JP2004118977A - 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 - Google Patents
垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004118977A JP2004118977A JP2002284046A JP2002284046A JP2004118977A JP 2004118977 A JP2004118977 A JP 2004118977A JP 2002284046 A JP2002284046 A JP 2002284046A JP 2002284046 A JP2002284046 A JP 2002284046A JP 2004118977 A JP2004118977 A JP 2004118977A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic recording
- recording medium
- perpendicular magnetic
- layer
- soft magnetic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Magnetic Record Carriers (AREA)
- Thin Magnetic Films (AREA)
Abstract
【解決手段】遷移金属元素及び希土類元素を含有し、磁化容易軸を有し、かつ窒素及び酸素のうち少なくとも一方を含まない軟磁性層を使用した垂直二層膜媒体。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハ−ドディスク装置として使用される磁気記録再生装置、特に、垂直方向磁化を利用する磁気記録再生装置、及びこれに用いられる垂直磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
垂直磁気記録方式は、従来、磁気記録媒体の面内方向に向けられていた磁気記録層の磁化容易軸を、磁気記録媒体の垂直方向に向けることにより、記録ビットの境界である磁化遷移領域付近の反磁界が小さくなり、このため、記録密度が高くなるほど静磁気的に安定となって、熱揺らぎ耐性が向上することから、面記録密度の向上に適した方式である。また、基板と垂直磁気記録層との間に軟磁性層を形成した場合には、単磁極ヘッドと組み合わせることにより、いわゆる垂直二層媒体として機能し、高い記録能力を得ることができる。このとき、軟磁性層は磁気ヘッドからの記録磁界を環流させる役割を果たしており、記録再生効率を向上させることができる。
【0003】
しかしながら、垂直二層媒体では、軟磁性層の磁壁により、ノイズが発生し易いという問題があった。
【0004】
このため、軟磁性層の磁壁を抑え、媒体ノイズを低下するため、従来より、種々の提案がなされている。
【0005】
このような提案として、例えば磁性材料に非磁性材料を添加することにより、軟磁性層を微結晶化し、これにより、ある程度の保磁力を有する垂直磁気記録媒体がある。しかしながら、この垂直磁気記録媒体では、大きな磁壁の存在によるスパイクノイズを低減することはできるが、細かな磁区の存在によるノイズを防ぐことができなかった。また、この垂直磁気記録媒体では、非磁性材料、特に、酸素と窒素を同時に添加することにより、飽和磁化が劣化するという問題があった(特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−109040号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、磁壁の発生が抑えられ、低ノイズな垂直磁気記録媒体を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、磁壁の発生が抑えられ、低ノイズな記録再生が可能な磁気記録再生装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1に、非磁性基板と、該非磁性基板上に設けられ、遷移金属元素及び希土類元素を含有し、磁化容易軸を有し、かつ窒素及び酸素のうち少なくとも一方を含まない軟磁性層と、該軟磁性層上に設けられた垂直磁気記録層とを具備することを特徴とする垂直磁気記録媒体を提供する。
【0010】
第1の発明に係る好ましい垂直磁気記録媒体において、前記遷移金属元素は、鉄、コバルト、及びニッケルからなる群から選択され、前記軟磁性層中の遷移金属元素の原子組成百分率をx、希土類元素の原子組成百分率をyとするとき、xは、60at%以上100at%未満、yは0at%より多く40at%以下であることを特徴とする。
【0011】
第1の発明に係る好ましい垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性層の磁化容易軸は面内方向を向いていることを特徴とする。
【0012】
第1の発明に係る好ましい垂直磁気記録媒体において、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユ−ロピウム、及びガドリニウムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0013】
第1の発明に係る好ましい垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性層は、10ないし200nmの厚さを有することを特徴とする。
【0014】
第1の発明に係る好ましい垂直磁気記録媒体において、前記遷移金属元素と前記希土類元素の組み合わせは、コバルト−ガドリニウム、コバルト−ネオジム、鉄−サマリウム、鉄−コバルト−ガドリニウム、鉄−コバルト−ネオジム、鉄−コバルト−サマリウム、及び鉄−コバルト−イットリウムからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする。
【0015】
