JP2011192319A - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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禎一郎 梅澤
Takahiro Onoe
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Abstract

【課題】 補助記録層に起因すると考えられるノイズを低減させてSNRを向上し、かつ磁気記録層における保磁力を向上させることにより、更なる高記録密度化を達成することが可能な垂直磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】 基体上に少なくとも、柱状に連続して成長した磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造の第1磁気記録層と、柱状に連続して成長した磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造の第2磁気記録層と、非磁性の分断層と、基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した補助記録層と、をこの順に備え、第1磁気記録層および第2磁気記録層はPtを含むCo系合金であって、第1磁気記録層よりも第2磁気記録層の方がPtの含有量が少ないことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、垂直磁気記録方式のHDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録媒体に関するものである。
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に磁気記録技術を用いたHDDの面記録密度は年率100%程度の割合で増加し続けている。最近では、HDD等に用いられる2.5インチ径の磁気記録媒体にして、1枚あたり200GBを超える情報記録容量が求められるようになってきており、このような要請にこたえるためには1平方インチあたり400GBを超える情報記録密度を実現することが求められる。
HDD等に用いられる磁気記録媒体において高記録密度を達成するために、近年、垂直磁気記録方式が提案されている。垂直磁気記録方式に用いられる垂直磁気記録媒体は、磁気記録層の磁化容易軸が基板面に対して垂直方向に配向するよう調整されている。垂直磁気記録方式は従来の面内記録方式に比べて、超常磁性現象により記録信号の熱的安定性が損なわれ、記録信号が消失してしまう、いわゆる熱揺らぎ現象を抑制することができるので、高記録密度化に対して好適である。
強磁性体としてはCo、Fe、Niなどがあるが、耐熱性や耐腐食性の観点から、従来から磁気記録媒体としては、Co系合金が好んで用いられる。例えば、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPt、CoNiPt、CoCrPt、CoSm及びCoReなどが多く用いられている。添加元素の中では、Pt(プラチナ)を添加すると磁気異方性Kuを高めることができ、高い飽和磁化Msと高い保磁力Hcを得ることが可能となる(非特許文献1)。非特許文献1によれば、Ptを増加させていくと、25at%までは保磁力が増加すると報告されている。ただしCoPt合金は耐食性が低いという問題があるが、さらにCrを添加することにより、耐食性およびノイズ低下を図れることが知られている(特許文献1)。特許文献1では、17at%程度のCrを含有させることにより耐食性と低ノイズ性を得られるとしている。そのため現在の磁気記録媒体では、CoCrPtからなる三元合金が好んで用いられている。
また垂直磁気記録方式に用いる磁気記録媒体としては、高い熱安定性と良好な記録特性を示すことから、CoCrPt−SiO垂直磁気記録媒体(非特許文献2参照)が提案されている。これは磁気記録層において、Coのhcp構造(六方最密結晶格子)の結晶が柱状に連続して成長した磁性粒子の間に、SiOが偏析した非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造を構成し、磁性粒子の微細化と保磁力Hcの向上をあわせて図るものである。非磁性の粒界(磁性粒子間の非磁性部分)には酸化物を用いることが知られており、例えばSiO、Cr、TiO、TiO、Taのいずれか1つを用いることが提案されている(特許文献2)。
グラニュラ構造を有する磁気記録層において、非磁性の粒界部の割合を大きくすると、磁性粒子の孤立化と微細化が進行することからSNRは向上する。その一方で、磁性粒子が極端に微細化すると、保磁力が低下してしまう。理想的には粒界部の割合が小さいままで、磁性粒子がなるべく孤立化してSNRを向上し、ほどよく微細化して保磁力を確保することが好ましい。従来から酸化物の材質や添加量によって上記の課題が検討されているが、特許文献3にはグラニュラ磁性層を2層に分けて、酸化物の種類と添加量を異ならせることにより、主に保磁力を担う層(第1磁気記録層)と、SNRを向上させた主記録層(第2磁気記録層)を設ける構成が開示されている。
一方、磁気記録層の保磁力Hcを向上させていくと、高記録密度化が達成できる反面、磁気ヘッドによる書き込みが困難になる傾向にある。そこで磁気記録媒体の上または下に面内方向に磁気的に連続した補助記録層を設けて、逆磁区核形成磁界Hnを向上させてノイズを低減し、飽和磁化Msを向上させてオーバーライト特性も向上させる構成が知られている。なお補助記録層は連続層またはキャップ層とも呼ばれる場合もある。
Aboaf, Magnetic Properties and Structure of Cobalt-Platinum Thin Films、IEEE Trans. on Magnetics 1983,7 T. Oikawa et. al.、 IEEE Trans. Magn、 vol.38、 1976-1978(2002) 米国特許第4,789,598号公報 特開2006−024346号公報 WO2007/114402号公報
