JP2004114835A - 自動二輪車の盗難防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】遠隔操作装置を用いてエンジンの始動を許可する自動二輪車における盗難防止装置において、配線が外部に露出しないようにする。
【解決手段】ハンドルロック機構を含むハンドルロックモジュール１２内に、ＣＰＵ４１と、遠隔操作装置Ａから送られる施錠・解錠信号を検出するリモコンレシーバ４２と盗難検出手段としての振動検出センサ４３を含める。これにより、リモコンレシーバ４２で受信した施錠・解錠信号をＣＰＵ４１に送信したり、振動検出センサ４３による車体の振動感知信号をＣＰＵ４１に送信したりする配線が外部に露出しない。
【選択図】 図２
【解決手段】ハンドルロック機構を含むハンドルロックモジュール１２内に、ＣＰＵ４１と、遠隔操作装置Ａから送られる施錠・解錠信号を検出するリモコンレシーバ４２と盗難検出手段としての振動検出センサ４３を含める。これにより、リモコンレシーバ４２で受信した施錠・解錠信号をＣＰＵ４１に送信したり、振動検出センサ４３による車体の振動感知信号をＣＰＵ４１に送信したりする配線が外部に露出しない。
【選択図】 図２
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車の盗難防止装置に関し、特に、自動二輪車への取り付けの煩雑さを解消するのに好適な自動二輪車の盗難防止装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
遠隔操作装置により車両外部から送信された制御信号を車両側で受信し、該制御信号を判別することによって、エンジンの始動を許可するようにした車両盗難防止装置が知られている。例えば、特開平７−２２３５０８号公報には、スタンドに設けたスイッチとイグニッションスイッチとを連携させて、車両が不正に移動されようとしたときに車両に備え付けのホーンを鳴動させるようにした自動二輪車の警報装置が開示されている。
【０００３】
また、実用新案登録第２５５８１１７号公報には、自動二輪車又は自動三輪車に操作ユニットとテンキーを具備し、車体登録番号やエンジンイグニッションスイッチおよびライティングスイッチの暗証番号を記憶したカードを操作ユニットに挿入し、続いてテンキーにより暗証番号を入力し、入力された暗証番号がカードに記憶されている暗証番号と一致したときにのみエンジンの始動を許可する盗難防止装置が開示されている。
【０００４】
前記遠隔操作装置を採用した盗難防止装置によれば、遠隔操作装置を所有しなければエンジンの始動が許可されず、また、前記カードを採用した盗難防止装置によれば、カードを所有し、さらに暗証番号を知っていて初めてエンジンの始動が許可されるため、車両の盗難を防止することができる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
従来、盗難防止装置は、完成車に後付けで設置することが多い。この後付け作業を一般ユーザが自分で行うことは困難であり、専門の整備工場や販売店に作業を委ねることになり、面倒である。また、後付けの場合、外部に配線等が露出することがあり、外観を損ねる。さらに、車両に備え付けのホーンと兼用しているため、警報音と盗難報知音との区別がつきにくいし、ホーンの位置はその機能上ほぼ固定されているため、盗難防止装置本体とのレイアウトの融通性が低い。
【０００６】
本発明は、上記課題を解決し、完成車にあらかじめ装着可能な盗難防止装置を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、遠隔操作装置からの施錠信号および解錠信号を受信する受信部と、前記施錠信号および解錠信号に含まれているＩＤが予め登録されている登録ＩＤと一致するか否かを判断する制御部とを備えた自動二輪車の盗難防止装置において、前記ＩＤが一致したときに前記施錠信号に応答して車体をロックするとともに、前記解錠信号に応答して前記ロックを解除するロック機構と、前記ロック機構を駆動するアクチュエータと、前記登録ＩＤと一致するＩＤを含む解錠信号を入力する正当な操作を経ないで車体が予定の動きをしたときに盗難検出信号を出力する盗難検出手段とを具備し、前記受信部、制御部、ロック機構、アクチュエータ、および盗難検出手段が単一のハウジングに収容されたモジュールとして形成されている点に第１の特徴がある。
【０００８】
第１の特徴によれば、施錠信号および解錠信号を受信して車体を施錠および解錠する手段、ならびに盗難検出手段が一体のモジュールとして構成されるので、配線が短くなるとともにハウジング内にまとめられるので、外観を良好にすることができる。
