JP2010086587A - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】軟磁性層を構成する元素を工夫することで、軟磁性層のHexを増大させることができ、これによりSNRを向上させることが可能となる。
【解決手段】 本発明の垂直磁気記録媒体100は、ディスク基体110上に少なくとも第1軟磁性層114aと、非磁性のスペーサ層114bと、第2軟磁性層114cと、磁気記録層122とをこの順に備え、第1軟磁性層114a及び第2軟磁性層114cが反強磁性交換結合を構成する垂直磁気記録媒体100であって、第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cには希土類金属が含まれていることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、HDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録媒体に関する。
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に磁気記録技術を用いたHDDの面記録密度は年率100%程度の割合で増加し続けている。最近では、HDD等に用いられる2.5インチ径磁気ディスク(磁気記録媒体)にして、1枚あたり250GBを超える情報記録容量が求められるようになってきており、このような要請にこたえるためには1平方インチあたり400GBitを超える情報記録密度を実現することが求められる。
HDD等に用いられる磁気記録媒体において高記録密度を達成するために、近年、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体(垂直磁気記録媒体)が提案されている。従来の面内磁気記録方式は磁気記録層の磁化容易軸が基体面の平面方向に配向されていたが、垂直磁気記録方式は磁化容易軸が基体面に対して垂直方向に配向するよう調整されている。垂直磁気記録方式は面内磁気記録方式に比べて磁性粒が微細化するほど反磁界(Hd)が小さくなって保磁力Hcが向上し、熱揺らぎ現象を抑制することができるので、高記録密度化に対して好適である。
上記垂直磁気記録方式においては、単磁極型垂直ヘッドが用いられ磁気記録層に対して垂直方向の磁界を生じさせている。しかし、単に単磁極型垂直ヘッドを用いるのみでは、単磁極端部を出た磁束が直ぐに反対側のリターン磁極に戻ろうとするため十分な強度の磁界を磁気記録層に印加することができない。そこで、垂直磁気記録媒体の磁気記録層の下に軟磁性層を設け、軟磁性層に磁路を形成することで磁気記録層に垂直方向の強い磁界を印加している。すなわち軟磁性層は、書き込むときの磁場によって磁化方向が整列し、動的に磁路を形成する層である。
軟磁性層は書き込む際に利用される層であり、書き込む際の磁場に沿って磁化方向が整列する。しかし読み出す際には軟磁性層に磁化方向を整列させる磁場は書き込み時ほど強くはかからないので、原則として磁化方向は不規則な方向に散乱している。この不規則な方向は3次元方向であり、軟磁性層の磁化方向に垂直成分が含まれていると、磁気ヘッドで読み出す際に磁気記録層の信号と共にノイズとして拾ってしまうおそれがある。
そこで軟磁性層については、2層に分割し、間に非磁性のスペーサ層を介在させたAFC(Antiferro-magnetic exchange coupling:反強磁性交換結合)構造が提案され、実施されている。AFC構造においては、下層と上層で磁化方向が逆転し、相互に引き合うことで結合して固定される(交換結合)。したがって磁場がかかっていないときの各軟磁性層の磁化方向は互いに反平行(平行かつ互いに逆向き)となり、すなわち基体主表面と平行になる。これにより、磁化の垂直成分が極めて少なくなることで軟磁性層から生じるノイズを低減することができる。
AFC構造における交換結合の強さは、交換結合磁界Hexで表される。Hexが強いほど軟磁性層の磁化方向は外部磁場の影響を受けにくくなり、漏れ磁場による磁路形成を防止できるため、SNR(Signal-Noise Ratio:シグナルノイズ比)を向上させることができる。
また、本来軟磁性層は、保磁力(Hc)が弱いこと、アモルファスであることなどから、磁区が形成されることについては議論されていなかった。しかしその後の研究によって、AFC媒体以前の単層の軟磁性層には磁区が形成されており、AFC媒体においては磁区が形成されなくなっていることが判明した。
磁区とは磁化方向が同じ方向を向いている領域であって、磁区(ドメイン)が形成されると磁区間の境界には磁壁(ドメインウォール)が形成される。磁壁は磁化方向が反転しているため、磁気ヘッドが磁壁を通過する際には突発的に信号レベルが押し上げられ、スパイクノイズとして検出される。