上記の如く高記録密度化している磁気記録媒体であるが、今後さらなる記録密度の向上が要請されている。高記録密度化のために重要な要素としては、保磁力Hcや逆磁区核形成磁界Hnなどの静磁気特性の向上と、オーバーライト特性(OW特性)やSNR(Signal to Noise Ratio:シグナルノイズ比)、トラック幅の狭小化などの電磁変換特性の向上がある。その中でも保磁力Hcの向上とSNRの向上は、面積の小さな記録ビットにおいても正確に且つ高速に読み書きするために重要である。
SNRの向上は、主に磁気記録層の磁化遷移領域ノイズの低減により行われる。ノイズ低減のために有効な要素としては、磁気記録層の結晶配向性の向上、磁性粒子の粒径の微細化、および磁性粒子の孤立化が挙げられる。中でも、磁性粒子の孤立化が促進されると隣接する磁性粒子との磁気的相互作用が遮断されるため、ノイズを大幅に低減することができ、SNRを著しく向上させることが可能となる。上述のグラニュラ構造の垂直磁気記録媒体では、酸化物によって粒界を形成することによって磁性粒子を孤立化および微細化し、SNRを向上させている。
しかし、上記の補助記録層はグラニュラ構造を有しておらず、面内方向に磁気的にほぼ連続した構造となっている。このため、補助記録層によりオーバーライト特性を改善できる反面、ノイズの増加を招くこととなる。特に補助記録層は、媒体の上方に位置することになるため、ノイズ増加に対する影響は大きい。かといって、補助記録層なしではOW特性が極端に低くなり、昨今の保磁力の高い磁気記録層は、もはや書き込むことができなくなってしまう。このため、やはりある程度のノイズは容認する必要があった。
したがって、上記の技術を用いてSNRを更に向上させることは困難であるため、磁気記録媒体の更なる高記録密度化の達成には、磁気記録層のSNRを更に向上することが可能な新たな手法の確立が課題となっていた。
本発明は、このような課題に鑑み、補助記録層に起因すると考えられるノイズを低減させてSNRを向上し、かつ磁気記録層における保磁力を向上させることにより、更なる高記録密度化を達成することが可能な垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために発明者らが鋭意検討したところ、磁気記録層と補助記録層が極端に異なる構造を有している点に着目した。すなわち、磁気記録層はグラニュラ構造を有しているのに対し、補助記録層は膜面内方向に一様な膜構造を有している。そのため、補助記録層を磁気記録層の上に成膜すると、補助記録層の微細構造に影響を及ぼしている可能性があると考えた。そして、磁気記録層と補助記録層との間にRuと酸素を含む非磁性の分断層を介在させることにより補助記録層の低ノイズ化を図れることに想到した。
しかし、上記の分断層と設けると、低ノイズ化を図れる代わりに保磁力Hcが若干低下してしまう(向上しにくくなる)ことがわかった。保磁力を向上させるためには磁気記録層の膜厚を厚くすることが考えられるが、磁気ヘッドから軟磁性層まで到る磁気的スペーシングが大きくなってしまうために、磁束が拡散し書きにじみが起きて高記録密度化が困難になってしまう。そこでさらに研究を重ねることにより、磁気記録層の組成を見直すことで、2層のグラニュラ磁性層と補助記録層と分断層からなる構成における保磁力とSNRの両立を図り、上記課題の解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明に係る垂直磁気記録媒体の代表的な構成は、基体上に少なくとも、柱状に連続して成長した磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造の第1磁気記録層と、柱状に連続して成長した磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造の第2磁気記録層と、非磁性の分断層と、基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した補助記録層と、をこの順に備え、第1磁気記録層および第2磁気記録層はPtを含むCo系合金であって、第1磁気記録層よりも第2磁気記録層の方がPtの含有量が少ないことを特徴とする。
上記構成によれば、補助記録層に起因すると考えられるノイズを低減させてSNRを向上させることができる。これは、磁気記録層と補助記録層との間に非磁性の分断層を設けることにより、補助記録層と磁気記録層の交換結合が適度に調整されるためと推察される。一方、非磁性の分断層によって保磁力が低下してしまうところ、第1磁気記録層よりも第2磁気記録層の方がPtの含有量が少なくすることにより、主記録層である第2磁気記録層では高いSNRを確保しつつ、第1磁気記録層はPtの含有量が多いことにより保持力を向上させることができる。したがって全体的に、高いSNRと保磁力を両立させることが可能となる。
第1磁気記録層のPtは16at%〜22at%であってもよい。かかる範囲であれば積極的に保磁力を向上させることができる。
第2磁気記録層のPtは14at%〜19at%であってもよい。かかる範囲であればPtによるノイズをCrによって抑えることができるため、高いSNRを確保することができる。
第1磁気記録層の厚みをAnm、第2磁気記録層の厚みをBnmとしたとき、A/B=15%〜30%であってもよい。第1磁気記録層を上記のように薄くすることにより、Ptの増加によってノイズが増大しても、その影響を抑えることができる。なお、第1磁気記録層の厚みは1.7nm〜3.2nm、第2磁気記録層の厚みは8.5nm〜11.0nmの範囲にあることが好ましい。これにより適度な保磁力HcとSNRの両立を図ることができる。
補助記録層は14at%〜20at%のCrを含有していてもよい。これにより補助記録層の飽和磁化Msを高めると共にノイズ低減を図ることができ、またこのように多くのCrを含有させても、非磁性の分断層を設けたことにより補助記録層のCrが磁気記録層に拡散することがなく、特性の低下を招くことがない。
分断層は、Ruと酸素を含んでいてもよい。分断層に酸素を含ませると、磁気記録層の粒界を構成する酸化物と親和性が高いことから、分断層中の酸素原子が粒界の上に選択的に析出して偏在する。これにより補助記録層の分離が促進され、補助記録層に起因するノイズが抑制される。またRuの効果により全体として補助記録層のCoの結晶配向性が向上する。
