて前記リムフランジ部の外周側端部よりもタイヤ径方向外側に位置すると共にタイヤ幅方向に突出する突出部をサイドウォール部に有する空気入りタイヤであって、タイヤ子午線方向の断面視にて、前記突出部側にかかるトレッド部ショルダー領域のプロファイルラインのラジアスRSh−Hと前記突出部の反対側にかかるトレッド部ショルダー領域のプロファイルラインのラジアスRSh−LとがRSh−H<RSh−Lの関係を有することを特徴とする。
この空気入りタイヤでは、突出部側(大きな高さHを有するリムフランジ部側)のラジアスRSh−Hが縮小されてプロファイルラインが丸みを帯びると、トレッド部ショルダー領域におけるタイヤの接地長が短くなる。これにより、左右のトレッド部ショルダー領域の接地長が均一化されて、タイヤの偏摩耗が低減される利点がある。
また、この発明にかかるタイヤ・ホイール組立体は、片側のリムフランジ部のリム径Rを基準とする高さHが他方のものよりも大きいホイールと、前記ホイールに装着される空気入りタイヤとを含むタイヤホイール組立体であって、前記空気入りタイヤは、タイヤのリム組み状態にて前記リムフランジ部の外周側端部よりもタイヤ径方向外側に位置すると共にタイヤ幅方向に突出する突出部をサイドウォール部を有し、タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ径方向外側からタイヤ断面高さSHの30[%]の位置におけるプロファイルライン上の点Pをとるときに、この点Pから前記突出部の頂点に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向内側に中心を有する略円弧により構成されることを特徴とする。
このタイヤ・ホイール組立体では、タイヤのショルダー部側から突出部に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向外側に凸の略円弧により構成されるので、突出部がサイドウォール部からV字状に突出している構成と比較して、タイヤの突出部の構造上の強度が高められている。これにより、縁石等との接触によるタイヤの突出部の損傷が効果的に低減される利点がある。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、ショルダー部側から突出部に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向外側に凸の略円弧により構成されるので、突出部がサイドウォール部からV字状に突出している構成と比較して、突出部の構造上の強度が高められている。これにより、縁石等との接触による突出部の損傷が効果的に低減される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤでは、トレッド部ショルダー領域のプロファイルラインのラジアスRSh−H、ラジアスRSh−Lの大小関係が突出部側とその反対側とで適正化されているので、左右のトレッド部ショルダー領域の接地長が均一化されて、タイヤの偏摩耗が低減される利点がある。
また、この発明にかかるタイヤ・ホイール組立体では、タイヤのショルダー部側から突出部に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向外側に凸の略円弧により構成されるので、突出部がサイドウォール部からV字状に突出している構成と比較して、タイヤの突出部の構造上の強度が高められている。これにより、縁石等との接触によるタイヤの突出部の損傷が効果的に低減される利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、これらの実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、これらの実施例の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。また、これらの実施例およびその変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1は、この発明の実施例にかかる空気入りタイヤ(タイヤ・ホイール組立体)を示すタイヤ子午線方向の断面図である。図2は、図1に記載した空気入りタイヤのサイドウォール部を示す拡大図である。図3は、図1に記載した空気入りタイヤの作用を示す説明図である。図4〜図7は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。図8は、この発明の実施例にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。図9は、この発明の実施例にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。図10は、この発明の実施例にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この空気入りタイヤ1は、左右のリムフランジ部11、12の外径(高さH)が相互に異なるホイール10に対して装着される(図1および図2参照)。例えば、車両装着状態にて車両外側に位置するリムフランジ部11が車両内側に位置するリムフランジ部12よりも大きいホイール10に対して、空気入りタイヤ1が装着される。かかるホイール10では、車両のドレスアップなどの視覚的なイメージ効果を高めるために、車両外側のリムフランジ部11の外径が車両内側のものよりも1[インチ]以上(H≧0.5[インチ])大きく設定される。