しかし、AFCを形成することにより2層の軟磁性層がそれぞれ単磁区化し、磁壁の発生を防ぐことが可能となっていることから、スパイクノイズを低減することができる。すなわちAFC媒体は、磁化方向の垂直成分をなくすだけでなく、スパイクノイズの防止にも寄与していたことがわかった(例えば、特許文献1)。
特開2003−45015号公報
上述したように、AFCを構成する媒体においては、交換結合磁界(Hex)が大きいほど軟磁性層の磁化安定性が増し、軟磁性層起因のノイズを抑制することができる。したがって、SNRを向上させるためには軟磁性層のHexの増大が不可欠であるが、現在主流となっている軟磁性層のAFC構造において、Hexの大きさは必ずしも十分ではない。
そこで本発明は、軟磁性層を構成する元素を工夫することで、軟磁性層のHexを増大させることができ、これによりSNRを向上させることが可能な垂直磁気記録媒介を提供することを目的としている。
発明者らが鋭意検討したところ、軟磁性層の異方性磁界(以下、Hkと称する)を高めれば、Hexが増加することを見出した。Hexと、Hkと比例関係にある異方性定数Kuとは、以下に示す式1の関係を満たす。式1において、Msは飽和磁化、dsmは軟磁性層の膜厚、Kuは異方性定数、Jは双線交換結合定数、Jは双二次曲線交換結合定数である。
Figure 2010086587
ここでHkとは磁性体の磁気異方性の指標の一つであり、結晶内でスピンを所定の方向にそろえようとする磁場の強さである。したがって、Ku値が大きい、すなわちHk値が大きいほど、スピンが磁化容易軸に向き易いことを示している。また、磁性体が単結晶や軟磁性アモルファス材料で構成されている場合、磁化困難軸に磁化した際の飽和磁界Hsを近似的にHkとみなすことができる。
そこで発明者らは、軟磁性層を構成する元素を工夫することでHkの向上を図ることができ、Hexを増大させることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち上記課題を解決するために本発明の代表的な構成は、基体上に少なくとも第1軟磁性層と、非磁性のスペーサ層と、第2軟磁性層と、磁気記録層とをこの順に備え、第1軟磁性層及び第2軟磁性層が反強磁性交換結合を構成する垂直磁気記録媒体において、第1軟磁性層および第2軟磁性層には希土類金属が含まれていることを特徴とする。
発明者らは、第1軟磁性層および第2軟磁性層に希土類金属を含ませると、当該第1軟磁性層および第2軟磁性層のHexを増大させることができることを見出した。したがって、第1軟磁性層および第2軟磁性層に希土類金属を含ませる構成により、Hexを増大させることができ、SNRを向上させることが可能となる。
上記第1軟磁性層および第2軟磁性層に含まれる希土類金属の含有率は、8atom%以下であるとよい。
希土類金属の含有率が8atom%を超えると、第1軟磁性層および第2軟磁性層の飽和磁化Msが低下するためである。
上記第1軟磁性層および第2軟磁性層に含まれる希土類金属は特に限定されないが、Ndであるとよい。かかる構成により、好適に第1軟磁性層および第2軟磁性層のHexを向上させることが可能となる。
上記第1軟磁性層および第2軟磁性層には、Feが含まれているとよい。かかる構成により、第1軟磁性層および第2軟磁性層の飽和磁化Msを向上させることができる。
当該垂直磁気記録媒体は、第2軟磁性層の上に、NiWを含む層をさらに備えるとよい。
第1軟磁性層および第2軟磁性層に含まれるNdおよびFeは、酸化物となりやすい傾向にある。NdおよびFeといった金属の酸化物がコロージョンとして当該垂直磁気記録媒体の表面に析出すると、その位置に記録されたデータが消失してしまうほか、磁気ヘッドの低浮上量化もあいまってクラッシュ障害が発生し、ディスクドライブの故障に発展するおそれがある。
上記第2軟磁性層の上にNiWを含む層を備える構成により、NiWで構成される緻密な層が、当該層の下に位置する第1軟磁性層および第2軟磁性層の酸化を防止することができ、第1軟磁性層および第2軟磁性層から発生するコロージョンを抑制することが可能となる。
本発明にかかる垂直磁気記録媒体は、軟磁性層を構成する元素を工夫することで、軟磁性層のHexを増大させることができ、これによりSNRを向上させることが可能となる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(実施形態)