分断層は、Ruと酸化物を含み、酸化物はWO、TiO、またはRuOであってもよい。分断層は、Ruと酸素とを含ませるための具体的な手段の一つとして、Ruと酸化物とから構成することができる。Ruと酸化物とを含むターゲットを用いてスパッタリングを行うと、酸化物から解離した酸素が膜中に含まれるため、酸素添加と同様の効果を奏するためである。酸化物としては様々なものが考えられるが、特にW(タングステン)、Ti(チタン)、Ru(ルテニウム)の酸化物を用いることにより、電磁変換特性(SNR)を向上させることができる。中でも、WOは高い効果を得ることができる。これは、WOが不安定な酸化物であるので、スパッタ中により多くの酸素が解離され、より効果的に酸素添加の効果を示すためである。
分断層は、膜厚が2Å以上〜10Å以下(0.2nm以上〜1nm以下)であってもよい。分断層の膜厚を10Å以上とすると、磁気記録層と補助記録層とが磁気的に完全に分離されてしまうために、所望のSNRが得られない。一方、膜厚が2Å以下では皮膜を形成できなくなってしまうためである。尚、ここで皮膜とは必ずしも連続なもので無くともよく、例えば島状に膜が析出した状態でも、機能が発揮できれば問題とはならない。
第1磁気記録層または第2磁気記録層は2種以上の酸化物を含んでいてもよい。これにより、複数の酸化物の特性を得ることができ、磁気記録層の磁性粒子のさらなる微細化と孤立化を図ることによりノイズを低減し、かつSNRを向上させて高記録密度化を図ることのできる垂直磁気記録媒体を得ることができる。
第1磁気記録層または第2磁気記録層は酸化物としてSiOとTiOを含んでいてもよい。SiOは磁性粒子の微細化および孤立化を促進し、TiOは電磁変換特性(特にSNR)を向上させる特性がある。そしてこれらの酸化物を複合させて磁気記録層の粒界に偏析させることにより、双方の利益を享受することができる。
第1磁気記録層または第2磁気記録層は、粒界部を構成する酸化物を5mol%以上含んでいてもよい。5mol%以上であるとき高い静磁気特性と電磁変換特性とを得ることができると共に、そのような範囲では補助記録層の特性が無視できないほどに低下するところ、上記の分断層を設けることによって特性の改善を得ることができるためである。
本発明によれば、補助記録層に起因すると考えられるノイズを低減させてSNRを向上し、かつ磁気記録層における保磁力を向上させることにより、更なる高記録密度化を達成することが可能な垂直磁気記録媒体を提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(実施形態)
本実施形態では、まず本発明にかかる垂直磁気記録媒体の実施形態について説明した後に、磁気記録層と補助記録層の間に設けた分断層について詳細に説明する。
[垂直磁気記録媒体]
図1は、本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100の構成を説明する図である。図1に示す垂直磁気記録媒体100は、ディスク基体110、付着層112、第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114c、前下地層116、第1下地層118a、第2下地層118b、非磁性グラニュラ層120、第1磁気記録層122a、第2磁気記録層122b、分断層124、補助記録層126、媒体保護層128、潤滑層130で構成されている。なお第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114cは、あわせて軟磁性層114を構成する。第1下地層118aと第2下地層118bはあわせて下地層118を構成する。第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bとはあわせて磁気記録層122を構成する。
ディスク基体110は、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円板状に成型したガラスディスクを用いることができる。なおガラスディスクの種類、サイズ、厚さ等は特に制限されない。ガラスディスクの材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどが挙げられる。このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性のディスク基体110を得ることができる。
ディスク基体110上に、DCマグネトロンスパッタリング法にて付着層112から補助記録層126まで順次成膜を行い、媒体保護層128はCVD法により成膜することができる。この後、潤滑層130をディップコート法により形成することができる。なお、生産性が高いという点で、インライン型成膜方法を用いることも好ましい。以下、各層の構成について説明する。
付着層112はディスク基体110に接して形成され、この上に成膜される軟磁性層114とディスク基体110との剥離強度を高める機能と、この上に成膜される各層の結晶グレインを微細化及び均一化させる機能を備えている。付着層112は、ディスク基体110がアモルファスガラスからなる場合、そのアモルファスガラス表面に対応させる為にアモルファス(非晶質)の合金膜とすることが好ましい。
付着層112としては、例えばCrTi系非晶質層、CoW系非晶質層、CrW系非晶質層、CrTa系非晶質層、CrNb系非晶質層から選択することができる。中でもCoW系合金膜は、微結晶を含むアモルファス金属膜を形成するので特に好ましい。付着層112は単一材料からなる単層でも良いが、複数層を積層して形成してもよい。例えばCrTi層の上にCoW層またはCrW層を形成してもよい。またこれらの付着層112は、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、又は酸素を含む材料によってスパッタを行うか、もしくは表面層をこれらのガスで暴露したものであることが好ましい。