また、空気入りタイヤ1は、ビードコア2、2と、カーカス層3と、ベルト層4と、トレッドゴム5と、サイドウォールゴム6とを有する(図1参照)。ビードコア2、2は、左右一対を一組として構成される。カーカス層3は、左右のビードコア2、2間にトロイド状に架け渡される。ベルト層4は、カーカス層3のタイヤ径方向外周に配置される。トレッドゴム5は、カーカス層3およびベルト層4のタイヤ径方向外周に配置されて、タイヤのトレッド部を構成する。トレッド部には、タイヤ周方向に延在する複数の主溝51、52が形成されている。サイドウォールゴム6は、カーカス層3のタイヤ幅方向外側に配置されて、タイヤのサイドウォール部を構成する。
ここで、タイヤのサイドウォール部には、突出部61が形成される(図1および図2参照)。この突出部61は、タイヤ左右のサイドウォール部のうちの少なくとも一方に形成される。例えば、上記したような片側のリムフランジ部11が大きいホイール10に対してタイヤが装着される場合には、このリムフランジ部11と同じ側のサイドウォール部に突出部61が形成される。このため、突出部61は、タイヤ・ホイール組立体1、10の車両装着状態にて、大きなリムフランジ部11と共に車両外側に位置する。
また、突出部61は、リムフランジ部11との嵌合部62よりもタイヤ径方向外側に形成される(図2参照)。このため、突出部61は、空気入りタイヤ1がホイール10に装着された状態(以下、タイヤのリム組み状態という。)にてリムフランジ部11の外周側端部よりもタイヤ径方向外側に位置する(頂点を有する)。また、突出部61は、サイドウォール部の平面視にて、タイヤ回転軸を中心として環状に形成されている(図示省略)。
また、タイヤ子午線方向の断面視にて、リムフランジ部11との嵌合部62から突出部61に至るサイドウォール部のプロファイルラインが以下のように構成される。すなわち、サイドウォール部のプロファイルラインは、嵌合部62にてリムフランジ部11の内面形状に応じた略円弧形状を有すると共に、嵌合部62から突出部61の頂点に至る途中でタイヤ幅方向外側に突出する。このため、嵌合部62のプロファイルラインの延長線と、突出部61からタイヤ径方向外側のプロファイルラインとの間に段差が生じている(図2参照)。なお、突出部61の頂点とは、突出部61の部分のうちタイヤ幅方向の最も外側に位置する部分をいう。
また、タイヤ径方向外側からタイヤ断面高さSHの30[%](0.3SH)の位置におけるプロファイルライン上の点Pをとるときに、この点Pから突出部61の頂点に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向内側(タイヤ内径側)に中心を有する略円弧により構成される(図1および図2参照)。すなわち、この範囲では、サイドウォール部のプロファイルラインが、(1)タイヤ幅方向内側に中心を有する単一もしくは複数の円弧、または、(2)円弧とこれに付随する直線(例えば、円弧の接線あるいは複数の円弧を結ぶ直線)により構成される。このため、この範囲では、サイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向外側に凸となっており、略C字状にカーブしている。
なお、タイヤ表面に打刻される標章や付加的な凹凸などは、上記のサイドウォール部のプロファイルラインを構成しないものとする。上記の標章には、例えば、タイヤサイズ、ブランド名称、図形などが含まれる。また、上記の凹凸には、例えば、タイヤの見栄えを良くするための模様、タイヤのリム組み時に用いられるリムチェックライン、冷却作用を目的とした表面加工(例えば、タイヤの表面積を増加させるためのセレーション加工やローレット加工)などが含まれる。
また、タイヤ断面高さSHは、上記のホイール10にタイヤが装着されて正規内圧を付与されると共に無負荷状態とされたときの距離により定義される。ここで、正規内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、正規荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、乗用車用タイヤの場合には、正規内圧が空気圧180[kPa]であり、正規荷重が最大負荷能力の88[%]である。