【０００９】
また、本発明は、前記ロック機構がハンドルの回転軸に係合して車体をロックするハンドルロックであり、前記モジュールが前記ハンドルの回転軸に隣接して配置されている点に第２の特徴がある。ロック機構を含むモジュールを、ロック機構が係合するハンドルの回転軸に隣接して配置することにより、ロックピン等の可動部を短くできる等、ロック機構が簡単になる。
【００１０】
また、本発明は、前記盗難検出手段が、前記正当な操作を経ずに車体が動かされたことを振動検出センサで検出して盗難検出信号を出力する点に第３の特徴があり、前記盗難検出手段が、前記正当な操作を経ずにハンドルの舵角が予定量変化されたことを舵角センサで検出して盗難検出信号を出力する点に第４の特徴がある。
【００１１】
第３の特徴によれば、車体が不正に動かされたときや車体に打撃が加えられたときに盗難検出信号が発生する。第４の特徴によれば、不正にハンドルが操作されたときに盗難検出信号が発生する。
【００１２】
また、本発明は、前記盗難検出信号に応答して付勢されるブザーを具備した点に第５の特徴があり、前記ブザーが前記モジュールに含まれている点に第６の特徴がある。第５の特徴によれば、ブザーによって盗難を報知することができ、第６の特徴によれば、ブザーに対する配線も外部に露出することがない。
【００１３】
さらに、本発明は、収納ボックスの蓋を兼用するシートを有し、前記シートが、前記ＩＤが一致したときに前記施錠信号に応答して施錠されるとともに、前記解錠信号に応答して解錠される点に第７の特徴がある。
【００１４】
第７の特徴によれば、車体の施錠および解錠とともにシートの施錠および解錠を同時に行うことができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図１は、本発明の盗難防止装置を適用したスクータ型自動二輪車の外観側面図である。ただし、盗難防止装置およびその関連機器は、その配置を理解できることを目的として模式的ないしは概略的に記載してある。同図において、車体前部１と車体後部２とは低いフロア部３を介して連結されており、それらの部分の骨格は、概ねダウンチューブＴ１とメインパイプＴ２とから構成される車体フレームにより形成されている。
【００１６】
車体前部１、車体後部２およびフロア部３は、それぞれフロントカバー４、ボディカバー５およびセンタカバー６で覆われている。車体前部１には、ステアリングヘッド７に軸支されて上方にハンドル８が設けられ、下方にフロントフォーク９が延び、その下端に前輪ＷＦが軸支されている。ハンドル８はハンドルカバー１０で覆われている。
【００１７】
ハンドルカバー１０から車体左右に向けてハンドル７のグリップ部分が突き出し、上方にサイドミラー１１Ｌ（右側は図示せず）が突き出している。また、ハンドル８をロックするためのロック機能を１つのハウジングに収容したハンドルロックモジュール１２が設けられている。ハンドルロックモジュール１２はハンドル８の回転軸（ハンドルポスト）に係合するロックピン１２Ａを有し、このロックピン１２Ａがモータ等のアクチュエータで往復動されてハンドルポストに対して係合・離脱し、施錠および解錠される。ロックピン１２Ａは、後述のリモコンキーの操作で駆動される。ハンドルロックモジュール１２については後でさらに詳細に説明する。
【００１８】
ハンドルロックモジュール１２の近傍には盗難防止報知用のブザー１３が設けられる。ブザー１３は走行時に使用されるホーンとは別に設けられる。ハンドルロックモジュール１２およびブザー１３は実線で示すがフロントカバー４内に収容されるものである。
【００１９】
ボディカバー５内には燃料タンク１４および収納ボックス１５が、メインパイプＴ２により支持されて設けられている。メインパイプＴ２に対して上下に揺動自在に枢支されるスイングユニットには、単気筒の４サイクルエンジンＥと、エンジンＥの後方のベルト式無段変速機１６と、減速機構１７とが含れ、減速機構１７に後輪ＷＲが軸支されている。減速機構１５の上端とメインパイプとの間にはリヤクッション１８が介装されている。
【００２０】
ボディカバー５の上方には、収納ボックス１５を覆うようにシート１９が設けられている。シート１９は開閉可能であり、収納ボックス１５にはヘルメットなどを収納できるようになっている。シート１９とメインパイプＴ２との間には、リモコンキーで操作可能なシートロックアクチュエータ２０が設けられる。ボディカバー５の内部には、エンジン制御を司るＥＣＵ２１とＥＣＵ２１等に電源を接続するためのメインリレー２２が装着される。