第1の発明に係る好ましい垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性層は、前記遷移金属元素と前記希土類元素を含有する2以上の層が、ホウ素、炭素、チタン、ケイ素、アルミニウム、クロム、ルテニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、窒素、及び酸素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する非磁性層を介して積層された多層体を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明は、第2に、上述の垂直磁気記録媒体のいずれか1つと、前記垂直磁気記録媒体を支持及び回転駆動する駆動機構と、前記垂直磁気記録媒体に対して情報の記録を行うための素子及び記録された情報の再生を行うための素子を有する磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記垂直磁気記録媒体に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリとを具備することを特徴とする磁気記録再生装置を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の垂直磁気記録媒体は、非磁性基板上に、軟磁性層及び垂直磁気記録層が順に積層された構成を有し、軟磁性層は、遷移金属元素及び希土類元素を含有し、磁化容易軸を有し、かつ窒素及び酸素のうち少なくとも一方を含まないことを特徴とする。
【0018】
本発明では、軟磁性材料として、通常、磁性をもたらす元素として使われている遷移金属元素に加えて、磁気モ−メント及び異方性を大きくする効果のある希土類元素を使用する。得られる軟磁性層は、その飽和磁束密度を劣化させることなく、シャ−プな一軸の異方性を有し、かつ適度な保磁力を有する。この軟磁性層を用いた本発明の垂直磁気記録媒体は、磁壁の発生が抑えられ、低ノイズとなる。
【0019】
また、本発明に用いられる軟磁性層は、少なくとも酸素または窒素のいずれかの元素を含まない。これらの元素が軟磁性層に同時に含まれると、軟磁性材料の飽和磁束密度が劣化しやすい。
【0020】
酸素または窒素は、特に、軟磁性層を作成する際に混入しやすい。このため、例えばスパッタ法により軟磁性層を作成する際、スパッタ材料から酸化物又は窒化物を除き、かつそのスパッタ装置内を酸素または窒素を含まない雰囲気にすることで、微結晶化が進まない程度に、酸素または窒素を除外し得る。また、片方が含まれる場合にも、その含有量を30a%以下に抑えることが望ましい。
【0021】
さらに好ましくは、軟磁性層は、酸素及び窒素の両方を含まない。
【0022】
図1に、本発明の垂直磁気記録媒体の一例を表す概略断面図を示す。
【0023】
図示するように、この垂直磁気記録媒体10は、非磁性基板1上に、遷移金属元素及び希土類元素を含有し、磁化容易軸を有し、かつ窒素及び酸素のうち少なくとも一方を含まない軟磁性層2及び垂直磁気記録層3を順に積層した構成を有する。
【0024】
軟磁性層に用いられる遷移金属元素をT、希土類元素をR、軟磁性層中の遷移金属元素の原子組成百分率をx、希土類元素の原子組成百分率をyとするとき、本発明に用いられる軟磁性材料は、TxRyで表される。
【0025】
遷移金属元素Tは、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも1つの元素であることが好ましい。
【0026】
また、xは、60at%以上100at%未満、yは0at%より多く40at%以下であることが好ましい。
【0027】
これらの元素を上記組成比で用いると、飽和磁束密度を保ちながら、適度な保磁力、異方性がより効果的に得られる傾向がある。
【0028】
しかしながら、xが60at%未満、yが40at%以上であると、飽和磁束密度が劣化する傾向がある。
【0029】
希土類元素Rは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、及びGdからなる群から選択される少なくとも1つの元素であることが好ましい。これらの軽希土類を用いると、軟磁性層の磁気モ−メントがより大きくなる傾向がある。
【0030】
遷移金属元素と希土類元素のより好ましい組み合わせとして、例えばCo−Gd、Co−Nd、Fe−Sm、Fe−Co−Gd、Fe−Co−Nd、Fe−Co−Sm、及びFe−Co−Yがあげられ、これらの組合せを用いると、軟磁性層の磁気モ−メント、磁気異方性がより大きくなる傾向がある。
【0031】
軟磁性層の磁化容易軸は面内方向を向いていることが好ましく、これにより、垂直二層媒体において、軟磁性層が、磁気ヘッドからの記録磁界を効率よく環流させる傾向がある。
【0032】
軟磁性層の磁化容易軸は半径方向に向いていることがさらに好ましく、これにより、上述の役割を果たすことに加えて、さらに、ノイズの原因となる磁壁の発生を抑制することができる。
【0033】
軟磁性層は、10ないし200nmの厚さを有することが好ましい。
【0034】
この厚さの範囲であると、軟磁性層の磁化容易軸が面内方向を向き易い傾向がある。しかしながら、10nm未満であると、軟磁性層全体としての磁束密度が不足する傾向があり、200nmを超えると、軟磁性層面内の一軸異方性が得られにくくなる傾向がある。
【0035】
また、軟磁性層は、単層あるいは軟磁性層を少なくとも2以上積層した多層体として使用することができる。
【0036】
磁壁の生じにくい軟磁性層を、多層体にすることにより、層間の相互作用により磁壁の発生がより抑制される傾向がある。
【0037】
多層体に用いられる軟磁性層は、直接または非磁性中間層を介して積層することができる。各軟磁性層は、互いに異なる組成を有する軟磁性層を使用しても、また、中間層を介する場合、互いに同様の組成を有する軟磁性層を使用することができる。
【0038】
図2に、軟磁性層として多層体が形成された垂直磁気記録媒体の一例の構成を表す概略断面図を示す。
【0039】
図示するように、この垂直磁気記録媒体20は、軟磁性層2の代わりに、遷移金属元素及び希土類元素を含有し、磁化容易軸を有し、かつ窒素及び酸素のうち少なくとも一方を含まない3層の軟磁性層4を、その層間に非磁性中間層5を介して積層した構成を有する軟磁性多層体6を設けること以外は、図1と同様の構成を有する。
【0040】
図3に、軟磁性層として多層体が形成された垂直磁気記録媒体の他の一例の構成を表す概略断面図を示す。
【0041】
図示するように、この垂直磁気記録媒体30は、軟磁性層2の代わりに、非磁性基板1上に、遷移金属元素及び希土類元素を含有し、磁化容易軸を有し、かつ窒素及び酸素のうち少なくとも一方を含まない軟磁性層7、CoZrNb軟磁性層8、及び窒素及び酸素のうち少なくとも一方を含まない軟磁性層9を順に積層した構成を有する軟磁性多層体11を設けること以外は、図1と同様の構成を有する。
【0042】
多層体に使用される軟磁性層は、その少なくとも一層は、遷移金属元素及び希土類元素を含有し、磁化容易軸を有し、かつ窒素及び酸素のうち少なくとも一方を含まない。多層体の他の軟磁性層としては、例えばCoZrNb、FeAlSi、NiFe、FeTaC等の従来の軟磁性層を使用することができる。
【0043】
非磁性中間層の材料としては、B、C、Ti、Si、Al、Cr、Ru、Zr、Nb、Ta、N、及びOからなる群から選択される少なくとも1種の元素を使用することができる。
【0044】
