JPH08302025A - 無機質フィラー含有エラストマーの製造方法および複合樹脂材料 - Google Patents

無機質フィラー含有エラストマーの製造方法および複合樹脂材料

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JPH08302025A
JPH08302025A JP10866895A JP10866895A JPH08302025A JP H08302025 A JPH08302025 A JP H08302025A JP 10866895 A JP10866895 A JP 10866895A JP 10866895 A JP10866895 A JP 10866895A JP H08302025 A JPH08302025 A JP H08302025A
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JP
Japan
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elastomer
inorganic filler
organic
compound
organic solvent
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Application number
JP10866895A
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English (en)
Inventor
Hiromoto Nakazawa
弘基 中沢
Taketoshi Fujita
武敏 藤田
Teruo Hosokawa
輝夫 細川
Takashi Tamura
堅志 田村
Hirofumi Inoue
浩文 井上
Yoshihiro Mogi
義博 茂木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Research in Inorganic Material
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
National Institute for Research in Inorganic Material
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エラストマー中に無機質フィラーをナノオー
ダーレベルで微細に分散させて高剛性と耐熱、耐衝撃性
に優れた無機質フィラー含有エラストマーの製造方法、
または、耐衝撃性に優れた複合樹脂材料を提供する。 【構成】 層状化合物に有機カチオンを接触させる工程
と、その接触させたものを有機溶媒で膨潤化する工程
と、その膨潤化したものをエラストマーと混練する工程
とを有する。 【効果】 微細な無機質フィラーを高濃度でエラストマ
ー中に含有させることができるので、高い剛性および耐
熱性と優れた耐衝撃性を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、様々な成形品、特に剛
性、耐熱性、耐衝撃性の要求される成形品に使用される
無機質フィラー含有エラストマーの製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフィンを始めとする樹脂
の諸特性、特に機械的特性及び耐熱性を改良するため
に、剛性の高い無機質フィラーを混合、混練することが
行われている。無機質フィラーを添加したポリオレフィ
ン樹脂組成物は、添加していないポリオレフィン樹脂組
成物と比較して優れた剛性と耐熱性を有することから、
特に自動車や家電製品分野等の成形材料として広く用い
られている。しかし、一般に、無機質フィラーを充填す
ると剛性は向上するものの耐衝撃性は低下してしまうこ
とが知られている。
【0003】そこで、本願発明者は、フィラーをより細
かくしかつ分散制御を行うことで剛性の向上や耐衝撃性
を改良した発明を先に特許出願(特願平5−30444
6号)した。しかしながら、この方法はフィラーを超微
粉化するもので、このフィラーの超微粉化には粉砕と分
級の工程を繰り返し行うことからフィラーコストが非常
に高いものとなり、上記方法は経済的ではなかった。
【0004】また、フィラーを微細分散する手法とし
て、特開平2−102261号公報および特開平2−1
05856号公報には、粘土鉱物にゲストとしてアミン
類をドープして層間距離を広げた後、モノマーを層間に
いれ、それを重合する際に放出されるエネルギーによっ
て層状粘土鉱物を自己崩壊させてオングストロームレベ
ルで分散させたコンポジットを製造するものが示されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この手