軟磁性層114は、垂直磁気記録方式において記録層に垂直方向に磁束を通過させるために、記録時に一時的に磁路を形成する層である。軟磁性層114は第1軟磁性層114aと第2軟磁性層114cの間に非磁性のスペーサ層114bを介在させることによって、AFC(Antiferro-magnetic exchange coupling:反強磁性交換結合)を備えるように構成することができる。これにより軟磁性層114の磁化方向を高い精度で磁路(磁気回路)に沿って整列させることができ、磁化方向の垂直成分が極めて少なくなるため、軟磁性層114から生じるノイズを低減することができる。第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成としては、CoTaZrなどのコバルト系合金、CoCrFeB、CoFeTaZrなどのCo−Fe系合金、[Ni−Fe/Sn]n多層構造のようなNi−Fe系合金などを用いることができる。
前下地層116は非磁性の合金層であり、軟磁性層114を防護する作用と、この上に成膜される下地層118に含まれる六方最密充填構造(hcp構造)の磁化容易軸をディスク垂直方向に配向させる機能を備える。前下地層116は面心立方構造(fcc構造)の(111)面がディスク基体110の主表面と平行となっていることが好ましい。また前下地層116は、これらの結晶構造とアモルファスとが混在した構成としてもよい。前下地層116の材質としては、Ni、Cu、Pt、Pd、Zr、Hf、Nb、Taから選択することができる。さらにこれらの金属を主成分とし、Ti、V、Cr、Mo、Wのいずれか1つ以上の添加元素を含む合金としてもよい。例えばfcc構造を取る合金としてはNiW、CuW、CuCrを好適に選択することができる。
下地層118はhcp構造であって、磁気記録層122のCoのhcp構造の結晶をグラニュラ構造として成長させる作用を有している。したがって、下地層118の結晶配向性が高いほど、すなわち下地層118の結晶の(0001)面がディスク基体110の主表面と平行になっているほど、磁気記録層122の配向性を向上させることができる。下地層118の材質としてはRuが代表的であるが、その他に、RuCr、RuCoから選択することができる。Ruはhcp構造をとり、また結晶の格子間隔がCoと近いため、Coを主成分とする磁気記録層122を良好に配向させることができる。
下地層118をRuとした場合において、スパッタ時のガス圧を変更することによりRuからなる2層構造とすることができる。具体的には、下層側の第1下地層118aを形成する際にはArのガス圧を所定圧力、すなわち低圧にし、上層側の第2下地層118bを形成する際には、下層側の第1下地層118aを形成するときよりもArのガス圧を高くする、すなわち高圧にする。これにより、第1下地層118aによる磁気記録層122の結晶配向性の向上、および第2下地層118bによる磁気記録層122の磁性粒子の粒径の微細化が可能となる。
また、ガス圧を高くするとスパッタリングされるプラズマイオンの平均自由行程が短くなるため、成膜速度が遅くなり、皮膜が粗になるため、Ruの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、Coの微細化も可能となる。
さらに、下地層118のRuに酸素を微少量含有させてもよい。これによりさらにRuの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、磁気記録層のさらなる孤立化と微細化を図ることができる。なお酸素はリアクティブスパッタによって含有させてもよいが、スパッタリング成膜する際に酸素を含有するターゲットを用いることが好ましい。
非磁性グラニュラ層120はグラニュラ構造を有する非磁性の層である。下地層118のhcp結晶構造の上に非磁性のグラニュラ層を形成し、この上に第1磁気記録層122a(または磁気記録層122)のグラニュラ層を成長させることにより、磁性のグラニュラ層を初期成長の段階(立ち上がり)から分離させる作用を有している。これにより、磁気記録層122の磁性粒子の孤立化を促進することができる。非磁性グラニュラ層120の組成は、Co系合金からなる非磁性の結晶粒子の間に、非磁性物質を偏析させて粒界を形成することにより、グラニュラ構造とすることができる。
本実施形態においては、かかる非磁性グラニュラ層120にCoCr−SiOを用いる。これにより、Co系合金(非磁性の結晶粒子)の間にSiO(非磁性物質)が偏析して粒界を形成し、非磁性グラニュラ層120がグラニュラ構造となる。なお、CoCr−SiOは一例であり、これに限定されるものではない。他には、CoCrRu−SiOを好適に用いることができ、さらにRuに代えてRh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Au(金)も利用することができる。また非磁性物質とは、磁性粒(磁性グレイン)間の交換相互作用が抑制、または、遮断されるように、磁性粒の周囲に粒界部を形成しうる物質であって、コバルト(Co)と固溶しない非磁性物質であればよい。例えば酸化珪素(SiOx)、クロム(Cr)、酸化クロム(CrO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)を例示できる。
なお本実施形態では、下地層188(第2下地層188b)の上に非磁性グラニュラ層120を設けているが、これに限定されるものではなく、非磁性グラニュラ層120を設けずに垂直磁気記録媒体100を構成することも可能である。
磁気記録層122は、Co系合金、Fe系合金、Ni系合金から選択される硬磁性体の磁性粒の周囲に非磁性物質を偏析させて粒界を形成した柱状のグラニュラ構造を有している。この磁性粒は、非磁性グラニュラ層120を設けることにより、そのグラニュラ構造から継続してエピタキシャル成長することができる。磁気記録層122は単層でもよいが、本実施形態では組成および膜厚の異なる第1磁気記録層122aと、第2磁気記録層122bとから構成されている。これにより、第1磁気記録層122aの結晶粒子から継続して第2磁気記録層122bの小さな結晶粒子が成長し、主記録層たる第2磁気記録層122bの微細化を図ることができ、SNRの向上が可能となる。
本実施形態では、第1磁気記録層122aにCoCrPt−Crを用いる。CoCrPt−Crは、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に、非磁性物質であるCrおよびCr(酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラ構造を形成した。この磁性粒は、非磁性グラニュラ層のグラニュラ構造から継続してエピタキシャル成長した。