本発明にかかる垂直磁気記録媒体の実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100の構成を説明する図である。図1に示す垂直磁気記録媒体100は、ディスク基体110、付着層112、第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114c、前下地層116、第1下地層118a、第2下地層118b、非磁性グラニュラー層120、第1磁気記録層122a、第2磁気記録層122b、補助記録層124、媒体保護層126、潤滑層128で構成されている。なお第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114cは、あわせて軟磁性層114を構成する。第1下地層118aと第2下地層118bはあわせて下地層118を構成する。第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bとはあわせて磁気記録層122を構成する。
[基体成型工程]
ディスク基体110は、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円板状に成型したガラスディスクを用いることができる。なおガラスディスクの種類、サイズ、厚さ等は特に制限されない。ガラスディスクの材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどが挙げられる。このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性のディスク基体110を得ることができる。
[成膜工程]
上述した基体成型工程で得られたディスク基体110上に、DCマグネトロンスパッタリング法にて付着層112、軟磁性層114、前下地層116、下地層118、非磁性グラニュラー層120、磁気記録層122、補助記録層124を順次成膜を行い、媒体保護層126はCVD法により成膜する。この後、潤滑層128をディップコート法により成膜する。なお、生産性が高いという点で、インライン型成膜方法を用いることも好ましい。以下、各層の構成および製造方法について説明する。
付着層112はディスク基体110に接して形成され、この上に成膜される軟磁性層114とディスク基体110との剥離強度を高める機能と、この上に成膜される各層の結晶グレインを微細化及び均一化させる機能を備えている。付着層112は、ディスク基体110がアモルファスガラスからなる場合、そのアモルファスガラス表面に対応させる為にアモルファス(非晶質)の合金膜とすることが好ましい。
付着層112としては、例えばCrTi系非晶質層、CoW系非晶質層、CrW系非晶質層、CrTa系非晶質層、CrNb系非晶質層から選択することができる。中でもCoW系合金膜は、微結晶を含むアモルファス金属膜を形成するので特に好ましい。付着層112は単一材料からなる単層でも良いが、複数層を積層して形成してもよい。例えばCrTi層の上にCoW層またはCrW層を形成してもよい。またこれらの付着層112は、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、又は酸素を含む材料によってスパッタを行うか、もしくは表面層をこれらのガスで暴露したものであることが好ましい。
軟磁性層114は、垂直磁気記録方式において記録層に垂直方向に磁束を通過させるために、記録時に一時的に磁路を形成する層である。軟磁性層114は第1軟磁性層114aと第2軟磁性層114cの間に非磁性のスペーサ層114bを介在させることによって、AFCを備えるように構成することができる。これにより軟磁性層114の磁化方向を高い精度で磁路(磁気回路)に沿って整列させることができ、磁化方向の垂直成分が極めて少なくなるため、軟磁性層114から生じるノイズを低減することができる。
図2は、AFC構造による磁化特性を説明するための説明図である。かかる磁化特性を参照すると、AFC構造をとらない軟磁性層が外部磁界Hを印加していないとき正負いずれかの磁化状態を維持するのに対して、AFC構造を有する軟磁性層は、磁界Hを印加していないときには、第1軟磁性層114aと第2軟磁性層114cの間で磁束が図2(b)に示すように閉路を構成し、磁化Mが0になる。そして、いずれかの方向に磁界Hを印加すると、両軟磁性層114a、114cの磁束が矢印(a)、矢印(c)のように同一方向に配向する。
上記AFC構造の結合の強さは、図2に示した交換結合磁界(Hex)に基づいて決まり、Hexが大きいほどAFCのカップリング(交換結合)が強いこととなる。かかるHexは、対応する磁気記録層122の書き込みに対する磁界に対しては磁化され、隣接する磁気記録層122の書き込みに対する磁界に対しては反応しないように設定される。
本実施形態において、第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cの組成はCoFeNdZrであり、Ndの含有率は8atom%以下であり、望ましくは約3atom%である。
第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cにNd等の希土類金属を含ませる構成により、好適に第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cのHexを向上させることが可能となる。