法では効率よくフィラーを分散できるものの、特別な重
合設備が必要で、製品価格に高い固定費を担うため、経
済的ではない。また、その反応も縮重合か、あるいはラ
ジカル重合系のうちでもサスペンジョン、エマルジョン
重合に限られる。その上、層間にモノマーを挿入したも
のを反応の進行と共に逐次、添加する必要があるので、
装置上、制御が煩雑で、均一な濃度の材料を得ることは
困難である。そのため、特に高濃度の複合体は得にく
い。また、層間にドープするモノマーであるエチレン、
プロピレン、ブテン、イソプレン等を層間に安定して存
在させるのに、モノマー濃度を上げるにはこれらを液体
として高圧下で層間に存在させなければならないが、こ
れは実際上困難である。そこで、反応器中での滞留時間
を長くすることが考えられるが、これも経済性を欠くも
のである。そのため、重合系に注入する際に高圧下にモ
ノマーを挿入した層間化合物を保持しておくことになる
が、単独あるいは共重合であってもモノマーとして使う
には装置上の制約があり、液体状のものが望ましい。ま
た、ポリオレフィンで使われるアニオン系配位重合系
に、上記方法を適用すると、層間に存在するアミノ酸の
ような活性水素が多量に存在し、雰囲気中で触媒毒とし
て作用するので、不適当である。従って、オングストロ
ームレベルのフィラー分散をした樹脂組成物を得るには
限られた樹脂材料下でかつ低濃度のフィラーの樹脂組成
物しか得られない。
【0006】また、耐衝撃性の高い樹脂材料として、マ
トリクス樹脂と、マトリクス樹脂中に、他の樹脂からな
り無機質フィラーを含有したものが島相として分散され
た島相樹脂とからなる複合樹脂材料(以下、複合樹脂材
料中において、島相の領域をドメインと称する。)があ
る。このような複合樹脂材料のマトリクス樹脂およびド
メインに上記方法で無機質フィラーを分散させたものに
衝撃が加えられると、その衝撃エネルギは、マトリクス
樹脂中を伝搬してドメインに到達し、ドメインを構成す
る島相樹脂は衝撃エネルギを受けて変形すると共に、島
相樹脂と島相樹脂中に分散した無機質フィラーとの界面
に微小破壊が生じる。この界面が剥離することにより、
衝撃エネルギが吸収され、複合樹脂材料全体としての耐
衝撃性が向上する。しかしながら、上記方法で得られた
無機質フィラーであってはサブミクロンオーダのものし
か得られず、ドメインを構成する島相樹脂がエラストマ
ーの場合、そのガラス転移点温度以上であれば良好であ
るものの、ガラス転移点温度以下の状態であると、無機
質フィラーとエラストマーの界面が脆性破壊となり、衝
撃吸収効果が小さくなってしまい、耐衝撃性の飛躍的な
向上が図れない。
【0007】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、エラストマー中に無機質フィラーをナノオー
ダーレベルで微細に分散させて高剛性と耐熱、耐衝撃性
に優れた無機質フィラー含有エラストマーの製造方法、
または、耐衝撃性に優れた複合樹脂材料を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の無機質フ
ィラー含有エラストマーの製造方法は、層状化合物に有
機カチオンを接触させる工程と、その接触させたものを
有機溶媒で膨潤化する工程と、その膨潤化したものをエ
ラストマーと混練する工程とを有することを特徴とする
ものである。
【0009】請求項2記載の無機質フィラー含有エラス
トマーの製造方法は、層状化合物に有機カチオンを添加
してなる親油性化合物をエラストマーの存在下の有機溶
媒中で膨潤化した後に、これを溶融混練し、有機溶媒を
除去することを特徴とするものである。
【0010】本発明においては、有機カチオンは、4級
アンモニウム塩類またはアミノ酸類の正電荷有機化合物
であることが好ましい。
【0011】また、有機溶媒は、電子供与性有機化合物
または芳香族化合物であることが好ましい。
【0012】本発明の複合樹脂材料は、層状化合物に有
機カチオンを添加してなる親油性化合物を有機溶媒中で
膨潤化した後に、これをエラストマーと混練し、有機溶
媒を除去してなる無機質フィラー含有エラストマーと、
これと相溶するマトリクス樹脂組成物とを有し、そのマ
トリクス樹脂組成物中に前記エラストマーが分散されて
いることを特徴とするものである。
【0013】
【作用】本発明は、従来のフィラー分散系では得られな
いような剛性と耐熱性さらに耐寒衝撃性を有するエラス
トマーを得るために、膨潤性層状化合物に有機カチオン
を挿入して、有機親和性を持たせた上で、有機溶媒、好
ましくは電子供与性有機化合物及びまたは芳香族化合物
を用いて無限膨潤化し、それをエラストマーと混練、好