なお、上記のようなホイール10には、対応する規格が設けられていない。かかるホイール10は、例えば、米国のLEXANI社などから販売されている。
この空気入りタイヤ1では、ショルダー部側から突出部61に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向外側に凸の略円弧により構成されるので、突出部がサイドウォール部からV字状に突出している構成(特許文献1参照)と比較して、突出部61の構造上の強度が高められている。これにより、縁石等との接触による突出部61の損傷が効果的に低減される利点がある。
[付加的事項1]
なお、この空気入りタイヤ1では、タイヤ接地時にて突出部61がホイール10のリムフランジ部11に当接して保持されることが好ましい(図3参照)。かかる構成は、例えば、(1)タイヤ接地時にてタイヤが変形したときに突出部61がリムフランジ部11の端部(湾曲面)に当接する(突出部61が嵌合部62の近傍に設けられている)構成(図2参照)、(2)無負荷状態にて当初から突出部61がリムフランジ部11の端部に当接している構成(図示省略)などにより実現される。かかる構成では、タイヤ接地時にて突出部61がリムフランジ部11に保持されることによりサイドウォール部の剛性が補強される。これにより、タイヤのショルダー部の偏摩耗が低減される利点がある(耐偏摩耗性向上機能)。また、かかる構成では、突出部61がリムフランジ部11との隙間を塞ぐことにより、嵌合部62とリムフランジ部11との間への異物(砂等)の混入が抑制される利点がある。
また、上記の構成では、タイヤ子午線方向の断面視にて、リム径Rを基準とするリムフランジ部11の高さHと突出部61の高さAとがH≦A<55[mm]の関係を有することが好ましい(図2参照)。なお、リムフランジ部11の高さHは、リム径Rを基準とする位置からリムフランジ部11の外周端部までのタイヤ径方向の距離である。また、突出部61の高さAは、リム径Rを基準とする位置から突出部61の頂点までのタイヤ径方向の距離である。かかる構成では、突出部の高さAが所定値以下に規定されているので、特に、一方のリムフランジ部11側のサイドウォール部にのみ突出部61が形成されている構成(図1参照)において、左右のサイドウォール部の剛性差が緩和される。これにより、タイヤ接地時における左右のショルダー部の接地圧が均一化されるので、ショルダー部の偏摩耗が低減される利点がある(耐偏摩耗性向上機能)。例えば、突出部61の高さAがA≧55[mm]では、突出部61を有する側(リムフランジ部11側)と突出部61を有さない側(リムフランジ部12側)とでサイドウォール部の剛性差が大きくなり過ぎてタイヤの耐偏摩耗性能が悪化する。
[付加的事項2]
また、この空気入りタイヤ1では、サイドウォール部に突出部61が形成されており、タイヤのリム組み状態にて突出部61がリムフランジ部11の端部よりもタイヤ幅方向外側に突出していることが好ましい(図2および図3参照)。例えば、タイヤ子午線方向の断面視にて、突出部61がリムフランジ部11の端部よりもタイヤ幅方向外側にせり出すように構成される。かかる構成では、突出部61がリムフランジ部11と縁石等との接触を防止するリムプロテクターとして機能する。これにより、リムフランジ部11の損傷が低減される利点がある(リムプロテクト機能)。
[付加的事項3]
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ空気圧の低下時にて突出部61がリムフランジ部11に係合してタイヤ荷重(タイヤに負荷される荷重)を支持することが好ましい(図4参照)。例えば、突出部61がリムフランジ部11の外周端部の近傍に配置される。すると、パンク等によりタイヤ空気圧が低下してサイドウォール部が変形したときに、突出部61がリムフランジ部11の外周端部に当接して引っ掛かる。これにより、タイヤ荷重が支持されてタイヤがパンクした状態での予備的な走行が可能となる(ランフラット機能)。
具体的には、例えば、大きなリムフランジ部11側のサイドウォール部に上記の突出部61が設けられ、他方のリムフランジ部12側のサイドウォール部に補強層63が設けられる。この補強層63は、例えば、略三日月状の断面形状を有し、タイヤ内面に貼り付けられて配置される。そして、タイヤ空気圧の低下時にて、一方のサイドウォール部では突出部61とリムフランジ部11との係合によりタイヤ荷重が支持され、他方のサイドウォール部では補強層63によってタイヤ荷重が支持される。これにより、タイヤがパンクした状態での予備的な走行が可能となる。
[付加的事項4]
また、この空気入りタイヤ1では、リム径Rを基準とする突出部61の高さAがA≧0.5[インチ]であることが好ましい(図2参照)。言い換えると、一方のリムフランジ部11が他方のリムフランジ部12よりも1[インチ]以上(半径で0.5[インチ]以上)大きいホイール10に対して、タイヤが装着可能となるように突出部61の位置が規定される。かかるホイール10を適用対象とすることにより、突出部61の諸機能が効果的に発揮されてタイヤの実用性が向上する利点がある。