【００２１】
図２は、ハンドルロックモジュール１２に内蔵されるコントローラの一例を示すブロック回路図である。コントローラ４０は、制御部としてのＣＰＵ４１を備え、ＣＰＵ４１へ信号を供給する手段として、リモコンレシーバ４２と、振動検出センサ４３と、施錠検出スイッチ４４と、解錠検出スイッチ４５とを備える。施錠検出スイッチ４４および解錠検出スイッチ４５は、ロックピン１２Ａに関して施錠位置および解錠位置を検出する。
【００２２】
リモコンレシーバ４２は、リモコンキー（遠隔操作装置）Ａから送信される施錠信号あるいは解錠信号を受信する。振動検出センサ４３はハンドルロックモジュール１２に加えられた振動を感知し、ＣＰＵ４１は、その振動が予め設定された大きさ以上であったときに盗難検出信号を出力する。施錠検出スイッチ４４は、ロックピン１２Ａがハンドルポストと係合する位置にあるのを検出して施錠位置信号を出力する。解錠検出スイッチ４５は、ロックピン１２Ａがハンドルポストとの係合を解除する位置にあることを検出して解錠位置信号を出力する。振動検出信号はＡ／Ｄ入力回路４６を介して、施錠信号および解錠信号はスイッチ入力回路４７を介してＣＰＵ４１にそれぞれ入力される。
【００２３】
ＣＰＵ４１の出力側には、アクチュエータドライブ回路４８および４９、並びにスイッチング回路５０，５１およびブザードライブ回路５２が設けられる。アクチュエータドライブ回路４８はロックピン１２Ａを駆動するアクチュエータ５３に接続され、アクチュエータ５３はバッテリ５４のプラス側に接続される。アクチュエータドライブ回路４９はシートロックアクチュエータ２０に接続される。
【００２４】
スイッチング回路５０の出力側はメインリレー２２に、スイッチング回路５１の出力側はＥＣＵ２１にぞれぞれ接続される。また、ブザードライブ回路５２の出力側はブザー１３に接続される。
【００２５】
バッテリ５４のプラス側に接続された電源回路５５が設けられ、リモコンレシーバ４２、振動検出センサ４３、アクチュエータ５３、およびＣＰＵ４１のそれぞれに適した電源電圧を供給する。ＣＰＵ４１には、その動作に必要なデータを格納する記憶装置としてのＥＥＰＲＯＭ５６が設けられる。
【００２６】
上記構成において、リモコンキーＡから解錠信号が入力されると、アクチュエータドライブ回路４８は、リモコンキーＡから送信された解除指令に含まれているＩＤがＥＥＰＲＯＭ５６に登録されている登録ＩＤに一致しているとＣＰＵ４１が判断した場合にアクチュエータ５３を駆動してハンドルロックを解除する。同時にアクチュエータドライブ回路４９はシートロックアクチュエータ２０を駆動して収納ボックス１５の蓋を兼ねるシート１９をロックする。
【００２７】
アクチュエータスイッチング回路５０は、リモコンキーＡから送信された解除指令に含まれているＩＤが登録ＩＤに一致しているとＣＰＵ４１が判断し、かつ解錠検出スイッチ４５の検出出力が入力された場合に作動する。メインリレー２２は、スイッチング回路５０が作動し、車体のメインスイッチ（図示しない）がオンされた場合に駆動されて点火装置を含む電装品への電源を供給し、エンジンの始動を可能にする。
【００２８】
メインリレー２２はＩＤが一致しないとオンにならないので、リモコンキー１２Ａを使わずにエンジン始動はできない。また、リモコンキーＡを使わずに車両を動かそうとすためにハンドルロックモジュール１２を破壊するか、取り外そうとした場合、通常の始動操作では発生しない振動が生じる。振動検出センサ４３が検出した振動がＥＥＰＲＯＭ５６に設定されている基準値と比較して異常であると判断した場合に、ＣＰＵ４１はブザードライブ回路５２を付勢してブザー１３を鳴らす。ブザー１３の音を止めるためにはリモコンキー１２Ａを使って解錠信号を発して正しいＩＤをリモコンレシーバ４２に供給する。この正しい解錠信号によってハンドルロックが解放されるとともにブザー１３の音も止まるように、ＣＰＵ４１のプログラムを構成する。
【００２９】
上述の実施形態では、ハンドルロックモジュール１２内にリモコンレシーバ４２、振動検出センサ４３、ハンドルロック手段としてのハンドルロックピン１２Ａおよびアクチュエータドライブ回路４８、ならびにＣＰＵ４１を含む制御手段を収納した。したがって、リモコンレシーバ４２および振動検出センサ４３とＣＰＵ４１との間の配線が外部に露出することはないので、外観を良好に維持できる。ブザー１３も運転中の警報に使用されるホーンを共用するのではないのでレイアウトを自由にすることができる。なお、ブザー１３もハンドルロックモジュール１２内に収納してブザー１３に対する配線も外部に露出しないようにすることもできる。