また第2磁気記録層122bには、CoCrPt−SiO−TiOを用いる。第2磁気記録層122bにおいても、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に非磁性物質であるCrおよびSiO、TiO(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラ構造を形成した。
磁気記録層122を第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bとに分けているのは、主記録層である第2磁気記録層122bではSNRを優先させた構成とすると共に、第1磁気記録層122aによって保磁力を優先させた構成とすることにより、保磁力とSNRの両立を図るためである。具体的には、第1磁気記録層122aでは酸化物であるCrの量を少なくして磁性粒子の粒径を大きくすることによって保磁力を増大させている。第2磁気記録層122bではSiOによって孤立微細化を図ると共にTiOによってSNRの向上を図り、かつ酸化物の総量を多くすることによってもSNRを向上させている。
さらに本実施形態においては、後述するように、第1磁気記録層122aよりも第2磁気記録層122bの方がPtの含有量が少なくなるように構成している。換言すれば、第1磁気記録層122aにおいてはPtの量を多くすることにより、保磁力をさらに高めている。
なお、上記に示した第1磁気記録層122aおよび第2磁気記録層122bに用いた物質は一例であり、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bで異なる材料(ターゲット)であるが、これに限定されず組成や種類が同じ材料であってもよい。非磁性領域を形成するための非磁性物質としては、例えば酸化珪素(SiO)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
また本実施形態では、第1磁気記録層122aにおいて1種類の、第2磁気記録層122bにおいて2種類の非磁性物質(酸化物)を用いているが、これに限定されるものではなく、第1磁気記録層122aまたは第2磁気記録層122bのいずれかまたは両方において2種類以上の非磁性物質を複合して用いることも可能である。このとき含有する非磁性物質の種類には限定がないが、本実施形態の如く特にSiOおよびTiOを含むことが好ましい。したがって、本実施形態とは異なり、磁気記録層122が1層のみで構成される場合、かかる磁気記録層122はCoCrPt−SiO−TiOからなることが好ましい。
分断層124は、磁気記録層122(第2磁気記録層122b)と補助記録層126との間に設けられた非磁性の層である。本実施形態において分断層124は、Ruと酸素を含む薄膜である。分断層124が酸素を含むことにより、多量の酸化物を含む磁気記録層122の上に分断層124を成膜し、さらにその上に酸素を含まない補助記録層126を成膜した場合の磁気的、構造的な橋渡しとなる。
補助記録層126は基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層である。補助記録層126は磁気記録層122に対して磁気的相互作用を有するように、隣接または近接している必要がある。補助記録層126の材質としては、例えばCoCrPt、CoCrPtB、またはこれらに微少量の酸化物を含有させて構成することができる。補助記録層126は逆磁区核形成磁界Hnの調整、保磁力Hcの調整を行い、これにより耐熱揺らぎ特性、OW特性、およびSNRの改善を図ることを目的としている。この目的を達成するために、補助記録層は垂直磁気異方性Kuおよび飽和磁化Msが高いことが望ましい。なお本実施形態において補助記録層126は磁気記録層122の上方に設けているが、下方に設けてもよい。
なお、「磁気的に連続している」とは磁性が連続していることを意味している。「ほぼ連続している」とは、補助記録層126全体で観察すれば一つの磁石ではなく、結晶粒子の粒界などによって磁性が不連続となっていてもよいことを意味している。粒界は結晶の不連続のみではなく、Crが偏析していてもよく、さらに微少量の酸化物を含有させて偏析させても良い。ただし補助記録層126に酸化物を含有する粒界を形成した場合であっても、磁気記録層122の粒界よりも面積が小さい(酸化物の含有量が少ない)ことが好ましい。補助記録層126の機能と作用については必ずしも明確ではないが、磁気記録層122のグラニュラ磁性粒と磁気的相互作用を有する(交換結合を行う)ことによってHnおよびHcを調整することができ、耐熱揺らぎ特性およびSNRを向上させていると考えられる。またグラニュラ磁性粒と接続する結晶粒子(磁気的相互作用を有する結晶粒子)がグラニュラ磁性粒の断面よりも広面積となるため磁気ヘッドから多くの磁束を受けて磁化反転しやすくなり、全体のOW特性を向上させるものと考えられる。
補助記録層126は14at%〜18at%のCrを含有していてもよい。これにより補助記録層の飽和磁化Msを適度に低減させると共にノイズ低減を図ることができ、またこのように多くのCrを含有させても、非磁性の分断層を設けたことにより補助記録層126のCrが磁気記録層に拡散することがなく、特性の低下を招くことがない。
媒体保護層128は、真空を保ったままカーボンをCVD法により成膜して形成することができる。媒体保護層128は、磁気ヘッドの衝撃から垂直磁気記録媒体100を防護するための層である。一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタ法によって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に垂直磁気記録媒体100を防護することができる。
潤滑層130は、PFPE(パーフロロポリエーテル)をディップコート法により成膜することができる。PFPEは長い鎖状の分子構造を有し、媒体保護層128表面のN原子と高い親和性をもって結合する。この潤滑層130の作用により、垂直磁気記録媒体100の表面に磁気ヘッドが接触しても、媒体保護層128の損傷や欠損を防止することができる。
以上の製造工程により、垂直磁気記録媒体100を得ることができた。次に、本発明の特徴である分断層124と磁気記録層122(第1磁気記録層122a、第2磁気記録層122b)についてさらに詳述する。