多層体は、その全体の厚さが10ないし200nmであり、各層の厚さは、0.5ないし100nmであることが好ましい。全体の厚さが200nmを超えると、多層体全体としての面内の一軸異方性が得られにくくなる傾向があり、10nm未満であると、多層体全体としての飽和磁束密度が不足となる傾向がある。また、各層の厚さが100nmを超えると、各層間の相互作用が弱くなる傾向があり、0.5nm未満であると、膜の結晶性が劣悪になる傾向がある。
【0045】
また、基板と軟磁性層との間には、硬磁性層を設けることができる。この硬磁性層に所望の着磁を行うことにより、その上に設けられる軟磁性層の磁化の方向を固定し、ノイズの発生をより防止することができる。
【0046】
このような硬磁性層としては、CoCrPt層、CoPtCrO層があげられる。
【0047】
また、硬磁性層と基板との間には、任意に、V、VCr、NiAl、CoCr等の下地層を設けることができる。
【0048】
また、本発明の装置は、上記垂直磁気記録媒体を用いた磁気気記録再生装置である。
【0049】
図4に、本発明にかかる磁気記録再生装置の一例を一部分解した斜視図を示す。
【0050】
本発明に係る情報を記録するための剛構成の磁気ディスク121はスピンドル122に装着されており、図示しないスピンドルモ−タによって一定回転数で回転駆動される。磁気ディスク121にアクセスして情報の記録行う単磁極型記録ヘッド及び情報の再生を行うためのMRヘッドを搭載したスライダ−123は、薄板状の板ばねからなるサスペンション124の先端に取付けられている。サスペンション124は図示しない駆動コイルを保持するボビン部等を有するア−ム125の一端側に接続されている。
【0051】
ア−ム125の他端側には、リニアモ−タの一種であるボイスコイルモ−タ126が設けられている。ボイスコイルモ−タ126は、ア−ム125のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、それを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨ−クにより構成される磁気回路とから構成されている。
【0052】
ア−ム125は、固定軸127の上下2カ所に設けられた図示しないボ−ルベアリングによって保持され、ボイスコイルモ−タ126によって回転揺動駆動される。すなわち、磁気ディスク121上におけるスライダ−123の位置は、ボイスコイルモ−タ126によって制御される。なお、図4中、128は蓋体を示している。
【0053】
【実施例】
以下、図面を参照し、本発明を具体的に説明する。
【0054】
実施例1
図5に、DCマグネトロンスパッタリング装置内のターゲットと基板の配置を説明するための図を示す。
【0055】
図示するように、このDCマグネトロンスパッタリング装置100では、図示しない真空チャンバー内に、例えば非磁性ガラス基板1が置かれ、その両面に各々対向して一対のターゲット15が配置されており、各ターゲット15の背面側に、例えば最大エネルギ−積(BH)maxが350kJ/m3で、中心にN極と外周にS極を持つ円柱形をした超強力マグネット16が設けられている。
【0056】
本実施例では、上述の配置のターゲットを用いて、成膜を行った。
【0057】
まず、真空チャンバ−内を1×10−5Paの真空度に引き、2つのCo−Gd10at%タ−ゲットを対向して載置した。2つのターゲット間に対向するように非磁性ガラス基板1を置いた。
【0058】
Arガスを0.6Paの圧力になるよう流入し、DC500WでCo−Gd10at%タ−ゲットを放電し、非磁性ガラス基板上に100nmの厚さになるようにCoGd軟磁性層を成膜した。
【0059】
このとき、中心にN極と外周にS極を持つ円柱形をした超強力マグネットをターゲット背面に配置することにより、スパッタ粒子が非磁性ガラス基板1の内周から外周へ流れるようにして成膜を行った。
【0060】
さらに、この非磁性ガラス基板を、真空を保ったまま、Co−Gd10at%タ−ゲットの代わりにTiタ−ゲットが設けられている以外は同様に配置されたターゲット間に移動した。
【0061】
Arガスを0.5Paの圧力になるよう流入、DC1000WでTiタ−ゲットを放電し、CoGd軟磁性層上に、5nmの厚さになるようにTi下地層3を成膜した。
【0062】
次に、この非磁性ガラス基板を、Co−Gd10at%タ−ゲットの代わりにRuタ−ゲットが設けられている以外は同様に配置されたターゲット間に移動した。
【0063】
Arガスを0.5Paの圧力になるよう流入、DC1000WでRuタ−ゲットを放電し、50nmの厚さになるようにRu下地層を成膜した。
【0064】
その後、この非磁性ガラス基板1を、真空を保ったまま、Co−Gd10at%タ−ゲットの代わりにCo−20at%Pt−16at%Crタ−ゲットが設けられている以外は同様の構成を有するDCマグネトロンスパッタ装置内に移動し、このターゲット間に対向するように置いた。
【0065】
酸素 0.005%を含むArガスを、20Paの圧力になるように流入し、DC250Wで、Co−20at%Pt−16at%Cr タ−ゲットを放電し、12nmの厚さになるようCoPtCrO垂直磁気記録層を一層を成膜した。
【0066】
再度、非磁性ガラス基板1を真空を保ったままRuタ−ゲットと対向する位置に移動し、Arガスを0.5Paの圧力になるよう流入し、今度はDC250WでRuタ−ゲットを放電し、4nmの厚さになるようにRu中間層を成膜した。
【0067】
さらに、上記CoPtCrO垂直磁気記録層と同様にして、Ru中間層上に二層目CoPtCrO垂直磁気記録層5を成膜した。
【0068】
最後に、非磁性ガラス基板を移動し、Cタ−ゲット間に対向するように設置し、Arガスを0.5Paの圧力になるように流入し、DC1000Wで放電し、7nmの厚さになるようC保護層を成膜した。
【0069】
成膜工程終了後、ディップ法により、パーフルオロポリエーテル(PFPE)潤滑剤を10オングストロームの厚さに塗布し、垂直磁気記録媒体Aを得た。
【0070】
得られた垂直磁気記録媒体Aの構成を表す断面図を図6に示す。
【0071】
図示するように、この垂直磁気記録媒体Aは、非磁性ガラス基板1上に、CoGd軟磁性層31、Tiシード層21、Ru下地層22、CoPtCrO垂直磁気記録層23、Ru中間層24、CoPtCrO垂直磁気記録層25、及びC保護層26を順に積層した構成を有する。
【0072】
また、垂直磁気記録媒体Aとは別に、非磁性ガラス基板上に、上記垂直磁気記録媒体Aの成膜工程におけるCoGd軟磁性層のみを成膜し、サンプル基板1を作成した。
【0073】
得られたサンプル基板1のCoGd軟磁性層について、ICP−MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer)法により組成分析を行った。その結果、CoGd軟磁性層の組成は、Co93−Gd7at%であることがわかった。