【００３０】
また、振動検出センサに代えて、ハンドル８の舵角センサを設け、リモコンキー１２Ａによる解錠信号がないのに舵角が予定量以上変化した場合にブザー１３を鳴らすように構成できる。舵角センサは振動検出センサ４３と同様ハンドルロックモジュール１２内に収容する。
【００３１】
舵角センサはオートウィンカキャンセラのための舵角検出手段としても使用することができるので、ハンドルロックモジュール１２にオートウィンカキャンセラの機能を併せて収容することができる。
【００３２】
図３はハンドルロックモジュール１２に内蔵されるコントローラの変形例を示すブロック回路図であり、図２と同符号は同一または同等部分である。スイッチ入力回路４７には外部の車速センサからの検出信号と、ウィンカセット信号と、ウィンカ解除信号とが入力される。また、ＣＰＵ４１の出力側にはウィンカリレードライブ回路５７が接続される。このウィンカリレードライブ回路５７は外部のウィンカリレー（図示せず）に接続される。さらに、ハンドルの舵角量を検出する舵角センサ５８が設けられる。舵角センサ５８は盗難検出用のセンサとして作用するのに加えてオートウィンカキャンセラのセンサとして作用する。
【００３３】
ウィンカ動作時、ウィンカが操作されるとウィンカセット信号が入力されてウィンカリレードライブ回路５７はウィンカリレーをオンにしてウィンカランプを点滅させる。ウィンカの戻し操作によりウィンカ解除信号が入力されると、ウィンカドライブ回路５７はウィンカリレーをオフにしてウィンカランプを消灯させる。
【００３４】
ウィンカの戻し操作を行わない場合であっても、舵角センサ５８による舵角量に基づいて直進が検出された場合はウィンカ戻し操作時と同様に動作する。さらに車速が予定速度以上になった場合にウィンカ戻し操作時と同様に動作するように車速センサの検出信号をウィンカ戻しの条件に加えるようにしてもよい。
【００３５】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項１の発明によれば、施錠信号および解錠信号を受信して車体を施錠および解錠する手段、ならびに盗難検出用センサが一体のモジュールとして構成されるので、配線が短くなるとともにハウジング内にまとめられるので、外観を良好にすることができる。
【００３６】
請求項２の発明によれば、ロック機構を含むモジュールを、ロック機構が係合するハンドルの回転軸に隣接して配置することにより、ロックピン等の可動部を短くできる等、ロック機構が簡単になる。
【００３７】
請求項３の発明によれば、車体が不正に動かされたときや車体に打撃が加えられたときに盗難検出信号が発生する。請求項４の発明によれば、不正にハンドルが操作されたときに盗難検出信号が発生する。
【００３８】
請求項５の発明によれば、ブザーによって盗難を報知することができ、請求項６の発明によれば、ブザーと制御部等の配線も短くでき、かつハウジング内にまとめられるので外観を良好にできる
さらに、請求項７の発明によれば、車体の施錠および解錠とともにシートの施錠および解錠を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の盗難防止装置を適用したスクータ型自動二輪車の外観側面図である。
【図２】ハンドルロックモジュールに内蔵されているコントローラの一例を示すブロック回路図である。
【図３】ハンドルロックモジュールに内蔵されるコントローラの変形例を示すブロック回路図である。
【符号の説明】
８…ハンドル、 １２…ハンドルロックモジュール、 １２Ａ…ロックピン、１３…ブザー、 １９…シート、 ２０…シートロックアクチュエータ、 ２１…ＥＣＵ、 ２２…メインリレー、 ４０…コントローラ、 ４１…ＣＰＵ、４２…リモコンレシーバ、 ４３…振動検出センサ、 ４４…施錠検出スイッチ、 ４５…解錠検出スイッチ、 ４８，４９…アクチュエータドライブ回路、５０，５１…スイッチング回路、 ５２…ブザードライブ回路、 ５３…アクチュエータ、 ５４…バッテリ、 ５５…電源回路、 Ａ…リモコンキー
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車の盗難防止装置に関し、特に、自動二輪車への取り付けの煩雑さを解消するのに好適な自動二輪車の盗難防止装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