具体的には、突出部61の高さAとタイヤの断面高さSHとが0.08≦A/SHの関係を有する。また、突出部61の高さAの上限はA/SH<0.70であり、この位置(タイヤ断面高さSHの30[%]の位置)から突出部61に至るプロファイルラインが上記したようなタイヤ幅方向内側に中心を有する略円弧によって構成されている(図1および図2参照)。
なお、突出部61の高さAは、上記のホイール10にタイヤが装着されて正規内圧を付与されると共に無負荷状態とされたときの距離により定義される。
また、この空気入りタイヤ1では、突出部61の高さAとタイヤの断面高さSHとが0.40≦A/SH≦0.60の関係を有することが好ましい(図2参照)。言い換えると、タイヤ幅が最大となる範囲(タイヤ総幅を規定する点が含まれる範囲)に突出部61の頂点が位置することが好ましい。これにより、突出部61がリムフランジ部11のプロテクトバーとして効果的に機能して、リムフランジ部11の損傷が低減される利点がある。
なお、実製品では、タイヤ表面に打刻される標章や付加的な凹凸などを避けて突出部61が配置される。
[付加的事項5]
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ子午線方向の断面視にて、サイドウォール部の部分のうちリムフランジ部11に対して嵌め合わされる部分(嵌合部62)のプロファイルラインをビード部側から延長したときに、この延長線を基準として突出部61の段差Bが規定される(図2参照)。すなわち、突出部61の段差Bは、突出部61が形成されていない場合のサイドウォール部のプロファイルラインを基準として規定される。そして、突出部61の段差Bは、0.5[mm]≦Bの範囲内にあることが好ましく、3.0[mm]≦Bの範囲内にあることがより好ましい。
かかる構成では、突出部61の段差Bが所定値以上に規定されているので、タイヤ接地時にて突出部61がリムフランジ部11に適正に当接して保持される。これにより、サイドウォール部の剛性が適正に補強されて、タイヤのショルダー部の偏摩耗が低減される利点がある(耐偏摩耗性向上機能)。また、突出部61の段差Bが所定値以上に規定されているので、タイヤ空気圧の低下時にて突出部61がリムフランジ部11の外周端部に対して確実に係合する。これにより、タイヤ荷重が確実に支持されて、タイヤのランフラット機能が適正に確保される利点がある。
また、上記の構成では、突出部61の段差BがB≦8.0[mm]の範囲内にあることが好ましい。これにより、突出部61のもぎれが効果的に防止される利点がある。
なお、突出部61の段差Bは、上記のホイール10にタイヤが装着されて正規内圧を付与されると共に無負荷状態とされたときの距離(タイヤ子午線方向の断面視における距離)により定義される。
[付加的事項6]
また、この空気入りタイヤ1では、リムフランジ部11の端部を基準とした突出部61のタイヤ幅方向外側への突出量Cが0.5[mm]≦C≦5.0[mm]の範囲内にあることが好ましい(図3参照)。かかる構成では、突出部61の突出量Cが適正化されているので、車両走行時におけるリムフランジ部11と縁石等との接触が適正に防止される。これにより、リムフランジ部11の損傷が効果的に低減される利点がある(リムプロテクト機能)。
なお、突出部61の突出量Cは、上記のホイール10にタイヤが装着されて正規内圧を付与されると共に無負荷状態とされたときの距離により定義される。
[付加的事項7]
また、この空気入りタイヤ1では、突出部61が一方(車両装着状態にて車両外側に位置する側)のサイドウォール部にのみ形成される(図1参照)。かかる構成は、他方(車両装着状態にて車両内側に位置する側)のサイドウォール部の構成が簡略化される点で好ましい。
しかし、これに限らず、突出部61が左右両側のサイドウォール部にそれぞれ形成されることが好ましい(図示省略)。また、サイドウォール部が左右で略対称となるように構成されることが好ましい。かかる構成では、各突出部61によりサイドウォール部の剛性がタイヤ左右で均一化されるので、タイヤの接地圧がタイヤ幅方向に均一化される。これにより、ショルダー部の偏摩耗が低減されるので、タイヤの耐偏摩耗性能がさらに向上する利点がある。
また、かかる構成では、タイヤが非方向性パターンを有するときに、タイヤの装着方向が限定されない点で好ましい。すなわち、タイヤがいずれの向きでホイール10に装着された場合にも、突出部61が大きなリムフランジ部11側(車両外側)に位置するので、突出部61の諸機能が適正に確保される。
[付加的事項8]