また、希土類金属の含有率が8atom%を超えると、第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cの飽和磁化Msが低下してしまうので、希土類金属の含有率は8atom%以下が好ましい。
本実施形態において、第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cの組成はCoCrNdZrとしたが、これに限定されず、公知の軟磁性材料にNdを添加したものを用いてもよい。例えば、CoTaZrなどのコバルト系合金、CoCrFeB、CoFeTaZrなどのCo−Fe系合金、[Ni−Fe/Sn]n多層構造のようなNi−Fe系合金などにNdを添加したものを用いることができる。
ただし、第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cにFeが含まれているとよい。かかる構成により、第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cの飽和磁化Msを向上させることができる。
スペーサ層114bは、Ruを含ませて構成する。
軟磁性層114の膜厚は20nm以上120nm以下、好ましくは30nm以上100nm以下である。軟磁性層114の膜厚が20nm未満であるとオーバーライト(OW)特性に影響を及ぼすおそれがある。
前下地層116は非磁性の合金層であり、軟磁性層114を防護する作用と、この上に成膜される下地層118に含まれる六方最密充填構造(hcp構造)の磁化容易軸をディスク垂直方向に配向させる機能を備える。前下地層116は面心立方構造(fcc構造)の(111)面がディスク基体110の主表面と平行となっていることが好ましい。また前下地層116は、これらの結晶構造とアモルファスとが混在した構成としてもよい。前下地層116の材質としては、NiWを用いている。
第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cに含まれるNdおよびFeは、酸化物となりやすい傾向にある。NdおよびFeといった金属の酸化物(コロージョン)が当該垂直磁気記録媒体100の表面に析出すると、その位置に記録されたデータが消失してしまうほか、磁気ヘッドの低浮上量化もあいまってクラッシュ障害が発生し、ディスクドライブの故障に発展するおそれがある。
NiWを含む前下地層116を備える構成により、NiWで構成される緻密な前下地層116が、前下地層116の下に位置する第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cの酸化を防止することができ、第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cから発生するコロージョンを抑制することが可能となる。
本実施形態において、前下地層116は、NiWを含んで構成されるが、これに限定されず、第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cの酸化を防止できれば足り、Ni、Cu、Pt、Pd、Zr、Hf、Nb、Taから選択してもよい。さらにこれらの金属を主成分とし、Ti、V、Cr、Mo、Wのいずれか1つ以上の添加元素を含む合金としてもよい。例えばfcc構造をとる元素としては、CuW、CuCrを好適に選択してもよい。
下地層118はhcp構造であって、磁気記録層122のCoのhcp構造の結晶をグラニュラー構造として成長させる作用を有している。したがって、下地層118の結晶配向性が高いほど、すなわち下地層118の結晶の(0001)面がディスク基体110の主表面と平行になっているほど、磁気記録層122の配向性を向上させることができる。下地層118の材質としてはRuが代表的であるが、その他に、RuCr、RuCoから選択することができる。Ruはhcp構造をとり、また結晶の格子間隔がCoと近いため、Coを主成分とする磁気記録層122を良好に配向させることができる。
下地層118をRuとした場合において、スパッタ時のガス圧を変更することによりRuからなる2層構造とすることができる。具体的には、下層側の第1下地層118aを形成する際にはArのガス圧を所定圧力、すなわち低圧にし、上層側の第2下地層118bを形成する際には、下層側の第1下地層118aを形成するときよりもArのガス圧を高くする、すなわち高圧にする。これにより、第1下地層118aによる磁気記録層122の結晶配向性の向上、および第2下地層118bによる磁気記録層122の磁性粒子の粒径の微細化が可能となる。
また、ガス圧を高くするとスパッタリングされるプラズマイオンの平均自由行程が短くなるため、成膜速度が遅くなり、皮膜が粗になるため、Ruの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、Coの微細化も可能となる。