遠隔操作装置により車両外部から送信された制御信号を車両側で受信し、該制御信号を判別することによって、エンジンの始動を許可するようにした車両盗難防止装置が知られている。例えば、特開平７−２２３５０８号公報には、スタンドに設けたスイッチとイグニッションスイッチとを連携させて、車両が不正に移動されようとしたときに車両に備え付けのホーンを鳴動させるようにした自動二輪車の警報装置が開示されている。
【０００３】
また、実用新案登録第２５５８１１７号公報には、自動二輪車又は自動三輪車に操作ユニットとテンキーを具備し、車体登録番号やエンジンイグニッションスイッチおよびライティングスイッチの暗証番号を記憶したカードを操作ユニットに挿入し、続いてテンキーにより暗証番号を入力し、入力された暗証番号がカードに記憶されている暗証番号と一致したときにのみエンジンの始動を許可する盗難防止装置が開示されている。
【０００４】
前記遠隔操作装置を採用した盗難防止装置によれば、遠隔操作装置を所有しなければエンジンの始動が許可されず、また、前記カードを採用した盗難防止装置によれば、カードを所有し、さらに暗証番号を知っていて初めてエンジンの始動が許可されるため、車両の盗難を防止することができる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
従来、盗難防止装置は、完成車に後付けで設置することが多い。この後付け作業を一般ユーザが自分で行うことは困難であり、専門の整備工場や販売店に作業を委ねることになり、面倒である。また、後付けの場合、外部に配線等が露出することがあり、外観を損ねる。さらに、車両に備え付けのホーンと兼用しているため、警報音と盗難報知音との区別がつきにくいし、ホーンの位置はその機能上ほぼ固定されているため、盗難防止装置本体とのレイアウトの融通性が低い。
【０００６】
本発明は、上記課題を解決し、完成車にあらかじめ装着可能な盗難防止装置を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、遠隔操作装置からの施錠信号および解錠信号を受信する受信部と、前記施錠信号および解錠信号に含まれているＩＤが予め登録されている登録ＩＤと一致するか否かを判断する制御部とを備えた自動二輪車の盗難防止装置において、前記ＩＤが一致したときに前記施錠信号に応答して車体をロックするとともに、前記解錠信号に応答して前記ロックを解除するロック機構と、前記ロック機構を駆動するアクチュエータと、前記登録ＩＤと一致するＩＤを含む解錠信号を入力する正当な操作を経ないで車体が予定の動きをしたときに盗難検出信号を出力する盗難検出手段とを具備し、前記受信部、制御部、ロック機構、アクチュエータ、および盗難検出手段が単一のハウジングに収容されたモジュールとして形成されている点に第１の特徴がある。
【０００８】
第１の特徴によれば、施錠信号および解錠信号を受信して車体を施錠および解錠する手段、ならびに盗難検出手段が一体のモジュールとして構成されるので、配線が短くなるとともにハウジング内にまとめられるので、外観を良好にすることができる。
【０００９】
また、本発明は、前記ロック機構がハンドルの回転軸に係合して車体をロックするハンドルロックであり、前記モジュールが前記ハンドルの回転軸に隣接して配置されている点に第２の特徴がある。ロック機構を含むモジュールを、ロック機構が係合するハンドルの回転軸に隣接して配置することにより、ロックピン等の可動部を短くできる等、ロック機構が簡単になる。
【００１０】
また、本発明は、前記盗難検出手段が、前記正当な操作を経ずに車体が動かされたことを振動検出センサで検出して盗難検出信号を出力する点に第３の特徴があり、前記盗難検出手段が、前記正当な操作を経ずにハンドルの舵角が予定量変化されたことを舵角センサで検出して盗難検出信号を出力する点に第４の特徴がある。
【００１１】
第３の特徴によれば、車体が不正に動かされたときや車体に打撃が加えられたときに盗難検出信号が発生する。第４の特徴によれば、不正にハンドルが操作されたときに盗難検出信号が発生する。
【００１２】
また、本発明は、前記盗難検出信号に応答して付勢されるブザーを具備した点に第５の特徴があり、前記ブザーが前記モジュールに含まれている点に第６の特徴がある。第５の特徴によれば、ブザーによって盗難を報知することができ、第６の特徴によれば、ブザーに対する配線も外部に露出することがない。
【００１３】
さらに、本発明は、収納ボックスの蓋を兼用するシートを有し、前記シートが、前記ＩＤが一致したときに前記施錠信号に応答して施錠されるとともに、前記解錠信号に応答して解錠される点に第７の特徴がある。
【００１４】