また、この空気入りタイヤ1では、突出部61の周囲におけるサイドウォール部のプロファイルが滑らかに形成されることが好ましい(図5参照)。例えば、突出部61の頂点612やビード部から突出部61の頂点に至る途中の屈曲部分613がR形状に形成される。かかる構成では、外力に対する突出部61の構造上の強度が向上するので、突出部61のもぎれや欠けが低減される。これにより、突出部61の損傷が抑制される利点がある。
[付加的事項9]
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ子午線方向の断面視にて、リムフランジ部11の端部が半径r2の略円弧形状を有すると共に、突出部61の部分のうちタイヤ接地時にてリムフランジ部11の端部に対して当接する部分が半径r1の略円弧形状を有し、且つ、リムフランジ部11の端部の半径r2と突出部61の部分の半径r1とがr2<r1の関係を有することが好ましい(図6参照)。すなわち、タイヤ子午線方向の断面視にて、リムフランジ部11と突出部61との当接部分がそれぞれ略円弧形状を有し、且つ、リムフランジ部11側の半径r2よりも突出部61側の半径r1の方が大きくなるように構成される。
かかる構成では、突出部61側の当接部分が平面から成る構成と比較して、突出部61とリムフランジ部11とが当接したときの接触面積が増加する。これにより、突出部61がリムフランジ部11によって安定的に保持されて、突出部61の諸機能(耐偏摩耗性向上機能やランフラット機能)が向上する利点がある。また、これにより、タイヤとホイール10との隙間への異物の入り込みが低減される利点がある。
[付加的事項10]
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ子午線方向の断面視にて、サイドウォールゴム6の肉厚Dが点P(タイヤ径方向外側からタイヤ断面高さSHの30[%]の位置におけるプロファイルライン上の点)から突出部61の頂点に向かうに連れて徐々に増加することが好ましい(図7参照)。すなわち、サイドウォールゴム6の肉厚Dは、点P側(D=D1)よりも突出部61側の方が大きくなるように構成される。かかる構成では、突出部61付近ほどサイドウォールゴム6の肉厚Dが増加するので、サイドカット等に対するサイドウォール部の耐久性が向上する利点がある。また、タイヤの外観(見栄え)が向上する利点がある。
[付加的事項11]
一般に、左右のリムフランジ部の高さHが相等しいホイールに対して既存の空気入りタイヤが装着された場合、タイヤの接地形状が左右対称となる。これに対して、左右のリムフランジ部11、12の高さHが相異なるホイール10に対して空気入りタイヤが装着された場合(特許文献1参照)には、タイヤの接地形状が左右で不均一となる。具体的には、大きな高さHを有するリムフランジ部11側にて、タイヤの接地長が大きくなり接地圧が増加する。すると、このリムフランジ部11側にてタイヤの偏摩耗(ショルダー摩耗)が発生し、また、タイヤの操縦安定性能が悪化するという課題がある。
そこで、この空気入りタイヤ1では、タイヤ子午線方向の断面視にて、突出部61側にかかるトレッド部ショルダー領域のプロファイルラインのラジアスRSh−Hと突出部61の反対側にかかるトレッド部ショルダー領域のプロファイルラインのラジアスRSh−LとがRSh−H<RSh−Lの関係を有することが好ましい(図8参照)。すなわち、大きなリムフランジ部11側にかかるトレッド部ショルダー領域のラジアスRSh−Hが他方のラジアスRSh−Lよりも小さくなる(丸くなる)ように規定される。
かかる構成では、突出部61側(大きな高さHを有するリムフランジ部11側)のラジアスRSh−Hが縮小されてプロファイルラインが丸みを帯びると、トレッド部ショルダー領域におけるタイヤの接地長が短くなる。これにより、左右のトレッド部ショルダー領域の接地長が均一化されて、タイヤの偏摩耗が低減される利点がある。また、タイヤの操縦安定性能が向上する利点がある。
なお、トレッド部のセンター領域およびショルダー領域は、トレッド部に形成された複数の主溝51、52のうちタイヤ幅方向の最も外側に位置する主溝52、52を境界として区画される。また、プロファイルラインのラジアスRTr−H、RTr−Lは、上記のホイール10にタイヤが装着されて正規内圧を付与されると共に無負荷状態とされたときの距離により定義される。
また、上記の構成は、図1に記載した構成(点Pから突出部61の頂点に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向内側に中心を有する略円弧から成る構成)以外の構成に対しても適用可能である。例えば、点Pから突出部の頂点に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向外側に中心を有する円弧を含んで構成されても良い。
[付加的事項12]
