JP2004137430A - ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ゴム成分が天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムおよびスチレン−イソプレン−ブタジエンゴムからなる群から選ばれた少なくとも1種類のジエン系ゴム40重量%以下と、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムおよびイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも1種類のブチル系ゴム60〜100重量%とからなり、(B)層状珪酸塩が前記ブチル系ゴムに微分散してなるゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム組成物および空気入りタイヤに関し、さらに詳細には、低空気透過性に優れたゴム組成物およびそれをインナーライナーに用いた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の空気入りタイヤは、タイヤ内部に空気を入れることで荷重を支えたり、乗り心地性能などの各種特性を発現できる。そのためにも、タイヤ内の空気圧を保持することは非常に重要である。
【0003】
そのため、空気入りタイヤの内面には、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどのような低空気透過性のゴムからなるインナーライナー層が設けられている。
【0004】
一方、燃費の低減は自動車における大きな技術課題の一つであり、この一環として空気入りタイヤの軽量化に対する要求もますます強いものになっている。
【0005】
これらの要求を満たすために、さらなる低空気透過性のインナーライナーゴム組成物の開発が急務である。このようなゴム組成物ができれば、インナーライナーを薄肉化することができ、タイヤの軽量化が図れるからである。
【0006】
空気入りタイヤのインナーライナー層として、ブチルゴムなどの低空気透過性ゴムに替えて種々の材料を用いる技術が提案されている。たとえば、特許文献1には、タイヤの内面にさらなる低空気透過性の特性をもつポリ塩化ビニリデン、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの合成樹脂の溶液または分散液を塗布することが開示されている。
【0007】
しかしながら、この文献に開示の技術は、空気入りタイヤ内部のゴム層と合成樹脂層の接着性に問題があり、樹脂が硬く伸縮性が乏しいため、タイヤ回転時に受ける繰り返し変形に追従できず、破断するおそれがある。またインナーライナー層が耐湿性に劣るという欠点がある。
【0008】
特許文献2には、メトキシメチル化ナイロンの薄膜をインナーライナーとする空気入りタイヤが開示されており、この技術によれば、グリーンタイヤ内面または加硫後のタイヤ内面にメトキシメチル化ナイロンの溶液またはエマルジョンを散布または塗布することが開示されている。
【0009】
しかしながら、該文献に開示されている技術においても、薄膜の耐水性に劣る欠点に加え、膜厚の均一性を保持することが困難な欠点を有している。
【0010】
さらに、特許文献3には、ポリ塩化ビニリデンフィルムまたはエチレンビニルアルコール共重合体フィルムからなる低空気透過層と、ポリオレフィン系フィルム、脂肪族ポリアミドフィルムまたは、ポリウレタンフィルムからなる接着層を有した多層フィルムをタイヤの空気透過防止層として使用している例がある。しかしながら、この系では、低空気透過層が柔軟性に欠けるため、タイヤ走行時の材料伸縮にフィルムが追従できず、亀裂を発生することがあった。
【0011】
さらに、特許文献4には、タイヤインナーライナー用ゴム組成物として炭素数が4〜7のイソモノオレフィンと、パラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムにカーボンブラック、可塑剤および加硫剤を含む組成物をタイヤインナーライナーに使用することが提案されているが、かかるインナーライナーでは、空気透過係数が不充分でさらなるタイヤの軽量化は適当でない。
【0012】
また、特開平8−259741号、特開平11−199713号、特開2000−63572号、特開2000−159936号、特開2000−160024号公報などには、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂およびイミド系樹脂とエラストマーをブレンドまたは動的架橋させたゴム組成物を、タイヤインナーライナーに用いることが提案されている。しかし、これらのゴム組成物では、タイヤ成型、加硫などの加工時に、ほかのゴム材料の伸縮に追従するのが非常に困難であることや、走行時にも亀裂が発生することがあった。
【0013】