第７の特徴によれば、車体の施錠および解錠とともにシートの施錠および解錠を同時に行うことができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図１は、本発明の盗難防止装置を適用したスクータ型自動二輪車の外観側面図である。ただし、盗難防止装置およびその関連機器は、その配置を理解できることを目的として模式的ないしは概略的に記載してある。同図において、車体前部１と車体後部２とは低いフロア部３を介して連結されており、それらの部分の骨格は、概ねダウンチューブＴ１とメインパイプＴ２とから構成される車体フレームにより形成されている。
【００１６】
車体前部１、車体後部２およびフロア部３は、それぞれフロントカバー４、ボディカバー５およびセンタカバー６で覆われている。車体前部１には、ステアリングヘッド７に軸支されて上方にハンドル８が設けられ、下方にフロントフォーク９が延び、その下端に前輪ＷＦが軸支されている。ハンドル８はハンドルカバー１０で覆われている。
【００１７】
ハンドルカバー１０から車体左右に向けてハンドル７のグリップ部分が突き出し、上方にサイドミラー１１Ｌ（右側は図示せず）が突き出している。また、ハンドル８をロックするためのロック機能を１つのハウジングに収容したハンドルロックモジュール１２が設けられている。ハンドルロックモジュール１２はハンドル８の回転軸（ハンドルポスト）に係合するロックピン１２Ａを有し、このロックピン１２Ａがモータ等のアクチュエータで往復動されてハンドルポストに対して係合・離脱し、施錠および解錠される。ロックピン１２Ａは、後述のリモコンキーの操作で駆動される。ハンドルロックモジュール１２については後でさらに詳細に説明する。
【００１８】
ハンドルロックモジュール１２の近傍には盗難防止報知用のブザー１３が設けられる。ブザー１３は走行時に使用されるホーンとは別に設けられる。ハンドルロックモジュール１２およびブザー１３は実線で示すがフロントカバー４内に収容されるものである。
【００１９】
ボディカバー５内には燃料タンク１４および収納ボックス１５が、メインパイプＴ２により支持されて設けられている。メインパイプＴ２に対して上下に揺動自在に枢支されるスイングユニットには、単気筒の４サイクルエンジンＥと、エンジンＥの後方のベルト式無段変速機１６と、減速機構１７とが含れ、減速機構１７に後輪ＷＲが軸支されている。減速機構１５の上端とメインパイプとの間にはリヤクッション１８が介装されている。
【００２０】
ボディカバー５の上方には、収納ボックス１５を覆うようにシート１９が設けられている。シート１９は開閉可能であり、収納ボックス１５にはヘルメットなどを収納できるようになっている。シート１９とメインパイプＴ２との間には、リモコンキーで操作可能なシートロックアクチュエータ２０が設けられる。ボディカバー５の内部には、エンジン制御を司るＥＣＵ２１とＥＣＵ２１等に電源を接続するためのメインリレー２２が装着される。
【００２１】
図２は、ハンドルロックモジュール１２に内蔵されるコントローラの一例を示すブロック回路図である。コントローラ４０は、制御部としてのＣＰＵ４１を備え、ＣＰＵ４１へ信号を供給する手段として、リモコンレシーバ４２と、振動検出センサ４３と、施錠検出スイッチ４４と、解錠検出スイッチ４５とを備える。施錠検出スイッチ４４および解錠検出スイッチ４５は、ロックピン１２Ａに関して施錠位置および解錠位置を検出する。
【００２２】
リモコンレシーバ４２は、リモコンキー（遠隔操作装置）Ａから送信される施錠信号あるいは解錠信号を受信する。振動検出センサ４３はハンドルロックモジュール１２に加えられた振動を感知し、ＣＰＵ４１は、その振動が予め設定された大きさ以上であったときに盗難検出信号を出力する。施錠検出スイッチ４４は、ロックピン１２Ａがハンドルポストと係合する位置にあるのを検出して施錠位置信号を出力する。解錠検出スイッチ４５は、ロックピン１２Ａがハンドルポストとの係合を解除する位置にあることを検出して解錠位置信号を出力する。振動検出信号はＡ／Ｄ入力回路４６を介して、施錠信号および解錠信号はスイッチ入力回路４７を介してＣＰＵ４１にそれぞれ入力される。
【００２３】
ＣＰＵ４１の出力側には、アクチュエータドライブ回路４８および４９、並びにスイッチング回路５０，５１およびブザードライブ回路５２が設けられる。アクチュエータドライブ回路４８はロックピン１２Ａを駆動するアクチュエータ５３に接続され、アクチュエータ５３はバッテリ５４のプラス側に接続される。アクチュエータドライブ回路４９はシートロックアクチュエータ２０に接続される。
【００２４】