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ子午線方向の断面視にて、突出部61側にかかるトレッド部センター領域のプロファイルラインのラジアスRTr−Hと突出部61の反対側にかかるトレッド部センター領域のプロファイルラインのラジアスRTr−LとがRTr−H>RTr−Lの関係を有することが好ましい(図8参照)。すなわち、大きなリムフランジ部11側にかかるトレッド部センター領域のラジアスRTr−Hが他方のラジアスRTr−Lよりも大きくなるように規定される。例えば、トレッド部センター領域のプロファイルラインがセンタークラウンCLを境界として左右で異なるラジアスRTr−H、RTr−Lを有する場合に、これらのラジアスRTr−H、RTr−Lの大小関係が上記のように規定される。
かかる構成では、突出部61側のラジアスRTr−Hが拡張されることにより、突出部61側のタイヤの接地幅が大きくなる。すると、突出部61側の接地面積が確保されてトレッド部の接地圧がタイヤ左右にて均一化される。これにより、タイヤの偏摩耗(センター摩耗あるいはショルダー摩耗)が低減される利点がある。また、タイヤの操縦安定性能が向上する利点がある。
特に、上記のように突出部61側のラジアスRSh−Hが反対側のラジアスRSh−Lよりも小さく規定される構成では、プロファイルラインのラジアスRTr−H、RTr−Lの大小関係が上記のように規定されることが好ましい。かかる構成では、突出部61側におけるトレッド部の接地面積を拡張してトレッド部の接地圧を均一化することが容易となる。これにより、タイヤの偏摩耗がさらに低減されると共にタイヤの操縦安定性能が向上する利点がある。
[付加的事項13]
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ総幅Wを規定する点QH、QLをとると共にこれらの点QH、QLのリム径Rを基準とする高さSDH−H、SDH−Lを定義するときに、突出部61側の点QHの高さSDH−Hと突出部61の反対側の点QLの高さSDH−LとがSDH−H<SDH−Lの関係を有することが好ましい(図8参照)。例えば、タイヤ総幅Wを規定する点QHと突出部61の頂点とが一致する構成では、突出部61の高さA(=SDH−H)と突出部61の反対側の点QLの高さSDH−LとがA<SDH−Lの関係を有する。なお、突出部61の高さAの下限は、リムフランジ部11の高さH(H≦A)である。
かかる構成では、突出部61側におけるサイドウォール部の剛性が反対側のサイドウォール部の剛性よりも小さくなる。すると、タイヤ総幅Wを規定する点QH、QLの高さが等しい(SDH−H=SDH−L)構成と比較して、タイヤ左右の接地形状がバランス化される。これにより、タイヤの操案性能が向上する利点がある。
[性能試験]
この実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、(1)耐クラック性能、(2)耐もぎれ性能および(3)操安性能にかかる性能試験が行われた(図9および図10参照)。この性能試験では、タイヤサイズ255/55R18の空気入りタイヤがリムサイズ18×22×81/2Jのホイール10に装着され、この空気入りタイヤに260[kPa]の内圧およびタイヤ最大荷重の70[%]の荷重が負荷される。また、ホイール10は、車両装着状態にて車両外側に位置するリムフランジ部11の高さHが約H=50[mm]であり、車両内側に位置するリムフランジ部12の高さHが約H=20[mm]である。
まず、(1)耐クラック性能および(2)耐もぎれ性能に関する性能試験では、空気入りタイヤ1およびホイール10を装着した試験車両が速度50[km/h]かつ侵入角度30[deg]にて縁石を乗り越す。この縁石は、鋼製の略角柱部材から成る。また、縁石は、その高さが110[mm]であり、角部に1[mm]のR面取り加工が施されている。そして、試験車両が縁石を10[回]乗り越した後、タイヤに発生した外観故障(クラックおよびもぎれ)が観察されて評価が行われる。評価は、従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
図9に示す従来例1の空気入りタイヤでは、突出部がサイドウォール部からV字状に突出している(特許文献1参照)。また、サイドウォール部に形成された突出部の高さAが58[mm]、その段差Bが5[mm]、その突出量Cが2[mm]に設定されている。一方、発明例1、2の空気入りタイヤ1では、所定の点Pから突出部61に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向内側に中心を有する略円弧により構成されている(図1および図2参照)。また、突出部61の高さAが53[mm]、その段差Bが7[mm]に設定されている。また、発明例1の空気入りタイヤ1では、突出部61の突出量Cが5[mm]に設定されており、発明例2の空気入りタイヤ1では、突出部61の突出量Cが2[mm]に設定されている。
試験結果に示すように、発明例1、2の空気入りタイヤ1では、(1)耐クラック性能および(2)耐もぎれ性能のいずれもが向上していることが分かる(図9参照)。また、突出部61の突出量Cが小さいほど突出部61がもぎれ難いことが分かる。