非磁性グラニュラー層120はグラニュラー構造を有する非磁性の層である。下地層118のhcp結晶構造の上に非磁性のグラニュラー層を形成し、この上に第1磁気記録層122a(または磁気記録層122)のグラニュラー層を成長させることにより、磁性のグラニュラー層を初期成長の段階(立ち上がり)から分離させる作用を有している。これにより、磁気記録層122の磁性粒子の孤立化を促進することができる。非磁性グラニュラー層120の組成は、Co系合金からなる非磁性の結晶粒子の間に、非磁性物質を偏析させて粒界を形成することにより、グラニュラー構造とすることができる。
本実施形態においては、かかる非磁性グラニュラー層120にCoCr−SiOを用いる。これにより、Co系合金(非磁性の結晶粒子)の間にSiO(非磁性物質)が偏析して粒界を形成し、非磁性グラニュラー層120がグラニュラー構造となる。なお、CoCr−SiOは一例であり、これに限定されるものではない。他には、CoCrRu−SiOを好適に用いることができ、さらにRuに代えてRh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Au(金)も利用することができる。また非磁性物質とは、磁性粒(磁性グレイン)間の交換相互作用が抑制、または、遮断されるように、磁性粒の周囲に粒界部を形成しうる物質であって、コバルト(Co)と固溶しない非磁性物質であればよい。例えば酸化珪素(SiOx)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)を例示できる。
なお本実施形態では、下地層188(第2下地層188b)の上に非磁性グラニュラー層120を設けているが、これに限定されるものではなく、非磁性グラニュラー層120を設けずに垂直磁気記録媒体100を構成することも可能である。
磁気記録層122は、Co系合金、Fe系合金、Ni系合金から選択される硬磁性体の磁性粒の周囲に非磁性物質を偏析させて粒界を形成した柱状のグラニュラー構造を有した強磁性層である。この磁性粒は、非磁性グラニュラー層120を設けることにより、そのグラニュラー構造から継続してエピタキシャル成長することができる。本実施形態では組成および膜厚の異なる第1磁気記録層122aと、第2磁気記録層122bとから構成されている。第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bは、いずれも非磁性物質としてはSiO、Cr、TiO、B、Fe等の酸化物や、BN等の窒化物、B等の炭化物を好適に用いることができる。本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100は、ディスクリート型であるため、磁気記録層122がグラニュラー構造をとる構成により、SNRを向上させることが可能となる。
本実施形態では、第1磁気記録層122aにCoCrPt−Crを用いる。CoCrPt−Crは、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に、非磁性物質であるCrおよびCr(酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラー構造を形成した。この磁性粒は、非磁性グラニュラー層のグラニュラー構造から継続してエピタキシャル成長した。
また第2磁気記録層122bには、CoCrPt−SiO−TiOを用いる。第2磁気記録層122bにおいても、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に非磁性物質であるCrおよびSiO、TiO(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラー構造を形成した。
なお、上記に示した第1磁気記録層122aおよび第2磁気記録層122bに用いた物質は一例であり、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bで異なる材料(ターゲット)であるが、これに限定されず組成や種類が同じ材料であってもよい。非磁性領域を形成するための非磁性物質としては、例えば酸化珪素(SiO)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
さらに本実施形態では、第1磁気記録層122aにおいて1種類の、第2磁気記録層122bにおいて2種類の非磁性物質(酸化物)を用いているが、これに限定されるものではなく、第1磁気記録層122aまたは第2磁気記録層122bのいずれかまたは両方において2種類以上の非磁性物質を複合して用いることも可能である。このとき含有する非磁性物質の種類には限定がないが、本実施形態の如く特にSiOおよびTiOを含むことが好ましい。したがって、本実施形態とは異なり、磁気記録層122が1層のみで構成される場合、かかる磁気記録層122はCoCrPt−SiO−TiOからなることが好ましい。