ましくは機械的混練をし、溶融分散を行うもので、層状
化合物を構成する無機質フィラーをナノレベルで分散す
ると共に、高濃度のナノレベルのフィラー分散を得るも
のである。
【0014】以下に、本発明を詳説する。本発明では、
まず層状化合物に有機カチオンを添加して親油性化合物
を生成する。本発明で用いる層状化合物は粘土鉱物を主
とするもので、膨潤性粘土化合物、燐酸ジルコニュウム
等が挙げられる。膨潤性粘土鉱物には、スメクタイト、
バーミキュライト、マイカ、クロライト等がある。これ
らの天然に産する結晶性層状粘土鉱物には、例えば以下
のような化合物が挙げられる。スメクタイト構造には、
サポニナイト、ヘクトライト、モンモリオナイト、サウ
コナイト等。バーミキュライトに類するものには、トリ
オクトヘドラル−バーミキュライト、ジオトクヘドラル
−バーミクライト。マイカでは、マスコバイト、フィロ
ゴパイト、バイオタイト、レピドライト、パラゴナイ
ト、テトラシリシックマイカ等。また、タルクにフッソ
処理を行って膨潤性マイカを合成した物、あるいは水熱
合成によって上記のような構造を得たものが挙げられ
る。更に、層間に挿入されているカチオンに、ナトリウ
ム、カリウム、リチウム等異なる同種のイオンの置換に
よる種々の化合物が適用できる。
【0015】本発明で用いる有機カチオンとしては、4
級アンモニウム塩類またはアミノ酸類の正電荷有機化合
物が好ましい。トリアルキルアンモニュウム塩は、下記
化学式で示される。
【化1】 化学式中、R1,R2,R3、R4は炭素数が1以上のア
ルキル基であって、少なくともその中のアルキル基の1
つが主鎖長で炭素数がC4以上でC30以下が良い。よ
り望ましくはC12〜C25の範囲が良く、C15〜C
22の範囲であればより好ましい。炭素数がC4未満で
は層間距離が充分開かず後の溶媒による膨潤化に於いて
多量の溶剤が必要となる。また炭素数がC30よりも多
いと、分子サイズが大きいため層間に入りにくく、かつ
層間に挿入された絶対量としても少ないため、結果とし
て多量の溶剤を使っても層状の1ユニットまで崩壊する
無限膨潤化領域に達しないため好ましくない。尚、式
中、Xは種々のハロゲンであるが、特にクロルが好まし
い。
【0016】この有機カチオンを上記層状化合物に添加
することで、イオン交換を行うと共に膨潤と有機親和処
理を行う。膨潤化処理として具体的には、層状化合物の
粉末を水やアルコール等で十分溶媒和させた後、有機カ
チオンを加え、撹拌し、層状化合物の層間の金属イオン
を有機イオンに置換させる。その後、未置換の有機カチ
オンを十分に洗浄し、濾過、乾燥する。有機カチオンの
添加量は、例えばカラム浸透法(参照:「粘土ハンドブ
ック」第576〜577頁、技法堂出版)や、メチレン
ブルー吸着量測定法(日本ベントナイト工業会標準試験
法,JBAS−107−91)等の方法で層状化合物の
陽イオン交換容量(CEC)を測定し、決定する。有機
カチオンの添加量は、CECに対して1当量から10当
量の範囲が望ましい。
【0017】次に、上記得られた親油性化合物に有機溶
媒を添加して無限膨潤処理を行う。すなわち、親油性化
合物に有機溶媒を添加、撹拌することで、有機溶媒が親
油性化合物の層間に侵入し、有機溶媒の有機カチオンの
溶媒和によって有機カチオンの分子の自由度を大きくす
ると共に、アルキルアンモニュウム塩の一番長い主鎖が
一番安定なコンフォーメーションとなる。この結果、分
子の主鎖は一番安定な状態、すなわち主鎖が溶媒の中で
伸びきった状態となる。その際、イオン的に配位した有
機カチオンは柱のように配座し、層間距離を押し広げ
る。そして、各層は層間の相互の電気的なイオン結合力
から解き放れ、層の単一ユニットのレベルまで分離し、
溶媒の中に分散する。したがって、有機カチオンの一番
長い主鎖長がC4未満であると、有機溶媒を添加しても
無限膨潤状態にはなりにくい。また有機カチオンの主鎖
が充分長くても、その置換量がきわめて少ないと、有機
溶媒の侵入により有機カチオンとの溶媒和は起こるもの
の、その効果はきわめて小さく、添加量としては理論置
換イオン量の1当量以上から10当量の範囲が必要とな
る。
【0018】単一ユニットになって無限膨潤化した層間
化合物は、各々での有機カチオンがイオン的に配位して
いるためにコロイド状になって沈澱しない。本発明で使
用する有機溶媒は、芳香族化合物または電子供与性有機
物、特に電子供与体の構造を持つ脂肪族系アルコール及
び又はそのエーテルが好ましい。また高誘電率溶媒の電
子供与体であっても良い。
【0019】例えば、芳香族化合物ではベンゼン、トル
エン、キシレン、デカヒドロナフタレン、オルトジクロ
ロベンゼン、あるいは同族体としてアルキルベンゼン、
ピリジン、キノリン等がある。上記脂肪族系アルコール