そのほか、ゴム物性に優れ、空気透過性の低いインナーライナー用ゴム組成物を得ることを目的として、ゴム組成物に雲母を配合する技術も知られている(たとえば、特許文献5参照)。しかし、このような技術では、雲母を多量に配合しないと空気透過性の低減効果が少なく、一方、多量に配合するとゴム物性の低下が起こるという問題があった。
【0014】
【特許文献1】
特公昭47−31761号公報
【特許文献2】
特開平5−318618号公報
【特許文献3】
特開平6−40207号公報
【特許文献4】
特表平5−508435号公報
【特許文献5】
特開平11−140234号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
前記のとおり、低空気透過性の組成物をインナーライナー層に用いる種々の提案がなされているが、いまだ実用化されるには至っていない。したがって、本発明の目的は、空気入りタイヤの空気入り内圧保持性(タイヤの空気保持性)を損なうことなく、タイヤの軽量化を可能にし、ゴム層との接着性、空気入りタイヤの空気透過防止層用として最適なゴム組成物、およびそれをインナーライナーに用いて空気防止層を構成した空気入りタイヤを提供することにある。
【0016】
すなわち、本発明は、従来用いられているインナーライナーゴム組成物の低空気透過性を大幅に改善するゴム組成物、および空気保持性を損なうことなく、軽量化が図れるタイヤを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記問題を改善すべく鋭意検討した結果、特定の配合を有するゴム成分からなるゴム組成物に、層状珪酸塩を微分散させることによって、低空気透過性が大幅に改善されることを見いだし、本発明に至った。
【0018】
すなわち、本発明は、(A)ゴム成分が天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンイソプレンブタジエンゴムからなる群から選ばれた少なくとも1種類のジエン系ゴム40重量%以下と、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムおよびイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも1種類のブチル系ゴム60〜100重量%とからなり、(B)層状珪酸塩が前記ブチル系ゴムに微分散してなるゴム組成物に関する。
【0019】
前記ゴム組成物は、ゴム成分(A)100重量部に対して、層状珪酸塩(B)0.5〜20重量部を含有することが好ましい。
【0020】
前記ゴム組成物は、層状珪酸塩(B)を予めブチル系ゴムに微分散させてなることが好ましい。
【0021】
前記ゴム組成物において、層状珪酸塩(B)は、有機化処理されていることが好ましい。
【0022】
また、本発明は、前記ゴム組成物をインナーライナーに用いた空気入りタイヤに関する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物は、(A)ゴム成分および(B)層状珪酸塩からなる。
【0024】
ゴム成分(A)は、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)およびスチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)からなる群から選ばれた少なくとも1種類のジエン系ゴムと、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)およびイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも1種類のブチル系ゴムとからなる。
【0025】
前記ジエン系ゴムは、ゴム成分(A)中に40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは30〜5重量%、とくに好ましくは30〜10重量%含有する。前記ジエン系ゴムがゴム成分(A)中に40重量%をこえて含有すると、空気透過性の改善代が少なくなる。なお、前記ジエン系ゴムのゴム成分(A)中に占める比率が10重量%未満では、隣接するゴムとの接着性が低下する傾向にある。
【0026】
前記ブチル系ゴムとしては、ビード、カーカスなどの隣接するゴムとインナーライナーゴム下層との接着性が優れている点から、X−IIRまたは炭素数4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物が好ましい。
【0027】
前記X−IIRまたはイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物におけるハロゲンとしては、通常ゴム成分に使用されるハロゲンであれば、とくに限定されず、たとえば塩素、臭素があげられる。
【0028】