補助記録層126は基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層である。補助記録層126は磁気記録層122に対して磁気的相互作用を有するように、隣接または近接している必要がある。補助記録層126の材質としては、例えばCoCrPt、CoCrPtB、またはこれらに微少量の酸化物を含有させて構成することができる。補助記録層126は逆磁区核形成磁界Hnの調整、保磁力Hcの調整を行い、これにより耐熱揺らぎ特性、OW特性、およびSNRの改善を図ることを目的としている。この目的を達成するために、補助記録層は垂直磁気異方性Kuおよび飽和磁化Msが高いことが望ましい。なお本実施形態において補助記録層126は磁気記録層122の上方に設けているが、下方に設けてもよい。
なお、「磁気的に連続している」とは磁性が連続していることを意味している。「ほぼ連続している」とは、補助記録層126全体で観察すれば一つの磁石ではなく、結晶粒子の粒界などによって磁性が不連続となっていてもよいことを意味している。粒界は結晶の不連続のみではなく、Crが偏析していてもよく、さらに微少量の酸化物を含有させて偏析させても良い。ただし補助記録層126に酸化物を含有する粒界を形成した場合であっても、磁気記録層122の粒界よりも面積が小さい(酸化物の含有量が少ない)ことが好ましい。補助記録層126の機能と作用については必ずしも明確ではないが、磁気記録層122のグラニュラー磁性粒と磁気的相互作用を有する(交換結合を行う)ことによってHnおよびHcを調整することができ、耐熱揺らぎ特性およびSNRを向上させていると考えられる。またグラニュラー磁性粒と接続する結晶粒子(磁気的相互作用を有する結晶粒子)がグラニュラー磁性粒の断面よりも広面積となるため磁気ヘッドから多くの磁束を受けて磁化反転しやすくなり、全体のOW特性を向上させるものと考えられる。
なお補助記録層124として、単一の層ではなく、高い垂直磁気異方性かつ高い飽和磁化Msを示す薄膜を形成するCGC構造(Coupled Granular Continuous)としてもよい。なおCGC構造は、グラニュラー構造を有する磁気記録層と、PdやPtなどの非磁性物質からなる薄膜のカップリング制御層と、CoBとPdとの薄膜を積層した交互積層膜からなる交換エネルギー制御層とから構成することができる。
媒体保護層126は、真空を保ったままカーボンをCVD法により成膜して形成する。媒体保護層126は、磁気ヘッドの衝撃から垂直磁気記録媒体100を防護するための層であり、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含んで構成される。したがって、緻密で耐久性のある媒体保護層126とすることができる。
一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタ法によって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に垂直磁気記録媒体100を防護することができる。
本実施形態では、媒体保護層126を成膜した後さらに窒化処理を遂行する。窒化処理は、媒体保護層126を成膜する際に用いるCVDチャンバと同一のCVDチャンバで気体をエチレンから窒素に変更して行う。詳しくはチャンバ内に窒素を導入してプラズマ化し、基体に高周波バイアスをかけて窒素イオンをカーボン層に打ち込む(窒素トリートメント)。なお窒化炭素を用いたCVD法やスパッタリング法によって窒化炭素膜を形成してもよい。
潤滑層128は、PFPE(パーフロロポリエーテル)をディップコート法により成膜する。PFPEは長い鎖状の分子構造を有し、末端に水酸基(OH)を配している。PFPEの末端に配される水酸基は媒体保護層126の表面に存在する窒素と高い親和性がある。したがって、本実施形態にかかる媒体保護層126の表面には窒素が含有する構成により、潤滑層128の媒体保護層126に対する付着率(BR)を向上させることができる。この潤滑層128の作用により、垂直磁気記録媒体100の表面に磁気ヘッドが接触しても、媒体保護層126の損傷や欠損を防止することができる。
(実施例と評価)