には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパール、ブタノール、アミールアルコール、ヘキサノ
ール、シクロケキサノール、オクタノール、ジエチレン
グリコール、グリセリン等がある。上記脂肪族系エーテ
ルには、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、テ
トラヒドロフラン、ブチルエチルエーテル等が挙げられ
る。上記高誘電率溶媒の電子供与体としては、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリ
ドン、ジメチルスルフォアミド等が挙げられる。
【0020】そして、上記無限膨潤化した親油性化合物
をエラストマーと混練し、分散する。エラストマーに
は、例えば、エチレンプロピレン共重合体(EPR)、
エチレンブテン共重合体(EBR)、エチレンプロピレ
ンジエン共重合体(EPDM)、ブタジエン−スチレン
ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリエ
チレンオキサイドゴム(POR)、また、スチレンブタ
ジエンゴムを水添したスチレンエチレンブテンの3元共
重合体(SEBS)、スチレンイソプレン共重合体の水
添ゴム(SEPS)、1,2−ブタジエンと1,4−ブタ
ジエン共重合体の水添ゴム(CEBC)等が適用でき、
単独および又は複数組合せても良い。
【0021】無限膨潤化した親油性化合物とエラストマ
ーの混練ないし分散では、エラストマーの粘度が高いこ
とにより、有機溶媒を混練機の中で気化させ、無限膨潤
構造が崩れ分離しないうちに混合を行い、引き続いて剪
断による分散を行い、エラストマー中に残った有機溶媒
を脱気する工程を経て無限膨潤した層間化合物をナノレ
ベルで分散する。これに用いる混練機には、例えば、バ
ンバリーミキサー、ローター付きコンティニュアスミキ
サー、2軸押出機(スクリュー回転方向が異方向,同方
向)等が挙げられる。
【0022】分散装置の一例を図1に示す。この分散装
置は、2軸同方向の押出機10を使用するもので、例え
ば、スクリュー径40φミリ、スクリュー長さ(L)/
スクリュー径(D)の比が51のものである。図1に示
すものでは、スクリューのバレル部は分割されていて3
ピッチずつのバレルを継ぎ足した構造になっていて、全
部で17ブロック(第1ブロック〜第17ブロック)か
らなる。ベント口はホッパー12から数えて、5ブロッ
ク目、10ブロック目、13ブロック目、15ブロック
目の4つのベント口で構成されている。それらのベント
口はいずれも真空ポンプ14に接続している。
【0023】そして、無限膨潤化した親油性化合物のス
ラリーはスラリータンク16から供給ポンプを介して第
3ブロックに供給される。供給ポンプには、安定した供
給を行うために、有機溶媒のスラリーの粘度に応じて最
適なものを選択する。例えば、有機溶媒のスラリーの粘
度が10×104以上なら供給ポンプにギヤーポンプ1
8、粘度がそれ以下ならカスケード(直列)につなげた
プランジャーポンプ20を用いることが望ましい。そし
て、エラストマーをホッパー12から供給すると、エラ
ストマーはスクリューによって移送され、第3ブロック
を中心に第2ブロックと第5ブロックの間でサイドフィ
ードされたスラリーと接触する。この間のゾーンはスラ
リーに使われている有機溶媒の沸点より低く設定しなけ
ればならない。その先の第5ブロックのベント口で過剰
の有機溶媒の一次脱気を行う。次いで第6ブロックから
第10ブロックの間でエラストマーが可塑化される温度
に達するように第5ブロックのベント口から温度を暫時
高くなるように設定する。
【0024】もし、成形の際に揮発分によって外観を悪
くするようなガスが発生するときは揮発分が充分除去さ
れていない場合がある。その際には第12ブロックから
水をプランジャーポンプ等で注入して共沸させることに
より樹脂中の揮発分(水+溶剤)を300PPM以下に
することが出来る。また、スラリーを溶融樹脂に注入し
分散した際に、無限膨潤化したスラリーが溶融樹脂と同
じかそれ以上の粘度になり、注入作業が極めて困難であ
る場合、または無限膨潤するのに多量の溶媒を使用した
ために、溶融樹脂との混練後に有機溶媒を脱気するため
に、押出機のスクリューを長くし、押出機の滞留時間を
長くすると、押出量が本来の1/10以下にもなり、経
済性を欠いてしまう。この場合には、予め層状化合物と
エラストマーをヘンシェルミキサー等の分散機で分散し
ておき、これを押出機で混練する工程において押出機の
側面より有機溶媒のみを計量ポンプにより圧入すること
で、有機溶媒/エラストマー/有機カチオンにより膨潤
した層間化合物のスラリーを押出機内で形成せしめ、無