【0074】
このCoGd軟磁性層について、その静磁気特性を、VSM(Vibrating Sample Magnetometer)で、膜面半径の方向について最大外部磁界4.0kA/mで測定をした。これより直に保磁力Hcを、また、計算により、角型比RS(Mr/Ms)、及び飽和磁束密度Bsを求めた。
【0075】
それぞれの静磁気特性を下記表1に示す。
【0076】
また、サンプル基板1のCoGd軟磁性層について半径方向に測定したM−Hル−プを図7に示す。
【0077】
また、CoGd軟磁性層2の円周方向に測ったM−Hル−プを図8に実線で示す。これは、最大磁界20kA/mをかけて測定した。また、図7と同じM−Hループを破線で示す。半径方向と比較して、異方性磁界Hkはおよそ10kA/mであり、本発明の垂直磁気記録媒体Aにおいては、半径方向に磁化容易軸を有する磁気異方性が鮮明についていることがわかった。
【0078】
さらに、サンプル基板1のCoGd軟磁性層上に保護膜を成膜し、各軟磁性層のみのDCイレ−ズ後の信号をMRヘッドで読み込んだ、サンプル基板1周あたりの波形を図9に示す。
【0079】
図示するようにサンプル基板1ではノイズが発生しなかった。
【0080】
さらにまた、垂直磁気記録媒体Aについて、単磁極ヘッドを用いて信号を書き込み、MRヘッドを用いて信号を読み取る方法により、R/Wテストを行なった。測定条件は、半径位置20mmと一定の位置で、ディスクを4200rpmに回転させて行った。このR/Wテストにより、電磁変換特性として、媒体S/N比であるSNRm、オ−バ−ライト特性、半値幅dPW50、及びTAAを測定した。なお、SNRmにおけるSは、10kFCIの孤立波形の1磁化反転におけるpp値(+−それぞれ最高値の差)を1/2にした値、及びNmは400kFCIでのrms値(root mean square inches)を示す。また、オ−バ−ライト特性OWは、46kFCI記録信号書き込み後、552kFCIの信号を書き込んだ際の上書き前の信号出力と上書き後の消え残り信号出力の比で表される。また、分解能特性である磁化反転部の半値幅dPW50は、磁化反転部で反転時を中心に微分した出力差が50%となる幅をいう。さらに、出力値であるTAAは、10kFCIの孤立波形の1磁化反転におけるpp値(+−それぞれ最高値の差)を1/2にした値である。
【0081】
得られた結果を下記表2に示す。
【0082】
比較例1
CoGd軟磁性層を成膜する代わりに、CoZrNb軟磁性層を、Co−Zr6−Nb10at%タ−ゲットを用いて形成すること以外は実施例1と同様にして、垂直磁気記録媒体B及びサンプル基板2を作成した。
【0083】
得られた垂直磁気記録媒体B及びサンプル基板2を用いて、実施例1と同様に、静磁気特性及び電磁変換特性を測定した。
【0084】
その結果として、下記表1に静磁気特性を、下記表2に電磁変換特性を示す。
【0085】
また、サンプル基板2の半径方向及び円周方向のM−Hループは、いずれも変わらぬ波形を描いており、磁気異方性が等方的であった。サンプル基板2よりも、サンプル基板1の方がループが角張っていた。これは、軟磁性層のどの部分について半径方向に測定しても同じであった。
【0086】
ディスク基板1周あたりの波形を図10に示す。垂直磁気記録媒体BのCoZrNb軟磁性層では図に示すようなスパイクノイズが発生した。
【0087】
実施例2
CoGd軟磁性層の代わりに、Fe54−Co36−Nd10at%タ−ゲットを用いて、FeCoNd軟磁性層を成膜すること以外は、実施例1と同様にして、本発明の垂直磁気記録媒体C及びサンプル基板3を得た。
【0088】
図11に、垂直磁気記録媒体Cの構成を表す概略断面図を示す。
【0089】
図示するように、この垂直磁気記録媒体Cは、CoGd軟磁性層31の代わりに、FeCoNd軟磁性層32を形成すること以外は、図6に示す垂直磁気記録媒体Aと同様の構成を有する。
【0090】
ICP−MS法により実施例1と同様にして組成分析を行った結果、FeCoNd軟磁性層の組成は、Fe57−Co38−Nd5at%であることがわかった。
【0091】
サンプル基板3の半径方向のM−Hル−プは、サンプル基板1のCoGd軟磁性層と同等な角張った形状を有しており、異方性が半径方向についていることが確認された。
【0092】
サンプル基板3のHc、RSもやはり同等な値であった。Bsは、垂直磁気記録媒体AのCoGd軟磁性層、垂直磁気記録媒体BのCoZrNb軟磁性層とほぼ同等であった。
【0093】
また、実施例1と同様な方法で、FeCoNd軟磁性層18のみのDCイレ−ズ後の信号をMRヘッドで読み込んだが、図9に示す本発明の垂直磁気記録媒体Aの波形と同等な波形を示した。
【0094】
軟磁性層のみの静磁気特性を、実施例1と同様にVSMで測定した。結果を表1に示す。
【0095】
また、R/Wテストも、実施例1と同様な方法で行った。その結果を下記表2に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
保磁力は、従来の垂直磁気記録媒体Bの方が明らかに小さく、良好な軟磁性を示した。飽和磁束密度は同等であった。
【0099】
また、残留磁束密度と飽和磁束密度の比を表す角型比RSも、本発明の垂直磁気記録媒体Aでは、従来の垂直磁気記録媒体Bよりも大きく、1.00であった。
【0100】
本発明の垂直磁気記録媒体Aは、垂直磁気記録媒体Bよりも、S/N比が大きく、オ−バ−ライト、分解能についても優れた値であった。
【0101】
本発明の垂直磁気記録媒体Cの媒体S/N比、オ−バ−ライトについて、本発明の垂直磁気記録媒体Aを更に凌ぐ値を示した。分解能については、本発明の垂直磁気記録媒体Cは垂直磁気記録媒体Aと、ほぼ同等であった。
【0102】
以上のように、本発明によれば、垂直二層媒体の裏打軟磁性層に、保磁力、角型が大きく半径方向に磁気異方性のついたCo−Gd軟磁性層、Fe−Co−Nd軟磁性層を用いることにより、従来のCoZrNb軟磁性層を用いるよりも、軟磁性層からのノイズ発生が無くなり、媒体S/N比、オ−バ−ライト、分解能、及び出力値とも優れた垂直磁気記録媒体が得られることがわかった。
【0103】
実施例3
図12に、本発明の垂直磁気記録媒体を製造する装置の一部の構成を説明するための図を示す。
【0104】
図示するように、この装置39は、真空を保つように接続された複数の例えば13室の成膜室、第1成膜室41、第2成膜室42、第3成膜室43、第4成膜室44…第11成膜室51、第12成膜室52、第13成膜室53を有する真空チャンバー39を備えている。各成膜室には、一対のターゲット61、62、63、64、37、38、54が各々対向して配置され、対向して配置された各ターゲット間を基板53が移動可能に配置されている。また、各成膜室は、基板53が隣室に移動後は、移動と同時に各成膜室毎に密閉可能になっている。