前記ブチル系ゴムは、ゴム成分(A)中に60〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは70〜95重量%、とくに好ましくは70〜90重量%含有する。前記ブチル系ゴムのゴム成分(A)中に占める含有比率が60重量%未満の場合、充分な低空気透過性が得られない問題がある。なお、前記ブチル系ゴムの含有比率が90重量%をこえると、隣接するゴムとの接着性が低下する傾向にある。ブチル系ゴムのゴム成分(A)中に占める含有比率60〜100重量%は、低空気透過性の優れるブチル系ゴムが主成分(海層)(ブチル系ゴムがマトリックス層(連続層)になっていること)として存在し得る量以上である。
【0029】
層状珪酸塩(B)は、層状構造をしたメタ珪酸塩またはオルト珪酸塩である。具体的には、膨潤性をもつ粘土系鉱物があげられる。粘土系鉱物は、シリカの4面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウムなどを中心金属にした8面体層を有する2層構造よりなるタイプと、シリカの4面体層がアルミニウムやマグネシウムなどを中心金属にした8面体層を両側から挟んだ3層構造よりなるタイプに分類される。前者としては、カオリナイト族、アンチゴライト族類をあげることができる。後者としては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族などをあげることができる。具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフェライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリッリクマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などをあげることができる。
【0030】
かかる層状珪酸塩(B)を含むものとしては、ナトリウム−ベントナイトが、工業的なコストや分散性が優れている点で好ましい。
【0031】
層状珪酸塩(B)の平均粒子径は、5μm以下であることが好ましい。層状珪酸塩(B)の平均粒子径が5μmよりも大きいと、タイヤ製造時における加工性が低下する傾向がある。なお、ここで、平均粒子径とは、層状珪酸塩(B)の長径の平均値をいう。
【0032】
層状珪酸塩(B)の平均アスペクト比は、50〜5000であることが好ましい。層状珪酸塩(B)の平均アスペクト比が50よりも小さいと、ガスバリアー性の発現が不充分となる傾向があり、5000よりも大きいと、技術的に難しく、経済的にも高価なものとなる。なお、平均アスペクト比とは、層状珪酸塩(B)の長径の厚さに対する比の平均値をいう。
【0033】
本発明のゴム組成物において、層状珪酸塩(B)は、前記ブチル系ゴムに微分散されている必要がある。層状珪酸塩(B)が前記ブチル系ゴムに微分散されていることによって、空気透過性のさらなる改善効果が得られる。なお、本発明のゴム組成物においては、層状珪酸塩(B)は前記ブチル系ゴムに微分散されていればよく、前記ジエン系ゴムにも微分散されていてもよい。
【0034】
層状珪酸塩(B)のブチル系ゴムに微分散される量は、層状珪酸塩(B)全量の50重量%以上であることが好ましい。層状珪酸塩(B)のブチル系ゴムに微分散される比率が50重量%未満では、空気透過性の改善代が少ない傾向にある。
【0035】
本発明のゴム組成物は、層状珪酸塩(B)を前記ブチル系ゴムへ予め微分散させてなることが好ましい。層状珪酸塩(B)を低空気透過性の優れるブチルゴムへ予め分散させることで、ほかのジエン系ゴムとのブレンド配合の場合、低空気透過性のさらなる改善が計れる。
【0036】
層状珪酸塩(B)が微分散されているとは、層状珪酸塩における層状のフィラーが剥離していることである。具体的には、透過型電子顕微鏡(TEM)による直接観察や、層状珪酸塩(B)を含むゴム組成物にX線回折を試みたときに、2θが6〜8°において、強度のピークが消滅していることである。図1は、A、B、Cの3形態の層状珪酸塩のX線回折結果である。この場合、本発明における微分散は、6〜8°(2θ)において強度のピークが消滅しているAおよびBの形態が相当する。
【0037】
かかる微分散を得るためには、層状珪酸塩(B)の層間の交換性陽イオンをマトリックスにあわせて交換することで実現できる。具体的には、交換性陽イオンをナトリウムイオンにしたり、有機の陽イオン、たとえば第4級アンモニウム塩でイオン交換(親有機化処理)したりする方法などがあげられる。
【0038】
本発明のゴム組成物において、層状珪酸塩(B)を微分散させる方法は、通常のBR型バンバリー、ロールや二軸押し出し機などで機械的に混練りすることで微分散させる方法、配合オイルに予め微分散させておく方法や、ゴムを溶液状態にしたうえで、溶液に予め微分散させる方法などを用いてもよい。
【0039】