限膨潤化とエラストマーとの物理的混合を行うことが良
い。
【0025】本発明での複合樹脂材料は、上記得られた
無機質フィラー含有エラストマーをエラストマーとは異
なる他の樹脂中に分散させたものである。すなわち、本
発明での複合樹脂材料では、エラストマーと、これと相
溶するマトリクス樹脂組成物とを有し、そのマトリクス
樹脂組成物中にエラストマーが分散されているものであ
る。この場合、エラストマーとマトリクス樹脂が直接相
溶するものでなくとも、これらに相溶する他の材料を介
することによって全体としてエラストマーがマトリクス
樹脂中に相溶化した状態となり、分散したものであって
も良い。
【0026】マトリクス樹脂としては、ポリプロピレ
ン、プロピレンエチレン共重合体、ポリエチレン、ポリ
エチレン共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状
低密度ポリエチレン、アクリトニトリルスチレン共重合
体(AS)、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリア
ミド11、ポリアミド12等のポリアミド系化合物、ポ
リファニレンエーテル、ポリアセタール、ポリサルホン
等が挙げられる。これらは、単独あるいは、お互いに相
溶し安定したマトリックスを形成しポリマーアロイにな
るものは複数の結晶材料(マトリクス樹脂)/非晶(エ
ラストマー)材料の組合わせ、あるいは非晶(マトリク
ス材料)/非晶(エラストマー)材料の組合わせであっ
ても良い。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を記すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0028】〔実施例1〕フッ素型テトラシリシックマ
イカ[示性式 NaMg2.5(Si410)F2]からなる
層状化合物(トピー工業(株)製“DP−DM”)をビ
ーカー内の蒸留水に浸漬し、撹拌して懸濁液とした。こ
の懸濁液を約60℃で撹拌しながら、有機カチオンであ
る主鎖C4〜C22のn−アルキルアンモニウム塩クロ
ライド(日本油脂(株)製“ニッサンカチオン”及び試
薬からの合成による)水溶液を添加し、良く撹拌を行い
均質な懸濁液に調製した。カラム浸漬法によるテトラシ
リシックマイカのCECは、凡そ170meq/100gであっ
たので、混合比は、フッ素型テトラシリシックマイカの
100gに対して有機カチオンを3.4×102mmolとし
た。
【0029】この懸濁液を洗浄、遠心分離し、凍結乾燥
後粉砕して層間化合物とした。インターカレーションの
確認のため、n−アルキルアンモニウムクロライドの主
鎖の長さが変化したときの層間距離を理学(株)製X線
解析装置(RINT2000)を用いた粉末X線回折法
によって測定した。この粉末X線回折の測定では、主鎖
の長さがC4からC22に変化するに伴って層間距離が
1.4nmから3.8nmに増加していくことが確認された。
また、層間への4級アンモニウム塩の充填密度の確認の
ために、理学(株)製示唆熱/熱天秤測定(TG−DT
A)装置(TAS200)を用いて、熱重量測定を行っ
た。その結果、この親油性化合物の有機カチオン含有量
は、層間化合物の凡そ42wt%であった。次に、この
親油性化合物をキシレン中に層状化合物成分がキシレン
に対して10wt%になるように添加し、約1時間撹拌
して均質な無限膨潤したスラリーを調製した。
【0030】スラリーの粘度を、B型粘度計((株)東
京計器製“B8L”)を用いて23℃で測定した。粘度
は、1.8×104cpsであった。このスラリーを図1
に示した分散機を用いて、エラストマーと混練した。エ
ラストマーには、メルトフローレイトが0.5g/10min
(190℃)のエチレンプロピレン共重合体を用いた。
エラストマーをホッパー12から押出機内に入れて溶融
し、上記スラリーをギヤポンプ20を用いて押出機途中
のベント口から溶融した樹脂中に注入し、混練、有機溶
媒の脱気によって、有機カチオン量並びに溶媒量を除い
て無機質フィラーの灰分換算量が20wt%のエラストマ
ーを得た。さらに、このエラストマーと、メルトフロー
レイトが40g/10minのホモポリポリプロピレンをヘン
シェルミキサーで混練し、複合樹脂材料を調製した。
尚、この際の混練では、単なる混練り分散のため混練機
のサイドからの無限膨潤スラリーのフィードは行わな
い。得られた複合樹脂材料の曲げ弾性率(kg/c
2)、熱変形温度(HDT(℃))とアイゾット衝撃
値(kg-cm/cm2:23℃、−10℃、−30℃)を測定
した。測定結果を表1に示す。
【0031】尚、曲げ弾性率は、ASTM D790
(乾燥状態,23℃)に準じて測定した。また、熱変形