上述したように、分断層124は磁気記録層122と補助記録層126の間に設けた、Ruと酸素を含む非磁性の層である。このような分断層124を設けることにより、補助記録層126に起因すると考えられるノイズを低減させてSNRを向上させることができる。これは、補助記録層126が結晶成長する際に磁気記録層122から継承する微細構造を調整できるためと推察される。分断層124のうち磁気記録層122の磁性粒子の上に位置する部分は、Ruが磁気記録層122のCoの結晶構造を補助記録層126のCoまで継承させる。分断層124のうち磁気記録層122の粒界の上に位置する部分は、粒界を形成する酸化物とRuの格子定数が大きく異なることから結晶配向性の継承は存在せず、Ruと酸素原子は自由にマイグレーションを生じながら皮膜(結晶)を形成する。そしてこのRuの結晶の上に補助記録層126が成膜されることにより、補助記録層126のCo粒子は、より分離が促進され、低ノイズ化が達成される。
ここで、分断層124をRuのみから構成してもOW特性等の向上はみられるが、Ruと酸素を含有させることによりSNRの飛躍的な向上がみられる。これは、多量の酸素を含む粒界の上に、Ruのみからなる皮膜を形成しても、高い保磁力が得られないためである。一方、本発明のように分断層124にRuと酸素とを含ませることによって、含有させた酸素原子は粒界に含まれている酸素原子と親和性が高く、選択的に析出する。すなわち分断層124に磁気記録層122に含まれる酸化物よりも少ない割合で酸素を含ませることにより、多量の酸素を含む磁気記録層122の粒界と、酸素を含まない補助記録層126との橋渡しをすることが可能になったものと推察される。
一方、非磁性の分断層124によって保磁力が低下してしまうところ、本実施形態においては、第1磁気記録層122aよりも第2磁気記録層122bの方がPtの含有量を少なくなるように設定している。これにより、主記録層である第2磁気記録層122bでは高いSNRを確保しつつ、第1磁気記録層122aはPtの含有量が多いことにより保持力を向上させることができる。したがって全体的に、高いSNRと保磁力を両立させることが可能となる。
第1磁気記録層122aのPtは16at%〜22at%であってもよい。かかる範囲であれば積極的に保磁力を向上させることができる。なお16at%未満では分断層による保持力低下を補うことができず、22at%より大きくなるとCoが少なくなって飽和磁化Msが低下してしまう。
第2磁気記録層122bのPtは14at%〜19at%であってもよい。かかる範囲であればPtによるノイズをCrによって抑えることができるため、高いSNRを確保することができる。なお14at%未満では磁気異方性Kuの向上による保磁力向上の効果が過小であり、19at%より大きくなるとノイズが増大してしまう。
そして第1磁気記録層122aの厚みをAnm、第2磁気記録層122bの厚みをBnmとしたとき、A/B=15%〜30%であってもよい。第1磁気記録層122aを上記のように薄くすることにより、Ptの増加によってノイズが増大しても、その影響を抑えることができる。すなわち、磁気記録層122のPtを増加した場合と、膜厚を増加した場合は、いずれも保磁力が向上し、ノイズが増大する。しかしこれらを比較すると、Ptを増加した場合の方が保磁力に対する影響が大きい。したがって第1磁気記録層122aのPtを増加させて膜厚を薄くすることにより、ノイズ増大を抑えて保磁力をより多く向上させている。
分断層124においてRuに含有させる酸素には、単体としての酸素原子、もしくは酸化物としての酸素原子のいずれか一方または両方が含まれる。Ruに微少量の酸素を含有させるにあたり、ターゲットにあらかじめ酸素を含有させる方法と、スパッタリングの際に雰囲気ガスに酸素を添加するリアクティブスパッタ法がある。リアクティブスパッタ法は、スパッタリングを行うチャンバ内に供給する雰囲気ガスに活性ガスを添加し、ターゲットの原子と活性ガスの原子との化合物膜または混合膜を成膜する方法である。したがって、分断層124のスパッタリングの際に活性ガスとして酸素ガスを添加することで、分断層124に酸素を含有させることができる。
ただし、リアクティブスパッタ法は、雰囲気ガスに添加する酸素ガスの量が少量であるため、分断層124に含有される酸素の量が所望する量になるよう調整することが非常に困難である。また雰囲気ガス中において活性ガスが均一に分布するよう調節することが難しいため、分断層124における酸素の分布が不均一になってしまう。更には、分断層124の成膜の際に層内に混入した酸素ガスを完全に脱気することが困難であるため、チャンバ内に残留した酸素ガスが、分断層124より後の層を成膜するチャンバに入り込んでしまう。そこで分断層をRuと酸化物からなるターゲットを用いてスパッタリングを行う方が、膜全体に均一に酸素を含有させられるために好ましい。
分断層124に含有させる酸化物は、WO、TiO、またはRuOであってもよい。上記のように、スパッタリングのターゲットに酸化物を含有させることにより、分断層124に酸素を含有させることが好ましい。酸化物としては様々なものが考えられるが、特にW、Ti、Ruの酸化物を用いることにより、電磁変換特性(SNR)を向上させることができる。中でも、WOは高い効果を得ることができる。これは、WOが、不安定な酸化物であるので、スパッタ中に酸素が解離され、解離された酸素が、酸素添加の効果も示す。このほかに、酸化物の他の例としては、酸化珪素(SiO)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
分断層124は、膜厚が2Å以上〜10Å以下(0.2nm以上〜1nm以下)であってもよい。このような薄膜とすることにより分断層124は完全な膜を形成せず、磁気記録層122の結晶粒子から補助記録層126へと続く結晶配向性の継承は阻害されない。分断層124の膜厚を10Å以上とすると、磁気記録層122と補助記録層126とが磁気的に完全に分断されて、所望のSNRが得られない。一方、膜厚が2Å以下では皮膜を形成できなくなってしまう。
磁気記録層122は2種以上の酸化物を含んでいてもよい。これにより、複数の酸化物の特性を得ることができ、磁気記録層122の磁性粒子のさらなる微細化と孤立化を図ることによりノイズを低減し、かつSNRを向上させて高記録密度化を図ることのできる垂直磁気記録媒体を得ることができる。