次に、(3)操安性能にかかる性能試験では、試験車両がテストコースを走行し、専門のテストドライバーがレーンチェンジ性能やコーナリング性能などに関してフィーリング評価を行う。この評価は、従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
図10に示す従来例2の空気入りタイヤでは、サイドウォール部に突出部が設けられていない。一方、発明例3〜5の空気入りタイヤ1では、サイドウォール部に突出部61が設けられており、また、タイヤプロファイルのラジアスRSh−H、RSh−L、RTr−H、RTr−Lならびにタイヤ総幅Wを規定する点QH、QLの高さSDH−H(突出部61の高さAに等しい)、SDH−Lが適正化されている。
試験結果に示すように、従来例2と発明例3を比較すると、タイヤプロファイルのラジアスRSh−H、RSh−Lの大小関係(RSh−H<RSh−L)が適正化されることにより、タイヤの操案性能が向上することが分かる。また、発明例3と発明例4を比較すると、タイヤプロファイルのラジアスRTr−H、RTr−Lの大小関係(RTr−H>RTr−L)が適正化されることにより、タイヤの操案性能がさらに向上することが分かる。また、タイヤ総幅Wを規定する点QH、QLの高さSDH−H、SDH−Lの大小関係(SDH−H<SDH−L)が適正化されることにより、タイヤの操案性能がさらに向上することが分かる。
以上のように、本発明にかかる空気入りタイヤおよびタイヤ・ホイール組立体は、タイヤのサイドウォール部の突出部の損傷を低減できる点で有用である。
この発明の実施例にかかる空気入りタイヤ(タイヤ・ホイール組立体)を示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図1に記載した空気入りタイヤのサイドウォール部を示す拡大図である。 図1に記載した空気入りタイヤの作用を示す説明図である。 図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 この発明の実施例にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 この発明の実施例にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 この発明の実施例にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
符号の説明
1 空気入りタイヤ
2 ビードコア
3 カーカス層
4 ベルト層
5 トレッドゴム
51、52 主溝
6 サイドウォールゴム
61 突出部
612 頂点
613 屈曲部分
62 嵌合部
63 補強層
10 ホイール
11、12 リムフランジ部

Claims (18)

  1. 片側のリムフランジ部のリム径Rを基準とする高さHが他方のものよりも大きいホイールに装着され、且つ、タイヤのリム組み状態にて前記リムフランジ部の外周側端部よりもタイヤ径方向外側に位置すると共にタイヤ幅方向に突出する突出部をサイドウォール部に有する空気入りタイヤであって、
    タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ径方向外側からタイヤ断面高さSHの30[%]の位置におけるプロファイルライン上の点Pをとるときに、この点Pから前記突出部の頂点に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向内側に中心を有する略円弧により構成されることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. タイヤ接地時にて前記突出部が前記リムフランジ部に当接して保持される請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. タイヤのリム組み状態にて前記突出部がリムフランジ部の端部よりもタイヤ幅方向外側に突出している請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ空気圧の低下時にて前記突出部が前記リムフランジ部に係合してタイヤ荷重を支持する請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. リム径Rを基準とする前記突出部の高さAがA≧0.5[インチ]である請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. リム径Rを基準とする前記突出部の高さAとタイヤの断面高さSHとが0.40≦A/SH≦0.60の関係を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. タイヤ子午線方向の断面視にて、サイドウォール部の部分のうち前記リムフランジ部に対して嵌め合わされる部分(以下、嵌合部という。)