層状珪酸塩(B)の配合量は、ゴム成分(A)100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、とくに好ましくは1〜10重量部である。層状珪酸塩(B)の配合量が0.5重量部未満では、充分な低空気透過性の改善が得られない傾向がある。また、20重量部より多いと、ゴムが硬くなりすぎてタイヤ成型時や走行時の変形に追従できない傾向がある。
【0040】
また、層状珪酸塩(B)は、ゴムへの分散性が優れている点で、有機化処理されていることが好ましい。有機化処理とは、第4級アンモニウム塩でイオン交換処理することである。第4級アンモニウム塩の具体例として、たとえば、ジメチルジヒドロ牛脂第4級アンモニウム塩(dimethyl, dihydrogenated tallow, quaternary ammonium)、ジメチルジヒドロ牛脂2−エチルヘキシル第4級アンモニウム塩(dimethyl, dihydrogenated tallow, 2−ethylhexyl quaternary ammonium)、ジメチルベンジルヒドロ牛脂第4級アンモニウム塩(dimethyl, benzylhydrogenated tallow, quaternary ammonium)などがあげられる。なかでも、コスト面からジメチルジヒドロ牛脂第4級アンモニウム塩が好ましい。
【0041】
本発明のゴム組成物には、ゴム成分(A)、層状珪酸塩(B)のほかに、通常タイヤ用ゴム組成物に用いられる配合剤、たとえば、カーボンブラック、nM・xSiOy・zH2Oで表わされるシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、クレー、タルク、酸化マグネシウムなどの補強剤;薬品オイルなどの可塑剤、粘着付与剤、硫黄、亜鉛華などの架橋剤、架橋助剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
【0042】
前記カーボンブラックの種類としては、とくに制限はなく、たとえば、HAF、ISAF、SAF、GPF、FEFなどがあげられる。
【0043】
本発明のゴム組成物においてカーボンブラックを配合する場合、該カーボンブラックの配合量は、ゴム成分(A)100重量部に対して、20〜80重量部であることが好ましい。カーボンブラックの配合量が20重量部未満では、補強効果が小さくなる傾向があり、80重量部をこえると、練りゴムの粘度が上昇し、製造時の加工性が低下する傾向がある。
【0044】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)、層状珪酸塩(B)および必要に応じてそのほかの配合剤を、通常の加工装置、たとえば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混練りすることにより得られる。
【0045】
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物を、タイヤのインナーライナーに用いて、通常の方法によって製造され得る。
【0046】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例および比較例では、以下の各材料を用いた。
【0047】
(材料)
天然ゴム:テックビーハング社製のRSS#3
BR−IIR:エクソンブロモブチル2255
層状珪酸塩:クニミネ工業(株)製のクニピアF(ナトリウム−ベントナイト)(平均粒子径:0.1〜2μm、平均アスペクト比:320、層間の交換性陽イオンの大部分がナトリウムイオンであるもの)
層状珪酸塩:(株)ホージュン製のCloisite15A(有機化処理品)(平均粒子径:0.5〜5μm、平均アスペクト比:500、有機化処理:ジメチルジヒドロ牛脂第4級アンモニウム塩でイオン交換処理されたもの)
GPF:東海カーボン(株)製のシーストV
レジン:エッソ石油社製のESCOREZ 1102
オイルA:(株)ジャパンエナジー製のJOMOプロセスX140
オイルB:昭和シェル石油(株)製のマシン油22
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
加硫促進剤DM:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM
【0048】
実施例1〜8および比較例1〜7
(加工方法)
表1に示すベース配合および表2または3に示す層状珪酸塩の配合量を、それぞれ配合処方にしたがい、硫黄、亜鉛華および加硫促進剤以外の配合剤をBR型バンバリーで混練りをしてマスターバッチを作成した。そののち、該マスターバッチと硫黄、亜鉛華、加硫促進剤を、8インチロールにて混練りして、未加硫の各種供試ゴム組成物を得た。これらの配合物を170℃で15分間プレス加硫した。
【0049】
実施例9
(加工方法)
ナトリウム−ベントナイト全量をブチル系ゴムに予め混合した以外は、実施例1〜8および比較例1〜7における加工方法と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。
【0050】
比較例8