【0105】
実施例3では、図12に示す構成を備えた装置を使用した。
【0106】
ここでは、第1成膜室、第3成膜室、第5成膜室、第7成膜室、及び第9成膜室に同じターゲットが配置され、ターゲット61、63としてFe92−Sm8at%タ−ゲットを用いた。また、第2成膜室、第4成膜室、第6成膜室、第8成膜室、及び第10成膜室に同じターゲットが配置され、ターゲット62、64としてCタ−ゲットを用いた。すなわち、Fe92−Sm8at%タ−ゲットとCタ−ゲットを交互に配置した。後続の第11成膜室には、ターゲット37としてNi70−Nb30at%タ−ゲットを使用し、さらに第12成膜室には、Co67−Cr18−Pt15at%タ−ゲットを用い、第13成膜室にはCターゲットを配置した。また、各ターゲットの背面には、図示しない実施例1と同様の超強力マグネットを配した。
【0107】
このような装置を使用し、Arガスに窒素ガスを10at%混合したガスを用いて、まず、実施例1と同様の基板を用い、FeSmN軟磁性層を20nmの厚さに成膜し、続いて、成膜された基板を、真空を破ることなく次の成膜室に移動して、C中間層を2nmの厚さに成膜し、これを繰り返して、FeSmN軟磁性層とC中間層を交互に積層成膜した。
【0108】
同様にして、成膜された基板上に、さらにNiNb下地層を15nmの厚さに、CoCrPt垂直磁気記録層を20nmの厚さに成膜した。
【0109】
最後に、同じく真空を破らずに、アルゴン+水素雰囲気中でCをDCスパッタすることにより、C−H保護層を5nmの厚さに成膜した。
【0110】
成膜工程終了後、ディップ法により、パ−フルオロポリオキシアルカンよりなる潤滑剤を1.5nmの厚さに塗布し、垂直磁気記録媒体Dを得た。
【0111】
得られた垂直磁気記録媒体Dの構成を表す概略断面図を図13に示す。
【0112】
図示するように、この垂直磁気記録媒体Dは、非磁性基板1上に、交互に5層ずつ積層されたFeSmN軟磁性層71及びC中間層72からなる軟磁性多層体79、その上に順に形成されたNiNb下地層73、CoCrPt垂直磁気記録層74、C−H保護層75、及び図示しない潤滑層を有する。
【0113】
また、別途、非磁性基板上に、FeSmN軟磁性層を成膜し、実施例1と同様にして成分分析を行ったところ、Fe85−Sm5−N10at%であった。
【0114】
さらに、NiNb下地層、CoCrPt垂直磁気記録層、C−H保護層、及び潤滑層を作成しないこと以外は、垂直磁気記録媒体Dと同様にしてサンプル基板4を作成した。
【0115】
サンプル基板4の軟磁性層多層体の静磁気特性を、実施例1と同様にVSMで測定した。その結果を表3に示す。
【0116】
また、実施例1と同様にして、サンプル基板4の軟磁性層多層体のDCイレ−ズ後の信号を読み取った。図15に、読みとりにより得られた波形を表すグラフ図を示す。図示するように、FeSmN軟磁性層多層体では、ノイズが発生せず、基底の波形も、図9に示された垂直磁気記録媒体Aの波形と比べて、より細くなり、よりノイズが発生しにくい構造になったことがわかった。
【0117】
また、得られた垂直磁気記録媒体Dにおいて、そのR/W特性を、実施例1と同様にしておこなった。その結果を下記表4に示す。
【0118】
実施例4
また、6室の成膜室を有する同様の装置を用い、第1成膜室にFe63−Co27−Y10at%タ−ゲット、第2成膜室にCo−Zr6−Nb10at%タ−ゲット、第3成膜室にFe61−Co26−Sm13at%のタ−ゲット、第4ないし第6成膜室は、図12に示す第11ないし第13成膜室と同様のターゲットを使用する以外は、実施例3と同様にして順次成膜を行い、FeCoY軟磁性層を40nm、CoZrNb軟磁性層を20nm、FeCoSm軟磁性層膜を40nm、同様のNiNb下地層、CoCrPt垂直磁気記録層、C−H保護層、潤滑剤層を形成して垂直磁気記録媒体Eを得た。
【0119】
得られた垂直磁気記録媒体Eの構成を表す概略断面図を図14に示す。
【0120】
図示するように、この垂直磁気記録媒体Eは、交互に5層ずつ積層されたFeSmN軟磁性層71及びC中間層72の代わりに、FeCoY軟磁性層76、CoZrNb軟磁性層77、及びFeCoSm軟磁性層78からなる多層体84を形成すること以外は垂直磁気記録媒体Dと同様の構成を有する。
【0121】
また、別途、非磁性基板上にFeCoY軟磁性層を形成し、実施例1と同様にして成分分析を行ったところ、Fe64−Co28−Y8at%であることがわかった。
【0122】
さらに、別途、非磁性基板上にFeCoSm軟磁性層膜を形成し、実施例1と同様にして成分分析を行ったところ、Fe63−Co27−Sm7at%であることがわかった。
【0123】
また、NiNb下地層、CoCrPt垂直磁気記録層、C−H保護層、及び潤滑層を作成しないこと以外は、垂直磁気記録媒体Eと同様にしてサンプル基板5を作成した。
【0124】
また、得られたサンプル基板5の軟磁性層多層体の静磁気特性を、実施例1と同様にVSMで測定した。その結果を下記表3に示す。
【0125】
また、得られた垂直磁気記録媒体Eにおいて、そのR/W特性を、実施例1と同様にしておこなった。その結果を下記表4に示す。
【0126】
比較例2
Fe92−Sm8at%タ−ゲットの代わりにFe80−Ta10−C10at%タ−ゲットを配置し、Fe80−Ta10−C10at%タ−ゲットをスパッタする際にはArガスのみを流入し窒素混入雰囲気にしないこと、20nm厚さのFeTaCと2nmの厚さのC中間層を交互に積層成膜する以外は、実施例3と同様にして従来の垂直磁気記録媒体Fを得た。
【0127】
得られた軟磁性層の積層体の静磁気特性を、実施例1と同様にVSMで測定した結果を表3に示す。
【0128】
また、別途、非磁性基板上にFeCoY軟磁性層を形成し、サンプル基板6を作成した。サンプル基板6の軟磁性層のDCイレ−ズ後の信号を読み取ったときの波形を観察したところ、図10と同様のスパイクノイズが見られた。
【0129】
また、得られた磁気記録媒体にいて、そのR/W特性を、実施例1と同様にしておこなった。結果を表4に示す。
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】
【0132】
垂直磁気記録媒体D、Eの軟磁性層多層体では、従来の垂直磁気記録媒体Fの軟磁性層多層体よりも保磁力が大きかった。本発明の垂直磁気記録媒体AやCの軟磁性層と比べると、Hc、Bsともやや小さい値を示した。角型比RSは1で、角ばったM−Hル−プを示し、異方性はやはり半径方向についていた。
【0133】