ディスク基体110上に、真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、付着層112から補助記録層124まで順次成膜を行った。付着層112は、CrTiとした。軟磁性層114は、第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成はCoFeNdZr(Ndの含有率は約3atom%とした)とし、スペーサ層114bの組成はRuとした。前下地層116の組成はfcc構造のNiW合金とした。下地層118は、第1下地層118aは低圧Ar下でRuを成膜し、第2下地層118bは高圧Ar下でRuを成膜した。非磁性グラニュラー層120の組成は非磁性のCoCr−SiOとした。第1磁気記録層122aの組成は、CoCrPt−Crとし、第2磁気記録層122bの組成は、CoCrPt−SiO−TiOとした。補助記録層124の組成はCoCrPtBとした。媒体保護層126はCVD法によりCを用いて成膜し、同一チャンバ内で、窒素を導入して窒化処理を行った。潤滑層128はディップコート法によりPFPEを用いて形成した。
また比較例として、第1軟磁性層、第2軟磁性層の組成をCoFeTaZrとし、他の膜の組成を実施例と等しくした垂直磁気記録媒体を作成した。
図3は、実施例と比較例のヒステリシス曲線を説明するための説明図である。図3に示すように、比較例のHkは60Oeであるが、実施例のHkは87Oeとなった。したがって、第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cにNdを含む構成により、Ndを含まない垂直磁気記録媒体と比較して40%程度Hkが向上した。
同様に、比較例のKuは450000であるが、実施例のKuは652500となった。したがって、第1軟磁性層114aおよび第2軟磁性層114cにNdを含む構成により、Ndを含まない垂直磁気記録媒体と比較して40%程度Kuが向上した。
図4は、実施例と比較例のHexを比較した図である。軟磁性層の膜厚が25nmである場合において、比較例では、Hexが160Oeであったが、実施例では、Hexが190Oeに向上することが確認された。
以上説明したように、本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100は、軟磁性層114に希土類金属であるNdを含ませることにより、軟磁性層114のHexを増大させることができ、これによりSNRを向上させることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、HDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録媒体として利用することができる。
本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の構成を説明する図である。 AFC構造による磁化特性を説明するための説明図である。 実施例と比較例のヒステリシス曲線を説明するための説明図である。 実施例と比較例のHexを比較した図である。
符号の説明
100 …垂直磁気記録媒体
110 …ディスク基体
112 …付着層
114 …軟磁性層
114a …第1軟磁性層
114b …スペーサ層
114c …第2軟磁性層
116 …前下地層
118 …下地層
118a …第1下地層
118b …第2下地層
120 …非磁性グラニュラー層
122 …磁気記録層
122a …第1磁気記録層
122b …第2磁気記録層
124 …補助記録層
126 …媒体保護層
128 …潤滑層

Claims (5)

  1. 基体上に少なくとも第1軟磁性層と、非磁性のスペーサ層と、第2軟磁性層と、磁気記録層とをこの順に備え、前記第1軟磁性層及び第2軟磁性層が反強磁性交換結合を構成する垂直磁気記録媒体において、
    前記第1軟磁性層および第2軟磁性層には希土類金属が含まれていることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記希土類金属の含有率は、8atom%以下であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記希土類金属は、Ndであることを特徴とする請求項1または2に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記第1軟磁性層および第2軟磁性層には、Feが含まれていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記第2軟磁性層の上に、NiWを含む層をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
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JP2006092721A (ja) * 2004-08-26 2006-04-06 Showa Denko Kk 垂直磁気記録媒体用基板、その製造方法、および垂直磁気記録媒体

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