(加工方法)
層状珪酸塩全量をジエン系ゴムに予め混合した以外は、実施例1〜7および比較例1〜7における加工方法と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。
【0051】
得られた各加硫ゴム組成物について、以下に示す各特性の試験を行なった。
【0052】
(試験方法)
・空気透過量
JIS K7126のプラスチックフィルムおよびシートの気体透過度試験方法(A法)に準じて、試験温度25℃および試験気体を空気(窒素:酸素=8:2)にして、空気透過量を測定し、空気透過係数(10−11cc・cm/cm2・sec・cmHg)を算出した。測定には、東洋精機製作所(株)製の恒温式ガス透過率測定装置M−C1を用いた。
【0053】
・引っ張り試験
JIS K6251に準じて、ダンベル状3号形を使用して評価を行なった。
M100(MPa)は100%伸長時のモジュラス、TB(MPa)は破断時の応力、EB(%)は破断時の伸びである。
【0054】
・タイヤ評価
各種ゴム組成物をインナーライナー部に用いた195/65R14タイヤを作製し、初期内圧200kPa、無負荷条件にて、室温25℃で3ヵ月間放置して、測定間隔4日毎に圧力を測定した。測定圧力Pt、初期圧力P0および経過日数tとして、関数:
Pt/P0=exp(−αt)に回帰してα値を求める。得られたαを用い、t=30を下式に代入し、
β={1−exp(−αt)}×100
β値を得る。このβ値を1ヵ月当たりの圧力低下率(%/月)とする。
【0055】
結果を表2〜5に示す。表2は、ポリマー種および層状珪酸塩の配合の有無による物性の違いを表わす。表3は、層状珪酸塩の配合量による物性の違いを表わす。表4は、層状珪酸塩の混合部位による物性の違いを表わす。表5は、各ゴム組成物をインナーライナーに用いてなるタイヤについての内圧低下率(%/月)を表わす。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
実施例1〜8は、特定比率のジエン系ゴムおよびブチル系ゴムからなり、層状珪酸塩が前記ブチル系ゴムに微分散してなることにより、空気透過係数が低下した。このことは、低空気透過性に優れていることを示している。
【0062】
一方、ゴム組成物中に層状珪酸塩を配合しなかった比較例1、3、5〜7は、空気透過係数が好ましい範囲でなかった。
【0063】
ゴム組成物中に層状珪酸塩が配合されたものの、ゴム成分に占めるジエン系ゴムおよびブチル系ゴムの比率が特定の範囲外であった比較例2および4もまた、空気透過係数が好ましい範囲でなかった。
【0064】
層状珪酸塩をブチル系ゴムに予め混合して作製した実施例9では、空気透過係数が実施例2よりもさらに低下した。
【0065】
また、タイヤ評価においても、実施例2および9は、比較例2および6よりも内圧低下率が低かった。このことは、実施例2および9の方が比較例2および6よりもタイヤの空気入り内圧保持性(タイヤの空気保持性)が優れていることを示している。
【0066】
なお、実施例1〜9における引張強度については、インナーライナー用ゴムとして充分に適用できる範囲にあることが分かった。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、ゴム組成物を構成するブチル系ゴムに層状珪酸塩が微分散してなることにより、低空気透過性に優れたゴム組成物を得ることができる。また、空気入りタイヤにおいて、該ゴム組成物をインナーライナーに使用することにより、内圧保持性の優れたタイヤが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A、B、Cの3形態の層状珪酸塩のX線回折結果を示す図である。
Claims (5)
- (A)ゴム成分が天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムおよびスチレン−イソプレン−ブタジエンゴムからなる群から選ばれた少なくとも1種類のジエン系ゴム40重量%以下と、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムおよびイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも1種類のブチル系ゴム60〜100重量%とからなり、(B)層状珪酸塩が前記ブチル系ゴムに微分散してなるゴム組成物。
- ゴム成分(A)100重量部に対して、層状珪酸塩(B)0.5〜20重量部を含有する請求項1記載のゴム組成物。
- 層状珪酸塩(B)を予めブチル系ゴムに微分散させてなる請求項1または2記載のゴム組成物。
- 層状珪酸塩(B)が有機化処理されている請求項1、2または3記載のゴム組成物。
- 請求項1、2、3または4記載のゴム組成物をインナーライナーに用いた空気入りタイヤ。
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