垂直磁気記録媒体D、Eの出力は、垂直磁気記録媒体Aと同等で、垂直磁気記録媒体Cより少し劣るが、媒体S/N比は、本発明の媒体Cと同等に改善されていた。これは、軟磁性層からのノイズが低減されたことによると考えられる。その他、オ−バ−ライト、分解能は垂直磁気記録媒体AないしCと同等であった。一方、従来の垂直磁気記録媒体Fでは、軟磁性層は積層してみたものの、垂直磁気記録媒体Bとほぼ同じで、改善は無かった。
【0134】
このように、軟磁性層を積層することによっても、同様な改善効果が見られ、特にノイズ低減の効果が現れることがわかった。
【0135】
実施例5
図5と同様の構成を含むDCマグネトロンスパッタリング装置を用い、まず、真空チャンバ−内を1×10−5Paの真空度に引き、Arガスを0.6Paの圧力になるよう流入し、DC500WでVターゲットを放電し、非磁性ガラス基板上に、V下地層を40nmの厚さに成膜した。
【0136】
その後、真空チャンバ−内に、Arガスと酸素ガスを同時に流してCo68−Pt20−Cr12at%タ−ゲットを放電させることにより、CoPtCrO硬磁性層を20nmの厚さに成膜した。
【0137】
得られたCoPtCrO硬磁性層は、V下地層との組み合わせにより、膜面内方向に磁化容易軸があり、保磁力が274kA/mの硬磁性膜であることがVSMの測定により分かっている。
【0138】
次に、その上に垂直磁気記録媒体Cと同様な方法で、FeCoNd軟磁性層、Tiシード層、Ru下地層、CoPtCrO垂直磁気記録層、Ru中間層、CoPtCrO垂直磁気記録層、及びC保護層を順に積層し、さらに潤滑層を形成した。潤滑剤塗布後、硬磁性層の効果を発揮するために、半径方向に着磁を行った。
【0139】
この着磁には、例えば図16に示すような着磁装置を用いることができる。この着磁装置49は、一対の円筒形の外側磁芯45,46と、その軸部分に配置され、その中央部から互いに逆向きに巻かれた内側コイル48とを有する。この中央部にその中心が位置し、その面方向が外側磁芯の軸方向と垂直になるように、硬磁性層が形成されたディスク基板を、載置した。媒体の一方の面と他方の面で逆向きの790kA/mの磁界が発生するようにコイルにパルス電流を流し、瞬時に同じ大きさで正反対の向きの磁界を発生させ、中央でぶつかるようにして半径方向に拡散せしめ、中央に置かれたディスク基板に半径方向に大磁界をかけ、硬磁性層を半径方向に着磁し、垂直磁気記録媒体Gを得た。
【0140】
得られた垂直磁気記録媒体Gの構成を表す概略断面図を図17に示す。
【0141】
図示するように、垂直磁気記録媒体Gは、非磁性基板1とTiシード層21との間に、V下地層、CoPtCrO硬磁性層、及びFeCoNd軟磁性層を非磁性基板1から順に積層する以外は、図11に示す垂直磁気記録媒体Cと同様の構成を有する。
【0142】
また、別途、V下地層及びCoPtCrO硬磁性層を形成しないこと以外はと同様にしてサンプル基板7を得た。
【0143】
得られたサンプル基板7の静磁気特性を、実施例1と同様にVSMで測定した。結果を下記表5に示す。
【0144】
また、実施例1と同様な方法で、垂直磁気記録媒体Gについて電磁変換特性を測定した。その結果を下記表6に示す。
【0145】
さらに、非磁性基板上に、垂直磁気記録媒体Gと同様にして、V下地層、CoPtCrO硬磁性層、及びFeCoNd軟磁性層を積層し、サンプル基板8を得た。
【0146】
得られたサンプル基板8について、実施例1と同様にしてDCイレ−ズ後の信号を読み取ったところ、図15と同様にノイズのない波形が見られた。
【0147】
比較例3
FeCoNd軟磁性層の代わりに、FeTaC軟磁性層を100nmの厚さで形成すること以外は、実施例5と同様にして、従来の垂直磁気記録媒体Hを得た。
【0148】
別途、V下地層及びCoPtCrO硬磁性層を形成しないこと以外は同様にしてサンプル基板9を得た。
【0149】
得られたサンプル基板の静磁気特性を、実施例1と同様にVSMで測定した。結果を下記表5に示す。
【0150】
また、実施例1と同様な方法で、垂直磁気記録媒体Hについて電磁変換特性を測定した。その結果を下記表6に示す。
【0151】
【表5】
【0152】
【表6】
【0153】
保磁力、飽和磁束密度、RS共、垂直磁気記録媒体GのFeCoNd軟磁性層の方が大きかった。従来の垂直磁気記録媒体HのFeTaC軟磁性層の保磁力も、395A/mで、軟磁性としては決して小さくは無かった。また、磁気記録層の異方性の方向も実施例1と同様に調べた。その結果、垂直磁気記録媒体Gの軟磁性層は半径方向に鮮明な異方性が着いていたが、従来媒体HのFeTaC軟磁性層は等方的であった。
【0154】
本発明の垂直磁気記録媒体Gは、本発明の垂直磁気記録媒体Aと同様な値を示したが、従来の垂直磁気記録媒体Hは、垂直磁気記録媒体B、Fよりも劣る値を示した。
【0155】
さらに、非磁性基板上に、垂直磁気記録媒体Gと同様にして、V下地層、CoPtCrO硬磁性層、及びFeTaC軟磁性層を積層し、サンプル基板10を得た。
【0156】
実施例1と同様にしてDCイレ−ズ後の信号を読み取ったところ、図10に示すようなスパイクノイズが見られた。
【0157】
本発明の垂直磁気記録媒体Gでは、ヘッドからのR/W磁界にかかわらず、着磁が外れることは無かったが、従来の垂直磁気記録媒体Hでは、ヘッドからのR/W磁界により着磁が外れ、しかも同じ記録層の構成にもかかわらず垂直磁気記録媒体Bよりも劣ったのは、FeTaCの飽和磁束密度が小さい上に厚さ通常より薄い100nmであったため、硬磁性層の磁界がヘッドの再生にまで影響してしまったためと考えられる。
【0158】
以上より、本発明によれば、本発明に係る軟磁性層と基板との間に硬磁性層を用いた媒体では、従来よりも軟磁性層の着磁はずれがしづらく、硬磁性層の漏れ磁束がヘッドの再生に及びにくいことがわかった。
【0159】
【発明の効果】
本発明によれば、シャ−プな一軸の異方性を有し、かつ適度な保磁力を有する軟磁性層を使用することにより、磁壁の発生が抑えられ低ノイズな垂直記録再生が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の垂直磁気記録媒体の一例を表す概略断面図
【図2】本発明の垂直磁気記録媒体の他の一例を表す概略断面図
【図3】本発明の垂直磁気記録媒体のさらに他の一例を表す概略断面図
【図4】本発明にかかる磁気記録再生装置の一例を一部分解した斜視図
【図5】DCマグネトロンスパッタリング装置の一部を説明するための図
【図6】本発明に係る垂直磁気記録媒体Aの構成を表す概略断面図
【図7】本発明に使用される軟磁性層の一例の円周方向のM−Hループを表すグラフ図
【図8】本発明に使用される軟磁性層の一例の半径方向のM−Hループを表すグラフ図
【図9】サンプル基板1周あたりの波形の一例を表すグラフ図
【図10】サンプル基板1周あたりの波形の他の一例を表すグラフ図
【図11】本発明に係る垂直磁気記録媒体Cの構成を表す概略断面図
【図12】本発明の垂直磁気記録媒体を製造する装置の一部の構成を説明するための図