温度は、ASTM D648に従って行ったもので、
0.0464kg/mm2(66 psi)のファイバス
トレスが作用するように、試験片の中央部に5分間荷重
を掛け、2±0.2℃/minの速さで昇温して測定した。
また、アイゾット衝撃値はASTM D256に準じて
測定した。尚、測定用試料は、FANAC社製射出成形
機「model100型」により、シリンダー温度210
℃、射出圧力750kg/cm2、型締め圧力100ト
ンにて成形したものである。
【0032】〔比較例1〕実施例1において、親油性化
合物を調製することなく、エラストマーをホモポリプロ
ピレン中に分散して複合樹脂材料を製造した。得られた
複合樹脂材料の弾性率、熱変形温度、アイゾット衝撃値
を表1に示す。
【0033】〔比較例2〕実施例1において、無限膨潤
化した親油性化合物を含むスラリーの代りに、光透過沈
降法で測定した中心粒度D50が0.4μmのタルクを2
0wt%使用してエラストマーであるエチレンプロピレン
共重合体中に分散して、複合樹脂材料を製造した。得ら
れた複合樹脂材料の弾性率、熱変形温度、アイゾット衝
撃値を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1から、本実施例の複合樹脂材料は、比
較例の樹脂材料に比較して、曲げ弾性率、熱変形温度、
アイゾット衝撃値のいずれも大きく、剛性、耐熱性、耐
衝撃性、特に耐寒衝撃性に優れていることがわかる。
【0036】
【発明の効果】本発明の製造方法で製造された無機質フ
ィラー含有エラストマーであると、微細な無機質フィラ
ーを高濃度でエラストマー中に含有させることができる
ので、高い剛性および耐熱性と優れた耐衝撃性を発揮す
る。特に、エラストマーとしては制約がほとんどなく、
多くの用途で用いることができ汎用性が高い。また、製
造工程も簡易かつ容易であり、しかも特別な設備を要し
ないので、製造コストも安価である。また、本発明の複
合樹脂材料であると、優れた剛性と耐熱性と共に、耐衝
撃性、特に耐寒衝撃性に極めて優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】分散装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
10 押出機
フロントページの続き (72)発明者 細川 輝夫 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2 昭和 電工株式会社川崎樹脂研究所内 (72)発明者 田村 堅志 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2 昭和 電工株式会社川崎樹脂研究所内 (72)発明者 井上 浩文 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2 昭和 電工株式会社川崎樹脂研究所内 (72)発明者 茂木 義博 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2 昭和 電工株式会社川崎樹脂研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 層状化合物に有機カチオンを接触させる
    工程と、その接触させたものを有機溶媒で膨潤化する工
    程と、その膨潤化したものをエラストマーと混練する工
    程とを有することを特徴とする無機質フィラー含有エラ
    ストマーの製造方法。
  2. 【請求項2】 層状化合物に有機カチオンを添加してな
    る親油性化合物をエラストマーの存在下の有機溶媒中で
    膨潤化した後に、これを溶融混練し、有機溶媒を除去す
    る工程を有することを特徴とする無機質フィラー含有エ
    ラストマーの製造方法。
  3. 【請求項3】 有機カチオンが、4級アンモニウム塩類
    またはアミノ酸類の正電荷有機化合物であることを特徴
    とする請求項1または2記載の無機質フィラー含有エラ
    ストマーの製造方法。
  4. 【請求項4】 有機溶媒が、電子供与性有機化合物また
    は芳香族化合物であることを特徴とする請求項1または
    2記載の無機質フィラー含有エラストマーの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の製造方法で得られた無機
    質フィラー含有エラストマーと、これと相溶するマトリ
    クス樹脂組成物とを有し、そのマトリクス樹脂組成物中
    に前記エラストマーが分散されていることを特徴とする
    複合樹脂材料。
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