スイッチング回路５０の出力側はメインリレー２２に、スイッチング回路５１の出力側はＥＣＵ２１にぞれぞれ接続される。また、ブザードライブ回路５２の出力側はブザー１３に接続される。
【００２５】
バッテリ５４のプラス側に接続された電源回路５５が設けられ、リモコンレシーバ４２、振動検出センサ４３、アクチュエータ５３、およびＣＰＵ４１のそれぞれに適した電源電圧を供給する。ＣＰＵ４１には、その動作に必要なデータを格納する記憶装置としてのＥＥＰＲＯＭ５６が設けられる。
【００２６】
上記構成において、リモコンキーＡから解錠信号が入力されると、アクチュエータドライブ回路４８は、リモコンキーＡから送信された解除指令に含まれているＩＤがＥＥＰＲＯＭ５６に登録されている登録ＩＤに一致しているとＣＰＵ４１が判断した場合にアクチュエータ５３を駆動してハンドルロックを解除する。同時にアクチュエータドライブ回路４９はシートロックアクチュエータ２０を駆動して収納ボックス１５の蓋を兼ねるシート１９をロックする。
【００２７】
アクチュエータスイッチング回路５０は、リモコンキーＡから送信された解除指令に含まれているＩＤが登録ＩＤに一致しているとＣＰＵ４１が判断し、かつ解錠検出スイッチ４５の検出出力が入力された場合に作動する。メインリレー２２は、スイッチング回路５０が作動し、車体のメインスイッチ（図示しない）がオンされた場合に駆動されて点火装置を含む電装品への電源を供給し、エンジンの始動を可能にする。
【００２８】
メインリレー２２はＩＤが一致しないとオンにならないので、リモコンキー１２Ａを使わずにエンジン始動はできない。また、リモコンキーＡを使わずに車両を動かそうとすためにハンドルロックモジュール１２を破壊するか、取り外そうとした場合、通常の始動操作では発生しない振動が生じる。振動検出センサ４３が検出した振動がＥＥＰＲＯＭ５６に設定されている基準値と比較して異常であると判断した場合に、ＣＰＵ４１はブザードライブ回路５２を付勢してブザー１３を鳴らす。ブザー１３の音を止めるためにはリモコンキー１２Ａを使って解錠信号を発して正しいＩＤをリモコンレシーバ４２に供給する。この正しい解錠信号によってハンドルロックが解放されるとともにブザー１３の音も止まるように、ＣＰＵ４１のプログラムを構成する。
【００２９】
上述の実施形態では、ハンドルロックモジュール１２内にリモコンレシーバ４２、振動検出センサ４３、ハンドルロック手段としてのハンドルロックピン１２Ａおよびアクチュエータドライブ回路４８、ならびにＣＰＵ４１を含む制御手段を収納した。したがって、リモコンレシーバ４２および振動検出センサ４３とＣＰＵ４１との間の配線が外部に露出することはないので、外観を良好に維持できる。ブザー１３も運転中の警報に使用されるホーンを共用するのではないのでレイアウトを自由にすることができる。なお、ブザー１３もハンドルロックモジュール１２内に収納してブザー１３に対する配線も外部に露出しないようにすることもできる。
【００３０】
また、振動検出センサに代えて、ハンドル８の舵角センサを設け、リモコンキー１２Ａによる解錠信号がないのに舵角が予定量以上変化した場合にブザー１３を鳴らすように構成できる。舵角センサは振動検出センサ４３と同様ハンドルロックモジュール１２内に収容する。
【００３１】
舵角センサはオートウィンカキャンセラのための舵角検出手段としても使用することができるので、ハンドルロックモジュール１２にオートウィンカキャンセラの機能を併せて収容することができる。
【００３２】
図３はハンドルロックモジュール１２に内蔵されるコントローラの変形例を示すブロック回路図であり、図２と同符号は同一または同等部分である。スイッチ入力回路４７には外部の車速センサからの検出信号と、ウィンカセット信号と、ウィンカ解除信号とが入力される。また、ＣＰＵ４１の出力側にはウィンカリレードライブ回路５７が接続される。このウィンカリレードライブ回路５７は外部のウィンカリレー（図示せず）に接続される。さらに、ハンドルの舵角量を検出する舵角センサ５８が設けられる。舵角センサ５８は盗難検出用のセンサとして作用するのに加えてオートウィンカキャンセラのセンサとして作用する。
【００３３】
ウィンカ動作時、ウィンカが操作されるとウィンカセット信号が入力されてウィンカリレードライブ回路５７はウィンカリレーをオンにしてウィンカランプを点滅させる。ウィンカの戻し操作によりウィンカ解除信号が入力されると、ウィンカドライブ回路５７はウィンカリレーをオフにしてウィンカランプを消灯させる。
【００３４】