磁気記録層122は酸化物としてSiOとTiOを含んでいてもよい。SiOは磁性粒子の微細化および孤立化を促進し、TiOは電磁変換特性(特にSNR)を向上させる特性がある。そしてこれらの酸化物を複合させて磁気記録層122の粒界に偏析させることにより、双方の利益を享受することができる。
磁気記録層122は、粒界部を構成する酸化物を5mol%以上含んでいてもよい。5mol%以上であるとき高い静磁気特性と電磁変換特性とを得ることができると共に、そのような範囲では補助記録層126の特性が無視できないほどに低下するところ、上記の分断層124を設けることによって特性の改善を得ることができるためである。
(実施例)
ディスク基体110上に、真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、付着層112から補助記録層126まで順次成膜を行った。付着層112は、CrTiとした。軟磁性層114は、第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成はCoFeTaZrとし、スペーサ層114bの組成はRuとした。前下地層116の組成はfcc構造のNiW合金とした。第1下地層118aは所定圧力(低圧:例えば0.6〜0.7Pa)のAr雰囲気下でRu膜を成膜した。第2下地層118bは、酸素が含まれているターゲットを用いて所定圧力より高い圧力(高圧:例えば4.5〜7Pa)のAr雰囲気下で、酸素を含有するRu膜を成膜した。非磁性グラニュラ層120の組成は非磁性のCoCr−SiOとした。第1磁気記録層122aは粒界部に酸化物の例としてCrを含有し、CoCrPt18−Crのhcp結晶構造を形成した。第2磁気記録層122bは、粒界部に複合酸化物(複数の種類の酸化物)の例としてSiOとTiOを含有し、CoCrPt16−SiO−TiOのhcp結晶構造を形成した。分断層124は膜厚を3Åとし、その組成は、下記のような実施例と比較例を作成して比較した。補助記録層126の組成はCoCr18PtBとした。媒体保護層128はCVD法によりCおよびCNを用いて成膜し、潤滑層130はディップコート法によりPFPEを用いて形成した。
図2は分断層124の組成による実施例と比較例を示す図である。分断層124の組成は、実施例1はRuWO、実施例2はRuSiO、実施例3はRu+O曝露(リアクティブスパッタ)である。比較例1は分断層124を設けないもの、比較例2はRuのみ、比較例3はO曝露のみである。分断層124の膜厚は、比較例1および比較例3以外、全て3Åとする。そして各実施例および比較例について、静磁気特性として保磁力Hcおよび逆磁区核形成磁界Hn、電磁変換特性としてSNRを測定した。保磁力Hcおよび逆磁区核形成磁界Hnは絶対値が大きいほどよいため、同軸上に絶対値としてグラフに示している。
図2から、実施例1〜実施例3は、比較例よりも大幅にSNRが向上していることがわかる。中でも、RuWOにて分断層124を形成した実施例1が最もSNRが向上していた。比較例の中ではRuからなる分断層124を形成した比較例2がSNRが良いが、さらに酸素を含む実施例1〜3には及ばない。ただし磁気記録層122に酸素曝露を行った比較例3ではSNRの向上は見られないことから、磁気記録層122に酸素が含まれることによって効果が奏されるのではなく、分断層124に酸素を含むことによって効果が奏されることがわかる。
保磁力Hcは分断層124を設けない比較例1が一番大きく、他の場合はこれよりも低かった。しかし低いとはいえ現状において保磁力Hcは4500[Oe]以上あれば足りるため、支障はない。またSNRが高ければ信号を読み取りやすくなるため、保磁力Hcは低めであってもよい。逆磁区核形成磁界Hnも同様に、比較例より実施例の方がわずかに低下しているが、まったく支障のない範囲である。さらに保磁力Hcおよび逆磁区核形成磁界Hnは、磁気記録層122の膜厚を厚くする、Crを減らす、Ptを増やす、酸化物を減らすなど、他の手段によって向上させることができる。すなわち本発明によれば、保磁力Hcおよび逆磁区核形成磁界Hnをさほど低下させずに、大幅にSNRを向上させることができることがわかる。
また実施例の中では、RuWOにて分断層124を形成した実施例1が最も保磁力Hcが高いことがわかる。すなわちRuWOは、実施例1〜3の中で最もSNRも保磁力Hcも高く、最適な組成であることがわかる。
図3は分断層の酸化物をRuWOに固定して、第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bのPtの量を変化させた場合の結果を説明する図である。
図3において系統1は、第1磁気記録層のPtを18at%に固定して、第2磁気記録層のPtを変化させた場合である。系統2は、第2磁気記録層のPtを16at%に固定して、第1磁気記録層のPtを変化させた場合である。図3(a)は系統1および系統2について保磁力HcとSNRの測定値を示す表、図3(b)は保磁力の変化を示すグラフ、図3(c)はSNRの変化を示すグラフである。
系統1を参照すると、第2磁気記録層のPt量については、14at%以上であるときに高い保持力を得ることができ、また19at%以上となるとSNRが著しく低下してしまうことがわかる。したがって第2磁気記録層のPt量は14at%〜19at%であることが好ましい。
系統2を参照すると、第1磁気記録層のPt量については、16at%〜22at%であるときに高い保持力とSNRを得ることができ、いずれもこの範囲を外れると急速に値が低下してしまうことがわかる。したがって第1磁気記録層のPt量は16at%〜22at%であることが好ましい。
また図3(b)の系統2を参照すれば、第1磁気記録層のPt量が16at%以上の時、すなわち第2磁気記録層のPt量(16at%)以上のときに、高い保持力(4700[Oe]以上)が得られることがわかる。一方、図3(c)の系統1を参照すれば、第2磁気記録層のPt量が19at%以下の時、さらには第1磁気記録層のPt量(18at%)以下のときに、高いSNR(17.6以上)が得られることがわかる。これらのことから、2層の磁気記録層122(第1磁気記録層122a、第2磁気記録層122b)と補助記録層126と分断層124からなる構成においては、第1磁気記録層122aよりも第2磁気記録層122bの方がPtの含有量が少ないことが好ましいことがわかる。