のプロファイルラインをビード部側から延長したときに、この延長線を基準とする前記突出部の段差Bが0.5[mm]≦Bの範囲内にある請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記突出部の段差BがB≦8.0[mm]の範囲内にある請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記リムフランジ部の端部を基準とした前記突出部のタイヤ幅方向外側への突出量Cが0.5[mm]≦C≦5.0[mm]の範囲内にある請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記突出部が両側のサイドウォール部に形成される請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記突出部の周囲におけるサイドウォール部のプロファイルが滑らかに形成される請求項1〜10のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  12. タイヤ子午線方向の断面視にて、前記リムフランジ部の端部が半径r2の略円弧形状を有すると共に、前記突出部の部分のうちタイヤ接地時にて前記リムフランジ部の端部に対して当接する部分が半径r1の略円弧形状を有し、且つ、前記リムフランジ部の端部の半径r2と前記突出部の部分の半径r1とがr2<r1の関係を有する請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  13. タイヤ子午線方向の断面視にて、サイドウォール部を構成するサイドウォールゴムの肉厚Dが上記の点Pから前記突出部の頂点に向かうに連れて徐々に増加する請求項1〜12のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  14. タイヤ子午線方向の断面視にて、前記突出部側にかかるトレッド部ショルダー領域のプロファイルラインのラジアスRSh−Hと前記突出部の反対側にかかるトレッド部ショルダー領域のプロファイルラインのラジアスRSh−LとがRSh−H<RSh−Lの関係を有する請求項1〜13のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  15. タイヤ子午線方向の断面視にて、前記突出部側にかかるトレッド部センター領域のプロファイルラインのラジアスRTr−Hと前記突出部の反対側にかかるトレッド部センター領域のプロファイルラインのラジアスRTr−LとがRTr−H>RTr−Lの関係を有する請求項14に記載の空気入りタイヤ。
  16. タイヤ総幅Wを規定する点QH、QLをとると共にこれらの点QH、QLのリム径Rを基準とする高さSDH−H、SDH−Lを定義するときに、前記突出部側の点QHの高さSDH−Hと前記突出部の反対側の点QLの高さSDH−LとがSDH−H<SDH−Lの関係を有する請求項1〜15のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  17. 片側のリムフランジ部のリム径Rを基準とする高さHが他方のものよりも大きいホイールに装着され、且つ、タイヤのリム組み状態にて前記リムフランジ部の外周側端部よりもタイヤ径方向外側に位置すると共にタイヤ幅方向に突出する突出部をサイドウォール部に有する空気入りタイヤであって、
    タイヤ子午線方向の断面視にて、前記突出部側にかかるトレッド部ショルダー領域のプロファイルラインのラジアスRSh−Hと前記突出部の反対側にかかるトレッド部ショルダー領域のプロファイルラインのラジアスRSh−LとがRSh−H<RSh−Lの関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  18. 片側のリムフランジ部のリム径Rを基準とする高さHが他方のものよりも大きいホイールと、前記ホイールに装着される空気入りタイヤとを含むタイヤホイール組立体であって、
    前記空気入りタイヤは、タイヤのリム組み状態にて前記リムフランジ部の外周側端部よりもタイヤ径方向外側に位置すると共にタイヤ幅方向に突出する突出部をサイドウォール部を有し、タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ径方向外側からタイヤ断面高さSHの30[%]の位置におけるプロファイルライン上の点Pをとるときに、この点Pから前記突出部の頂点に至るサイドウォール部のプロファイルラインがタイヤ幅方向内側に中心を有する略円弧により構成されることを特徴とするタイヤ・ホイール組立体。
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