【図13】本発明に係る垂直磁気記録媒体Dの構成を表す概略断面図
【図14】本発明に係る垂直磁気記録媒体Eの構成を表す概略断面図
【図15】軟磁性層のDCイレ−ズ後の信号を表すグラフ図
【図16】本発明に用いられる着磁装置の一例を表す概略図
【図17】本発明に係る垂直磁気記録媒体Gの構成を表す概略断面図
【符号の説明】
1…基板、2,6,11,31,32,79,84,83…軟磁性層、3,23,25,74…垂直磁気記録層、15…ターゲット、16…超強力マグネット、49…着磁装置、100…DCマグネトロンスパッタリング装置、121…磁気ディスク、122…スピンドル、123…スライダー、124…サスペンション、125…アーム、126…ボイスコイルモータ、127…固定軸
Claims (8)
- 非磁性基板と、該非磁性基板上に設けられ、遷移金属元素及び希土類元素を含有し、磁化容易軸を有し、かつ窒素及び酸素のうち少なくとも一方を含まない軟磁性層と、該軟磁性層上に設けられた垂直磁気記録層とを具備することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
- 前記遷移金属元素は、鉄、コバルト、及びニッケルからなる群から選択され、前記軟磁性層中の遷移金属元素の原子組成百分率をx、希土類元素の原子組成百分率をyとするとき、xは、60at%以上100at%未満、yは0at%より多く40at%以下であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
- 前記軟磁性層の磁化容易軸は面内方向を向いていることを特徴とする請求項1または2に記載の垂直磁気記録媒体。
- 前記希土類元素は、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユ−ロピウム、及びガドリニウムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
- 前記軟磁性層は、10ないし200nmの厚さを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
- 前記遷移金属元素と前記希土類元素の組み合わせは、コバルト−ガドリニウム、コバルト−ネオジム、鉄−サマリウム、鉄−コバルト−ガドリニウム、鉄−コバルト−ネオジム、鉄−コバルト−サマリウム、及び鉄−コバルト−イットリウムからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
- 前記軟磁性層は、前記遷移金属元素と前記希土類元素を含有する2以上の層が、ホウ素、炭素、チタン、ケイ素、アルミニウム、クロム、ルテニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、窒素、及び酸素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する非磁性層を介して積層された多層体を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体と、前記垂直磁気記録媒体を支持及び回転駆動する駆動機構と、前記垂直磁気記録媒体に対して情報の記録を行うための素子及び記録された情報の再生を行うための素子を有する磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記垂直磁気記録媒体に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリとを具備することを特徴とする磁気記録再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002284046A JP2004118977A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002284046A JP2004118977A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004118977A true JP2004118977A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32277735
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002284046A Pending JP2004118977A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004118977A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007026513A (ja) * | 2005-07-14 | 2007-02-01 | Hoya Corp | 垂直磁気記録媒体 |
CN100362572C (zh) * | 2004-08-27 | 2008-01-16 | 富士通株式会社 | 磁记录介质和磁记录方法 |
JP2010086587A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Hoya Corp | 垂直磁気記録媒体 |
WO2013047321A1 (ja) * | 2011-09-26 | 2013-04-04 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層に用いる合金およびスパッタリングターゲット材並びに軟磁性薄膜層を有する垂直磁気記録媒体 |
WO2016079971A1 (ja) * | 2014-11-18 | 2016-05-26 | ソニー株式会社 | 磁気記録媒体 |
-
2002
- 2002-09-27 JP JP2002284046A patent/JP2004118977A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100362572C (zh) * | 2004-08-27 | 2008-01-16 | 富士通株式会社 | 磁记录介质和磁记录方法 |
JP2007026513A (ja) * | 2005-07-14 | 2007-02-01 | Hoya Corp | 垂直磁気記録媒体 |
US7983003B2 (en) | 2005-07-14 | 2011-07-19 | WD Media (Singapore) PTE LTD | Magnetic recording medium having soft magnetic layer and perpendicular magnetic recording layer |
JP2010086587A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Hoya Corp | 垂直磁気記録媒体 |