図4は第1磁気記録層と第2磁気記録層の膜厚を変化させた場合の結果を説明する図である。図4に示す系統3は、分断層の酸化物をRuWOに固定して、第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bのPtの量をそれぞれ18at%、16at%としている。図4(a)は系統3について保磁力HcとSNRの測定値を示す表、図4(b)は保磁力とSNRの変化を示すグラフである。図4(b)においては第1磁気記録層の厚みをAnm、第2磁気記録層の厚みをBnmとしたとき、A/Bを横軸に取り、保磁力およびSNRを縦軸に取っている。
図4によれば、保磁力は全体的に、A/Bが大きくなるほど(第1磁気記録層の割合が大きくなるほど)上昇する傾向にある。そして必要分の保磁力(4700[Oe])を得るためには、A/Bが15%以上必要であることがわかる。
SNRは保磁力と全く逆の傾向を示し、全体的にA/Bが大きくなるほど減少する傾向にある。そして必要分のSNR(17.6)を得るためには、A/Bが30%以下である必要があることがわかる。
これらのことから、A/B=15%〜30%の範囲とすることにより、高いSNRと保磁力を両立できることがわかる。
図5は磁性層の酸化物の組み合わせによる実施例と比較例を示す図である。分断層124の組成は全てRuWOとし、膜厚は3Åとした。実施例4は磁気記録層122に複数の酸化物としてSiOとTiOを複合して含有させた。比較例4はSiO、比較例5はTiOのみを酸化物として含有させた。実施例4、比較例4、比較例5において、酸化物の総量は等しく10mol%とした。
比較例4と比較例5とを比べれば、SiOは保磁力Hcが高く、TiOはSNRが高いことがわかる。そして実施例4を参照すれば、保磁力HcおよびSNRの両方が大幅に向上していることがわかる。特に分断層124を設けないときのSNRと設けたときのSNRを比較すると、比較例4、比較例5では0.4程度の向上であるのに対し、実施例4では0.6程度向上していることがわかる。このことから、磁気記録層122に複数の酸化物を複合して含有させることにより、さらに本発明の利益を効果的に得ることができることがわかる。
上記説明した如く、本発明によれば、補助記録層に起因すると考えられるノイズを低減させてSNRの向上を図ることができる。これにより、垂直磁気記録媒体100の更なる高記録密度化を達成することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、垂直磁気記録方式のHDDなどに搭載される垂直磁気記録媒体として利用することができる。
垂直磁気記録媒体の構成を説明する図である。 分断層の組成による実施例と比較例を示す図である。 磁気記録層のPtの量を変化させた場合の結果を説明する図である。 磁気記録層の膜厚を変化させた場合の結果を説明する図である。 磁性層の酸化物の組み合わせによる実施例と比較例を示す図である。
符号の説明
100…垂直磁気記録媒体、110…ディスク基体、112…付着層、114…軟磁性層、114a…第1軟磁性層、114b…スペーサ層、114c…第2軟磁性層、116…前下地層、118…下地層、118a…第1下地層、118b…第2下地層、120…非磁性グラニュラ層、122…磁気記録層、122a…第1磁気記録層、122b…第2磁気記録層、124…分断層、126…補助記録層、128…媒体保護層、130…潤滑層

Claims (10)

  1. 基体上に少なくとも、
    柱状に連続して成長した磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造の第1磁気記録層と、
    柱状に連続して成長した磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造の第2磁気記録層と、
    非磁性の分断層と、
    基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した補助記録層と、をこの順に備え、
    前記第1磁気記録層および第2磁気記録層はPtを含むCo系合金であって、前記第1磁気記録層よりも第2磁気記録層の方がPtの含有量が少ないことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記第1磁気記録層のPtは16at%〜22at%であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記第2磁気記録層のPtは14at%〜19at%であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記第1磁気記録層の厚みをAnm、前記第2磁気記録層の厚みをBnmとしたとき、A/B=15%〜30%であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記分断層は、Ruと酸素を含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 前記分断層は、Ruと酸化物を含み、該酸化物はWO、TiO、またはRuOであることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  7. 前記分断層は、膜厚が2Å以上〜10Å以下であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  8. 前記第1磁気記録層または第2磁気記録層は2種以上の酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  9. 前記第1磁気記録層または第2磁気記録層は酸化物としてSiOとTiOを含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  10. 前記第1磁気記録層または第2磁気記録層は、前記粒界部を構成する酸化物を5mol%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
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