ウィンカの戻し操作を行わない場合であっても、舵角センサ５８による舵角量に基づいて直進が検出された場合はウィンカ戻し操作時と同様に動作する。さらに車速が予定速度以上になった場合にウィンカ戻し操作時と同様に動作するように車速センサの検出信号をウィンカ戻しの条件に加えるようにしてもよい。
【００３５】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項１の発明によれば、施錠信号および解錠信号を受信して車体を施錠および解錠する手段、ならびに盗難検出用センサが一体のモジュールとして構成されるので、配線が短くなるとともにハウジング内にまとめられるので、外観を良好にすることができる。
【００３６】
請求項２の発明によれば、ロック機構を含むモジュールを、ロック機構が係合するハンドルの回転軸に隣接して配置することにより、ロックピン等の可動部を短くできる等、ロック機構が簡単になる。
【００３７】
請求項３の発明によれば、車体が不正に動かされたときや車体に打撃が加えられたときに盗難検出信号が発生する。請求項４の発明によれば、不正にハンドルが操作されたときに盗難検出信号が発生する。
【００３８】
請求項５の発明によれば、ブザーによって盗難を報知することができ、請求項６の発明によれば、ブザーと制御部等の配線も短くでき、かつハウジング内にまとめられるので外観を良好にできる
さらに、請求項７の発明によれば、車体の施錠および解錠とともにシートの施錠および解錠を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の盗難防止装置を適用したスクータ型自動二輪車の外観側面図である。
【図２】ハンドルロックモジュールに内蔵されているコントローラの一例を示すブロック回路図である。
【図３】ハンドルロックモジュールに内蔵されるコントローラの変形例を示すブロック回路図である。
【符号の説明】
８…ハンドル、 １２…ハンドルロックモジュール、 １２Ａ…ロックピン、１３…ブザー、 １９…シート、 ２０…シートロックアクチュエータ、 ２１…ＥＣＵ、 ２２…メインリレー、 ４０…コントローラ、 ４１…ＣＰＵ、４２…リモコンレシーバ、 ４３…振動検出センサ、 ４４…施錠検出スイッチ、 ４５…解錠検出スイッチ、 ４８，４９…アクチュエータドライブ回路、５０，５１…スイッチング回路、 ５２…ブザードライブ回路、 ５３…アクチュエータ、 ５４…バッテリ、 ５５…電源回路、 Ａ…リモコンキー
Claims (7)
- 遠隔操作装置からの施錠信号および解錠信号を受信する受信部と、前記施錠信号および解錠信号に含まれているＩＤが予め登録されている登録ＩＤと一致するか否かを判断する制御部とを備えた自動二輪車の盗難防止装置において、
前記ＩＤが一致したときに前記施錠信号に応答して車体をロックするとともに、前記解錠信号に応答して前記ロックを解除するロック機構と、
前記ロック機構を駆動するアクチュエータと、
前記登録ＩＤと一致するＩＤを含む解錠信号を入力する正当な操作を経ないで車体が予定の動きをしたときに盗難検出信号を出力する盗難検出手段とを具備し、
前記受信部、制御部、ロック機構、アクチュエータ、および盗難検出手段が単一のハウジング内に収容されたモジュールとして形成されていることを特徴とする自動二輪車の盗難防止装置。 - 前記ロック機構がハンドルの回転軸に係合して車体をロックするハンドルロックであり、
前記モジュールが前記ハンドルの回転軸に隣接して配置されていることを特徴とする請求項１記載の自動二輪車の盗難防止装置。 - 前記盗難検出手段が、前記正当な操作を経ずに車体が動かされたことを振動検出センサで検出して盗難検出信号を出力するように構成されたことを特徴とする請求項１または２記載の自動二輪車の盗難防止装置。
- 前記盗難検出手段が、前記正当な操作を経ずにハンドルの舵角が予定量変化したことを舵角センサで検出して盗難検出信号を出力するように構成されたことを特徴とする請求項１または２記載の自動二輪車の盗難防止装置。
- 前記盗難検出信号に応答して付勢されるブザーを具備したことを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の自動二輪車の盗難防止装置。
- 前記ブザーが前記モジュール内に含まれていることを特徴とする請求項５記載の自動二輪車の盗難防止装置。
- 収納ボックスの蓋を兼用するシートを有し、
前記シートが、前記ＩＤが一致したときに前記施錠信号に応答して施錠されるとともに、前記解錠信号に応答して解錠されるように構成されたことを特徴とする請求項１〜請求項６記載の自動二輪車の盗難防止装置。
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