WO2013047321A1 (ja) * | 2011-09-26 | 2013-04-04 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層に用いる合金およびスパッタリングターゲット材並びに軟磁性薄膜層を有する垂直磁気記録媒体 |
JP2013073635A (ja) * | 2011-09-26 | 2013-04-22 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層に用いる合金およびスパッタリングターゲット材並びに軟磁性薄膜層を有する垂直磁気記録媒体。 |
WO2016079971A1 (ja) * | 2014-11-18 | 2016-05-26 | ソニー株式会社 | 磁気記録媒体 |
JPWO2016079971A1 (ja) * | 2014-11-18 | 2017-08-24 | ソニー株式会社 | 磁気記録媒体 |
US20170249966A1 (en) * | 2014-11-18 | 2017-08-31 | Sony Corporation | Magnetic recording medium |
US10529367B2 (en) | 2014-11-18 | 2020-01-07 | Sony Corporation | Magnetic recording medium |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6426157B1 (en) | Perpendicular magnetic recording medium | |
US7105239B2 (en) | Perpendicular magnetic recording medium and magnetic recording/reproducing apparatus using the same | |
JP2009015959A (ja) | 垂直磁気記録媒体および磁気記録再生装置 | |
JP2004079058A (ja) | 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 | |
JP2008140460A (ja) | 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 | |
JP3701593B2 (ja) | 垂直磁気記録媒体及び磁気記憶装置 | |
US6902835B2 (en) | Perpendicular magnetic recording medium and magnetic recording apparatus | |
US20070217067A1 (en) | Perpendicular Magnetic Recording Medium Using Soft Magnetic Layer Which Suppresses Noise Generation, And Perpendicular Magnetic Recording Apparatus Therewith | |
JP2004039033A (ja) | 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 | |
JP2001331920A (ja) | 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 | |
JP3625428B2 (ja) | 垂直磁気記録媒体 | |
JP3684231B2 (ja) | 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 | |
JP2005032352A (ja) | 粒子分散型膜を下地に用いた磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置 | |
JP2003157516A (ja) | 垂直磁気記録媒体および磁気記録装置 | |
JP6285785B2 (ja) | 垂直記録媒体および垂直記録再生装置 | |
JP4772015B2 (ja) | 磁気記録媒体および磁気記録再生装置 | |
JP4154341B2 (ja) | 磁気記録媒体及び磁気記憶装置 | |
JP2007172783A (ja) | 磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置 | |
JP4287099B2 (ja) | 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 | |
JP2004118977A (ja) | 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 | |
JP2002298323A (ja) | 磁気記録媒体および磁気記録装置 | |
JP3913967B2 (ja) | 垂直磁気記録媒体及び垂直磁気記録再生装置 | |
JP2005310356A (ja) | ノイズ発生を抑えた軟磁性層を用いた垂直磁気記録媒体、およびそれを用いた垂直磁気記録装置 | |
JP2004095074A (ja) | 垂直磁気記録媒体および磁気記録再生装置 | |
JP2001101643A (ja) | 磁気記録媒体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050303 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20060313 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20060411 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A521 | Written amendment |
Effective date: 20060612 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061212 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070207 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20070221 |
|
A912 | Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Effective date: 20070316 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 |